JP4581307B2 - シワ矯正方法およびシワ矯正装置並びに塗布方法 - Google Patents

シワ矯正方法およびシワ矯正装置並びに塗布方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シワ矯正方法およびシワ矯正装置並びに塗布方法に関し、詳しくは、ガイドロール等の搬送手段を用いて連続的にウェブを搬送する場合に、所望の区間、特には塗布を行う区間において、ウェブのシワを矯正するためのシワ矯正方法およびシワ矯正装置、並びに、シワの適切な矯正によりウェブに対し塗布液を均一に安定塗布することのできる塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ウェブ上に塗布液を塗布する方法としては、ロールコート方式、グラビアコート法、ドクターコート法等の種々の方法が用いられているが、最近では、塗料ロスが少なく、空気に触れることなく直接ウェブに塗布できるために塗料安定性にも優れる押し出し塗布法が注目されている。
【0003】
押し出し塗布法とは、サポートロール等の搬送手段の間において、ウェブに所定の張力がかかるようにして押し出し塗布ヘッドのフロントエッジ面(ウェブ搬送方向上流側)とバックエッジ面(ウェブ搬送方向下流側)とを押し付け、スリット部から押し出される塗布液の押し出し量の変化に応じてバックエッジ面とウェブとの間隔を変化させることで、所定の膜厚となるように制御して塗布を行う方法である。
【0004】
上述のような押し出し塗布法においては、ウェブ搬送時の長手方向張力によりウェブにシワやバタツキが発生しやすく、発生したシワやバタツキは縞状あるいは断続的な厚み変動の原因となる。特に、磁気記録媒体の製造過程において行われるウェブの塗布においては、磁気記録媒体における最近の高密度化、大容量化の流れにより、使用されるウェブが薄く(10μm以下)なってきており、これに伴いウェブの剛性が低下して、シワやバタツキの問題がより深刻な状況となっている。この問題を解決するために、ウェブの搬送方法が重要となっている。
【0005】
塗布部の搬送シワの影響を防ぐ手段としては、ウェブを挟み、押し出し塗布装置の対向にバックアップロールを設置するのが一般的である。しかし、この方法では、押し出し塗布装置とバックアップロールとの間の距離によって塗布厚みが決定されるために、バックアップロールの加工精度はもちろん振動やフレ精度の要求レベルが高くなり、特に、乾燥後の塗膜厚が1μm以下であるような薄膜形成は非常に困難である。
【0006】
このような状況に対し、特許第2578631号公報や特開平9−141173号公報では、塗布部におけるウェブの幅方向の張力を均一化する手段として、塗布装置の近傍にテンション調整手段や押圧部材を設けて、ウェブの幅方向張力分布を均一化する装置が開示されている。しかし、これらの方法では、塗布部に直接押圧部材等を当てて調整を行うために、塗布部への影響が大きく、条件設定が困難であった。
【0007】
また、特開平11−128822号公報においては、ウェブ幅方向の局所的な伸びや変形に対して、張力を均一にするために張力調整手段を押し付け、さらにそれによって変形した部分を塗布部の入口ガイドロールで矯正して塗布する方法が開示されている。この方法では、直接塗布部での変位を与えることがないために塗布への影響は少ないが、ウェブ「伸び」部のタルミは防げるものの、ウェブ縦方向のシワを改善することはできなかった。即ち、ウェブ縦方向の搬送シワを直すためには、塗布部において、ウェブのシワが除去されるように横方向外側へ引っ張る力を働かせることが重要となる。
【0008】
このような原理に基づいたシワ矯正機構としては、特開平5−62182号公報や特開平12−197843号公報に記載された技術が挙げられる。特開平5−62182号公報においては、搬送されているウェブの両端を、塗布部の前後のガイドロール部にて、横方向の力がかかるように、ローラにて挟み込み押し付ける方法が開示されている。また、特開平12−197843号公報においては、塗布部にて、エッジリフターと呼ばれる装置でウェブ両端部を変位させたり、クロスガイダーと呼ばれるニップ機構を有する装置でウェブを挟み込み、横方向へ引っ張る力を作用させる技術が開示されている。これらの技術においては、搬送シワに対する矯正効果は疑う余地がないが、直接塗布部にてウェブの両端を持ち上げた場合、屈曲部に大きなシワができてしまうという難点がある。また、直接ウェブを挟み込んで横方向に力を与える装置では、ウェブの損傷は避けられなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、特に、適用するウェブが薄手(10μm以下)の場合においても、特別なバックアップ手段を用いずに、ウェブの走行時および塗布時のシワを矯正することのできるシワ矯正方法およびシワ矯正装置、並びに、適切なシワの矯正により、押し出し塗布法によって均一な塗布膜厚を得ることができる塗布方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のシワ矯正方法は、複数のガイド部材を介して連続的にウェブを搬送する際に該ウェブに生ずるシワを伸ばすためのシワ矯正方法において、前記ウェブの搬送経路において、シワを伸ばしたい区間の下流側のガイド部材を中央に向かって径が漸次増大する形状のクラウンロールとし、かつ、該クラウンロールの下流側の区間にて、前記ウェブの両端部のそれぞれに設けた一対のロールにより少なくとも前記ウェブの幅収縮方向に該ウェブを変形させて、前記シワを伸ばしたい区間のシワを伸ばすことを特徴とするものである。
【0011】
本発明のシワ矯正方法においては、前記幅収縮方向のウェブの変形を、該ウェブの両端部を持ち上げもしくは押し下げることにより好適に行うことができる。
【0012】
また、本発明のシワ矯正装置は、複数のガイド部材を介して連続的にウェブを搬送する際に該ウェブに生ずるシワを伸ばすために用いるシワ矯正装置において、前記ウェブの搬送経路における、シワを伸ばしたい区間の下流側に、ガイド部材として、中央に向かって径が漸次増大する形状のクラウンロールと、該クラウンロールの下流側の区間に、少なくとも前記ウェブの幅収縮方向に該ウェブを変形させる、前記ウェブの両端部のそれぞれに設けた一対のロールを有するウェブ変形手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0013】
本発明のシワ矯正装置においては、前記ウェブ変形手段が、前記ウェブの両端部を持ち上げもしくは押し下げる変形手段であることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の塗布方法は、複数のガイド部材を介して連続的にウェブを搬送しながら該ウェブの塗布を行う塗布方法において、前記ウェブの搬送経路において、前記塗布を行う区間の下流側のガイド部材を中央に向かって径が漸次増大する形状のクラウンロールとし、かつ、該クラウンロールの下流側の区間にて、前記ウェブの両端部のそれぞれに設けた一対のロールにより少なくとも前記ウェブの幅収縮方向に該ウェブを変形させて、前記塗布を行う区間のシワを伸ばした状態にて前記塗布を行うことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の塗布方法においては、前記幅収縮方向のウェブの変形を、該ウェブの両端部を持ち上げもしくは押し下げることにより行うことが好ましい。また、前記塗布は、押し出し塗布装置により行うことが好適である。
【0016】
本発明のシワ矯正方法およびシワ矯正装置によれば、薄手のウェブであっても搬送経路において所望の区間で適切にシワを除去することが可能であり、また、この手法を応用した本発明の塗布方法によれば、塗布部のシワを矯正してから塗布することにより、特別なバックアップ手段なしでも、塗布ムラのない均一な塗布面を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な構成について説明する。
図1〜3は、本発明のシワ矯正方法およびシワ矯正装置並びに塗布方法を示す概略説明図である。図1は全体を概略的に示す斜視図であり、図2はその側面図、図3は図2中の矢印L方向から見た正面図である。図示するように、本発明においては、複数のガイド部材2、6等を介して連続的にウェブ1を搬送する際にこのウェブ1に生ずるシワを伸ばすために、ウェブ1の搬送経路内におけるシワを伸ばしたい区間Pの下流側のガイド部材3を、中央に向かって径が漸次増大する形状のクラウンロールとし、かつ、さらにその下流側の区間にて、ウェブ変形手段5にてウェブ1の幅収縮方向にウェブ1を変形させている。
【0018】
本発明におけるシワ矯正の原理は、以下の通りである。まず、シワを伸ばしたい区間の下流側のガイド部材3を、図示するような、中央に向かって径が漸次増大する形状のクラウンロールとすることにより、ウェブ1の両端部と中央部とで搬送速度に速度差(張力差)が生じて、ウェブ1の中央部から両端部ヘ流れるような大きなシワが発生する。この際、ガイド部材3の下流側の区間においてウェブ1をその幅収縮方向に変形させて、ウェブ1の両端部と中央部とにおいて上記速度差を相殺する方向の速度差を生じさせ、ガイド部材3により生じたシワを矯正することにより、シワを伸ばしたい区間において幅方向でたるみのない均一な張りが得られることになる。即ち、ウェブ1に対しガイド部材3により与えられた力を、さらに下流側の区間において張力不均一に基づき発生する力により調整し、ウェブの特性に適した力を与えることによって、ウェブのシワが適切に矯正されるものと考えられる。
【0019】
また、図示するような搬送経路においてウェブ1の塗布を行う場合、ウェブ1は塗布部において何ら特別なバックアップ手段を有していないため、ウェブ1にシワが発生した場合には、そのシワがそのまま塗布ムラになって現れてしまう。
本発明においては、図1および2に示すように、ウェブ1の搬送経路における区間Pに塗布手段4を設けることにより、塗布を行う部分のウェブ1のシワを適切に伸ばした状態にて塗布を行うことができ、塗布ムラのない、均一な膜厚の塗布皮膜を形成することができる。この場合、ウェブ1は、繰り出し部(図示せず)から所定の搬送速度で搬送され、区間Pの上流側のガイド部材としての入口ガイドロール2を経て、塗布手段4にて塗布された後、下流側のガイド部材としての出口ガイドロール3とさらに下流側のガイドロール6とを経て、乾燥部(図示せず)に搬送される。特に制限されるわけではないが、本発明の塗布方法は、特に、ウェブ1の塗布を押し出し塗布装置により行う場合に好適である。
【0020】
下流側のガイド部材、特には出口ガイドロール3は、前述したように、中央に向かって径が漸次増大する形状のクラウンロールであり、図1〜3に示す好適例では、図4に示すような、中央に向かって径が線形的に増大するクラウン形状(両端部の径Bが中央部の径Aよりも小さくなるような形状)にて形成されている。ウェブ1は、この出口ガイドロール3に対し、中心において抱き角度α(図2参照)をもって巻きついており、この際、出口ガイドロール3のクラウン形状の効果により、ウェブ1の両端部と中央部とで前述の搬送速度の速度差(張力差)が生ずる。
【0021】
出口ガイドロール3は、ウェブ1を抱いた時にウェブ1が幅方向へ伸ばされるような働きを持たせればよいため、部材としての全長や外周径等の絶対値にはそれほどこだわる必要はない。径については、両端部の外周径と中央部の外周径とに少なくとも差異が設けられていればよく、例えば、図4に示すクラウン形状の場合には、中央部の外周径Aと両端部の外周径Bとの差(クラウン量)が0mmよりも大きければよい。クラウン量が0mmでは、中央部から両端部への幅方向の力が生じず、本発明の効果を得ることができない。例えば、クラウン量0.1〜0.5mm程度とすることができるが、特に制限はなく、ウェブの適性やレイアウトなどを加味して決定すればよい。また、各ガイド部材の全長は、一般に、幅方向には支持体(ウェブ)の幅に対して100mm程度の余裕を持って、また、外周径はφ40〜200mm程度で作製することができる。なお、図示する例では径が両端部から中央部に向けて中央部に頂点を持つように線形的に増大しているが、径の増大率が太鼓のように緩やかな曲線を描くクラウンロールであってもよい。
【0022】
出口ガイドロール3のさらに下流側の区間には、図示するように、ウェブ1を幅収縮方向に変形させるためのウェブ変形手段5を設ける。図示するように、かかるウェブ変形手段5をクラウン形状の出口ガイドロール3と下流側ガイドロール6との間に設けることで、入口ガイドロール2と出口ガイドロール3との間の区間Pにおいて出口ガイドロール3により生じた大きなシワを矯正し、幅方向でたるみのない均一な張りの区間Pを形成することができる。
【0023】
かかるウェブ変形手段としては、例えば、図示するような、ウェブの両端部を持ち上げもしくは押し下げる変形手段を好適に挙げることができる。ウェブの両端部を持ち上げる変形手段を用いた場合の断面図を図10(イ)に、押し下げる変形手段を用いた場合の断面図を(ロ)に、夫々示す。ウェブの両端部を持ち上げもしくは押し下げる変形手段としては、特に制限されず、金属製のロールやウレタンゴムロールなどを用いることができ、好適には、回転可能なウェブ変形手段を用いる。シワの矯正効果の点では回転があってもなくても変わらないが、ウェブへの損傷を考慮した場合には、回転している方が好ましい。
【0024】
また、本発明においては、両端部を同時に持ち上げまたは押し下げるのではなく、片端部ではウェブを押し下げ、反対側の端部では持ち上げた場合でも、同様の効果を得ることができる。即ち、ウェブ変形手段は、ウェブを幅収縮方向で変形させることができ、言い換えれば、ウェブ1の両端部と中央部との間で速度差(張力差)を与え、クラウンロールによって発生する力を調節することができる機構を備えているものであればよい。なお、塗布装置におけるウェブ変形手段としては、未塗布部を大きくとらない限り、塗布部の下流側に設置する都合上ウェブ上の既塗布部分に影響を与えるおそれがあるため、押し下げる手法を用いることが好ましい。ウェブ変形手段は、上記の他、気体の噴射や吸引、逆クラウン形状(中央に向かって径が漸次減少する形状)のガイドロールなどを用いてもよく、これらにより本発明の条件が達成できれば、同等な効果を得ることができる。
【0025】
ウェブ変形手段5としての金属やゴム等からなるロールをウェブ1の両端に当ててウェブ1を幅収縮方向で変形させる際に、ウェブ1が薄い場合には折れシワにも留意しなければならないが、本発明においては、ウェブ変形手段5をクラウン形状のガイド部材3の下流側に設置しているため、折れシワが生じにくくなっている。仮にウェブ1が折れてしまうと半永久的な変形になるため、良好な塗布性は得られない。また、ロールの当て方の条件、即ち、設置位置の出口ガイドロールからの距離Y、ウェブに対する当て角度Zθおよび接触幅X、押し込み量Z、振り角度β(図2、図6および図10参照)等についても、レイアウトやロールの抱き角度、ウェブの剛性、搬送条件などにより微妙に条件が異なってくる。適切な効果を得るためには、ただ強く当てればよいのではなく、あくまでもクラウンロールやウェブ等との関係で条件を調整することが必要である。例えば、剛性の大きなウェブの場合には当て方を弱くする方向で調整する必要があり、また、張力も重要なファクターの一つとなることがわかっている。
【0026】
図5は、X軸ステージ12、Y軸ステージ13およびZ軸ステージ14に、傾斜ステージ15および回転ステージ16を組み合わせてなり、夫々粗動および微動が可能な機構を備えたウェブ変形装置を示している。この装置は、これら各ステージの操作によりウェブ変形ロール11の設置位置および方向を自在に変動させ、かつ、回転させることができるため、本発明に係るウェブ変形手段5として好適に用いることができる。この装置を本発明において用いる場合には、図示するようにウェブ変形ロール11をウェブ1に押し当てて、各ステージの調整によりウェブ1を持ち上げまたは押し下げることで、ウェブ1の変形を容易に行うことができる。
【0027】
本発明を適用することのできるウェブは、特に制限されないが、主としてポリオレフィンフィルムやポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどのプラスチックフィルムであり、特に、厚み10μm以下の薄いフィルムにおいて本発明の効果が顕著である。また、本発明に供するに先立ってこれらのウェブにコロナ放電処理などの前処理を施しておいてもよく、下塗り層、バックコート層などが施された原反であってもよい。
【0028】
なお、本発明のシワ矯正装置は、複数のガイド部材を介して連続的にウェブ1を搬送する際にウェブ1に生ずるシワを伸ばすために用いる装置であって、ウェブ1の搬送経路における、シワを伸ばしたい区間の下流側に、上記ガイド部材3としてのクラウンロールと、上記ウェブ変形手段とを具備するものであればよく、これらの条件については上述と同様である。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を、具体的な実施例に基づき、詳細に説明する。
最初に、ウェブの材質およびシワ矯正装置の条件の関係につき試験を行った。
比較例1〜6および実施例1、2
塗布条件
塗料として、カーボンおよび酸化鉄を含有する粘度0.02Pa・s(剪断速度3000sec-1)の非磁性塗布液を使用して、押し出し塗布装置により下記表1に示す各種280mm幅フィルムに塗布を行い、乾燥後にロール状に巻き取った。塗布に際しては図1および2に示すような搬送経路にてフィルムを搬送し、表1および以下に示す各種条件のシワ矯正装置を用いた。
支持体(ウェブ)の搬送速度 100(m/min)
塗布幅 264(mm)
塗布長さ 3000(m)
乾燥後塗布膜厚 2(μm)
塗布部ウェブ張力 210(N/m)
【0030】
塗布部レイアウト条件(図2参照)
出口ガイドロール3中央部抱き角度:α=45°
塗布部スパン:W0=200(mm)
塗布位置 :W1=100(mm)
【0031】
シワ矯正装置条件(図2、図6および図10参照)
(条件A)
出口ガイドロール3:ストレート形状(クラウン量=0)
押し下げ装置5:使用しない
(条件B)
出口ガイドロール3:ストレート形状(クラウン量=0)
押し下げ装置5:使用する
距離:Y 50(mm)
角度:Zθ 8(deg)
接触幅:X 75(mm)
押し込み:Z 10(mm)
振り角度:β 0(deg)
(条件C)
出口ガイドロール3:クラウン形状(クラウン量=0.1mm)
押し下げ装置5:使用しない
(条件D)
出口ガイドロール3:クラウン形状(クラウン量=0.1mm)
押し下げ装置5:使用する
距離:Y 50(mm)
角度:Zθ 8(deg)
接触幅:X 75(mm)
押し込み:Z 10(mm)
振り角度:β 0(deg)
【0032】
【表1】
Figure 0004581307
【0033】
上記表1中の判定基準は以下の通りである。
○ :支持体搬送時に目視にてシワやバタツキが確認できず、透過面にて塗布ムラが確認されない。X線膜厚測定にて変動が0.05μm以内。
△ :支持体搬送時に目視にてシワやバタツキが確認できるが、透過面での塗布ムラは許容レベルである。X線膜厚測定にて変動が0.05μmより大きく0.1μm以内。
▲ :支持体搬送時に目視にてシワやバタツキが確認でき、透過面にて明確な塗布ムラが確認される。X線膜厚測定にて変動が0.1μmより大きく0.2μm以内。
× :支持体搬送時に目視にてシワやバタツキが確認でき、透過面にて大きな塗布ムラが確認される。X線膜厚測定にて変動が0.2μmを超える。
【0034】
比較例1、2および4、5の結果より、出口ガイドロール3がストレート形状では、下流側でウェブ1の両端部を押し下げても、若干の改善効果は認められるものの、シワを伸ばしたい区間Pのシワ20が残ってしまい、満足できる状態にはならなかった(図7(図2の矢印方向から見た正面図)参照)。より効果を上げようと押し込んだところ、ベースの変形がきつくなって折れてしまい、著しく塗布品質が落ちてしまった。
【0035】
比較例3、6の結果より、出口ガイドロールをクラウンロールにしただけでは、中央部から両端部に流れるような大きなシワ20が発生して、大きな塗布ムラを生じてしまった(図8(図2の矢印方向から見た正面図)参照)。
【0036】
実施例1、2の結果より、出口ガイドロールをクラウンロールにし、かつ、その下流側でウェブの両端部を適切な量で押し下げたことにより、区間Pにおいてシワが矯正され、塗布ムラの改善効果が得られた(図9(図2の矢印方向から見た正面図)参照)。実施例1のポリエチレンテレフタレート(:PET)ではシワが確認できず最もよい結果となった条件で、ポリエチレンナフタレート(:PEN)の場合には中央部に縞模様の塗布ムラがやや残ったが、最終的な塗布ムラは許容範囲内であり、どちらの場合にも十分な矯正効果が得られた。
【0037】
次に、塗布時のウェブ張力およびシワ矯正装置の条件が与える影響につき試験を行った。
実施例3、4
塗布条件
塗料として、カーボンおよび酸化鉄を含有する粘度0.02Pa・s(剪断速度3000sec-1)の非磁性塗布液を使用して、押し出し塗布装置にて、厚み5.9μmの280mm幅ポリエチレンナフタレートフィルムに対し、塗布部のウェブ張力を下記の表2に示すように変えて塗布を行い、乾燥後にロール状に巻き取った。塗布に際しては上記比較例および実施例と同様に図1および2に示すような搬送経路にてフィルムを搬送し、以下に示す各種条件を用いた。
支持体の搬送速度 100(m/min)
塗布幅 265(mm)
塗布長さ 3000(m)
乾燥後塗布膜厚 2(μm)
【0038】
塗布部レイアウト条件
上記比較例および実施例と同様とした。
【0039】
シワ矯正装置条件
(条件E)
出口ガイドロール3:クラウン形状(クラウン量=0.1mm)
押し下げ装置5:使用する
距離:Y 50(mm)
角度:Zθ 8(deg)
接触幅:X 75(mm)
押し込み:Z 7(mm)
振り角度:β 0(deg)
下記の表2に結果を示す。なお、表2中の判定基準は上記表1の場合と同様である。
【0040】
【表2】
Figure 0004581307
【0041】
実施例3および実施例4の結果より、塗布部のウェブ張力を調整することで、より良好な効果が得られることが確かめられた。ウェブの材質の厚みによって、最もよい条件が存在すると考えられる。
【0042】
次に、特性の違う塗料を塗布してサンプルを作製し、上述と同様の試験を行った。
実施例5、6および比較例7、8
塗布条件
磁性粉を含有する粘度0.01Pa・s(剪断速度3000sec-1)の磁性塗布液を、押し出し塗布装置により、上記実施例4にて得られた非磁性層形成済みの原反の非磁性層上に、シワ矯正装置を用いた場合と用いない場合について塗布し、乾燥、配向、鏡面化処理を施した。その後、カーボンを含有する粘度0.005Pa・s(剪断速度3000sec-1)のバックコート塗布液を、押し出し塗布装置により、上記磁性層面の裏面に、シワ矯正装置を用いた場合と用いない場合について塗布し、乾燥、鏡面化処理を施した後に巻き取った。塗布に際しては上記比較例および実施例と同様に図1および2に示すような搬送経路にてフィルムを搬送し、以下に示す各種条件を用いた。
支持体の搬送速度 200(m/min)
塗布幅 265(mm)
塗布長さ 3000(m)
乾燥後塗布膜厚
磁性層 0.2(μm)
バックコート層 0.5(μm)
支持体張力 228(N/m)
【0043】
塗布部レイアウト条件
上記比較例および実施例と同様とした。
【0044】
シワ矯正装置条件
シワ矯正装置なしの場合は上記条件Aとし、シワ矯正装置ありの場合は上記条件Eとした。
下記の表3にこれらの結果を示す。
【0045】
【表3】
Figure 0004581307
【0046】
上記表3中の判定方法および判定基準は以下の通りである。
磁性層の確認は、下層の非磁性層と合わせて透過させて行い、また、バックコート層の確認については、非磁性層および磁性層を溶剤で除去してから同様に透過させて行った。どちらも目視判断である。
○: 透過面にてほとんど塗布ムラが確認されない。
×: 透過面にて大きな塗布ムラが確認される。
【0047】
上記実施例および比較例で示した通り、用いるウェブの条件に合わせてシワ矯正および塗布の条件設定を行うことで、塗布部のシワをなくして、良好な塗布が実現されることが確認できた。また、塗布液の種類についても、非磁性、磁性およびバックコートのいずれであっても、さらに、粘度を変えても、塗布部のシワをなくすことで、良好な塗布を実現することができた。
【0048】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明のシワ矯正方法およびシワ矯正装置によれば、厚みの薄いウェブに適用する場合でも特別なバックアップ手段を要することなく、ウェブの走行時および塗布時のシワを良好に矯正することができ、適切なシワの矯正により押し出し塗布法によって均一な塗布膜厚を得ることができる塗布方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシワ矯正方法およびシワ矯正装置並びに塗布方法を示す概略斜視図である。
【図2】本発明のシワ矯正方法およびシワ矯正装置並びに塗布方法を示す概略側面図である。
【図3】図2中の矢印L方向から見た概略正面図である。
【図4】出口ガイドロールのクラウン形状の一例を示す概略正面図である。
【図5】ウェブ変形装置の好適例を示す概略説明図である。
【図6】ウェブ変形手段の一例を示す概略説明図である。
【図7】比較例1等における搬送シワの発生状況を示す概略正面図である。
【図8】比較例3等における搬送シワの発生状況を示す概略正面図である。
【図9】実施例1等における搬送シワの発生状況を示す概略正面図である。
【図10】ウェブ変形手段の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 ウェブ
2 入口ガイドロール
3 出口ガイドロール
4 塗布手段
5 ウェブ変形手段
6 下流側ガイドロール
11 ウェブ変形ロール
12 X軸ステージ
13 Y軸ステージ
14 Z軸ステージ
15 傾斜ステージ
16 回転ステージ
20 シワ

Claims (7)

  1. 複数のガイド部材を介して連続的にウェブを搬送する際に該ウェブに生ずるシワを伸ばすためのシワ矯正方法において、前記ウェブの搬送経路において、シワを伸ばしたい区間の下流側のガイド部材を中央に向かって径が漸次増大する形状のクラウンロールとし、かつ、該クラウンロールの下流側の区間にて、前記ウェブの両端部のそれぞれに設けた一対のロールにより少なくとも前記ウェブの幅収縮方向に該ウェブを変形させて、前記シワを伸ばしたい区間のシワを伸ばすことを特徴とするシワ矯正方法。
  2. 前記幅収縮方向のウェブの変形を、該ウェブの両端部を持ち上げもしくは押し下げることにより行う請求項1記載のシワ矯正方法。
  3. 複数のガイド部材を介して連続的にウェブを搬送する際に該ウェブに生ずるシワを伸ばすために用いるシワ矯正装置において、前記ウェブの搬送経路における、シワを伸ばしたい区間の下流側に、ガイド部材として、中央に向かって径が漸次増大する形状のクラウンロールと、該クラウンロールの下流側の区間に、少なくとも前記ウェブの幅収縮方向に該ウェブを変形させる、前記ウェブの両端部のそれぞれに設けた一対のロールを有するウェブ変形手段と、を具備することを特徴とするシワ矯正装置。
  4. 前記ウェブ変形手段が、前記ウェブの両端部を持ち上げもしくは押し下げる変形手段である請求項3記載のシワ矯正装置。
  5. 複数のガイド部材を介して連続的にウェブを搬送しながら該ウェブの塗布を行う塗布方法において、前記ウェブの搬送経路において、前記塗布を行う区間の下流側のガイド部材を中央に向かって径が漸次増大する形状のクラウンロールとし、かつ、該クラウンロールの下流側の区間にて、前記ウェブの両端部のそれぞれに設けた一対のロールにより少なくとも前記ウェブの幅収縮方向に該ウェブを変形させて、前記塗布を行う区間のシワを伸ばした状態にて前記塗布を行うことを特徴とする塗布方法。
  6. 前記幅収縮方向のウェブの変形を、該ウェブの両端部を持ち上げもしくは押し下げることにより行う請求項5記載の塗布方法。
  7. 前記塗布を、押し出し塗布装置により行う請求項5または6記載の塗布方法。
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