JP4585093B2 - 流出筒を備えた容器蓋 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体を収容した容器の口頸部に適用される容器蓋、更に詳しくは、容器内の液体を流出せしめるための流出筒を備えた容器蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料の如き液体を収容した容器の口頸部に適用される容器蓋として、実開昭60−96254号公報及び実開昭60−96255号公報には、容器の口頸部に装着される蓋本体及びこの蓋本体に装着された流出筒を具備した容器蓋が開示されている。蓋本体は円形主壁とこの主壁の周縁から垂下する円筒状スカート壁を有し、スカート壁が容器の口頸部の外周面に被嵌され、主壁が口頸部の頂面を覆う。主壁には流出孔が形成されている。流出筒は起立せしめられた流出位置と倒伏せしめられた閉鎖位置との間を旋回自在に蓋本体の主壁の上面に装着されている。流出筒には貫通流出路が規定されており、流出筒が流出位置に起立せしめられると、流出筒の貫通流出路が蓋本体の主壁における流出孔を介して容器内に連通せしめられ、従って、例えば流出筒を口に銜えて吸引することによって容器の内容物を飲むことができる。流出筒が閉鎖位置に倒伏せしめられると、貫通流出路が流出孔と非連通にせしめられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上述した形態の従来の容器蓋には次のとおりの解決すべき問題が存在する。第一に、流出筒は常に露呈されており、流出筒を口に銜える場合に衛生上好ましくない。第二に、上記実開昭60−96254号公報に開示されている形態においては、流出筒を旋回せしめるためには流出筒に直接的に指を掛ける必要があり、この点からも衛生上好ましくない。一方、上記実開平60−96255号公報に開示されている形態においては、蓋本体の主壁に配設された旋回手段を操作することによって流出筒を旋回せしめることができるが、旋回手段自体の構成と共に旋回手段と流出筒との接続に関する構成に起因して製作が必ずしも容易でない。
【0004】
上記第一の問題は、蓋本体に被嵌されて蓋本体の主壁と閉鎖位置に位置せしめられている流出筒とを覆う外蓋を付加することによって解決することができる。しかしながら、単に外蓋を付加した場合には、容器の内容物を流出せしめる際には、蓋本体に対して外蓋を開位置に移動或いは蓋本体から離脱し、そして更に流出筒を閉鎖位置から流出位置に起立せしめる必要があり、容器の内容物の流出を終了した後には、流出筒を流出位置から閉鎖位置に倒伏し、そして更に蓋本体に対して外蓋を閉位置に移動或いは蓋本体に被嵌せしめることが必要であり、容器蓋の操作が相当煩雑になる。
【0005】
従来の容器蓋に見られる上述したとおりの問題を解決するために、本発明者等は、先に、特願2000−57286号明細書及び図面において、蓋本体における主壁の上面に流出筒を旋回自在に装着すると共に、蓋本体に外蓋を旋回自在に装着し、外蓋と流出筒との装着位置、寸法等を適宜に設定して、外蓋が閉位置から開位置に旋回せしめられる際には、外蓋が閉鎖位置にある流出筒に干渉して流出筒を閉鎖位置から流出位置に起立せしめ、次いで外蓋及び/又は流出筒の弾性変形に起因して流出筒から離隔して開位置に旋回せしめられ、外蓋が開位置から閉位置に旋回せしめられる際には、外蓋が流出位置にある流出筒に干渉して流出筒を流出位置から閉鎖位置に倒伏せしめて、該閉位置に旋回せしめられる、ように構成した容器蓋を提案した。蓋本体に主壁上には流出位置規制片と閉鎖位置規制片とが配設されており、流出筒が流出位置に起立せしめられると流出筒が流出位置規制片に当接せしめられて流出筒が流出位置を越えて旋回することが阻止され、流出筒が閉鎖位置に倒伏せしめられると流出筒が閉鎖位置規制片に当接せしめられて流出筒が閉鎖位置を越えて旋回即ち倒伏せしめられるとが阻止される。かような容器蓋においては、蓋本体の主壁と閉鎖位置にある流出筒を覆うことができる外蓋を付加するにもかかわらず、単に外蓋を開閉せしめさえすれば、これに応じて流出筒が所要とおりに旋回、即ち起立及び倒伏せしめられる。
【0006】
しかしながら、本発明者が先に提案した容器蓋にも次のとおりの解決すべき問題が存在することが判明した。即ち、外蓋の旋回動に応じて流出筒が所要とおりに旋回動せしめられている場合には特に問題は発生しないが、外蓋が開位置に位置せしめられている時に流出筒が単独で偶発的に閉鎖位置に倒伏せしめられた場合、後に更に詳述する如く、外蓋を閉位置まで旋回動せしめることが、更に詳細には閉鎖位置にある流出筒に外蓋が干渉した時に外蓋及び/又は流出筒を弾性変形せしめて流出筒を外蓋内に進入せしめることが、不可能ではないにしても相当困難になる。
【0008】
本発明は上述したとおりの事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、蓋本体に加えて流出筒及び外蓋を備えた形態であり、外蓋を開閉せしめるとこれに応じて流出筒が所要とおりに起立及び倒伏せしめられることに加えて、外蓋が開位置に位置せしめられている時に流出筒が単独で閉鎖位置に倒伏せしめられた場合においても、充分容易に外蓋を開位置から閉位置に旋回動せしめて流出筒を外蓋内に進入せしめることができる、新規且つ改良された容器蓋を提供することである。
【0010】
発明者等は、先に提案した上述したとおりの容器蓋に次のとおりの改良、即ち閉鎖位置規制片を所定値以上の押圧力が作用すると傾動せしめられる形態にせしめ、流出筒が倒伏されて閉鎖位置規制片に当接せしめられた後に、流出筒を介して閉鎖位置規制片に所定値以上の押圧力が加えられると、閉鎖位置規制片が傾動せしめられて流出筒が更に倒伏せしめられ、流出筒を介しての押圧力が解除されると、閉鎖位置規制片が弾性的に復元せしめられる、ように構成することによって、上記主たる技術的課題を達成することができるとを見出した。
【0011】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する容器蓋として、容器の口頚部に装着される蓋本体、貫通流出路を有する流出筒及び外蓋から構成され、
該蓋本体は容器の口頚部の頂面を覆う主壁を有し、該主壁には流出孔が配設されており、
該流出筒は該蓋本体の該主壁の上面に旋回自在に装着されており、該主壁の該流出孔から上方に延びる流出位置においては該貫通流出路が該流出孔を介して容器内に連通せしめられ、閉鎖位置に倒伏せしめられると該貫通流出路が該流出孔と非連通にせしめられ、
該外蓋は閉位置と開位置との間を旋回自在に該蓋本体に装着されており、該閉位置においては該蓋本体の該主壁及び該流出筒を覆い、該開位置においては該蓋本体の該主壁及び該流出筒を露呈せしめ、
該外蓋が該閉位置から該開位置に旋回せしめられる際には、該外蓋は該閉鎖位置にある該流出筒に干渉して該流出筒を該閉鎖位置から該流出位置に起立せしめ、次いで該流出筒から離隔して該開位置に旋回せしめられ、
該外蓋が該開位置から該閉位置に旋回せしめられる際には、該外蓋は該流出位置にある該流出筒に干渉して該流出筒を該閉鎖位置にせしめて該閉位置にせしめられ、
該蓋本体の該主壁上には、所定値以上の押圧力が作用すると傾動せしめられる閉鎖位置規制片が配設されており、該流出筒が倒伏されて該閉鎖位置規制片に当接せしめられた後に、該流出筒を介して該閉鎖位置規制片に所定値以上の押圧力が加えられると、該閉鎖位置規制片が傾動せしめられて該流出筒が更に倒伏せしめられ、該流出筒を介しての押圧力が解除されると、該閉鎖位置規制片が弾性的に復元せしめられる、
ことを特徴とする容器蓋が提供される。
【0012】
該閉鎖位置規制片は薄肉下端部を有し、該薄肉下端部を旋回中心として旋回せしめられることによって傾動せしめられるのが好ましい。好適実施形態においては、該流出筒の旋回中心軸線と該外蓋の旋回中心軸線とは実質上平行に延びており、該外蓋の該旋回中心軸線は該流出筒の該旋回中心軸線よりも下方で且つ半径方向外方に位置せしめられている。該外蓋は円形天面壁と該天面壁の周縁から垂下する円筒状スカート壁とを有し、該外蓋が該閉位置から該開位置に旋回せしめられる際には該スカート壁の下端部内周面が該流出筒の先端部に干渉し、該外蓋が該開位置から該閉位置に旋回せしめられる際には該スカート壁の下端乃至下端部内周面が該流出筒の先端部に干渉する。該外蓋の該スカート壁の外周面上端部における、該外蓋の旋回中心軸線から最も離隔した位置には、半径方向外方に突出する把持突起が配設されているのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0017】
本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を図示している図1乃至図3を参照して説明すると、全体を番号2で示す図示の容器蓋は、蓋本体4、流出筒6、外蓋8及び中栓10から構成されている。蓋本体4と外蓋8とは、ポリプロピレン、ポリエチレンの如き適宜の合成樹脂から一体に成形されている。流出筒6と中栓10とは、夫々、別個独立に、ポリプロピレン、ポリエチレンの如き適宜の合成樹脂から成形されている。
【0018】
図1乃至図3を参照して説明を続けると、図示の実施形態における蓋本体4は、実質上水平に延在する円形状の主壁12と、この主壁12の周縁から垂下する円筒形状のスカート壁14とを有する。主壁12には、その中心から図2において幾分右方に変位した位置に流出孔16が形成されている。図4及び図5を参照することによって明確に理解される如く、図示の実施形態における流出孔16は横断面形状が正方形である。主壁12の下面には流出孔16の周縁から垂下する四角筒部18が形成されており、かかる四角筒部の下端には逆止弁20が配設されている。かかる逆止弁20は、図5に二点鎖線で図示する如く、蓋本体4を射出成形する際に、四角筒部の対向する2側縁から下方に垂下する2枚の薄肉片20a及び20bを成形し、後にかかる2枚の薄肉片20a及び20bを上方に強制的に折り返して実線で示す状態にせしめることによって好都合に形成することができる。主壁12の上面には、流出孔16の周縁から上方に突出する座部22が形成されている。この座部22は、図2における断面において円弧状であり、図2において紙面に垂直な方向、図3において上下方向には真直に延びる座面を有する。座部22の両側には溝24が形成されている。
【0019】
図2を参照することによって理解される如く、主壁12の下面周縁部には環状垂下壁26が形成されており、かかる垂下壁26の下面には2条の密封突条が形成されている。主壁12の上面には、図1及び図3に図示する如く、図3において上下方向に間隔をおいて実質上鉛直に上方に延びる一対の装着壁28が形成されている。図6に図示する如く、装着壁28の各々の内面には円形状の軸受凹部30が形成されている。装着壁28の各々の内面には、更に、軸受凹部30の上部を上方に開放せしめている逆三角形状の案内凹部31も形成されている。
【0020】
主壁12の上面には、更に、流出筒6の流出位置を規定する流出位置規制片32と、流出筒6の閉鎖位置を規制する閉鎖位置規制片34とが形成されている。流出位置規制片32は上記装着壁28の後端(図3において右端)間に配設されており、実質上鉛直に突出する平板形状である。一方、図示の実施形態における閉鎖位置規制片34は、主壁12の上面から上方に向かって後方(即ち図2において右方)に傾斜して延びている。所望ならば、閉鎖位置規制片34を上方に向かって前方(即ち図2において左方)に傾斜せしめることもできる。閉鎖位置規制片34も全体として平板形状であるが、閉鎖位置規制片34はその下端部を全幅に渡って延在している薄肉下端部35を有する。後に更に言及する如く、閉鎖位置規制片34の上端縁に所定値以上の押圧力が加えられると、閉鎖位置規制片34は図2に二点鎖線34Aで示す如く薄肉下端部35を中心として図2において時計方向に傾動せしめられ、押圧力が解除されると図2に実線で示す状態に復元せしめられる。
【0021】
蓋本体4のスカート壁14の外周面上部には上方を向いた環状肩面36が形成されている。そして、この環状肩面36よりも上方にて、スカート壁14の外周面には環状係止突条38が形成されている。スカート壁14の外周面における環状肩面36よりも下方の部分には、軸線方向に延びる凹凸、即ちローレット40が形成されている。一方、スカート壁14の内周面の上部には環状保持突条42が形成されている。また、スカート壁14の内周面の中間部には雌螺条44が形成されている。
【0022】
蓋本体4と一体に成形される外蓋8は、円形天面壁46とこの天面壁46の周縁から垂下する円筒状スカート壁48とを有する。スカート壁48の内周面下端には環状係止突条50が形成されている。図3を参照することによって明確に理解される如く、外蓋8はヒンジ連結手段54を介して蓋本体4に一体に接続されている。ヒンジ連結手段54は、外蓋8におけるスカート壁48の外周面下端における特定角度部位と蓋本体4におけるスカート壁14の環状肩面36の特定角度部位との間に配設されており、蓋本体4に対して外蓋8を図1及び図2に二点鎖線8Aで示す閉位置と図1乃至図3に実線で示す開位置との間を旋回中心軸線56を中心として旋回自在に接続している。当業者には周知の形態である図示のヒンジ連結手段54は、外蓋8を閉位置から開位置に向けて所要角度を越えて旋回せしめると外蓋8を開位置に弾性的に偏倚し、そしてまた外蓋8を開位置から閉位置に向けて所要角度を越えて旋回せしめると外蓋8を閉位置に弾性的に偏倚する。外蓋8が図1及び図2に二点鎖線8Aで示す閉位置に位置せしめられると、外蓋8のスカート壁48の内周面に形成されている環状係止突条50が蓋本体のスカート壁14の外周面に形成されている環状係止突条38を弾性的に乗り越えてその下方に係合せしめられ、これによって外蓋8が閉位置に維持される。
【0023】
図1に図示するとおり、外蓋8のスカート壁48の外周面上端部における特定角度位置、即ち上記ヒンジ連結手段54が配設されている角度位置に対して直径方向反対の角度位置には、半径方向外方に突出する把持突起52が形成されている。そして、この把持突起52が形成されている角度位置において、スカート壁48の外周面には他の部分よりも幾分外径が小さくせしめられた没入部53が形成されている。
【0024】
図1を参照して説明を続けると、外蓋8におけるスカート壁48の外周面には計量記号57が形成されている。かかる計量記号57は、例えば軸線方向に所要間隔をおいて周方向に延びる複数個の突条でよい。所望ならば、スカート壁48の内周面に計量記号57を形成することもできる。後に更に言及する如く、容器内に収容されている液体(例えば洗浄液)を計量しながら排出する場合には、液体を一旦外蓋8内に排出して計量記号57を参照することによって計量することができる。外蓋8内に排出された液体量と計量記号57との関係を容易に認識することができるようになすために、蓋本体4と一体に成形される外蓋8は、透明乃至半透明であるのが好適である。蓋本体4と共に成形される外蓋8が非透明である場合には、外蓋8内に排出された液体量と計量記号57との関係を認識可能にせしめるために、計量記号57をスカート壁48の内周面に形成することが望まれる。
【0025】
図1乃至図3を参照して説明を続けると、流出筒6は基部58と延在部60とを有する。図2に明確に図示する如く、流出筒6には基部58及び延在部60を通って延びる貫通流出路62が形成されている。この貫通流出路62の横断面形状は楕円形の如き適宜の形状でよい。基部58の外形は、図2において紙面に垂直な方向に延びる略円筒形状でよく、延在部60の外形は、基部58に対して実質上垂直に延びる楕円筒形状或いは略円筒形状でよい。基部58の外形は、蓋本体4の主壁12に形成されている上記座部22の上面形状に対応せしめられている。基部58の両端面には円柱形状の軸部64が形成されている。かような流出筒6は、その軸部64を、蓋本体4の主壁12に形成されている一対の装着壁28の内面に形成されている上記軸受凹部30に案内凹部31を通して強制的に挿入することによって、その軸部64(及び軸受孔30)の中心軸線66を旋回中心軸線として旋回自在に蓋本体4に装着される。後に更に言及する如く、流出筒6は図1乃至図3に実線で示す流出位置と図1乃至図3に二点鎖線6Aで示す閉鎖位置とに選択的に位置せしめられる。流出筒6の基部58と延在部60との境界部には、流出筒6が流出位置にある状態において図2において右方に突出する板状突起68が形成されている。流出筒6が流出位置から閉鎖位置に旋回せしめられると、流出筒6の延在部60の下面が蓋本体4の主壁12に形成されている閉鎖位置規制片34に当接せしめられる。流出筒6が閉鎖位置から流出位置に旋回せしめられると、流出筒6の板状突起68が蓋本体4の主壁12に形成されている流出位置規制片32の上面に当接し、これによって流出筒6が流出位置を越えて図3において更に時計方向に旋回することが阻止される。図2を参照することによって明確に理解される如く、流出筒6が流出位置に位置せしめられると、流出筒6に形成されている貫通流出路62が蓋本体4の主壁12に形成されている流出孔16に直接的に接続される。流出筒6が二点鎖線6Aで示す閉鎖位置に位置せしめられると、流出筒6の貫通流出路62は流出孔16から離隔せしめられ、流出孔16の周囲に配設されている座部22に接触せしめられている流出筒6の外面が流出孔16を閉じる。
【0026】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態においては、流出筒6は旋回中心軸線66を中心として旋回せしめられ、かかる旋回の際に流出筒6の先端は一点鎖線で示す軌跡Xを描く。一方、外蓋8は旋回中心軸線56を中心として旋回せしめられ、かかる旋回の際に、スカート壁48の内周面下端における、旋回中心軸線56から最も離隔した点は一点鎖線で示す軌跡Yを描く。図2から明確に理解されるとおり、旋回中心軸線66と旋回中心軸線56とは相互に平行であり、旋回中心軸線56は旋回中心軸線66よりも下方に且つ半径方向外方に位置せしめられている。図2に図示する軌跡Xと軌跡Yとを比較参照することによって理解される如く、外蓋8を閉位置から開位置に旋回せしめる際には、外蓋8のスカート壁48の下端部内周面が流出筒6の先端部に干渉する。従って、外蓋8の旋回に付随して流出筒6も閉鎖位置から流出位置に向けて旋回せしめられる。外蓋8が二点鎖線8Bで示す位置まで旋回せしめられ、流出筒6が実線で示す流出位置まで旋回せしめられると、流出筒6の板状突起68が蓋本体4の主壁12に形成されている流出位置規制片32の上面に当接し、これによって流出筒6が図2において更に時計方向に旋回することが阻止される。従って、しかる後においては、外蓋8が流出筒6から離隔せしめられ、流出筒6を流出位置に残留せしめて外蓋8が開位置に旋回せしめられる。
【0027】
外蓋8を開位置から閉位置に旋回せしめる際には、外蓋8が図2に二点鎖線8Cで示す位置まで旋回せしめられると、外蓋8のスカート壁48が流出筒6の少なくとも大部分を覆い(換言すれば流出筒6の少なくとも大部分が外蓋8のスカート壁48内に進入し)、外蓋8のスカート壁48の下端乃至内周面下端部が流出筒6の先端の図2において左端縁に当接する。従って、外蓋8が更に旋回せしめられると、これに付随して流出筒6も流出位置から二点鎖線6Aで示す閉鎖位置に向けて旋回せしめられる。流出筒6が二点鎖線6Aで示す閉鎖位置まで旋回せしめられると、流出筒6の延在部60の下面が蓋本体4の主壁12に形成されている閉位置規制片34に当接せしめられ、これによって流出筒6が図2において更に反時計方向に旋回することが制限される。従って、しかる後においては、流出筒6を閉鎖位置に残留せしめて外蓋8が閉位置まで旋回せしめられる。
【0028】
流出筒6の先端が描く上記軌跡Xと、蓋本体8のスカート壁48の内周面下端における旋回中心軸線56から最も離隔した点が描く上記軌跡Yとは、図2に明確に示す如く、流出筒6が閉鎖位置から流出位置に旋回する方向に見て、流出筒6の閉鎖位置よりも幾分上流側と流出筒6の流出位置よりも幾分上流側で交差するように設定されているのが好ましい。かように設定されている場合には、外蓋8が図2に二点鎖線8Aで示す閉位置から図2に実線で示す開位置に旋回動せしめられる際には、外蓋8が図2に二点鎖線8Bで示す位置から図2に二点鎖線8Cで示す位置まで旋回する間に、外蓋8及び/又は流出筒6が幾分弾性変形せしめられて外蓋8が流出筒8から離隔せしめられる。また、外蓋8が図2に実線で示す開位置から図2に二点鎖線8Aで示す閉位置に旋回動せしめられる際には、外蓋8の旋回に付随して流出筒6が図2に二点鎖線6Aで示す閉鎖位置まで旋回せしめられた後に、外蓋8及び/又は流出筒6が幾分弾性変形せしめられて外蓋8が流出筒6から離隔せしめられる。
【0029】
而して、外蓋8が図2に実線で示す開位置にある時に、流出筒6が単独で偶発的に図2に二点鎖線6Aで示す閉鎖位置に旋回動せしめられた場合、外蓋8を開位置から閉位置に旋回動せしめると、外蓋8は図2に二点鎖線8Dで示す位置まで旋回せしめられた時点で始めて流出筒6に当接せしめられる。上記軌跡Xと上記軌跡Yとを参照することによって明確に理解されるとおり、流出筒6が二点鎖線6Aで示す位置にあり外蓋8が二点鎖線8Dで示す位置にある場合には、外蓋8のスカート壁48と流出筒6との相互干渉量が相当大きい。従って、流出筒6が二点鎖線6Aで示す位置から更に図2において反時計方向に旋回動し得ない場合には、外蓋8に相当大きな力を加えて外蓋8及び/又は流出筒6を弾性変形せしめない限り、流出筒6を外蓋8内に進入せしめて外蓋8を閉位置まで旋回動せしめることができず、外蓋8の旋回動が不可能ではないにしても相当困難になる。然るに、本発明に従って構成された図示の容器蓋においては、上述したとおり流出筒6を閉鎖位置6Aに規制する閉鎖位置規制片34は上方に向かって所定方向に傾斜して延びており、その上端縁に所定値以上の力が加えられると図2に二点鎖線34Aで示す如く薄肉下端部35を中心として傾動せしめられ、従って流出筒6は閉鎖位置6A越えて図2において反時計方向に二点鎖線6Bで示す位置まで旋回動せしめられ、これによって外蓋8のスカート壁48と流出筒6との相互干渉量が低減乃至消失せしめられる。それ故に、流出筒6が単独で偶発的に図2に二点鎖線6Aで示す閉鎖位置に旋回動せしめられた場合でも、充分容易に外蓋8を図2に二点鎖線8Aで示す閉位置まで旋回動せしめることができる。外蓋8が閉位置まで旋回せしめると外蓋8は流出筒6から離隔せしめられ、従って閉鎖位置規制片34は元の状態に弾性的に復元し、流出筒6は図2に二点鎖線6Aで示す閉鎖位置に戻される。
【0030】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態においては、容器蓋2を容器70に適用する前に、蓋本体4に中栓10が組み合わされる。この中栓10は、円形底壁72とこの円形底壁72の周縁から上方に延びる円筒状の側面壁74を含んでいる。この側面壁74の内周面には引っ張りリング76が接続されている。側面壁74の外周面上端部には、半径方向外側に突出する薄肉フランジ78が形成されている。かような中栓10は、その薄肉フランジ78を蓋本体4におけるスカート壁14の内周面の上部に形成されている環状保持突起42に弾性的に係止せしめることによって、比較的弱く、換言すれば小さい力で容易に離脱されるように、蓋本体4に保持される。
【0031】
図2に図示する如く、中栓10が組み合わされ、外蓋8が閉位置に位置せしめられた容器蓋2は、ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂から形成することができる容器70の口頸部80に装着される。容器70の口頸部80は略円筒形状であり、その外周面には雄螺条82が形成されている。容器蓋2は、その蓋本体43を口頸部80に被嵌し、閉方向即ち図2において上方から見て時計方向に回転せしめることによって、口頸部80に装着される。蓋本体4のスカート壁14の内周面に形成されている雌螺条44が口頸部80の雄螺条82に螺合せしめられる際には、蓋本体4に組み合わされた中栓10は、その底壁72及び側面壁74が口頸部80内に挿入され、その薄肉フランジ78が口頸部80の頂面に当接せしめられる。そして、図2に点鎖線で示す如く、その薄肉フランジ78が口頸部80の頂面に当接することによって中栓10は蓋本体4に対して相対的に若干上昇され、その薄肉フランジ78が蓋本体4の垂下壁26と口頸部80の頂面との間に把持され。所望ならば、所謂タンパーエビデント特性を付与するために、蓋本体4のスカート壁14に適宜の形態のタンパーエビデント裾部を付設し、或いは容器蓋2の全体をシュリンクフィルムで覆うこともできる。
【0032】
例えば液体飲料である容器70の内容物を飲む際には、蓋本体4のスカート壁14のローレット40に指を掛けて、外蓋8を開方向即ち図2において上方から見て反時計方向に回転せしめる。かくすると、蓋本体4の雌螺条44が口頸部80の雄螺条82に沿って移動せしめられる故に、蓋本体4(従って外蓋8、流出筒6)は回転と共に上昇せしめられるが、中栓10だけは、上述した如く小さな力で容易に離脱され得るように蓋本体4に組み合わされているので、蓋本体4から離脱せしめられて口頸部80に残留せしめられる。しかる後に引っ張りリング76に指を掛けて中栓10を口頸部80から離脱せしめて口頸部80を開封する。次いで、中栓10が離脱された口頸部80に容器蓋2を再び装着、即ち蓋本体4を口頸部80に被嵌して閉方向に回転せしめ、蓋本体4のスカート壁14に形成されている雌螺条44を口頸部80の雄螺条82に螺合せしめる。かくすると、蓋本体4の主壁12の下面に形成されている環状垂下壁26が口頸部80の頂面に当接せしめられ、これによって口頸部80が密封される。しかる後に旋回中心軸線56を中心として、外蓋8を図1及び図2に実線で図示する開位置に旋回せしめると、外蓋8のスカート壁48の下端部内周面が流出筒6の先端部に干渉し、外蓋8の旋回に付随して流出筒6も閉鎖位置から流出位置に向けて旋回せしめられる。外蓋8が二点鎖線8Bで示す位置まで旋回せしめられると、流出筒6が実線で示す流出位置まで旋回せしめられ、流出筒6の板状突起68が流出位置規制片32の上面に当接すると共に流出筒6の基部58が流出位置規制片32の前面に当接し、これによって流出筒6が、図2において更に時計方向に旋回することが阻止される。外蓋8を二点鎖線8Bで示す位置より更に時計方向に旋回すると、外蓋8及び/又は流出筒6が弾性変形することによって、外蓋8は流出筒6から離隔せしめられ、流出筒6を流出位置に残留せしめて、外蓋8は開位置まで旋回せしめられる。流出筒6は、流出位置においては主壁12の流出孔16から上方に延び、貫通流出路62が流出孔16を介して、容器70内に連通せしめられる。従って、流出筒6の先端部を口に銜えて吸引すると、逆止弁20の下流側即ち上方が負圧になり、逆止弁20の薄肉片20a及び20bは図2において上方に折り曲げられ、逆止弁20が開放される。これによって容器70に収容されている内容物は、流出孔16、貫通流出路62を通って排出される。必要に応じて、容器70の主部を幾分押し潰して容器70からの内容物の排出を促進することもできる。所要量の飲料を飲んだ後、流出筒6の吸引又は容器の主部の押し潰しを止めると、逆止弁20の2枚の薄肉片20a及び20bは、自身の弾性力により、図2において下方に復元し、逆止弁20は閉鎖される。その後、旋回中心軸線56を中心として、外蓋8を図1及び図2に図示する閉位置に旋回せしめる。この際には、外蓋8が図2に2点鎖線8Cで示す位置まで旋回せしめられると、外蓋8のスカート壁48の下面乃至内周面下端部が流出筒6の先端に当接し、従って外蓋8が更に旋回せしめられると、これに付随して流出筒6も流出位置から二点鎖線6Aで示す閉鎖位置に向けて旋回せしめられる。流出筒6が図1乃至図2において二点鎖線6Aで示す閉鎖位置まで旋回せしめられると、流出筒6の延在部60の下面が蓋本体4の主壁12に形成されている閉位置規制片34に当接せしめられ、これによって流出筒6が更に反時計方向に旋回することが制限される。流出筒6が二点鎖線8Aで示す閉鎖位置に位置せしめられると、流出筒6の貫通流出路62は流出孔16から離隔せしめられ、流出孔16の周囲に配設されている座部22に接触せしめられている流出筒6の外面が流出孔16を閉じる。かくして、流出筒6を通しての内容物の排出が充分確実に密封される。従って、所望ならば逆止弁20は省略することもできる。外蓋8は更に旋回せしめられて、図2に二点鎖線8Aで示す閉位置にせしめられる。
【0033】
外蓋8の開閉旋回動は、スカート壁48の外周面上端部に配設されている把持突起52に指を掛けて遂行することができる。この点に関しては次の事実が注目されるべきである。即ち、スカート壁48の外周面上端部に代えて外周面下端部に把持突起を形成することも意図され得るが、スカート壁48の外周面下端部に把持突起を形成した場合、外蓋8が流出筒6から離脱される時及び外蓋8が流出筒6に当接せしめられた時に、把持突起に掛けた指が、容器70内に収容されている液体が流出せしめられる流出筒6の先端に接触する虞がある。これに対して、スカート壁48の外周面上端部に把持突起52を形成すると、把持突起52に掛け指が流出筒6の先端に接触する虞は皆無である。
【0034】
容器70に収容された液体が洗浄液等であり、所要量計量して排出することが望まれる場合には、外蓋8を計量カップとして使用して次のとおりの操作を遂行することができる。最初に、外蓋8を図2に二点鎖線8Aで示す閉位置から図2に二点鎖線8Bで示す位置まで旋回し、流出筒6を流出位置に位置せしめる。次いで、容器70自体を傾動せしめて、容器70及び容器蓋を図7に図示する状態にせしめる。しかる後に、例えば容器70の主部を押し潰して容器70から外蓋8内に液体を排出する。この際には、外蓋8に配設されている計量記号57を参照して排出量を計量する。所要量の液体を排出した後においては、例えば、外蓋8自体は図7に図示する状態に維持して、容器70と容器蓋における蓋本体4及び流出筒6を図7において反時計方向に旋回せしめて流出筒6を外蓋8から離脱せしめ、しかる後に外蓋8を適宜に傾動せしめて外蓋8内に存在する液体を所要場所に排出する。
【0035】
【発明の効果】
本発明の容器蓋においては、蓋本体に加えて流出筒及び外蓋を備えた形態であり、外蓋を開閉せしめるとこれに応じて流出筒が所要とおりに起立及び倒伏せしめられることに加えて、外蓋が開位置に位置せしめられている時に流出筒が単独で閉鎖位置に倒伏せしめられた場合においても、充分容易に外蓋を開位置から閉位置に旋回動せしめて流出筒を外蓋内に進入せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を示す斜面図。
【図2】図1に示す容器蓋の縦断面図。
【図3】図1に示す容器蓋の平面図。
【図4】図1に示す容器蓋の逆止弁を示す部分平面図。
【図5】図1に示す容器蓋の逆止弁を示す部分断面図。
【図6】図1に示す容器蓋の装着壁の内面を示す部分斜面図。
【図7】図1に示す容器蓋における外蓋を計量カップとして使用する様式を説明するための図2と同様の縦断面図。
【符号の説明】
2:容器蓋
4:蓋本体
6:流出筒
8:外蓋
12:主壁
16:流出孔
32:流出位置規制片
34:閉鎖位置規制片
35:薄肉下端部
46:円形天面壁
48:スカート壁
52:把持突起
56:旋回中心軸線
57:計量記号
62:貫通流出路
66:旋回中心軸線
70:容器
80:口頸部

Claims (5)

  1. 容器の口頚部に装着される蓋本体、貫通流出路を有する流出筒及び外蓋から構成され、
    該蓋本体は容器の口頚部の頂面を覆う主壁を有し、該主壁には流出孔が配設されており、
    該流出筒は該蓋本体の該主壁の上面に旋回自在に装着されており、該主壁の該流出孔から上方に延びる流出位置においては該貫通流出路が該流出孔を介して容器内に連通せしめられ、閉鎖位置に倒伏せしめられると該貫通流出路が該流出孔と非連通にせしめられ、
    該外蓋は閉位置と開位置との間を旋回自在に該蓋本体に装着されており、該閉位置においては該蓋本体の該主壁及び該流出筒を覆い、該開位置においては該蓋本体の該主壁及び該流出筒を露呈せしめ、
    該外蓋が該閉位置から該開位置に旋回せしめられる際には、該外蓋は該閉鎖位置にある該流出筒に干渉して該流出筒を該閉鎖位置から該流出位置に起立せしめ、次いで該流出筒から離隔して該開位置に旋回せしめられ、
    該外蓋が該開位置から該閉位置に旋回せしめられる際には、該外蓋は該流出位置にある該流出筒に干渉して該流出筒を該閉鎖位置にせしめて該閉位置にせしめられ、
    該蓋本体の該主壁上には、所定値以上の押圧力が作用すると傾動せしめられる閉鎖位置規制片が配設されており、該流出筒が倒伏されて該閉鎖位置規制片に当接せしめられた後に、該流出筒を介して該閉鎖位置規制片に所定値以上の押圧力が加えられると、該閉鎖位置規制片が傾動せしめられて該流出筒が更に倒伏せしめられ、該流出筒を介しての押圧力が解除されると、該閉鎖位置規制片が弾性的に復元せしめられる、
    ことを特徴とする容器蓋。
  2. 該閉鎖位置規制片は薄肉下端部を有し、該薄肉下端部を旋回中心として旋回せしめられることによって傾動せしめられる、請求項1記載の容器蓋。
  3. 該流出筒の旋回中心軸線と該外蓋の旋回中心軸線とは実質上平行に延びており、該外蓋の該旋回中心軸線は該流出筒の該旋回中心軸線よりも下方で且つ半径方向外方に位置せしめられている、請求項1又は2記載の容器蓋。
  4. 該外蓋は円形天面壁と該天面壁の周縁から垂下する円筒状スカート壁とを有し、該外蓋が該閉位置から該開位置に旋回せしめられる際には該スカート壁の下端部内周面が該流出筒の先端部に干渉し、該外蓋が該開位置から該閉位置に旋回せしめられる際には該スカート壁の下端乃至下端部内周面が該流出筒の先端部に干渉する、請求項1から3までのいずれかに記載の容器蓋。
  5. 該外蓋の該スカート壁の外周面上端部における、該外蓋の旋回中心軸線から最も離隔した位置には、半径方向外方に突出する把持突起が配設されている、請求項4記載の容器蓋。
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