JP4582345B2 - 繊維系塞栓症治療装置 - Google Patents

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Description

本発明は、遠位の器官、または遠位の血管に向かう血液、またはその他の体液の閉塞を防止するための装置、および対応する捕捉システムに関する。特に、本発明は、管状体、例えば血管の内部に設置して、塞栓のような閉塞物を溶解または除去するために捕捉するのに好適な装置、並びにその関連法に関する。
本出願は、名称「塞栓症治療システム」なる、Ogle等による2003年7月22日出願の米国特許係属出願仮出願第60/489,044号に対する優先権を主張する。なお、この仮出願を参照することにより本出願に含める。
塞栓とは、血管系、またはその他の生体の管状体に侵入して、血流の閉塞を招く可能性があるならば、外来であれ、または固有のものであれ、そのような可能性を持つ物質を含む任意の粒子である。塞栓は、フィブリン、血球またはその断片、コラーゲン、コレステロール、プラーク、脂肪、石灰化プラーク、泡、動脈組織、および/または、その他の雑多な断片から成る凝集物から形成される。多くの塞栓は、主要器官に養分を補給する、中型の血管の狭隘領域に停滞する。周囲組織に対する血流が失われることによって、局所的な細胞死、または微小梗塞形成が引き起こされる。脳の微小梗塞形成は、錯乱、言語障害、麻痺、視覚障害、平衡障害、さらには死亡に至る発作の原因となることがある(5)。心臓の場合、塞栓は、心筋梗塞、すなわち心臓発作を招く可能性がある。
動脈硬化や深層血管血栓症、加齢、さらには妊娠をも含む病態は、血管壁におけるプラークやフィブリンの集積を招く。このプラークを弛めたり、剥がしたりするものがあれば、それは、塞栓を発生させる可能性がある。塞栓が招く臨床的な派生結果は驚愕すべきものがある。頚動脈硬化によって発生した塞栓一つを取ってみても、それは、米国で毎年起こる500,000の発作例の内の25%を占める(米国心臓協会による、2002年の心臓発作年間統計)。皮肉なことに、動脈硬化プラークの除去、または迂回(バイパス)するために行われる外科処置(例えば、バルーン拡張血管形成術、動脈内切除術、バイパス移植術、およびステント設置術)そのものが、プラークを破砕する可能性がある。もっとも一般的な循環系処置の内の一つは、冠状動脈バイパス移植術(CABG)である。歴史的に見て、CABG処置全体の10-20%は、心筋梗塞を起こすのに十分な大きさを持つ塞栓を発生させている。これは、特に、使用する移植片が伏在静脈起源である場合に当てはまる。しかしながら、塞栓を発生させる可能性のある処置はCABGだけではない。事実、ドップラー超音波によって、ほとんど全ての心臓処置例において微小塞栓形成の徴候が示されている。毎年180万を越える術処置が行われているが、神経認知障害および/または虚血性障害を招いたものは、その内の10%を超える(8)。これらの障害は多くの場合短期ではあるが、恒久的に持続することもある。
しかしながら、10%は、現在認容可能な合併症率と見なされている。なぜなら、処置の数は増加し続けており(特定の処置によっては毎年15-35%の増加(「医学・保健市場ガイド」、17版、第1巻、研究報告2001-2002))、対象とされる患者の合計数は増加しているからである。この数が増えれば、それに費やされる患者の介護費も増える。経皮的血管内処置を受ける患者に対して毎年約25億ドルが費やされている。塞栓症副作用を持たなかった患者の平均入院日数は8.6日であるが、重篤な副作用を生じた患者の平均入院日数は55.8日である(1,3)。入院1日当たりの平均医療コストを1500ドル/日と見積もると、塞栓障害によって入院が引き延ばされた場合のコストは、患者1人当たり6万ドルを超える。これだけでも人をめげさせるものがあるが、この数字は、退院に際して家族に課せられる社会的、財政的負担を含んでいない。要約すると、経皮的血管内処置に合併する塞栓障害は、臨床的に観察される神経障害および循環器病の高頻度発生、生活の質の低下、および患者の介護費用の増加の原因となる。従って、塞栓症副作用の効果的な予防法に対しては、際立った臨床的要求がある。
経皮処置の際に虚血性損傷をもたらす目だった原因として、より小さな、遠位の血管を遮断する塞栓の発生が挙げられる。この合併症を回避するために、従来から行われている一つの対応策は、処置の際に薬理療法を用いることであった。カルシウムチャンネル遮断剤、アデノシン、およびニトロプルシドナトリウムを用いたがその治療効果は局限的なものであったことが報告されている(非特許文献1)。経皮的冠状動脈処置の際に、血小板凝集を下げるために糖タンパクIIb/IIIa阻害剤が使用されているが、有意義な、長期的臨床効果をもたらさなかった。(非特許文献2)(非特許文献3)。効果が見られなかったのは、塞栓の発生形態に原因があるのかも知れない。多くの場合、塞栓形成は、繊維性プラークの物理的破砕によってもたらされる。従って、血小板凝集および血液凝固の阻止を特異的に標的する治療的塞栓治療の機構は、これらの既に形成された、塞栓形成可能なプラークに対してはほとんど効果を持たない。
Webb, JG, Carere, RG, Virmani, R, Baim, D, Teirstein, PS, Whitlow, P, McQueen, C, Kolodgie, FD, Buller, E, Dodek, A, Mancini, GB, & Qesterle, S:「伏在静脈移植片処置後における粒状デブリの回収および分析」"Retrieval and analysis of particulate debris after saphenous vein graft intervention," J. Am. Cardiol., 2000, 34:468-475 Mathew, V, Grill, DE, Scott, CG, Grantham, JA, Ting, HH, Garratt, KN, & Holmes, DR, Jr., 「大動脈・冠状動脈移植処置後の臨床結果に対するアブシキシマブ服用の影響」"The influence of abciximab use on clinical outcome after aortocoronary vein graft interventions," J. Am. Coll. Cardiol., 1999, 34:1163-1169 Mak, KH, Challapalli, R, Eisenberg, MJ, Anderson, KM, Califf, RM, & Topol, EJ: 「大動脈・冠状動脈に対する伏在静脈移植片による経皮的血管再構築における遠位塞栓形成に対する、血小板糖タンパクIIb/IIIa受容体の抑制作用」"Effect of platelet glycoprotein IIb/IIIa receptor inhibition on distal embolization during percutaneous revascularization of aortocoronary saphenous vein grafts," EPIC Investigators, 「虚血性合併症予防におけるIIb/IIIa血小板受容体拮抗剤7E3の評価」"Evaluation of IIb/IIIa platelet receptor antagonist 7E3 in Preventing Ischemic Complications." Am. J. Cardiol., 1997, 80:985-9 88 Krishmamurthi et al., J. Urol., 1999, 161:1093-6
心臓外科
毎年、世界中で、心肺バイパス(CPB)を用いる心臓外科手術症例が約80万例ある。これらの心臓外科症例の内、約4万8千人が発作に見舞われ、ほぼ30万人が何らかの認知障害を経験している。これは重大な臨床問題である。これらの合併症は、大部分がCPBによって発生した塞栓によるものである。心肺バイパスを受けた患者について頭蓋横断トップラー(TCD)にて測定した塞栓の平均数は183である(3-947の範囲)。塞栓の大部分は、脳の樹状血管の遠位端、小動脈末端および毛細管末端に留まり微小梗塞を招く(すなわち、周囲組織に対する血液の喪失)。侵された組織の病理学的評価によって、SCADと呼ばれるソーセージ型の動脈拡張が明らかにされた。脳の微小梗塞形成は、錯乱、言語障害、麻痺、視覚障害、平衡障害、およびその他の神経学的異常の原因となることがある。これらの障害は多くの場合短期ではあるが、恒久的に持続することもある。
心臓病学および血管内処置
例えば、冠状動脈、頚動脈、および末梢血管処置を含む、多くの臨床処置によって塞栓が引き起こされる可能性がある(8)。この場合、例えば、プラーク、雑物(デブリ)、お
よび血栓を含む粒状物質が、処置部位の遠位において塞栓を形成することがある。その結果、遠位の血管床に対する血流が減少し、処置部周辺の末端臓器の虚血症および梗塞が起こる可能性が生じる。バルーン膨張またはステント拡張のような処置の時点で生産される大型粒子による遠位の塞栓形成は大きな心臓周辺の血管を閉止する可能性があり、また、より小型の粒子(15-100ミクロン程の小型)は、微小梗塞および/または心筋梗塞、および左室機能不全を招く恐れがある(8)。心筋梗塞とは、心筋の一部、または心筋の中層の壊死を指す。心筋梗塞は、冠状動脈またはその分枝の少なくとも部分的遮断から生ずる可能性がある。冠状動脈と関連する毛細管の閉止は、相応の微小梗塞形成/微小梗塞をもたらす可能性がある。
腎臓処置
腎動脈狭窄治療のための外科処置も塞栓を発生させる可能性がある。その治療を受けたものの36%は、アテローム性塞栓症による動脈性腎硬化症を患うことを示す臨床的証拠がある。アテローム性障害を持つ患者の5年生存率は、アテローム塞栓症を持たない患者のものよりも有意に低い(それぞれ、54%対85%)(非特許文献4)。こうした患者も、遠位治療装置によって利益を受けると考えられる。
塞栓および感染
流体における外来物質は、渦流または流量低下を招く可能性がある。このような流体条件は、感染症の発生率を増すことが判明している。血栓は、塞栓を発生させるだけでなく、感染の危険度も増す(9)。
多種多様な塞栓障害が、臨床的に観察される症状の高頻度発生、生活の質の低下、および患者の介護費用の増加を招くことは明白である。
第1局面において、本発明は、生体適合性繊維、該繊維に接続する付着構造体、該付着構造体に動作的に接続する活性化要素を含む、塞栓症治療装置に関する。付着構造体は、繊維が狭小な側面の中に閉じ込められる第1形態、および、繊維の一端は拘束されるが、繊維の中心は、狭小側面に対して拘束されない第2形態を有する。活性化要素は、付着構造体の、第1形態と第2形態との間の移行を制御する。
別の局面では、本発明は、生体適合性を持つ表面毛細繊維、ガイドワイヤー、および、ガイドワイヤーに接続する付着構造体構造を含む塞栓治療装置に関する。表面毛細繊維の少なくとも一端は、付着構造体に固定される。表面毛細繊維は、繊維の付着端を囲む腔を充填する形態を持ち、腔は、ヒトの血管の直径に相当する直径を持つ。塞栓捕捉システムは、中心腔を持つ内芯チューブ、および塞栓治療装置を含み、装置は、内芯チューブの中心腔を貫通するのに適当な直径を持つガイドワイヤーを備える。この塞栓捕捉システムは、内芯チューブの上に搬送されるのに好適な治療構造体をさらに含んでもよい。
さらに別の局面では、本発明は、患者の血管から塞栓を除去する方法であって、患者の血管の中に塞栓捕捉装置を設置することを含む方法に関する。塞栓捕捉装置は、繊維支持構造体に付着する複数の繊維を含み、繊維支持構造体はガイドワイヤーに付着する。繊維は、自由に血管腔を充填する繊維を備える形態を持つ。
さらに、本発明は、遠位端と近位端を有する内芯チューブ、塞栓治療装置、およびガイドワイヤーを含む塞栓治療システムに関する。塞栓治療装置は、その第1末端において内芯チューブの遠位端に付着し、ガイドワイヤーは、塞栓治療装置の第2末端に付着する。ガイドワイヤーは、内芯チューブの中心チャンネルを貫通する。
さらに、本発明は、塞栓治療装置を形成するための方法に関する。この方法は、複数の表面毛細繊維を付着位置に固定し、それによって繊維支持構造体を形成し、この構造体を、ヒト患者の血管内を通過させるのに適当な直径を持つガイドワイヤーに合致させることを含む。
本明細書に記載される改良型塞栓治療装置は、一般に、構造体の中に収められた1本の、または複数の繊維であって、展開すると、血管を通過する所望の血流を遮断することなく患者の血管腔に効果的に充満する繊維を含む。ある実施態様では、繊維は、体液のろ過促進に関して好ましい性質を与える表面毛細管を有する。一般に、繊維は、装置に好ましい形態を付与するために結ばれて構造体としてまとめられる。ある実施態様では、繊維の一部は、血管腔内において、それが結合する構造体の支持体部分から拡張することが可能である。特に、複数の繊維が束として結合されるが、その束の中の数本の繊維が、複数の展開繊維の間隙を通して流通させるのに望ましい効果的な開孔サイズを与えるように選ばれる。展開時、繊維は、狭小断面から拡張して血管腔に充満する。
塞栓治療装置を搬送するには、一般に、展開用具が用いられる。一般に、展開用具は、塞栓治療装置を狭小断面として保持し、そうすることによって、比較的侵襲の少ないやり方で血管中で展開することを可能にする。改良型展開装置は、ガイドワイヤー、内芯チューブ、および、塞栓治療装置が一体的に形成された統合システムを含むことも可能である。ある実施態様では、ガイドワイヤーと内芯チューブの間の長軸方向の相対的移動を用いて、塞栓治療装置の展開を駆動する。ある実施態様では、内芯チューブは、標準的ガイドワイヤーとほぼ同じ外径を持つが、内芯チューブは、それよりも大きな外径を含む、他の外径を持つことも可能であり、また、内芯チューブは、様々な生体適合性材料、例えば、後述する金属およびポリマー、またはそれらの組み合わせによって形成することも可能である。特に興味のある一つの実施態様では、付着構造体は、繊維に両端で結合し、展開時、この両端が互いに引き付けられて、その両端の間の繊維の中心を、血管腔を横断する形で押し出す。繊維は、患者の血管腔内部において適切に拡張するように選ばれる。
本明細書の改良型塞栓治療装置は、一般的に、血管に対して手荒な力を与えることなく、また、塞栓が通過可能となるような隙間を残すことなく、血管腔を再現可能的に満たすことが可能である。特に、装置内部の繊維部分は、仮令血管が不規則な表面を持っていても、その血管表面にそって自らの輪郭を合致させることが可能である。繊維の形態および密度は、装置を流れが通過するのに望ましい、効果的な開孔サイズを与えるように選ばれる。一般に、繊維は、単独で、または、他のポリマー組成物と組み合わせて使用することが可能である。例えば、Ogleに対して付与された、名称「塞栓治療装置」(”Embolism Protection Devices”)なる、継続中の米国特許出願第10/414,909号は、繊維に対するヒドロゲルポリマー移植片を記載する。なお、この特許文献を引用することにより本明細書に含める。本明細書の改良型装置に関しては、ある実施態様では、繊維は、表面毛細管繊維(SCF繊維)を含み、表面毛細繊維は、繊維の表面特性によってろ過作用を強化することが可能である。従って、SCF繊維により、好ましい塞栓治療装置が形成される。
本明細書の塞栓治療装置のある実施態様は、塞栓治療装置を搬送するための改良型手法、特に、塞栓治療装置によって実現される所望の塞栓治療と共に展開が可能な、さらに別の血管治療装置と組み合わせて実施される手法を提供する。ある実施態様では、装置は、支持構造体および搬送装置に一体的に組み込まれるガイドワイヤーを含む。これらの実施態様では、塞栓治療装置は、搬送装置の少なくとも一部に対して、該塞栓治療装置またはその一部が取り除かれるまで、係留される。展開されるために狭小断面に収められる塞栓治療装置では、閉塞部の下流で塞栓治療装置を展開可能とするようにガイドワイヤーを用いてもよい。特に、ガイドワイヤーの遠位端を、血管の上流側から閉塞部を通過させて、塞栓治療装置を、該閉塞部を通過直後にガイドワイヤー上にて展開させてもよい。
装置を搬送するのに使用されるガイドワイヤーは、同様にして、断面狭小搬送形式から、血管腔を満たす完全展開形式に至るまでの、塞栓治療装置の展開を活性化するために使用することも可能である。具体的に言うと、塞栓治療装置のこの実施態様は、内芯チューブと極小ガイドワイヤーを含む一体化活性化装置を備える構造体に組み込まれる。ガイドワイヤーに対する、内芯チューブの長軸方向の相対的移動を用いて、塞栓治療装置を展開させる。一旦閉塞部の下流に置いて塞栓治療装置が展開したならば、その展開装置は、閉塞部を治療する際に発生する可能性のある塞栓を収集する位置に置かれたことになる。次に、この塞栓治療装置は、閉塞部の治療によって塞栓が生じた場合、それらの塞栓を全て収集するのに好適な場所に設置される。この一体型活性化装置は、標準的ガイドワイヤーと同等の外径を持つために、他の装置、例えば、閉塞部を処置するのに用いられる他の治療装置も、標準ガイドワイヤーと同様に、その一体型活性化装置に沿って搬送することが可能となる。具体的に言うと、治療装置、例えば、バルーン血管形成術を実行するためのバルーンカテーテル、および/または、血管ステントのような治療装置を、その同じ一体型活性化装置の上を、あたかもそれが標準ガイドワイヤーであるかのように通過し、閉塞部の場所まで搬送され、該閉塞部を開放することが可能である。治療装置の使用後、塞栓治療装置は、捕捉された塞栓と共に、開放された血管を通って、一体型活性化装置、および、装置の他の成分と共に取り出すことが可能である。
塞栓および類似の粒子を捕捉および/または除去/溶解するための改良型医療装置および対応システムは、1本以上の表面毛細繊維を含むことが可能である。このような構造体は、表面毛細管、および/または、複数の繊維の間、または、同じ繊維の異なる部分の間、上記のいずれかにおいて塞栓を捕捉することが可能である。SCF繊維は一般に生体適合性ポリマーによって形成される。適当なポリマーとしては、例えば、ポリエステルが挙げられる。いくつかの適当なポリマーは、刺激、例えば、体温への加熱のような刺激に暴露されることによって記憶された形状を回復する。装置はさらに生体活性剤、例えば、塞栓を溶解するのに有効な薬剤を含んでもよい。一般に、塞栓治療装置は、装置内部の塞栓を除去するのに有効な適当な期間の後に取り出される。この塞栓治療装置は一般に、医療処置の際に、および/または、その後に塞栓をコントロールするために使用されるが、ただし装置は、自然現象として生じた塞栓、または、特に、感受性の高い個人に起こる損傷によって生じた塞栓に対する治療のために使用することも可能である。
本明細書で用いられる塞栓は、広く、哺乳動物における、少なくとも約5ミクロンの直径を有する血管において、生細胞と並んで存在する粒子を指す。この分類判定では、直径は、粒子の表面上の2点間における最長距離とされる。従って、塞栓は、血液内の塞栓のみならず、腎臓結石なども含むと考えられる。血管塞栓は、ほとんど全て凝固血から構成されると考えられる。大動脈手術または血管内処置において発生する動脈塞栓は、他の成分によって構成される可能性があるが、一般には、それらはほとんど全てフィブリンの何らかの成分を含むと考えられている。例えば、Reichenspurner等、「心臓手術時における大動脈内フィルター装置による粒状塞栓の捕捉」”Particulate emboli capture by an inter-aortic filter device during cardiac surgery,” J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 119(2):233-241(2000年2月),Harringer,「大動脈横断クランプを用いた心臓処置時における粒状塞栓の捕捉」“Capture of particulate emboli during cardiac procedures in which aortic cross-clamp is used,” Ann. Thorac. Surg. 119(2):701119-23(2000年2月)、Webb,「伏在静脈移植処置後における粒状残留物の回収と分析」“Retrieval and analysis of particulate debris after saphenous vein graft intervention,” J. American CollegeCardiol. 34(2): 468-475 (1999)を参照されたい。なお、これら三つの文書の全てを引用することにより本明細書に含める。ある実施態様では、本明細書に記載される塞栓治療装置は、下記の三つの方法の内の少なくとも一つによって患者を治療することが可能である。すなわち、第一に塞栓をろ過すること、第二に捕捉した塞栓を溶解すること、および、第三に遠位の心筋層、または、血管の他の下流部分を、効果的な生体活性剤、例えば、塞栓溶解化合物、例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)に暴露し、その場所に衝突した塞栓の溶解を助けること、である。
塞栓治療装置は、例えば、医療導入装置(カテーテルまたは注射器)から、所望の管、例えば、血管中に搬送することが可能である。装置は、それが展開態勢を整える位置に達するまで血管中を通過する際、装置を保護するためのシースで被われていてもよいし、いなくともよい。ある実施態様では、装置の材料は、患者の血管の開放時に拡張し、血管を円周的に被う/満たすことが可能である。ある実施態様では、この拡張は、装置を揺さぶるチューブまたは要素によって促進される。装置は、搬送装置に接続したままでもよいし、そうでなくともよい。係留されたままの実施態様では、拡張装置は、血管壁に接触し、血管腔を満たすが、血管に対する接触は、装置を固定する必要はない。塞栓治療装置が、搬送装置に固定されない実施態様では、装置の拡張は、血管壁に対する接触によって血管内に装置を固定することを可能とする。
ある実施態様では、装置は、血管の態様に一致する融通性を持ってもよい。装置の材料、マトリックス、および構造は、血液要素、例えば、白血球(約7-20ミクロン)、赤血球(8-9ミクロン)、および血小板(2-4ミクロン)は通過させるが、一方塞栓は収集する多孔性を持つように選択される。これと対照的に、塞栓のサイズは一般に、約20ミクロンから約3.5mmの範囲の直径を持ち、ある実施態様では、約45ミクロンから約1000ミクロン、さらに別の実施態様では約50ミクロンから約200ミクロンの範囲の直径を持つ。従来技術に通常に熟達している人であれば、ここに明言された範囲内においてさらに別の範囲の塞栓も着想されること、しかもそれらは本開示の中に収まることが了解されるであろう。従って、興味ある、ある実施態様では、約45ミクロンから約50ミクロンよりも大きなサイズを持つ塞栓の捕捉が実現されたならばそれは有益と考えられる。
ある実施態様では、望ましい塞栓治療装置は、SCF繊維を唯一の構造成分として含んでもよい。例えば、装置は、単一の繊維を含んでもよいし、あるいは、複数のもつれ合った繊維、織り込み繊維、束ねられた繊維、別々に付着された繊維等であってもよい複数の繊維を含んでもよい。この1本の繊維、または複数の繊維は、血流をろ過するように、患者の内部の血管内に固定されるように構成されてもよい。しかしながら、多くの興味ある実施態様では、SCF繊維は、1個以上の他の材料と組み合わせられて塞栓治療装置を形成する。上記他の材料は、例えば、組織、ポリマー、セラミックス、および/または金属であってもよい。具体的に言うと、ある実施態様では、本明細書に記載される塞栓治療装置は、一般に、血管内に設置されて独特の構造体を形成する繊維マトリックスを含む。SCF繊維は、既存の丸型繊維に優るいくつかの利点を有する繊維を生産する、独特の製造技法を組み込むことが可能な特別繊維である。他の医療装置におけるSCFの用法が、Ogle等に対して付与された、名称「表面毛細繊維を含む医療品」(”Medical Article Incorporating Surface Capillary Fiber”)なる、2004年2月18日出願の、継続中の米国特許出願第10/781,503号に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。
SCF繊維の特徴は、表面チャンネル、または、繊維の表面に形成される毛細管である。表面毛細管の特徴は、繊維の長軸に沿って、毛細管の一部が繊維の表面に暴露されることである。表面毛細管は、同じ直径を有する滑らかな表面を持つ繊維に比べて、繊維の表面積の有意な増加をもたらす。表面毛細管は、全体としてその繊維の長軸に沿って分布する。ある実施態様では、繊維の表面は、繊維の長軸に沿って、複数の表面チャンネルまたは毛細管を有する。1本のACF繊維では、事実上繊維の容積の大部分を形成するものは表面チャンネルであるために、繊維の内部質量はもしあったとしてもほんの僅かなものであるので、それらが1本以上の表面毛細管の壁と連結することはない。
特に、SCF繊維基質は、比較的複雑な断面形態を持つように形成されてもよい。ある実施態様では、特定の医療装置に使用される繊維の形態は、比較的大量の流体を相当の速さで移動させることが可能な表面毛細管を有する。適当な繊維としては、市販の4DG(登録商標)繊維(Fiber Innovation Technology, Inc. Johnson City、テネシー州)が挙げられるが、さらに高度の流体輸送、吸収、または濡れ性能を実現する、新規の発達した形態を含んでもよい。特に、形態は、特定の用途に対して特に有利となるように選択されてもよい。SCF製造のための適当な手法が、例えば、Thompson等に付与された、名称「開放毛細管構造、チャンネル構造製造のための改良工程、および該工程において使用される押出成形用金型」”Open Capillary Structures, Improved Process For Making Channel Structures And Extrusion Die For Use Therein”なる米国特許第5,200,248号に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。いくつかの別様の繊維構造が後述される。
さらに、該繊維のためのポリマー組成物の選択によって、ある特定の用途に対する繊維の特性においてさらに大きな融通性が得られる。例えば、繊維のポリマー組成物は、装置の疎水性または親水性を修飾することが可能であるし、あるいは、ポリマーは、放出が制御された薬剤の溶出を実現してもよい。さらに、繊維はさらに、繊維特性をさらに修飾することが可能なコーティング等を含んでもよい。SCF繊維用のポリマー組成物は、医用ポリマーのいくつかの好ましい特性、例えば、既に十分確かめられた生体安定性、生体崩壊性、強度、柔軟性、および圧縮性を含んでもよい。ある実施態様では、SCF繊維は4DG(登録商標)繊維であり、そのサイズは、約1.5デニールから約1000デニールの範囲のサイズである。繊維のサイズは、装置の、機械的、構造的、ろ過、圧縮性、および流体力学特性に影響を及ぼす可能性がある。従って、選ばれた繊維は、異なる用途に対しては異なっていてもよい。
いくつかの実施態様では、SCF繊維は、下記のように、既存の丸型繊維よりも優れる利点を持つ。すなわち、新規の断面、親水性潤滑性または疎水性処理、高い表面エネルギー、高い流体輸送性、および、優れた吸収性および保存性能である。各繊維は、表面毛細管系の役割を果たす一連の溝型チャンネルを有する。表面毛細繊維の一実施形態の断面模式図を図1に示す。また、対照的な2本の丸型繊維の断面を図2に示す。これらのチャンネルは、優れた流体の取り扱いを可能とするので、装置は、物質の閉塞があるにも拘わらず、急速に流体を輸送することが可能である。さらに、チャンネルは、血栓溶解剤を溜めるための優れた容器となることが可能であり、それらの薬剤は、さらに新たな流体(すなわち、容器中の血流)が加えられるまで、しっかりと保持される。しかも、チャンネルはきわめて圧縮性に富むが、また、優れた形状記憶を持つことが可能である。従って、小型の、非閉塞的装置を、穏やかな挿入用に、その際、展開するとチャンネル構成を回復するように製造することが可能である。表面チャンネルは、下記にさらに詳述するように様々なサイズ、形、および構成を持つことが可能である。さらに、繊維の柔軟性によって、血管壁に対し快適で、より損傷の少ない相互作用が実現される。このように血管壁との相互作用が改善されるために、装置を回避する塞栓を逃さないために間隙を縮小することによって血管壁を損傷することなく、ろ過効果を改善することが可能となる。こうした繊維は、優れた血流維持(塞栓捕捉後においても)、極小粒子(〜40μm)の捕捉、およびこれらの装置による塞栓溶解を促進するのに役立つ。
さらに、塞栓治療装置は、さらに別のポリマー構造、および/または、その他の材料から成る構造体、例えば、繊維停止体、輸送装置、回収装置、それらの成分またはそれらの組み合わせを含み、それによって装置に対して望ましい特性を付加するようにしてもよい。さらに別のポリマーの追加、例えば、ポリエステル、ポリ乳酸、PGA、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリウレタン修正品、ポリカーボネート、上記ポリマーのコポリマー、または、それらポリマーの混合体の追加によって、装置および/または組成材料の機械的強度が増す可能性がある。塞栓治療装置は、特定の構造的または機能的特質を実現するために、要すれば、1種以上の追加材料を含んでもよい。例えば、外表面は、繊維と共に拡張し、装置を血管壁に保持するのに役立つ接着剤または織布のような材料を含んでもよい。ある実施態様は、もし望むなら、組成物および/または構造体を修飾するために複数の材料を含むことが可能である。
ある実施態様では、装置またはその一部の材料は、時間をかけてゆっくり再吸収するように選択されてもよい。この実施態様では、装置は、取り出されずに、むしろ患者の体内に残される。ある実施態様では、仮令その再吸収可能な材料の一部が、装置の凝集物質から押し退けられたとしても、その再吸収材料は、血管樹状構造のさらに上流へ向かう血流を実現しながらも、ろ過を可能とする同じ多孔性を維持することが可能である。塞栓治療装置内部の再吸収性材料は、好みのままに、術後極めて短時間から極めて長時間の範囲の時間経過において溶解するように調整することも可能である。ある実施態様では、画像法によって、塞栓治療装置内部に捕捉された石灰化プラークの存在が確定され、次に、プラークが外科的に除去されるようにすることも可能である。
ある実施態様では、塞栓治療装置は、患者の血管中に放出されるが、別の実施態様では、塞栓治療装置は、搬送装置に繋がれたままである。特に、塞栓治療装置は、搬送器に結合した繊維を含んでもよい。例えば、繊維は、一旦それが拘束形態から開放された場合、血管腔において拡張するような形状記憶を持っていてもよい。形状の回復を、繊維を体温に加温することによって支援してもよい。搬送中、カニューレ/シース等で繊維を被い、繊維を拘束形態に保持することも可能である。カニューレは、一旦塞栓治療装置が規定の位置に設置されたならば、引き抜かれて繊維を開放するようにしてもよい。
ある実施態様では、塞栓治療装置は、中心腔を有する内芯チューブ、および、内芯チューブの中心腔内部にある細いガイドワイヤーを備える一体型活性器を含む。内芯チューブと、ガイドワイヤーの間の長軸方向における相対的移動によって、塞栓治療装置の開放が、例えば、塞栓治療装置の被覆の解除によって実現される。興味のある実施態様では、繊維は、ガイドワイヤーの2点に付着し、近位付着点は、内芯チューブに付着する。次に、ガイドワイヤーを、内芯チューブに対して近位方向に変位させることによって、両付着点が近づけられ、その付着点の間の繊維は、ガイドワイヤーの配置される血管腔内に突出する形態を取る。このようにして塞栓治療装置は展開する。繊維は、所望の特性を与えるSCF繊維であってもよい。繊維および繊維束の長さ、およびその他の特性は、下記に詳述するように、血管のサイズに相応しいろ過性能を与えるように選ばれる。
ある実施態様では、生物学的に活性を持つ薬剤が、塞栓治療装置を介して放出される。例えば、生物活性剤が、塞栓治療装置内の貯留槽から、速やかに、および/または、徐々に放出される。それに加えて、または、それとは別に、塞栓治療装置は、処置の際、生物活性剤の外部供給源と接続され、生物活性剤が、塞栓治療装置において、またはその近傍において所望の用量で放出されるようにしてもよい。塞栓治療装置が、生物活性剤の貯留槽を含む実施態様では、塞栓治療装置は、1種以上の材料から、手術に伴う神経学的および/または血管性疾患の予防を支援することができる生物活性剤を溶出させてもよい。ある実施態様では、生物活性剤の貯留槽は、その材料の中に物理的に捕捉されていて、装置が搬送される際その材料が拡張されることによって速やかに放出される。別の実施態様では、生物活性剤は、装置が形成される材料からの拡散によって徐々に溶出される、あるいは、装置が形成される材料の分解によって徐々に放出される。ある実施態様では、塞栓治療装置は、搬送後もワイヤーに繋がれたままであり、その際、ワイヤーは、小径の内腔を持ち、この内腔を通じて生物活性剤が搬送される。ワイヤーを通じての搬送は、例えば、注射器、ペリスタルティックポンプ等によって、放出時間および速度の両面でコントロールすることが可能である。
ある実施態様では、生物活性剤は、化学的および/または物理的手法によってEPDと関連付けてもよい。この関連付けは、多くの手法によって、例えば、共有結合、例えば、適当な反応性官能基および/または光化学的結合を含む共有結合、吸収、またはその他のやり方による材料への取り込み、物理的表面処理としての吸着、および/または、抗体結合に対する関連付けによって実現することが可能である。一般に、この接合は、薬剤が、材料との接合後活性を持続するように実現される。一般に、接合は、生物剤が結合を持続するように、または、生物性薬剤が装置から溶出されるように実現される。同様に、接合は、溶出結合性生物活性剤および非溶出結合性生物活性剤の組み合わせをもたらすように実行されてもよい。さらに、薬剤が、使用地点に結合可能となるようにすることを想定してもよい。これは、生物剤に対して反応性を持つ抗体をあらかじめ結合させておき、用時、介入処置の際に、過剰な薬剤を装置に搬送することによって実現することが可能である。
SCF繊維を組み込んだ医用装置は、その医用装置の近傍に生物活性剤を搬送するのに有効である可能性がある。繊維の表面毛細管の中に生物活性剤を取り込むことによって、生物活性剤の容量は、同じ長さの従来の繊維表面に対して簡単に接合された場合よりも遥かに大きくなる。生物活性剤の形態は、所望の放出プロフィールを実現するように選択することが可能である。生物活性剤の徐放のためには、薬剤を、放出調整剤と組み合わせてもよい。別の実施態様では、生物活性剤の形態は、比較的短期間において適当な放出速度を実現するように選択される。繊維の特定の輪郭も、表面効果による放出速度に対して影響を及ぼす可能性がある。
適当な生物活性剤としては、血栓溶解剤、例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)またはウロキナーゼであってもよく、あるいは、薬剤は、弱酸(場合によっては中和性の塩基、例えば、重炭酸塩と共に)、または、抗石灰化酵素、例えば、石灰化プラークを再吸収するオステオポンチンを放出してもよい。1種以上の塞栓溶解剤を局所的に放出することによって塞栓の作用を緩和することが可能である。別の実施態様では、装置は、患者の脳細胞に対して栄養補給するためにO2および/または糖分を放出してもよい。さらに別の実施態様では、装置は、治癒の促進、または新規血管の創成を可能とする増殖因子を放出してもよい。さらに別の実施態様では、装置は、ウィルスベクターを放出してもよい。このベクターは、周辺の細胞にトランスフェクトしたならば、ポリペプチド化合物(例えば、tPA)の放出を上方修正し、それによって治療の持続を図る。詳細に言うならば、タンパク/ポリペプチド系薬剤の場合、ベクター、例えば、ウィルスベクターに収めて、その薬剤をコードする遺伝子(核酸)を、そのタンパクの体内発現を促進するよう搬送することは、そのタンパクそのものを搬送することに対する別法となる。装置はまた、同様にして、複数の、上記薬剤を放出するように設計することが可能である。
塞栓治療装置は、適当にサイズ調整することによって、患者の任意のサイズの血管に適用することが可能である。患者は、任意の動物、一般的には哺乳類であってもよいが、特に、ヒト、ペット、農業動物、およびその他の飼育動物に焦点が当てられる。装置は、一般に、血管の不規則形態部分に合致する能力を持つ。従って、本発明は、麻痺を起こす可能性のある凝固防止のための血管手術、切断術、血管の外科的処置、その他の神経学的障害または死亡のために使用することが可能である。塞栓、例えば、血栓による合併症のために、塞栓、およびそれによる塞栓症に対する効果的治療に対しては大きな臨床的要求がある。例えば、急性心筋梗塞(AMI)後の冠状動脈処置に対しては、大きな運用の可能性がある。このような症例は、全冠状動脈処置の25%を占め(GW Stone Lennox Hill Hospitalの報告による)、その大部分が、AMI患者に見られる一般的な血栓負荷病巣によるものである。本明細書に記載される装置のいくつかの実施態様では十分な柔軟性と、十分な運用速度が得られるために、塞栓治療装置は、広範な状況において運用することが可能である。骨盤骨折のような症例の場合、血栓形成し易い病気を抱え、そのために凝固塊形成の発生頻度の高い患者においては凝固塊形成を阻止するための緊急処置として塞栓治療装置の展開を実行することも可能である。
ある実施態様では、糸/紐/ワイヤーが、装置の送り出しおよび/または引き抜きのために装置に付着される。この付着は、装置のある実施態様では、引き抜き時、装置の腔径を下げるように作動することが可能である。ある実施態様では、塞栓治療装置を物理的に圧縮することによって該塞栓治療装置を取り出し易くするために、グリッパー等のような引き抜き装置が用いられてもよい。ある実施態様では、塞栓治療装置は、搬送装置および/または回収装置、またはそれらの一部に一体的に組み込まれてもよい。
従って、本明細書に記載される塞栓治療装置は、危険な傷害が、特定の医学的処置の性能、病名、および/または、患者に対する外傷から予想される状況下において、塞栓に由来する傷害を緩和または除去するのに効果的である可能性がある。装置の材料特性によって、塞栓に対処する、可能な、様々なやり方に関しては、装置の設計に大きな柔軟性が得られる。適当な繊維を用いることによって、装置は、搬送の利便性、広範な血管に対する合致性能、および、一定範囲の環境における均一な性能発揮に関して極めて高い融通性を持つ可能性がある。生物学的活性剤を装置と組み合わせることによって、この構造的改良特性を、局所環境に対して治療剤を搬送する能力と組み合わせることが可能となる。
例えば、頚動脈および冠状動脈処置と関連する塞栓障害を緩和するために現在いくつかの装置の開発が進められている。これらの装置は、二つのタイプの装置に分類される。すなわち、閉鎖装置とフィルターである。これらの装置は、処置のタイプに応じて血管形成バルーン、またはステントを搬送するために使用されるその同じガイドワイヤーに取り付けられる。装置は、処置部位よりも遠位側に設置される。
バルーン閉塞装置は、ガイドワイヤーに取り付けられたバルーンから成る。処置の際、バルーンは膨らまされ、処置の遠位側の一点において全ての血流を閉鎖する。カテーテルを用いて、処置によって生じたデブリを吸引する。本明細書に記載される改良装置の利点は、例えば、(フィルターシステムと比べた場合)柔軟性の向上にある。これによって、緊密な病巣や、複雑な病的血管により簡単に接触することが可能となる。さらに、この改良装置は、どんなに小さな塞栓でも遠位側に進行するのを防止するから、著明な治療作用を実現する。一方、フィルター装置も、その用法について別の問題点を有することがある。例えば、血流遮断は、患者(特に、反対側に閉塞を持つ患者)の最大10%において、有害事象をもたらす可能性がある(Ohki T, Veith FJ. 「頚動脈ステント設置術−脳治療装置の有用性」”Carotid artery stenting: Utility of cerebral protection devices,” J. Invasive Cardiology 13(1):47-55, 2001)。さらに、塞栓を噴射し吸引するための第2工程が必要とされる。この技法は、処置中の血管画像の撮影を許さないので、設置をさらに困難にする。さらに、遠位治療バルーンの拡張は、さらに新たな塞栓形成、血管痙攣、および、血管の切断までも惹起する可能性がある。
その他、現在開発中の装置は、塞栓を緩和するための機構としてろ過作用を利用する。閉塞装置と同様、フィルター(サイズ排除>80-100ミクロン)を、処置部位に対して遠位側に設置されて拡張される。処置の終了時に、フィルターは潰され、処置によって生じた粒状物質のいくつかを捕捉する。このフィルター法の利点としては、処置を通じての連続血流、処置中に血管像撮影の実行が可能であること、および、噴射工程の必要がないことが挙げられる。しかしながら、フィルター装置は、大きな断面プロフィールを持つことがあるので、これは、緊い、または、曲がりくねった病巣への接近を困難にするため、血管痙攣または切断の可能性を高める。第2に、処置の際、塞栓の通過を阻止するためには、ガイドワイヤーを一般に適正位置に厳密に保持しなければならない。さらに、適正に位置づけたとしても、フィルター孔径は、小型粒子の最大80%を通過させることがあり、また、フィルター材料そのものが、血栓形成させ、血栓を放出する可能性を有する。
本明細書に記載される装置は、その柔軟性によって、挿入・撤去が容易であること、および、直接的冠状動脈処置に適していること等の利点を持つ。この使用の簡便性は、手術時間を短縮し、かつ、血管関連のプラークまた組織の破砕による塞栓形成発生頻度を低減する。さらに、ある実施態様における本装置は、血管壁の、複雑で非対称的輪郭にも合致することが可能であるので、塞栓が脱出する可能性のある隙間箇所の存在を低減する。さらに、本装置は、除去のために塞栓を捕捉することが可能な、装置の2次元性によって塞栓の除去を実現する。
他の特質を持つ、改良型塞栓治療装置のさらに別の実施態様が、Ogleに対して付与された、名称「塞栓治療装置」(”Embolism Protection Devices”)なる、係属中の米国特許出願第10/414,909号に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。
塞栓治療装置および対応システムの構造
塞栓治療装置は、展開前後の実効外表面においても、構造の断面を通じて見た場合の材料配置においても、様々なサイズおよび形を持つことが可能である。本明細書に記載される繊維系実施態様では、装置の外面は、構造の外側部分に沿って隣接繊維間に外挿することによってごく大まかに定義されるにすぎない。装置を横切る材料配置の性質は、一般に、装置を通過する血流を維持すること、また一方、適当なサイズを超える塞栓は、それらが装置を通過して流れることがないように捕捉すること、の両方に適合するように処方される。従って、装置は、折りたたまれて特定の構造体を形成する複数の単一繊維を含んでもよいし、様々のやり方で配置することが可能な複数繊維を含んでもよく、また、構造体は、塞栓治療装置のフィルター部分を形成する、1種以上の別材料と組み合わせた、1本以上の繊維を含んでもよい。対応システムは、この塞栓治療装置の配送、展開および/または回収のための器具を含む。改良型一体化システムは、下記の文節で記載されるが、これは、繊維系塞栓治療装置のみならず、他のタイプの塞栓治療装置とも効果的に使用することが可能である。
塞栓治療装置は、患者の血管中に無拘束状態で設置されるように設計されてもよいし、あるいは、塞栓治療装置は、搬送器具に繋がれたままでもよい。装置は、選ばれた構造を持つ1本以上の繊維を含んでもよいし、および/または、繊維は、別の成分と組み合わせることによって、構造体内部で操作されてもよい。例えば、繊維は、血管内で展開される束としてまとめられてもよい。繊維束は、繊維と血管壁との相互作用を仲介する織布カバーと接合していてもよいし、していなくともよい。塞栓治療装置は、複数のドメインであって、それらのドメインの内一つまたは二つが繊維を含む、そのようなドメインを含んでもよい。
装置の外形に関しては、この形は、全体として、球形、円筒形、凹形、または鞍形であってもよい。全体として球形、またはその他の形態の装置は、それにも拘わらず、平均的な全体形の周囲に出入りする、不規則で、ざらざらな表面輪郭であって、拡張時に、血管内壁にたいして方向付けや、調整を可能とする表面輪郭を有していてもよい。代表的な例のいくつは後述する。いずれの特定の装置であっても、装置のために大雑把なサイズを選択した後で、血管内部の特定のサイズおよび形態に全体として合致させることが可能である。特定の装置サイズは、特定の血管サイズに依存するが、塞栓治療装置は、ヒト患者の血管内部における拡張後、血流に対して直交する方向に、約50ミクロンから約35ミリメートル(mm)の直径を持つことが可能であり、さらに別の実施態様では、約100ミクロンから約9 mm、さらに別の実施態様では、約500ミクロンから約7 mmの直径を持つことが可能である。従来技術に通常に熟達している人であれば、ここに明言された範囲内において、さらに別の範囲の装置直径が着想されること、しかもそれらも本開示の中に含まれることが了解されるであろう。
一旦塞栓治療装置は血管内に適正に設置されたならば、塞栓が捕捉される一方で装置を通じて適当な血流が維持される。従って、血流方向に関しては、装置の多孔性は調節されている。この調節的多孔性は、材料の性質、および/または、特定構造によって定められる。具体的に言うと、装置内の繊維密度および繊維構造によって、塞栓が捕捉される一方で所期の流通が確保される多孔性の効果的な分布がもたらされる。特に、SCF繊維は、表面毛細管内において比較的小さい塞栓を捕捉し、一方、比較的大きい塞栓は、塞栓治療装置の全体構造の表面に沿って、および/または、内部の繊維間において捕捉される。
ある実施態様では、装置は、互いに異なる孔サイズを持つ、二つの構造体/材料から成る組成物を含む。例えば、装置は、装置の拡張後の平均孔径が、約150ミクロンと約300ミクロンの間であって、ほぼ下流に配置される大きさの第1材料と、平均孔径が約50ミクロンであって、ほぼ上流に配置される大きさの第2材料を含む。それとは別に、またはそれに加えて、ポリマーは、一旦装置が血管内で拡張された場合に、直接所望のサイズを持つ孔径が得られる構造体が実現されるように特異的に配置されてもよい。
一般に、塞栓治療装置の、所望のフィルター特性、および対応する平均孔径および孔のサイズ分布は、その装置の搬送される特定の血管の特定の位置に依存する可能性がある。しかしながら、多くの運用例では、直径が少なくとも約0.2 mmを持つ粒子の実質的多数の流通を阻止し、一方、0.001 mm以下の直径を持つ粒子の実質的多数の流通を許すことが望ましいが、別の実施態様では、少なくとも約0.1 mmの直径を持つ粒子の実質的多数の流通を阻止するが、一方、約0.01 mm以下の直径を持つ粒子の実質的多数の流通を許すことが望ましい。従来技術に通常に熟達している人であれば、ここに明言された範囲内において、さらに別の範囲のろ過性能が着想されること、しかもそれらは本開示の中に収まることが了解されるであろう。粒子の実質的多数とは、少なくとも約99パーセントであると考えてよい。
塞栓治療装置は、注射器、カテーテル、カニューレ、グリッパー、またはその他適当な手法によって展開が可能である。いくつかの特異的手法が本明細書に記載されるが、従来技術に通常に熟達している人であれば、本明細書の教示に基づいて他の搬送法を取り入れることも可能であろう。ある実施態様では、展開後のある時期において塞栓治療装置を取り出すことが望ましい。塞栓治療装置は拡張して血管壁の内側に接触するのであるから、装置の撤去を促進する構造体を導入することが好ましい。装置が搬送器具に付着したままの場合、装置の引抜きを促進するためにも同じようにその搬送器具を使用するようにしてもよい。別の実施態様では、塞栓治療装置は、しばらく患者の血管内に留め置かれ、装置を引き抜くためには別の器具が使われる。いずれの状況であっても、装置は一般に、引き抜きの際に装置からの塞栓の放出を低減する、または根絶する器具によって引き抜かれる。例えば、装置が展開器具に付着したままである実施態様では、搬送装置は、装置を引き抜くために適当に配置される、1本以上のチューブ、シース、剛体延長体、ワイヤー、糸、フィラメント、係留紐等を含んでもよい。ある実施態様では、紐が、その紐を引っ張ると、装置を縮小させ血管壁に対する摩擦を下げる、または除去するように設置される。例えば、紐は、血管壁に接触する装置の外縁に、またはその近傍に、その紐を引っ張ると、装置の外部を血管の中心に向けるように配される。係留紐等も、塞栓治療装置を、血管内の搬送位置に維持するのに有用な場合がある。従って、血管内の流れに逆らって塞栓治療装置の位置を維持するように係留紐またはガイドワイヤーを設けている場合、装置は、血管内壁に対して大きな力を印加してもよいし、印加しなくともよい。
さらに、引き抜き装置は、カテーテル等によって、塞栓治療装置の近傍に配置されてもよい。例えば、引き抜き器は、装置を把握して物理的力によってその形態を縮小し、その塞栓治療装置が、カテーテル等を通じて取り出せるようにするグリップ要素を含んでもよい。同様に、引き抜き器はシース等を含んでもよい。塞栓治療装置は、拡張した装置の一端がシースの内部に適合するように先細り状になっていてもよい。次に、シースに対して装置を、例えば、係留紐等を用いて引っ張って動かし、装置を圧縮してシース内に押し込め、それによって、シースに収められた装置を患者から取り出すようにしてもよい。同様に、コルク栓抜き式に装置を捻り、そのトルクとポリマーの圧縮性によって装置の直径を低下させてもよい。装置搬送用のシース内部に装置を設置するために同様の手法を用いることも可能である。患者からの引き抜き用を意図した塞栓治療装置の実施態様では、血管壁から遠い側の多孔性に比べて、血管壁に近い側の多孔性が小さくなるようにする方が、患者から装置を引き抜く際に、装置から塞栓が脱出する可能性が低下されるという点で、好ましい。
図3を参照すると、左図は、血管104内部のカテーテル102に隣接する繊維メッシュで形成される、全体として球形の塞栓治療装置を示す。図3の右側図は、血管104の腔を満すように拡張させた後の装置100を示す。両図の間の矢印は、装置100が、血管104の腔を断面全体に拡張する、時間的な進行を示す。この実施態様では、装置100は、装置100の内部を形成するランダムな配列の繊維性ポリマーを持つ。拡張は、他の機構でも可能であるが、繊維の形状記憶によって駆動することが可能である。別の実施態様では、塞栓治療装置110は、図4に示すように、ランダムな内部ポリマー構造体112を有する円筒形を持つ。この実施態様では、血管血流が通る流路末端を除いて、織布114で被われた外面を有する。図5のさらに別の実施態様を参照すると、塞栓治療装置120は、ほぼ格子状に配された繊維マトリックス122を備えた全体に円筒形を持つ。円筒の外面は、織布124によって被われるが、ただし、円筒形の両端は暴露されている、すなわち、織布を欠いている。織布124の織り目が十分に開放的である場合、織布は、円筒形構造体の両端も被ってよい。
図5、6、および7に、他の実施態様を示す。図5では、装置120は、ガイドワイヤー126を用いてシース124ごと搬送することが可能な繊維マトリックスを持つ。図6に示すように、螺旋形装置140(挿入図Aに平面図が示される)を用いて繊維マトリックス142を圧縮してシース144の中に負荷するようにしてもよい。図7に示すように、塞栓治療装置150は、メッシュ154、例えば、織布メッシュの内部に繊維マトリックス152を含む。繊維マトリックスは、塞栓がメッシュに達する前に塞栓を捕捉し、それによって、塞栓がメッシュを詰まらせることがないように、装置を通過する血流が維持されるようにする。装置150の別の図が図8に示される。図8では、メッシュ154の基底156が硬化され、展開後の装置の全体形が維持されるようになっている。図8Aには圧縮形が示され、図8Bには拡張形が示される。
図9に示すように、塞栓治療装置の搬送と組み合わせて薬剤を搬送することが可能である。図9Aに示すように、カテーテル170は、ハブ172からガイドワイヤー174に沿って延びる。挿入図に示すように、塞栓治療装置176は、内芯チューブ178によって、カテーテル170中を通じて搬送される。ハブ172は、カテーテル170中を流れる流体の通過を制限し、不要な血液損失を防ぐ。注射器180はハブ172に接続し、カテーテル170、内芯チューブ178、および/またはガイドワイヤー174を通じて、生体活性剤/薬剤を搬送する。塞栓治療装置176の展開後の形態を図9Bに示す。薬剤搬送と併せて各種塞栓治療装置の設計が可能である。生体活性剤を塞栓治療装置から搬送する実施態様については、下記にさらに詳細に述べる。
図10に、螺旋形の引き抜き要素による、圧縮可能な塞栓治療装置の撤去が示される。図10Aを参照すると、展開した塞栓治療装置190は、ガイドワイヤー192と連結して展開形態を取る。ただし、この引き込み要素は、塞栓治療装置190が、患者の血管中で、非連結形態を取って展開した場合でも同様に使用することが可能である。引き込み要素194は、ガイドカテーテル196を通じて搬送される。図10Bに示すように、螺旋形引き込み要素194にトルクを印加することによって、塞栓治療装置190は圧縮され、カテーテル196を通じて除去される。
塞栓治療装置は、塞栓に対する治療作用を行うのに十分な時間の経過後、装置の撤去を促進するように係留紐等を含んでもよい。図11を参照すると、塞栓治療装置200は、装置200を係留する2本の紐202、204を含む。ただし、単一の紐、または、2本よりも多い紐でも使用が可能である。図11の左側図では、装置200がカテーテルまたは内芯チューブ206に収まった未拡張形態が示され、図11の右側図ではその拡張形態が示される。2本の紐を設けることによって、それらの紐を引っ張ると、もしもそれらの紐が装置の離れた位置に付着している場合、2本の紐を互いに引き寄せて装置を縮小させることになる。図12に示すように、矢印208によって示されるように、紐202、204に張力を与えると、装置200の直径が縮小し、右から左への対応する運動が生じる。撤去を促進し、装置を縮小させるために塞栓治療装置を係留する紐については、装置の特定の形や構造に応じて、他の形態の紐を用いることも可能である。別に、装置に係留されたままの展開器具を備える塞栓治療装置の興味ある実施態様が、下記の文節で詳細に記載される。
繊維系装置に適用が可能な、その他の塞栓治療装置形態が、Ogleに対して付与された、名称「塞栓治療装置」(”Embolism Protection Devices”)なる、係属中の米国特許出願第10/414,909号に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。
塞栓治療装置は、異なる構造体、材料、および/または生物活性剤から成る複合体を含んでもよい。特に、これらの実施態様では、塞栓治療装置は、複数の特定可能な部分であって、部分内の平均的組成に関して組成的に明瞭に異なる特定可能な部分を有していてもよい。ある実施態様では、それらの部分は、流体、または流体の実質部分が、一つのセクションから次のセクションへと順次に通過するように配置される。このような構成では、一般に、流量の少なくとも約25%が、別の実施態様では、流量の少なくとも約80%が、第1部分から第2部分への順次流れる。従来技術に通常に熟達している人であれば、ここに明言された範囲内において、さらに別の範囲の流量が着想されること、しかもそれらは本開示の中に収まることが了解されるであろう。
例えば、図13に示すように、塞栓治療装置220は、上流部分222および下流部分224を含み、血管を通過する流れは矢印226によって示される。ある実施態様では、上流部222は、例えば、少なくともいくつかの塞栓を溶解する性質を持つ弱酸を溶出し、一方、下流部224は、その弱酸が下方に流れてくるにつれてそれを中和するバッファーを含んでもよい。上流部222および/または下流部224は、本明細書に記載するSCF繊維のような繊維を含んでもよい。
ある実施態様では、上流部222と下流部224は分離が可能である。従って、例えば、上流部222は、流れに対して、繊維メッシュ、繊維束、および/または、その他の多孔性物質を設け、塞栓を収集し、その後除去するようにすることが可能である。下流部224は、流れを際立って変えることはないが、生物活性剤、例えばtPAおよび/またはNOを溶出する管状構造体であってもよい。これらの部分は分離が可能であるので、上流部222は血管から取り出され、捕捉された塞栓を除去するが、一方、下流部は、血管に残って治療剤を溶出する。別の実施態様では、流れに対して二つの部分の配置を逆にし、取り出される部分、すなわち、下流部が取り出されて、上流部を残すようにしてもよい。本実施態様の変種として、下流部もまた塞栓を捕捉するようにしてもよい。従って、上流部が取り出された後でも、下流部は、塞栓の捕捉に対して効果的である。下流部は、所望の速度で溶解する、生体吸収性材料によって形成されてもよい。
図1-13に示した構造体は、塞栓治療装置の代表的な構造体である。本明細書の開示に基づいてさらに別の構造体を形成することが可能である。
ある実施態様では、塞栓治療装置は、該塞栓治療装置の使用を促進する他の用具と共に使用することが可能な他の成分にそって分布してもよい。例えば、塞栓治療装置は、搬送器具、引き込み装置、生物活性剤搬送用器具、指令器具およびその他の適当な器具に沿って分布されてもよい。適当な搬送器具としては、例えば、装置の搬送を助ける他のカテーテル成分と共に搬送されるよう、塞栓治療装置が中に挿入されるシースおよび/またはカニューレが挙げられる。塞栓治療装置の除去を助ける適当な引き込み装置は、本明細書に記載されるが、塞栓治療装置と共に分布することが可能である。塞栓治療装置と共に生物活性剤を搬送するために、中心腔を持つガイドワイヤーおよび/またはカニューレ付き注射器を、塞栓治療装置と共に分布させてもよい。カニューレ付き注射器をガイドワイヤーに接続して、患者の血管内において塞栓治療装置の近傍に生物活性剤を搬送するようにしてもよい。ガイドワイヤーは、係留紐として、塞栓治療装置に連結されていてもよいし、されていなくともよい。さらに、塞栓治療装置は、指令と共に分布されてもよい。この指令は、例えば、適当なウェブサイトへの指令を含む、書かれた指令および/または電子コピーの形を取ってもよい。一般的に分布される要素は、1種以上の容器の中に、例えば、キットとして分布される。塞栓治療装置は、一般に、患者から取り出された後は廃棄されるが、その塞栓治療装置に配される、他の、個々の要素は、滅菌後再使用可能としてもよいし、そうでなくともよい。
特異的一体化システム
ある興味ある実施態様では、繊維を含む塞栓治療装置は、装置の搬送、展開、および回収を促進する一体化構造として形成される。特に、この装置は、閉塞塊を通り過ぎて設置するのに好適であり、そのために、該閉塞塊に対して処置を施す前に、塞栓治療装置を展開可能とする。一体化装置は、一般に、ガイドワイヤー、内芯チューブ、および塞栓治療装置を含む。内芯チューブの、ガイドワイヤーに対する、長軸方向の相対的運動を用いて、塞栓治療装置を展開させる。ある実施態様では、内芯チューブは、閉塞部の治療のために、内芯チューブの上に治療構造体を設置可能とするような寸法を持つ。
図14を参照すると、一体化装置は、ガイドワイヤー250、内芯チューブ252、塞栓治療装置254、治療構造体256、カテーテル258、およびハブ/コントローラー260を含む。ガイドワイヤー250は、内芯チューブ252の内腔に嵌合する。特に興味ある実施態様では、内芯チューブ252は、通例のガイドワイヤーのものとほぼ同様の外径をもつ。次に、従来型の治療構造体を、内芯チューブの外側に搬送することが可能である。
内芯チューブ252の長さは、特定の用途に適合するように選ばれる。例えば、大動脈の処置のためには、内芯チューブは、一般に、約190cm(63インチ)から約300cm(106インチ)の長さを持つ。内芯チューブの断面は、内径と外径によって決められる。内径の範囲は、一般に約0.001インチから約0.01インチ、別の実施態様では約0.003インチから約0.008インチ、さらに別の実施態様では、約0.005インチから約0.007インチである。外径の範囲は、一般に約0.04インチから約0.009インチ、別の実施態様では約0.03インチから約0.010インチ、さらに別の実施態様では約0.02インチから約0.011インチ、他の実施態様では約0.015インチから約0.013インチであり、ガイドワイヤーの標準的外径は約0.014インチである。ガイドワイヤーは、内芯チューブの内径よりもほんの僅かだけ、約0.002インチから約0.003インチだけ少ない直径を持つ。従来技術に通常に熟達している人であれば、ここに明言された範囲内において、さらに別の範囲のものが着想されること、しかもそれらは本開示の中に収まることが了解されるであろう。
ある実施態様では、ガイドワイヤーは、内芯チューブの遠位端を過ぎて延長される長さを持ち、その一方で、内芯チューブの近位端からも延びている。一般に、ガイドワイヤーは、内芯チューブとは独立に、特に長軸方向の運動においてガイドワイヤーの操作を実現するために、内芯チューブの近位端から延長し、また、グリッパーまたは塞栓治療装置のような医用装置に付着するために遠位端からも延長する。一般に、ガイドワイヤーの近位端から遠位端に対し回転運動を途中消滅させることなくガイドワイヤー先端を回転可能とするように、内芯チューブからガイドワイヤーに対してトルクが移送されることを可能とすることが好ましい。この目的を達成するために、ガイドワイヤーに対する内芯チューブの長軸方向の相対的運動を禁ずることなく、内芯チューブをガイドワイヤーに対して回転的に結合することが可能である。例えば、この結合は、キー/キー溝相互作用、トルクの印加によって結合するコイル、または圧縮結合によって実現が可能である。内芯チューブとガイドワイヤーとの間のトルク結合については、さらに、Picorney等に対して付与された、名称「操縦可能な、小径ガイドワイヤーおよび軸」”Steerable Guide Wire and Shaft With Small Diameters”)なる、係属中の、2004年3月6日出願の米国特許出願第60/550,880号に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。
塞栓治療装置は、一体型構造体を用いて展開可能であり適当なものであれば任意の装置であってもよい。特に、装置は、拡張構造体、例えば、Ogleに対して付与された、名称「塞栓治療装置」(”Embolism Protection Devices”)なる、係属中の米国特許出願第10/414,909号に記載されるように、ヒドロゲルおよび/または形状記憶繊維に基づく。二つの興味ある実施態様が以下に詳述される。この一体型構造と組み合わせて有利に使用されるのは、一般に、繊維、例えばSCF繊維を用いる塞栓治療装置である。
図15を参照すると、内芯チューブ274上の特注による拡大部272の内部に塞栓治療装置270が示される。拡大部272は、内芯チューブ274の遠位端に開口276を持つ。塞栓治療装置が、展開前に十分に小さい断面を持つ場合で、装置が内芯チューブだけで被われるのならば、この拡大部は必要ない。塞栓治療装置270は、ガイドワイヤー250に付着される。繊維のガイドワイヤーに対する付着は、接着剤、化学的結合、および/または、機械的からみ合いによって実現することが可能である。塞栓治療装置270は、拡大部から装置が放出されると、血管内において装置の展開をもたらすように拡張性ポリマーを含む。拡張性ポリマーは、体温に加熱されると形状記憶を復元する繊維、例えば、SCF繊維のような繊維であってもよい。放出された繊維は、形状記憶を回復し拡張形態を取り血管を満たす。内芯チューブ274をガイドワイヤー250の近位側に移動させると(図15に示すガイドワイヤーに対して左側に)、塞栓治療装置270は、開口276から内芯チューブ274を脱け出し血管内で展開する。
別の実施態様を図16に示す。この実施態様では、塞栓治療装置280は、内芯チューブ282の遠位端に配置される。ガイドワイヤー250は、塞栓治療装置280から延びる。塞栓治療装置280は、繊維束284、第1付着構造体286、第2付着構造体288、および、一般にワイヤー通路290を含む。繊維束284は、図16に示すように血管中に搬送されるように全体として円筒形にまとめられる。束の中の繊維の数は、一般に、所望のろ過の程度を始め、繊維の太さに依存する。一般に、繊維の数は、少なくとも10本、別の実施態様では25本から百万本、他の実施態様では、50本から1万本、さらに別の実施態様では100本から5千本の範囲であってもよい。繊維の長さは、対応する血管のサイズに基づいて選ばれる。展開されると、繊維の中心は、血管の腔を横断して突出する。従って、付着構造体286、288の間の拘束されない繊維の長さは、血管半径の少なくとも2倍でなければならない。患者の血管腔内で拡張させるのに複数の繊維を用いるある実施態様では、一般に、血管半径の約2.2倍から約10倍の長さを持つ繊維を用いるのが適当であり、ある実施態様では血管半径の約2.4倍から約5倍、さらに別の実施態様では血管半径の約2.6倍から約4倍の長さを持つ繊維を用いるのが適当である。ヒト血管に設置する場合、繊維は一般に、約0.5 mmから約100 mmの長さを持ち、別の実施態様では約1 mmから約25 mm、さらに別の実施態様では約2 mmから約15 mmである。従来技術に通常に熟達している人であれば、ここに明言された範囲内において、さらに別の範囲の繊維数および繊維長が着想されること、しかもそれらは本開示の中に収まることが了解されるであろう。一つの特定の実施態様では、装置は、一束で、0.033インチ(2.5フレンチ)の断面の中に480-6デニールのSCF繊維を含む。
第1付着構造体286は、繊維284をガイドワイヤー250に付着させる。このようにして、繊維の遠位端は、ガイドワイヤーに付着される。同様に、第2付着構造体288は、繊維の近位端を内芯チューブ282に固定する。ワイヤー通路290は、第2付着構造体を通過する導管を実現するために、第2付着構造体288を貫いて延びるチューブである。ガイドワイヤー250は、第2付着構造体288に対して、従ってまた内芯チューブ282に対して長軸方向に相対的に移動可能となるように通路290を貫通する。第1付着構造体および第2付着構造体に対する付着は、それぞれ独立に、例えば、適当な接着剤(その内のいくつかは後述する)、または、繊維束の上に緊く巻かれるバンドによって、および/または、繊維の加熱結合によって実現される。ただし、適当であれば、他の接着法も使用が可能である。ワイヤー通路290は、繊維284を所定の位置に保持するために十分な力が印加された場合に、ガイドワイヤー250の上に潰れて覆い被さらないほど十分な機械的強度を持つ、適当な生体適合性材料から形成される。
図17に示すように、展開後、繊維284の中心は、ガイドワイヤー250から外方に向かって突出する。図18に模式的に端面図を示す。このようにして、繊維284は、血管腔を満たし、好ましい流通を阻止することなく流通をろ過する。図19A-Cに展開過程を示す。図19Aでは、搬送時、外方シース292は、装置280および内芯チューブ282を被う。内芯チューブ282上のマーカー294は基準点となる。図19Bに示すように、シース292は引き抜かれ、装置280を露出する。シース292は完全に除去することが可能である。図19Cに示すように、内芯チューブ282に対して近位側にガイドワイヤー250を引っ張ることによって、塞栓治療装置280が展開される。
図14を参照すると、治療装置256は、血管内において患者を治療するのに好適であれば、どのような装置であってもよい。例えば、治療装置256は、バルーン、ステント等であってもよい。カテーテル258は、適当であればどのようなカテーテルであってもよく、例えば、治療装置256を搬送し、活性化するためのガイドカテーテルであってもよい。適当な装置は従来技術で既知であり、例えば、Miller等に対して付与された、名称「微小チャンネルを有するステント搬送用バルーンカテーテルおよび方法」(”Balloon Catheter For Stent Delivery Having Microchannels And Method”)なる米国特許第6,464,718号、および、Ogle等に付与された、名称「再狭窄を起こしにくい医用装置」なる米国特許大6,491,617号に記載される。なお、両文書を引用することにより本明細書に含める。これらの装置は、内芯チューブ252を、それら装置の搬送をガイドし、促進する効果的なガイドワイヤーとして用いることによって搬送することが可能である。
不都合な流体損失を招くことなく患者の血管内に装置を導入する仲介手段としてハブ/コントローラー260を用いることが可能である。ハブ/コントローラー260は、一般に、流体損失を防ぐために患者の皮膚にシールを形成する。アクセスポートは、血管内への器具の挿入・操作を実現可能とする。ハブ/コントローラーは、ハンドル等を含んでもよいし、含まなくともよい。一般に、ガイドワイヤー250は、ハブ260から延び、ガイドワイヤー250と内芯チューブ252との相対的運動を実現する。ただし、ガイドワイヤー250は、内芯チューブ252に対する、その相対的位置を制御するために、トリガー、または他の活性化器に接続されてもよい。適当なハブおよび類似のカテーテル制御装置は、従来技術で既知であり、例えば、Olson等に付与された、名称「腔内代用品搬送用ディスポーザブル装置」(”Disposable Delivery Device For Endoluminal Prosthesis”)なる米国特許第5,906,619号に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。
一つの特定の実施態様を図20-29に示す。この実施態様では、一体化装置は、内芯チューブ300、ガイドワイヤー302、塞栓治療装置304、およびハンドガード306を含む。図20の断面図および図21の側面図を参照すると、内芯チューブ300は、通例のガイドワイヤーの先細りを模倣するように、その遠位端にテーパー部316を持つ。ワイヤーコイル318が、テーパー部316の上に配される。図22に示すように、ガイドワイヤー302は、その遠位端においてコイル320によって被われる。コイル320は、半田322および溶接324によって接続される。ただし、他の接着法も使用が可能である。グリップ326が、ガイドワイヤー302の近位端に付着する。さらに、図24および25に示すように、ガイドワイヤー302は、グリップ326の近くに折れ線部328を持ってもよい。折れ線部328は、内芯チューブ300とガイドワイヤー302を、塞栓治療装置を搬送のために未展開状態とする形態に維持するのに役立つ。内芯チューブ300、ガイドワイヤー302、ワイヤーコイル318、コイル320、およびグリップ326は、皆ステンレススチールから形成することが可能であるが、適当であれば、他の材料を用いてもよい。
この実施態様では、図21および23に示すように、塞栓治療装置304は、第1付着部332と第2付着部334に付着する、一束のSCF繊維330を含む。ポリイミドポリマーから形成されてもよい0.1インチ長のチューブ336が、第2付着部334の内部に配され、ガイドワイヤー302がこのチューブの内部を延びる。繊維は、この二つの付着部332、334の所で、放射線不透過のバンドによって0.033インチの直径に打ち固められ/折り縮められる。折り縮められた後、繊維束は、各末端において、シアノアクリレートのような接着剤によって接着される。
図26-29にハンドガード306を示す。ハンドガード306は、ガードチェンバー340と接続部342を含む。図27に示すように、接続部342は、内芯チューブ300を固定するためのトーヒーボルスト(Touhy Borst)接続であってもよい。トーヒーボルスト接続は、Kruegerに付与された、名称「シャントタップ装置および方法」(”Shunt Tap Apparatus And Method”)なる米国特許第5,795,307号にさらに詳細に記載される。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。図28に示すように、医療専門家は、ガードチャンバー内に手を伸ばし、ガイドワイヤー302を引っ張って、塞栓治療装置304を展開することが可能である。ガードチェンバー340は、露出した引っ張りワイヤーが誤って折り曲げられることのないように保護する。内芯チューブが、経皮、経血管的冠状動脈血管形成用(PTCA)カテーテル中に引き戻されたならば、ハンドガード306は簡単に取り外すことが可能である。
材料
一般に、患者の体液および組織に接触する材料は生体適合性である。生体適合性材料は、一般に、無害で、発ガン性を持たず、血液に適合し、溶血、または重大な免疫学的反応を誘発しない。一般に、本明細書に記載される装置は、特定の成分に対し各種材料を含むことが可能である。特に、我々は、塞栓治療装置の中に組み込まれる繊維の組成について考慮を払っている。SCF繊維に関する議論は、後述の見出しつき文節で取り扱う。それ以外の、好適な材料としては、例えば、ポリマー、金属、セラミックス、生体活性化合物等が挙げられる。生体活性化合物はさらに後述する。
体液に接触しない装置の部分については、非生体適合的であっても任意の材料の使用が可能である。体液に接触しない他の装置部分についても、それを操作する、および/または、構造的に支持するために非生体適合性成分でも使用が可能である。例えば、通例の構造材料のような各種材料を、常に生体の外部にある、カテーテル装置の構造的、制御的部分、例えば、図26-29のハンドガードのような部分を形成するのに使用が可能である。同様に、ある種の経皮装置と組み合わせてカテーテル等を操作するのに各種の制御装置を使用することが可能である。カテーテル装置は、さらに、例えば、DiCaprio等に付与された、名称「遠位マニフォールド調整バルブ/マニフォールドを持つカテーテル」(”Catheter With Distal Manifold Prep Valve/Manifold”)なる、米国特許第6,176,843号に記載される。この文書を引用することにより本明細書に含める。
好適な生体適合性材料については、適当なセラミックスとしては、限定例としてではなく、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、および熱分解性カーボンが挙げられる。生体適合性金属としては、例えば、チタン、コバルト、ステンレススチール、ニッケル、鉄合金、コバルト合金例えばElgiloy(登録商標)、コバルト-クロム-ニッケル合金MP35N、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金、および、Nitinol(登録商標)ニッケル-チタン合金が挙げられる。それ以外の材料、例えば、金属をポリマー成分に導入し、それによって装置の一部を放射線不透過とし、血管撮影または臨床技術によって視像化することを可能としてもよい。一般に、好適な金属は生体適合性金属である。ガイドワイヤー、係留紐等も、上記生体適合性金属および/または生体適合性ポリマーによって形成することが可能であり、後述の生体適合性繊維と同じ材料によって形成することが可能である。
さらに、塞栓治療装置は、装置の形成、および/またはコーティングの塗布のため等のために、生体適合性接着剤を含んでもよい。ある実施態様では、医用接着剤を、生体活性剤と結合し、表面毛細管内に設置し、そうすることによって、再吸収性接着剤であってもよい接着剤の特性に基づく選択輸送によって生体活性剤を搬送するようにしてもよい。説明の都合のために、本明細書で用いる場合、接着剤とは、一般に、塗布用形態の接着剤を始め、硬化後に硬化形態を取る接着性組成物を指してもよい。適当な医用接着剤は、無害で、発ガン性ではないという点で生体適合性でなければならず、また、溶血や、免疫学的反応を誘発しない。一般に、接着剤は、単一成分接着剤か、または複数成分接着剤であってもよい。さらに好適な接着剤としては、合成接着剤、天然接着剤、およびそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、好適な生体適合性接着剤としては、市販の外科用接着剤、例えば、一成分シアノアクリル酸接着剤(例えば、Ethicon Productsから市販される2-オクチルシアノアクリル酸、Dermabond(登録商標))、フィブリン糊(例えば、Baxterから市販されるTissucol(登録商標))、およびそれらの混合物が挙げられる。
好適な二成分合成接着剤としては、例えば、ウレタン系ポリマー、コポリマー、および、それらの組み合わせが挙げられる。ポリウレタンは、カルボン酸のエステルアミド誘導体である。ウレタンオリゴマー/プレポリマーは、末端の反応性官能基によって形成することが可能である。末端の官能基があるために、プレポリマーは、一般に、ポリウレタンおよびその他の成分に特徴的な、ある範囲の好ましい特性を示す、架橋結合混合ポリマーの形成のためには特に好適である。ある実施態様では、接着剤の形成に関し、接着剤の一方の成分としてウレタンプレポリマーを用い、一つの架橋剤、または複数の架橋剤を、その接着剤の他方の、一成分、または複数成分として用いることも可能である。イソシアネート(−NCO)−末端ウレタンポリマーは、特に好ましい接着成分である。ポリウレタンプレポリマー(ウレタンオリゴマー)を含むポリウレタンは、ビスクロロフォルメートをジアミンと反応させることによって、あるいは、ジイソシアネートをポリヒドロキシ化合物と反応させることによって形成することが可能である。ウレタン系医用接着剤は、さらに、名称「医用接着剤」(”Medical Adhesives”)なる、PCT出願WO00/43050に論じられる。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。
天然組成物である成分に基づく接着剤は、一般に、内在的な天然の結合親和性、および対応する生物反応に基づく。一般に、接着剤の1種以上の成分は、タンパク、またはタンパク系成分である。タンパクとは、ポリペプチド(すなわち、ポリアミノ酸)化合物を含む任意の化合物と広く解釈することが意図され、天然のタンパクおよびペプチドの誘導体、すなわち、共有的、または非共有的に付着したさらに別の成分、例えば、さらに別のポリペプチド、ヌクレオチド、炭水化物、およびその他の、有機または無機化合物を有する天然のタンパクおよびポリペプチドを含んでもよい。タンパク成分は、一般に、もう一方の接着成分と結合する際に有用な官能基を有する側鎖を持つアミノ酸を含む。さらに、基質が架橋結合される組織である場合、接着成分は、架橋過程の反応によって組織基質から除去される官能基に置き換わってもよい。
あるタイプの生物学的接着剤は、フィブリノーゲンタンパクに基づく。因子Iという名前でも知られるフィブリノーゲンは、天然の血液凝固過程に与る。トロンビンタンパクは、フィブリノーゲンから1から2個のペプチドを取り除いてフィブリンを形成する。トロンビンも血液凝固過程に与る。フィブリンの架橋結合に基づいて様々なフィブリン接着剤がある。フィブリン糊は一般に、フィブリノーゲン、トロンビン、およびXIII因子の組み合わせを含む。XIII因子も、天然の外傷治癒機構に与る。フィブリン安定化因子という名前でも知られるXIII因子は、トロンビンで活性化され、可溶性フィブリンを非溶性凝固体に変換する。フィブリン接着剤は重合し、さらに、コラーゲンおよびその他の組織成分と共有的に架橋結合し、液性の緊密な結合を形成する。完成した接着剤におけるフィブリノーゲン、トロンビン、またはXIII因子の最終量は、選ばれた接着特性、例えば、強度および/または硬化時間、あるいは塗布のやり易さを実現するよう、好みのままに調整されてよい。
Iwatsuki等に付与された米国特許第4,818,291号は、フィブリン糊において、その機械的強度を強化するために、それにシルクフィブロインタンパクを含めたことを記載している。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。フィブリン接着剤はさらに、Schwarz等に付与された米国特許第4,414,976号に記載されるようにアルブミンを含んでもよい。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。
もう一つのタイプの接着剤は、生物成分と合成成分とを含む。一般に、生物成分はタンパクを含む。例えば、ゼラチン-レソルシノールアルデヒド接着剤は、ゼラチンとレソルシノールを加熱することによって形成されるゼラチン-レソルシノール材料を含む。ゼラチンは、コラーゲンタンパクに対する加水分解活性によって形成される。このゼラチン-レソルシンール材料を架橋するには、フォルムアルデヒド、またはクルタールアルデヒド等が使用されて、糊の形成を完了する。このような接着剤は、Kowankoに付与された米国特許第5,385,606号に記載される。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。タンパク様物質に基づく同様の接着剤が、Barrows等に付与された米国特許第5,583,114号に記載される。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。
接着剤は、接着剤の機械的特性を修飾する添加剤を含んでもよい。適当な添加剤としては、例えば、充填剤、軟化剤、および安定化剤が挙げられる。
SCF繊維からの生体活性剤の搬送を促進・制御するために接着剤を使用することは、Ogle等に対して付与された、名称「表面毛細管繊維を含む医用品」(”Medical Article Incorporating Surface Capillary Fiber”)なる、2004年2月18日出願の、係属中の米国特許出願第10/781,503号に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。
前述したように、医用装置の成分は、ポリマーから形成されてもよい。適当なポリマーの特性は、一般に、成分の特定の用法に依存する。ある実施態様では、ポリマーは弾性または屈曲性に富むポリマーであり、一方別の実施態様では、ポリマーは、構造体成分を形成するのに使用が可能な剛性ポリマーである。一般に、体液に接触しない成分では、所望の性質を持つポリマー、例えば、市販のポリマーの使用が可能である。体液に接触するポリマーでは、各種生体適合性ポリマーを使用に相応しいように適用させることが可能である。適当な屈曲性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、およびそれらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。適当な剛性ポリマーとしては、例えば、Delrin(登録商標)およびCelcon(登録商標)のようなポリアセタール、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアリールスルフォン、ポリエーテルエーテル-ケトン、ポリエーテルイミド、および、それらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。放射線不透過ポリマーとしては、例えば、ヨウ化および臭化ポリマーであって、例えば、Kohn等に付与された、名称「放射線不透過ポリマー生体材料」(”Radio-Opaque Polymer Biomaterials”)なる米国特許第6,475,477号に記載されるポリマーである。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。
ある実施態様では、再吸収可能なポリマー、例えば、ポリッサカリド、例えば、ポリデキストラン、セルロースおよびでん粉、ヒドロキシエチルでん粉、ゼラチン誘導体、ポリビニールピロリドン、ポリビニールアルコール、ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]、ポリグリコール、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(エステルアミド)、ポリアンヒドリド、および、それらのコポリマーおよび混合物を使用することが望ましい。再吸収可能なポリエステルとしては、例えば、ポリ(ヒドロキシ酸)およびそれらのコポリマー、ポリ(イプシロン-カプロラクトン)、ポリ(ジメチルグリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、および、それらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。その他の再吸収可能なポリマーとしては、例えば、D,L-ポリ乳酸、L-ポリ乳酸、ポリ(グリコール酸)、および、L-乳酸、D-乳酸、およびグリコール酸のコポリマーが挙げられる。
さらに、装置の部分、例えば、患者の体液に接触する部分は、生体適合性繊維で被われてもよい。生体適合性繊維は、様々な生体適合性材料、例えば、シルク、ナイロン、および/またはポリエステル、例えば、ダクロン(登録商標)ポリエステルを含むポリエステルによって形成されてもよい。繊維は、SCF繊維によって、例えば、織り込みによって形成されてもよいし、そうでなくともよい。さらに、繊維は織られていても、織られていなくともよい。繊維は、その材料の好みの使用に合わせて適当な多孔性を持つように選択されてもよい。例えば、繊維がSCF繊維で形成される場合、孔のサイズは、繊維の周囲に流通が実現されるように選択されてもよい。不織繊維の場合、細い針等によって、または、適当な孔を開けるレーザードリルによって繊維に機械的に穴開けすることによって好みの多孔性を導入してもよい。穴開けのためには、中等度の出力を持つ多種多様なレーザーの使用が可能であり、所望の孔径を得るには、レーザービームを結像するために通例の光学を使用することが可能である。
ある実施態様では、塞栓治療装置は、生体分解性の、形状調整または記憶ポリマーを含んでもよい。このポリマーは、刺激、例えば、温度変化のような刺激の印加によって記憶の形状に移行することが可能である。特に、体温または生体pHに設置されることによって記憶の形状を取り戻す生体分解性ポリマーの入手が可能である。記憶形状は、血管腔を横断して装置を拡張する拡張形状であってもよい。従って、この記憶ポリマーは、膨潤ポリマーの支援を借りずとも塞栓治療装置を拡張することが可能である。ただし、装置は、記憶ポリマーおよびヒドロゲル、またはその他の膨潤性ポリマーとの混合物またはコポリマーを含んでいてもよいし、含まなくともよい。適当な記憶ポリマーは、Langer等に付与された、名称「生体分解性形状記憶ポリマー」(”Biodegradable Shape Memory Polymers”)なる米国特許第6,160,084号にさらに詳細に記載される。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。ある実施態様では、生体分解性ポリマーを含む装置は、初期量のtPA、および、近傍の細胞にトランスフェクトして、装置に備わった初期のtPAが溶出してしまった後も、長期に渡ってtPAを供給し続けるように、発現可能なtPA遺伝子を搬送するベクターと組み合わせることも可能である。装置が分解することによって、最終的に装置を除去しなければならない必要がなくなり、tPAの補給は、装置を比較的広範囲に埋め込んだ場合でも塞栓で詰まることがないように塞栓を溶解する。
ある実施態様では、安定形態のポリマー混合体、例えば、構造的ポリマーに結合したヒドロゲルを導入するのにブロックコポリマーの使用が可能である。特に、ヒドロゲルは、従来技術で既知の知識に基づいて構造的ポリマー材料に移植することが可能である。特に、ポリマー材料は、血漿を用いて互いに接合される。ただし、他の架橋結合法も使用が可能である。高エネルギー血漿法によって、ポリマー中に活性基が生成され、これが、第1基質に対する第2基質の接合を促進する。二つの材料の化学的組成は、この、これから起こる結合に対して相補的であり、個別に用いられてグラフトコポリマーを生成する(24)。このコポリマーマトリックスは、制御可能なやり方で、膨潤し、際立った多孔性を実現する。この反応は、ポリアクリルアミドの、(PET)繊維に対する接合をもたらす。この接合は、さらに、または、別法として、紫外線架橋法によって促進することが可能である(25)。(方程式1を参照)。
ポリアクリルアミドとPETポリエステルの反応
ポリマー成分は、各種の手法、例えば、通例のポリマー加工法を含む手法を用いて調製することが可能である。各種成形法、例えば、射出成形、鋳型成形、圧縮成形等を使用することが可能である。一方、他のポリマー加工法、例えば、押出成形、カレンダー加工、ブロー成形等も同様に使用が可能である。適当な方法としては、例えば、際立った構造的特徴を持つポリマー成分の生産に好適な射出成形、および、反応射出成形および立体的リソグラフィーのような高速原型法が挙げられる。SCF繊維については下記にさらに詳述するが、他の繊維、例えば、生体適合性材料、例えば、前述の生体適合性材料によって形成される他の繊維も同様に使用が可能である。
他の実施態様としては、医用装置の構成要素として、流体管理、または、装置にたいする生物学的拒絶反応を修飾する可能性のある、界面活性剤、または他の表面加工を用いてもよい。さらに、他の実施態様としては、材料に対して親水性または疎水性を付与するために上記コーティングによる修飾を必要とすることがあるかも知れない。
SCF繊維
本明細書で用いるSCF繊維とは、一般に、繊維、または繊維の一部において長軸に沿って表面を走るチャンネル、または毛細管を有する繊維を広く指す。繊維は、長さに対して垂直な断面における寸法よりも際立って大きい長さを持つ構造体という通常の意味を持つ。毛細管は、実質的に全長に沿って走るか、または、その一部に沿って走ってもよい。毛細管があるために、毛細管(単数または複数)における繊維の断面は、その辺縁の曲線が変化する形を持つ。適当な断面形を図1に模式的に示す。ただし、広範の断面形の内のいずれのものであっても、表面毛細管が形成されている限り適当である。図1に模式的に示されるように、この繊維は、8本の表面毛細管を有する。比較のために、図2に、図1の繊維とほぼ同じ表面積を持つが、表面毛細管を持たない繊維が、図1の繊維と同じ倍率で模式的に示される。
医用装置に使用されるSCF繊維は、一般に、生体適合性ポリマーから形成される。SCF繊維は、合成ポリマーを始め、精製した生物ポリマー、およびそれらの組み合わせから製造することが可能である。適当な合成ポリマーとしては、例えば、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアセタール/ポリケタール、ポリスチレン、ポリアクリレート、ビニールポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、およびポリ塩化ビニール)、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル・エーテルケトン、エチレンビニールアセテート、ポリスルフォン、ニトロセルロース、類似のコポリマーおよびそれらの混合物が挙げられる。医用装置分野における望ましい特性と経験に基づいて、適当な合成ポリマーとしては、特に、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリアセタール、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステルテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスルフォン、および、それらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。
生体再吸収可能な合成ポリマー、例えば、デキストラン、ヒドロキシエチルでん粉、ゼラチン誘導体、ポリビニールピロリドン、ポリビニールアルコール、ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(イプシロン-カプロラクトン)、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、ポリ(ジメチルグリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、および類似のコポリマーの使用も可能である。医学分野における経験に基づいて、適当な再吸収可能なポリマーとしては、特に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、およびそれらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。
適当なポリマーとしてはまた、生物学的ポリマーが挙げられる。生物学的ポリマーは、天然のものであっても、インビトロで醗酵等によって生産されたものであってもよい。適当な生物学的ポリマーとしては、非限定的例として、コラーゲン、エラスチン、シルク、ケラチン、ゼラチン、ポリアミノ酸、ネコガット縫合糸、ポリサッカリド(例えば、セルロースおよびでん粉)、およびそれらの混合物が挙げられる。生物学的ポリマーは一般に生体吸収性である。生物学的精製ポリマーは、さらに繊維に加工されるポリマー材料に好適に形成される。
繊維の適当な長さは、一般に、その繊維の特定の用法に依存する。広い意味で、繊維のサイズは一般に、長さにおいて約500ミクロンから約10cmの範囲に渡る。ただし、この範囲外の長さも着想される。さらに、一般に、繊維の幅に対する繊維の長さの比であるアスペクト比が大きく、典型的には、少なくとも約3の値を取る。ある実施態様ではアスペクト比は少なくとも約10であり、さらに別の実施態様では少なくとも約100であり、他の実施態様では、少なくとも約1000であり、さらに追加の実施態様では、約2000から約10,000である。同様に、毛細管は、一般に、繊維長に沿って、毛細管の幅よりも少なくとも3倍より大きい長さを持つ。ある実施態様では、表面毛細管は、繊維長の少なくとも約5パーセント、さらに別の実施態様では少なくとも約20パーセント、さらに別の実施態様では少なくとも約40パーセント、他の実施態様では少なくとも約60パーセントの長さに沿って延びる。ある実施態様では、表面毛細管は、繊維の実質的に全長に沿って延びる。従来技術に通常に熟達している人であれば、さらに別の範囲の繊維長、アスペクト比、および毛細管チャンネルが着想されること、しかもそれらは本開示の中に収まることが了解されるであろう。特に、繊維の一端または両端は異なる性質を持ってもよく、あるいは、ある実施態様では、表面毛細管が存在しない。
表面チャンネルの性質、および繊維の対応断面は、一般的に、繊維を形成するのに使用される加工法に依存する。Bagrodia等に付与された、名称「修飾されたポリエステル繊維調製のための準備処理工程」(“Drafting Process For Preparing a Modified Polyester Fiber”)なる米国特許第4,842,792号は、繊維長に沿って走る連続表面「溝」を持つ繊維の一つの形成法を記載している。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。この特許文書の工程は、通例の繊維を出発材料として溝を形成する。別の形の成形繊維が、Hogle等に付与された、名称「断面が方向性を持つ繊維」(“Oriented Profile Fibers”)なる米国特許第5,277,976号に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。その他の成形された繊維ノッチまたはチャンネルが、Meirowitz等に付与された、名称「成形繊維を含む非織布ネット」(“Nonwoven Web Containing Shaped Fibers”)なる米国特許第5,458,963号に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。かなり複雑な表面チャンネル形態を持つ繊維が、Phillips等に付与された、名称「流体を自発的に輸送することが可能な繊維」(“Fibers Capable of Spontaneously Transporting Fluids”)なる米国特許第5,972,505号に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。表面毛細管を持つ繊維を形成するためのさらに別の手法が、Thompson等に付与された、名称「開放毛細管チャンネル構造体、毛細管チャンネル構造体製造のための改良工程、およびそれに使用される押出成形用金型」(“Open Capillary Channel Structures, Improved Process For Making Capillary Channel Structures, And Extrusion Die For Use Therein”)なる米国特許第5,200,248号(以下’248特許)に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。’248特許の背景技術部分は、さらに、表面チャンネルまたは毛細管を持つ繊維を形成するための、様々の別の実施態様または手法を参照する。これらの手法のいずれのものも使用が可能である。しかしながら、’248特許の工程によって形成される繊維は、好ましい特徴と広い応用性を兼ねる。
ある実施態様では、SCF繊維は形状記憶も持っていてよい。これらの繊維は、穏やかに加熱するだけで繊維をカールさせることが可能である。このカールした繊維は、室温で真っ直ぐに伸ばすことが可能である。体温に加熱されると、繊維は、カール形態を取り戻す。引き伸ばされた繊維束を用いることによって、束の個別の繊維は、搬送されると、体熱/水和によってカールし、繊維性フィルターを形成し、その繊維性ネットワークの中に塞栓を捕捉することが可能になる。
適当な繊維は様々なやり方で形成することが可能なのであるから、繊維の断面も同様の多様性を持つ可能性がある。一般に、繊維の断面特性は、毛細管の長さに沿って比較的均一であるが、そのような特性は、ある実施態様では、好ましい機能にとって必要とされない。断面特性は、表面毛細管を持つ繊維の長さに沿った断面の平均と考えられる。少なくとも1本の表面毛細管が存在するために、断面の外部輪郭は、少なくとも一つの曲線変化を有する。ある実施態様では、繊維は、複数の表面毛細管を持ち、対応する曲線変化を有する。従って、1本の繊維は、単一の表面毛細管を持ってもよいし、2本の表面毛細管、または、少なくとも3本の表面毛細管を持ってもよく、例えば、ある適当な実施態様では、3-25本の表面毛細管を始めとして、この範囲に含まれる任意の値、全ての値、下級範囲を持ってもよい。例えば、断面は、断面の該表面をなぞることによって形成される外縁を持つ。
断面は、断面図を拡大することによって定量することが可能な外周として捉えられ、概念的には、伸び縮みの無い紐を外周の周囲に回し、この概念上の紐の長さを測り、倍率の逆数に基づいて元の長さに戻して、その外周を得ることが可能である。同様に、この仮想上の紐によって地図上に測定される面積も、繊維の断面を特徴付ける。繊維の半径は、全体的に円形が仮定されるならば、外周から推定が可能である。なぜなら、外周cは、半径rに対して、式c=2πrによって大雑把に半径に関連づけることが可能だからである。毛細管自体は、大雑把に、その数、形、および、隣接する毛細管の間の壁の厚みによって特徴付けることが可能である。適当な壁厚は、毛細管のサイズを始め、繊維の全体的厚みにも依存する。
繊維長と同様、繊維の厚みも、繊維の特定の用途に応じて適当に選択される。繊維の厚みはいくつかの方法で測定が可能である。前のパラグラフで説明したように、繊維の半径は、大雑把に、円の断面を仮定することによって推定される。別法として、平均断面を取り、断面の外周と交わり、断片の中心を通る長径を平均することによって平均直径を定義することが可能である。さらに、キャリパを用いて厚みを測定することが可能で、これらを平均して直径の値を求めることが可能である。これらの、半径または直径を推定するための様々な方法は、一般にほぼ同じ大きさの数値を与える。さらに、繊維分野では、繊維の拡大の手を借りることなく、厚みを捉えるための実際的な方法が開発されている。すなわち、繊維の太さは、デニールという単位で測ることが可能である。デニールとは、9,000メートルの糸当たりのグラム数であり、より大きな数値はより太い繊維に対応する。ある実施態様では、適当な繊維は、50ミクロンから約5ミリメートルの直径を持ち、さらに別の実施態様では約100ミクロンから約2ミリメートルまで、さらに別の実施態様では、約150ミクロンから約1ミリメートルまでの直径を持つ。デニールで測定した場合、SCF繊維は、約0.1から約1000デニールの範囲のサイズを持ち、さらに別の実施態様では約0.5デニールから約250デニールまで、ある実施態様では約1.0デニールから約200デニールまで、他の実施態様では約2.0デニールから約100デニールまで、さらに別の実施態様では約3.0デニールから約50デニールの範囲のサイズを持ってもよい。従来技術に通常に熟達している人であれば、ここに明言された範囲内において、さらに別の範囲の直径測定値、またはデニールで表した繊維の太さが着想されること、しかもそれらは本開示の中に収まることが了解されるであろう。
毛細チャンネルは、その機能、および関連流体との相互作用に基づいて特定の用途に対して好適な幅を持ってもよい。興味のある多くの用途において、適当な繊維幅は、約1ミクロンから約0.5mm(500ミクロン)の範囲にあるが、他の実施態様では、約5ミクロンから約250ミクロンまで、さらに別の実施態様では約10ミクロンから約200ミクロンまで、さらに別の実施態様では約25ミクロンから約100ミクロンまでを始めとして、上記の範囲に収まる全ての範囲、下位範囲に渡る。毛細チャンネルの幅は、拡大による繊維断面の顕微鏡写真における測定から推定することが可能である。幅は、繊維の外周に沿う毛細管の両外縁間の距離であって、幅は毛細管の表面開口と一致すると見なすことが可能である。従来技術に通常に熟達している人であれば、ここに明言された範囲内において、さらに別の範囲の毛細管の幅数値が着想されること、しかもそれらは本開示の中に収まることが了解されるであろう。
繊維の特性解明については、’248特許に概説される方法からさらに追及することが可能である。特に、毛細管の全体サイズの解明が可能である。興味のある実施態様では、繊維は、少なくとも約0.5 cc/gの毛細管比容量を持つ。他の実施態様では、少なくとも約1.0 cc/g、さらに別の実施態様では少なくとも約2.0 cc/g、さらに別の実施態様では少なくとも約3.0cc/gの比容量を持つ。さらに、比表面積は、少なくとも約500 cm2/gであってもよく、ある実施態様では少なくとも約1000 cm2/g、さらに別の実施態様では少なくとも約2000 cm2/g、他の実施態様では少なくとも約3000 cm2/gであってもよい。従来技術に通常に熟達している人であれば、ここに明言された範囲内において、別の範囲の毛細管容量および毛細管表面積が着想されること、しかもそれらは本開示の中に収まることが了解されるであろう。これらの数値を評価する試験は下記に要約される。
ある実施態様では、水溶液、例えば、体液、またはその成分が毛細管に進入することが好ましい。このような実施態様では、ポリマーの性質および毛細管の性質は、その毛細管が、液体の表面張力、および液体および繊維の化学的性質を決める液体を受容可能とするように選ばれる。特に、体液からの粒状物の除去を含む実施態様、およびチャンネルを通じた生物液の搬送を含む実施態様では、水性液体の毛細管への進入が実現されることが好ましい。従って、比較的親水性の高いポリマー、例えば、ポエステルが、液成分を毛細管に取り込むには適当な繊維材料である。
本発明には各種毛細管構造が含まれるが、毛細管容量の高い実施態様では、毛細管壁は特に薄くなることがある。毛細管壁が薄い場合、毛細管は、ポリマーが圧縮ひずみに対して抵抗性を持たない場合、圧縮力の下に潰れる可能性がある。従って、ある実施態様では、ポリマーは、約35oCから約40oCの生物的温度において、少なくとも約100 MPaの弾性係数を持つことが好ましく、別の実施態様では少なくとも約750 MPaの弾性係数を持つことが好ましい。同様に、ポリマーの濡れ性も関係する可能性がある。ある実施態様では、少なくとも約20ダイン/cmの、蒸留水との接着張力を持ち、さらに別の実施態様では少なくとも約25ダイン/cmである。その結果得られる毛細管特性については、ある実施態様の毛細管構造は、蒸留水に対して5.0cmの毛細管吸引/静水張力において少なくとも約1.5 cc/gの毛細管吸着を示し、他の実施態様では5.0 cmにおいて少なくとも約4 cc/gであり、さらに別の実施態様では10 cmの毛細管吸引で少なくとも約4 cc/gを示す。毛細管吸着の試験は後述する。従来技術に通常に熟達している人であれば、ここに明言された範囲内において、別の範囲の弾性係数、接着張力、および、毛細管吸着が着想されること、しかもそれらは本開示の中に収まることが了解されるであろう。これらの数値を評価する試験は下記に要約される。
毛細管比容量、毛細管比表面積、および、接着張力を評価するための試験方が’248特許に詳細に記載されている。これらの数値に関する明確な記載を参照することによってこの特許を本明細書に含める。
一般に、装置に組み込むために、繊維はまとめられる。例えば、繊維は、化学的架橋結合、接着剤、捻りこみ、織りこみ、加熱接着等、またはそれらの併用によって接着される。化学的架橋結合は、照射等を用いてポリマーを活性化して化学的架橋を形成するか、および/または、2種以上のポリマー繊維要素を結合することが可能な架橋結合剤を用いる。繊維、またはその一部を結合するのに適当な接着剤は下記に詳述する。繊維は、例えば、通例法を用いて捻ったり、編んだりして、装置に使用される構造体を形成するのに使用される、織布または同様の物理的連合体を形成してもよい。一般に、適当なポリマー、繊維、またはその一部から形成される成形体は、加熱接着によってまとめることが可能である。加熱接着は、繊維や表面のチャンネル構造を失うという不都合を招くことなく所望の融合を形成するように制御することが可能である。さらに、繊維は、後述するように、装置内において別材料等と連結して、繊維を固定し、装置を形成することも可能である。
生体活性剤
医用装置、またはその成分は、一般に、患者の内部で機械的および構造的機能を実現する。しかしながら、装置の機械的特質を、生物学的活性因子と組み合わせて、治療に別次元をもたらすことは好ましいと考えられる。
ある実施態様では、生体活性剤と装置との結合は、例えば、塞栓治療装置内において塞栓の縮小・除去、および/または、装置の近傍および/または下流において生体活性剤の搬送を含む治療を実現する。適当な生体活性剤としては、例えば、血栓溶解(抗トロンボーゲン)剤、抗血小板剤、抗凝固剤、抗菌剤、血管拡張剤、凝固促進剤、再狭窄阻害剤、酸性剤、成長因子、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
適当な血栓溶解剤としては、例えば、組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、tPAの突然変異形であって、例えば、TNK-tPAおよびYM866、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、スタフィロキナーゼ等が挙げられる。特に、tPAは、プラスミノーゲンに作用してプラスミンを形成するポリペプチドである。プラスミンは、血液凝固における主要な構造タンパクの一つであるフィブリンを分解する。(22,23)プラスミンはまた、フィブリンの前駆物質であるフィブリノーゲンを溶解する。tPAは、Ryotaro等に付与された、名称「組織プラスミノーゲン活性化因子を生産するための工程」(“Process For Producing Tissue Plasminogen Activator”)なる米国特許第4,935,368号に記載される方法に従って生産することが可能である。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。tPAの効果的前駆物質が、Dowdleに付与された、名称「血栓症、塞栓症、および関連病態治療のためのtPA前駆物質」(“Pro-tPA For The Treatment Of Thrombosis, Embolism And Related Conditions,”)なる米国特許第6,001,355号に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。tPAの類縁体、例えば、突然変異形は既知であり、例えば、Marotti等に付与された、名称「組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)類縁体」(“Tissue Plasminogen Activator (TPA) Analogs”)なる米国特許第5,106,741号、Sato等に付与された、名称「TPA類縁体」(“TPA Analog”)なる国際公開第WO93/20194号、Xia等に付与された、名称「ヒト組織型プラスミノーゲン活性化因子の突然変異形を発現する細胞系統-その構築戦略および発現タンパクの調製法」(A Cell Line Expressing Mutated Human Tissue-Type Plasminogen Activator, The Constructing Strategy Thereof And Methods Of Preparing Expressed Protein”)なる、国際公開第WO02/22832号に記載されている通りである。なお、これら三つの文書を引用することにより本明細書に含める。本出願の、特許請求項を含む他の部分では、tPAは、プラスミンの形成を刺激するのに有効な天然のtPA、およびその断片および類縁体を指す。
適当な材料設計と合わさると、tPAと結び付けられた所望の医用装置は、心肺バイパスと関連する塞栓を破壊、または縮小することが可能である。最近の報告によって、心肺バイパス中に発生する塞栓の多くは、著明なフィブリン成分を持つことが示されている。(19,20)フィブリンを分解する生体の一次的手段は、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)を介する。tPAは、現在、心臓発作および脳卒中に対する治療薬(血栓溶解、再環流療法)として臨床的に使用されている。この療法は、tPAを静脈内導管を通じてtPAを搬送し、冠状動脈内の凝固塊を分解・溶解し、血流を回復することを含む。(21)tPAは、全身性の出血状態を引き起こすことなく凝固分解作用に対して極度に特異的であるために、塞栓等に対する治療を実現するという点で、その、本明細書に記載される医用装置への使用が特に興味深い。
好適な抗血小板剤としては、例えば、アセチルサリチル酸、ADP阻害剤、フォスフォジエステラーゼIII阻害剤、糖タンパクIIB/IIIA阻害剤、アデノシン再吸収阻害剤、硝酸塩例えばニトグリセリンおよびイソソルビド二硝酸塩、およびビタミンEが挙げられる。適当な抗凝固剤としては、例えば、ヘパリン、ワルファリン等が挙げられる。適当な成長因子としては、例えば、血管内皮成長因子(VEGF)等が挙げられる。一般に、好適な形のこれら薬剤は簡単に市場で入手が可能である。
ある実施態様では、分解されることによって治療組成物を形成する物質が装置に組み込まれる。例えば、一酸化窒素(NO)は、有益な血管反応を刺激することが可能である。NONO-官能基を持つ化合物は、医用装置への埋め込み後に一酸化窒素を放出することが可能となる。適当な化合物としては、例えば、(CH3)2CHNHNONO-、(CH3CH2)2NNONO-、H2N(CH2)3NHNONO-、NaNONONaが挙げられる。1-(2S-カルボキシピロリドン-1-イル)-オキソ-2-ヒドロキシジアゼン二ナトリウム塩、1-ヒドロキシ-2-オキソ-3-カルボキシメチル-3-メチル-1-トリアジンN-メチルアミド二ナトリウム塩、1-ヒドロキシ-2-オキソ-3-カルボキシメチル-3-メチル-1-トリアジンN-メチルアミドナトリウム塩、L-プロピル-L-ロイシルグリシナミドのビス(一酸化窒素)付加物、および、対応するタンパク付加物の合成が、Saavedra等に付与された、名称「バイオポリマー結合一酸化窒素放出組成物、それを含む製薬組成物、および、それを用いた生物学的障害の治療法」(“Biopolymer-Bound Nitric Oxide Releasing Compositions, Pharmaceutical Compositions Incorporating Same And Methods Of Treating Biological Disorders Using Same”)なる米国特許第5,632,981号に記載される。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。ヘパリンと、例えば、デルマタン硫酸との接合体は、血栓症を予防するのに効果的であるが、この接合体が、Berry等に付与された、名称「グリコサミノグリカン-抗トロンビンIII/ヘパリンコファクターII接合体を含む医用装置」(“Medical Device Comprising Glucosaminoglycan-Antithrombin III/Heparin Cofactor II Conjugates”)なる米国特許第6,491,965号に記載される。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。さらに、あるポリマーは分解して、酸性の活性基を形成する、例えば、ポリヒドロキシブチレートは分解して3-ヒドロキシバレリン酸になる。このような酸性薬剤は、その放出部近辺において塞栓形成を遅らせる。
ある実施態様では、凝固促進剤が使用されてもよい。このような薬剤としては、金属、生物学的因子、またはその他のエネルギー刺激が挙げられる。金属化合物の例は、硝酸銀(止血ペン)であり、これは、大きな傷口からの血流を止血するのに使用される。その他の生物学的因子も同様の結果をもたらすことが可能であり、例えば、コラーゲンや、別のタンパク、または、凝固カスケード反応に関連するタンパクの組み合わせ、すなわち、VIIa、Xa、V、XIIIa因子、フィブリン、トロンビン、フォンウィルブランド因子(vWF)、または、血小板から分泌される、または血漿結合性の、その他の凝固因子がある。これらの薬剤は例示を意味するものであって、限定的なものではない。
ある実施態様では、血液凝固は有利でなく、凝固塊形成を阻止する薬剤の溶出が有効である場合がある。これは、医用品を、血栓溶解過程を抑制、または逆転する生体活性剤、すなわち、ヘパリン硫酸、抗トロンビンII、タンパクC、および組織プラスミノーゲン活性化因子と連結することによって実行が可能である。
別の実施態様では、抗菌剤との連結が、医用品と関連する可能性のある感染症を予防・治療するのに役立つ。このような薬剤としては、非限定的例として、抗生物質、抗菌金属が挙げられる。抗生物質の例としては、例えば、ペニシリン、フォスフォノマイシン、バシトラシン、およびバンコマイシンが挙げられる。これらは、細胞壁合成を妨げる。特に、ペニシリンは、細胞壁合成において架橋結合反応を阻害する。その他の抗生物質、例えば、ストレプトマイシン、テトラマイシン、クロラムフェニコール、およびエリスロマイシンは、細菌のリボソームに結合することによってタンパク合成を抑制することによって作用する。その他の適当な抗生物質としては、例えば、バクテリオシン、例えばリソスタフィン、およびペプチド抗生物質、例えば、アクチノマイシン、バシトラシン、シルクリン、フンギスポリン、グラミシジンS、マルフォルミン、ミコバシリン、ポリミキシン、チロシジン、およびバリノマイシンが挙げられる。
別の実施態様では、血管の再狭窄を抑制する生体活性剤の搬送が好ましいとされる。再狭窄を抑制するのに好適な治療剤としては、例えば、放射性原子/イオン、一酸化窒素放出因子、ヘパリン、アンギオペプチン、カルシウムチャンネル遮断剤、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、シクロスポリンA、トラピジル、テルビナフィン、コルヒチン、タキソール、c-mycおよびc-mybアンチセンス、SMCマイトゲンに対する抗体、血小板由来成長因子等が挙げられる。
同じクラス、および/または異なるクラスの2種以上の生体活性剤の組み合わせも使用が可能である。
生体活性薬剤は、1種以上の手法によって塞栓治療装置の材料と関連付けられてもよい。例えば、装置は、薬剤の溶液と、その薬剤が装置の中に染みこむように接触させてもよい。次に、薬剤は、装置の植え込みと同時に、恐らくはゆっくりと放出される。他の実施態様では、生体活性剤は、重合工程および/または架橋結合/移植反応工程時に、ポリマーと接触させられ、生体活性薬剤はポリマー基質の中に組み込まれる。次に、生体活性剤は、埋め込み後溶出する。特に、SCF繊維は、表面毛細管の中に、比較的大容量の液性組成物を取り込むことが可能なので、装置の搬送後、組成物の溶出が可能となる。生体活性剤は、生体適合性接着剤、またはその他の放出調整剤と共に毛細チャンネルの中に吸着させてもよい。接着剤からの生体活性剤の溶出、または、接着剤分解による生体活性剤の溶出によって、生体活性剤の調節的な放出が可能とされる。
全身投与の場合、ヒト患者に対するtPAの治療的用量は、0.01から80マイクロモル(70-8750 ng/ml)であってもよいが、500-1000 ng/mlがもっとも効果的と考えられる。例えば、Wu and Diamond SL,「組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)は、フィブリンのプラスミン分解を抑制する。tPA介在性フィブリン分解を遅らせるが、アルファ2-抗プラスミンまたは内因性プラスミンの漏洩を必要としない機構」(“Tissue plasminogen activator (tPA) inhibits plasmin degradation of fibrin. A mechanism that slows tPA-mediated fibrinolysis but does not require alpha 2-antiplasmin or leakage of intrinsic palsminogen”), Journal Clinical Investigation 1995:95(6):2483-2490を参照されたい。局所的搬送の場合、もっと低い用量でも有効である可能性がある。なぜなら、局所濃度は、搬送期間に渡ってより高い可能性があるからである。局所搬送のための適当な対応用量は、埋め込み期間を通じて持続される可能性がある。用量の放出が速すぎると、有害な環境が生じる可能性がある(全身搬送の場合>25,000 ng/ml)。例えば、Hrach CJ, Johnson MW, Hassan AS, Lei B. Sieving PA and Elner VM, 「ネコの眼球における、市販の、組織プラスミノゲン活性化因子液の硝子体注入の網膜毒性」(“Retinal toxicity of commercial intravitreal tissue plasminogen activator solution in cat eys”) Archive Opthalmology 200 May; 118(5):659-63を参照されたい。最初の負荷用量を決めるには、tPAまたはその他の生物学的に活性な薬剤の所望の用量を搬送するために、装置からのtPAの放出速度を用いることが可能である。適当な用量の経験的な評価は、インビトロ実験、例えば、Ogleに対して付与された、名称「塞栓治療装置」(”Embolism Protection Device”)なる、係属中の米国特許出願第10/414,909号に記載されるループ流動実験によって、または、動物実験によって評価することが可能である。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。ある実施態様では、生体活性剤を適当な生体適合担体とともに配送することが望ましい。適当な生物適合性担体としては、例えば、生理的な緩衝バッファーであってもよい。適当なバッファーは、例えば、下記の化合物に基づくものであってもよい。すなわち、リン酸塩、ホウ酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、カコジル酸塩、クエン酸塩、およびその他の有機バッファー、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、N-(2-ヒドロキシル)ピパラジン-N’-(2-エタンスルフォン酸)(HEPES)、またはモルフォリンプロパンスルフォン酸(MOPS)である。生体適合性担体のイオン強度は、1種以上
の不活性塩、例えば、NaCl、KCl、およびそれらの組み合わせを含む塩の添加によって調整が可能である。ある実施態様では、イオン強度は、生理学的値の近傍である。
さらにそれに加えて、またはそれとは別に、所望のポリペプチド生体活性剤をコードする遺伝子は、ベクターに入れて搬送することが可能である。このベクターは、近傍の細胞に取り込まれ、タンパクとして発現される。適当なベクターは従来技術で既知であるが、例えば、ウィルスベクター、プラスミド等が挙げられる。特に、tPAをコードするベクターは、装置を通じて搬送することが可能である。ウサギにおけるtPA発現用ベクターの有効性が、さらにWaugh等に付与された、名称「血栓症耐性を促進する遺伝子療法:インビボのウサギモデルにおける動脈血栓症を阻止するための組織プラスミノーゲン活性化因子の局所的過剰発現」(“Gene therapy to promote thromboresistance: Local over-expression of tissue plasminogen activator to prevent arterial thrombosis in an in vivorabbit model”) Proceedings of the National Academy of Sciences-USA 96(3):1065-1070 (1999年2月2日)に記載されている。なお、この文書を引用することにより本明細書に含める。ヒト細胞において発現されるようにヒト細胞を適当な制御配列によって形質変換するのに好適なベクター、例えば、プラスミド、およびウィルスベクターは、さらに、Marotti等に付与された、名称「組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)類縁体」(“Tissue Plasminogen Activator (TPA) Analogs”)なる米国特許第5,106,741号、および、Ryotaro等に付与された、名称「組織プラスミノーゲン活性化因子を生産するための工程」(“Process For Producing Tissue Plasminogen Activator”)なる米国特許第4,935,368号に記載されている。なお、この二つの文書を引用することにより本明細書に含める。
塞栓治療装置の搬送と引き込み
一般に、あるサイズ範囲の塞栓治療装置を医療専門家に支給し、それによって、利用可能なサイズの内から、特定の患者、特定の設置ポイントにとって適当なサイズを選択可能とするようにしてもよい。塞栓治療装置は拡張性を持つがために、厳密なサイズの装置は必要とされない。なぜなら、装置は、血管に対しある相当の範囲に渡って適合するからである。ではあるが、画像技術、および経験や患者のサイズに基づく推定によって、塞栓治療装置の適当なサイズに対する適切な推定が得られるものである。多くの処置にとって有効な、塞栓治療装置の搬送、展開、および撤去のための一体化システムについては前述した。同じ用法および/またはある範囲のさらに別の用法にとって有効な、また新たな方法がここに記載される。
塞栓治療装置は、カテーテル、注射器、ガイドワイヤー等によって、患者の所望の血管内に設置することが可能である。特に、塞栓治療装置は、患者の血管の所望の位置に、カテーテルを通じて装置を送るために、ガイドワイヤーに付着させることが可能である。ガイドワイヤーは、装置の設置後、装置から分離することが可能であるが、あるいは、ガイドワイヤーは、装置を所望の位置へ確保すること、および/または、装置の撤去を促進するために装置と繋がったままであってもよい。ガイドワイヤーの撤去は、ガイドワイヤーが装置に付着していない場合には、また、装置が血管壁に対して十分な力を印加していて、摩擦が装置を所定の場所に保持している場合には、ガイドワイヤーを引っ張ることによって実行することが可能である。ガイドワイヤーが装置に付着したままにするのであれば、機戒的な付着もしくは接着剤で装置に付着させることが可能である。ガイドワイヤーは、装置に対し、例えば、ワイヤーの末端周辺に、一般的にはワイヤーの非直線部分と、ポリマーを形成することによって、装置の一部の周囲にワイヤーを機械的に巻きつけることによって、および/または、ポリマーの一部を、ワイヤーの末端周囲に加熱収縮させることによって機械的に付着させることが可能である。
大動脈関連の塞栓をもたらす危険性のある心臓処置では重大な結果を生ずる可能性があるために、塞栓治療装置は、大動脈内の1箇所以上の場所に、または、大動脈から分枝する複数の動脈内に設置してもよい。図30を参照すると、大動脈400が心臓402に隣接する。図30に見られるように、異なる位置に、5個の塞栓治療装置404、406、408、410、412が示される。これらの内から任意に選ばれる1個以上を、ある特定の患者のために使用することが可能である。装置404-412については、装置404が上行大動脈に、装置406が下行大動脈に、装置408が無名の動脈に、装置410が左総頚動脈に、かつ、装置412が左鎖骨下動脈にあることが示される。塞栓治療装置は同様に、腎動脈420に設置されてもよい。なお、腎動脈の位置は図31に示される。塞栓治療装置の展開のための一つの機構が図32に示される。同図において、塞栓治療装置422は、ガイドワイヤー424の固定位置に接続されるので、処置中に装置422を展開することが可能であり、処置の終了後、同じガイドワイヤーを使って撤去することが可能となるようになっている。装置422は、装置がシース428から開放された際展開できるようにバネ426を持つ。展開前の装置を図Aに示し、展開後の装置を図Bに示す。
ある実施態様では、塞栓治療装置は、冠状動脈内に設置される。特に、塞栓治療装置は、例えば、血管形成術、バイパス移植片の設置、またはステントの導入等処置の計画部位よりも下流に設置してよい。図33を参照すると、塞栓治療装置440は、心臓444の冠状動脈442内に示される。装置440は、該動脈において、処置部位446の下流に配される。別の実施態様では、塞栓治療装置は、肺に向かう塞栓を阻止するために、心臓/血管系の静脈側に設置される。図34を参照すると、塞栓治療装置450は、肺動脈452が心臓456に付着するところにある肺動脈弁454の下流の肺動脈452内にある。肺動脈からの流れは肺に向かう。さらに一般的に言うと、塞栓治療装置は、身体の任意の血管内に設置することが可能である。図35に示すように、装置460、462は、下行性腹部大動脈464から脚へ向かう動脈の中にあり、一方、装置466は腕の中にある。塞栓治療装置は、同様に、静脈内に設置することも可能である。
図13に関連して前述したように、塞栓治療装置は、二つの別々の部分を含んでもよく、あるいは、同様に、別々ではあるが互いに関連する薬剤搬送品と組み合わせて使用することが可能である。塞栓治療装置からの生体活性剤の溶出については前述した。さらに付け加えて、または、それとは別に、塞栓治療装置に係留されるガイドワイヤー等を通じて、1種以上の生体活性剤を搬送することが可能である。ガイドワイヤーは、近位端に、またはその近傍において血管に開口する小さな内部チャンネルを持ってもよい。流速および時間が、血管に搬送される生物学的活性成分の用量を決める。図36を参照すると、ガイドワイヤー482に結合した塞栓治療装置480は血管484内にある。ガイドワイヤー482は、点A、Bおよび/またはCに開口を有することが可能な小さな内部チャンネルを持つ。血管における天然の流動方向を矢印486で示す。点Aにおける生物学的活性剤の搬送によって、薬剤は、装置480を経て下流へ向かう流れをもたらす。点Bにおける薬剤の搬送は、装置内における薬剤の濃縮をもたらし、残留薬剤があればそれは下流へ流れる。さらに、点Cにおける薬剤の搬送は、装置から下流へ向かう薬剤の搬送をもたらす。
塞栓治療装置がその目的を果たしたならば、装置、またはその一部を撤去するのが望ましい。例えば、処置の終了後しばらくは、装置は、重要な塞栓を収集および/または溶解する機会を持ってもよい。それとは別に、処置またはその他の事態に関連して塞栓を捕捉および/または溶解した後、生物学的活性成分の溶出を完了したならば、装置の撤去が、特定の装置およびその意図する目的に応じて、搬送の数分、数時間、数日、数ヶ月、または数年後に行われてよい。
前述したように、ある実施態様では、塞栓治療装置は、1本以上の係留紐に繋がれていて、それらの紐を引っ張ると装置のサイズを縮小させ、そのために、その搬送位置から上流に向かって移動可能となるようになっていてもよい。別の実施態様では、塞栓治療装置は、近位端では直径が小さくなっている、または、尖った先端を持つようになっていてもよい。近位端の直径が小さく、装置が全体として圧縮可能なポリマー構造を持っている場合、装置は、シースの末端において装置に印加される力によって、紐によってシースの中で引っ張られる。一端、装置がシースの中に封じ込められれば、装置は、シースと共に血管から引き出される。
また別の、あるいは、さらに追加の実施態様では、引き抜き装置を用いて、塞栓治療装置の撤去を促進することが可能である。引き抜き装置は、塞栓治療装置を把握し、少なくともその一部の直径を縮小することが可能なグリッパーを含む。ある実施態様では、グリッパーは、塞栓治療装置の撤去を促進する棘を持ってもよい。グリッパーは、カテーテル等を通じて血管の中に配置されてもよい。活性化ワイヤー、またはその他の制御装置が、グリッパーを、患者の外部においてグリッパー装置の近位端の制御ハンドルと接続してもよい。このようにすれば、医療専門家が、患者の外側において、適当な視覚技術、例えば、外科の極小侵襲処置のための光ファイバーによる視像化システムを用いてグリッパーを操作することが可能となる。
適当なグリッパーの実施態様を図37と38に示す。グリッパー490は、軸494から伸びる4本の屈曲性アーム492を備える把握部を持つ。軸494は、ガイドワイヤー等の上を這わせるための中空中心を持ってもよい。アーム492は棘496を含んでもよい。外方軸は、軸494に対して相対的に移動することが可能である。外方軸は、アーム492と嵌合し、それらアームを軸494の中心に向けて変位させる。アームのこの変位によって把握機能が生まれる。このようにして、アーム492が塞栓治療装置の外面に配置されると、アーム492の中心軸に向かう変位が、その動きに応じて塞栓治療装置を圧縮する。この変位は、グリッパーと塞栓治療装置とは、血管からの撤去のために十分に小さい断面を持つようになるまで維持が可能である。複数部分を持つ塞栓治療装置の実施態様の場合、グリッパー490を用いて、グリッパーの方に向けられた塞栓治療装置の部分の撤去を促進することが可能である。さらに、その他各種のグリッパー形態が、例えば、他の機能のためにカテーテル共用として開発された構成を含めた形態を、塞栓治療装置撤去用に適用させることが可能である。
SCF繊維の生物学的薬剤の吸収および搬送
a. 繊維への負荷
本実施例は、SCF繊維の方が、丸い繊維よりも、生物学的薬剤をより多量に搬送する能力を有することを証明する。本実験では、ウシ血清アブルミン(アルブミン)を用いた。アルブミンは、生物学的な血清タンパクであるが、TPAと近似する分子量を持つので選んだ。
二つの異なる断面形態を評価した。グループ#1は標準的な丸い繊維から成り、グループ#2はSCF繊維から成る(具体的には、4DG(登録商標)繊維、Fiber Innovation Technology, Inc. Johnson City、テネシー州)。繊維の断面は、図1および2に模式的に示される。両繊維とも6デニールのポリエステル繊維であり、同じ表面加工を施されたものである。ほぼ同じサイズの、6本繊維束(各グループ3束)の重量を測定した(表1参照)。サンプルにラベルを付け、15 mlポリマーBD Falcon(登録商標)遠心管に入れた。5 ml量の(ml当たり4 mgのアルブミン溶液、ウシ血清アルブミン固形99%、Sigma Chemical Co.から調製)を各管に加えた。このアルブミン溶液に繊維束を〜3分インキュベートした。この間、管を50 rpmで攪拌した。次に、繊維束を管から取り出し、再度重量測定してアルブミンの吸収度を定量した(表1参照)。
Figure 0004582345
*溶液は、PBS水溶液1 ml当たりアルブミン溶液4 mgであった。従って、密度は、1.04g=1 ml溶液として計算した。
表1のデータは、溶液の吸収性の増加を示す。すなわち、17.0 mlアルブミン溶液/繊維(SCF)mg、対、10.8 mlアルブミン溶液/繊維(丸)mgで、62%の増加であった。従って、各グループにおいて配送される平均用量は下記のようになる。すなわち、丸は、4 mg/mlのアルブミン溶液の2.1 mlで、これは8.4 mgのアルブミンに等しく、SCFは、4 mg/mlのアルブミン溶液の3.3 mlで、これは13.3 mgのアルブミンに等しい。このデータは、SCF繊維の方がより大量の水溶液を吸収し、従って、より大量の生物学的薬剤を搬送することが可能であることを示す。
b. 搬送実験
アルブミン液でインキュベートした(上記参照)繊維束を、10mlのリン酸バッファー生食液(PBS)、pH7.4(Sigma Chemical Co.)を含む、新しい15 ml遠心管に入れた。次に、このサンプルを、様々な時点で(1、3、5、および60分)50 rpmで攪拌した。各時点で、繊維束を、PBS(10 ml)を含む、新しい15 ml遠心管に移した。
溶液について、タンパク濃度を定量するためのBicinchonic Acid(BCA)法によってアルブミン濃度を定量した。このアッセイは、タンパクのアミノ酸(システイン、シスチン、トリプトファン、およびチロシン)を銅(Cu+2)と反応させ、これを銅形(Cu+1)に変換することに依存する。BCAは極めて感度が高く、かつ、Cu+1陽イオンに対して選択的であり、反応は、可溶性の紫色接合体として形成され、これは、562 nmにおける分光光度法によって測定される。アルブミン液の既知の標準を用いて、2000 μg/ml - 0 μg/mlの範囲の較正曲線を作成した。25マイクロリットル(μl)の溶液と標準を、あらかじめ測定された量のBCAおよび銅(Cu2+)を含む、Pierce Chemical Co.から入手した作業液200 μlと共に96ウェルに加えた。サンプルは二重に調製した。サンプルを、37oCで30分インキュベーターに設置した。プレートを、Power Wave X-1分光光度計によって読み取り、各ウェルの強度を記録した。較正曲線を用いて、分光光度計によって得られた強度から濃度を計算した。表2において濃度を平均した(Ave=平均、SD=標準偏差)。
Figure 0004582345
このデータは、SCF繊維の方が、より大量のアルブミンを搬送することが可能であることを示す(図39参照)。曲線の勾配、およびSCF繊維によって搬送されるパーセント分は、丸い繊維よりも大きいが、統計的に有意な差ではなかった。
繊維溝を辿る溶液
下記の実施例は、生物学的薬剤を投与して、繊維の溝を辿らせて、装置内部の薬剤の利用度を増大させる方法の実行性を示すものである。この実験は、丸い繊維では、同じように薬剤利用度の増加は得られないことを示す。繊維の二つの異なる断面形態を評価した。グループ#1は標準的な丸い繊維から成り、グループ#2はSCF繊維から成る(具体的には、4DG(登録商標)繊維、Fiber Innovation Technology, Inc. Johnson City、テネシー州)。両繊維とも6デニールのポリエステル繊維であり、同じ表面加工を施されたものである。二束の繊維を軸揃えした。繊維は両端で結合し、次にやや圧縮して球状外見を呈するようにした。次に繊維の一端を、クーマシーブルー(CB)(クーマシーブリリアントブルー、Bio-Rad Laboratories, Hercules, カリフォルニア州94547、蒸留水に溶解したもの)を含む注射器に接続した。染料を繊維に注入した。その時点で写真を撮り、染料が、各組の束に対して持つ含有量および侵襲度に関して観察を記録した(図40参照)。
結果
CB染料は、SCF繊維にそって極めて速やかに辿り、目で見て、丸繊維よりも大きな侵襲範囲を持っていた。繊維束の、この拡散侵襲は、SCF繊維の表面の毛細管現象を示す。染料は、丸い繊維では、ほとんど繊維にそって進むことなく無差別に濡らすだけであった(図41参照)。丸繊維と、溶液を含む薬剤との間に緊密な接触の無いために、無差別な拡散がもたらされること、生物学的薬剤は洗い流される可能性のあることが結論された。
本実施例は、塞栓治療装置を評価するに当たってインビトロループ流路の有用性を示し、同時に、塞栓治療装置の二つの実施態様、すなわち、tPAを取り込んだものと、tPAを取り込んでいないものの評価を実行した。
実際の冠状動脈の環境を模倣するために途中遮断されたフローループを作製した。この装置は4つの成分から成る。すなわち、循環ユニット、塞栓治療装置、血液/媒体、および、塞栓である。フローループの構成は、図42に示す通りである。循環ユニットは、血液および媒体502を保持する加熱貯留槽500、チューブ504、ポンプ506、注入ポート508、510、および、収集容器512を有する。塞栓治療装置514は、チューブ504内の固定部516に保持される。システムを流れるフローは、図42において4本のフロー矢印にて示される。
塞栓治療装置514は、二つの構造部分によって形成される。本実験の目的のための層状システムは、tPAの放出と、適当な多孔性に基づく塞栓の捕捉の両方を実現可能とするポリマー製の構造体である。図43における水に浸す前の装置514の模式図を参照すると、第1層520は、Sefar America Inc. Depew、ニューヨーク州から入手した70ミクロン孔径を持つナイロンメッシュポリマーである。層520は、塞栓を捕捉する働きをする。第2層522は、ポリアクリルアミドから形成されるスポンジ様の層であって、tPAが含浸される。tPAを層522に取り込むために、1.5 mlの5重量%のアクリルアミド液(容量/容量希釈に基づき、ほぼ2.67%のアクリルアミド最終濃度)、6 μlのヒト単一鎖tPA(2.2 mg/ml, Molecular Sciences、ミシガン州)、9 μlの10%過硫酸アンモニウム、および、6.7 μlのTEMEDから成る液を調製した。0.5mlゲルから成る三つの分液をガラス試験管に取り、室温で1時間重合させ、三つのゲルを創成した。重合後、各ゲルは、1,000 mg/mlの濃度で、合計500 ngのtPA含量を持っていた。このゲルを試験管から取り出し、ナイロンメッシュ層で、各ゲルの平らな末端と側面を包み、ゲルの丸い末端は、試験管の底から露出させた。フローループ内に設置する場合、各装置は、平底が下流側に、丸底が上流側になり、塞栓はゲル内のメッシュに捕捉されるように配置される。水溶液に接触後、ゲルは、図44に模式的に示すようにほぼ2倍容量に拡大するが、一方、ナイロンメッシュは、事実上不変である。もっともナイロンメッシュも、ゲルの拡大に応じて拡大するのであるが。ゲルの拡大によって、メッシュの孔径も拡大するが、この拡大は直接測定はしなかった。
tPAを取り込んだ2層塞栓治療装置三つを構築し、一方、前述の溶液で、ただしtPAを含まないものを用い、tPAを取り込まない2層塞栓治療装置三つを構築した。この試験では、選ばれた装置514は、試験固定器516によって保持された。図45を参照すると、試験固定器516は、接合リング532によって保持される二つのリング528、530を持つ。装置514の末端部は、装置514を所定の位置に固定するたえのリング528、530の間に把持される。
媒体の循環は、30-120 ml/分の流動を形成することが可能な遠心ポンプによって実現する。チューブは、実際の動脈のものとほぼ同様の、内径4-6 mmを持つビニールポリマーである。実験は、37oCの実験室で行った。塞栓治療装置の上流側の注入ポート508を用いて試験塞栓を導入した。システムを流れる媒体は、リン酸バッファー生食液(PBS)である。
塞栓は、1 mlのブタ血液を5 cc注射器に入れ、凝固させて生成した。凝固血を注射器から押出し、一定サイズに裁断した(200-225 μm直径)。この一定の凝固血液断片を「塞栓」と呼ぶ。フローループは、較正された流量計によって流れを監視した。
塞栓を、バッファー生食液1ml当たりほぼ15個の塞栓の濃度でフローシステムに導入した。試験のための時間スケジュールは下記の通り。
0時-装置の導入。
1秒-媒体(バッファー生食液)の通流開始。
10秒-流速測定。
15秒-塞栓注入。
30秒-分液#1の収集(溶出液、すなわち、装置を通過した媒体)。
60秒-分液#2の収集。
100秒-分液#3の収集。
200秒-分液#4の収集。
300秒-分液#5の収集。
約5分後、通流を止め、装置を取り出し、顕微鏡撮影した。次に、装置を組織学的分析のために固定した。収集された液体の分液は、塞栓について分析した。固定された装置は、瞬間的に凍結し、薄切し、スライドに載せ組織学的分析を行った。切片は、フィブリンに対して免疫組織化学的染色を行った。
前述したように、各設計について6個の原型(tPA有りが3個、tPA無しが3個)を、フローループに負荷した。塞栓捕捉および溶解を、三つの異なるやり方で評価した。先ず、装置が流れを遅らせる程度を求めるために、三つの異なる流速において流量測定を行った。結果を、下記の表にまとめた。
Figure 0004582345
第二に、PBSを収集した。収集した全溶出液を、0.22 μmフィルターを通過させ、フィルターについて、光学顕微鏡にて塞栓の有無について分析した。6個の装置のどれを通過したものについても装置通過後の溶出液には塞栓は観察されなかった。このことは、装置が、流れを阻止することなく塞栓を捕捉するのに有効であることを示す。
第三に、塞栓治療装置の二つの部分を、組織学的検査用として調製した。すなわち、一つは凍結標本であり、一つはパラフィン包埋標本である。選ばれたサンプルを薄切し、下記のように免疫組織化学的検査のために調製した。切片は、1 mmol/L EDTAを含む100 mmol/Lトリスバッファーの1%パラフォルムアルデヒドpH7.2において2分間固定し、リン酸バッファー生食液、pH7.2を3回変えて洗浄した。tPA血栓溶解作用によるブタフィブリンの分解は、新型ベータ鎖フィブリンに対して特異的なマウス抗体(マウス抗ヒト抗体、ブタのものと交差反応する、American Diagnostica, Inc. Greenwich, コネティカット州、Cat 350、1:100希釈、ローダミン接合、モノクロナールIgG-1)、および、CD41血小板糖タ
ンパクIIa/IIIbに対して特異的なマウス抗体(マウス抗ヒト抗体、ブタのものと交差反応する、DakoCytomation, Carpinteria, カリフォルニア州、Cat M7057、1:100希釈、FITC接合、モノクロナールIgG-1)を用いて検出した。上記の抗体を、5%ウシ血清アルブミン(Sigma Chemical Co.)を含むリン酸バッファー生食液で希釈し、切片に30分投与した。次に、切片をリン酸バッファー生食液にて洗浄した。全ての切片を、リン酸バッファー生食液に溶解したVectashield-DAPI(4,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)(Vector Laboratories)の1:8希釈液で被覆し、表層蛍光顕微鏡にて評価した。
染色されたフィブリンを分析し、1-5スケールにおいて評点を行った。1は完全に元のままで、5は完全に分解を示す。図46Aおよび46Bは、tPAを放出する塞栓治療装置から回収したフィブリンであり、一方、図46Cおよび46Dは、tPAを放出しない塞栓治療装置から回収したフィブリンを同じ倍率で示す。図46Aおよび46Bに見られるように、tPAにて処理したフィブリンは、tPAで処理されない、図46Cおよび46Dの等価的フィブリンと比べると、分解して消え去って、構造の相当部分を取り去り、比較的大きな孔を残す。
これらの結果は、処置グループの装置に付いた塞栓が分解すること、tPAの調製を受けない装置では塞栓は元のままであることを明瞭に示す。この結果は、装置からのtPA溶出は、塞栓を縮小するのに有効であることを示す。
捕捉効率を定量するための合成塞栓によるインビトロ・フローループ
本実施例は、4DG繊維によって製造されたEPD装置について、インビトロ・フローループにおいて各種サイズの合成塞栓に対し、その捕捉の有効性を示すものである。この実験では、捕捉効率を定量するために、合成塞栓を用いた。
3個の装置は、長さが約20 mm長の、6、14、および20デニールの、〜100 mgの4DG繊維(Fiber Innovation Technology, Inc. Johnson City、テネシー州)から構成された。繊維は全て同じ方向に軸揃えした。繊維550は、12インチ長の、0.014ステンレススチール・ガイドワイヤー552(Eagle Stainless Tubing & Fab Inc. Frankin、マサチューセッツ州02038)の末端から1インチの所に固定された。付着は、ポリマー結合553にて行った。次に、遠位端をシアノアクリレート(CA)554で糊付けした(図47B)。ポリマー製スライドカラー556をワイヤー552に載せ、繊維550の近位端を、CA糊558にてカラー556に接着した(図47C参照)。シースカテーテルを装置の上に設置した。装置を導入ポートに入れた。図47Dに示すように、装置をシースカテーテルから開放し、ガイドワイヤーを引っ張り、血管腔内において装置を展開した。下記の仕様を持つ塞栓を、Biosphere Medical Rockland、マサチューセッツ州02370から購入した。すなわち、塞栓サイズ40-120 mm、0.1 mlは〜16,250個の塞栓を含む、ポリマー組成物はタンパク-PVAのコポリマーである。塞栓を、クーマーシーブルー(CB) (クーマシーブリリアントブルー、Bio-Rad Laboratories, Hercules, カリフォルニア州94547、蒸留水に溶解したもの)を含む溶液にインキュベートした。CBは塞栓を染色し、それらをより見易くするので検出が容易になる。
装置を、フローループにおいて展開させた(前述の通り)。流速は1分当たり100 mlであった。循環液は、血液の粘度を模倣するために純粋グリセロールから調製した33%グリ
セロールである。装置を1分間環流し、その後0.1 mlの塞栓液を導入した。塞栓放出後1分間フローを続けた。実験中フローを様々の点で測定した。遠位側塞栓を検出するために、直列フィルター(酢酸セルロース0.2 mm)を用いて溶出液をろ過した。実験後、装置を取り出し、標準的光学顕微鏡技術を用いて評価した。
結果
実験中、フローはいずれの点でも変わらなかった。また、装置の展開前も展開後も、あるいは、塞栓の導入後も変わらなかった。6デニール装置は、全ての塞栓を捕捉した。表を参照されたい。目視では、塞栓の大部分は、EPDの最初の1/3から>1/2に集中していた。
装置の写真を図48に示す。この分布をさらに顕微鏡写真にて定量した。捕捉された塞栓をはっきりと示す顕微鏡写真を図49に示す。14および20デニールも相当数を捕捉したが、6デニール繊維の示すような完全な捕捉はできなかった。これは極めて大胆なテストであった。なぜなら、100ミクロン未満の塞栓が捕捉されたことを記録した、公表された報告はこれまで明らかにされていないからである。従って、EPDが、このように小さな塞栓を捕捉できるということは、装置の機能を著明に向上させたことになる。このEPDは、発表文献(Muller-Hulsbeck S. et al., J Vasc Intervent Radiol. 2003 May; 14(5); 613-20)における類似の試験条件下で、他の装置と比べても有意に優れていた。この繊維は、前述のように塞栓の物理的捕捉と平行して治療を実行するために、搬送前に、生物学的薬剤と結合させることが可能である。
血流実験
この実験では、ブタ血液による流動実験下において繊維マトリックス装置を評価するためにフローループを用いた。
実施例4と同じ方法を用いて装置を製造した。図42で前に示したフローループを用いて、装置のインビトロ流体力学を試験した。流速は1分当たり100mlとした。循環液は、新鮮な、ヘパリン添加ブタ血液1リットルである。溶液は15分循環させた。フローを様々な点で測定した。
結果
15分の環流期間において流速はほとんど変わらなかった。装置には、時間的に、暴露の終了時にも、目に見える凝固塊は見られなかった。
装置の引き込み
本実験は、EPDの撤去における引き込み要素使用の機能性を明らかにする。
装置は、実施例4と同じ方法を用いて製造した。図42において前に示したフローループを用いて、血管系をシュミレートした。流速は1分当たり100mlとした。循環液は、33%グリセリン1リットルである。装置を導入し展開した。溶液は1分循環させた。ブタ血栓による塞栓を、前述の実施例3の方法によって生成した。フローを様々な点で測定した。遠位
側塞栓を検出するために、直列フィルター(酢酸セルロース0.2mm)を用いて溶出液をろ過した。
引き込み装置は、Nitonal tubingから入手したレーザー裁断(LSA Laser, Minnetonka、ミネソタ州)によって製造したものである。ジグで固定した装置のアームを加熱して、砂時計型を形成した。この装置をフローループに導入し、EPDを回収するのに用いた。
結果
装置は上手い具合に圧縮され、回収され、導入ポートから引き戻された。さらに、この工程の間、塞栓が外れて脱出した徴候は無かった。流速は、15分の時間フレームに渡ってほとんど変わらなかった。
前述の実施態様は、例示を意図するものであって、限定的なものではない。さらに別の実施態様は特許請求項に含まれる。上に本発明は、好ましい実施態様を参照しながら説明されてきたけれども、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態や詳細において変更の実現が可能であることを認めるであろう。
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図1は、表面毛細管繊維(SCF)の断面模式図である。 図2は、図1のSCF繊維と比較される丸型繊維である。 図3は、患者の血管内に収められた塞栓治療装置の模式的側面図である。左図は、展開器具による装置の展開を示し、右図は、展開後の装置を示す。 図4は、患者の血管内に収められた塞栓治療装置の別態様の模式的斜視図である。左図は、展開器具による装置の展開を示し、右図は、展開後の装置を示す。 図5は、ガイドワイヤーによってシースから展開される繊維マトリックスを持つ別の実施態様の模式的斜視図である。 図6は、塞栓治療装置を圧縮して、図5のシースに負荷させることを可能とする器具の模式図である。 図7は、ネットと繊維マトリックスを含む二つの成分を有する塞栓治療装置の別の実施態様の模式的側面図である。 図8Aは、展開前の状態を示す、塞栓治療装置の別の実施形態の側面模式図である。 図8Bは、展開後で、装置の対応する拡張状態を示す、図8Aの塞栓治療装置の別の実施態様の側面模式図である。 図9は、処置時に、塞栓治療装置に治療薬剤を負荷するシステムの模式的斜視図であり、図Aには搬送前、図Bには搬送後の状態が示される。 図10は、機械的引き込み機構を備えた塞栓治療装置の別実施形態の模式的側面図であり、図Aは、塞栓治療装置と接続する前の引き込み機構を示し、図Bは、塞栓治療装置を撤去する引き込み機構を示す。 図11は、患者の血管からの撤去を促進するために係留紐を備えた塞栓治療装置の別の実施態様の模式的側面図であり、左図は、展開器具による装置の展開を示し、右図は、展開後の装置を示す。 図12は、図11の装置を撤去するために係留紐を使用する態様を示す模式的側面図である。 図13は、異なる特性を持つ二つの部分を備える塞栓治療装置の模式的側面図である。 図14は、搬送システムと一体化された塞栓治療装置を備える一体型システムの側面図である。 図15は、図14の一体型システムに使用される塞栓治療装置の実施態様の断片的側面図である。 図16は、図14の一体型システムに使用される塞栓治療装置の別の実施態様の断片的側面図である。 図17は、図16の塞栓治療装置の、展開後の側面図である。 図18は、図17の塞栓治療装置の、前面図である。 図19は、塞栓治療装置の展開状態を示す、図14の一体型システムの模式的側面図であり、図Aは、装置がシース内に収まっている所、図Bは、装置が、展開前にシースから遊離している所、図Cは、展開した装置を示す。 図20は、一体型塞栓治療装置および搬送器具の特定実施態様の側面断面図である。 図21は、図20の一体型装置の側面図である。 図22は、図20の一体型装置のガイドワイヤーの側面図である。 図23は、塞栓治療装置拡張後における図20の装置の側面図である。 図24は、ガイドワイヤーに折れ線部を持つ図20の装置の近位端の断片的、拡大図である。 図25は、ガイドワイヤーが引っ張られた場合の、図24の装置の近位端の断片的、拡大図である。 図26は、接続のために配置された付属のハンドガードと並んだ、図20の装置の側面図である。 図27は、図20の装置に接続された、図26のハンドガードの側面図である。 図28は、図27のハンドガードの内部においてガイドワイヤーを引っ張るところを描く側面図である。 図29は、引っ張りワイヤーが延長した状態の、図27に示すハンドガードに接続される装置の側面図である。 図30は、大動脈および対応する分枝血管内部における、設置の可能性のある塞栓治療装置の位置を示す模式図である。 図31は、腎動脈において設置される可能性のある塞栓治療装置の位置を示す模式図である。 図32Aは、塞栓治療装置が、ガイドワイヤー上でシースから展開した状態を示す模式的側面図である。 図32Bは、展開後の図32Aの塞栓治療装置であって、装置がガイドワイヤーの固定点に接続しているところを示す模式的側面図である。 図33は、冠状動脈内で展開した塞栓治療装置の模式図である。 図34は、肺動脈における塞栓治療装置の模式図である。 図35は、患者の脚および腕の血管の中に配された塞栓治療装置の模式図である。 図36は、ガイドワイヤーと結合する塞栓治療装置であって、生物学的活性剤が1箇所以上の場所A、BおよびCから搬送される装置の側面図である。 図37は、塞栓治療装置の撤去を促進するグリッパー装置の側面図である。 図38は、図37のグリッパー装置の上面図である。 図39は、丸繊維とSCF繊維のアルブミン放出をプロットした図である。 図40は、染料と合わせられたSCF繊維の写真である。 図41は、染料と合わせられた丸繊維の写真である。 図42は、インビトロ・フローループを示す模式図である。 図43は、水性環境と接触する前の、メッシュ、例えば、繊維メッシュと結合したSCF繊維マットを含む装置の模式的断面図である。 図44は、水性環境と接触後繊維成分の拡大を経過した、図43の装置の模式的断面図である。 図45は、塞栓治療装置をフローループ内で支持するための取り付け具の実施態様の側面図である。 図46Aは、tPAを放出する塞栓治療装置から回収されたフィブリン塞栓の 顕微鏡写真、200X倍率。 図46Bは、図46Aのフィブリン塞栓の顕微鏡写真、400X倍率。 図46Cは、tPAを放出しない塞栓治療装置から回収されたフィブリン塞栓の顕微鏡写真、200X倍率。 図46Dは、図46Cのフィブリン塞栓の顕微鏡写真、400X倍率。 図47は、ガイドワイヤーと結合したSCF繊維を用いる装置の形成と展開を示す模式図であり、A-C図は形成の工程を示し、D図は展開を示す。 図48は、繊維マトリックスを有する塞栓治療装置の写真である。 図49は、塞栓を捕捉した、図48の塞栓治療装置の顕微鏡写真である。

Claims (13)

  1. 少なくとも50本の生体適合性繊維、該繊維の両端に接続した付着構造体、および付着構造体に動作的に接続する活性化要素を含む塞栓治療装置であって、
    前記活性化要素は、中心腔を有して遠位端上にワイヤーコイルを配した内心チューブと、この内心チューブの中心腔内に移動可能に収納されて遠位端上をコイルで被ったガイドワイヤーとを備えており、
    前記内心チューブと前記ガイドワイヤーとの相対的な長手方向の動きによって、前記両付着構造体を相対的に動かすことにより、前記生体適合性繊維を第1形態と第2形態との間で移行させるようにし、
    前記第1形態においては、前記生体適合性繊維が、軸揃えされた維束の狭小断面内に拘束され、第2形態においては、前記生体適合性繊維の端部は拘束されるが、前記生体適合性繊維の中央は、多孔性繊維マトリックスとなるように前記ガイドワイヤーの長手方向軸から外方に向かって突出して前記狭小断面より広がるものであることを特徴とする塞栓治療装置。
  2. 前記生体適合性繊維は、実質的に繊維の長軸に沿う表面毛細管を有するポリマー製の表面毛細管繊維を含むことを特徴とする、請求項1の塞栓治療装置。
  3. 内心チューブの上に治療構造体をさらに含むことを特徴とする、請求項1の塞栓治療装置。
  4. 前記付着構造体は、前記生体適合性繊維を固定するために、当該生体適合性繊維のの端部で囲むバンドを含むことを特徴とする、請求項1の塞栓治療装置。
  5. 前記生体適合性繊維は、約0.5デニールから約25デニールのサイズのものを含むことを特徴とする、請求項1の塞栓治療装置。
  6. 前記生体適合性繊維は、少なくとも約0.5cc/gの毛細管比容量を持つことを特徴とする、請求項1の塞栓治療装置。
  7. 複数の生体適合性の表面毛細管繊維、該繊維の両端に接続した付着構造体、および付着構造体に動作的に接続する活性化要素を含む塞栓治療装置であって、
    前記活性化要素は、中心腔を有して遠位端上にワイヤーコイルを配した内心チューブと、この内心チューブの中心腔内に移動可能に収納されて遠位端上をコイルで被ったガイドワイヤーとを備えており、
    前記内心チューブと前記ガイドワイヤーとの相対的な長手方向の動きによって、前記両付着構造体を相対的に動かすことにより、前記表面毛細管繊維を第1形態と第2形態との間で移行させるようにし、
    前記第1形態においては、前記表面毛細管繊維が、軸揃えされた繊維束の狭小断面内に拘束され、第2形態においては、前記表面毛細管繊維の端部は拘束されるが、前記表面毛細管繊維の中央は、多孔性繊維マトリックスとなるように前記ガイドワイヤーの長手方向軸から外方に向かって突出して前記狭小断面より広がるものであり、
    さらに、前記複数の表面毛細管繊維は実質的にこれら繊維の長軸に沿う表面毛細管を含むことを特徴とする塞栓治療装置。
  8. 前記表面毛細管繊維は、約0.5デニールから約50デニールのサイズを有することを特徴とする、請求項7の塞栓治療装置。
  9. 前記表面毛細管繊維の第2の末端も付着構造体に固定されていることを特徴とする、請求項7の塞栓治療装置。
  10. 前記表面毛細管繊維は、少なくとも約0.5 cc/gの毛細管比容量を持つことを特徴とする、請求項7の塞栓治療装置。
  11. 前記表面毛細管繊維は、約0.5mmから約25mmの長さを有することを特徴とする、請求項7の塞栓治療装置。
  12. 生体適合性繊維に加えて繊維の合計数を少なくとも50本になるように追加の前記表面毛細管繊維をさらに含むことを特徴とする、請求項7の塞栓治療装置。
  13. 塞栓捕捉システムであって、中心腔とこの中心腔を貫通するガイドワイヤーとを有する内心チューブを備える請求項7の塞栓治療装置と、塞栓の処置を施す装置とを含んでおり、この塞栓処置装置は搬送のために前記内心チューブ上にある塞栓捕捉システム。
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