JP4585741B2 - 鋳造体引抜機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心鋳造用の鋳型により製造された鋳造体を金型から引き抜く鋳造体引抜機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
円筒状の鋳型をその軸線を中心に高速回転させ、注入した溶融金属を遠心力で前記鋳型内壁面に張り付かせることで中空状の鋳造品を製造する遠心鋳造装置が知られている。この遠心鋳造装置は、製造された中空状の鋳造品を前記鋳型から引き抜く機構を備えている。
【0003】
従来の引抜機構(特許文献1)では、図9に示すように、アーム1の先端に開閉可能なチャック2を備え、前記チャック2は、アーム1の先端部に連結ピン3を介して揺動可能に装着された爪取付部材4と、爪取付部材4の先端部にボルト6等で着脱(交換)自在に取り付けられたチャック爪5と、アーム1内を軸方向(矢印X1およびX2方向)に移動可能に配設され、チャック爪5を開閉可能とするための心棒6とから構成される。チャック爪5の先端部外周面には鋳造品7の内周面7aの曲率に対応した円弧面5aあるいは図示しない他の鋳造品の内周面の曲率に対応した円弧面5bが形成され、円弧面5a、5bの各両端部には溝部と突起部とから構成される複数の凹凸部5cが形成されている。
【0004】
上記した従来技術の機構において、例えば、アーム1を矢印X2方向に移動することでチャック爪5を鋳造品7の内部に挿入する。次いで、モータ、シリンダ等の図示しない駆動源の駆動作用下に心棒6を矢印X1方向に移動させてチャック爪5を開状態とすることで、鋳造品7の内周面7aにチャック爪5の円弧面5aおよび凹凸部5cを押し当てて鋳造品7をクランプする。この状態で、前記駆動源の駆動作用下にアーム1を矢印X1方向に移動させて鋳造品7を中空金型8から引き抜く。この場合、前記凹凸部5cが内周面7aに食い込むことで、チャック2と鋳造品7との滑りが防止され、従って、中空金型8から鋳造品7を引き抜くことが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−122866号公報(段落[0011]〜[0014]、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、稀に前記鋳造品7と中空金型8とが強固に密着していることがある。このような場合、アーム1を軸方向(矢印X1およびX2方向)に駆動する駆動源やチャック2等に過大の負荷がかかり、中空金型8から鋳造品7を引き抜くことができない場合があったり、あるいはチャック2を構成する部品が故障または劣化する等の問題が発生するに至る。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、鋳型から鋳造体を容易且つ確実に引き抜くことが可能な鋳造体引抜機構を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明は、遠心鋳造用の鋳型により製造された鋳造体の内周面に当接して前記鋳造体を把持する把持機構と、前記把持機構を前記鋳造体の内部に挿脱する挿脱機構とを具備する鋳造体引抜機構であって、
前記挿脱機構から延在して前記把持機構に連結される筒部材と、
可動台を介して前記挿脱機構に固定され且つ前記筒部材を囲繞するとともに、前記鋳型の前記把持機構の挿入側端部を直接押圧する押圧機構と、
をさらに備え、
前記押圧機構は、前記把持機構が前記挿脱機構により前記鋳造体内に挿入されて該鋳造体の内周面を把持した後、前記鋳型の前記把持機構が挿入される挿入側端部を押圧する複数個の押圧手段を有し、
前記複数個の押圧手段は、前記把持機構を対称中心として配置され、それぞれが前記挿入側端部に同時に当接することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、把持機構が鋳造体の内周面を把持した状態で、押圧機構を構成する押圧手段が鋳型の把持機構が挿入される挿入側端部を押圧し鋳型から鋳造体を一旦引き抜いた後、挿脱機構が鋳造体を鋳型から引き抜くので、鋳型と鋳造体とが強固に密着している場合であっても、鋳造体を鋳型から容易且つ確実に引き抜くことが可能となる。
【0010】
また、上述したように、押圧機構と挿脱機構とを組み合わせて用いることで、各機構に付与される負荷が分散されるため、部品の故障あるいは劣化を好適に防止することが可能となる。
【0011】
なお、前記複数個の押圧手段は、例えば、保持部材に保持され、且つ前記押圧機構を構成する駆動源の作用下に前記筒部材に対して前記保持部材とともに進退動作するピン部材で構成するようにしてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る鋳造体引抜機構について、好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の鋳造体引抜機構10を含む遠心鋳造装置11の概略平面図である。遠心鋳造装置11は、鋳造体引抜機構10と、鋳型回転機構12と、清掃機構14と、塗型塗布機構16と、前記鋳造体引抜機構10、清掃機構14および塗型塗布機構16を鋳型回転機構12の軸方向(矢印A方向)に交差する矢印B方向に一体的に移動させるユニット駆動機構18と、注湯機構20とを備える。
【0014】
鋳型回転機構12は、矢印A方向に長尺な中空形状の遠心鋳造用鋳型30を備える。前記鋳型30は、回転駆動源34に連結された回転部36と支持部38とにより両端縁部を支持されて回転可能である。
【0015】
ユニット駆動機構18はフレーム40を備え、このフレーム40上には、前述した鋳造体引抜機構10、清掃機構14および塗型塗布機構16を一体的に載置するユニットテーブル42が配設される。
【0016】
前記ユニットテーブル42の底面中央部には、図2に示すように、モータ44が回転軸を下方に向けた状態で取り付けられ、その回転軸にはピニオン46が取着される。一方、フレーム40の上面中央部には、ピニオン46に噛合するラック48が矢印B方向に延在して設けられる。
【0017】
また、フレーム40の上面の矢印A方向両端部には、第1レール50および第2レール52が矢印B方向に延在して平行に設けられる。これに対応して、ユニットテーブル42の底面には、第1レール50と係合する第1ローラ54と、第2レール52と係合する第2ローラ56とが設けられる。
【0018】
なお、ユニット駆動機構18は、上記の構成に限定されることはなく、例えば、ボールねじ構造等で構成してもよい。
【0019】
鋳造体引抜機構10は、図1〜図3に示すように、円筒鋳造体60の内周面62に当接して円筒鋳造体60を把持する把持機構64と、前記把持機構64を円筒鋳造体60内部に挿脱させる挿脱機構66と、鋳型30の端部32を矢印A2方向に押圧する押圧機構68とを第1可動台70上に配置して構成される。
【0020】
前記挿脱機構66は、図1および図2に示すように、第1可動台70の上面の所定部位に配設されたモータ72を有する。前記モータ72の回転駆動軸は、減速機74の原動軸に連結され、減速機74の従動軸にはピニオン76が軸着されるとともに、ユニットテーブル42には、矢印A方向に延在して、前記ピニオン76に噛合するラック部材80が設けられる。
【0021】
さらに、前記モータ72の近傍にはシリンダ82が配設され、該シリンダ82の矢印A2方向側には、円筒部材84が矢印A2方向に延在して設けられる。前記円筒部材84の直径は、鋳型回転機構12内で鋳造された円筒鋳造体60内に挿入可能な寸法に設定されている。前記円筒部材84内には、シリンダ82の駆動ロッド86が矢印A方向に進退自在に収容される。
【0022】
把持機構64は、図3に示すように、円筒部材84の矢印A方向側に配設されるものであって、心棒100と、揺動部102と、爪部材104と、これらを収容する筐体105とから基本的に構成される。
【0023】
筐体105は、円筒部材84の矢印A2方向端部に取り付けられ、その形状および寸法は円筒部材84と略同等である。この場合、中空状の筐体105内には、円筒部材84と同様に、駆動ロッド86が矢印A方向に進退自在に収容される。
【0024】
心棒100は、駆動ロッド86の矢印A2方向側端部に連結される。心棒100の矢印A1方向端部には矢印A2方向から徐々に肉厚となるテーパ部を有する第1テーパ部106が形成され、心棒100の矢印A2方向端部には矢印A1方向から徐々に肉厚となるテーパ部を有する第2テーパ部108が形成される。
【0025】
揺動部102は、筐体105に形成された回転軸110を支点として回転自在に取り付けられ、この揺動部102の一部は、筐体105に形成された開口部112から筐体105の外部に露出する。前記揺動部102の心棒100と相対する側の一方には、第1テーパ部106と当接する第1当接部120が形成され、揺動部102の心棒100と相対する側の他方には、第2テーパ部108と当接する第2当接部122が形成される。
【0026】
円筒鋳造体60の内周面62に当接する爪部材104は、揺動部102と別体で構成され、揺動部102における筐体105の外部に露出する部位にボルト124等で着脱自在に取り付けられる。
【0027】
爪部材104は、図4に示すように、母材130の隅角部132にステライト等の耐摩耗性合金134を溶着して構成される。この場合、耐摩耗性合金134は、母材130の隅角部132に肉盛りされた後、該耐摩耗性合金134の先端部は、研削装置等によって鋭利な状態に加工されて刃部136を形成する。
【0028】
前記爪部材104を備える揺動部102は、図5に示すように、筐体105の軸線L1を中心とし、略120°間隔で3箇所に配設されている。なお、爪部材104を備える揺動部102の数は、上記の数に限定されることはなく任意な数に設定することが可能である。
【0029】
押圧機構68は、図6に示すように、把持機構64と挿脱機構66との間に配設される。前記押圧機構68は、シリンダ150a、150bを有し、該シリンダ150a、150bの底部は、第1可動台70の上面の所定部位に立設された板部材152の側面に固定されている。前記シリンダ150a、150bの駆動ロッド154a、154bの先端部には、鋳型30の端部32に当接するピン部材156a、156bを保持する保持部材158が固着される。保持部材158の中央部には、円筒部材84の直径より大なる直径を有する貫通孔160が形成され、該貫通孔160には円筒部材84が挿入される。すなわち、ピン部材156a、156bは、保持部材158を介してシリンダ150a、150bの駆動作用下に円筒部材84に対して矢印A方向において進退自在である。
【0030】
清掃機構14は、図1に示すように、アクチュエータ、例えば、ロッドレスシリンダ170を介して矢印A方向に進退可能な第2可動台172を備える。
【0031】
第2可動台172上には、駆動軸174を矢印A2方向に向けた状態で回転駆動源176が設けられる。駆動軸174には、ブラシ178が連結される。ブラシ178は、矢印A方向に長尺に設定されており、回転駆動源176側の端部が図示しないベアリングを内装した支持部180に回転自在に支持されている。
【0032】
塗型塗布機構16は、図1に示すように、モータ190に連結されたボールねじ構造192を介して矢印A方向に進退可能な第3可動台194を備え、この第3可動台194上には、矢印A方向に長尺でかつ小径なノズル部材196が設けられる。このノズル部材196の外周部には、所定の位置にかつ所定間隔離間して複数の噴射口198が形成されている。
【0033】
注湯機構20は、矢印A方向に交差(直交)する矢印B方向に進退可能な第4可動台200を備え、この第4可動台200は、駆動機構202を介して矢印B方向に進退自在である。駆動機構202は、例えば、第4可動台200に固着されるモータ204を備え、このモータ204に軸着されるピニオン206が、矢印B方向に延在するラック208に噛合する。なお、上記のラック・ピニオン構造に代えて、ボールねじ構造等を採用してもよい。
【0034】
第4可動台200には、矢印A方向に延在して互いに平行なレール210a、210bが設けられ、前記レール210a、210bにスライドベース212が進退自在に配置される。このスライドベース212には、鋳型回転機構12に注湯するためのトラフ214が設けられ、このトラフ214は注湯位置に対応してその高さが設定されている。前記第4可動台200の矢印B方向への移動範囲内には、トラフ214に供給された溶湯を排出させるための捨て湯用収容器216が配設されている。
【0035】
本発明の実施形態に係る鋳造体引抜機構10は、基本的には、以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0036】
まず、注湯機構20に溶湯が所定量供給されると、注湯機構20を構成するスライドベース212が矢印A1方向に移動し、トラフ214が鋳型30に対応して配置される。次に、回転駆動源34が駆動されて、回転部36および支持部38を介して鋳型30が回転する。そして、前記トラフ214から鋳型30に注湯が行われた後、スライドベース212が矢印A2方向に退避する。鋳型30内で遠心力により溶湯が鋳型内壁に張り付き、該溶湯が凝固して円筒鋳造体60が得られる。
【0037】
次いで、モータ44の駆動作用下にピニオン46およびラック48を介してユニットテーブル42が矢印B1方向に移動する。そして、鋳造体引抜機構10が鋳型30に対応する位置に至ると、ユニットテーブル42は移動を停止する。一方、鋳型回転機構12における回転駆動源34の駆動が停止されて鋳型30の回転が停止する。
【0038】
この状態で、シリンダ82を駆動し、駆動ロッド86を矢印A1方向に移動させる。この移動に伴い駆動ロッド86の先端部に連結された心棒100も矢印A1方向に移動し、第1テーパ部106が第1当接部120と心棒100の間から徐々にすり抜ける一方、第2テーパ部108が第2当接部122と心棒100の間に徐々に進入する。駆動ロッド86が矢印A1方向にさらに移動すると、第1当接部120と心棒100とが接近するとともに、第2当接部122の端部が第2テーパ部108の頂部に至る。すなわち、揺動部102の爪部材104と円筒鋳造体60の内周面62とが最も離間する位置となり(図7の状態)、円筒鋳造体60には接触していない。
【0039】
次いで、鋳造体引抜機構10のモータ72の駆動作用下にピニオン76およびラック部材80を介して第1可動台70が矢印A2方向に移動する。これによって、第1可動台70に配設される円筒部材84が第1可動台70と連動して矢印A2方向に移動する。前記円筒部材84は、円筒鋳造体60内に挿入されて矢印A2方向にさらに移動し、押圧機構68を構成するピン部材156a、156bの先端部が鋳型30の端部32に当接するとその位置で停止する(図6の状態)。ここで、モータ72をオフ(非励磁)状態とし、第1可動台70を無負荷状態とする。
【0040】
この状態で、シリンダ82を駆動し、駆動ロッド86を矢印A2方向に移動させると、この移動に伴い駆動ロッド86の先端部に連結された心棒100も矢印A2方向に移動する。この心棒100の移動に伴って、第2テーパ部108が第2当接部122と心棒100の間から徐々にすり抜ける一方、第1テーパ部106が第1当接部120と心棒100の間に徐々に進入する。駆動ロッド86が矢印A2方向にさらに移動すると、第2当接部122と心棒100とが接近するとともに、第1当接部120の端部が第1テーパ部106の頂部に至る。すなわち、爪部材104が円筒鋳造体60の内周面62に当接して円筒鋳造体60が把持される(図3の状態)。すなわち、爪部材104の隅角部132に溶着された耐摩耗性合金134は刃部136を形成しているので、該刃部136が内周面62に食い込むため、把持機構64は円筒鋳造体60を確実に把持することができる。
【0041】
さらに、シリンダ150a、150bを駆動し、ピン部材156a、156bで鋳型30の端部32を押圧する。この場合、鋳型30は鋳型回転機構12に固定されて矢印A方向に移動しない。しかも、前述したように、モータ72がオフ状態とされ第1可動台70が無負荷状態である一方、把持機構64によって円筒鋳造体60が把持されている。従って、ピン部材156a、156bが鋳型30の端部32を押圧すると、把持機構64、挿脱機構66および押圧機構68が第1可動台70と一体的に矢印A1方向に移動する。その際、円筒鋳造体60は把持機構64によって把持されているので、円筒鋳造体60は位置が固定されている鋳型30から矢印A1方向に、最大でシリンダ150a、150bのストローク分だけ引き抜かれる(図8の状態)。
【0042】
さらに、把持機構64が円筒鋳造体60を把持した状態でモータ72を駆動し、第1可動台70を矢印A1方向に移動させ、円筒鋳造体60を鋳型30から完全に引き抜く。このようにして、鋳型30から円筒鋳造体60が引き抜かれた後、ユニット駆動機構18の駆動作用下に、ユニットテーブル42が矢印B1方向に移動して、清掃機構14が鋳型30に対応して配置される。
【0043】
清掃機構14では、図1に示すように、ロッドレスシリンダ170の作用下に第2可動台172が矢印A2方向に移動してブラシ178が鋳型30内に進入するとともに、回転駆動源176の駆動作用下にブラシ178が回転駆動される。
これにより、鋳型30の内面の清掃作業が行われる。
【0044】
清掃作業が終了した後に、ブラシ178が矢印A1方向に移動して鋳型30から離脱し、鋳型30に図示しないキャップが取り付けられる。さらに、鋳型30が冷却されるとともに、塗型塗布機構16が駆動される。
【0045】
塗型塗布機構16は、図1に示すように、ユニットテーブル42が矢印B1方向に移動することにより、鋳型30に対応して配置された後、モータ190が駆動されてノズル部材196が鋳型30内に挿入される。ノズル部材196の外周には、複数の噴射口198が設けられており、噴射口198から鋳型30の内面側に向かって塗型(図示せず)が塗布される。そして、ノズル部材196が鋳型30内から離脱するとともに、鋳型30が乾燥処理される。なお、上記の乾燥処理は、鋳型30を回転駆動させることによって行われる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態の鋳造体引抜機構10は、把持機構64が円筒鋳造体60の内周面62を把持した状態で押圧機構68が鋳型30の端部32を押圧し、鋳型30から円筒鋳造体60を一旦引き抜いた後、挿脱機構66が円筒鋳造体60を鋳型30から引き抜くので、鋳型30と円筒鋳造体60とが強固に密着している場合であっても、円筒鋳造体60を鋳型30から容易且つ確実に引き抜くことが可能となる。
【0047】
また、上述したように、押圧機構68と挿脱機構66とを組み合わせて用いることで、各機構68、66に付与される負荷が分散されるため、部品の故障あるいは劣化を好適に防止することが可能となる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、把持機構が鋳造体の内周面を把持した状態で押圧機構が鋳型の把持機構の挿入側端部を押圧し、鋳型から鋳造体を一旦引き抜いた後、挿脱機構が鋳造体を鋳型から引き抜くので、鋳型と鋳造体とが強固に密着している場合であっても、鋳造体を鋳型から容易且つ確実に引き抜くことが可能となる。
【0049】
また、上述したように、押圧機構と挿脱機構とを組み合わせて用いることで、各機構に付与される負荷が分散されるため、部品の故障あるいは劣化を好適に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の鋳造体引抜機構を含む遠心鋳造装置の概略平面図である。
【図2】図1に示す鋳造体引抜機構のII−II線概略要部縦断面図である。
【図3】図1に示す鋳造体引抜機構を構成する把持機構の一部縦断平面図である。
【図4】図3に示す把持機構を構成する爪部材の斜視説明図である。
【図5】図3に示す把持機構の概略正面図である。
【図6】図1に示す鋳造体引抜機構を構成する押圧機構の一部縦断平面図である。
【図7】図3に示す把持機構の動作を説明する一部縦断平面図である。
【図8】図6に示す押圧機構の動作を説明する一部縦断平面図である。
【図9】従来技術に係る引抜装置のチャック部分の要部断面図である。
【符号の説明】
10…鋳造体引抜機構 11…遠心鋳造装置
12…鋳型回転機構 18…ユニット駆動機構
30…鋳型 32…端部
60…円筒鋳造体 62…内周面
64…把持機構 66…挿脱機構
68…押圧機構 70…第1可動台
72…モータ 76…ピニオン
80…ラック部材 82、150a、150b…シリンダ
84…円筒部材 100…心棒
102…揺動部 104…爪部材
124…ボルト 130…母材
134…耐摩耗性合金 156a、156b…ピン部材

Claims (2)

  1. 遠心鋳造用の鋳型により製造された鋳造体の内周面に当接して前記鋳造体を把持する把持機構と、前記把持機構を前記鋳造体の内部に挿脱する挿脱機構とを具備する鋳造体引抜機構であって、
    前記挿脱機構から延在して前記把持機構に連結される筒部材と、
    可動台を介して前記挿脱機構に固定され且つ前記筒部材を囲繞するとともに、前記鋳型の前記把持機構の挿入側端部を直接押圧する押圧機構と、
    をさらに備え、
    前記押圧機構は、前記把持機構が前記挿脱機構により前記鋳造体内に挿入されて該鋳造体の内周面を把持した後、前記鋳型の前記把持機構が挿入される挿入側端部を押圧する複数個の押圧手段を有し、
    前記複数個の押圧手段は、前記把持機構を対称中心として配置され、それぞれが前記挿入側端部に同時に当接することを特徴とする鋳造体引抜機構。
  2. 請求項1記載の鋳造体引抜機構において、
    前記複数個の押圧手段は、保持部材に保持され、且つ前記押圧機構を構成する駆動源の作用下に前記筒部材に対して前記保持部材とともに進退動作するピン部材を備えることを特徴とする鋳造体引抜機構。
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