JP4587685B2 - 3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体とその製造方法 - Google Patents

3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、医薬・農薬の中間体や溶剤として有用な、新規の3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体を提供する。また3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体の新規製造方法に関する。
本発明に関連する技術として、3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルと3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの製造法は特許文献1に開示されている(スキーム1)。
1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンに関しては、特許文献2において次のスキーム2の酸化反応によって製造できることが開示されている。
特開2003−221376号公報 国際公開02/096849号公報
3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体は、例えば動脈硬化又は高脂血症の治療薬又は予防薬として期待される化合物(特開2003−221376号公報)や、逆転写酵素のインヒビターとして有望な化合物(国際公開02/070470号公報、特表2003−510252号公報)、そして代謝型グルタミン酸受容体拮抗剤として有望な化合物(国際公開02/068417号公報)などを製造する上での重要な中間体となり得る。
本発明は、新規な工業的規模での生産に適する3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体は芳香環に3つの異なる官能基を有するが、このような3つの異なる官能基を有する芳香環の製造には一般に多段階の工程を要する。このため、合成方法は煩雑なものとなる場合が多く、その結果、総合的な収率が悪化したり、また分離の難しい副生物が生成したりするなどの問題が生じやすい。
特許文献1の方法は3−ニトロ−5−トリフルオロメチル安息香酸を出発原料に用いているが、このものは入手が困難で高価であり、合成するとしても多段階を要する。さらに目的物を得るために多段階を要しているし、工程中に取扱いが困難で高価なボラン−テトラヒドロフラン錯体を用いたり、高価なパラジウム触媒を2工程にわたって用いていること、さらに、基質中に臭素(Br)を導入する工程で、大量のCuBr2が要求されることなどから、工業的に採用するのは困難な製造法である。
一方、目的とする3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体を製造するための好適な中間体として、1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンを想定することができるが、これまで知られている特許文献2による製造方法では取扱いが困難で危険なオゾンを用いており、工業的にこの製造法を採用するのは困難である。
本発明で対象とする一連の3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体を製造する上で、最も困難と考えられるのが臭素化工程である。一般に臭素化反応は位置選択性に乏しく、目的とする部位に効率よく臭素原子を導入できることは稀であり、異なった部位に臭素が導入された異性体や、過反応生成物を生じやすい。特に、ベンジル位に水素原子を有する芳香族の場合にその傾向が強い。例えば、臭素化剤としてN−ブロモスクシンイミド(NBS)を用いた場合、ベンジル位と芳香環の双方が臭素化される場合がある。また、臭素酸ナトリウムを用いた場合にもベンジル位と芳香環の双方が臭素化された化合物を与えることがJournal of Organic Chemistry、第63巻、6023頁〜6026頁、1998年(米国)に示されている。さらに、臭素(Br2)を用いて、トリフルオロメチル基と同様に強い電子吸引性基であるニトロ基を有するp−ニトロトルエンを臭素化すると、芳香環ではなくベンジル位に臭素が導入されp−ニトロベンジルブロミドが得られることがOrganic Syntheses Collective Volume 2、443頁〜445頁、1943年(米国)に示されている。
また、一般にベンゾニトリルに高濃度の臭化水素酸を作用させると、ニトリル基の加水分解が生じて安息香酸やベンズアミドが生じる。例えば、2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾニトリルに48%臭化水素酸を作用させると2−ニトロ−4−トリフルオロメチル安息香酸が得られることが、米国特許4,868,333号公報に開示されている。
このように一般に臭素化という手法は、反応の選択性が低く、有機合成の比較的初期の段階、すなわち多くの置換基を有しない単純な化合物の状態で行われるか、さもなければ、前記特許文献1のような特殊な臭素化剤を用いなければならない。
上述の様に、3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体、特に3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの製造はかなり困難であり、将来にわたって実施できる工業的な製造方法の確立が望まれていた。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、工業的に安価で容易に入手しうる3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドを出発原料として、少ない工程数で容易に3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体が得られる、優れた方法を見出し、本発明を完成した。
本発明の製造方法は、次の第1工程〜第5工程のうち、少なくとも第1工程〜第3工程含んでなる3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体の製造方法である。
第1工程:一般式[1]で表される3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリド
(式中、XYは同一の、または異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表す)
を臭素化し、一般式[2]で表される1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼン
(式中、XYは同一の、または異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表す)
を得る工程。
第2工程:前記1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼンを加水分解して、1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンを得る工程。
第3工程:前記1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンを、シアン化合物を用いてシアノ化し、3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを得る工程。
第4工程:前記3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを還元して、3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを得る工程。
第5工程:前記3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを臭素化して3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを得る工程。
これらの方法で3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体を製造する場合には、出発原料を安価に入手できる上、各工程とも反応が円滑に進行する。特に、本発明の反応経路をとった場合、第1工程と第5工程の臭素化がどちらも高選択的に進行し、目的化合物が高収率で得られるという驚くべき結果が得られた。さらに各工程とも、分離の難しい不純物を事実上生成しないため、後の精製操作にも負荷がかからず、該目的物を工業的規模で製造する上できわめて有効な手段であることがわかった。
本発明の製造方法をスキーム3としてまとめる。
上記の第1工程では、3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドを、臭素化して1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼンを得ているが、一般にこのようなベンザルハライド類のジハロゲノメチル基は高温で加水分解を受け、容易に分解してしまう。従って、これまでこのようなベンザルハライド類の臭素化はこれまでほとんど知られていなかった。
本発明者らは、この第1工程を特に効果的に行う方法、条件を見出した。すなわち、該臭素化は、臭素化剤として臭素(Br2)を用いて行うと好ましいことを知り、臭素(Br2)に塩素(Cl2)を共存させると、特に強い臭素化力が発現することを見出した。この場合、100℃以下という、比較的低温で反応行うことによってジハロゲノメチル基の分解が特に効果的に抑制され、驚くべき高収率と高選択性をもって目的とする1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼンが得られることを見出した。
また、上記の第5工程では、3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを臭素化して3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを得ているが、一般にベンゾニトリルに高濃度の臭化水素酸を作用させると、加水分解が生じて安息香酸やベンズアミドを生じてしまう。しかしながら、本発明では該臭素化の反応条件を鋭意検討し、ベンゾニトリルを加水分解することなくヒドロキシメチル基のみを選択的に臭素化する条件を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、有機化合物の基本骨格がほぼ完成された後の、比較的後期の段階において、2回の臭素化工程を行って、目的とする部位のみを高い選択性をもって臭素化し、高収率で目的物を得ることを特徴としている。
1−ブロモ−3−ジクロロメチル−5−トリフルオロメチルベンゼンをはじめとして、1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼン類は全て新規の化合物であり、その製造法はこれまで知られていない。また、一般的なジクロロメチルベンゼン、いわゆるベンザルクロリドを、臭素(Br2)を用いて臭素化する例はほとんど知られていない。
本発明の3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体の製造方法は、工業用原料として入手の容易な3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドから、少ない工程で、良好な収率で、医・農薬中間体として、また溶剤、洗浄剤用途として有用な3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体を工業的規模で製造できるという効果を奏する。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の出発原料となる一般式[1]で表される3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリド
(式中、XYは同一の、または異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表す)
としては、具体的に3−ジフルオロメチルベンゾトリフルオリド、3−ジクロロメチルベンゾトリフルオリド、3−ジブロモメチルベンゾトリフルオリド、3−ジヨードメチルベンゾトリフルオリド、3−クロロフルオロメチルベンゾトリフルオリド、3−ブロモフルオロメチルベンゾトリフルオリド、3−フルオロヨードメチルベンゾトリフルオリド、3−ブロモクロロメチルベンゾトリフルオリド、3−クロロヨードメチルベンゾトリフルオリド、3−ブロモヨードメチルベンゾトリフルオリドが挙げられる。これらのうち、m−トリフルオロメチルトルエンのメチル基を既存の方法で臭素化して得られる3−ジブロモメチルベンゾトリフルオリドや、m−キシレンを側鎖塩素化して得られる3−トリクロロメチルベンザルクロリドをフッ化水素でフッ素化して得られる3−ジクロロメチルベンゾトリフルオリド、3−ジフルオロメチルベンゾトリフルオリド、3−クロロフルオロメチルベンゾトリフルオリドが、入手の容易さから出発原料として好ましく、経済性の観点から3−ジクロロメチルベンゾトリフルオリドが特に好ましい。
まず、本発明の第1工程について説明する。本工程は上述した3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドを臭素化し、一般式[2]で表される1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼン
(式中、XYは同一の、または異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表す)
を得る工程である。
本工程で用いられる臭素化剤としては、例えば臭素(Br2)、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチル−ヒダントイン(DBH)、臭素酸ナトリウムなど公知のものが使用できる。これらのうち、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチル−ヒダントイン(DBH)を用いる場合には、通常濃硫酸やトリフルオロ酢酸などの強酸を使用するので、ジハロゲノメチル基が分解し、収率が低下する場合がある。従って臭素(Br2)、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド、臭素酸ナトリウムが好ましく、経済性と入手の容易さの点から臭素(Br2)が特に好ましい。
臭素(Br2)の使用量は3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリド1モルに対し、通常0.5〜2モルであり、好ましくは0.5〜1モル、さらに好ましくは0.5〜0.75モルである。ただし臭素化を完全におこなうことに伴うポリブロモ化合物の生成の増加を欲しない場合には0.5モル以下の臭素(Br2)を使用することもできる。また、臭素(Br2)を2モル以上使用することもできるが、大量に使用するとジハロゲノメチル基の分解や望まないベンジル位に相当するジハロゲノメチル基の臭素化を促進する恐れがあるので好ましくない。
本工程は臭素(Br2)のみを用いても進行するが、臭素(Br2)のみを用いた場合、副生する臭化水素がトリフルオロメチル基やジハロゲノメチル基を攻撃して分解する場合がある。また、臭素のみでは十分な臭素化力が得られず反応が長期化し、それに伴いジハロゲノメチル基の分解やベンジル位に相当するジハロゲノメチル基の臭素化を引き起こす場合がある。それらを回避するために、塩素(Cl2)を系内に共存させることが特に好ましいことを本発明者らは見出した。
塩素(Cl2)を共存させる場合、臭素(Br2)1モルに対し1モル以上使用することが好ましいが、1〜2モル程度使用すれば十分であり、反応をコントロールすることで1〜1.2モル程度にすることができる。塩素(Cl2)が1モルより少ない場合には、臭素(Br2)の転化率が低下するので好ましくなく、また必要以上に使用すると、副生物である3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドの塩素化物の生成を助長し、1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼンの収率を低下させるので好ましくなく、また反応工程での塩素(Cl2)の処理が困難になるので好ましくない。
通常、塩素(Cl2)については一括で仕込んでも良いが、連続的にもしくは適宜に分割して逐次的に添加することが好ましい。反応系内の臭素(Br2)の量を塩素(Cl2)に対して常に過剰に保つことは、塩素化物の副生をおさえることができるので好ましい。したがって、一般には反応の進行と共に徐々に塩素(Cl2)を添加するのが好ましい。また副生する塩化水素をパージし反応圧を一定に保ちつつ反応を行う場合、反応器出口に還流装置を設置し塩素(Cl2)、塩化臭素を反応器へ還流させることで、未反応の塩素(Cl2)、塩化臭素(BrCl)の損失を小さくすることができる。塩素(Cl2)の添加に当たっては、気液接触を促進するための装置、例えば、攪拌機、吹き込み管、スパージャーなどを適宜使用できる。
本工程は触媒が存在しなくても進行するが、触媒が存在しない場合には反応が長期化し、それに伴いジハロゲノメチル基の分解やベンジル位に相当するジハロゲノメチル基の臭素化を引き起こす場合がある。それらを回避するために触媒を使用することが好ましいことを本発明者らは見出した。
使用される触媒としては、ルイス酸として知られる、鉄を含む触媒、アンチモンを含む触媒、アルミニウムを含む触媒等公知のものが使用できるが、経済性や廃棄の問題から鉄を含む触媒を用いるのが好ましい。鉄を含む触媒としては鉄のハロゲン化物が好適に使用できる。触媒は反応状態でハロゲン化物となっていればよく、仕込みに際しては金属鉄または鉄を含む合金、化合物であってもよいが、通常入手の容易な塩化第二鉄、臭化第二鉄等を使用するのが特に好ましい。触媒の添加量は、3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリド100モルに対し、鉄として0.1〜100モル、好ましくは1〜50モル、さらに好ましくは5〜30モルである。触媒量が0.1モルよりも少ないと反応速度が遅くなり、100モルよりも多いと反応の進行については問題はないが、反応速度、収率の点でメリットはなく、操作が煩雑になるので好ましくない。
本工程は不活性な溶剤を溶媒として行ってもよいが、使用すると容積あたりの収量が減るので好ましくない。敢えて溶媒を用いる場合には塩素化溶剤などが挙げられ、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどが例示できるがこれらに限られない。また、これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本工程は通常、25〜100℃程度で行い、30〜90℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。反応温度が室温より低いと反応が遅く、100℃よりも高い温度ではジハロゲノメチル基が加水分解したり、ベンジル位に相当するジハロゲノメチル基が臭素化する等の副反応が生じ、選択率が低下することがあるので好ましくない。反応器の圧力は0.1〜10MPaであり、0.3〜2MPaとするのが好ましい。
本工程は、ステンレス鋼、ハステロイ、モネルなどの金属製容器を用いて行うことができる。
本工程はどの様な実施態様であってもよい。例示すると、予め反応器に所定量の3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリド類と臭素(Br2)とハロゲン化鉄と任意量、例えば反応終了までに必要な量の1/2の塩素(Cl2)を仕込み、攪拌しながら反応液の温度を所定の温度に高めた後、反応の進行に伴い残りの塩素(Cl2)ガスを適当な回数に分けて反応液中に吹き込む。反応で生成した塩化水素は逐次パージし、反応圧を一定に保つ。こうして反応を継続し、1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼンの組成が所定の値になったところで反応を停止する。反応終了後、濾過、抽出、蒸留等の通常の手段により、1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼンを得ることができる。また、必要により蒸留あるいはカラムクロマトグラフィー等により精製することもできる。
次に、本発明の第2工程について説明する。本工程は上述した一般式[2]で表される1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼン
(式中、XYは同一の、または異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表す)
を加水分解して1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンを得る工程である。
本工程は、1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼンを、式1
nm [式1]
(式1中、Mは鉄、ニッケル、銅、クロム、タンタルおよび亜鉛から選ばれた、好ましくは鉄、銅および亜鉛から、特に好ましくは鉄および亜鉛から選ばれた遷移元素であり、Lは、F、Cl、Br、I、OH、SO4 、PO4 またはNO3 、好ましくはCl、Br、OH、SO4 、PO4 またはNO3であり、そしてnとmは遷移元素の酸化数に依存して1、2、3または4の数である)で表される1種またはそれ以上の触媒の存在下、水と接触させることにより行うのが好ましい。例えば塩化第二鉄、臭化第二鉄などが好適に用いられる。上記触媒の量は1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼン1モルあたり、0.001モル〜0.05モルが好ましく、0.005モル〜0.03モルがさらに好ましい。これらの触媒は、0.1〜30重量%程度、好ましくは0.3〜10重量%程度の濃度の水溶液として用いると、反応が進みやすく好ましい。
本工程に用いる水の量は、1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼン1モルあたり1.0モル〜2.0モルが好ましく、1.0モル〜1.6モルがさらに好ましい。本工程の反応温度に特別に制限はないが、好ましくは0〜220℃で、さらに好ましくは90〜160℃である。90℃未満であると反応が遅い。一方、160℃を超えると、副生物が生じやすく、また過剰な加熱はエネルギー効率が悪く、経済性の面からも好ましくない。反応終了後、濾過、抽出、蒸留、再結晶等の通常の手段により、1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンを得ることができる。また、必要により蒸留、カラムクロマトグラフィーあるいは再結晶等により精製することもできる。
次に、本発明の第3工程について説明する。本工程は上述した1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンを、シアン化合物を用いてシアノ化し、3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを得る工程である。
使用されるシアン化合物としては、シアン化銅(I)、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化亜鉛など公知のものが使用できるが、これらのうち、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化亜鉛を用いる場合には一般に高価なパラジウム触媒やニッケル触媒を必要とする場合が多いので、経済性の観点から触媒を使用せずとも反応が進行するシアン化銅(I)を用いるのが好ましい。
シアン化合物の使用量は1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼン1モルに対し1モル以上とするが、1〜2モルであり、好ましくは1〜1.5モル、さらに好ましくは1〜1.3モルである。ただし有毒なシアン化合物含有廃液を生じさせたくない場合には1モル以下のシアン化合物を使用することもできる。
本工程は不活性な溶剤を溶媒として行ってもよい。その様な溶媒としては極性非プロトン性溶媒が挙げられ、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン、キノリン、ヘキサメチルりん酸トリアミド(HMPA)、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが例示できるがこれらに限られない。また、これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本工程は50〜300℃程度で行い、100〜200℃が好ましく、120〜180℃がより好ましい。反応温度が50℃より低いと反応が遅く、300℃よりも高い温度では選択率が低下するので好ましくない。反応終了後、濾過、抽出、蒸留、再結晶等の通常の手段により、3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを得ることができる。また、必要により蒸留、カラムクロマトグラフィーあるいは再結晶等により精製することもできる。
次に、本発明の第4工程について説明する。本工程は上述した3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを、還元剤を用いて還元し、3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを得る工程である。
本工程で用いられる還元方法としては、例えば種々のヒドリド類を用いて還元する方法や、水素ガスと種々の金属触媒を用いて接触水素還元する方法が例示される。
ヒドリド類を用いて還元する場合、使用されるヒドリド類としては、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化ホウ素リチウム(LiBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、水素化ホウ素亜鉛(Zn(BH42)、リチウム トリ−t−ブトキシアルミノヒドリド(LiAlH(Ot−C493)、リチウム トリメトキシアルミノヒドリド(LiAlH(OCH33)、ジイソブチルアルミニウム ヒドリド((i−C492AlH)、ナトリウム水素化ビス(メトキシエトキシ)アルミニウム(NaAlH2 (OCH2CH2OCH3)2)、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(BH3・THF)など公知のものが使用できる。これらのうち、経済性、取扱いの容易さ、入手の容易さ等の観点から、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、リチウム トリ−t−ブトキシアルミノヒドリド(LiAlH(Ot−C493)、ジイソブチルアルミニウム ヒドリド((i−C492AlH)、ナトリウム水素化ビス(メトキシエトキシ)アルミニウム(NaAlH2 (OCH2CH2OCH3)2)が好ましい。
還元剤の使用量は、3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル1モルに対して、次の式2で示されるモル数以上用いるのが好ましい。

還元剤の必要モル数 = 2 / 還元剤の分子中に含まれる活性水素数 [式2]

すなわち、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)や水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)の場合には0.5モル以上であり、リチウム トリ−t−ブトキシアルミノヒドリド(LiAlH(Ot−C493)、ジイソブチルアルミニウム ヒドリド((i−C492AlH)、の場合には2.0モル以上であり、ナトリウム水素化ビス(メトキシエトキシ)アルミニウムの場合には1.0モル以上である。これらの還元剤は、通常、必要モル数の0.8倍から5倍使用されるが、1倍から3倍用いるのが好ましい。勿論これ以上使用することも可能であるが、条件によっては過還元、すなわちホルミル基のメチル基への還元などが生じる場合があり好ましくない。
本工程では溶媒を用いても良い。溶媒としては、例えば水、DMF、DMSOや、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等のアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物などが例示できるがこれらに限られない。また、これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記反応は空気中でも行われるが、使用する還元剤によっては窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行われる。本工程において、通常反応温度は−100〜100 ℃であり、好ましくは−78〜50 ℃である。
接触水素還元を用いる場合、用いられる触媒としては、反応系が不均一系か均一系かに関わらず公知の触媒を使用することができるが、触媒の除去が容易な点で不均一系触媒が好ましい。したがって、通常パラジウム、ルテニウム、ロジウム、酸化白金、銅、クロム等の金属または金属酸化物あるいはこれらを活性炭、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させたものが用いられる。例えば、パラジウム付活性炭、水酸化パラジウム付活性炭、パラジウム付硫酸バリウム、パラジウム付炭酸カルシウム、パラジウム付炭酸ストロンチウム、パラジウムブラック、パラジウム付シリカゲル、二酸化白金、白金付活性炭、白金ブラック、ラネーニッケル、ルテニウム付活性炭、ロジウム付活性炭、銅クロマイトなど公知のものが使用できる。その使用量は用いる触媒により異なるが通常3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルに対しての0.0001〜1モル%好ましくは0.001〜0.1モル%を用いる。
接触水素還元を用いる場合、不活性な溶剤を溶媒として行ってもよい。その様な溶媒としてはアルコール類、エーテル類、カルボン酸類、エステル類、アミド類、水などが挙げられ、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸、酢酸エチル、ジメチルホルムアミドなどが例示できるがこれらに限られない。また、これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
水素の圧力は溶媒、触媒等の条件により異なり、常圧〜100気圧程度まで採用できるが、好ましくは1気圧以上用いる。また反応温度は通常−10℃〜150℃の範囲で採用される。
反応終了後、抽出、蒸留、再結晶等の通常の手段により、3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを得ることができる。また、必要によりカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶等により精製することもできる。
次に、本発明の第5工程について説明する。本工程は上述した3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを臭素化剤によって臭素化し、3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを得る工程である。
本工程で用いられる臭素化剤としては、例えば臭素(Br2)、臭化水素、四臭化チタン、臭化亜鉛、三臭化リン、五臭化リン、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、四臭化炭素、N−ブロモアセトアミド(NBA)、臭化チオニル、臭化トリメチルシリルなど公知のものが使用できる。これらのうち、経済性と入手の容易さの点から臭素(Br2)、臭化水素、N−ブロモスクシンイミド(NBS)が好ましく、添加剤を別途必要としない臭化水素が特に好ましい。
臭化水素を用いる場合、ガスを用いても良いし、水や種々の溶剤に溶解しているものを用いても良いが、取扱いの容易さと経済性の点から水に溶解しているもの、すなわち臭化水素酸を用いるのが好ましい。臭化水素酸の濃度に特別な制限はないが、10〜50%が好ましく、入手の容易さから45〜50%が特に好ましい。
臭化水素酸の使用量は、溶存している臭化水素に換算して、3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル1モルに対し1モル以上とするが、1〜10モルであり、好ましくは1〜8モル、さらに好ましくは1〜5モルである。1モル以下の使用量は3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの変換率が低下するので好ましくない。また10モル以上使用することもできるが、大量に使用するとシアノ基の加水分解を生じ、選択率が低下することがあるため好ましくない。
本工程では溶媒を用いても良い。そのような溶媒としては、アルコール類、エーテル類、カルボン酸類、エステル類、アミド類、水などを挙げることができる。これらの代表例として、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、酢酸、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)などが例示できるがこれらに限られない。また、これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本工程は25〜150℃程度で行い、50〜120℃が好ましく、70〜110℃がより好ましい。150℃より高い温度ではシアノ基の加水分解を生じ、選択率が低下することがあるため好ましくない。
反応終了後、抽出、蒸留、再結晶等の通常の手段により、3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを得ることができる。また、必要によりカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶等により精製することもできる。
上述の各工程に要する反応時間に特別な制限はないが、温度や、用いる触媒の量等に依存して最適の反応時間は異なる。いずれの工程においても、ガスクロマトグラフィー等、汎用の分析手段により、反応の進行状況を測定しつつ反応を実施し、原料が十分消費されたことを確認した後、反応工程を終了することが好ましい。
本発明で対象とする3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル誘導体(新規化合物である一般式[2]で表される1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼンを含む)は、医農薬の中間体として有用であるばかりでなく、それ自身、溶剤として有用である。
以下に実施例をもって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限られない。
1−ブロモ−3−ジクロロメチルベンゾトリフルオリドの製造
攪拌機、温度計保護管を備えた100mLステンレス製オートクレーブ反応器に13−ジクロロメチルベンゾトリフルオリド60.0g(0.262mol)、臭素23.0g(0.144mol、0.55当量)、無水塩化第二鉄4.25g(0.0262mol、0.1当量)を仕込み、室温で塩素5.0g(0.14mol、0.52当量)を導入した。オイルバスにて加熱し内温が50℃になるまで昇温した。塩素は2時間後に5.2g(0.14mol、0.54当量)追加して、合計10.2g(0.28mol、1.06当量)とした。反応系内で発生する塩化水素は逐次パージし、反応圧を0.5〜0.8MPaに保った。反応温度を45〜55℃に保ったまま、7時間反応させたところで反応を終了した。
反応終了後は反応器を冷却した後、内容物を取り出し、亜硫酸ナトリウム水溶液(60ml)で洗浄し、68gの有機物を回収した。この有機物を蒸留し目的とする1−ブロモ−3−ジクロロメチルベンゾトリフルオリド(沸点74℃/2mmHg:270Pa)を58g(収率72%、純度86%)得た。
[1−ブロモ−3−ジクロロメチルベンゾトリフルオリドの物性]
常温で無色透明液体。沸点74℃/2mmHg(270Pa)。1H−NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)σ(ppm):6.68(s,1H),7.76(s,1H),7.80(s,1H),9.93(s,1H)。19F−NMR(基準物質:CCl3F、溶媒:CDCl3)σ(ppm):−63.4(s,3F)。
1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンの製造
温度計、滴下漏斗および還流冷却器を備えた100ml三口フラスコに1−ブロモ−3−ジクロロメチルベンゾトリフルオリド46.1g(0.150mol)、無水塩化第二鉄486mg(0.003mol、0.02当量)を仕込み、攪拌しながら100℃まで昇温した。反応温度を100℃以上で維持したまま、水2.97g(0.165mol、1.1当量)を1時間半かけて滴下した。滴下終了後さらに30分攪拌し、水を40ml加えた。二層分離した水層を分液しジイソプロピルエーテル20mlで抽出した。有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過、溶媒留去を行い、粗1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼン39.2g(純度86%)を得た。これを蒸留精製し、目的とする1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンを33g(収率88%、純度89%)得た。
3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの製造
温度計および還流冷却器を備えた100ml三口フラスコに1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼン10.0g(39.5mmol)、DMF(20ml)を加え、攪拌して均一にした後、シアン化銅(I)3.89g(43.5mmol、1.1当量)を加えた。その後
オイルバスにて加熱し内温が150℃になるまで昇温し、温度を維持しながら6時間攪拌した。反応液を冷却後、水50mlと酢酸エチル50mlを加えた後、濾過を行い抽出した。有機層を水50ml、飽和食塩水50mlで順次洗浄した後、乾燥し、濾過、溶媒留去を行い、粗3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル7.87g(純度89%)を得た。これをジイソプロピルエーテル中で再結晶することにより、目的とする3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを6.7g(収率85%、純度99.7%)得た。
3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの製造
温度計を備えた50ml三口フラスコに3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル3.90g(19.6mmol)、THF(20ml)を加え、攪拌しながら内温が5℃になるまで冷却した。次いで水素化ホウ素ナトリウム0.741g(19.6mmol、1.0当量)を加えた。その後室温で2時間攪拌した。反応液に2Mの塩酸20mlを加えた後、30分攪拌した。二層分離した水層を分液し酢酸エチル10mlで抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水10mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過、溶媒留去を行い、目的とする3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを3.91g(収率99%、純度98.7%)得た。
3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの製造
温度計および還流冷却器を備えた50ml三口フラスコに3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル3.91g(19.4mmol)、47%臭化水素酸10.9g(63.4mmol、4当量)を加え、攪拌しながら90℃まで昇温した。反応温度を90℃以上で維持したまま9時間攪拌し、その後冷却した。次いで水(20ml)を加えて攪拌後二層分離し、水層をジイソプロピルエーテル20mlで抽出した。有機層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過、溶媒留去を行い、粗1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンを4.40g(収率86%、純度91%)得た。この粗1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンを4.0g(収率78%、純度99%)得た。
[3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの物性]
淡黄色固体。融点53.5〜54.5℃。1H−NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)σ(ppm):4.50(s,2H),7.85(s,1H),7.87(s,2H)。19F−NMR(基準物質:CCl3F、溶媒:CDCl3)σ(ppm):−63.7(s,3F)。

Claims (11)

  1. 次の3工程によりなる、3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの製造方法。
    第1工程:一般式[1]で表される3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリド

    (式中、XYは同一の、または異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表す)を臭素化し、一般式[2]で表される1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼン

    (式中、XYは同一の、または異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表す)を得る工程。
    第2工程:前記1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼンを加水分解して、1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンを得る工程。
    第3工程:前記1−ブロモ−3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゼンを、シアン化合物を用いてシアノ化し、3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを得る工程。
  2. 請求項1の方法で得られた3−ホルミル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを、さらに還元する(第4工程)ことを特徴とする、3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの製造方法。
  3. 請求項2の方法で得られた3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを、さらに臭素化する(第5工程)ことを特徴とする、3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドを臭素化する(第1工程)際の臭素化剤が臭素(Br2)であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の方法。
  5. 請求項4において、3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドを臭素(Br2)で臭素化する(第1工程)際に、塩素(Cl2)を共存させ、かつ触媒を共存させることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 請求項4において、3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドを臭素(Br2)で臭素化する(第1工程)際に、塩素(Cl2)を共存させ、鉄(Fe)を含む触媒を共存させることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  7. 請求項4において、3−ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドを臭素(Br2)で臭素化する(第1工程)際に、塩素(Cl2)を共存させ、鉄(Fe)を含む触媒を共存させ、かつ25〜100℃で反応を行うことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  8. 請求項3において、3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを臭素化する(第5工程)際に、臭素化剤として臭化水素酸を用いることを特徴とする、請求項3に記載の、3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの製造方法。
  9. 請求項3において、3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルを臭素化する(第5工程)際に、臭素化剤として臭化水素酸を用い、かつ25〜150℃で反応を行うことを特徴とする、請求項3に記載の、3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの製造方法。
  10. 一般式[2]で表される1−ブロモ−3−ジハロゲノメチル−5−トリフルオロメチルベンゼン

    (式中、XYは同一の、または異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表す)
  11. 1−ブロモ−3−ジクロロメチル−5−トリフルオロメチルベンゼン。
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