以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について説明する。
まず、第1の実施の形態について図1ないし図14を用いて説明する。
図1に示すように、この実施の形態に係る内視鏡システム10は、内視鏡12と、この内視鏡12に着脱可能なビデオプロセッサ14および光源装置16とを備えている。ビデオプロセッサ14には、スコープケーブル18およびモニタ20が接続されている。
内視鏡12は、細長い挿入部22と、この挿入部22の基端側に設けられた操作部24と、この操作部24から延出されたユニバーサルコード26とを備えている。
挿入部22は、可撓部22aと、この可撓部22aの先端に設けられた湾曲部22bと、この湾曲部22bの先端に設けられた先端硬質部22cとを備えている。可撓部22aの基端部は、操作部24に連結されている。先端硬質部22cには、それぞれ図示しないが、観察光学系、撮像素子、照明光学系、送気送水ノズル、鉗子口出口などが配設されている。
操作部24は、操作部本体24aと、グリップ24bと、スイッチカバー24cとを備えている。
操作部本体24aは、吸引制御バルブ30と、送気送水バルブ32と、リモートスイッチ34とを例えば並設した状態に備えている。リモートスイッチ34の一部は、スイッチカバー24cの内部に配設されている。
吸引制御バルブ30は、後述する吸引管路60の切り替えを行なう際に使用される。送気送水バルブ32は、対物レンズを洗滌するときに液体を出したり、洗滌したときの液体を吹き飛ばす際の送気や送水に使用される。リモートスイッチ34は、上述した撮像素子により撮像した映像信号に対して所望の処理を行なう際に使用される。その他、リモートスイッチ34は、例えば内視鏡12によって観察される像を拡大したり、その像を切り取ったり(写真に撮ったり)するように、適宜に割り当てられている。
操作部24には、それぞれ硬質の樹脂材で形成されたアングルノブ36(第1および第2の湾曲操作ノブ36UD,36LR)と湾曲固定レバー38(第1および第2のエンゲージレバー38UD,38LR)とが取り付けられている。
第1の湾曲操作ノブ36UDは、挿入部22の湾曲部22bを上下方向に湾曲させるときに操作される。第2の湾曲操作ノブ36LRは、挿入部22の湾曲部22bを上下方向に対して90度異なる位置である左右方向に湾曲させるときに操作される。第1のエンゲージレバー38UDは、第1の湾曲操作ノブ36UDを所望の状態で固定するときに操作される。すなわち、第1のエンゲージレバー38UDは、湾曲部22bを上下方向に湾曲させた状態を保持するときに使用される。第2のエンゲージレバー38LRは、第2の湾曲操作ノブ36LRを所望の状態で固定するときに操作される。すなわち、第2のエンゲージレバー38LRは、湾曲部22bを左右方向に湾曲させた状態を保持するときに使用される。
操作部24の挿入部22側のグリップ24bには、図2に示す後述する吸引管路60に連通された鉗子開口部72が形成されている。この鉗子開口部72には鉗子栓40が着脱可能に装着されている。この鉗子栓40が装着された状態では、鉗子開口部72から鉗子(図示せず)を挿入しない場合に鉗子栓40により鉗子開口部72が密閉されている。
ユニバーサルコード26は、例えばポリウレタン等の樹脂材で被覆されている。このユニバーサルコード26の操作部24に対して遠位側の端部には、硬質の樹脂材で形成されたコネクタ44が取り付けられている。
コネクタ44には、金属材製の送水タンク連結口金46と、金属材製の送気管48と、吸引口金50と、ライトガイド端部54と、電気コネクタ部56とが配設されている。送水タンク連結口金46は、図示しない送水タンクに接続されている。送気管48は、図示しないエアーポンプに接続されている。このため、上述した送気送水バルブ32が操作されたときに、挿入部22の先端部に向けて送水や送気を行なうことができる。吸引口金50には、後述する吸引チューブ68、吸引ビン78を通して吸引ポンプ76(図2参照)が接続されている。
ライトガイド端部54は、光源装置16のコネクタ受部16aに接続可能である。このため、光源装置16による照明光がコネクタ受部16aからライトガイド端部54を通して図示しないライトガイド内を伝送し、先端硬質部22c内の照明光学系から照明光が出射される。
電気コネクタ部56は、コネクタ44の側面に配設されている。この電気コネクタ部56にスコープケーブル(接続コード)18を接続してビデオプロセッサ14と接続することで、挿入部22の先端硬質部22cの撮像素子(図示せず)から出力された電気信号をモニタ20上に映像として映し出すことが可能である。
図2(A)に示すように、吸引制御バルブ30により切り換えられる内視鏡12の吸引管路60は、上流側吸引チャンネル62と、分岐管路部64と、下流側吸引チャンネル66と、上述した吸引口金50と、吸引チューブ68と、吸引シリンダ80とを備えている。
上流側吸引チャンネル62は、挿入部22の内部に設けられている。この上流側吸引チャンネル62の先端は、挿入部22の先端の吸引開口(鉗子口出口)70に連通されている。
分岐管路部64は、操作部24に設けられた上述した鉗子開口部72に連通されている。
下流側吸引チャンネル66は、ユニバーサルコード26の内部に設けられている。
吸引口金50は、下流側吸引チャンネル66の操作部24に対して遠位側の端部に、コネクタ44に取り付けられた状態で配設されている。
吸引チューブ68は、一端が吸引口金50に接続され、他端が吸引ビン78を有する吸引ポンプ76に接続されている。すなわち、吸引チューブ68は、吸引ポンプ76の吸引ビン78と吸引口金50とを接続している。
図2(B)に示すように、操作部24の操作部本体24aには、後述するピストン112を内周面で摺動可能な筒状の吸引シリンダ80が装着されている。シリンダ80の外周面には、操作部本体24aの内部と外部とを水密的に遮断するOリング82が操作部本体24aに配設されている。この吸引シリンダ80の下端部側、すなわち、操作部本体24aの内部側には、シリンダ80の中心軸に沿って下端部がそれぞれ開口された第1の開口部80aと、この第1の開口部80aに対して隣接する位置で、シリンダ80の中心軸に対して外れる方向に軸を有する第2の開口部80bとを備えている。この第2の開口部80bには、図2(A)に示す上流側チャンネル62の基端部が固定されている。第1の開口部80aには、図2(A)に示す下流側チャンネル66の基端部が固定されている。
そして、図2(A)に示すように、吸引制御バルブ30は、上流側吸引チャンネル62と下流側吸引チャンネル66との間のシリンダ80に配設されている。この吸引制御バルブ30は、体腔内の薬液、血液や、水などを吸引する吸引状態と、非吸引状態の切り替え操作を行なうことが可能である。
図2(B)に示すように、吸引シリンダ80の上端部には、例えばステンレス鋼材など、金属材製のシリンダ口金86が例えばネジによる螺合によって着脱可能に固定されている。このシリンダ口金86は、操作部本体24aの外表面に対して略面一に形成された第1のフランジ部86aと、この操作部本体24aに対して外方に突出した位置に設けられた第2のフランジ部86bとを備えている。このため、吸引シリンダ80に対してシリンダ口金86がネジ締結により装着されたときに、第1のフランジ部86aは、操作部本体24aの外面に対して略面一の状態にある。これら第1のフランジ部86aと第2のフランジ部86bとの間には、吸引制御バルブ30の後述する取付部本体120の下端部の係合部である凸部122(図4(A)および図4(B)参照)や取付板(保護板)190(図12および図13参照)を外方から装着可能である。
図3に示すように、吸引制御バルブ30は、取付部110と、ピストン112と、ボタン114と、バネ116と、指標118とを備えている。バネ116は金属材により形成されていることが好適であるが、樹脂材により形成されていることも好適である。取付部110は、例えばポリエチレン等の比較的弾性力を有する(弾性変形可能な)樹脂材で形成されている。また、ピストン112、ボタン114および指標118は、例えばポリアセタール等の比較的硬質の樹脂材で形成されている。
図4(A)および図4(B)に示すように、取付部110は、略円筒状に形成されている。このため、取付部110は、操作部本体24aの吸引シリンダ80および吸引シリンダ口金86に対して装着可能である。ピストン112は、円筒状の取付部110の中心軸に沿って摺動可能に配設されている。このピストン112は、シリンダ80の内周面に対して摺動可能に形成されている。ボタン114は、ピストン112の上端部に装着されている。また、バネ116は、ボタン114と取付部110との距離を保つために使用されている。このため、このボタン114を押圧することによって、ピストン112が下方に下げられてシリンダ80に対して押し込まれる。指標118は、吸引制御バルブ30が吸引制御を行なうことを示すために例えば模様が付されたり、色分けなどされてボタン114に装着されている。
取付部110は、円筒状の取付部本体120と、凸部122と、隔壁124と、延出部126と、突出部128と、リング状指掛部(引張部)130とを備えている。
取付部本体120の内径は、シリンダ口金86の第2のフランジ部86bの外径と同等あるいは、このフランジ部86bの外径よりもやや大径に形成されている。
凸部122は、取付部本体120の下端部の内周面に、径方向内方に向かって全周にわたって突出された状態に形成されている。この凸部122の内径は、シリンダ口金86の第2のフランジ部86bの外径よりも小さく形成されている。このため、この凸部122は、フランジ部86bを乗り越えて吸引シリンダ口金86に装着可能である。フランジ部86bと凸部122との係合により、取付部本体120が吸引シリンダ80から脱落することが防止される。
隔壁124は、取付部本体120に対して凸部122の上方に配設されている。この隔壁124は、取付部本体120の径方向内方に向かって突出されている。このため、取付部本体120を吸引シリンダ80に装着したときに、吸引シリンダ80の第2のフランジ部86bの上端面が隔壁124に突き当てられる。すなわち、隔壁124は、第2のフランジ部86b上に載置された状態にある。
隔壁124の中央部分には、取付部本体120の軸方向上方に沿って延びた1対の延出部126が形成されている。これら延出部126は、互いに対向する位置に形成されている。また、これら延出部126に隣接する位置は、リーク開口部132として使用されている。これら延出部126の上端部には、延出部126の内方に向かって突出したリング状の突出部128が形成されている。
この突出部128のリングの内周面は、中央にピストン112の後述するピストン軸部150が貫通されるピストン貫通穴128aである。このため、この突出部128には、ピストン軸部150が摺動自在に嵌合され、ピストン112の後述する段差部152が突出部128に対して下側から突き当てられる。すなわち、ピストン軸部150の段差部152よりも下側部分の外径は、隔壁124の内径よりもやや小さく形成されている。
この隔壁124の上端面は、筒状のバネ116の下端部を支持するバネ支持部である。
図5(A)および図5(B)に示すように、取付部本体120の上端部の外周には、取付部本体120の外周よりも大きな内径を有するリング状の指掛部130が取付部本体120に対して一体的に形成されている。この指掛部130は、取付部本体120の上端部に対して2箇所連結された連結部130aを備えている。これら連結部130aの両側にある取付部本体120の上端部には、V字状溝部134(図4(A)および図4(B)参照)が形成されている。
これら連結部130aの両側の取付部本体120の外周の上端から下端にかけて第1の薄肉部136aが形成されている。第1の薄肉部136aは、V字状溝部134から繋げられている。すなわち、第1の薄肉部136aは、V字状溝部134に隣接した位置に形成されている。
図5(A)および図5(C)に示すように、取付部本体120の中心軸に対して第1の薄肉部136aと対称の位置や隣接する位置などの複数の位置には、第2の薄肉部136bが形成されている。これら第2の薄肉部136bは、取付部本体120の下端部にのみ形成されている。これら第2の薄肉部136bは、第1の薄肉部136aと協働して、取付部本体120を上述したシリンダ口金86に取り付け易いように、取付部本体120の下端部を他の部分の肉厚よりも薄くして柔らかくしている。
図5(C)に示すように、取付部本体120の上述した凸部122には、複数の位置で切り欠かれた凸部切欠部138が形成されている。これら凸部切欠部138は、第1および第2の薄肉部136a,136bと対峙する凸部122の内周面に形成されている。
図4(B)および図5(B)に示すように、突出部128のピストン貫通穴128aには、回転規制突起128bが形成されている。この回転規制突起128bは、ピストン軸部150に配設された後述する回転規制溝150a(図4(B)参照)に嵌合されている。
図4(B)および図5(C)に示すように、隔壁124の下面には、シリンダ80に対して取付部本体120を位置決めする位置決め突起142が形成されている。この位置決め突起142は、吸引シリンダ80の上端部に形成された位置決め溝80c(図4(B)参照)に嵌合されている。このような位置決め突起142、位置決め溝80cなどの回転規制手段により、吸引制御バルブ30の取付部本体120を操作部本体24aの吸引シリンダ80およびシリンダ口金86に取り付ける際には、常に横穴154の開口部の一方が側面の第2の開口部80bに向けられる。
なお、図5(B)に示すように、隔壁124の第1の薄肉部136aの内周に位置する部分には、貫通穴144が形成されている。このため、これら貫通穴144により、第1の薄肉部136aは、取付部本体120の中心軸に平行に同一の肉厚で形成されている。
図4(A)および図4(B)に示すように、ピストン112は、ピストン軸部150を備えている。
このピストン軸部150の外周面には、上端部側と下端部側とで外径を変化させる段差部152が略中間部に形成されている。このピストン軸部150は、上端部側の径が下端部側に比べて小さく形成されている。この段差部152の下側には、ピストン軸部150の軸方向に対して直交する方向に横穴154が形成されている。ピストン軸部150の横穴154から下端部側には、ピストン軸部150の軸方向に沿って縦穴156が形成されている。すなわち、ピストン軸部150の下端から横穴154の位置まで、縦穴156が形成されている。
図4(A)に示すように、通常の状態(ボタン114が押圧されていない状態)では横穴154は、吸引シリンダ80の上端部に対して開口する位置に配設されている。上述した取付部110の延出部126に隣接したリーク開口部132は、この横穴154と同じ側に形成されている。
このピストン軸部150の上端部には、テーパ部158と、ピストン溝部160と、U字状切欠部162aとが形成されている。
テーパ部158は、ピストン軸部150の上端部に形成されている。ピストン軸部150のテーパ部158の下側には、リング状のピストン溝部160が形成されている。U字状切欠部162aは、ピストン軸部150の上端部に形成されている。
ピストン軸部150の段差部152よりも上端部側には、ピストン軸部150の軸方向に平行に互いに離隔する位置に1対の回転規制溝150aが形成されている。この回転規制溝150aは、取付部本体120の突出部128の回転規制突起128bに対して摺動可能である。
ピストン軸部150の上端部には、ボタン114が装着されている。
ボタン114の中央部には、ピストン軸部150の上端部を配設する孔が形成されている。この孔の内周面には、ピストン溝部160に嵌合可能なボタン凸部172(図4(A)参照)が形成されている。このボタン凸部172の下端部には、ボタン凸部172の下面の一部を切り欠いたボタン凹部174(図4(B)参照)が形成されている。
ボタン114の下端面は、円筒状のバネ116の上端部を支持するバネ支持部である。
ボタン114の中央で、ピストン112の上端には、指標118が装着されている。
この指標118は、上部が円盤状に形成されている。図4(A)および図4(B)に示すように、この指標118の下側の部分には、ピストン112のU字状切欠部162a(図4(A)参照)と同じ幅の指標固定部182(図4(B)参照)が形成されている。この指標固定部182の中央には、U字状切欠部162aに対して直交する方向に逆U字状に形成された逆U字状切欠部162bが形成されている。指標固定部182の外周の下端には、指標凸部(指標テーパ部)184が形成されている。この指標凸部184の上側には、指標溝部186が形成されている。
ボタン114をピストン軸部150の上端部に押し付けると、ピストン軸部150のテーパ部158がボタン凸部172に突き当てられる。このため、U字状切欠部162aが内側に撓み、テーパ部158がボタン凸部172を乗り越えてピストン溝部160がボタン凸部172に嵌め込まれる。すなわち、スナップフィット構造によりボタン114と指標118とが装着される。
取付部110内の突出部128の外周には、バネ116が配置されている。このバネ116の下端は隔壁124の上端面に支持されている(突き当てられている)。バネ116の上端は、ボタン114の下端面に支持されている(突き当てられている)。このバネ116は、若干圧縮された状態で配設されているので、上述した通常の状態ではピストン112の段差部152を突出部128に突き当てるように、ピストン112をピストン軸部150の上方に向かって付勢している。すなわち、バネ116は、ボタン114を取付部本体120の隔壁124に対して離隔するように付勢している。
指標118をボタン114に装着する場合、指標118の固定部182をピストン軸部150のU字状切欠部162aの向きに合わせて押し込む。このとき、指標118の逆U字状切欠部162bが撓み、指標テーパ部184がボタン凸部172を乗り越えてボタン凹部174に嵌まり込む。そうすると、ピストン112とボタン114と指標118とは、U字状切欠部162aと指標固定部182とボタン凹部174とにより互いに規制し合うため、互いの位置が固定され、互いに対する回動が規制される。
次に、このような吸引制御バルブ30を組み立てる組み立て操作について説明する。
取付部110のピストン貫通穴128aにピストン112のピストン軸部150を下側から挿通させる。この状態で取付部110の隔壁124の上にバネ116を載置する。
ピストン軸部150の上端部に対してボタン114を装着する。これは、スナップフィット構造であるので、ピストン軸部150にボタン114が装着されたことが容易に確認される。このとき、バネ116はボタン114によって若干圧縮された状態にある。
最後に、ボタン114の中央部に対して指標118を装着する。これはスナップフィット構造であるので、ボタン114に指標118が装着されたことが容易に確認される。
このように吸引制御バルブ30を組み立てた後、γ線あるいはETO滅菌する。滅菌された状態の吸引制御バルブ30を滅菌した袋などに梱包する。
内視鏡12の使用時には、吸引制御バルブ30をシリンダ口金86に装着した状態で使用する。
この場合、吸引制御バルブ30のピストン112をシリンダ80の内周面に摺動可能な状体に配置して、取付部本体120の凸部122をシリンダ口金86の第1および第2のフランジ部86bの間に嵌合させる。このとき、取付部本体120は、ポリエチレン等の樹脂材で形成されているので、容易に第2のフランジ部86bを乗り越えて第1および第2のフランジ部86a,86b間に嵌め込まれる。
このとき、第2の薄肉部136bが取付部本体120の下端部側に複数形成され、第2の薄肉部136bがそれぞれ均等に弾性変形するので、同じ作用をする第1の薄肉部136aと協働して装着時に取付部本体120が破壊される可能性が低下される。すなわち、第1および第2の薄肉部136a,136bにより、取付部本体120をシリンダ口金86に対して容易に安定して装着することができる。
このようにして、内視鏡12の使用時には、吸引制御バルブ30が装着される。
次に、このように装着された吸引制御バルブ30の作用について説明する。
下流側チャンネル66の端部に装着された吸引ポンプ76(図2参照)を作動させる。吸引ビン78、吸引チューブ68内が減圧され、それに伴って下流側チャンネル66も減圧される。
吸引制御バルブ30のボタン114が押圧されていない状態では、図4(A)に示すように、空気(外気)が取付部本体120の内周面とピストン軸部150との間、取付部本体120のリーク開口部132、ピストン軸部150の横穴154、ピストン軸部150の縦穴156を通して減圧された下流側チャンネル66側に吸引される。このため、外気からの空気は吸引ビン78を経て吸引ポンプ76に吸い込まれて吸引ポンプ76の外側に排出される。
一方、上流側チャンネル62の基端部は、ピストン軸部150の横穴154の下側の下端部の外周面によって、第1の開口部80aとピストン軸部150の内部との連通が遮断されているため、上流側チャンネル62が減圧されることはなく、上流側チャンネル62の先端(図2参照)には、吸引力は働かない。
次に、吸引制御バルブ30を用いて上流側チャンネル62の先端で生体組織や体液、薬液等の吸引を行なう場合について説明する。
吸引制御バルブ30のボタン114を押圧すると、図6に示すように、取付部本体120の内周面とピストン軸部150との間を流れていた空気(外気)の流れがピストン軸部150の外周面とシリンダ80の内周面とにより遮断される。
一方、上流側チャンネル62の基端部は、ピストン軸部150の横穴154に連通される。このため、上流側チャンネル62内の空気がピストン軸部150の横穴154、ピストン軸部150の縦穴156を通して減圧された下流側チャンネル66側に吸引される。
そうすると、生体組織や体液、薬液等が挿入部22の先端硬質部22cから上流側チャンネル62、シリンダ80の第2の開口部80b、ピストン軸部150の横穴、ピストン軸部150の縦穴156を通して減圧された下流側チャンネル66側に吸引される。
このとき、生体組織や体液、薬液等は吸引ビン78内に貯留され、同時に吸引された空気や他の気体は吸引ポンプ76に吸引されて排出される。
内視鏡12を用いて各種の処置を行なってこのような吸引操作を行なった後、吸引制御バルブ30をシリンダ口金86から取り外す。
この場合、まず、図7に示す状態から、図8に示すように、リング状指掛部130に指をかけてリング状指掛部130を持ち上げる。
図9に示すように、さらにリング状指掛部130を引くと、V字状溝部134の先端に応力が集中する。このため、このV字状溝部134に繋げられた第1の薄肉部136a内で次第にV字状溝部134の切り欠きが成長する。
そうすると、最終的には、図10に示すように、第1の薄肉部136aが破断される。このため、リング状指掛部130が取付部本体120から分離される。
この状態では、取付部本体120は、構造体としての強度のバランスが崩されている。このため、図11に示すように、取付部本体120の上端部に対して取付部本体120の径方向内方(図11中の矢印α方向)に力を加えると、取付部本体120の凸部122と第1および第2のフランジ部86a,86bとの間の嵌合状態が解除される。この状態で図11中の矢印β方向に力を加えると、吸引制御バルブ30が吸引シリンダ80および吸引シリンダ口金86に対して容易に取り外せる。
取り外した吸引制御バルブ30は、洗滌および滅菌したとしても取付部本体120が破壊されているので、次回の使用に耐えないので廃棄する。
次に、図12および図13を用いて吸引シリンダ80、上流側吸引チャンネル62および下流側吸引チャンネル66を後述するブラシ199(図14参照)を用いて洗滌するときに吸引シリンダ口金86に装着して使用される取付板190について説明する。
図12(A)、図12(B)、図13(A)および図13(B)に示すように、取付板190は、取付板本体(保護板本体)190aと、ブラシガイド部(洗滌具ガイド部)190bとを備えている。取付板本体190aは、把持部192とシリンダ取付部194とを備えている。把持部192およびシリンダ取付部194は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材で一体的に成型されている。このうち、把持部192は、取付板本体190aの一端部に配設され、シリンダ取付部194は取付板本体190aの他端部に配設されている。
シリンダ取付部194には、ブラシガイド部190bが配設された略円形状の開口部194aが形成されている。このシリンダ取付部194は、さらに、シリンダ口金86に係脱される係合部194bを備えている。この係合部194bは、開口部194aの縁部から取付板本体190aの下面側に延出された複数の延出部195aと、これら延出部195aの下端部からそれぞれ径方向内方側に突出された爪部195bとを備えている。延出部195aは、取付板190がシリンダ口金86に装着されるときに、シリンダ口金86の第1および第2のフランジ部86a,86bを取り囲むように円周状に配設されている。このため、爪部195bも円周状に配設されている。
これら係合部194bは、例えばポリプロピレンなどの樹脂材で形成されているので弾性変形可能である。このため、係合部194bの爪部195bは、シリンダ口金86の第1および第2のフランジ部86a,86b間に係脱可能である。すなわち、この取付板190は、シリンダ口金86に対してスナップフィット構造により係脱可能である。
シリンダ取付部194の上面には、開口部194aの縁部から中心部側に向かって延出された1対の固定延部194cが形成されている。これら固定延部194cは、シリンダ取付部194の延出部195aの上端部との間に溝194dが形成されている。この溝194dには、ブラシガイド部190bの縁部が配設されている。このため、ブラシガイド部190bは、シリンダ取付部194の固定延部194cと延出部195aの上端部との間に挟持された状態で取り付けられている。
このブラシガイド部190bは、例えばステンレス鋼などの金属材や、PTFEなどの滑り性の高い樹脂材で形成されている。このブラシガイド部190bは、取付板本体190aに対して上面側が広く、下面側が狭いテーパ状の傾斜部196aと、シリンダ取付部194の開口部194aの中心軸上に開口されたブラシ挿通孔196bとを備えている。このブラシ挿通孔196bの内径は、ブラシ199の太さなどによって適宜に変更可能である。
取付板本体190aの把持部192は、取付板190を把持したときに滑ることを防止する滑り止め192aを備えている。この把持部192は、滑り止め192aに隣接する取付板本体190aの一端に取付板190をシリンダ口金86から取り外すときに力を加える力点部192bをさらに備えている。この力点部192bは、取付板本体190aの中央や他端部に対してやや斜め上方に屈曲されている。このため、この力点部192bに図12(B)中の下方への力が加えられると、弾性力が取付板本体190aの他端部に伝達されて爪部195bの係合を解除する方向(図12(B)中の上方)に力が加えられる。
なお、上記説明では、把持部192とシリンダ取付部194とを一体的に形成したことについて説明したが、把持部192およびシリンダ取付部194に加えて、さらにブラシガイド部190bも一体的に形成しても良い。この場合、ブラシガイド部190bは、樹脂材で形成される。
次に、このような取付板190の作用について説明する。
上述したように吸引制御バルブ30を吸引シリンダ口金86に対して取り外した後、吸引シリンダ80、上流側吸引チャンネル62および下流側吸引チャンネル66に対して洗滌を行なう。この場合、図14に示すブラシ199を使用する。ブラシ199で吸引シリンダ80、上流側吸引チャンネル62および下流側吸引チャンネル66を洗滌する場合、取付板190を吸引シリンダ口金86に装着する。
取付板190の把持部192を把持した状態で、取付板190のシリンダ取付部194の爪部195bを吸引シリンダ口金86の第1および第2のフランジ部86a,86bの間に弾性変形により嵌め込む。
この状態では、吸引シリンダ80の開口部194a上に、取付板190のブラシガイド部190bが配設されている。すなわち、吸引シリンダ80の上端部の縁部上には、ブラシガイド部190bが配設されている。
ところで、ブラシガイド部190bに挿入されるブラシ(洗滌具)199は、可撓性を有するコイルで形成された挿入部199aと、この挿入部199aの先端部に設けられたブラシ部199bと、挿入部199aの基端部に設けられた操作部199cとを備えている。
ブラシ199のブラシ部199bおよびコイルで形成された挿入部199aを取付板190のブラシガイド部190bから吸引シリンダ80の内部に挿入する。この状態で、ブラシ199のコイルで形成された挿入部199aを取付板190のブラシガイド部190bに摺動させながらブラシ部199bで吸引シリンダ80、上流側吸引チャンネル62および下流側吸引チャンネル66内を洗滌する。
この場合、ブラシガイド部190bにより、吸引シリンダ80の上端部の縁部がブラシ199の挿入部199aに対して摺動されることがないので、吸引シリンダ80の上端部の縁部がブラシ199の挿入部199aによって摩耗する、すなわち削られることが防止される。
吸引シリンダ80、上流側吸引チャンネル62および下流側吸引チャンネル66内をそれぞれブラシ部199bによって洗滌した後、取付板190を吸引シリンダ口金86から取り外す。この場合、把持部192を把持して吸引シリンダ口金86に対して引っ張る。そうすると、シリンダ取付部194の爪部195bが弾性変形して広げられて、吸引シリンダ口金86から取り外される。すなわち、取付板190は、把持部192を上方に捲り上げられることによって、吸引シリンダ口金86の第1および第2のフランジ部86a,86b間から容易に取り外すことができる。
なお、吸引シリンダ80の上端部の縁部や、吸引シリンダ口金86は、さらにブラシ部199bで洗滌を行なう。この場合、挿入部199aが吸引シリンダ口金86に接触することがないので、吸引シリンダ80が削られることが防止される。
以上説明したように、この実施の形態に係る内視鏡12の吸引制御バルブ30によれば、以下の効果が得られる。
吸引制御バルブ30の取付部本体120の下端部に第2の薄肉部136bが複数形成されているので、吸引制御バルブ30を吸引シリンダ80および吸引シリンダ口金86に装着する際に、第1の薄肉部136aと協働して取付部本体120を略均等に弾性変形させることができる。このため、装着時に取付部本体120が破壊される可能性を低下させることができ、吸引制御バルブ30を吸引シリンダ80および吸引シリンダ口金86に対して安定して装着することができる。
また、吸引制御バルブ30の部材の大部分は樹脂材により形成されているので、部品を大量生産するのに適している。このため、吸引制御バルブ30を安価に生産することができる。また、部品点数が少なくスナップフィット方式により容易に組み立てることができる。したがって、自動機械により、吸引制御バルブ30を容易に組み立てることができる。
また、内視鏡12の使用後、吸引制御バルブ30を操作部24から取り外してチャンネル内を洗滌する。この実施の形態で説明した吸引制御バルブ30を取り外す場合、破壊する必要がある。このため、この実施の形態で説明した吸引制御バルブ30は、使い捨て品として使用することができる。このとき、次回に吸引制御バルブ30を使用する場合、新品の吸引制御バルブ30を使用するので、汚物が付着したまま使用される心配がなく、衛生的である。
仮に、使用後に破壊した吸引制御バルブ30を使用しようとすると、取付部本体120をシリンダ口金86に対して安定して装着することができない。このため、万が一誤装着されても、術者が点検時に使用後(破壊後)の吸引制御バルブ30であることを容易に認識することができる。したがって、吸引制御バルブ30が使用済みであるなどの誤装着の場合、その吸引制御バルブ30の使用を停止することができる。
また、オートクレーブ等の滅菌に要する光熱費や滅菌に使う薬液等の費用、およびそれらの作業に要する人件費等を節約することができるので、結果的にランニングコストを低く抑えることができる。
また、吸引制御バルブ30の取付部本体120の破壊操作は、リング状指掛部130に指を掛けて引くだけで破壊させることができ、かつ、取付部本体120の凸部122の一部はシリンダ口金86の第1および第2のフランジ部86a,86bに係合され、さらに、吸引シリンダ80の内部にピストン112の下端部が配設されているので、吸引シリンダ80から不用意に脱落することを防止することができる。
以上説明したように、この実施の形態によれば、吸引制御バルブ30を安価に構成して使い捨て品として、使用することができる。また、吸引制御バルブ30の内視鏡12に対する着脱操作を容易に行なうことができるとともに、誤操作、誤装着を防止することができる。
また、吸引シリンダ80、上流側吸引チャンネル62および下流側吸引チャンネル66をブラシ199を用いて洗滌する場合、取付板190を用いることができる。この場合、ブラシ199の挿入部199aが取付板190のブラシガイド部190bに当接されるが、吸引シリンダ80の上端部の縁部に接触することがないので、吸引シリンダ80の上端部が摩耗して削られることを防止することができる。したがって、吸引制御バルブ30を押圧して上流側吸引チャンネル62側から吸引を行なう場合であっても、空気の漏れが防止されるので、良好な吸引性能を長く維持することができる。
次に、第2の実施の形態について図15ないし図20を用いて説明する。この実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態に係る吸引制御バルブ30と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
第1の実施の形態に係る吸引制御バルブ30と、この実施の形態に係る吸引制御バルブ30とは、取付部110の構造のみが異なる。
図15に示すように、この実施の形態に係る吸引制御バルブ30は、第1の実施の形態で説明したように、取付部110と、ピストン112と、ボタン114と、バネ116と、指標118とを備えている。
取付部110は、円筒状の取付部本体220と、凸部122と、隔壁124と、延出部126と、突出部128と、リング状指掛部230とを備えている。
図15、図16(A)、図17(A)および図17(D)に示すように、この取付部本体220の下端部には、半周分だけ取付部本体220の外周面よりもさらに外側に突出したハーフリング部224が形成されている。図17(D)に示すように、このハーフリング部224の両端部は、取付部本体220の外周面に連結部226によって連結されている。
図16(A)、図16(B)、図17(C)および図17(D)に示すように、取付部本体220の下端部の内周面には、凸部122が形成されている。このため、第1の実施の形態と同様に、第1および第2のフランジ部86a,86bと係合して装着状態が維持される。
図15および図17(B)に示すように、リング状指掛部230は、取付部本体220の上端部の外周に配設されている。この指掛部230は、取付部本体220の外側で取付部本体220の軸方向に平行に延出された縦方向連結部230aに連結されている。この縦方向連結部230aの下端部には、上述したハーフリング部224の略中央部が一体的に形成されている。
図17(C)に示すように、取付部本体220の下端部には、取付部本体220の周方向に沿って薄肉に形成された横方向薄肉部232が形成されている。この横方向薄肉部232は、ハーフリング部224や凸部122よりも上側に形成されているが、隔壁124よりも下側に形成されている。この横方向薄肉部232は、指掛部230の縦方向連結部230aからハーフリング部224の周方向に沿って連結部226まで形成されている。
図17(A)および図17(C)に示すように、横方向薄肉部232の連結部226側には、切欠穴234が形成されている。
図17(C)および図17(D)に示すように、第1の実施の形態と同様に、凸部122には、凸部切欠部138が形成されている。図17(C)に示すように、凸部切欠部138は、切欠穴234と対峙する位置にも形成されている。
図17(D)に示すように、縦方向連結部230aの近傍の取付部本体220の外周には、V字状溝部を有する薄肉部236が形成されている。これら薄肉部236は、取付部本体220の中心軸に対して対称となる位置に形成されている。凸部切欠部138は、薄肉部236と対峙する位置にも形成されている。
次に、この実施の形態に係る吸引制御バルブ30の作用について説明する。
ここでは、内視鏡12を用いて各種の処置を行なった後、吸引制御バルブ30をシリンダ口金86から取り外す際の作用について説明する。吸引制御バルブ30を組み立てる組み立て手順および吸引制御バルブ30を用いて所望の吸引を行なう作用は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
この場合、まず、図18に示す状態から、図19に示すように、リング状指掛部230に指をかけてリング状指掛部230を持ち上げる。
図20(A)に示すように、さらにリング状指掛部230を引くと、縦方向連結部230aからハーフリング部224に荷重が伝達される。このため、連結部226が図20(A)中の矢印γ方向に引っ張られる。
同時に、取付部本体220の中心軸に対して外周方向に連結部226が広がり、切欠穴234(図17(A)および図17(C)参照)から破壊が進行する。そうすると、凸部122が内周側から外周側に捲り上げられる。
さらに破壊が進行すると、横方向薄肉部232にせん断力が加えられて、図20(B)に示すように、凸部122のほぼ全てが外周側に捲り上げられる。
この状態では、広範囲に取付部本体220の凸部122とシリンダ口金86の第1および第2のフランジ部86a,86bとの係合が解除されるので、容易に取付部本体220と吸引シリンダ口金86との嵌合が解除される。この状態で図20(B)中の矢印δ方向に力を加えると、吸引制御バルブ30が吸引シリンダ80および吸引シリンダ口金86に対して容易に取り外せる。
取り外した吸引制御バルブ30は、洗滌および滅菌したとしても取付部本体220が破壊されているので、次回の使用に耐えないので廃棄する。
以上説明したように、この実施の形態に係る内視鏡12の吸引制御バルブ30によれば、以下の効果が得られる。
吸引制御バルブ30を内視鏡12の操作部24から取り外すときに、取付部本体220の下端部に設けられた凸部122を広範囲にわたって破壊(係合を解除)することができる。そうすると、取付部本体220の凸部122とシリンダ口金86の第1および第2のフランジ部86a,86bとの間の係合を容易に解除することができるので、吸引制御バルブ30を内視鏡12の操作部24から容易に取り外すことができる。
また、リング状の指掛部230は、縦方向連結部230aによって取付部本体220から位置をずらし易く、指を掛けやすいので、破壊操作に必要な力を容易に負荷することができる。
上述した第1および第2の実施の形態では、吸引管路60の吸引シリンダ口金86に装着される吸引制御ボタン30について説明したが、内視鏡12には、吸引制御ボタン30が接続される吸引管路60以外にも複数の管路が存在する。例えば、検査対象物に液体を噴出させる副送水管路や、鉗子起上に関する起上操作ワイヤ管路である。以下、第3ないし第6の実施の形態では、これらの管路について説明する。
次に、第3の実施の形態について図21および図22を用いて説明する。この実施の形態は第1および第2の実施の形態の変形例であって、第1および第2の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
例えば大腸に対して使用される内視鏡(ここでは、第1の実施の形態と同様に符号12を付す)には、図21に示す副送水管路360を備えているものがある。図21に示すように、この副送水管路360の先端は、挿入部22の先端の先端硬質部22cに配設されている。この副送水管路360の基端は、ユニバーサルコード26のコネクタ44に配設されている。このため、副送水管路360は、挿入部22、操作部24およびユニバーサルコード26に挿通されている。
図22(A)に示すように、コネクタ44は、コネクタ本体44aと、折れ止め部44bとを備えている。
コネクタ本体44aは、副送水管路ケーシング344を備えている。このケーシング344には、副送水管路開口部ガード344aと、副送水管路開口口金344bとが隣接した状態に配設されている。
副送水管路開口部ガード344aは、副送水管路ケーシング344から外方に突出した、例えば硬質のプラスチック材で形成されている。この副送水管路開口部ガード344aの突出量は、副送水管路開口口金344bに対して大きい。このため、副送水管路ケーシング344に対して外方から物体が衝突する際に、副送水管路開口口金344bに隣接した副送水管路開口部ガード344aに先に衝突するので、副送水管路開口口金344bに物体が衝突することが防止される、または、衝突の衝撃が和らげられた状態で衝突される。このため、副送水管路開口口金344bが破損することが防止される。
この口金344bには、ネジが切られており、図示しないシリンジなどを着脱可能に螺着可能である。この口金344bには、例えば白色などに着色されたキャップ344cの一端が装着されている。このキャップ344cは、一端が口金344bの基部に係合され、他端が口金344bの蓋部であり、これら一端と他端の間は、可撓性を有する腕部によって形成されている。このキャップ344cは、例えばシリコーンゴム材などにより形成されているので、容易に変形可能である。
この口金344bに隣接する位置には、表示手段としてラベル部390が形成されている。すなわち、副送水管路ケーシング344には、ラベル部390が形成されている。このラベル部390には、例えば図22(B)に示すように、開口部口金344bの名称、洗滌消毒を促す内容の表記などの文字や、記号が表記されている。この場合、ラベル部390は、副送水管路ケーシング344に貼り付けられるシールなどに対する印刷や、副送水管路ケーシング344自体に対する成型や副送水管路ケーシング344に対するペイントなどにより表示されている。
このようなラベル部390には、図22(B)に示すように、一例として、「Auxiliary Water Inlet」や、「REPROCESS CHANNELS AFTER EVERY PROCEDURE」などの文字や、注意を喚起する記号が付されている。なお、このラベル部390の文字や略号、記号などは、使用者が認識しやすいように、内視鏡12のコネクタ44の副送水管路ケーシング344の色である黒色や灰色と異なる色である、例えば白色や赤色、黄色などに着色されていることが好適である。
口金344bの名称として、図22(B)中に示した「Auxiliary Water Inlet」の他に、「副送水チューブ取付口金」としても良い。すなわち、このような表記は、内視鏡12を使用する国ごとに、その国で使用される言語等に合わせて適宜に変更可能である。
また、開口部口金344bの名称として「Auxiliary Water Channel」や「副送水管路」や「副送水チャンネル」としても良い。さらに、副送水管路360に対する洗滌消毒を促す内容の表記として、「REPROCESS CHANNELS AFTER EVERY PROCEDURE」の他に、「REPROCESS」としても良い。開口部口金344bには、「Auxiliary Water Inlet」の略号である「A.U.X」を用いても良い。これらの表記は、適宜に選択可能である。
次に、この実施の形態に係るラベル部390の作用について主に説明する。
内視鏡12の使用時に、挿入部22の先端から患部に対して送液して、その患部を確認したい場合がある。この場合、副送水管路開口口金344bに図示しないシリンジを装着して、例えば水や薬液を副送水管路360に流す。すなわち、コネクタ44、ユニバーサルコード26、操作部24および挿入部22を介して挿入部22の先端硬質部22cから水や薬液を吐出させる。このため、患部が洗滌などされて、確認される。
内視鏡12を用いた全ての処置が終了した後、この内視鏡12を洗滌する。副送水管路360の特に先端側は水や薬液等の吐出による体液や血液等の跳ね返りなどによって汚されている。
内視鏡12のコネクタ44の副送水管路ケーシング344のラベル部390には、副送水管路360がそこにあり、かつ、使用後に洗滌が必要な旨である「REPROCESS CHANNELS AFTER EVERY PROCEDURE」や、そのような注意を喚起する記号が表記されている。このため、第1の実施の形態で説明したように、吸引管路60である、上流側吸引チャンネル62、吸引シリンダ80、および下流側吸引チャンネル66が洗滌されるとともに、副送水管路360も内視鏡12の洗滌担当者が洗滌する必要があることが容易に認識される。
このため、吸引管路60だけでなく、副送水管路360に対しても、その内視鏡12の洗滌担当者が洗滌を行なうことが必要であるといった認識が生じる。そうすると、副送水管路360に対しても、確実に洗滌が行なわれる。
以上説明したように、この実施の形態に係る内視鏡12によれば、以下の効果が得られる。
副送水管路360を設けた内視鏡12のコネクタ44に副送水管路開口口金344bを設け、この口金344bの近傍にラベル部390を設けた。また、口金344bに装着したキャップ344cにコネクタ44に対して容易に認識可能な色を着色した。したがって、洗滌担当者に対して、キャップ344cの位置に副送水管路360の口金344bがあることが認識され、かつ、その口金344bに隣接する位置に使用後に洗滌が必要な旨が表記されているので、これから洗滌を行なう内視鏡12がどのような種類であるかを調べることなく、副送水管路360に対しても洗滌を行なうように喚起することができる。また、副送水管路360の口金344bに装着されたキャップ344cは、他の部分に対して認識しやすい色に着色されているので、副送水管路360の口金344bがそこにあることを洗滌担当者が容易に認識することができる。したがって、洗滌担当者に対して、内視鏡12の種類をいちいち調べる必要なく、副送水管路360を確実に洗滌させることができる。
また、副送水管路開口口金344bに隣接する位置に、副送水管路開口部ガード344aを配設したので、副送水管路ケーシング344に対して物体が衝突しようとするときに、先に開口部ガード344aに衝突させ、開口口金344bに衝突することを防止する、または、衝突の衝撃を和らげた状態で衝突させることができるので、開口口金344bが破損することを防止することができる。
なお、この実施の形態では、副送水管路360の口金344bに着脱可能なキャップ344cを白色であるとして説明したが、例えば赤、青、黄、緑など、洗滌担当者がその副送水管路開口口金344bが存在していることを容易に認識することができれば良い。すなわち、このようなキャップ344cの色は、内視鏡12のコネクタ44の色に基づいて、適宜に変更可能である。
また、この実施の形態では、副送水管路開口口金344bに装着されるキャップ344cが着色されていることについて説明したが、さらに、口金344bの縁部自体にOリング状などの形態によって、口金344bが洗滌担当者によって容易に認識されるようにすることも好適である。このような口金344bの縁部は、例えば赤、青、黄、緑など、洗滌担当者がその副送水管路開口口金344bが存在していることを容易に認識することができるように着色されていることが好適である。
次に、第4の実施の形態について図23および図24を用いて説明する。この実施の形態は、第3の実施の形態の変形例であって、第1ないし第3の実施の形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
例えば大腸に対して使用される内視鏡には、図23に示す副送水管路460を備えているものがある。図23に示すように、この副送水管路460の先端は、挿入部22の先端の先端硬質部22cに配設されている。この副送水管路460の基端は、操作部24のグリップ24bに配設されている。このため、副送水管路460は、挿入部22および操作部24のグリップ24bに挿通されている。
図24(A)および図24(B)に示すように、操作部24のグリップ24bには、副送水管路開口口金444が配設されている。この口金444には、図示しないシリンジなどを着脱可能である。
この口金444の縁部444a(図23参照)は、操作部24のグリップ24bとは異なる、例えば白、赤、黄、緑などに着色されている。
この口金444に隣接する位置には、表示手段としてラベル部490が形成されている。すなわち、グリップ24bには、ラベル部490が形成されている。このラベル部490には、例えば図24(C)に示すように、開口部口金444の名称、洗滌消毒を促す内容の表記などの文字や、記号が表記されている。この場合、ラベル部490は、グリップ24bに貼り付けられるシールなどに対する印刷や、グリップ24b自体に対する成型やグリップ24bに対するペイントなどにより表示されている。
このようなラベル部490には、一例として、図24(C)に示すように、このラベル部490には、「Auxiliary Water Inlet」や、「REPROCESS CHANNELS AFTER EVERY PROCEDURE」などの文字や、注意を喚起する記号が付されている。なお、このラベル部490の文字や略号、記号などは、使用者が認識しやすいように、内視鏡12の操作部24のグリップ24bの黒色や灰色と異なる色である、例えば白色や赤色、黄色などに着色されていることが好適である。
口金444の名称として、図24(C)中に示した「Auxiliary Water Inlet」の他に、「副送水チューブ取付口金」としても良い。また、開口部口金444の名称として「Auxiliary Water Channel」や「副送水管路」や「副送水チャンネル」としても良い。さらに、副送水管路460に対する洗滌消毒を促す内容の表記として、「REPROCESS CHANNELS AFTER EVERY PROCEDURE」の他に、「REPROCESS」としても良い。口金444には、「Auxiliary Water Inlet」の略号である「A.U.X」を用いても良い。これらの表記は、適宜に選択可能である。
この実施の形態に係る副送水管路460およびラベル部490の作用および効果は、第3の実施の形態に係る副送水管路360およびラベル部390の作用および効果と同一であるので、説明を省略する。
なお、この実施の形態では、口金444の縁部に着色することについて説明したが、例えば、口金444の基部の縁部をグリップ24bに対して認識し易い色に着色することも好適である。
次に、第5の実施の形態について図25および図26を用いて説明する。この実施の形態は、第4の実施の形態の変形例であって、第1ないし第4の実施の形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
例えば大腸に対して使用される内視鏡には、図25に示す副送水管路560を備えているものがある。図25に示すように、この副送水管路560の先端は、挿入部22の先端の先端硬質部22cに配設されている。この副送水管路560の基端は、操作部24の操作部本体24aに配設されている。このため、副送水管路560は、挿入部22および操作部24に挿通されている。
図26に示すように、操作部24の操作部本体24aには、副送水管路開口口金544が配設されている。この口金544には、図示しないシリンジなどを着脱可能である。この口金544には、例えば白色などに着色されたキャップ344cの一端が装着されている。このキャップ344cは、一端が口金544の基部に係合され、他端が口金544の蓋部であり、これら一端と他端の間は、可撓性を有する腕部によって形成されている。このキャップ344cは、例えばシリコーンゴム材などにより形成されているので、容易に変形可能である。このキャップ344cは、例えば白や、黄色などに着色され、黒色や灰色などの内視鏡12の操作部24と容易に区別可能な色に着色されていることが好適である。
また、この口金544の縁部は、操作部24のグリップ24bとは異なる、例えば白、赤、黄、緑などに着色されていることが好適である。さらに、この口金544に隣接する位置には、図示しないが、ラベル部が形成されている。すなわち、操作部本体24aには、ラベル部が形成されている。このラベル部には、開口口金544の名称、洗滌消毒を促す内容の表記などの文字や、記号が表記されている。この場合、ラベル部は、操作部本体24aに貼り付けられるシールなどに対する印刷や、操作部本体24a自体に対する成型や操作部本体24aに対するペイントなどにより表示されている。
この実施の形態に係る副送水管路560およびラベル部の作用および効果は、第3の実施の形態に係る副送水管路360およびラベル部390の作用および効果と同一であるので、説明を省略する。
次に、第6の実施の形態について図27ないし図31を用いて説明する。この実施の形態は、第1および第2の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図27に示すように、例えば十二指腸に対して使用される内視鏡(ここでは、第1の実施の形態と同様に符号12を付す)は、図示しない鉗子起上台を挿入部22の先端硬質部22cに備えている。このため、処置具挿通チャンネルに挿通された処置具を鉗子起上台(処置具起上台)によって、挿入部22の先端部で所望の向きに偏向することができる。また、このような処置具の向きを視覚的に捉えることができるように、先端硬質部22cに配設された対物レンズや照明レンズ等は、挿入部22の軸方向に対して外れる方向に視野領域を備えている。このため、対物レンズや照明レンズ等を配設するために先端硬質部22cは、一部が切り欠かれている。
図28に示すように、この実施の形態に係る内視鏡12には、鉗子起上ワイヤ管路660を備えているものがある。この鉗子起上ワイヤ管路660の先端は、挿入部22の先端の先端硬質部22cに配設されている。
図29に示すように、操作部本体(ケーシング)24aには、鉗子起上レバー662が所定の範囲内を回動可能に枢支されている。この鉗子起上レバー662には、リンク棒664の一端が回動可能に枢支されている。このリンク棒664の他端には、固定ピン665(図30参照)によってピストンロッド666が回動可能に支持されている。このピストンロッド666には、連結ロッド668の基端部(上端部)が例えばネジ止めによって着脱可能に固定されている。
図30に示すように、操作部24の地板24dには、第1のパイプ固定部材670aが第1の取付板671aによって取り付けられている。この地板24dには、第2のパイプ固定部材670bが第2の取付板671bによって取り付けられている。なお、第1のパイプ固定部材670aは、第2のパイプ固定部材670bに対して操作部本体24aに近接する位置に配置されている。また、地板24dには、ピストンロッド666が摺動される際の摺動抵抗を低減させるため、例えばポリアセタールなどからなる摺動板671cが固定されている。
図29および図30に示すように、第1のパイプ固定部材670aには、連結パイプ672の基端部(上端部)が固定されている。この連結パイプ672の先端部(下端部)には、第2のパイプ固定部材670bが配置されている。
これら第1のパイプ固定部材670a、連結パイプ672、および、第2のパイプ固定部材670bは、上述した連結ロッド668を液密状態で進退可能に保持する。すなわち、連結ロッド668は、第1のパイプ固定部材670a、連結パイプ672、および、第2のパイプ固定部材670b内を進退可能である。
第2のパイプ固定部材670bには、鉗子起上ワイヤ管路660が固定されている。このワイヤ管路660は、図28ないし図30に示すように、内視鏡12の挿入部22に内装された状態で固定されている。
また、図29および図30に示すように、連結ロッド668の先端部(下端部)には、鉗子起上ワイヤ674の基端部(上端部)が連結されている。この鉗子起上ワイヤ674は、ワイヤ管路660の内部に挿通されている。この鉗子起上ワイヤ674の先端部(下端部)には、図示しない鉗子起上台が連結されている。
図29に示すように、操作部本体(ケーシング)24aには、外周面にネジが切られ、口金として使用される鉗子起上ワイヤ管路開口部644が配設されている。このワイヤ管路開口部644には、操作部本体24aの内部側で洗滌用チューブ676の一端が装着されている。図29および図30に示すように、この洗滌用チューブ676の他端は、上述した第1のパイプ固定部材670aに連結されている。
このような鉗子起上台を起上させたり、元の位置に戻したりする作用について簡単に説明する。
まず、鉗子起上レバー662を操作部本体24aに対して回動させる。すると、リンク棒664が操作部本体24aの内部で進退する。このリンク棒664の進退動作は、ピストンロッド666に伝達され、続いて、連結ロッド668に伝達される。
そうすると、連結ロッド668から鉗子起上ワイヤ674に鉗子起上レバー662の進退動作が伝達される。このため、ワイヤ674に対して張力を与えてワイヤ674の先端部に連結された鉗子起上台(図示せず)を元の位置から起上させたり、その張力を解放して鉗子起上台(図示せず)を元の位置に戻したりすることが可能である。
この場合、ワイヤ管路660内を通して操作部24側に流れてくる血液や体液等は、第2のパイプ固定部材670bおよび第1のパイプ固定部材670aの間が液密に保持されているので、操作部24に流れてくることが防止される。
図31(A)に示すように、この鉗子起上ワイヤ管路開口部644に隣接する位置には、表示手段としてラベル部690が形成されている。すなわち、操作部本体24aには、ラベル部690が形成されている。このラベル部690には、例えば図31(B)に示すように、開口部644の名称、洗滌消毒を促す内容の表記などの文字や、記号が表記されている。この場合、ラベル部690は、操作部本体24aに貼り付けられるシールなどに対する印刷や、操作部本体24a自体に対する成型や操作部本体24aに対するペイントなどにより表示されている。
このようなラベル部690には、図31(B)に示すように、一例として、「Elevator Channel Plug」や、「REPROCESS CHANNELS AFTER EVERY PROCEDURE」などの文字や、注意を喚起する記号が付されている。なお、このラベル部690の文字や略号、記号などは、使用者が認識しやすいように、内視鏡12の操作部本体24aの色である黒色や灰色と異なる色である、例えば白色や赤色、黄色などに着色されていることが好適である。
開口部644の名称として、図31(B)中に示した「Elevator Channel Plug」の他に、「洗滌チューブ取付口金」としても良い。すなわち、このような表記は、内視鏡12を使用する国ごとに、その国で使用される言語等に合わせて適宜に変更可能である。
また、管路660の名称として「Elevator Wire Channel」や「鉗子起上ワイヤ管路」や「鉗子起上ワイヤチャンネル」としても良い。さらに、鉗子起上ワイヤ管路660に対する洗滌消毒を促す内容の表記として、「REPROCESS CHANNELS AFTER EVERY PROCEDURE」の他に、「REPROCESS」としても良い。開口部644には、「ELEVATOR」の略号である「ELEV」を用いても良い。これらの表記は、適宜に選択可能である。
次に、この実施の形態に係る内視鏡12の作用について説明する。
例えば十二指腸など、内視鏡12を用いて処置を行なう際、処置具が処置具挿通チャンネルに挿通されて使用される。この処置具挿通チャンネルの先端から突出した処置具は、鉗子起上台で挿入部22の軸方向から外れる方向に屈曲される。このときは、鉗子起上ワイヤ674に張力を加えた状態にある。処置を終了させた後、鉗子起上ワイヤ674への張力を解放し、処置具を処置具挿通チャンネルから抜き取る。
内視鏡12を用いた全ての処置が終了した後、この内視鏡12を洗滌する。なお、鉗子起上ワイヤ674の先端は鉗子起上台に連結されているので、各種の処置に伴うワイヤの摺動によって汚されている。
この場合、内視鏡12の操作部24のラベル部690には、鉗子起上ワイヤ管路660は、使用後に洗滌が必要な旨である「REPROCESS CHANNELS AFTER EVERY PROCEDURE」が表記されている。このため、第1の実施の形態で説明したように、吸引管路60である、上流側吸引チャンネル62、吸引シリンダ80、および下流側吸引チャンネル66が洗滌されるとともに、鉗子起上ワイヤ管路660も洗滌担当者が洗滌する必要があることが容易に認識される。
吸引管路60を洗滌する作用は、第1の実施の形態で説明したので、ここでは説明を省略する。
一方、鉗子起上ワイヤ管路660の洗滌を行なう場合、鉗子起上ワイヤ管路開口部644に対して、洗滌水あるいは消毒液を収容した注射筒(図示せず)などを装着する。この注射筒から上述した洗滌用チューブ676を通して洗滌水や消毒液を圧送する。すると、この洗滌用チューブ676から第1のパイプ固定部材670a、連結パイプ672、および、第2のパイプ固定部材670bを通して洗滌水や消毒液が鉗子起上ワイヤ管路660内に導入されてその管路660内が洗滌消毒される。
その後、鉗子起上ワイヤ管路開口部644に送気チューブが装着される。この送気チューブによって洗滌水や消毒液と同様に鉗子起上ワイヤ管路660内に気体が送気されて、鉗子起上ワイヤ管路660内の液体がこの管路660の先端から噴出される。すなわち、鉗子起上ワイヤ管路660内が乾燥される。
以上説明したように、この実施の形態に係る内視鏡12よれば、以下の効果が得られる。
鉗子起上ワイヤ管路660を設けた内視鏡12の操作部24にワイヤ管路開口部644を設け、このワイヤ管路開口部644の近傍にラベル部690を設けた。したがって、洗滌担当者に対して、ワイヤ管路660のワイヤ管路開口部644があることが認識され、かつ、そのワイヤ管路開口部644に隣接する位置に使用後に洗滌が必要な旨が表記されているので、内視鏡12がどのような種類であるかを認識することなく、ワイヤ管路660に対しても洗滌を行なうように喚起することができる。したがって、洗滌担当者に対して、内視鏡12の種類をいちいち調べる必要なく、ワイヤ管路660を確実に洗滌させることができる。
なお、図示しないが、キャップ344c(図26参照)を鉗子起上ワイヤ管路開口部644に装着することも好適である。このとき、キャップ344cは、例えば白、赤、青、黄、緑など、洗滌担当者がその644が存在していることを容易に認識することができるように、着色されていることが好適である。
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
上記説明によれば、下記の事項の発明が得られる。また、各項の組み合わせも可能である。
[付記]
(付記項1)
内視鏡のチャンネルから体腔内の体液等の吸引を制御する吸引制御バルブにおいて、
前記吸引制御バルブは、
樹脂材製の取付部、ピストン部、およびボタン部と金属材製のバネ部より構成され、
前記取付部を介して内視鏡操作部の吸引シリンダ口金に取り付けられ、前記取付部は、吸引シリンダ口金のフランジ部外径より小径の内径を有していて、フランジ部外径を乗り越えて装着されてフランジ部に係合されている。取付部上部には、取付部外径よりも一回り大きい内径を有する指掛部がリング状に設けられ、指掛部は連結部を介して取付部本体に連結されている。連結部近傍には、薄肉部が形成され、指掛部を引っ張ることにより連結部から薄肉部が破壊されて、前記取付部とフランジ部の係合が解除されることを特徴とする内視鏡用吸引制御バルブ。
(付記項2)
シリンダと、このシリンダの一端部の外周面に配設され、フランジ部を有するシリンダ口金を備えた操作部を具備し、
前記シリンダ口金に装着される取付部と、
前記取付部に対して摺動可能なピストン部と、
前記ピストン部の上端部に配設され、前記取付部に対して前記ピストン部を摺動動作させるボタン部と、
前記ボタン部と前記取付部との間で前記ピストン部の外周に配設され、前記ボタン部を前記取付部に対して離隔する方向に付勢するバネと
を有する吸引制御バルブを前記操作部の前記シリンダ口金に装着可能な内視鏡において、
前記取付部は弾性変形可能な樹脂材により形成された取付部本体を備え、
前記取付部本体は、
前記シリンダ口金の前記フランジ部の外径よりも小さな内径を備え、前記フランジ部を乗り越えて装着される係合部と、
前記取付部本体の外側に配設され、前記取付部本体に対して連結部で連結された引張部と、
前記連結部に隣接する位置に形成された薄肉部と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項3)
前記薄肉部に隣接する位置には、前記薄肉部を容易に切断可能な切欠部が形成されていることを特徴とする付記項2に記載の内視鏡。
(付記項4)
前記取付部本体は、前記薄肉部の薄さを保持する貫通孔と、前記ピストン部の回転を規制する回転規制部とを有する隔壁を備えていることを特徴とする付記項2もしくは付記項3に記載の内視鏡。
(付記項5)
前記連結部は、前記取付部本体の上端部に連結されていることを特徴とする付記項2ないし付記項4のいずれか1に記載の内視鏡。
(付記項6)
前記連結部は、前記取付部本体の下端部に連結されていることを特徴とする付記項2ないし付記項4のいずれか1に記載の内視鏡。
(付記項7ないし付記項22に対する従来技術)
従来より、内視鏡には様々な管路が内部に設けられ、その管路に連通する開口部が内視鏡の表面に設けられている。特に、内視鏡の挿入部の先端部に設けられたレンズ面の洗滌のために送気や送水を行なう送気管路や、血液や処置対象物を吸引する吸引管路や、処置具を挿入可能な処置具挿通チャンネルについては主だった機種に搭載されている。
一方、十二指腸やその近傍の検査、処置に使用される十二指腸用内視鏡には、処置具挿通チャンネルに挿通させた処置具の軸方向を偏向させる鉗子起上台が設けられている。この鉗子起上台は、鉗子起上台から挿入部の基端部側に延出される起上操作ワイヤを押し引き操作することで動作される。
この起上操作ワイヤは進退自在に起上操作ワイヤ管路に内挿され、前述した押し引き操作を行なうことができる。このような起上操作ワイヤ管路の内部を洗滌消毒可能となるように、内視鏡の表面には、前記起上操作ワイヤ管路に連通する開口部が設けられ、そこから洗滌液などを注入できるようにしている。
さらに、例えば、内視鏡の先端から体腔内の例えば病変に向かって送水し、病変を洗滌する副送水管路を有する内視鏡もある。その場合、副送水管路に例えば水を供給可能となるように、内視鏡の表面にはその副送水管路に連通する副送水管路開口部が設けられている。
(付記項7ないし付記項22が解決しようとする課題)
前述した送気管路、送水管路、処置具挿通チャンネルは主だった内視鏡に搭載されているが、起上操作ワイヤ管路や副送水管路を有する内視鏡は一部である。
そのため、内視鏡を扱う人は、洗滌消毒の際に洗滌消毒対象となる内視鏡がどの形式の内視鏡であるかをいちいち確認した上で、搭載されている管路を洗滌消毒する必要があるかどうか、判断する必要がある。しかし、挿入部の太さや長さ、対象となる消化管の種類の差によって内視鏡は様々な種類を備え、その形式を洗滌消毒のたびに瞬時に識別するのは容易ではなく、洗滌消毒の手間が掛かる一因である。
(付記項7ないし付記項22の目的)
そこで、内視鏡の形式を洗滌消毒の度ごとに判別せずとも、洗滌消毒対象となる管路が瞬時に識別可能となる内視鏡を提供する。
ここでは、管路に連通する開口部、特に前記起上操作ワイヤ管路や副送水管路の開口部自体やその近傍に、その管路が存在することを示すマーカを設けている。
(付記項7)
体腔内に挿入可能な挿入部を有する内視鏡であって、
前記挿入部内に配置され、流体を挿通可能な管路と、
周囲の色とは異なる色を有する識別部を備え、前記管路に連通するとともに前記管路に流体を供給するための口金として前記内視鏡の裏面に開口した管路開口部と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項8)
体腔内に挿入可能な挿入部を有する内視鏡であって、
前記挿入部内に配置され、流体を挿通可能な管路と、
前記管路に連通するとともに前記管路に流体を供給するための口金として前記内視鏡の表面に開口した管路開口部と、
前記管路開口部を塞ぐために前記管路開口部に着脱可能に設けられ、周囲の色とは異なる色を有する栓体と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項9)
体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部内に配設され、処置具を挿通可能な管路としての処置具挿通チャンネルと、
前記挿入部の先端部に設けられ、前記処置具挿通チャンネルと連通する開口部と、
前記開口部内で軸支され、手元側に延出する操作ワイヤを押し引きすることで前記開口部から突出する、前記処置具挿通チャンネルに挿通された処置具を起上させる鉗子起上台と、
前記挿入部内に設けられ、前記操作ワイヤを進退可能に挿通する中空のワイヤ挿通管路と、
前記挿入部の手元側に接続され、前記ワイヤ挿通管路に保持された前記操作ワイヤを操作する操作手段を備えた操作部と、
周囲の色とは異なる色を有する識別部を備え、前記ワイヤ挿通管路に挿通する口金として前記操作部の表面に開口した管路開口部と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項10)
体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部内に配設され、流体を挿通可能な管路としての流体挿通管路と、
前記挿入部の先端部に設けられ、前記流体挿通管路に連通されるとともに体腔内の観察対象物に対して流体を噴出させるための噴出口と、
前記挿入部の手元側に接続され、前記挿入部を操作するための操作部と、
周囲の色とは異なる色を有する識別部を備え、前記流体挿通管路に連通する口金として前記操作部の表面に開口した管路開口部と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項11)
体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部内に記設され、流体を挿通可能な管路としての流体挿通管路と、
前記挿入部の先端に設けられ、体腔内を観察するための観察手段を備えた先端部と、
前記先端部に設けられ、前記流体挿通管路に連通されるとともに体腔内の観察対象物に対して流体を噴出させるための噴出口と、
前記挿入部の手元側に接続され、前記挿入部を操作するための操作部と、
前記操作部に接続されたユニバーサルコードと、
このユニバーサルコードを介して、前記観察手段に電気的に接続可能な接点部を有するコネクタ部と、
周囲の色とは異なる色を有する識別部を備え、前記流体挿通管路に連通する口金として前記コネクタ部の表面に開口した管路開口部と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項12)
体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部内に配設され、流体を挿通可能な管路としての流体挿通管路と、
前記挿入部の先端に設けられた先端部と、
前記先端部に設けられ、前記流体挿通管路に連通されるとともに体腔内の観察対象物に対して流体を噴出させるための噴出口と、
前記挿入部の手元側に接続され、前記挿入部を操作するための操作部と、
前記流体挿通管路に連通するとともに前記流体挿通管路に流体を供給するための口金として前記操作部の表面に開口した管路開口部と、
前記管路開口部を塞ぐために前記管路開口部に着脱可能に設けられ、周囲の色とは異なる色を有する栓体と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項13)
体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部内に配設され、流体を挿通可能な管路としての流体挿通管路と、
前記挿入部の先端に設けられ、体腔内を観察するための観察手段を備えた先端部と、
前記先端部に設けられ、前記流体挿通管路に連通されるとともに体腔内の観察対象物に対して流体を噴出させるための噴出口と、
前記挿入部の手元側に接続され、前記挿入部を操作するための操作部と、
前記操作部に接続されたユニバーサルコードを介して、前記観察手段に電気的に接続可能な接点部を備えたコネクタ部と、
前記流体挿通管路に連通するとともに前記流体挿通管路に流体を供給するための口金として前記コネクタ部の表面に開口した管路開口部と、
前記管路開口部を塞ぐために前記管路開口部に着脱可能に設けられ、周囲の色とは異なる色を有する栓体と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項14)
体腔内に挿入可能な挿入部を有する内視鏡であって、
前記挿入部内に配置され、流体を挿通可能な管路と、
前記内視鏡の表面に開口するとともに、前記管路に連通する管路開口部と、
前記管路開口部の近傍に設けられ、前記開口部に関する表示を行なう表示手段と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項15)
体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部内に配設され、処置具を挿通可能な管路としての処置具挿通チャンネルと、
前記挿入部の先端部に設けられ、前記処置具挿通チャンネルと連通する開口部を有する先端部と、
前記開口部内で軸支され、手元側に延出する操作ワイヤを押し引きすることで前記開口部から突出する前記処置具を起上させる鉗子起上台と、
前記挿入部内に設けられ、前記操作ワイヤを進退可能に挿通する中空のワイヤ挿通管路と、
前記挿入部の手元側に接続され、前記ワイヤ挿通管路に保持された前記操作ワイヤを操作する操作手段を備えた操作部と、
前記ワイヤ挿通管路に連通する口金として前記操作部の表面に開口した管路開口部と、
前記管路開口部の近傍に設けられ、前記開口部に関する表示を行なう表示手段と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項16)
体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部内に配設され、流体を挿通可能な管路としての流体挿通管路と、
前記挿入部の先端に設けられた先端部と、
前記先端部に設けられ、前記液体挿通管路に連通されるとともに体腔内の観察対象物に対して流体を噴出させるための噴出口と
を具備する内視鏡であって、
前記流体挿通管路に連通する口金として前記内視鏡の表面に開口した管路開口部と、
前記管路開口部の近傍に設けられ、前記開口部に関する表示を行なう表示手段と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項17)
体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部内に配設され、流体を挿通可能な管路としての流体挿通管路と、
前記挿入部の先端に設けられた先端部と、
前記先端部に設けられ、前記流体挿通管路に連通されるとともに体腔内の観察対象物に対して流体を噴出させるための噴出口と、
前記挿入部の手元側に接続され、前記挿入部を操作するための操作部と、
前記流体挿通管路に連通する口金として前記操作部の表面に開口した管路開口部と、
前記管路開口部の近傍に設けられ、前記開口部に関する表示を行なう表示手段と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項18)
体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部内に配設され、流体を挿通可能な管路としての流体挿通管路と、
前記挿入部の先端に設けられ、体腔内を観察するための観察手段を備えた先端部と、
前記先端部に設けられ、前記流体挿通管路に連通されるとともに体腔内の観察対象物に対して流体を噴出させるための噴出口と、
前記挿入部の手元側に接続され、前記挿入部を操作するための操作部と、
前記操作部に接続されたユニバーサルコードを介して、前記観察手段に電気的に接続可能な接点部を有するコネクタ部と、
前記流体挿通管路に連通する口金として前記コネクタ部の表面に開口した管路開口部と、
前記管路開口部の近傍に設けられ、前記開口部に関する表示を行なう表示手段と
を具備することを特徴とする内視鏡。
(付記項19)
前記管路開口部の名称を表示する前記表示手段であることを特徴とする付記項14ないし付記項18のいずれか1に記載の内視鏡。
(付記項20)
前記管路開口部に連通する前記管路の名称を表示する前記表示手段であることを特徴とする付記項14ないし付記項18のいずれか1に記載の内視鏡。
(付記項21)
前記管路開口部の場所を表示する前記表示手段であることを特徴とする付記項7ないし付記項12のいずれか1に記載の内視鏡。
(付記項22)
前記管路開口部に関する注意事項を示す前記表示手段であることを特徴とする付記項7ないし付記項12のいずれか1に記載の内視鏡。
(付記項23ないし付記項27に対する従来技術および課題)
内視鏡の使用後、血液や生体組織等の吸引時に使用される吸引管路を洗滌することが必要である。このような洗滌を行なう場合、洗滌用ブラシが使用される。このブラシは可撓性を有するコイルで形成された挿入部と、この挿入部の先端部に設けられたブラシ部と、挿入部の基端部に設けられた操作部とを備えている。
操作部には、吸引ボタンが装着される吸引シリンダが配設されている。ブラシで、この吸引シリンダから連通する挿入部の先端部側、および、ユニバーサルケーブル側の管路が洗滌される。
しかし、この吸引シリンダの開口部には、ブラシのコイルで形成された挿入部が摺動されるので、その摺動により吸引シリンダの開口部が削れることがある。このように吸引シリンダが削れると、吸引制御ボタンの開閉時に空気や液体がリークしてしまい、吸引量が低下してしまう。
(付記項23ないし付記項27に対する目的)
そこで、吸引シリンダに洗滌ブラシを挿通してブラシの挿脱を実施した場合の、吸引シリンダの削れ防止、すなわち、吸引シリンダの削れを未然に防ぐ保護板およびその保護板を有する内視鏡を提供する。
(付記項23)
体腔内に挿入される挿入部と、
この挿入部の基端部に配設された操作部と
を具備する内視鏡であって、
前記挿入部および前記操作部は、前記挿入部および前記操作部に連通され、開口された開口部をそれぞれ有する管路を備え、
前記操作部の開口部には、この開口部を洗滌のときに保護する保護板を着脱可能であることを特徴とする内視鏡。
(付記項24)
内視鏡を洗滌する際に管路の口金に装着される保護板であって、
前記保護板は、
前記口金に着脱可能な係合部を有する保護板本体と、
前記保護板本体に装着される洗滌具ガイド部と
を具備することを特徴とする保護板。
(付記項25)
前記保護板本体は、前記口金から前記係合部の係合を解除するときに力を加える力点部を備えていることを特徴とする付記項24に記載の保護板。
(付記項26)
前記保護板本体は、樹脂材により形成され、
前記洗滌具ガイド部は、金属材により形成されていることを特徴とする付記項24もしくは付記項25に記載の保護板。
(付記項27)
前記保護板本体と、前記洗滌具ガイド部とは、樹脂材により一体成型されていることを特徴とする付記項24もしくは付記項25に記載の保護板。
110…取付部、112…ピストン、114…ボタン、116…バネ、120…取付部本体、122…凸部、128…突出部、128a…ピストン貫通穴、128b…回転規制突起、130…リング状指掛部、130a…連結部、136a…第1の薄肉部、136b…第2の薄肉部、138…凸部切欠部、142…位置決め突起、144…貫通穴、150…ピストン軸部