JP4580051B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり抵抗やユニフォミティーの悪化を最低限にとどめながらノイズ性能を向上した空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
空気入りラジアルタイヤでは、図6(A)、(B)に略示する如く、ベルト層aの外側に、バンドコードをタイヤ周方向に配列したバンド層bを設けたものが広く知られている。
【0003】
このバンド層bとしては、トレッド縁間で延在するフルバンドプライb1の2枚を重複させた構造(F+F構造という場合がある)、或いはトレッド縁側を小幅で覆うエッジバンドプライb2と前記フルバンドプライb1とを重複させた構造(E+F構造という場合がある)が一般的であり、何れの構造においても、図6(C)に示すように、半径方向で重複するバンドプライのバンドコードcを挟む半径方向の長さである重なり高さDは、タイヤ軸方向に略一定に形成されている。
【0004】
このようなバンド層bは、ベルト層aに対する拘束力を高めて高速耐久性能を向上させる一方、トレッド剛性の増加によって振動伝達特性が変化し、振動伝達率のピークをより高周波数側に移行させるなど車両の振動伝達率のピークとの間にズレを生じせしめロードノイズを低減させる等の利点を具えている。
【0005】
そして、前記バンド層の拘束力を増加させることによって、前記ロードノイズのいっそうの改善が図られることも知られている。
【0006】
しかしながら、トレッド部が接地する際、踏面部は円弧状から平坦状に変形する必要があり、従って、バンド層bの拘束力を高めていくと、その変形時のエネルギーロスが大きくなって転がり抵抗が増大する結果を招く。特に、加硫時のベルト層のストレッチを大きく設定し、バンドコード張力の増大によって拘束力を高める場合には、加硫時のベルト層の変形量自体も大きくなりユニフォミティーの悪化も併発してしまう。
【0007】
そこで本発明は、バンド層において、半径方向で重複するバンドプライのバンドコードを挟む半径方向の長さである重なり高さDを、タイヤ軸方向に変化させることを基本として、転がり抵抗やユニフォミティーの悪化を最低限にとどめながらロードノイズ性能を向上しうる空気入りラジアルタイヤの提供を目的としている。
【0008】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつカーカスの外側に配されるベルト層と、このベルト層の外側に配されるバンド層とを具えた空気入りラジアルタイヤであって、
前記バンド層は、タイヤ周方向に対して5度以下の角度で傾きかつ有機繊維コードからなるバンドコードが引き揃えられる第1のバンドプライ、及びこの第1のバンドプライと半径方向に重複する重なり域を形成する第2のバンドプライからなり、
前記第1、第2のバンドプライは、複数本のバンドコードを引き揃えた小巾の帯状プライが、その側縁を互いに突き合わせて螺旋状に巻回されることによって形成され、
前記第1のバンドプライは、トレッド縁間で延在する全幅のフルバンドプライにより形成し、かつ第2のバンドプライは、トレッド縁側を小幅で覆うエッジバンドプライにより形成するとともに、
前記重なり域において、半径方向で重複するバンドプライのバンドコードを挟む半径方向の長さである重なり高さDを、タイヤ軸方向に変化させ、
かつ前記重なり域は、該重なり域における重なり高さDの最大値DMと最小値Dmとの比DM/Dmが1.2以上かつ2.5以下であるとともに、
前記重なり域は、タイヤ軸方向内側から重なり域の外端まで前記重なり高さDが増大する外向き増加部を有することを特徴としている。
【0009】
また請求項2の発明では、前記各バンドプライは同径のバンドコードからなるとともに、前記重なり高さDのバンドコードの直径Sに対する比D/Sは、第2のベルトプライがエッジバンドプライであるときにはそのタイヤ軸方向内端において、フルバンドプライであるときにはタイヤ赤道において1.0以上かつ3.0以下であることを特徴としている。
【0010】
また請求項3記載の発明では、前記重なり域は、外向き増加部のみで形成されることを特徴としている。
【0011】
また請求項4記載の発明では、前記エッジバンドプライは、重なり域の内端及び外端に重なり高さDの最大値DMが、その中央に最小値Dmがそれぞれ形成されることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明の空気入りラジアルタイヤ1(以下タイヤ1という)が乗用車用タイヤとして形成され、かつ正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した標準状態での子午断面を示している。
【0013】
なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。また、前記「正規内圧」とは、前記規格体系における各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" であるが、タイヤが乗用車用である場合には一律に180(kPa)とする。
【0014】
図においてタイヤ1は、トレッド部2と、その両側からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の内方端に位置するビード部4とを具える。又タイヤ1には、前記ビード部4、4間を跨るトロイド状のカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の外側に配されるベルト層7と、このベルト層7のさらに外側に配されるバンド層9とを設けている。
【0015】
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して75゜〜90゜の角度で配列した1枚以上、本例では、1枚のカーカスプライ6Aから形成される。カーカスコードとしては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードが好適に採用されるが、タイヤのサイズやカテゴリー、或いは要求性等に応じてスチールコードも採用しうる。
【0016】
また前記カーカス6は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至る本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りで内側から外側に折り返されて係止される折返し部6bを有する。この本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外方に先細状にのびるビードエーペックスゴム8が配される。本例では、前記折返し部6bは、その半径方向外端のビードベースラインBLからの高さをビードエーペックスゴム8の半径方向外端の高さよりも大とした所謂ハイターンアップ構造をなし、前記ビードエーペックスゴム8と協同してビード部4を補強しかつタイヤ横剛性を高めている。なおカーカス6が複数枚のプライで形成される場合には、少なくとも1枚のプライをハイターンアップ構造とするのが好ましい。
【0017】
また前記ベルト層7は、高弾性のベルトコードをタイヤ周方向に対して10゜〜35゜の角度で傾斜配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成される。各ベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードがプライ間相互で交差するように向きを違えて配され、これによるコードのトライアングル構造によってベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して補強する。ベルトコードとしては、スチールコード或いは、スチールに近い強度を有する例えば芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維等の高弾性繊維コードが好適に使用される。
【0018】
又本例では、内のベルトプライ7Aを外のベルトプライ7Bに比べてやや巾広に形成し、ベルト外端に作用する応力集中を緩和している。
【0019】
次に、前記バンド層9は、タイヤ周方向に対して5度以下の角度で傾きかつ有機繊維コードからなるバンドコード10が引き揃えられる第1のバンドプライ9A、及びこの第1のバンドプライ9Aと半径方向に重複する重なり域Kを形成する第2のバンドプライ9Bから構成される。この第1、第2のバンドプライ9A、9Bは、夫々1本以上のバンドコード10を引き揃えた小巾の帯状プライ11(図2に示す)をタイヤ周方向に螺旋状に巻回することにより形成される。
【0020】
又第1のバンドプライ9Aは、トレッド縁TE、TE間に延在する全幅のフルバンドプライ12として形成され、第2のバンドプライ9Bは、トレッド縁TE側を小幅で覆うエッジバンドプライ13として形成される。
【0021】
なお本願においては、第1、第2のバンドプライ9A、9Bの何れが半径方向内方に配されるかは規制しておらず、従って図1、3には、第2のバンドプライ9Bがエッジバンドプライ13からなり、かつ第1のバンドプライ9Aの半径方向内側に配される場合を例示している。
【0022】
前記帯状プライ11は、図2に示す如く、1本以上、本例では、複数本のバンドコード10を引き揃えたコード並列体をトッピングゴムで被覆した小巾のリボン状をなす。このとき、帯状プライ11内のバンドコード10の本数は5〜15本程度が好ましく、少なすぎるとプライ形成効率が低下し、逆に多すぎると、バンドコードのコード角度が過大となって拘束力が減じバンド層9としての機能を充分発揮できなくなる。
【0023】
また帯状プライ11は、その側縁11eを互いに突き合わせて螺旋状に巻回することによって、バンドコード10が実質的に一定のピッチPで配列する第1、第2のバンドプライ9A、9Bを形成する。なおバンドコード10としては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードが使用できる。本例では、第1、第2のバンドプライ9A、9Bは、互いに同一のバンドコード10を用いた場合を例示しているが、便宜上、第1のバンドプライ9Aのバンドコードを10A、第2のバンドプライ9Bのバンドコードを10Bとして区別する場合がある。
【0024】
そして本願では、前記バンド層9は、図3に示すように、前記重なり域Kにおいて半径方向内外で重複するバンドプライ9A、9Bのバンドコード10A、10Bを挟む半径方向の長さである重なり高さDを、タイヤ軸方向に変化させたことに、大きな特徴を有している。
【0025】
この「重なり高さD」は、言い換えると、半径方向内側に配されるバンドプライ(本例では第2のバンドプライ9B)のバンドコード10Bの下縁を滑らかに継ぐ下縁線LLと、半径方向外側に配されるバンドプライ(本例では第1のバンドプライ9A)のバンドコード10Aの上縁を滑らかに継ぐ上縁線LUとの間の半径方向の距離と実質的に一致している。そして、従来タイヤにおいては、この重なり高さDが実質的に一定であったのに対して、本願では、重なり高さDをタイヤ軸方向に変化させている。
【0026】
これによって、転がり抵抗の悪化を最低限に抑えながらロードノイズ性能の向上効果を発揮しうるのである。
【0027】
その理由は、特に明白ではないが、前記重なり高さDの変化によってバンド層9の拘束力に強い箇所と弱い箇所とが形成され、例えば転がり抵抗に対しては、接地の際にこの弱い箇所の踏面部が相対的に大きく変形し、変形時のエネルギーロスが低く抑えられるためと推測される。又ロードノイズに対しては、拘束力の強い箇所によってトレッド部における振動伝達特性が変化し、その振動伝達率のピークを、車両の振動伝達率のピークから離れる高周波数側に移行させるためと推測される。
【0028】
即ち、転がり抵抗およびロードノイズ性能に対し、拘束力の強い箇所と弱い箇所との寄与率が相違し、各箇所の夫々の利点が互いに有効に機能する結果、前記転がり抵抗の悪化を最低限に抑えながらロードノイズ性能が向上されるものと推察される。
【0029】
そのために、前記重なり域Kにおいて、前記重なり高さDの最大値DMと最小値Dmとの比DM/Dmを、1.2以上かつ2.5以下とする。この比DM/Dmが1.2未満では、重なり高さDの変化、即ち拘束力の変化が過小となって転がり抵抗の低減効果、或いはロードノイズ性能の向上効果が充分に達成されなくなる。又2.5を越えると、転がり抵抗が増加傾向となる他、特にユニフォミティーの悪化を急激に招くこととなる。
【0030】
又前記重なり域Kとしては、タイヤ軸方向内側からこの重なり域Kの外端まで前記重なり高さDが増大する外向き増加部KAを有する。特に重なり域Kを外向き増加部KAのみで形成するのがよい。即ち本例の如く、第2のバンドプライ9Bがエッジバンドプライ13の場合には、重なり域Kの内端から外端に向かって前記重なり高さDを増大させ、又図4に示す如く、第2のバンドプライ9Bがフルバンドプライ12の場合には、重なり域Kの中央であるタイヤ赤道Cから外端に向かって前記重なり高さDを増大させるのが良い。
【0031】
これにより、接地/非接地での変形量が最も大となる外端側で拘束力が弱まり、しかも拘束力の分布勾配がなだらかとなるため、転がり抵抗の低減効果がより有効に発揮されるとともに、ユニフォミティーにも効果的である。
【0032】
その際、ロードノイズの低減効果を確保するために、前記重なり高さDのバンドコードの直径Sに対する比D/Sを、第2のバンドプライ9Bがエッジバンドプライ13であるとき(図3の場合)にはその内端において、フルバンドプライ12であるとき(図4の場合)にはタイヤ赤道において、夫々1.0以上かつ3.0以下に規制することが好ましい。この比D/Sが3.0以下であるならば、バンド層9の拘束力が十分に得られロードノイズの低減効果を保持できる。なお前記比D/Sが3.0から小さくなるにつれ、転がり抵抗やユニフォミティーの悪化を最小限にとどめながら、D/Sの理論上の最小値となる1.0までの範囲でロードノイズ性能を向上できる。
【0033】
なおこの比D/Sを2.0以下に設定するためには、上のバンドコード10Aの半径方向内縁点が、下のバンドコード10Bの外縁点を越えて半径方向内方に落ち込ますことが必要であり、そのためには、前記バンドコード10Aのタイヤ周方向に対する向き及び傾斜角度を、バンドコード10Bのタイヤ周方向に対する向き及び傾斜角度と整一させることが必要である。さらに、バンドコード10A、10A間のピッチPAと、バンドコード10B、10B間のピッチPBとは、本例の如く互いに等しいか、或いは一方が他方の整数(N)倍であること、すなわち、PA=PB、又はPA=N×PB、又はPB=N×PAであることが必要である。
【0034】
次に、前記重なり高さDがタイヤ軸方向で変化するバンド層9を得る手段として、加硫成型する際の加硫金型内でのタイヤのストレッチの利用がある。
【0035】
具体的には、通常3%程度であった加硫成型時のストレッチを、例えば5%以上と従来よりも大きく設定するか、或いはバンドコードとして従来よりも低伸度のコード材料を使用する。
【0036】
ここで一般に、タイヤプロファイルは凸円弧状をなし、かつベルト層7及びバンド層9を含むトレッドリングは成形ドラム上で円筒状に形成されるため、加硫成型時における膨張量は、トレッド縁側に比べタイヤ赤道側が相対的に大となっている。従って、前述の如くストレッチを大きく設定するか、或いは低伸度のバンドコードを使用することによって、バンドコード10におけるトレッド縁側の張力とタイヤ赤道側の張力との差を大きく確保できる。そして、この張力の差を利用し、下のバンドコード10Bに対する上のバンドコード10Aの半径方向内方への相対移動距離を変化せしめ、前記重なり高さDをタイヤ軸方向に変化させうるのである。
【0037】
この時、重なり域Kの内端側では張力が高くなるなど拘束力がさらに強くなり、逆に外端側では張力が弱いため拘束力がさらに弱くなるため、本願の構造とマッチングし、転がり抵抗やノイズ性能により好ましい。
【0038】
なお前記したストレッチを大きく設定する手段では、加硫成型時にベルト層7等の変形が大きくなり、かつ部分的なゴム流れも大きくなることから、タイヤのユニフォミティー(均一性)の低下を招きやすく、例えば振動特性に不利となる。従って、低伸度のバンドコード10を使用する手段が好ましく採用できる。すなわち、バンドコード10として、0.0236g/dtexの荷重を負荷したときの伸び率が10%以下のものを用いる。これにより、外向き増加部KAの形成を可能としながら、3%程度のストレッチにおいても、バンド層9による必要な拘束力を確保できる。
【0039】
なお従来のナイロン製バンドコードの伸び率は14%程度である。又前記伸び率は、JISL1017に準拠して測定した値である。
【0040】
又前記ベルト層7のベルトキャンバー量BCとタイヤ断面高さHとの比BC/Hが過大なタイヤ、すなわち曲率半径が小さなタイヤでは、タイヤ赤道側とトレッド縁側とでストレッチの差が大きくなりすぎ、製造を難しくするとともに、ユニフォミティーを著しく損ねるという問題がある。
【0041】
そのために、前記比BC/Hを、次式(1)の範囲に規制することが必要である。
BC/H ≦ 0.24−A×0.23 −−−(1)
式中、Aはタイヤの偏平率であり偏平率60%の時、A=0.60となる。又前記ベルトキャンバー量BCは、図1の如く、ベルト層7の内面におけるタイヤ赤道点とベルト外端点との間の半径方向の距離を意味する。
【0042】
次に、図5(A)、(B)に、バンド層9の他の実施例を示す。
図5(A)では、フルバンドプライ12である第1のバンドプライ9Aが半径方向内側に、エッジバンドプライ13である第2のバンドプライ9Bがその外側に配されるものを例示する。又本例では、その重なり域Kの内端及び外端に重なり高さDの最大値DMが、又中央に最小値Dmが夫々形成されている。
【0043】
図5(B)では、第1、第2のバンドプライ9A、9Bが夫々フルバンドプライ12であるものを例示しており、本例では、その重なり域Kのタイヤ赤道C上及び外端に重なり高さDの最大値DMが、その中央に最小値Dmが夫々形成されている。
【0044】
【実施例】
タイヤサイズが195/60R15でありかつ図1に示す構造のタイヤを、表1〜3の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤの転がり性能、ロードノイズ性能、及びユニフォミティーをテストし比較した。
【0045】
テスト方法は次の通り。
(1) 転がり性能:
転がり抵抗試験機を用い、試供タイヤを、リム(15×6.5JJ)、内圧(230kPa)、荷重(4.0kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1(従来タイヤ1)を100とした時の指数で表示した。指数は大きい方が良好である。
【0046】
(2)ロードノイズ性能:
前記試供タイヤを、リム(15×6.5JJ)、内圧(210kPa)にて乗用車用(1600cc、FF車)の全輪に装着し、スムース路面を速度50km/hにて走行させ、ドライバーの官能評価により5点法で評価した。数値が大きいほど騒音レベルが小さく良好である。
【0047】
(3) ユニフォミティー:
JASO C607「自動車用タイヤのユニフオミテイ試験方法」に準拠し、リム(15×6.5JJ)、内圧(200kPa)、荷重(4.0kN)、回転数(60rpm)の条件にてRFVを測定し、そのときのRFV一次の値を、比較例1(従来タイヤ1)を100とした時の指数で表示した。指数は大きい方が良好である。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
比DM/Dmが1.2を越えると実施例1、参考例1にあるようにロードノイズ性能が向上し始め、2.5までは実施例3、5、参考例2及び4にあるように、転がり性能およびユニフォミティーを緩やかに悪化させながらもさらにロードノイズ性能が向上するが、2.5を越えると、実施例7、参考例8にあるように、特にユニフォミティーの悪化が急激に目立ち始める。
【0052】
実施例9、参考例5と実施例1、参考例1とを比較するように、実施例9、参考例5は、重なり域Kが外向き増加部KAのみで形成されているため、ロードノイズ性能及び転がり性能をさらに向上できる。
【0053】
その際、実施例9、11参考例5及び6にあるように、重なり域Kの内端或いはタイヤ赤道における比D/Sが3.0以下であれば、ロードノイズ性能を向上でき、さらに比D/Sが小さくなるにつれて転がり性能およびユニフォミティーの悪化を最小限にとどめながら1.0までの範囲で実施例13、参考例7にあるように、ロードノイズ性能が向上する。
【0054】
特に、低伸度のバンドコードを用いる場合には、実施例15、参考例8のように、他性能を犠牲にすることなく、ロードノイズ性能を向上できる。又実施例9、17、参考例5及び9の如く、バンドコードの伸びは10%以下が好ましい。又ユニフォミティーの観点から、実施例9、19、21、参考例5,10及び11の如くベルトキャンバー量比BC/Hは、前記式(1)以下が好ましいのがわかる。
【0055】
【発明の効果】
本発明の空気入りラジアルタイヤは叙上の如く構成しているため、転がり抵抗やユニフォミティーの悪化を最低限にとどめながらロードノイズ性能を向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】バンド層に用いる帯状プライを例示する斜視図である。
【図3】バンド層の構造の一実施例を誇張してを示す断面図である。
【図4】バンド層の構造の他の実施例を誇張してを示す断面図である。
【図5】(A)、(B)はバンド層の構造のさらに他の実施例を誇張してを示す断面図である。
【図6】(A)、(B)は従来のバンド層の構造を説明する略断面図、(C)はそのときのコード配列を略示する断面図である。
【符号の説明】
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
9 バンド層
9A 第1のバンドプライ
9B 第2のバンドプライ
10、10A、10B バンドコード
12 フルバンドプライ
13 エッジバンドプライ
K 重なり域
KA 外向き増加部
Claims (4)
- トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつカーカスの外側に配されるベルト層と、このベルト層の外側に配されるバンド層とを具えた空気入りラジアルタイヤであって、
前記バンド層は、タイヤ周方向に対して5度以下の角度で傾きかつ有機繊維コードからなるバンドコードが引き揃えられる第1のバンドプライ、及びこの第1のバンドプライと半径方向に重複する重なり域を形成する第2のバンドプライからなり、
前記第1、第2のバンドプライは、複数本のバンドコードを引き揃えた小巾の帯状プライが、その側縁を互いに突き合わせて螺旋状に巻回されることによって形成され、
前記第1のバンドプライは、トレッド縁間で延在する全幅のフルバンドプライにより形成し、かつ第2のバンドプライは、トレッド縁側を小幅で覆うエッジバンドプライにより形成するとともに、
前記重なり域において、半径方向で重複するバンドプライのバンドコードを挟む半径方向の長さである重なり高さDを、タイヤ軸方向に変化させ、
かつ前記重なり域は、該重なり域における重なり高さDの最大値DMと最小値Dmとの比DM/Dmが1.2以上かつ2.5以下であるとともに、
前記重なり域は、タイヤ軸方向内側から重なり域の外端まで前記重なり高さDが増大する外向き増加部を有することを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。 - 前記各バンドプライは同径のバンドコードからなるとともに、前記重なり高さDのバンドコードの直径Sに対する比D/Sは、第2のベルトプライがエッジバンドプライであるときにはそのタイヤ軸方向内端において、フルバンドプライであるときにはタイヤ赤道において1.0以上かつ3.0以下であることを特徴とする請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記重なり域は、前記外向き増加部のみで形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記エッジバンドプライは、前記重なり域の内端及び外端に重なり高さDの最大値DMが、その中央に最小値Dmがそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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