JP4583505B1 - β−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースの製造方法 - Google Patents
β−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 酵素法によらない新規な製造方法でβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースを製造する方法を提供する。
【解決手段】 糖質材料としてD−グルコース及びD−フルクトースを用い、 酵素が存在しない条件下で、 加熱して反応させてβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(β−Ff2−6G)および/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(α−Ff2−6G)を生成させ、 反応物中からβ−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gを取得する。 具体的には、加熱反応時に水を添加しないで加熱して反応させてβ−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gを製造することができる。
【選択図】なし
【解決手段】 糖質材料としてD−グルコース及びD−フルクトースを用い、 酵素が存在しない条件下で、 加熱して反応させてβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(β−Ff2−6G)および/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(α−Ff2−6G)を生成させ、 反応物中からβ−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gを取得する。 具体的には、加熱反応時に水を添加しないで加熱して反応させてβ−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gを製造することができる。
【選択図】なし
Description
β−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースの製造方法に関する。 さらに詳しくは、 本発明は、 D−グルコースとD−フルクトースの共存下において、 加熱条件下で酵素反応を利用することなく反応させてβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースを製造する方法に関する。
β−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース( 以下「β−Ff2−6G」と略す場合もある) および/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(以下「α−Ff2−6G」と略す場合もある) を製造する方法に関して、非特許文献1には酵素を利用してβ−Ff2−6Gを製造する方法が報告されている。しかしながら、β−Ff2−6Gを酵素反応を利用せずに製造する方法、 即ち、 酵素を用いずに、 或いは微生物を用いずに製造する方法は知られていない。さらには、 糖質材料として単糖のみを使用し、 単糖類のみからβ−Ff2−6Gを製造する方法は知られていない。
一方、α−Ff2−6G自体については、過去に報告が無く新規化合物であるため、当然にその製造方法は知られていない。
Journal of Chromatography A, 920 (2001) 299-308.
本発明は、 酵素法によらない新規な製造方法でβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースを製造する方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するための主たる本発明のβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(即ち、β−Ff2−6G)および/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(即ち、α−Ff2−6G)を製造する方法は、 糖質材料としてD−グルコースおよびD−フルクトースを用い、 酵素が存在しない条件下で、 加熱して反応させてβ−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gを生成させ、 反応物中からβ−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gを取得することを特徴とする。
さらに一つの具体的な本発明のβ−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gの製造方法は、 加熱反応時に水を使用しない方法であり、 前記主たる本発明のβ−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gの製造方法において、 D−グルコースおよびD−フルクトースの混合物に対して水を添加することなく固相で加熱して反応させ、 次いで反応物に水を添加し、 溶解させてβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースを含有する水溶液とし、該水溶液中からβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースを取得することを特徴とする。
本発明のβ−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gの製造方法において加熱反応させる際の温度条件は、 100℃以上200℃以下となる条件が好ましい。
β−Ff2−6Gは前記したように公知化合物であるが、α−Ff2−6Gは新規化合物である。α−Ff2−6Gの構造式を次式にて示す。
対比のため、公知化合物であるβ−Ff2−6Gの構造式を次式にて示す。
本発明のβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(即ち、β−Ff2−6G)および/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(即ち、α−Ff2−6G)を製造する方法は、 新規な製造方法を提供する点において有用であり、また、安価に製造することができ、 製造時間も比較的短いため、 製造効率が良い。
本発明のβ−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gの製造に用いるD−グルコースには、 β−D−グルコース、 無水のD−グルコース、 1 水和物のD−グルコース、 アノマー混合のD−グルコースの何れでもよい。D−グルコース、 D−フルクトースには市販のものが好適に利用できる。 また、 本発明で利用可能なD−グルコース、 D−フルクトースの形態は、 粉末状或いは顆粒の状態でもよい。
本発明において使用する水には、 反応条件を厳密にする目的で精製水を用いることが好ましい。 精製水には、 ミリQ水、 蒸留水或いはイオン交換水を用いることができる。
β−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gを含有する水溶液の製造の好ましい実施の態様として、 次の方法を示す。
(本発明のオリゴ糖を含有する水溶液の製造方法)
粉末状または顆粒状のD−グルコースとD−フルクトースを三角フラスコにとり混合し、 水を添加しない状態で、 100℃以上200℃以下、好ましくは110℃以上180℃以下、 最も好ましくは120℃以上150℃以下に加熱する。 加熱反応時の温度が100℃未満であるとβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの十分な製造はされず、 また200℃を超えるとカラメル化は進み、 β−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの製造効率が落ちるため好ましくない。
粉末状または顆粒状のD−グルコースとD−フルクトースを三角フラスコにとり混合し、 水を添加しない状態で、 100℃以上200℃以下、好ましくは110℃以上180℃以下、 最も好ましくは120℃以上150℃以下に加熱する。 加熱反応時の温度が100℃未満であるとβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの十分な製造はされず、 また200℃を超えるとカラメル化は進み、 β−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの製造効率が落ちるため好ましくない。
加熱時間は好ましくは10分から90分間、 さらに好ましくは15分から45分間加熱処理し、 精製水を添加後溶解し、 濾過してβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gを生成した糖溶液を得ることができる。 濾過は、 ディスポーサブル0.45μmあるいは0.22μmフィルター(例えば、孔径0.45μmあるいは0.22μmのDISMIC−25cs Cellulose Acetate)で濾過してβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gを含有する水溶液とすることができる。 このβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gを含有する水溶液は、 −4℃以下(好ましくは−80℃以下)のフリーザーで凍結させることにより保存できる。
(β−Ff2−6Gの標準品の調製)
β−Ff2−6Gの標準品は以下のようにして調製した。
β−Ff2−6Gの標準品は以下のようにして調製した。
特許第3871222号公報の実施例1に記載されている方法により製造した植物エキス発酵液を用意した。該植物エキス発酵液を活性炭セライトカラムクロマトグラフィー(4.5cm×35cm)に添加し、 水により溶出させ、 水で溶出した画分をさらにAmide−80(商品名、 東ソー株式会社製、 カラムサイズ:7.8mm×30cm、溶出:80%アセトニトリル、カラム温度:80℃、流速:2mL/min、検出:示差屈折計) に供し、 27〜28分に検出されたピークを分取した。 以後この分析条件を「HPLC条件−A」とする。 得られた画分は濃縮し、 凍結乾燥させた。
ただし、 得られた画分について単一になっていない場合はHPLC条件−Aを繰り返し行い精製を行った。
前記工程で得られた凍結乾燥品について次のようにして化学構造を決定した。
該凍結乾燥物をMilli−Q水に溶解させて以下の定性試験に用いた。
HPLC条件−Aで得られたピークの分子量を確認するためにMALDI−TOF MS析を行った結果、 得られたピークは365の(M+Na)イオンピークを与えた。 図1にMALDI−TOF MS分析チャートを示す。
さらに、 HPLC条件−Aで得られたピークの構造を明らかにするため1次元NMR分析および2次元NMR分析を行った。 それらのチャートを図2−図7に示す。 また、 得られたピークのケミカルシフトを表1に示す。
以上の結果から、HPLC条件−Aで得られたピークは公知物質と同一のβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(略語:β−Ff2−6G)であると認められた。
前記工程による、HPLC分析、MALDI−TOF MS分析およびNMR分析により単一にしたβ−Ff2−6Gを標準品として以後使用した。
(加熱処理によるβ−Ff2−6Gの合成)
D−グルコース(シグマ社製、 純度99%)30gおよびD−フルクトース(シグマ社製、純度99%)30gを三角フラスコに測りとり、 混合し、 アルミホイルで蓋をし、 予め150℃に温めておいた電気炉で60分加熱した。 加熱後、 総量が300mLとなるようにMilli−Q水を加えて溶解させることによりβ−Ff2−6G含有水溶液を得た。 得られたβ−Ff2−6G含有水溶液を「糖サンプル溶液」とした。
D−グルコース(シグマ社製、 純度99%)30gおよびD−フルクトース(シグマ社製、純度99%)30gを三角フラスコに測りとり、 混合し、 アルミホイルで蓋をし、 予め150℃に温めておいた電気炉で60分加熱した。 加熱後、 総量が300mLとなるようにMilli−Q水を加えて溶解させることによりβ−Ff2−6G含有水溶液を得た。 得られたβ−Ff2−6G含有水溶液を「糖サンプル溶液」とした。
前記工程で得られた糖サンプル溶液を以下の条件でHPLC分析を行った。
HPLC装置(デュアルポンプ;DP−8020:商品名、東ソー株式会社製、検出器; RI−8020:商品名、東ソー株式会社製)、インテグレータ(Chromatocorder21:商品名、東ソー株式会社製)、カラム(ODS−80Ts column:商品名、4.6mm×25cm、×2本、東ソー株式会社製)、 溶出(H2 O、0.4mL/min)、カラム温度(室温)、注入量(10μL)。以後この分析条件を「HPLC条件−B」とする。
糖サンプル溶液のHPLC分析のチャートを図8に示す。その結果、 様々な物質が生成されていることが確認できる。
次に、 前記工程で得られた糖サンプル溶液を活性炭セライトカラムクロマトグラフィー(4.8cm×35cm)に添加し、 画分1(約600mL)、 画分2(約750mL)、 画分3(約2250mL)の総量3600mLの水で溶出させ、 溶出させたサンプルは、 それぞれ減圧濃縮装置を用いて濃縮した。
それぞれ濃縮したサンプルについて、 分取用HPLC装置(デュアルポンプ;DP−8020:商品名、東ソー株式会社製、検出器; RI−8020:商品名、東ソー株式会社製)、インテグレータ(Chromatocorder21:商品名、東ソー株式会社製)、カラム(ODS−80Ts column:商品名、20mm×25cm、東ソー株式会社製)、 溶出(H2 O、3.0mL/min)、カラム温度(35℃)、注入量(200mL)を行った。 以後この分析条件を「HPLC条件−C」とする。
その結果、 水で溶出させた画分3の中に、 β−Ff2−6Gの標準品と同溶出時間(27min頃)にピークが認められた。図9にクロマトグラフィーのチャートを示す。 図9によると標準品であるβ−Ff2−6Gと同溶出時間にピークが検出されていることが確認できる。 この目的のピークを糖1とした。
目的のピーク糖1について、 HPLC条件−Cを行い40回分取した。 ただし、 得られた画分について単一になっていない場合はHPLC条件−Bを行い精製を行った。
得られた分取液を凍結濃縮乾燥し、 糖1; 178mgの凍結乾燥物を得た。 得られた凍結乾燥物をMilli−Q水に溶解させて以下の定性試験に用いた。
HPLC条件−Cで得られたピークの分子量を確認するためにMALDI−TOF MS分析を行った結果、 得られたピーク糖1は、 365の(M+Na)イオンピークを与えた。
次に、 糖1の構造を確認するためNMR分析を行った結果、 β−Ff2−6Gの標準品との1次元NMR分析の比較により、糖1はβ−Ff2−6Gと同一のチャートであることが認められた。 それらのチャートを図1 0 に示す。
以上を総合して、糖1は、 MALDI−TOF MS分析、1次元NMR分析の結果、 公知物質のβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(略語:β−Ff2−6G)と同一物質であると判定した。
(加熱処理によるα−Ff2−6Gの合成)
D−グルコース(シグマ社製、 純度99%)30gおよびD−フルクトース(シグマ社製、 純度99%)30gを三角フラスコに測りとり、 混合し、 アルミホイルで蓋をし、 予め150℃に温めておいた電気炉で60分加熱した。 加熱後、 Milli−Q水を加えて総量が300mLになるように溶解させることにより糖サンプル溶液を得た。
D−グルコース(シグマ社製、 純度99%)30gおよびD−フルクトース(シグマ社製、 純度99%)30gを三角フラスコに測りとり、 混合し、 アルミホイルで蓋をし、 予め150℃に温めておいた電気炉で60分加熱した。 加熱後、 Milli−Q水を加えて総量が300mLになるように溶解させることにより糖サンプル溶液を得た。
前記加熱処理工程で得られた糖サンプル溶液を活性炭セライトカラムクロマトグラフィー(4.8cm×35cm)に添加し、画分1(約600mL)、画分2(約750mL)、画分3(約2250mL)の総量3600mLの水で溶出させ、溶出させたサンプルは、それぞれ減圧濃縮装置を用いて濃縮した。
それぞれ濃縮したサンプルについて、HPLC条件−Cを行った。 その結果、 水で溶出させた画分3の中に、 未同定のピーク(29min頃)が検出されていることが認められたため、 この目的のピークを糖2とした。 それらのチャートを図11に示す。
目的のピーク糖2について、 HPLC条件−Cを行い40回分取した。 ただし、 得られた画分について単一になっていない場合はHPLC条件−Bを行い精製を行った。
得られた分取液を凍結濃縮乾燥し、 糖2; 234mgの凍結乾燥物を得た。 得られた凍結乾燥物をMilli−Q水に溶解させて以下の定性試験に用いた。
前記HPLC条件−Cにより得られた分取物(ODS−80Ts分取画分)のピークが単一の物質であることを確認するために、 分取物について以下の条件でHPAEC分析を行った。
カラム(Dionex,CarboPac PAl:商品名、4.0mmID×250mm、ダイオネックス株式会社製)、ガードカラム(Dionex,CarboPac:商品名、 ダイオネックス株式会社製)、移動層A(150mM NaOH)、移動層B(500mM sodium acetate in 150mM NaOH)、グラジエント条件(0→1分:25mM、1→2分:25−50mM、2→20分:50−2000mM、20−22分:500mM、22−30分:25mM)、カラム温度(室温)、注入量(25μL)、測定電位((El):0.1V(500ms))、酸化電位((E2):0.6V(100ms))、還元電位((E3):−0.6V(50ms))。以後この分析条件を「HPLC条件−D」とする。
得られた分析結果を分取画分のHPAEC分析のチャートとして図12に示す。 図12によれば、 溶出時間9.8分頃に単一のピークが検出されていることが確認できる。
また、 ショ糖の相対保持時間を1.0とした時の分取したピークの相対保持時間は1.77であり、 既知の物質の相対保持時間の中に該当するものはなかった。
(化学構造の決定)
HPLC条件−Cで得られたピークの分子量を確認するためにMALDI−TOF MS分析を行った。糖2のMALDI−TOF MSの結果のチャートを図13に示す。図13によれば、得られたピーク糖2は、 365の(M+Na)イオンピークを与えた。
HPLC条件−Cで得られたピークの分子量を確認するためにMALDI−TOF MS分析を行った。糖2のMALDI−TOF MSの結果のチャートを図13に示す。図13によれば、得られたピーク糖2は、 365の(M+Na)イオンピークを与えた。
次に、 糖2の構造を確認するため1次元NMR分析および2次元NMR分析を行った。 それらのチャートを図14−図19に示す。 また、 糖2のケミカルシフトを表2に示す。
以上を総合して、HPLC条件−D、MALDI−TOF MSおよびNMR分析により、 HPLC条件−Aで得られたピークは新規化合物であるα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノース(略語:α−Ff2−6G)であると決定した。
(各温度における加熱処理によるβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの合成)
D−グルコース(シグマ社製、純度99%)100mgおよびD−フルクトース(シグマ社製、 純度99%)100mgをガラス試験管に測りとり、 混合し、 アルミホイルで蓋をし、 反応温度を110℃から180℃までの10℃刻みに110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃に温めておいたサーモバスヒーターでそれぞれ60分間加熱し、 加熱後、 Milli−Q水を1mL加え、 溶解させることによりβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6G含有水溶液を得た。 得られたβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6G含有水溶液を「糖サンプル溶液」とした。
D−グルコース(シグマ社製、純度99%)100mgおよびD−フルクトース(シグマ社製、 純度99%)100mgをガラス試験管に測りとり、 混合し、 アルミホイルで蓋をし、 反応温度を110℃から180℃までの10℃刻みに110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃に温めておいたサーモバスヒーターでそれぞれ60分間加熱し、 加熱後、 Milli−Q水を1mL加え、 溶解させることによりβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6G含有水溶液を得た。 得られたβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6G含有水溶液を「糖サンプル溶液」とした。
前記工程で得られた糖サンプル溶液について、前記実施例1のHPLC条件−Bを行った。 β−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの最も多く製造される温度を100%とし、 各温度におけるβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの濃度のグラフ(相対合成量%)のグラフを図20に示す。
図20によれば、 β−Ff2−6Gの合成温度は、110℃以上180℃以下が好ましく、 さらに好ましくは110℃以上150℃以下、 最も好ましくは120℃以上140℃以下、 最大合成量(100%)が130℃であることが分かる。 また、 α−Ff2−6Gの合成温度は、110℃以上180℃以下が好ましく、 さらに好ましくは110℃以上150℃以下、 最も好ましくは120℃以上140℃以下、 最大合成量(100%)が130℃であることが分かる。
(各反応時間における加熱処理によるβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの合成)
前記実施例3の加熱処理によるβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの合成において、140℃での加熱時の反応時間を0、15、30、45、60、90、120、180分間とした以外は前記実施例3と同様に行い、 β−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6G含有水溶液を得た。 得られたβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6G含有水溶液を「糖サンプル溶液」とした。
前記実施例3の加熱処理によるβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの合成において、140℃での加熱時の反応時間を0、15、30、45、60、90、120、180分間とした以外は前記実施例3と同様に行い、 β−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6G含有水溶液を得た。 得られたβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6G含有水溶液を「糖サンプル溶液」とした。
前記工程で得られた糖サンプル溶液について、前記実施例1のHPLC条件−AでHPLCを行った。 β−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gが最も多く製造される温度を100%とし、 各反応時間におけるβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの濃度のグラフ(相対合成量%)のグラフを図21に示す。 図21によれば、 β−Ff2−6Gの合成時の加熱時間は好ましくは15分〜90分、さらに好ましくは15分〜60分間であることが分かる。 また、 α−Ff2−6Gの合成時の加熱時間は好ましくは15分〜90分、さらに好ましくは15分〜60分間であることが分かる。
(グルコースとフルクトースの比率による合成量の違い)
前記加熱処理によるβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの合成方法において、 D−グルコースとD−フルクトースの比率をそれぞれ、 D−グルコース:D−フルクトース=1:0、1:1、1:2、2:1、0:1と変えて、 β−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの製造量を確認した。 その結果を表3にて示す。
前記加熱処理によるβ−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの合成方法において、 D−グルコースとD−フルクトースの比率をそれぞれ、 D−グルコース:D−フルクトース=1:0、1:1、1:2、2:1、0:1と変えて、 β−Ff2−6Gおよびα−Ff2−6Gの製造量を確認した。 その結果を表3にて示す。
表3によれば、β−Ff2−6Gは、D−グルコース:D−フルクトースが1:1、1:2、2:1の時にβ−Ff2−6Gが製造されることが分かる。 D−グルコース:D−フルクトース=1〜2:2〜1が好ましく、 さらに好ましくはD−グルコース:D−フルクトース=1:2であることが分かる。 また、 α−Ff2−6Gは、D−グルコース:D−フルクトースが1:1、1:2、2:1の時にα−Ff2−6Gが製造されることが分かる。 D−グルコース:D−フルクトース=1〜2:2〜1が好ましく、 さらに好ましくはD−グルコース:D−フルクトース=2:1であることが分かる。
本発明はβ−Ff2−6Gおよび/またはα−Ff2−6Gの効率のよい製造方法を提供できる。
Claims (4)
- 糖質材料としてD−グルコースおよびD−フルクトースを用い、 酵素が存在しない条件下で、 加熱して反応させてβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースを生成させ、 反応物中からβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースを取得することを特徴とする、β−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースの製造方法。
- 請求項1に記載のβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースの製造方法において、
D−グルコースおよびD−フルクトースの混合物に対して水を添加することなく固相で加熱して反応させ、 次いで反応物に水を添加し溶解させて、 β−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースを含有する水溶液とし、該水溶液中からβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースを取得することを特徴とする、β−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースの製造方法。 - 前記加熱する際の温度条件は、 100℃以上200℃以下となる条件である請求項1又は2に記載のβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースの製造方法。
- 前記D−グルコースおよびD−フルクトースが粉末状または顆粒状である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のβ−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースおよび/またはα−D−フルクトフラノシル−(2→6)−D−グルコピラノースの製造方法。
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