明 細 書
3—ホルミル一 5—トリフルォロメチルベンゾニトリル誘導体とその製造方法 技術分野
[0001] 本発明は、医薬'農薬の中間体や溶剤として有用な、新規の 3 ホルミル 5 トリフル ォロメチルベンゾ-トリル誘導体を提供する。また 3—ホルミル—5—トリフルォロメチル ベンゾニトリル誘導体の新規製造方法に関する。
発明の背景
[0002] 本発明に関連する技術として、 3—ヒドロキシメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-ト リルと 3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルの製造法は特許文献 1に開示 されている(スキーム 1)。
[0003] 1 ブロモ—3—ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゼンに関しては、特許文献 2にお V、て次のスキーム 2の酸ィ匕反応によって製造できることが開示されて 、る。
[化 2]
(スキーム 2)
特許文献 1:特開 2003— 221376号公報
特許文献 2:国際公開 02Z096849号公報
発明の概要
[0004] 3—ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体は、例えば動脈硬化又は
高脂血症の治療薬又は予防薬として期待される化合物 (特開 2003-221376号公 報)や、逆転写酵素のインヒビターとして有望な化合物(国際公開 02Z070470号公 報、特表 2003— 510252号公報)、そして代謝型グルタミン酸受容体拮抗剤として有 望な化合物(国際公開 02Z068417号公報)などを製造する上での重要な中間体と なり得る。
[0005] 本発明は、新規な工業的規模での生産に適する 3 ホルミル 5—トリフルォロメチル ベンゾニトリル誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
[0006] 3 ホルミル 5 トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体は芳香環に 3つの異なる官 能基を有するが、このような 3つの異なる官能基を有する芳香環の製造には一般に 多段階の工程を要する。このため、合成方法は煩雑なものとなる場合が多ぐその結 果、総合的な収率が悪ィ匕したり、また分離の難しい副生物が生成したりするなどの問 題が生じやすい。
[0007] 特許文献 1の方法は 3—二トロ— 5—トリフルォロメチル安息香酸を出発原料に用いて いるが、このものは入手が困難で高価であり、合成するとしても多段階を要する。さら に目的物を得るために多段階を要しているし、工程中に取扱いが困難で高価なボラ ンーテトラヒドロフラン錯体を用いたり、高価なパラジウム触媒を 2工程にわたって用い ていること、さらに、基質中に臭素(Br)を導入する工程で、大量の CuBrが要求され
2 ることなどから、工業的に採用するのは困難な製造法である。
[0008] 一方、目的とする 3 ホルミル 5 トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体を製造す るための好適な中間体として、 1 ブロモ—3—ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゼン を想定することができる力 これまで知られている特許文献 2による製造方法では取 扱いが困難で危険なオゾンを用いており、工業的にこの製造法を採用するのは困難 である。
[0009] 本発明で対象とする一連の 3 ホルミル 5 トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体 を製造する上で、最も困難と考えられるのが臭素化工程である。一般に臭素化反応 は位置選択性に乏しぐ目的とする部位に効率よく臭素原子を導入できることは稀で あり、異なった部位に臭素が導入された異性体や、過反応生成物を生じやすい。特 に、ベンジル位に水素原子を有する芳香族の場合にその傾向が強い。例えば、臭素
ィ匕剤として N—ブロモスクシンイミド (NBS)を用いた場合、ベンジル位と芳香環の双 方が臭素化される場合がある。また、臭素酸ナトリウムを用いた場合にもべンジル位と 芳香環の双方が臭素化された化合物を与えることが Journal of Organic Chemistry, 第 63卷、 6023頁一 6026頁、 1998年(米国)【こ示されて!/ヽる。さら【こ、臭素(Br )を
2 用いて、トリフルォロメチル基と同様に強い電子吸引性基である-トロ基を有する p— ニトロトルエンを臭素化すると、芳香環ではなくベンジル位に臭素が導入され p—二ト 口べンジノレブ口ミドが得られることが Organic Syntheses Collective Volume 2、 443頁 一 445頁、 1943年(米国)【こ示されて!/ヽる。
[0010] また、一般にべンゾ-トリルに高濃度の臭化水素酸を作用させると、二トリル基の加 水分解が生じて安息香酸やべンズアミドが生じる。例えば、 2—二トロー 4 トリフルォロ メチルベンゾニトリルに 48%臭化水素酸を作用させると 2—二トロー 4 トリフルォロメチ ル安息香酸が得られることが、米国特許 4, 868, 333号公報に開示されている。
[0011] このように一般に臭素化という手法は、反応の選択性が低ぐ有機合成の比較的初 期の段階、すなわち多くの置換基を有しない単純な化合物の状態で行われる力 さ もなければ、前記特許文献 1のような特殊な臭素化剤を用いなければならな 、。
[0012] 上述の様に、 3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体、特に 3—ブロ モメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルの製造はかなり困難であり、将来にわ たって実施できる工業的な製造方法の確立が望まれていた。
[0013] 本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、工業的に安 価で容易に入手しうる 3—ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドを出発原料として、少 な!、工程数で容易に 3—ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体が得ら れる、優れた方法を見出し、本発明を完成した。
[0014] 本発明の製造方法は、次の第 1工程一第 5工程のうち、少なくとも第 1工程一第 3ェ 程含んでなる 3—ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体の製造方法で ある。
第 1工程:一般式 [ 1]で表される 3—ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリド
(式中、 XYは同一の、または異なるハロゲン (フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表 す)を臭素化し、一般式 [2]で表される 1 プロモー 3—ジハロゲノメチルー 5—トリフルォ ロメチノレベンゼン
[0016] (式中、 XYは同一の、または異なるハロゲン (フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表 す)を得る工程。
第 2工程:前記 1 ブロモ—3—ジハロゲノメチルー 5—トリフルォロメチルベンゼンを加 水分解して、 1ーブロモー 3 ホルミル 5 トリフルォロメチルベンゼンを得る工程。 第 3工程:前記 1 ブロモ—3—ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゼンを、シアンィ匕 合物を用いてシァノ化し、 3—ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを得るェ 程。
第 4工程:前記 3—ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを還元して、 3—ヒド ロキシメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを得る工程。
第 5工程:前記 3—ヒドロキシメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを臭素化し て 3—ブロモメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを得る工程。
[0017] これらの方法で 3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体を製造する場 合には、出発原料を安価に入手できる上、各工程とも反応が円滑に進行する。特に 、本発明の反応経路をとつた場合、第 1工程と第 5工程の臭素化がどちらも高選択的 に進行し、目的化合物が高収率で得られるという驚くべき結果が得られた。さらに各 工程とも、分離の難しい不純物を事実上生成しないため、後の精製操作にも負荷が かからず、該目的物を工業的規模で製造する上できわめて有効な手段であることが わかった。
詳細な説明
[0018] 本発明の製造方法をスキーム 3としてまとめる。ただし、上述したとおり、第 4及び第 5工程は本発明にお 、て任意の工程である。
[化 5]
[0019] 上記の第 1工程では、 3 ジノヽロゲノメチルベンゾトリフルオリドを、臭素化して 1ーブ ロモ— 3—ジハロゲノメチル— 5—トリフルォロメチルベンゼンを得て!/、るが、一般にこの ようなベンザルノ、ライド類のジハロゲノメチル基は高温で加水分解を受け、容易に分 解してしまう。従って、これまでこのようなベンザルハライド類の臭素化はこれまでほと んど知られて 、なかった。
[0020] 本発明者らは、この第 1工程を特に効果的に行う方法、条件を見出した。すなわち 、該臭素化は、臭素化剤として臭素 (Br )を用いて行うと好ましいことを知り、臭素 (Br
2
)に塩素 (C1 )を共存させると、特に強い臭素化力が発現することを見出した。この場
2 2
合、 100°C以下という、比較的低温で反応行うことによってジハロゲノメチル基の分解 が特に効果的に抑制され、驚くべき高収率と高選択性をもって目的とする 1 プロモー 3—ジハロゲノメチルー 5—トリフルォロメチルベンゼンが得られることを見出した。
[0021] また、上記の第 5工程では、 3—ヒドロキシメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリ ルを臭素化して 3—ブロモメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを得ているが、 一般にべンゾニトリルに高濃度の臭化水素酸を作用させると、加水分解が生じて安 息香酸やべンズアミドを生じてしまう。し力しながら、本発明では該臭素化の反応条 件を鋭意検討し、ベンゾ-トリルを加水分解することなくヒドロキシメチル基のみを選 択的に臭素化する条件を見出し、本発明を完成するに至った。
[0022] 本発明は、有機化合物の基本骨格がほぼ完成された後の、比較的後期の段階に
おいて、 2回の臭素化工程を行って、 目的とする部位のみを高い選択性をもって臭 素化し、高収率で目的物を得ることを特徴としている。
[0023] 3 ホルミル 5 トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体のうち、 3—ブロモメチルー 5 —トリフルォロメチルベンゾニトリルは新規の化合物であり、その製造法もこれまで知ら れていない。
[0024] 1 ブロモ 3—ジクロロメチルー 5—トリフルォロメチルベンゼンをはじめとして、 1ーブロ モー 3—ジハロゲノメチルー 5—トリフルォロメチルベンゼン類は全て新規の化合物であ り、その製造法はこれまで知られていない。また、一般的なジクロロメチルベンゼン、 いわゆるベンザルクロリドを、臭素(Br )を用いて臭素化する例はほとんど知られてい
2
ない。
[0025] 本発明の 3 ホルミル 5 トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体の製造方法は、 工業用原料として入手の容易な 3—ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドから、少な ヽ 工程で、良好な収率で、医'農薬中間体として、また溶剤、洗浄剤用途として有用な 3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体を工業的規模で製造できると いう効果を奏する。
[0026] 以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の出発原料となる一般式 [1] で表される 3—ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリド
[0027] (式中、 XYは同一の、または異なるハロゲン (フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表 す)としては、具体的に 3—ジフルォロメチルベンゾトリフルオリド、 3—ジクロロメチルべ ンゾトリフルオリド、 3—ジブロモメチルベンゾトリフルオリド、 3—ジョードメチルベンゾトリ フルオリド、 3—クロ口フルォロメチルベンゾトリフルオリド、 3—ブロモフルォロメチルべ ンゾトリフルオリド、 3—フルォロヨ一ドメチルベンゾトリフルオリド、 3—ブロモクロロメチ ルベンゾトリフルオリド、 3—クロロヨ一ドメチルベンゾトリフルオリド、 3—ブロモヨ一ドメチ ルベンゾトリフルオリドが挙げられる。これらのうち、 m トリフルォロメチルトルエンのメ チル基を既存の方法で臭素化して得られる 3—ジブロモメチルベンゾトリフルオリドゃ
、 m—キシレンを側鎖塩素化して得られる 3—トリクロロメチルベンザルクロリドをフツイ匕 水素でフッ素化して得られる 3—ジクロロメチルベンゾトリフルオリド、 3—ジフルォロメチ ルベンゾトリフルオリド、 3—クロ口フルォロメチルベンゾトリフルオリドが、入手の容易さ 力も出発原料として好ましぐ経済性の観点から 3—ジクロロメチルベンゾトリフルオリド が特に好ましい。
[0028] まず、本発明の第 1工程について説明する。本工程は上述した 3—ジハロゲノメチル ベンゾトリフルオリドを臭素化し、一般式 [2]で表される 1 プロモー 3—ジハロゲノメチ ルー 5—トリフルォロメチルベンゼン
[0029] (式中、 XYは同一の、または異なるハロゲン (フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表 す)を得る工程である。
[0030] 本工程で用いられる臭素ィ匕剤としては、例えば臭素(Br )、ベンジルトリメチルァ
2
ンモ-ゥムトリブ口ミド、 N—ブロモスクシンイミド(NBS)、 1, 3—ジブ口モー 5, 5—ジメチ ルーヒダントイン (DBH)、臭素酸ナトリウムなど公知のものが使用できる。これらのうち 、 N—ブロモスクシンイミド(NBS)、 1, 3—ジブ口モー 5, 5 ジメチルーヒダントイン(DB H)を用いる場合には、通常濃硫酸やトリフルォロ酢酸などの強酸を使用するので、 ジハロゲノメチル基が分解し、収率が低下する場合がある。従って臭素(Br )、ベンジ
2 ルトリメチルアンモ-ゥムトリブ口ミド、臭素酸ナトリウムが好ましぐ経済性と入手の容 易さの点力も臭素(Br )が特に好ましい。
2
[0031] 臭素(Br )の使用量は 3—ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリド 1モルに対し、通常 0
2
. 5— 2モノレであり、好ましくは 0. 5— 1モノレ、さらに好ましくは 0. 5-0. 75モノレである 。ただし臭素化を完全におこなうことに伴うポリブロモ化合物の生成の増加を欲しな い場合には 0. 5モル以下の臭素(Br )を使用することもできる。また、臭素(Br )を 2
2 2 モル以上使用することもできる力 大量に使用するとジハロゲノメチル基の分解や望 まないベンジル位に相当するジノヽロゲノメチル基の臭素化を促進する恐れがあるの
で好ましくない。
[0032] 本工程は臭素(Br )のみを用いても進行するが、臭素(Br )のみを用いた場合、副
2 2
生する臭化水素がトリフルォロメチル基やジハロゲノメチル基を攻撃して分解する場 合がある。また、臭素のみでは十分な臭素化力が得られず反応が長期化し、それに 伴 ヽジハロゲノメチル基の分解やべンジル位に相当するジハロゲノメチル基の臭素 化を引き起こす場合がある。それらを回避するために、塩素 (C1 )を系内に共存させ
2
ることが特に好ましいことを本発明者らは見出した。
[0033] 塩素(C1 )を共存させる場合、臭素(Br ) 1モルに対し 1モル以上使用することが好
2 2
ましいが、 1一 2モル程度使用すれば十分であり、反応をコントロールすることで 1一 1 . 2モル程度にすることができる。塩素(C1 )が 1モルより少ない場合には、臭素(Br )
2 2 の転ィヒ率が低下するので好ましくなぐまた必要以上に使用すると、副生物である 3— ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリドの塩素化物の生成を助長し、 1—ブロモ—3—ジノヽ ロゲノメチルー 5—トリフルォロメチルベンゼンの収率を低下させるので好ましくなぐま た反応工程での塩素(C1 )の処理が困難になるので好ましくな 、。
2
[0034] 通常、塩素(C1 )については一括で仕込んでも良いが、連続的にもしくは適宜に分
2
割して逐次的に添加することが好ましい。反応系内の臭素(Br )の量を塩素(C1 )に
2 2 対して常に過剰に保つことは、塩素化物の副生をおさえることができるので好ましい。 したがって、一般には反応の進行と共に徐々に塩素(C1 )を添加するのが好ましい。
2
また副生する塩化水素をパージし反応圧を一定に保ちつつ反応を行う場合、反応器 出口に還流装置を設置し塩素(C1 )、塩化臭素を反応器へ還流させることで、未反
2
応の塩素(C1 )、塩化臭素(BrCl)の損失を小さくすることができる。塩素(C1 )の添
2 2 カロに当たっては、気液接触を促進するための装置、例えば、攪拌機、吹き込み管、ス パージヤーなどを適宜使用できる。
[0035] 本工程は触媒が存在しなくても進行するが、触媒が存在しない場合には反応が長 期化し、それに伴いジノヽロゲノメチル基の分解やべンジル位に相当するジノヽ口ゲノメ チル基の臭素化を引き起こす場合がある。それらを回避するために触媒を使用する ことが好ましいことを本発明者らは見出した。
[0036] 使用される触媒としては、ルイス酸として知られる、鉄を含む触媒、アンチモンを含
む触媒、アルミニウムを含む触媒等公知のものが使用できるが、経済性や廃棄の問 題力も鉄を含む触媒を用いるのが好ましい。鉄を含む触媒としては鉄のハロゲンィ匕 物が好適に使用できる。触媒は反応状態でハロゲンィ匕物となっていればよぐ仕込み に際しては金属鉄または鉄を含む合金、化合物であってもよいが、通常入手の容易 な塩化第二鉄、臭化第二鉄等を使用するのが特に好ましい。触媒の添加量は、 3— ジハロゲノメチルベンゾトリフルオリド 100モルに対し、鉄として 0. 1— 100モル、好ま しくは 1一 50モル、さらに好ましくは 5— 30モルである。触媒量が 0. 1モルよりも少な V、と反応速度が遅くなり、 100モルよりも多 、と反応の進行につ!、ては問題はな!/、が 、反応速度、収率の点でメリットはなぐ操作が煩雑になるので好ましくない。
[0037] 本工程は不活性な溶剤を溶媒として行ってもよいが、使用すると容積あたりの収量 が減るので好ましくない。敢えて溶媒を用いる場合には塩素化溶剤などが挙げられ、 ジクロロメタン、クロ口ホルム、四塩化炭素、 1, 2—ジクロロェタン、テトラクロ口エタン、 ペンタクロロェタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどが例示できるがこれら に限られない。また、これらの溶媒は 1種または 2種以上を組み合わせて用いることも できる。
[0038] 本工程は通常、 25— 100°C程度で行い、 30— 90でカ 子ましく、 40— 80°C力 り 好ましい。反応温度が室温より低いと反応が遅ぐ 100°Cよりも高い温度ではジハロゲ ノメチル基が加水分解したり、ベンジル位に相当するジハロゲノメチル基が臭素化す る等の副反応が生じ、選択率が低下することがあるので好ましくない。反応器の圧力 は 0. 1— lOMPaであり、 0. 3— 2MPaとするのが好ましい。
[0039] 本工程は、ステンレス鋼、ハステロイ、モネルなどの金属製容器を用いて行うことが できる。
[0040] 本工程はどの様な実施態様であってもよい。例示すると、予め反応器に所定量の 3 ージハロゲノメチルベンゾトリフルオリド類と臭素(Br )とハロゲン化鉄と任意量、例え
2
ば反応終了までに必要な量の 1Z2の塩素(C1 )を仕込み、攪拌しながら反応液の
2
温度を所定の温度に高めた後、反応の進行に伴い残りの塩素(C1 )ガスを適当な回
2
数に分けて反応液中に吹き込む。反応で生成した塩ィ匕水素は逐次パージし、反応 圧を一定に保つ。こうして反応を継続し、 1-ブロモ -3-ジノヽロゲノメチル -5—トリフル
ォロメチルベンゼンの組成が所定の値になったところで反応を停止する。反応終了 後、濾過、抽出、蒸留等の通常の手段により、 1 プロモー 3—ジハロゲノメチルー 5—トリ フルォロメチルベンゼンを得ることができる。また、必要により蒸留あるいはカラムクロ マトグラフィ一等により精製することもできる。
[0041] 次に、本発明の第 2工程について説明する。本工程は上述した一般式 [2]で表さ れる 1ーブロモー 3—ジハロゲノメチルー 5 トリフルォロメチルベンゼン
[0042] (式中、 XYは同一の、または異なるハロゲン (フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)を表 す)を力卩水分解して 1ーブロモー 3 ホルミル 5 トリフルォロメチルベンゼンを得るェ 程である。
[0043] 本工程は、 1—ブロモ—3—ジハロゲノメチルー 5—トリフルォロメチルベンゼンを、以下 の式 1
M L [式 1]
(式 1中、 Mは鉄、ニッケル、銅、クロム、タンタルおよび亜鉛力 選ばれた、好ましく は鉄、銅および亜鉛から、特に好ましくは鉄および亜鉛力 選ばれた遷移元素であり 、: Lは、 F、 Cl、 Br、 I、 OH、 SO 、 PO または NO 、好ましくは Cl、 Br、 OH、 SO 、
4 4 3 4
PO または NOであり、そして nと mは遷移元素の酸ィ匕数に依存して 1、 2、 3または 4
4 3
の数である)で表される 1種またはそれ以上の触媒の存在下、水と接触させることによ り行うのが好ましい。例えば塩ィ匕第二鉄、臭化第二鉄などが好適に用いられる。上記 触媒の量は 1ーブロモー 3—ジハロゲノメチルー 5 トリフルォロメチルベンゼン 1モルあ たり、 0. 001モノレー 0. 05モノレカ S好ましく、 0. 005モノレー 0. 03モノレカ Sさらに好まし い。これらの触媒は、 0. 1一 30重量%程度、好ましくは 0. 3— 10重量%程度の濃度 の水溶液として用いると、反応が進みやすく好ましい。
本工程に用いる水の量は、 1 ブロモ—3—ジハロゲノメチルー 5—トリフルォロメチル ベンゼン 1モルあたり 1. 0モルー 2. 0モルが好ましぐ 1. 0モルー 1. 6モルがさらに
好ましい。本工程の反応温度に特別に制限はないが、好ましくは 0— 220°Cで、さら に好ましくは 90— 160°Cである。 90°C未満であると反応が遅い。一方、 160°Cを超え ると、副生物が生じやすぐまた過剰な加熱はエネルギー効率が悪ぐ経済性の面か らも好ましくない。反応終了後、濾過、抽出、蒸留、再結晶等の通常の手段により、 1 —ブロモ— 3—ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゼンを得ることができる。また、必要 により蒸留、カラムクロマトグラフィーあるいは再結晶等により精製することもできる。
[0045] 次に、本発明の第 3工程について説明する。本工程は上述した 1 ブロモ—3 ホル ミル 5—トリフルォロメチルベンゼンを、シアン化合物を用いてシァノ化し、 3—ホルミ ルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを得る工程である。
[0046] 使用されるシアンィ匕合物としては、シアン化銅 (I)、シアン化ナトリウム、シアンィ匕カリ ゥム、シアン化亜鉛など公知のものが使用できる力 これらのうち、シアンィ匕ナトリウム
、シアンィ匕カリウム、シアンィ匕亜鉛を用いる場合には一般に高価なパラジウム触媒や ニッケル触媒を必要とする場合が多 、ので、経済性の観点から触媒を使用せずとも 反応が進行するシアン化銅 (I)を用いるのが好ま U、。
[0047] シアン化合物の使用量は 1—ブロモ—3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゼン 1 モルに対し 1モル以上とする力 1一 2モルであり、好ましくは 1一 1. 5モル、さらに好 ましくは 1一 1. 3モルである。ただし有毒なシアンィ匕合物含有廃液を生じさせたくない 場合には 1モル以下のシアンィ匕合物を使用することもできる。
[0048] 本工程は不活性な溶剤を溶媒として行ってもよい。その様な溶媒としては極性非プロ トン性溶媒が挙げられ、 N, N—ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン、キノリン、へキ サメチルりん酸トリアミド(HMPA)、 N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド(DMS O)などが例示できるがこれらに限られない。また、これらの溶媒は 1種または 2種以 上を組み合わせて用いることもできる。
[0049] 本工程は 50— 300°C程度で行い、 100— 200°C力好ましく、 120— 180°Cがより好 ましい。反応温度が 50°Cより低いと反応が遅ぐ 300°Cよりも高い温度では選択率が 低下するので好ましくない。反応終了後、濾過、抽出、蒸留、再結晶等の通常の手 段〖こより、 3-ホルミル一 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを得ることができる。また、 必要により蒸留、カラムクロマトグラフィーあるいは再結晶等により精製することもでき
る。
[0050] 次に、本発明の第 4工程について説明する。本工程は上述した 3 ホルミル 5—トリフ ルォロメチルベンゾ-トリルを、還元剤を用いて還元し、 3—ヒドロキシメチルー 5—トリフ ルォロメチルベンゾ-トリルを得る工程である。
[0051] 本工程で用いられる還元方法としては、例えば種々のヒドリド類を用いて還元する方 法や、水素ガスと種々の金属触媒を用いて接触水素還元する方法が例示される。
[0052] ヒドリド類を用いて還元する場合、使用されるヒドリド類としては、水素化ホウ素ナトリウ ム(NaBH )、水素化ホウ素リチウム(LiBH )、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH )
4 4 4
、水素化ホウ素亜鉛 (Zn(BH ) )、リチウム トリー t ブトキシアルミノヒドリド (LiAlH (
4 2
Ot-C H ) )、リチウム トリメトキシアルミノヒドリド(LiAlH (OCH ) )、ジイソブチルァ
4 9 3 3 3
ルミ-ゥム ヒドリド((i C H ) A1H)、ナトリウム水素化ビス (メトキシェトキシ)アルミ-
4 9 2
ゥム(NaAlH (OCH CH OCH ) )、ボランーテトラヒドロフラン錯体(BH .THF)な
2 2 2 3 2 3
ど公知のものが使用できる。これらのうち、経済性、取扱いの容易さ、入手の容易さ等 の観点から、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH )、水素化アルミニウムリチウム (L1A1H
4 4
)、リチウム トリー t ブトキシアルミノヒドリド(LiAlH (Ot-C H ) )、ジイソブチルアル
4 9 3
ミニゥム ヒドリド( (i C H ) A1H)、ナトリウム水素化ビス (メトキシェトキシ)アルミ-ゥ
4 9 2
ム(NaAlH (OCH CH OCH ) )が好まし!/ヽ。
2 2 2 3 2
[0053] 還元剤の使用量は、 3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリル 1モルに対して 、次の式 2で示されるモル数以上用いるのが好ましい。
還元剤の必要モル数 = 2 /還元剤の分子中に含まれる活性水素数 [式 2] すなわち、水素化ホウ素ナトリウム (NaBH )や水素化アルミニウムリチウム(LiAlH
4 4
)の場合には 0· 5モル以上であり、リチウム トリー t ブトキシアルミノヒドリド(LiAlH ( Ot-C H ) )、ジイソブチルアルミニウム ヒドリド((i C H ) A1H)、の場合には 2· 0
4 9 3 4 9 2
モル以上であり、ナトリウム水素化ビス (メトキシエトキシ)アルミニウムの場合には 1. 0 モル以上である。これらの還元剤は、通常、必要モル数の 0. 8倍から 5倍使用される 力 1倍から 3倍用いるのが好ましい。勿論これ以上使用することも可能である力 条 件によっては過還元、すなわちホルミル基のメチル基への還元などが生じる場合があ り好ましくない。
[0054] 本工程では溶媒を用いても良い。溶媒としては、例えば水、 DMF、 DMSOや、メタ ノール、エタノール、 2—プロパノール等のアルコール類、ジェチルエーテル、テトラヒ ドロフラン、ジォキサン、ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテ ル類、 n ペンタン、 n—へキサン、 n ヘプタン、 n オクタン等のアルカン類、ベンゼン 、トルエン、キシレン等の芳香族化合物などが例示できるがこれらに限られない。また 、これらの溶媒は 1種または 2種以上を組み合わせて用いることもできる。
[0055] 上記反応は空気中でも行われるが、使用する還元剤によっては窒素、アルゴン等 の不活性ガス中で行われる。本工程において、通常反応温度は— 100— 100でで あり、好ましくは— 78— 50 °Cである。
[0056] 接触水素還元を用いる場合、用いられる触媒としては、反応系が不均一系か均一 系かに関わらず公知の触媒を使用することができるが、触媒の除去が容易な点で不 均一系触媒が好ましい。したがって、通常パラジウム、ルテニウム、ロジウム、酸ィ匕白 金、銅、クロム等の金属または金属酸ィ匕物あるいはこれらを活性炭、アルミナ、ケイソ ゥ土等の担体に担持させたものが用いられる。例えば、パラジウム付活性炭、水酸ィ匕 パラジウム付活性炭、パラジウム付硫酸バリウム、パラジウム付炭酸カルシウム、パラ ジゥム付炭酸ストロンチウム、ノ《ラジウムブラック、ノ《ラジウム付シリカゲル、二酸化白 金、白金付活性炭、白金ブラック、ラネーニッケル、ルテニウム付活性炭、ロジウム付 活性炭、銅クロマイトなど公知のものが使用できる。その使用量は用いる触媒により 異なるが通常 3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルに対しての 0. 0001— 1モル0 /0好ましくは 0. 001—0. 1モル0 /0を用いる。
[0057] 接触水素還元を用いる場合、不活性な溶剤を溶媒として行ってもよ!ヽ。その様な溶 媒としてはアルコール類、エーテル類、カルボン酸類、エステル類、アミド類、水など が挙げられ、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジェチルエーテル、酢酸、酢 酸ェチル、ジメチルホルムアミドなどが例示できるがこれらに限られない。また、これら の溶媒は 1種または 2種以上を組み合わせて用いることもできる。
[0058] 水素の圧力は溶媒、触媒等の条件により異なり、常圧一 100気圧程度まで採用で きるが、好ましくは 1気圧以上用いる。また反応温度は通常- 10°C— 150°Cの範囲で 採用される。
[0059] 反応終了後、抽出、蒸留、再結晶等の通常の手段により、 3—ヒドロキシメチルー 5— トリフルォロメチルベンゾ-トリルを得ることができる。また、必要によりカラムクロマトグ ラフィーあるいは再結晶等により精製することもできる。
[0060] 次に、本発明の第 5工程について説明する。本工程は上述した 3-ヒドロキシメチル
—5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを臭素ィ匕剤によって臭素化し、 3-ブロモメチル ー5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを得る工程である。
[0061] 本工程で用いられる臭素化剤としては、例えば臭素 (Br )、臭化水素、四臭化チタ
2
ン、臭化亜鉛、三臭化リン、五臭化リン、 N-プロモスクシンイミド (NBS)、四臭化炭素 、 N—ブロモアセトアミド (NBA)、臭化チォ -ル、臭化トリメチルシリルなど公知のもの が使用できる。これらのうち、経済性と入手の容易さの点力も臭素 (Br )、臭化水素、
2
N—プロモスクシンイミド (NBS)が好ましぐ添加剤を別途必要としない臭化水素が特 に好ましい。
[0062] 臭化水素を用いる場合、ガスを用いても良いし、水や種々の溶剤に溶解しているも のを用いても良いが、取扱いの容易さと経済性の点力も水に溶解しているもの、すな わち臭化水素酸を用いるのが好ましい。臭化水素酸の濃度に特別な制限はないが、 10— 50%が好ましぐ入手の容易さ力も 45— 50%が特に好ましい。
[0063] 臭化水素酸の使用量は、溶存している臭化水素に換算して、 3—ヒドロキシメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリル 1モルに対し 1モル以上とするが、 1一 10モルで あり、好ましくは 1一 8モル、さらに好ましくは 1一 5モルである。 1モル以下の使用量は 3—ヒドロキシメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルの変換率が低下するので好 ましくない。また 10モル以上使用することもできる力 大量に使用するとシァノ基の加 水分解を生じ、選択率が低下することがあるため好ましくな 、。
[0064] 本工程では溶媒を用いても良い。そのような溶媒としては、アルコール類、エーテ ル類、カルボン酸類、エステル類、アミド類、水などを挙げることができる。これらの代 表例として、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジェチルエーテル、 酢酸、酢酸ェチル、ジメチルホルムアミド(DMF)などが例示できるがこれらに限られ ない。また、これらの溶媒は 1種または 2種以上を組み合わせて用いることもできる。
[0065] 本工程は 25— 150°C程度で行い、 50— 120°Cが好ましぐ 70— 110°Cがより好ま
しい。 150°Cより高い温度ではシァノ基の加水分解を生じ、選択率が低下することが あるため好ましくない。
[0066] 反応終了後、抽出、蒸留、再結晶等の通常の手段により、 3 プロモメチルー 5 トリ フルォロメチルベンゾ-トリルを得ることができる。また、必要によりカラムクロマトダラ フィーあるいは再結晶等により精製することもできる。
[0067] 上述の各工程に要する反応時間に特別な制限はないが、温度や、用いる触媒の 量等に依存して最適の反応時間は異なる。いずれの工程においても、ガスクロマトグ ラフィ一等、汎用の分析手段により、反応の進行状況を測定しつつ反応を実施し、原 料が十分消費されたことを確認した後、反応工程を終了することが好ましい。
[0068] 本発明で対象とする 3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリル誘導体 (新規 化合物である一般式 [2]で表される 1ーブロモー 3—ジノヽロゲノメチルー 5—トリフルォロメ チルベンゼンならびに 3—ブロモメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾニトリルを含む) は、医農薬の中間体として有用であるば力りでなぐそれ自身、溶剤として有用である
[0069] 以下に実施例をもって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様 に限られない。
実施例 1
[0070] 1—ブロモ—3—ジクロロメチルベンゾトリフルオリドの製造(第 1工程)
攪拌機、温度計保護管を備えた lOOmLステンレス製オートクレープ反応器に 13— ジクロロメチルベンゾトリフルオリド 60. Og (0. 262mol)、臭素 23. Og (0. 144mol、 0. 55当量)、無水塩化第二鉄 4. 25g (0. 0262mol、0. 1当量)を仕込み、室温で 塩素 5. Og (0. 14mol、0. 52当量)を導入した。オイルバスにて加熱し内温が 50°C になるまで昇温した。塩素は 2時間後に 5. 2g (0. 14mol、0. 54当量)追カ卩して、合 計 10. 2g (0. 28mol、 1. 06当量)とした。反応系内で発生する塩化水素は逐次パ ージし、反応圧を 0. 5-0. 8MPaに保った。反応温度を 45— 55°Cに保ったまま、 7 時間反応させたところで反応を終了した。
[0071] 反応終了後は反応器を冷却した後、内容物を取り出し、亜硫酸ナトリウム水溶液 (6 Oml)で洗浄し、 68gの有機物を回収した。この有機物を蒸留し目的とする 1 ブロモ
—3—ジクロロメチルベンゾトリフルオリド(沸点 74°CZ2mmHg: 270Pa)を 58g (収率 72%、純度 86%)得た。
[1ーブロモー 3—ジクロロメチルベンゾトリフルオリドの物性]
常温で無色透明液体。沸点 74°C/2mmHg (270Pa)。 ¾一 NMR (基準物質: TM S、溶媒: CDC1 ) σ (ppm) : 6. 68 (s, 1H) , 7. 76 (s, 1H) , 7. 80 (s, 1H) , 9. 93
3
(s, 1H)。 19F - NMR (基準物質: CC1 F、溶媒: CDC1 ) σ (ppm) :—63. 4 (s, 3F)
3 3 実施例 2
[0072] 1 ブロモ—3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゼンの製造(第 2工程)
温度計、滴下漏斗および還流冷却器を備えた 100ml三口フラスコに 1ーブロモー 3— ジクロロメチノレべンゾトリフノレオリド 46. lg (0. 150mol)、無水塩ィ匕第二鉄 486mg (0 . O03mol、 0. 02当量)を仕込み、攪拌しながら 100°Cまで昇温した。反応温度を 10 0°C以上で維持したまま、水 2. 97g (0. 165mol、 1. 1当量)を 1時間半かけて滴下 した。滴下終了後さらに 30分攪拌し、水を 40ml加えた。二層分離した水層を分液し ジイソプロピルエーテル 20mlで抽出した。有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾 燥した後、濾過、溶媒留去を行い、粗 1 プロモー 3 ホルミル 5—トリフルォロメチル ベンゼン 39. 2g (純度 86%)を得た。これを蒸留精製し、 目的とする 1—ブロモ—3-ホ ルミルー 5—トリフルォロメチルベンゼンを 33g (収率 88%、純度 89%)得た。
実施例 3
[0073] 3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルの製造(第 3工程)
温度計および還流冷却器を備えた 100ml三口フラスコに 1-ブロモ -3-ホルミル- 5 —トリフルォロメチルベンゼン 10. 0g (39. 5mmol)、 DMF (20ml)をカ卩え、攪拌して 均一にした後、シアン化銅(1) 3. 89g (43. 5mmol、 1. 1当量)をカ卩えた。その後ォ ィルバスにて加熱し内温が 150°Cになるまで昇温し、温度を維持しながら 6時間攪拌 した。反応液を冷却後、水 50mlと酢酸ェチル 50mlをカ卩えた後、濾過を行い抽出し た。有機層を水 50ml、飽和食塩水 50mlで順次洗浄した後、乾燥し、濾過、溶媒留 去を行い、粗 3—ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリル 7. 87g (純度 89%)を 得た。これをジイソプロピルエーテル中で再結晶することにより、 目的とする 3—ホルミ
ルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを 6. 7g (収率 85%、純度 99. 7%)得た。 実施例 4
[0074] 3—ヒドロキシメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルの製造(第 4工程)
温度計を備えた 50ml三口フラスコに 3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリ ル 3. 90g (19. 611111101)、1¾? (201111)をカ卩ぇ、攪拌しながら内温が5でになるまで 冷却した。次いで水素化ホウ素ナトリウム 0. 741g (19. 6mmol、 1. 0当量)を加えた 。その後室温で 2時間攪拌した。反応液に 2Mの塩酸 20mlを加えた後、 30分攪拌し た。二層分離した水層を分液し酢酸ェチル 10mlで抽出した。有機層を合わせて飽 和食塩水 10mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過、溶媒留去を行い、 目的とする 3—ヒドロキシメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルを 3. 91g (収率 9 9%、純度 98. 7%)得た。
実施例 5
[0075] 3—ブロモメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルの製造(第 5工程)
温度計および還流冷却器を備えた 50ml三口フラスコに 3-ヒドロキシメチル -5—トリ フルォロメチルベンゾ-トリル 3. 91g (19. 4mmol)、 47%臭ィ匕水素酸 10. 9g (63. 4mmol、 4当量)を加え、攪拌しながら 90°Cまで昇温した。反応温度を 90°C以上で 維持したまま 9時間攪拌し、その後冷却した。次いで水(20ml)を加えて攪拌後二層 分離し、水層をジイソプロピルエーテル 20mlで抽出した。有機層を合わせ、飽和炭 酸水素ナトリウム水溶液 20mlで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後 、濾過、溶媒留去を行い、粗 1 ブロモ—3 ホルミル 5—トリフルォロメチルベンゼン を 4. 40g (収率 86%、純度 91%)得た。この粗 1 ブロモ—3—ホルミル 5—トリフルォ ロメチルベンゼンをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、 1ーブロモー 3 ホルミル —5—トリフルォロメチルベンゼンを 4. Og (収率 78%、純度 99%)得た。
[3—ブロモメチルー 5—トリフルォロメチルベンゾ-トリルの物性]
淡黄色固体。融点 53. 5— 54. 5°C。 一 NMR (基準物質: TMS、溶媒: CDC1 ) σ
3
(ppm) :4. 50 (s, 2H) , 7. 85 (s, 1H) , 7. 87 (s,
2H) 0 19F - NMR (基準物質: CC1 Fゝ溶媒: CDC1 ) σ (ppm): - 63. 7 (s, 3F)。