JP4584770B2 - ミシンの給油装置 - Google Patents

Description

本発明は、ミシンの主軸及び他の摺動箇所に潤滑油を供給する、ミシンの給油装置に関するものである。

この種のミシンの給油装置として、主軸と軸受との摺動面及び主軸に連結される機構の摺動面に潤滑油を供給するための所謂内面強制給油機構が従来より知られている（例えば特許文献１を参照。）。油だめの潤滑油はポンプにより吸い上げられ、機枠（フレイム）に形成された供給管を経て供給分配器に送られ、ノズル、透明インジケータに接続される管、及び主軸を支持する軸受（軸受けスリーブ）へ接続される管に夫々分配される。軸受に送られた潤滑油はさらにいくつかの給油経路に分配されるが、その内の一部は軸受の半径方向に分岐した導油孔（孔）、主軸の外側から内側に形成された孔を経て主軸の中心孔に流れ、主軸に連結される各機構を潤滑（内面強制給油）する。

特開昭４７−１９９４６号公報（第４−８頁、第１−３図）

ところが、従来のミシンの給油装置においては、ポンプより内面強制給油機構部に至る給油経路が長くかつ中途に多数の分岐を伴っているため、圧力損失等により、内面強制給油機構部に十分量の潤滑油を供給できない可能性があった。この問題を解決するために、内面強制給油機構用と他の給油機構用の給油経路を例えばポンプより並列に設けると、より給油能力の高いポンプが必要になり、給油機構全体もより複雑なものとなる。

従って、本発明の課題は、簡単な構造で内面強制給油機構及び他の給油機構へ確実に潤滑油を供給することができるミシンの給油機構を提供することにある。

本発明は、上記目的を達成する為に、油だめの潤滑油を吸い上げ吐出口より導油経路に輸送するポンプと、機枠に設けられた支持孔に嵌挿固定されるとともに該導油経路に連通し潤滑油を内周面に供給する導油孔が穿設される軸受と、軸受の内周面に設けられ前記導油孔の一端が開口する油溝と、軸受に回転可能に支持される主軸と、主軸の該油溝に対向する外周面から内部に潤滑油を取り込み主軸に連結される機構を潤滑する内面強制給油機構と、を備えたミシンの給油装置において、前記油溝に一端が開口し前記軸受の外周面に他端が開口する排出孔と、前記排出孔の他端に連通する排出経路と、排出経路に接続され所望の箇所に給油を行う給油手段とを備えるとともに、前記導油経路が中途の分岐なく前記軸受の導油孔に接続されることを特徴とする。

なお排出経路は機枠に穿設された孔に挿通された排出管であって、排出管の一端が前記排出孔の他端に螺合されるのが望ましい。

本発明によれば、ポンプの吐出口から軸受の導油孔に至る導油経路に中途の分岐がなく、ポンプにより吸い上げられた潤滑油は全て軸受内周面の油溝に輸送されるから、内面強制給油機構へ確実に潤滑油を供給できる。そして、内面強制給油に与らない余剰の潤滑油は、油溝から排出孔、排出経路を経て給油手段より所望の箇所に供給される。

また、排出経路を機枠に穿設された孔に挿通された排出管とし、排出管の一端を軸受の排出孔に螺合させると、排出管と排出孔とが確実に連通される。また、軸受は排出管及び支持孔により位置が制限されるから、軸受けを機枠に接着剤等で固定する必要が無い。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１は本発明に係るミシンの給油装置の概略正面断面図である。機枠１の下端には図５に示すようにガスケット２０を介してオイルパン３がネジ１６で取着され、上端には上カバー２が取着されている。図２に示すように、機枠１の内部において前後に延設される隔壁１ａには、軸受支持孔１ｂが左右方向に貫通して穿設されているとともに、軸受支持孔１ｂの上側には固定孔１ｃが、下側には流通孔１ｄが夫々上下方向に両端を貫通して穿設されている。

軸受９は機枠１の軸受支持孔１ｂに挿通されている。軸受９は上下に分割された上側部材９ａ及び下側部材９ａａをネジ２１，２１で締結してなる。軸受９の内周面には油溝９ｂが円周方向に設けられている。下側部材９ａａには導油孔９ｄが、上端が油溝９ｂに開口し下端が流通孔１ｄの上端に開口するよう穿設されている。上側部材９ａには下端が油溝９ｂに開口し上端が外周面に開口する排出孔９ｃが穿設されている。排出孔９ｃの上端は機枠１の固定孔１ｃに挿通される排出管１８と螺合されており、これによって軸受９は軸受支持孔１ｂに固定されている。排出管１８の上端には噴油管１９が螺合されており、噴油管１９の上端にはノズル状の噴油口１９ａが開口している。噴油管１９の噴油口１９ａは上カバー２のボス部２ａにネジ１７，１７で取着された油受け皿８の貫通孔８ｂを貫通して上方に突出し、上カバー２に取着された油窓７に対向している。また、油受け皿８には所望の箇所に潤滑油を滴下供給するための油孔８ａが適宜設けられている。

主軸４は被支持部４ｄにおいて軸受９に挿通支持されている。図１，図３に示すように、被支持部４ｄには油孔４ａが、外周面側端部が油溝９ｂに対向する位置に開口し、他端が主軸４内に設けられた通孔４ｂに開口するよう穿設されている。また、主軸４と主軸４に連結される各機構（図示せず）との連結部分において、通孔４ｂより分岐して主軸４の外周面に開口する複数の油孔４ｃ・・・が適宜設けられている。

ポンプ５は、図１，図５に示すように機枠１にネジ１５，１５で取着されている。本実施例においてポンプ５は公知のトロコイドポンプであり、ウォームホイール５ａと主軸４の右側部分に取着されたウォーム６とが係合している。導油管１０の一端はポンプ５の吐出口５ｂに継手ネジ１４、継手１３を介して接続され、他端は継手１１、継手ネジ１２を介して流通孔１ｄの下端に接続されている。図１，図５では省略されているが、導油管１０は中途に分岐を持たない構造となっている。

以上のように構成されたミシンの給油装置の作用を以下に説明する。図示しないミシンの駆動源により主軸４を回転させると、ウォームホイール５ａとウォーム６との係合によりポンプ５が作動し、オイルパン３内に溜められた潤滑油はポンプ５で吸い上られて吐出口５ｂから継手ネジ１４、継手１３、導油管１０、継手１１、継手ネジ１２、流通孔１ｄ、軸受け９の導油孔９ｄを経て油溝９ｂに送られる。油溝９ｂに送られた潤滑油は軸受９と主軸４との摺動面を潤滑するとともに、一部が油孔４ａより通孔４ｂに取り込まれ、主軸に連結される各機構に公知の内面強制給油を行うべく供給される。

前記した軸受９と主軸４との摺動面における潤滑及び内面強制給油に与らない余剰の潤滑油は、油溝９ｂから排出孔９ｃ、排出管１８、噴油管１９を経て噴油口１９ａより油窓７に向かって噴出され、給油が正常に行われているか否かの視認に利用される。油窓７に向かって噴出された潤滑油の一部は油受け皿８に落下したのち油孔８ａより所望する箇所に滴下給油される。

本発明に係るミシンの給油装置の概略正面断面図である。 同ミシンの給油装置の要部を示す概略右側面断面図である。 同ミシンの給油装置の要部を示す概略正面断面図である。 主軸及び軸受を説明した分解斜視図である。 主軸及び軸受を除く給油経路の構成を説明した分解斜視図である。

符号の説明

１ 機枠
１ａ 隔壁
１ｂ 軸受支持孔
１ｃ 固定孔
１ｄ 流通孔
３ オイルパン
４ 主軸
４ａ 油孔
４ｂ 通孔
４ｃ 油孔
５ ポンプ
５ａ ウォームホイール
７ 油窓
８ 油受け皿
８ａ 油孔
８ｂ 貫通孔
９ 軸受
９ａ 上側部材
９ａａ 下側部材
９ｂ 油溝
９ｃ 排出孔
９ｄ 導油孔
１０ 導油管
１１ 継手
１２ 継手ネジ
１３ 継手
１４ 継手ネジ
１８ 排出管
１９ 噴油管
１９ａ 噴油口

Claims (2)

1. 油だめの潤滑油を吸い上げ吐出口より導油経路に輸送するポンプと、機枠に設けられた支持孔に嵌挿固定されるとともに該導油経路に連通し潤滑油を内周面に供給する導油孔が穿設される軸受と、軸受の内周面に設けられ前記導油孔の一端が開口する油溝と、軸受に回転可能に支持される主軸と、主軸の該油溝に対向する外周面から内部に潤滑油を取り込み主軸に連結される機構を潤滑する内面強制給油機構と、を備えたミシンの給油装置において、前記油溝に一端が開口し前記軸受の外周面に他端が開口する排出孔と、前記排出孔の他端に連通する排出経路と、排出経路に接続され所望の箇所に給油を行う給油手段とを備えるとともに、前記導油経路が中途の分岐なく前記軸受の導油孔に接続されることを特徴とするミシンの給油装置。
2. 前記排出経路は機枠に穿設された孔に挿通された排出管であって、排出管の一端が前記排出孔の他端に螺合される請求項１に記載のミシンの給油装置。

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