JP4587036B2 - 車両用盗難防止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用盗難防止装置に関し、特に、オープンカー用の盗難防止装置に関する。
近年、車両内に侵入して金品等を盗んだり、車両ごと持ち去るなど、車両に関する犯罪は増加の一途をたどっている。
これに伴い各種の車両用盗難防止装置が開発され、その一つに、車室内に超音波を発信し、車室によって反射された反射超音波を受信し、反射超音波に変化があったときに車室に不審者が侵入したと判断して、侵入者の存在を外部の者に知らせるアラームを発する、所謂バーグラアラームシステムが知られている。アラームには、侵入者の存在を車両付近の第三者に知らせる警報音、侵入者の存在を車両所有者(使用者)に知らせる通報、または、これら両方など、種々のものが知られている。
このようなバーグラアラームシステムの一例が特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示されたバーグラアラームシステム(車両用侵入検出装置)は、ルーフが鉄製などの超音波を反射することができる材料で作られている車両を装着対象車とし、超音波送受信器、すなわち、モーションセンサは、フロントウインドシールドの上縁(フロントヘッダー)に、後方下向きに設置される。
特開2000−142324号公報
商品としての車の質感、或いは、見栄えを向上させるため、近年、モーションセンサを含むセンサ類等はトリムによって覆い隠すのが一般的であるところ、モーションセンサが特許文献1におけるように超音波式の場合には、トリムによって超音波が遮蔽されてしまう。そこで、トリムによって遮蔽されることのない電波を用いたモーションセンサを利用するバーグラアラームシステムも登場し始めている。
ところで、車のタイプの1つとしてルーフ(トップ)が開放されている、或いは、ルーフを選択的に開放することができるオープンカーがあり、更に、このオープンカーは、電波を反射しない布や革などで作られたソフトトップ(幌)を持つものと、電波を反射する金属製のハードトップを持つものとがある。
このソフトトップのオープンカーに、特許文献1に開示のバーグラアラームシステム(モーションセンサが発信する超音波は電波に置換されているものとする)をそのまま適用することは好ましくない。
モーションセンサをフロントヘッダーに、すなわち、ソフトトップ近くに設置すると、モーションセンサから発信された電波(直接波)が、電波発信中心方向から広がってソフトトップを透過し、車外の、車両上方を移動する移動物、例えば、鳥や、宙を舞ったゴミなどを誤検知し、その結果、この車外移動物を車室内への侵入者であると誤判断し、アラームを発してしまう恐れがあるからである。
この問題を解決するには、モーションセンサを車両室内下部に設け、その電波発信方向を斜め下方にすることが考えられる(電波発信方向を水平方向とするのは、発信された電波の最上方の直接波が電波透過性材料で形成されたルーフを透過してしまうので、好ましくない)。
しかし、斜め下方に発信された電波、特に、モーションセンサの電波発信中心方向の最も強い電波は、車室下方に位置する平面状の金属パネル(例えば、フロアパネルや、リヤコンソール)によって反射され、ルーフに向かう強い反射電波を生じさせ、やはり車両上方の移動物を誤検知してしまう。
かかる問題を解決する手段として、モーションセンサが発信する電波の強度自体を低下させたり、モーションセンサを上向き又は水平に設置し、直接上方に発信される電波を反射する反射板を設けることも考えられるけれども、車室内にモーションセンサが侵入検知できないエリアを作ってしまうことになり、盗難防止性能を低下させてしまう。
また、上述した問題は、電波透過性材料で作られたトップを持つキャンバストップ車、コンバーチブル車、或いはまた、電波を透過しやすいガラスによってトップの一部が構成されているサンルーフ車、グラスルーフ車など、オープンカー以外の車両においても同様に発生する。
従って、本発明は、上述した問題を解決するために発明されたものであって、ルーフに電波を透過する材料が使用されている車両用の、ルーフ上方の移動物を誤検知することを低減する盗難防止装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明による、電波透過性材料で作られたルーフを持つ車両用の盗難防止装置は、電波を発信し、車両室内で反射された反射波を受信するモーションセンサと、盗難防止アラーム装置と、前記モーションセンサが受信した反射波に所定の変化が生じたときに前記アラーム装置に対して盗難防止制御を行う盗難防止制御装置とを有し、前記モーションセンサは、前記車両室内の下部に配置され、このモーションセンサから水平面に対して斜め下向きに発信した電波が、車両下部に設けられた水平な金属パネルに向けられるようになっており、前記車両室内の下部に配置され、前記モーションセンサから水平面に対して斜め下向きに発信された電波の少なくとも一部を前記ルーフとは異なる方向に反射させる電波反射部材を有する、ことを特徴とする。
上記構成による本発明の車両盗難防止装置では、電波発信方向が水平面に対して下向きになるようにモーションセンサが車両室内の下部に配置されているので、モーションセンサからの電波発信中心方向の最も強い電波が、直接、電波透過性材料で作られたルーフに向かうのを回避することができ、これにより、ルーフ上方の移動物に対する誤検知を低減することができる。また、ルーフに向かう直接波を遮蔽する反射板を設けないで済むので、侵入検知できないエリアが作られてしまうのを回避することができると共に、反射部材によって反射された電波がモーションセンサの直接波が届かない室内エリアに達し、検知エリアを拡大することができる。
本発明では、前記電波反射部材が、上方に突出した湾曲した面を備えるのが好ましい。
電波反射部材が、上方に突出した湾曲した面を備えるときには、湾曲面によって、強い電波を分散してルーフ以外の室内エリアに満遍なく発信することができ、そのエリアの検知精度を向上させることができる。
また、本発明では、前記電波発信方向と対向して発信されるサイドローブを遮蔽するための遮蔽プレートと前記電波反射部材とが夫々、車両室内に固定されているのが好ましい。
前記電波発信方向と対向して発信されるサイドローブを遮蔽するための遮蔽プレートと前記電波反射部材とが互いに固定されているときには、車両盗難防止装置の車両への取り付けが容易となる。
更にまた、本発明では、前記モーションセンサから発信された電波の電波発信中心方向の電波を反射する前記電波反射部材の部分の曲率が、他の部分における曲率よりも大きいのが好ましい。
電波発信中心方向の電波を反射する電波反射部材の部分の曲率が他の部分における曲率よりも大きいときには、電波発信中心方向という最も強い強度の電波が大きな曲率の湾曲面で最も大きく拡散され、電波の強度を低下させることができ、これにより、ルーフ上方の移動物に対する誤検知を低減することができる。
本発明によれば、ルーフに電波を透過する材料が使用されている車両用の、ルーフ上方の移動物を誤検知することを低減する盗難防止装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。この実施形態は、本発明を、ソフトトップSTを備えたオープンカー用の盗難防止装置に適用したものである。
図1乃至図4を参照すると、本発明の一実施形態による盗難防止装置が全体的に参照番号1で示されている。
この盗難防止装置1は、電波を発信し、車室内で反射された反射波を受信するモーションセンサ2と、モーションセンサ2に接続され、盗難防止制御を行う制御装置(図示せず)とを有する。
盗難防止装置1は、車両に対する特定の操作、例えば、車両ドアのロック装置の施錠、解錠に連動させて作動、不作動が切り替えられ、作動中、すなわち、車両盗難警戒状態にあるときにのみ、モーションセンサ2による電波の送受信を行うようになっている。盗難防止装置1の作動中のモーションセンサ2による電波の送受信は、連続的であっても良いし、断続的であっても良い。
図1及び図2で良くわかるように、車両10の運転席(位置)と助手席11(位置)との間にセンタートンネル12が延び、このセンタートンネル12は頂部に金属プレートからなるウェブプレート部分12Aを有する。モーションセンサ2は、このウェブプレート部分12Aの後部に、エンドパネル13に隣接して、配置される。すなわち、モーションセンサ2は、フロントウインドシールド14とエンドパネル13との間、及び、フロントウインドシールド14を保持するAピラー(図示せず)の上縁とフロアパネル15との間に構成される車室における後部、且つ、下部に配置される。モーションセンサ2を車室後部に配置することによって電波が車室の多くのエリアをカバーすることができ、モーションセンサ2を車室下部に配置することによって発信直後の強い電波がソフトトップSTに達するのを防止することができる。
尚、本願における「前」、「後」、「左」、「右」の用語は、特別の説明なしに用いられるときは、車両の進行方向における車両の長手方向軸線に対する前後左右を意味する。
図3及び図4は、モーションセンサ2と、このモーションセンサ2をセンタートンネル12に取り付けるための取付ブラケット3と、取付ブラケット3に取り付けられ、モーションセンサ2から発信された電波を反射するための電波反射制御部材20とを示す。
取付ブラケット3は、車両10の前後方向に延びる一対の脚部3Aと、これらの脚部3Aの後部同士を連結する連結部3Bとを備える。各脚部3A、連結部3Bには取付穴(図示せず)が形成され、センタートンネル12への取付ブラケット3の取付けは、取付ブラケット3のこれらの取付穴をセンタートンネル12の(金属パネルからなる)ウェブプレート部分12Aに形成された取付穴(図示せず)と夫々整合させ、整合された夫々の取付穴にボルト(図示せず)を通し、このボルトにナット(図示せず)を螺合し、取付ブラケット3の脚部3Aとウェブプレート部分12Aとを締め付けることによって行われる。
センタートンネル12への取付ブラケット3の取付けは、接着剤を用いて行っても良いし、溶接によって行っても良い。以下の説明では、説明の簡略化の目的で、2つの要素を互いに連結する場合に、ボルト、ナット、或いは、ビス等の締結手段を用いた締結や、溶接や接着剤などを用いた固定のいずれの手段をも用いることができる場合には、単に「取り付ける」と称する。
取付ブラケット3は連結部3Bから上方に延びる取付部3Cを備え、モーションセンサ2は、その下部取付部2Aを取付部3Cに取り付けることによって、取付ブラケット3に取り付けられる。
モーションセンサ2それ自体は既存の構造のものであり、従って、その構造、作動についての説明は省略する。
モーションセンサ2は水平線に対して下向きに配置される。これにより、モーションセンサ2からの電波発信中心方向の最も強い電波(直接波)がソフトトップSTに向かうのを回避することができる。電波発信中心方向の電波と比較して外側領域の電波は弱いけれども、使用される電波の大きさによっては外側領域の電波といえどもソフトトップSTを透過してしまう恐れがある。従って、モーションセンサ2は、直接波が車両10のAピラー(図示せず)の上縁よりも後方(ソフトトップST)に向かわない角度で、水平線に対して下向きに配置されるのが好ましい。
モーションセンサ2の背面には、モーションセンサ2の前方電波発信面に対向して、電波を遮蔽するための後方遮蔽プレート4が取り付けられ、これにより、モーションセンサ2の後方への電波(サイドローブ)が遮蔽される。
モーションセンサ2は、電気ケーブル5及びコネクタ6を介して、盗難防止制御装置(図示せず)に接続され、盗難防止制御装置(図示せず)は、警告音発生装置(サイレン)等の各種アラーム装置(図示せず)と有線、又は、無線で接続される。盗難防止制御装置(図示せず)は、モーションセンサ2が受信した反射波に所定の変化が生じたときに、各種アラーム装置(図示せず)に対して盗難防止制御を行う。盗難防止制御は、「背景技術」の項で述べた各種アラームの制御を意味する。
取付ブラケット3にはまた、モーションセンサ2から発信された電波を反射するための電波反射制御部材20が取り付けられる。電波反射制御部材20は任意の金属、例えば、鉄で作ることができる。
電波反射制御部材20は、取付ブラケット3の各脚部3Aに取り付けられる一対の取付脚部20Aと、これらの取付脚部20A間に延びる上方突出湾曲面部材20Bとを有する。上方突出湾曲面部材20Bの湾曲面形状は、ソフトトップSTに向かう電波(反射波)の強度(強さ)を低下させると共に、直接波が届かない室内エリアに向けて反射させるように、決定される。これにより、ソフトトップSTを透過する反射波をなくす乃至低減し、誤検知を低減することができ、また、検知エリアを拡大することができる。
モーションセンサ2の上方突出湾曲面部材20Bの曲率は脚部3A間に亘って一定であっても良いが、本実施形態では、電波発信中心方向の電波を反射する上方突出湾曲面部材20Bの主反射部分(中央部)における曲率を、上方突出湾曲面部材20Bの他の部分(側方部)における曲率よりも大きくし、これにより、ソフトトップSTに向かう反射波の単位面積あたりの電波の量を拡散させ、電波の強度をより低下させている。すなわち、モーションセンサ2から発信される電波の大きさを変えられない場合であっても、上方突出湾曲面部材20Bの主反射部分の曲率を設計変更することによってソフトトップSTに向かう反射波の強度を調節することができる。計算により、或いは、実験結果に基づき、ソフトトップSTに向かう反射波がソフトトップST直前で消失するように、上方突出湾曲面部材20Bの主反射部分における曲率を決定するのが好ましい。
センタートンネル12のウェブプレート部分12Aに取り付けられたモーションセンサ2、取付ブラケット3及び電波反射制御部材20は、トリム、すなわち、表面装飾部材(図示せず)によって覆われる。この表面装飾部材(図示せず)を利用して、上方突出湾曲面部材20BによってソフトトップSTに向けて反射された反射波を減衰しても良い。
以下、上述した構成の盗難防止装置1の作動を説明する。
例えば車両ドアのロック装置が施錠されることによって盗難防止装置1が作動され、車両盗難警戒状態に入る。盗難防止装置1が車両盗難警戒状態に入ると、モーションセンサ2が電波を連続的(或いは、断続的)に発信する。
モーションセンサ2が発信した電波の一部は、電波反射制御部材20の上方突出湾曲面部材20Bによって反射される。電波反射制御部材20の上方突出湾曲面部材20Bの主反射部分(中央部)によって反射された電波は、上方突出湾曲面部材20Bの他の部分(側方部)によって反射された電波よりも大きく減衰されてソフトトップSTに向けられ、これにより、ソフトトップSTを透過してしまう反射波がなくされ乃至低減され、誤検知が低減される。一方、上方突出湾曲面部材20Bの側方部によって反射された電波は、モーションセンサ2の直接波が届かない室内エリアに達し、検知エリアを拡大する。
モーションセンサ2が発信した電波の一部は、電波反射制御部材20によって反射されることなく室内に広がる。
モーションセンサ2が発信した電波は再びモーションセンサ2によって受信され、受信結果は盗難防止制御装置(図示せず)に送信される。モーションセンサ2が受信した反射波に所定の変化が生じたときには、盗難防止制御装置(図示せず)は車内に不審者が侵入したと判断し、各種アラーム装置(図示せず)に対して盗難防止制御を行い、各種アラーム装置(図示せず)は、例えば、侵入者の存在を車両付近の第三者に知らせる警報音を発し、侵入者の存在を車両所有者(使用者)に知らせる通報を行う。
本発明は、上述した実施形態に限定されることなく以下のような種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態の車両盗難防止装置では、モーションセンサ2は、車室下部に位置する、金属プレートのウェブプレート部分12Aの上方近傍に取り付けられたけれども、同じく車室下部に位置し、金属プレートからなるフロアパネル15の上方近傍に取り付けても良い。
また、上記実施形態の車両盗難防止装置では、電波反射制御部材20を車両の一部とは別個の部品によって構成したけれども、車両の一部、例えば、センタートンネル12のウェブプレート部分12Aの一部を上方に突出した、全体的に湾曲した面に形成することによって構成しても良い。
上述した実施形態では、ソフトトップを備えたオープンカー用の車両盗難防止装置として本発明を説明したけれども、本発明の車両盗難防止装置は、オープンカー以外の車両、例えば、電波透過性材料で作られたトップを持つキャンバストップ車、コンバーチブル車、或いはまた、電波を透過しやすいガラスによってトップの一部が構成されているサンルーフ車、グラスルーフ車にも有用である。
本発明の一実施形態による車両用盗難防止装置を車両に取り付けた状態を示す概略図である。 図1の車両用盗難防止装置の車両取付位置を示す、車両の部分概略斜視図である。 図1の車両用盗難防止装置のモーションセンサ、電波減衰反射部材及び取付ブラケットを示す左側面図である。 図1の車両用盗難防止装置のモーションセンサ、電波減衰反射部材及び取付ブラケットの正面右側斜視図である。
符号の説明
ST ソフトトップ(電波透過性材料で作られたルーフ)
1 オープンカー用の盗難防止装置(盗難防止装置)
2 モーションセンサ
10 車両
20 電波反射制御部材(電波反射部材)

Claims (4)

  1. 電波透過性材料で作られたルーフを持つ車両用の盗難防止装置であって、
    電波を発信し、車両室内で反射された反射波を受信するモーションセンサと、盗難防止アラーム装置と、前記モーションセンサが受信した反射波に所定の変化が生じたときに前記アラーム装置に対して盗難防止制御を行う盗難防止制御装置とを有し、
    前記モーションセンサは、前記車両室内の下部に配置され、このモーションセンサから水平面に対して斜め下向きに発信した電波が、車両下部に設けられた水平な金属パネルに向けられるようになっており、
    前記車両室内の下部に配置され、前記モーションセンサから水平面に対して斜め下向きに発信された電波の少なくとも一部を前記ルーフとは異なる方向に反射させる電波反射部材を有する、
    盗難防止装置。
  2. 前記電波反射部材が、上方に突出する湾曲した面を備える、請求項1記載の盗難防止装置。
  3. 前記電波発信方向と対向して発信されるサイドローブを遮蔽するための遮蔽プレートと前記電波反射部材とが夫々、車両室内に固定されている、請求項1又は請求項2記載の盗難防止装置。
  4. 前記モーションセンサから発信された電波の電波発信中心方向の電波を反射する前記電波反射部材の部分の曲率が、他の部分における曲率よりも大きい、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の盗難防止装置。
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