JP4580490B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波トランスジューサから放射される超音波ビームで、被検体内を走査したときの反射波情報によって、体内の診断情報を得る超音波診断装置に係り、とくに超音波の非線形効果を利用した新しい超音波映像法を実現した超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波トランスジューサから超音波ビームを被検体内へ放射すると、この超音波ビームは生体内を伝播していき、伝播途中における血管壁や臓器などの生体組織の境界すなわち、音響インピーダンスの不連続面で次々と反射が起こり、エコー信号として超音波トランスジューサへ返ってくる。このエコー信号の振幅は当該不連続面での音響インピーダンスの差に依存している。また、超音波ビームが血球や心臓壁などの移動体の表面で反射したとき、そのエコー信号は、ドップラ効果によって当該移動体のビーム方向の速度成分に依存して周波数偏移を受けることになる。
超音波診断装置は、このようなエコー信号を処理することによって、断層像や血流速などが観察できるようになっている。そして、エコー信号としては、一般的にはもっぱら基本波成分のみが利用されていた。
【0003】
ところが近年、超音波診断装置で得られる超音波画像の画質を向上させる目的で、超音波ビームが被検体内を伝播する過程で発生する高調波の反射波を受信して画像を生成する、ティシュ・ハーモニックイメージング(Tissue Harmonic Imaging:以下、THIと称する。)が開発され、特に超音波トランスジューサから中程度例えば2cmから10cmの間の距離で鮮明な画像が得られるようになった。
この高調波の反射波は超音波の非線形現象の結果として発生し、その効果は超音波の強度が強いほど大きい。従って、正面に向けて放射され画像生成に必要な強い超音波すなわち、指向性におけるメインローブで非線形効果が大きく強い高調波が発生する。
一方、超音波を放射すると、メインローブの周囲に別の方向へ向けて放射されるサイドローブが生ずる。このサイドローブは、画像のアーチファクトの原因ともなる不要の超音波であるが、サイドローブの振幅はメインローブに比較すると1/10以下であり、非線形効果は非常に弱い。そのため、サイドローブによって高調波はほとんど発生しない。従って、高調波成分でみると、画像生成に必要なメインローブに対し、解像度を劣化させる悪要因のサイドローブは極めて小さくなり、これがTHIで画質が改善される大きな理由である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、超音波は媒体内を伝搬するに従い減衰し、その結果として被検体の深部ほど超音波の強度は弱くなり非線形効果が軽減される。さらに、周波数が高いほど超音波の減衰が激しいため、高調波の反射波を用いて生成した画像は、深部では必然的に感度が低下して画像を描出できなくなる。従って、深部の画像を描出できないことがTHIの最大の欠点である。
本発明は、このような事情に基づきなされたものであり、その目的は、非線形現象を利用することによってサイドローブの悪影響を除き、深部においても十分な感度を得て画質を向上する、新しい超音波映像法を実現した超音波診断装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、超音波を送受波する超音波トランスジューサと、この超音波トランスジューサを一定の電圧の駆動パルスおよび/または異なる電圧の駆動パルスで駆動して、同一方向へ超音波を送波させる駆動パルス発生手段と、前記超音波トランスジューサで受波されたエコー信号を受信する受信手段と、この受信手段で受信された受信信号を、前記一定の電圧の駆動パルスに基づく受信信号には当該受信信号に対して信号処理を施して所望の第1の情報を得るとともに、前記異なる電圧の駆動パルスに基づく少なくとも一方の受信信号に所定の係数を掛け、他の受信信号との差を求めて所望の第2の情報を得る信号処理手段と、この信号処理手段で得られた前記第1の情報に基づく出力および/または第2の情報に基づく出力を表示する表示手段と、前記受信手段で受信された受信信号を少なくとも1フレーム分一時保存するとともに保存した前記受信信号に基づく情報を前記表示手段に表示するフリーズ手段を有し、このフリーズ手段を動作させるフリーズ操作に応じて、前記駆動パルス発生手段から前記超音波トランスジューサへ供給する駆動パルスを、一定の電圧の駆動パルスから異なる電圧の駆動パルスに変更することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る超音波診断装置の実施の形態について、図1ないし図9を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る超音波診断装置の実施の形態の主要構成要素を示した系統図であり、送信部1、超音波プローブ2、基本波受信部3、基本波信号処理部4、高調波受信部5、高調波信号処理部6、検波部7、デジタルスキャンコンバータ(Digital Scan Converter:以下、DSCと称する。)部8、制御部9、表示部10などから構成されている。
送信部1には、クロック回路11と駆動回路12が設けられている。クロック回路11は、超音波の送信タイミングを決定するためのクロックパルスを発生するものであり、例えば5kHzのレート周波数でクロックパルスが発信される。そして、クロック回路11からのクロックパルスが駆動回路12に供給されると、駆動回路12では超音波の指向性を決めるために必要な適当な遅延を受けたトリガパルスを生じ、このトリガパルスに同期した中心周波数foの高周波の駆動パルスを発生して超音波プローブ2へ印加する。
【0012】
超音波プローブ2の先端部には、多数の超音波トランスジューサ21が配列されており、駆動回路12から供給される駆動パルスは、各超音波トランスジューサに個別に、または近隣グループ単位に印加される。この駆動パルスの電圧は、従来の超音波診断装置では、少なくとも1フレームについては通常80Vから200V程度の範囲内の一定値に設定されている。
しかし本発明では、1フレーム内さらには1本の走査線に対して、異なる電圧の駆動パルスで超音波トランスジューサ21を駆動するようにしている。
すなわち、クロック回路11から第1のクロックパルスが駆動回路12に送られると、駆動回路12から超音波プローブ2の超音波トランスジューサ21へ、例えば50Vの低電圧の駆動パルスu1が印加される。次に、第1のクロックパルスから例えば200μs後に、クロック回路11から第2のクロックパルスが駆動回路12に送られると、駆動回路12から超音波プローブ2の超音波トランスジューサ21へ、例えば100Vの高電圧の駆動パルスu2が印加されるように制御する。この制御は、制御部9からの指令によって行われる。
これら、低電圧の駆動パルスu1と高電圧の駆動パルスu2との、異なる電圧の駆動パルスによって、交互に超音波トランスジューサ21は駆動され、超音波プローブ2から被検体の同一方向ヘ中心周波数foの超音波パルスが発射される。この被検体内ヘ発射された超音波パルスは、体内組織で反射され、その反射波は同じ超音波トランスジューサ21でエコー信号として受波されて、微弱な電気信号に変換される。そして、電気信号に変換された信号の基本波成分(中心周波数fo)は、基本波受信部3に導入され受信信号となる。
【0013】
基本波受信部3には、基本波受信回路31、第1のメモリ32、第2のメモリ33が設けられている。基本波受信部3に導入された基本波成分を主とする信号は、基本波受信回路31で増幅され、さらに受信指向性を決めるために必要な例えば送信時と同じ遅延を受けることにより、受信指向性を持った受信信号が取得される。
そして、制御部9の制御の基で、低電圧の駆動パルスu1によって、超音波トランスジューサ21から発射された超音波パルスに基づくエコーの受信信号は、第1のメモリ32に記憶され、同様に、第1のクロックパルスの後に、高電圧の駆動パルスu2によって、超音波トランスジューサ21から発射された超音波パルスに基づくエコーの受信信号は、第2のメモリ33に記憶される。
基本波受信部3の第1のメモリ32および第2のメモリ33に記憶された受信信号は、基本波信号処理部4へ送られて係数処理が施される。
すなわち、第1のメモリ32に記憶された受信信号は、第1の係数回路41で例えば1倍に、また、第2のメモリ33に記憶された受信信号は、第2の係数回路42でb倍に係数倍される。そして、両係数回路41、42で係数倍された受信信号は、差回路43へ供給されて差が演算され、その出力は検波部7の第1の検波回路71で検波され、Bモード処理などがされて画像データとされた後、DSC部8の合成回路81へ供給される。なお、第2の係数回路42における係数bは、一般には超音波トランスジューサ21からの距離の関数であり、超音波診断装置では反射波の到達時間の関数として制御される。
【0014】
一方、前記低電圧の駆動パルスu1および高電圧の駆動パルスu2によって発射された超音波パルスに基づき、体内組織で反射される反射波には高調波成分を含み、この高調波成分についても同じ超音波トランスジューサ21でエコー信号として受波されて、微弱な電気信号に変換される。この電気信号に変換された高調波成分(例えば第2高調波2fo)の信号は、高調波受信部5に導入されて増幅されて高調波の受信信号となる。
この高調波の受信信号は、低電圧の駆動パルスu1に基づくものと高電圧の駆動パルスu2に基づくものとの異なったレベルの信号であるが、これらは高調波信号処理部6へ供給されて例えば加算などの処理がなされる。そして、高調波信号処理部6の出力は検波部7の第2の検波回路72で検波され、Bモード処理などが施されて画像データとなる。これはTHI信号であり、このTHI信号もDSC部8の合成回路81へ供給される。
合成回路81では、第1の検波回路71から入力された基本波成分を主とする信号と、第2の検波回路72から入力された高調波成分を主とするTHI信号を合成してDSC82へ供給する。すなわち、合成回路81で合成された画像データは、超音波走査に同期した信号なので、これをテレビ走査方式の表示装置10に表示できるようにするために、DSC82によって標準のテレビ走査に同期して読み出すことにより、走査方式を変換して表示装置10へ供給する。
【0015】
ここで、最も一般的なBモード画像(断層像)を得る場合を考えると、同一方向へ発射した低電圧の駆動パルスu1および高電圧の駆動パルスu2に基づく超音波パルスにより得られた反射信号(受信信号)で、1本の走査線の情報が得られ、これがDSC82に書き込まれる。そして、超音波ビームの方向を少しずつずらせて同様の送受信を行なうことにより、100本程度の走査線で一画面を形成して、表示装置10に画像として表示されることになる。
なお、合成回路81で合成された画像データの内、比較的遠距離については第1の検波回路71から入力された基本波成分を主とする信号によって良好な画像データが提供され、近距離あるいは中距離については、第2の検波回路72から入力されたTHI信号によって良好な画像データが提供される。よって、近距離(浅部)から遠距離(深部)にわたって良好な画像を得ることができる。ただし、近距離は、非線形効果が小さいため従来の非線形効果を用いない信号をそのまま用いてもよい。
また、低電圧の駆動パルスu1により発射された超音波パルスに基づき得られた反射信号はレベルが小さいため、詳細は後述するが、1本の走査線の情報を得るために、例えば、高電圧の駆動パルスu21つに対して低電圧の駆動パルスu1を5つ発生させる。すなわち、低電圧の駆動パルスu1の電圧を例えば20V(u1=20V)、高電圧の駆動パルスu2の電圧を例えば100V(u2=100V)として、低電圧の駆動パルスu1で連続して5回超音波トランスジューサ21を駆動し、これに続けて高電圧の駆動パルスu2で1回超音波トランスジューサ21を駆動して、同一方向に6回超音波パルスを発射し、方向をずらしながらこれを繰り返す。
【0016】
そして、低電圧の駆動パルスu1によって、超音波トランスジューサ21から発射された超音波パルスに基づくエコー信号の基本波成分を主とする受信信号は、第1のメモリ32で加算して記憶する。同様に、高調波成分を主とする受信信号は高調波信号処理回路6で加算される。
なお、低電圧の駆動パルスu1により超音波を同じ方向に例えば5回発射した場合は、高電圧の駆動パルスu2を含めて、1本の走査線を作るのに6回の超音波を発射することになり、一画面を生成するのに6倍の時間がかかるためフレーム数が低下する。そこで、通常は低電圧の駆動パルスu1を使用せず、高電圧の駆動パルスu2のみによる画像を高フレーム数で描出して、所望とする診断部位を見つけ出すようにする。これは、一定の電圧の駆動パルスを使用する従来の超音波診断装置と同様であり、リアルタイム性のよい画像が得られる。
そして、所望の診断部位の画像を捉えたときに、従来の超音波診断装置にも備えれられている周知のフリーズ機能を用いて、1フレーム分ないし数フレーム分の画像データを一時的に保存するように、フリーズボタンを押し、このときに、低電圧の駆動パルスu1と高電圧の駆動パルスu2とを用いて超音波を発射するように動作を切替え、あるいは低電圧の駆動パルスu1により超音波を5回発射して画像を生成する処理を行なうようにして、深部の鮮明な画像を得るようにしてもよい。このときフリーズされるデータは、異なった電圧の駆動パルスu1、u2に基づき得られるものであり、基本波受信部3の第1のメモリ32および第2のメモリ33に、それぞれフリーズ用メモリを用意しておく。
なお、図1では第1のメモリ32および第2のメモリ33には、基本波受信回路31の検波前の高周波出力が記憶され、基本波信号処理部4で処理された後第1の検波回路71で検波されるように構成されている。
【0017】
また、第2の係数回路42における係数bは、超音波トランスジューサ21からの距離の関数であり、反射波の到達時間の関数として制御されると説明したが、要は、異なる電圧の駆動パルスに基づく受信信号の差をとったときの、サイドローブの影響をゼロに近づけるためのものである。よって、係数bは距離のみではなく、超音波トランスジューサ21に印加される駆動電圧や、超音波トランスジューサ21から発射される超音波ビームを集束させる集束条件すなわち、超音波周波数、焦点距離、アパーチャによっても変わるものである。さらに、同時に駆動する超音波トランスジューサ21の数、それを配列している面のカーブの形状、超音波トランスジューサ21の表面に設けてある音響レンズの焦点距離などの違いによる超音波プローブ2の種類や、被写体によっても変わるものである。
そのため、これらに応じて係数bを適宜設定すればよく、特定の条件ではb=1となることもあり、あらかじめ適当な標準値を設定しておくのが便利である。
【0018】
そして、画像をフリーズすると、低電圧の駆動パルスu1に基づき得られたデータは、基本波受信部3の第1のメモリ32に記憶されており、高電圧の駆動パルスu2に基づき得られたデータは、第2のメモリ33に記憶されているので、表示装置10に表示されたフリーズ画像を見ながら第2の係数回路42の係数値を微調整することができる。このフリーズした画像に対して係数bを調整すれば、画像に調整結果を反映させながら、画質を最適とすることができる。
この場合、表示装置10にフリーズ前後の一定の電圧の駆動パルスに基づき得られた画像と、フリーズした異なった電圧の駆動パルスに基づき得られた画像とを、切替えて表示したり、両方の画像を並べて表示したりするようにする。とくに、両方の画像を並べて表示すれば、両画像の比較評価や教育用として活用するのに便利である。上記の係数の調整やフリーズ操作などは、制御部9に備えられているCPUを通して行なわれる。
なお、係数bの調整に関しては、必ずしも第2の係数回路42でb倍に係数倍されるだけではなく、例えば第2の係数回路42によって、第2のメモリ33に記憶された受信信号を1倍するものとすれば、第1の係数回路41によって、第1のメモリ32に記憶された受信信号を1/b倍するようにして、第1の係数回路41の係数bを調整するようにしてもよい。
【0019】
次に、上記のように構成した超音波診断装置によって、なぜサイドローブの悪影響を減少させて鮮明な画像が得られるのか、その理由について説明する。
図2は、超音波の非線形現象を測定するための実験に用た、超音波のビーム形状を示したものである。すなわち、一辺Dが12mm(D=12mm)、集束点Fが60mm(F=60mm)、周波数foが3.75MHz(fo=3.75MHz)の矩形の超音波トランスジューサ(圧電振動子)25に、パルス発生器26によりuボルトのパルス電圧u(V)を印加して水中に超音波を発射し、距離X1、X2、X3の位置にあるワイヤターゲットT1、T2、T3からの反射波を、受信回路27で受信して受信電圧v(V)を測定する。ここで、X1=20mm、X2=60mm、X3=110mmである。
図3のグラフは、横軸を印加電圧u(V)、縦軸を受信電圧v(V)として、この実験で得られた測定データをワイヤターゲットT1、T2、T3の位置をパラメータとして示したものであり、黒丸はX1=20mmの位置にあるワイヤターゲットT1、黒三角はX2=60mmの位置にあるワイヤターゲットT2そして、黒四角はX3=110mmの位置にあるワイヤターゲットT3によるものである。なお、曲線はそれぞれ理論曲線であり、以下の(1)式で表される。
【0020】
【数1】
【0021】
ここで、aは非線形効果の大きさを表す値であり、a=0であれば、v=kuとなり非線形効果はなく、aが大きいほど非線形効果は大きくなる。超音波トランスジューサ25からの距離X1、X2、X3に対するkおよびaの値を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
このような図3のグラフおよび表1から、超音波トランスジューサ25からの距離が、X1(20mm)、X2(60mm)、X3(110mm)と遠くなるほどaの値が大きくなり、距離に対する非線形の積分効果が読み取れる。
いま、超音波トランスジューサ25から距離X3=110mmの深さの音場(すなわち、指向性)を考えてみる。非線形がない場合の矩形振動子の指向性関数R(θ)は理論的に求まっており(2)、(3)式で表される。
【0024】
【数2】
【0025】
ここで、λは超音波の波長であり、音速を1,500m/sとすればλ=0.4mmである。λ=0.4mm、 D=12mmを(3)式に代入して、指向特性をグラフで表示すると図4のようになる。なお図4では、分かりやすくするために縦軸はR(θ)を100倍したが、第1サイドローブの高さはメインローブの約20%であることが分かる。
次に、印加電圧u(V)での非線形効果を考慮した指向特性をRn(u)とすると、(4)式のようになる。
【0026】
【数3】
【0027】
なお、表1に示されているように、距離110mmでのaの値は0.0249V−1(以下、簡単にするため、0.025とする)である。そして、異なった印加電圧u1とu2とで超音波トランスジューサ25をそれぞれ駆動して、印加電圧u1で得られた受信信号から印加電圧u2で得られた受信信号に係数bを掛けた値を引いた差の信号の指向特性をΔR(u1,u2)とすれば、これは(5)式で示される。
【0028】
【数4】
【0029】
そして、印加電圧u1=50(V)、u2=100(V)での指向特性をそれぞれ、Rn(50)、Rn(100)とし、さらに係数b=8/14とした場合の差の指向特性ΔR(50,100)は、(6)式ないし(8)式で示され、これらの指向特性をグラフで表示すると、それぞれ図5、図6、図7のようになる。
【0030】
【数5】
【0031】
従来の超音波診断装置のように、例えば100Vの一定の印加電圧で振動子を駆動して超音波を放射した場合、図5に示すように、振幅の大きいメインローブでは強い非線形効果により振幅が減少しサイドローブはそれ程減衰しないから、メインローブに対する第1サイドローブの高さは46%にもなり、メインローブにより得られる本来の画像に不要なサイドローブによる偽の画像がかぶりとなって重なり、これが画質を大幅に劣化させる原因となっている。
一方、100Vの1/2の印加電圧50Vで振動子を駆動した場合は、非線形効果は100Vで駆動した場合に比較して小さく、そのためサイドローブの高さはメインローブの36%と減少する。さらに、印加電圧50Vで振動子を駆動したものから印加電圧100Vで振動子を駆動したものに係数b=8/14を掛けて差をとると、図7に示すように、サイドローブの比は13%と大幅に改善される。
【0032】
しかし、図5に示した印加電圧100Vの場合のメインローブの振幅に対して、図7に示した差のメインローブの振幅は1/5であり、差をとると大幅に感度が低下してしまうことになる。そこで、低い印加電圧u1の反射波信号をN回加え合わせ、それから高い印加電圧u2の反射波信号を差し引くものとする。
すなわち、低い印加電圧u1の反射波信号をN回加え合わせた指向特性をNRn(u1)とし、それから高い印加電圧u2の反射波信号を係数b倍した指向特性bRn(u2)を差し引いた差の指向特性をΔR(N*u1,u2)で表すと、これは(9)式で示される。
【0033】
【数6】
【0034】
とくに、u1=u2/Nすなわち、低い方の印加電圧を高い方の1/Nとして、その反射信号をN回加算した場合は、NRn(u1)=NRn(u2/N)となり、(9)式の差の指向特性ΔR(N*u1,u2)は、(10)式で示される。
【0035】
【数7】
【0036】
図8は、u1=20V、u2=100V、N=5の場合の指向特性5Rn(20)、図9は、bRn(u2)=(8/14)Rn(100)との差の指向特性ΔR(5*20,100)を示したものである。
【0037】
図5に示したメインローブに対する第1サイドローブの比46%、メインローブの振幅28.6と比較して、(10)式の処理をした図9に示す指向特性では、メインローブに対する第1サイドローブの比は3.3%、メインローブの振幅は29.9であり、サイドローブは1/14と大幅に減少し、メインローブの振幅は僅かながら大きくなっている。従って、ほぼ同等の感度を維持しながら、サイドローブによる偽像のかぶりを1/14に減少させることができ、画質が大幅に改善されることがわかる。
なおこの場合、低電圧駆動により、5回送受信を行うものとすると、それだけ時間がかかってしまい、実時間での観測が困難になるという問題が生ずる。この問題を解決するためには、低電圧の駆動パルスのパルス幅を長くして超音波を発射し、その反射波信号にパルス圧縮技術による信号処理を施すことにより、低電圧の複数の駆動パルスによる反射波信号を加算したものと同程度の幅でピーク値の高いパルスに変換するとよい。このパルス圧縮技術により変換された低電圧駆動の受信波形と、高電圧駆動の受信波形との差をとれば、低電圧駆動、高電圧駆動ともに1回でよく、フレーム数を増加させリアルタイムの画像を得ることができる。
【0038】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の形態で実施することができる。例えば、画像をフリーズした場合、表示装置10に表示された画像を見ながら係数bを微調整することができると説明したが、複数フレーム分の画像をフリーズできるようにすれば、その分だけ溯った画像についても係数bを調整することができ、フリーズされた中の最良の画像を選択し、その画像に対して最適な係数となるような調整を施して、より良好な画像を得ることができる。
また、近距離または中距離の画像は、主に一定の電圧の駆動パルスに基づく受信信号あるいはTHI手法により取得し、遠距離の画像は主に異なる電圧の駆動パルスに基づく受信信号により取得するようにして、それらを合成することによって、浅部から深部までサイドローブの影響の少ない鮮明な画像を得ることができる。この場合、適宜重みを変えて合成するようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、非線形現象を利用することにより、被検体の深部におけるサイドローブによる画質劣化を大幅に改善して、鮮明な画像を描出することを可能にした超音波診断装置が提供される。また、従来の手法により取得した画像(THIを含む)と本発明による手法を用いて取得した画像とを合成することによって、被検体の浅部から深部までサイドローブの影響の少ない鮮明な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の一実施の形態を示した系統図である。
【図2】超音波の非線形現象を測定するための実験に用た、超音波のビーム形状を示した説明図である。
【図3】図2の実験で得られた測定データを示したグラフである。
【図4】本発明の原理を説明するために示した、非線形がないと仮定した場合の指向特性図である。
【図5】本発明の原理を説明するために示した、高電圧により駆動した場合の指向特性図である。
【図6】同じく、本発明の原理を説明するために示した、低電圧により駆動した場合の指向特性図である。
【図7】本発明の原理を説明するために、非線形現象を考慮した信号処理を施すことによって、サイドローブが低減されることを示した指向特性図である。
【図8】本発明の一実施の形態における、低電圧により駆動した場合の指向特性図である。
【図9】本発明の一実施の形態としての、非線形現象を考慮した信号処理を施すことによって、サイドローブが大幅に低減されることを示した指向特性図である。
【符号の説明】
1 送信部
2 超音波プローブ
3 基本波受信部
4 基本波信号処理部
5 高調波受信部
6 高調波信号処理部
7 検波部
8 DSC部
9 制御部
10 表示装置
Claims (10)
- 超音波を送受波する超音波トランスジューサと、この超音波トランスジューサを一定の電圧の駆動パルスおよび/または異なる電圧の駆動パルスで駆動して、同一方向へ超音波を送波させる駆動パルス発生手段と、前記超音波トランスジューサで受波されたエコー信号を受信する受信手段と、この受信手段で受信された受信信号を、前記一定の電圧の駆動パルスに基づく受信信号には当該受信信号に対して信号処理を施して所望の第1の情報を得るとともに、前記異なる電圧の駆動パルスに基づく少なくとも一方の受信信号に所定の係数を掛け、他の受信信号との差を求めて所望の第2の情報を得る信号処理手段と、この信号処理手段で得られた前記第1の情報に基づく出力および/または第2の情報に基づく出力を表示する表示手段と、前記受信手段で受信された受信信号を少なくとも1フレーム分一時保存するとともに保存した前記受信信号に基づく情報を前記表示手段に表示するフリーズ手段を有し、このフリーズ手段を動作させるフリーズ操作に応じて、前記駆動パルス発生手段から前記超音波トランスジューサへ供給する駆動パルスを、一定の電圧の駆動パルスから異なる電圧の駆動パルスに変更することを特徴とする超音波診断装置。
- 前記駆動パルス発生手段から前記超音波トランスジューサへ供給する異なる電圧の駆動パルスは、複数の低電圧の駆動パルスと単数の高電圧の駆動パルスとから成り、前記複数の低電圧の駆動パルスに基づき前記受信手段または基本波受信手段で受信された受信信号は加算されることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記駆動パルス発生手段から前記超音波トランスジューサへ供給する異なる電圧の駆動パルスの内、低電圧の駆動パルスのパルス幅は高電圧の駆動パルスのパルス幅よりも長いことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 前記高電圧の駆動パルスよりもパルス幅の長い低電圧の駆動パルスに基づき前記受信手段または基本波受信手段で受信された受信信号は、前記高電圧の駆動パルスに基づき前記受信手段または基本波受信手段で受信された受信信号のパルス幅と略等しくなるようにパルス圧縮されることを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
- 前記係数は、前記超音波トランスジューサを駆動する駆動パルスの電圧および/または前記超音波トランスジューサからの超音波の送受波方向の距離に応じて設定することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記係数は、前記超音波トランスジューサを有する超音波プローブの種類および/または超音波プローブから送波される超音波の集束条件に応じて設定することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記係数は、前記フリーズ手段に保存されている前記受信信号に対して調節できることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記信号処理手段または基本波信号処理手段による信号処理は、前記受信手段または基本波受信手段で受信された高周波の受信信号で行なわれることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記受信手段または基本波受信手段で受信された受信信号を少なくとも1フレーム分一時保存するとともに保存した前記受信信号に基づく情報を前記表示手段に表示するフリーズ手段を有し、フリーズした後で保存された受信信号に対して前記信号処理手段または基本波信号処理手段により信号処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記受信手段は、前記超音波トランスジューサで受波された基本波成分のエコー信号を受信することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項9のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
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