JP4584039B2 - 通線ロッド用連結構造 - Google Patents

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本発明は、電柱間に架け渡された既設の吊線に沿って設けられているケーブルハンガーに追加のケーブルを挿通させるのに先立って、このケーブルハンガーに挿通させて使用する通線ロッド用の連結構造に関する。
近年、既設の吊線(既設のケーブルなど)に沿って螺旋形状のケーブルハンガーが設けられており、このケーブルハンガーに追加のケーブル(ドロップ光ファイバなど)を挿通させて架線する。この架線工事にあたっては、ケーブルハンガーに対して電柱間以上の距離にわたって通線ロッドを挿通させる。つぎに、通線ロッドの終端部にケーブルの繰り出し側端部を結合した後、この通線ロッドを先端部側から巻き取ることによってケーブルの架線を行う。
通線ロッドをケーブルハンガーに挿通させる際には、通線ロッドの先端部に誘導ツールを連結し、通線ロッドがケーブルハンガーから脱落しないように誘導する必要がある。また、通線ロッドが電柱間の距離以下の長さしかない短尺の場合には、複数本の通線ロッドを継ぎ足すことも必要となる。これらの通線ロッドと誘導ツールとの連結、あるいは通線ロッド相互の連結には、一般に雄ネジと雌ネジとを利用した連結具を使用している。そして、通線ロッドの終端部とケーブルとの結合には、テープ巻きなどの手段を利用している。なお、電柱間の吊線に沿って設けられた螺旋状のケーブルハンガーにケーブルを挿通させる一般的な技術に関しては、例えば特許文献1に開示されている。
特開2004−80999号公報
雄ネジと雌ネジとを利用した連結具によって通線ロッドと誘導ツール、あるいは通線ロッド同士を連結し、テープ巻きなどによって通線ロッドの終端部とケーブルとを結合していたのでは、その作業効率がわるい。また、テープ巻きなどによる連結箇所は、ケーブルハンガー内を通るときに他のケーブルなどに引っかかり易い。
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、通線ロッドの終端部とケーブルとの結合作業を容易とし、かつ、この結合箇所がケーブルハンガーを通過するときの引っかかり等も抑えることである。
本発明は、上記の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
請求項に記載の発明は、電柱間に架け渡された既設の吊線に沿って設けられているケーブルハンガーに追加のケーブルを挿通させるのに先立って、このケーブルハンガーに挿通させる通線ロッドの終端部にケーブルクランパーを備えた通線ロッド用連結構造であって、ケーブルクランパーは、筒状のホルダーと、このホルダー内に組み込まれた固定クサビおよび可動クサビと、可動クサビを付勢するスプリングとによって構成されている。固定クサビおよび可動クサビは、互いに接触可能な傾斜角の把持面をそれぞれ有するとともに、可動クサビが固定クサビ側へスプリングによって常に付勢され、互いの把持面の間でケーブルの端部をクランプするように構成されている。
このケーブルクランパーにより、ケーブルハンガーに挿通させた通線ロッドの終端部に対し、ケーブルの繰り出し側端部をワンタッチで結合することができ、その後は通線ロッドを先端側から巻き取ることによってケーブルを架線することができる。また、ケーブルクランパーの構成部材は筒状のホルダー内に収まっているので、通線ロッドの終端部がケーブルハンガーを通過するときの引っかかり等が少なく、円滑な作業が可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載された通線ロッド用連結構造であって、通線ロッドの終端部とケーブルクランパーとが、ワンタッチで連結あるいは連結を解除できるカップリングによって連結されている。
これにより、例えば通線ロッドをリールに巻き取ることでケーブルの架線作業を終えたときに、その通線ロッドの終端部とケーブルクランパーとの連結をワンタッチで外し、つぎには通線ロッドの終端部を先端部として使用することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載された通線ロッド用連結構造であって、ケーブルクランパーの可動クサビは、ホルダーの開放部から外に突出した操作部分を備えており、この操作部分をホルダーの外部から操することで可動クサビをスプリングの付勢力に抗して固定クサビから離れる方向へ移動させることが可能になっている。
これにより、架線された後のケーブル端部を、ケーブルクランパーから簡単に取り外すことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、通線ロッドの先端側と終端側とを表した構成図である。この図面で示す通線ロッド10は、その中間部分が省略されているものの、ケーブル架線現場における電柱間の距離以上の長さ(例えば50m)を有するものとする。そして、通線ロッド10の先端部10aには、カップリング20によって誘導ツール12が連結される。なお、通線ロッド10の終端部10bには、後で説明するケーブルクランパー40がカップリング21によって連結される。誘導ツール12は、後で説明するケーブルハンガー55から通線ロッド10の先端部10aを脱落させないように誘導するためのものである。この誘導ツール12の一般的な構成は、先端が尖った軸部13の周りに複数本の弾性部材14が配置され、各弾性部材14を外側へ膨らませた状態で個々の両端部を軸部13に結合している。
図2は、カップリング20を一部破断状態で表した拡大断面図である。図3は、カップリング20の連結途中の状態を表した拡大断面図である。図4は、カップリング20の連結完了状態を表した拡大断面図である。これらの図面で示すようにカップリング20は、挿入部22と受入部23とによって構成されており、これら双方を互いに連結し、あるいは連結の解除が可能になっている。なお、カップリング20は、既に述べたように通線ロッド10と誘導ツール12との連結用であって、通線ロッド10の先端部10aに挿入部22が結合され、誘導ツール12の軸部13に受入部23が結合されている。
挿入部22は、通線ロッド10の先端部10aに結合された結合部分22aと、この結合部分22aよりも小径で、結合部分22aの端部から一体に延びる軸部分22bとを有する。この軸部分22bは円筒形状で、その先端は中心に開口22dを有する環状の壁になっており、壁の内側が係合爪22cになっている。一方、受入部23は、誘導ツール12の軸部13と結合された結合部分23aと、この結合部分23aと同径で、結合部分23aから一体に延びる筒部分23bとを有する。この筒部分23bの内径は、その内部に挿入部22の軸部分22bを差し込むことが可能な寸法に設定されている。なお、受入部23における結合部分23aおよび筒部分23bの外径と、挿入部22における結合部分22aの外径とはほぼ同じ寸法に設定されている。
受入部23における筒部分23bの内部には、フック本体26が組み込まれている。このフック本体26は、筒部分23bの壁に両端が支持された支持軸29を支点として所定の範囲で回動することができる。フック本体26において、筒部分23bの開口側(受入部23の入口側)に位置する端部には、挿入部22の係合爪22cと係合可能なフック27が形成されている。なお、フック27の端面は、斜面27aとなっている。
フック本体26において、支持軸29を境として筒部分23bの奥側に位置する部分には凹形状のバネ座28があり、このバネ座28と筒部分23bの内壁面との間には圧縮コイルスプリング30が設けられている。また、フック本体26には、スプリング30の反対側において操作ボタン31が結合されている。この操作ボタン31は、筒部分23bの壁に開けられた孔23cを通じて受入部23の外に位置している。
ここで、カップリング20の連結について説明すると、挿入部22の軸部分22bを受入部23の筒部分23b内に差し込むことで、最初に軸部分22bの端面(環状壁の部分)がフック本体26のフック27先端に当たる。さらに、軸部分22bが進行すると、この軸部分22bの端面とフック27の斜面27aとの作用により、フック本体26をスプリング30の弾力に抗して支持軸29回りに回動させながら、フック27が軸部分22b先端の開口22dに入り込む(図3)。そして、軸部分22bが筒部分23b内に最後まで差し込まれると、フック27が開口22dを通過し、それと同時にフック本体26がスプリング30の弾力によって支持軸29回りに元の方向へ回動する(図4)。これによって挿入部22の係合爪22cと受入部23のフック27とが係合し、カップリング20が連結状態となる。
カップリング20の連結を解除するには、受入部23の外に突出している操作ボタン31を押すことにより、フック本体26がスプリング30の弾力に抗して回動して係合爪22cからフック27が外れる。この状態で、挿入部22の軸部分22bを受入部23の筒部分23bから抜き取る。
このように、カップリング20の連結およびその解除がワンタッチで行え、作業効率がよい。また、カップリング20の連結状態においては、挿入部22の結合部分22aと、受入部23の結合部分23aおよび筒部分23bとが、外面にほとんど凹凸のない一本の軸のようになる(図4)。したがって、誘導ツール12を使って通線ロッド10をケーブルハンガー55に挿通させるときの引っかかり等が少なく、作業が円滑に行える。
なお、通線ロッド10の終端部10bとケーブルクランパー40とを連結するカップリング21についても、その構成および機能はカップリング20と同じであるため、それぞれの構成部材に同一符号を付して重複する説明は省略する。
図5は、ケーブルクランパー40を表した拡大断面図である。図6は、ケーブルのクランプ開始状態を表した拡大断面図である。図7は、ケーブルのクランプ途中を表した拡大断面図である。図8は、ケーブルのクランプ完了状態を表した拡大断面図である。これらの図面で示すように、ケーブルクランパー40は、カップリング21によって通線ロッド10の終端部10bに連結されている。そして、このカップリング21においては、その挿入部22が通線ロッド10の終端部10bに結合され、受入部23がケーブルクランパー40と一体化されている。すなわち、ケーブルクランパー40は、カップリング21の受入部23と一体に形成された円筒形状のホルダー41を有する。このホルダー41の内部には、固定クサビ42、可動クサビ43および圧縮コイルスプリング44が組み込まれている。
固定クサビ42は、ホルダー41に固定されているとともに、ホルダー41の開放部から奥に向かって低くなる傾斜角の把持面42aを有する。可動クサビ43は、ホルダー41に対してその軸線に沿った方向(図5〜8の左右方向)へ移動できるとともに、固定クサビ42の把持面42aと接触可能に対向した傾斜角の把持面43aを有する。また、スプリング44は、可動クサビ43におけるホルダー41の奥側端部と、このホルダー41の内壁との間に位置し、可動クサビ43を常に固定クサビ42側(図面の左方向)へ付勢している。なお、可動クサビ43は、ホルダー41の開放部から外に突出した操作部分43bを備えている。
つづいて、ケーブルクランパー40によってドロップ光ファイバなどのケーブル46をクランプする手順について説明すると、ケーブル46の繰り出し端部を固定クサビ42および可動クサビ43における把持面42a,43aの間に差し込む(図6,7)。そして、可動クサビ43をスプリング44の弾力に抗してホルダー41の奥へ移動させながら、両クサビ42,43の把持面42a,43a間にケーブル46の端部をさらに押し込む(図8)。これにより、両把持面42a,43aによってケーブル46の端部がクランプされる。なお、クランプを解除するには、可動クサビ43の操作部分43bを押すことにより、この可動クサビ43がスプリング44の付勢力に抗してホルダー41の奥へ移動して固定クサビ42から離れる。そこで、ケーブル46を両クサビ42,43の把持面42a,43a間から引き抜けばよい。
このように、ケーブルクランパー40により、通線ロッド10の終端部10bに対してケーブル46の繰り出し端部をワンタッチで結合し、あるいは取り外すことができる。
図9〜11は、架線作業のイメージを表した概要図である。これらの図面において、電柱50,53の間にドロップ光ファイバなどの追加ケーブル46を架線する作業を説明する。まず、図9で示すリール56に巻かれた通線ロッド10の先端部と、誘導ツール12とをカップリング20で連結する。そして、電柱50,53間の吊線54(既設のケーブル)に設けられている螺旋状のケーブルハンガー55に対し、誘導ツール12に先導させながら通線ロッド10を挿通させる。この作業は、作業用車両58のバケットに乗った作業員により、電柱50近くの地面に置いたリール56から通線ロッド10を繰り出しながらケーブルハンガー55に通していく(図9)。
通線ロッド10を例えば電柱50,52の間以上の距離にわたって挿通させたら、その終端部にカップリング21で結合されたケーブルクランパー40により、図10で示すリール57に巻かれたケーブル46の繰り出し端部をクランプする。この後、作業用車両58を電柱52の近くに移動させ、引き続いて電柱53に向けてケーブルハンガー55に通線ロッド10を挿通させる。これにより、ケーブル46がリール57から繰り出されてケーブルハンガー55に挿通される(図10)。
架線作業の目標である電柱53に通線ロッド10の誘導ツール12が到達したら、カップリング20による連結を解除し、通線ロッド10の先端部から誘導ツール12を取り外す。そして、電柱53近くの地面において、空のリール56に通線ロッド10を巻き取っていくことにより、電柱50,53間にケーブル46が架線される(図11)。この後、ケーブルクランパー40によるケーブル46のクランプを解除する。また、カップリング21による連結を解除して通線ロッド10の終端部からケーブルクランパー40を取り外す。これにより、リール56に巻き取られた通線ロッド10の終端部が、つぎの作業では先端部となって誘導ツール12をカップリング20で連結することができる。
以上は、長尺(例えば50m)の通線ロッド10を用いた場合について説明したが、通線ロッド10には短尺(例えば2m)のタイプもある。その場合には、複数本の通線ロッド同士を継ぎ足しながらケーブルハンガー55に挿通させることになる。この通線ロッド同士を継ぎ足す手段としても、カップリング20が用いられ、この場合は各通線ロッドの一端にカップリング20の挿入部22が、他端にカップリング20の受入部23が設けられることになる。
通線ロッドの先端側と終端側とを表した構成図 カップリングを一部破断状態で表した拡大断面図 カップリングの連結途中の状態を表した拡大断面図 カップリングの連結完了状態を表した拡大断面図 ケーブルクランパーを表した拡大断面図 ケーブルのクランプ開始状態を表した拡大断面図 ケーブルのクランプ途中を表した拡大断面図 ケーブルのクランプ完了状態を表した拡大断面図 架線作業開始時のイメージを表した概要図 架線作業途中のイメージを表した概要図 架線作業完了時のイメージを表した概要図
符号の説明
10 通線ロッド
10a 先端部
10b 終端部
12 誘導ツール
20,21 カップリング
22 挿入部
22c 係合爪
23 受入部
27 フック
40 ケーブルクランパー
41 ホルダー
42 固定クサビ
43 可動クサビ
44 スプリング
46 ケーブル
50,52,53 電柱
54 吊線
55 ケーブルハンガー

Claims (3)

  1. 電柱間に架け渡された既設の吊線に沿って設けられているケーブルハンガーに追加のケーブルを挿通させるのに先立って、このケーブルハンガーに挿通させる通線ロッドの終端部にケーブルクランパーを備えた通線ロッド用連結構造であって、
    ケーブルクランパーは、筒状のホルダーと、このホルダー内に組み込まれた固定クサビおよび可動クサビと、可動クサビを付勢するスプリングとによって構成され、固定クサビおよび可動クサビは、互いに接触可能な傾斜角の把持面をそれぞれ有するとともに、可動クサビが固定クサビ側へスプリングによって常に付勢され、互いの把持面の間でケーブルの端部をクランプするように構成されている通線ロッド用連結構造。
  2. 請求項1に記載された通線ロッド用連結構造であって、
    通線ロッドの終端部とケーブルクランパーとが、ワンタッチで連結あるいは連結を解除できるカップリングによって連結されている通線ロッド用連結構造。
  3. 請求項1に記載された通線ロッド用連結構造であって、
    ケーブルクランパーの可動クサビは、ホルダーの開放部から外に突出した操作部分を備えており、この操作部分をホルダーの外部から操することで可動クサビをスプリングの付勢力に抗して固定クサビから離れる方向へ移動させることが可能になっている通線ロッド用連結構造。
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