JP4583661B2 - 移動式パネルのキャスタ高さ調整装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上部が天井に架設したガイドレールに案内され下部が床面に走行自在のキャスタにより支持された移動式パネルのキャスタ高さ調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の部屋内を仕切る移動パネル連接式間仕切り装置として、パネル上部を天井に架設したガイドレールに案内支持させ、パネル下部は床面に対して若干の隙間を介して状態で吊支されて移動するものが知られていた。そして、この種のガイドレールは、パネルの全重量を支えるために天井内部の梁等を利用して曲げ剛性の高い堅牢なレールとして構築されていた。そして、部屋の間仕切りに際しては、パネルを順次ガイドレールに沿って移動させ、パネル側端面同士を必要枚数連接させ、パネル下部は落し部材等を用いて床面に固定して間仕切り装置を立設していた。
【0003】
発明者等は、鋭意研究の結果、パネルの自重を床面上でキャスタ等を用いて走行可能に支持すれば、従来のようにパネルを支えるガイドレールの負担が軽減されるのでガイドレール並びにその取付け強度を簡素化できる点を見出し、ガイドレールを、パネルの走行時における案内並びに立設時において保持する強度を有すれば良いことから、天井部の梁等の位置に関係なく天井にガイドレールを直接架設することができるパネル連接式間仕切り装置を開発した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パネルの自重を支持するキャスタは、床面上を走行することから、パネルの高さは、天井のガイドレールの下面と床面上を走行するキャスタまでの間の寸法に合わせて決定されており、パネル使用時においてパネルの自重がガイドレールに作用しないような高さを設定するため、キャスタは、図6に示すような高さ調整装置を介してパネルの下面に取付けられていた。
【0005】
図6は従来のキャスタ高さ調整装置の斜視図を示し、この高さ調整装置01は、パネル02下面の下部フレーム07内にあって、接合される図示しない他のパネルと接合する側端面のサイドフレーム04からボルト012を介して取付けられている。
【0006】
詳しくは、キャスタ03は、L字形のブラケット05の水平アーム05a下面に溶接接合された角形ベース06下面の筒体08内に若干ホイールの下部が突出した状態で保持されており、サイドフレーム04の内部において、キャスタ03側に向けて挿通した一対のボルト012を、ブラケット05の垂直アーム05bに形成された縦長の長孔09より挿通して挟持板010のネジ孔014に螺着し、垂直アーム05bを挟持板010により締め付けることで高さ調整可能に取付けられていた。
【0007】
しかしながら、このような従来の高さ調整装置01は、垂直アーム05bを挟持板010により締め付けた摩擦力を利用して取付ける構成となっていることから、調整時にボルト012を緩めた際に、パネル02の自重が挟持板010の挟持部に直接作用してパネル02が落下する恐れがあるため、予めパネル02下面の隙間から図示しない支持ブロックなどを当がった状態で調整するか、2人掛かりで作業を行わなければならい煩わしさを有し、調整作業に手間が掛る問題を有していた。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のキャスタ高さ調整装置は、ガイドレールが天井の任意の箇所に架設でき、パネル取付け時にパネル下部のキャスタが床面に対して簡便な操作で高さの調整を行うことができるようにしたキャスタ高さ調整装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のキャスタ高さ調整装置は、上部が天井に架設したガイドレールに案内され下部が床面に走行自在のキャスタにより支持された移動式パネルのキャスタ高さ調整装置であって、前記調整装置は、前記キャスタを下方に備え、前記パネルに対して高さ方向に摺動自在に支持されたキャスタ取付け部材と、前記パネルの側端面に螺合したネジの回動により回転ローラを前後進移動させる進退部材と、前記キャスタ取付け部材を任意高さ位置にロック可能な固着部材から成り、前記キャスタ取付け部材は、前記回転ローラと接触係合する傾斜面を備え、前記回転ローラが前記傾斜面に対して進退することでキャスタ取付け部材の摺動高さ位置が変化することを特徴としている。
この特徴によれば、パネル重量を支えながら高さ調整をする必要がなく、単に進退部材の進退操作のみでキャスタ取付け部材の摺動高さ位置を設定できるので、高さ調整作業が楽にできる。また進退部材の進退量とキャスタ取付け部材の高さ移動量が傾斜面の傾斜角度により自由に設定でき、進退部材の進退量がキャスタ取付け部材の高さ移動量に変換されるときに、摩擦抗力の少ない円滑な変換が実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1〜図5は、本発明のキャスタ高さ調整装置が適用された移動式パネルの一実施形態を示し、図1は天井のガイドレールに案内されて高さ調整装置を備えたキャスタにより床面上を走行するパネルの正面図、図2は高さ調整装置を備えたキャスタの高さを調整する状態の説明図、図3は高さ調整装置を備えたキャスタの高さを調整する状態の説明図、図4は図2のA−A断面図であり、図5は高さ調整装置を備えたキャスタを示す部分斜視図である。
【0015】
図1及び図2に示す符号1は、間仕切り装置を示し、この間仕切り装置1は、上部が天井3に架設したガイドレール4に案内され下部が床面6に走行自在のキャスタC1、C2により支持された移動式パネル(以下パネル2a、2bと称する)同士が、その側端面が相互に接合し合って複数連接することにより部屋内を仕切るように構成されている。
【0016】
これらパネル2a、2bは、図示しない矩形状の薄い中板の表裏面にスペーサを介在させて化粧板14a、14b(図4参照)を張設して所定厚みのパネル板2A、2Bを構成し、その上下両端にアルミサッシなどで構成された上部フレームFU及び下部フレームFDが装着されると共に、左右両側端からアルミサッシなどで構成されたサイドフレームFR、FLが装着された構成となっている。
【0017】
パネル2a、2b左右のサイドフレームFR、FL上端には、ガイドローラ5a、5bが突設しており、これらガイドローラ5a、5bは垂直軸線の回りに回転可能に軸支され、ガイドレール4内に移動可能に挿嵌されている。また、パネル2a、2bの下部フレームFD内部には前後に床面6上を走行するキャスタC1、C2が配置された構成となっている。
【0018】
また、各パネル2a、2bには、図1に示すように、間仕切り時における進行方向後端側におけるサイドフレームFRの下端に挿入ロッド10が上下方向に移動自在に設けられている。そして、この挿入ロッド10に人為的に操作可能な操作ピン8を一体的に設けて落とし部材を構成し、挿入ロッド10は、この操作ピン8の操作により上下方向に移動自在となっている。
【0019】
ここで、本発明の一実施形態としてのキャスタの高さ調整装置につき詳説する。
【0020】
すなわち、図2及び図3に示すように、キャスタ高さ調整装置は符号16として示されており、このキャスタ高さ調整装置(以下高さ調整装置16と称する)は、パネル2a、2b下面の前後に備えられたキャスタC1、C2に備えられている。本実施形態では、一方のキャスタC2に備えられる高さ調整装置16につき説明する。
【0021】
この高さ調整装置16は、パネル板2Aの下面にパネル2aに対して高さ方向に摺動自在に支持されたキャスタ取付け部材18と、このキャスタ取付け部材18の摺動高さ位置を変化させることができる後述する進退部材と、キャスタ取付け部材18を任意高さ位置にロック可能な固着部材(後述する)から構成されている。
【0022】
詳しくは、キャスタ取付け部材18は、鋼板を逆L字形に折曲形成して垂直な取付け部24と先端にキャスタC2を取付けられる水平なアーム25とから構成されており、キャスタC2は円筒部材20に収容された状態で水平なアーム25の下面にベース22を介して取付けられている。
【0023】
キャスタ取付け部材18の水平なアーム25は、取付け部24側に向けて下方に傾斜する傾斜面26が途中に形成されて上段面25aと下段面25bが形成され、取付け部24は、そのアーム25の幅に対して幅広に形成され、その中央には縦長の長孔28が形成されている。
【0024】
そして、図2、図3及び図5の(a)、(b)に示すように、パネル板2Aの下面に取付けられる水平な取付け部30bと、この取付け部30bから垂直下方に折曲形成されてサイドフレームFR内下方の枠部材33に接合される取付け部30aとからブラケットが構成されており、キャスタ取付け部材18の垂直な取付け部24は、挟持部材32とブラケットの取付け部30aとの間に長孔28を挿通したネジ部材34を介して挟着されている。
【0025】
挟持部材32の上端にはアーム25下段面25bの幅狭部が挿通可能な角形の切欠き32aが形成されており、この切欠き32aは、これを挿通した下段面25bの幅狭部を上下にガイドするように構成されている。
【0026】
アーム25の下段面25b上面ないし傾斜面26上面には進退部材としてのネジ軸35に螺合した平面視コ字形のブラケット36先端の回転ローラ38が転動可能に接触すると共に、ブラケット36の上面は水平な取付け部30b下面に摺動可能に接触している。
【0027】
次に上記のように構成された移動式パネルのキャスタ高さ調整装置の作用につき説明する。
【0028】
図2に示すように、先ず、左右のサイドフレームFR、FL上端に取付けられた天井3のガイドレール4内に挿入係合した際に、例えば、サイドフレームFR、FL上端のガイドローラ5a、5bがガイドレール4に吊り下げられたとき、すなわち、このときのキャスタC2の先端とパネル2a、2bの下部フレームFD間の寸法はG1となり、パネル2a、2bの自重がガイドレール4に直接作用したとする。
【0029】
すなわち、この状態では、回転ローラ38はアーム25後方の下段面25bに位置しており、ネジ部材34は緩められた状態となっている。そこで、ガイドレール4に対し直接作用するパネル2a、2bの自重を解消するために、キャスタC2を下げる作業が行われる。
【0030】
すなわち、図3に示すように、ネジ軸35の端部に図示しないドライバーを差し込んでネジ軸35を回転させることにより、ブラケット36を介して先端の回転ローラ38を前進移動させて回転ローラ38をアーム25の傾斜面26上に転動させつつ、ブラケット36の上面をブラケットの取付け部30b下面に接触させて摺動させる。
【0031】
これにより、アーム25の垂直な取付け部24は、縦長の長孔28の範囲で下方に移動し、キャスタC2がパネル2aに対し高さ方向下方に移動することで、キャスタC2の下端とパネル2a、2bの下部フレームFD間の寸法は、G1からG2に増加する。そこで、ネジ軸35をナットによりロックするとともに、ネジ部材34を回して挟持部材32を締め付けることでアーム25は所定の高さ位置にロックされる。
【0032】
また、床面6とパネル2aの下部フレームFD間の寸法が大き過ぎて、パネル2a上端のガイドローラ5a、5bの上面に接触する状態の場合には、ネジ軸35の操作により回転ローラ38を後退移動することで床面6とパネル2a、2bの下部フレームFD間の寸法をG2からG1に縮小することができる。
【0033】
従って、本発明のキャスタ高さ調整装置によれば、パネル2a、2bに対して高さ方向に摺動自在に支持されたキャスタ取付け部材1の摺動高さ位置をネジ軸35の回転操作により進退移動することで、このキャスタ取付け部材1を任意高さ位置にロックすることができることから、従来のように、パネル2a、2bの重量を支えながら高さ調整をする必要がなく、単にネジ軸35の進退操作のみでキャスタ取付け部材1の摺動高さ位置を設定できるので、高さ調整作業が楽にできる。
【0034】
また、回転ローラ38がアーム25の傾斜面26に対して進退することで摺動高さ位置が変化するようになっているので、ネジ軸35の進退量とキャスタ取付け部材1の高さ移動量が傾斜面26の傾斜角度により自由に設定できるとともに、ネジ軸35の進退量がキャスタ取付け部材1の高さ移動量に変換されるときに、摩擦抗力の少ない円滑な変換が実現できる。
【0035】
更に加えて、ネジ軸35が、パネル側端面に配設されているので、パネル2a、2bを連接して間仕切りとして使用する場合、パネル設置後はネジ軸35がかくれて、外部に突出していない構造となるため、例えば、ぶつかって怪我をするというような危険性を回避できる。また、ネジ軸35が極ありふれた部材で構成されているから、ドライバーだけで高さ調整作業ができる。
【0036】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0038】
(a)請求項1に記載の発明によれば、パネル重量を支えながら高さ調整をする必要がなく、単に進退部材の進退操作のみでキャスタ取付け部材の摺動高さ位置を設定できるので、高さ調整作業が楽にできる。また進退部材の進退量とキャスタ取付け部材の高さ移動量が傾斜面の傾斜角度により自由に設定でき、進退部材の進退量がキャスタ取付け部材の高さ移動量に変換されるときに、摩擦抗力の少ない円滑な変換が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係り、天井のガイドレールに案内されて高さ調整装置を備えたキャスタにより床面上を走行するパネルの正面図である。
【図2】高さ調整装置を備えたキャスタの高さを調整する状態の説明図である。
【図3】高さ調整装置を備えたキャスタの高さを調整する状態の説明図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】高さ調整装置を備えたキャスタを示す部分斜視図である。
【図6】従来のキャスタ高さ調整装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 間仕切り装置
2a、2b パネル
2A、2B パネル板
3 天井
4 ガイドレール
5a、5b ガイドローラ
6 床面
8 操作ピン
10 挿入ロッド
13 中板
14a、14b 化粧板
16 キャスタ高さ調整装置
18 キャスタ取付け部材
20 円筒部材
22 ベース
24 取付け部
25 アーム
25a 上段面
25b 下段面
26 傾斜面
28 長孔
30a、30b 取付け部
32 挟持部材
33 枠部材
34 ネジ部材
35 ネジ軸
36 ブラケット
38 回転ローラ
C1、C2 キャスタ
FD 下部フレーム
FR、FL サイドフレーム
FU 上部フレーム

Claims (1)

  1. 上部が天井に架設したガイドレールに案内され下部が床面に走行自在のキャスタにより支持された移動式パネルのキャスタ高さ調整装置であって、前記調整装置は、前記キャスタを下方に備え、前記パネルに対して高さ方向に摺動自在に支持されたキャスタ取付け部材と、前記パネルの側端面に螺合したネジの回動により回転ローラを前後進移動させる進退部材と、前記キャスタ取付け部材を任意高さ位置にロック可能な固着部材から成り、前記キャスタ取付け部材は、前記回転ローラと接触係合する傾斜面を備え、前記回転ローラが前記傾斜面に対して進退することでキャスタ取付け部材の摺動高さ位置が変化することを特徴とする移動式パネルのキャスタ高さ調整装置。
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