以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を表すものである。このスイッチング電源装置は、図示しない高圧バッテリから供給される高圧の入力直流電圧Vinを、より低い出力直流電圧Voutに変換して、図示しない低圧バッテリに供給するDC−DCコンバータとして機能するものであり、後述するようにセンタタップ型カソードコモン接続のスイッチング電源装置である。
このスイッチング電源装置は、1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとの間に設けられたインバータ回路1および平滑コンデンサ2と、1次側巻線31および2次側巻線32,33を有するトランス3と、インバータ回路1と1次側巻線31との間に設けられた共振用インダクタ4とを備えている。1次側高圧ラインL1Hの入力端子T1と1次側低圧ラインL1Lの入力端子T2との間には、図示しない高圧バッテリから出力される入力直流電圧Vinが印加されるようになっている。このスイッチング電源装置はまた、トランス3の2次側に設けられた整流回路5と、この整流回路5に接続されたスナバ回路6と、このスナバ回路6に接続された平滑回路7とを備えている。
インバータ回路1は、高圧バッテリから出力される入力直流電圧Vinをほぼ矩形波状の単相交流電圧に変換する単相インバータ回路であり、本発明における「スイッチング回路」の一具体例に対応する。このインバータ回路1は、図示しない制御回路から供給されるスイッチング信号(図示せず)によってそれぞれ駆動される4つのスイッチング素子S1,S2,S3,S4をフルブリッジ接続してなるフルブリッジ型のスイッチング回路である。スイッチング素子としては、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor)などのスイッチ素子が用いられる。
スイッチング素子S1はトランス3の1次側巻線31の一端と1次側高圧ラインL1Hとの間に設けられ、スイッチング素子S2は1次側巻線31の他端と1次側低圧ラインL1Lとの間に設けられている。スイッチング素子S3は1次側巻線31の他端と1次側高圧ラインL1Hとの間に設けられ、スイッチング素子S4は1次側巻線31の一端と1次側低圧ラインL1Lとの間に設けられている。上記した共振用インダクタ4は、スイッチング素子S1,S4の接続点と1次側巻線31の一端との間に接続されている。
インバータ回路1では、スイッチング素子S1,S2がオンすることにより、1次側高圧ラインL1Hから順にスイッチング素子S1、1次側巻線31およびスイッチング素子S2を通って1次側低圧ラインL1Lに至る第1の電流経路に電流が流れる一方、スイッチング素子S3,S4がオンすることにより、1次側高圧ラインL1Hから順にスイッチング素子S3、1次側巻線31、共振用インダクタ4およびスイッチング素子S4を通って1次側低圧ラインL1Lに至る第2の電流経路に電流が流れるようになっている。
トランス3の一対の2次側巻線32,33はセンタタップCで互いに接続され、このセンタタップCが接地ラインLGを介して出力端子T4に導かれている。つまり、このスイッチング電源装置はセンタタップ型のものである。このトランス3は、インバータ回路1によって変換された交流電圧を降圧し、一対の2次側巻線32,33の各端部A,Bから、互いに180度位相が異なる交流電圧VO1,VO2を出力するようになっている。なお、この場合の降圧の度合いは、1次側巻線31と2次側巻線32,33との巻数比によって定まる。
なお、共振用インダクタ4は、コイル部品を実際に配置してもよいが、これに代えて(これと共に)、トランス3のリーケージインダクタンス(図示せず)や配線などを含めた直列インダクタンスを利用して構成してもよい。この共振用インダクタ4は、後述するように(図3)、トランス3を介して2次側に等価なインダクタンス成分[L1/(n/2)2]を生じさせ、この等価なインダクタンス成分とスナバ回路6のコンデンサC61とが協働してLC直列共振回路を構成することになる。
整流回路5は、一対のダイオード51,52からなる単相全波整流型のものである。ダイオード51のアノードは2次側巻線32の一端Aに接続され、ダイオード52のアノードは2次側巻線33の一端Bに接続されている。ダイオード51,52の各カソード同士は、接続点Dにおいて互いに接続されると共に、出力ラインLOに接続されている。つまり、この整流回路5はカソードコモン接続の構造を有しており、トランス3の交流出力電圧VO1,VO2の各半波期間をそれぞれダイオード51,52によって個別に整流して直流電圧を得るようになっている。
スナバ回路6は、コンデンサC61〜C63と、ダイオードD61〜D63と、回生用インダクタL61と、緩衝用のインダクタL62とを含んで構成される。具体的には、ダイオードD61のアノードは出力ラインLOに接続され、コンデンサC61はダイオードD61のカソード(接続点E)と接地ラインLGとの間に接続されている。ダイオードD62は、そのアノードが接続点Eに接続され、そのカソード(接続点G)がインダクタL62を介してコンデンサC62の一端に接続されると共にダイオードD63のアノードに接続されている。コンデンサC62の他端は出力ラインLOに接続され、コンデンサC63はダイオードD63のカソード(接続点F)と接地ラインLGとの間に接続され、インダクタL61は、接続点Fと出力ラインLOとの間に接続されている。
コンデンサC61は、1次側に設けられた共振用インダクタ4と協働してLC直列共振回路を構成するものであり、本発明における「第1のコンデンサ」の一具体例に対応する。また、回生用インダクタL61は、後述するように電荷蓄積用のコンデンサC63に蓄えられた電気エネルギー(電荷)を放出して利用に供し得る状態とするためのものであり、本発明における「第1のインダクタ」の一具体例に対応する。このような構成によりスナバ回路6は、インバータ回路1におけるスイッチング動作に伴って生ずるサージ電圧を抑止するためのサージ電圧抑止回路として機能するようになっている。なお、ダイオードD61は、本発明における「第1のダイオード」の一具体例に対応する。
また、ダイオードD62,D63はいずれも、後述するように共振用のコンデンサC61に蓄えられた電荷を電荷蓄積用のコンデンサC62,C63へ移動させると共に、電流が逆流するのを防止するためのものであり、それぞれ本発明における「第2のダイオード」および「第3のダイオード」の一具体例に対応する。電荷蓄積用のコンデンサC62,C63はそれぞれ、本発明における「第2のコンデンサ」および「第3のコンデンサ」の一具体例に対応する。また、緩衝用のインダクタL62は、後述するように電荷蓄積用のコンデンサC62,C63とそれぞれ協働して2つのLC直列共振回路を構成するものであり、これらの共振作用を利用して、上記のように共振用のインダクタC61に蓄えられた電荷を、電荷蓄積用のコンデンサC62,C63へ移動させるためのものである。このような構成によりスナバ回路6はまた、後述するように整流回路5のダイオード51,52に加わる高周波のリンギングを抑制するためのリンギング抑制回路としても機能するようになっている。なお、インダクタL62は、本発明における「第2のインダクタ」の一具体例に対応する。
平滑回路7は、チョークコイル71と平滑コンデンサ72とを含んで構成されている。チョークコイル71は、出力ラインLOに挿入配置されており、その一端はスナバ回路6の回生用インダクタL61の一端(出力ラインLO側の端点)に接続され、その他端は出力ラインLOの出力端子T3に接続されている。平滑コンデンサ72は、出力ラインLO(具体的には、チョークコイル71の他端)と接地ラインLGとの間に接続されている。接地ラインLGの端部には、出力端子T4が設けられている。このような構成により平滑回路7では、整流回路5で整流された直流電圧を平滑化して出力直流電圧Voutを生成し、これを出力端子T3,T4から低圧バッテリ(図示せず)に給電するようになっている。
次に、以上のような構成のスイッチング電源装置の動作を説明する。まず、スイッチング電源装置の全体動作を説明する。
インバータ回路1は、入力端子T1,T2から供給される入力直流電圧Vinをスイッチングして交流電圧を作り出し、これをトランス3の1次側巻線31に供給する。トランス3の2次側巻線32,33からは、変圧(ここでは、降圧)された交流電圧VO1,VO2が取り出される。
整流回路5は、この交流電圧をダイオード51,52によって整流する。これにより、センタタップC(接地ラインLG)とダイオード51,52の接続点Dとの間に整流出力が発生する。
平滑回路7は、センタタップC(接地ラインLG)とダイオード51,52の接続点Dとの間に生じる整流出力を平滑化して、出力端子T3,T4から出力直流電圧Voutを出力する。この出力直流電圧Voutは図示しない低圧バッテリに給電され、その充電に供される。
次に、図2〜図10を参照して、本発明の特徴であるスナバ回路6の動作について説明する。なお、後述する図4は、コンデンサC61の端子電圧Vcの時間変化をタイミング図で表したものであり、図中の電圧Vctは、端子電圧Vcの収束値を示している。
図2に示したように、インバータ回路1のスイッチング素子S1,S2がオンになると、スイッチング素子S1からスイッチング素子S2の方向に電流Ic10が流れ、トランス3の2次側巻線32,33に現れる電圧VO1,VO2がダイオード52に対して逆方向(逆電圧Vd)となり、ダイオード51およびスナバ回路6のダイオードD61に対して順方向となる。このため、2次側巻線32からダイオード51を通って出力ラインLOに電流Ixが流れる。
このとき、ダイオード51、ダイオードD61、コンデンサC61およびトランス3の2次側巻線32を順に通る充電ループIc1が形成され、コンデンサC61への充電(エネルギーの蓄積)が行われる。一方、ダイオード52には逆電圧Vd(サージ電圧)が印加される。この充電ループIc1において、1次側の共振インダクタ4によるインダクタ成分とコンデンサC61とによりLC直列共振回路が構成されるため、コンデンサC61の端子電圧Vcは、LC共振電圧に従って上昇する(図4のタイミングt0〜t1の区間T1)。
図3は、上記したLC直列共振回路の等価回路を表すものである。等価回路は、共振用インダクタ4によって2次側に生ずるインダクタンス成分[L1/(n/2)2]と、コンデンサC61の容量[C]と、電源電圧[Vin/(n/2)]とにより構成される。この等価回路によると、コンデンサC61の端子間電圧Vcは、次の式(1)で表される。
Vc=2×Vin×(1−cosωt)/n …(1)
但し、ω=1/(L1×C/(n/2)2)1/2
ここで、L1は共振用インダクタ4のインダクタンス値であり、CはコンデンサC61の容量である。nは、2次側巻線33の巻数N2に対する1次側巻線31の巻数N1の巻数比(N1/N2)である。なお、2次側巻線33の巻数N3に対する1次側巻線31の巻数N1の巻数比(N1/N3)も同様にnであるとする。
充電ループIc1において、ダイオードD61の電圧降下分を無視すれば、ダイオード52に印加される逆電圧Vdは、コンデンサC61の端子電圧Vcとほぼ等しくなる。コンデンサC61の端子電圧Vcは、上記したように、共振用インダクタ4に起因するインダクタンス成分とコンデンサC61とにより定まるLC共振電圧によって上昇する。このため、ダイオード52に印加される逆電圧Vdの最大値(ピーク値)Vdmは、上記の式(1)から明らかなように、次の式(2)で示される値になる。
Vdm=2×Vin×(1−cosπ)/n
=4×Vin/n …(2)
このように、ダイオード52に印加される逆電圧VdをLC共振作用によって式(2)の値以下に抑制できるので、ノイズを少なく(サージ電圧を低く)することができる。また、ダイオード52に印加される逆電圧Vdを抑制できるので、ダイオード52として、順方向電圧降下が比較的小さいものを使用することが可能になり、この結果、ダイオード52による損失を低減し、エネルギー消費の少ない高効率のスイッチング電源装置を得ることができる。
ここで図5および図6を参照して、このスナバ回路6の特徴的な作用について説明する。図5は、コンデンサC61の端子電圧Vcが逆電圧Vdの最大値であるVdmとなった後の状態(図4のタイミングt1〜t2の区間T2)の動作を表しており、図6は比較例として、従来のスイッチング電源装置(例えば、上記特許文献2の図13)における図5に対応する状態の動作を表している。なお、図6に示した比較例に係るスイッチング電源装置は、図1のスナバ回路6に代えて、コンデンサC61、ダイオードD61および回生用インダクタL61からなるスナバ回路106を備えたものである。具体的には、コンデンサC61およびダイオードD61が出力ラインLOと接地ラインLGとの間に直列に接続され、コンデンサC61の一端が接地ラインLGに接続され、他端がダイオードD61のカソードに接続点Eで接続されている。また、ダイオードD61のアノードが出力ラインLOに接続され、回生用インダクタL61が接続点Eと出力ラインLOとの間に、ダイオードD61と並列に接続されている。
図5に示した本実施の形態のスイッチング電源装置では、ダイオード52に印加される逆電圧Vdが上記の式(2)で示されるピーク値(4×Vin/n)になると、ダイオードD61が非導通となることで、コンデンサC61の端子電圧Vcがピークホールドされる(図4のタイミングt1)。すると、接続点Dの電位が下降しようとすることから、コンデンサC61に蓄積された電荷が出力ラインLO側(図示しない低圧バッテリ側)に放電されようとし、ダイオードD62が導通する。したがって、前述のようにスナバ回路6のコンデンサC62とインダクタL62、およびコンデンサC63とインダクタL63とがそれぞれ協働して2つのLC直列共振回路が構成されることから、コンデンサC61に蓄積された電荷が、それぞれ電荷移動ループIp2,Ip3によってコンデンサC62,C63へと移動し、蓄積される。一方、コンデンサC61では、蓄積された電荷が放出されることで端子電圧Vcが下降することから、ダイオードD61が再び導通し、コンデンサC1と共振用インダクタ4とのLC共振作用により、再び電荷が供給される。このようにしてコンデンサC61では、充電ループIc1によって蓄積された電荷が電荷移動ループIp2,Ip3によってコンデンサC62,C63へと移動し放出されても、ダイオードD61が再び導通することで充電ループIc1が形成され、コンデンサC61の端子電圧Vcが、コンデンサC1と共振用インダクタ4とがなすLC共振電圧に従って緩やかに下降することから、ダイオード52に加わる逆電圧Vdの降下量が抑えられる。
なお、その後は図4に示したように、タイミングt1〜t2,t3〜t4,t5〜t6,…からなる区間T2と、t0〜t1,t2〜t3,t4〜t5,…からなる区間T1とが繰り返されることで、ダイオード52に印加される逆電圧Vdにおいて、前述した高周波のリンギングが発生することとなる。
一方、図6に示した比較例に係るスイッチング電源装置では、本実施の形態のスイッチング電源装置と同様にして、充電ループIc1によってコンデンサC61へ電荷が蓄積され、その端子電圧Vcがピークホールドされる(図4のタイミングt1)と、ダイオードD61は非導通となる。このとき、共振用インダクタ4とコンデンサC61とがなすLC共振電圧は最大値となっていることから、電流Ic10,Ic1は流れる方向が切り換わる零点となっており、電流Ic10,Ic1の値が減少に転じようとしている。一方、チョークコイル71は、一方向性放電路Idにより電流を流す電流源として動作している。ここで本来のLC共振であれば、コンデンサC61の端子電圧Vcが下降しながら電流Ic10,Ic1が減少することで、LC共振が継続されることとなる。しかしながらこのスナバ回路106では、ダイオードD61によって電流Ic1が逆方向に流れることが阻止されることから、コンデンサC61への電流供給がなされなくなる。このようにして、ダイオードD61によりLC共振の継続が阻止されることから、微小な容量であるダイオード52の接合容量への電荷が供給されなくなり、それまで蓄積されていた電荷は、一方向性放電路Idを介して出力ラインLO側へ放電される。よって、接続点Dの電位は急速に下降することとなる。
このようにして、比較例に係る従来のスイッチング電源装置では、接続点Dの電位が急速に下降することから、図4の符号G2で示したように高周波のリンギングが大きくなる一方、本実施の形態のスイッチング電源装置では、ダイオード52に加わる逆電圧Vdの降下量が抑えられ小さくなることから、図4の符号G1で示したように、比較例と比べて高周波のリンギングが抑制されることとなる。よって、熱抵抗の高い部位(例えば、トランス3や共振用インダクタ4)での発熱を抑制することができ、スイッチング電源装置全体を大型化することなく十分な放熱を確保することができる。
なお、このような本実施の形態のスイッチング電源装置では、コンデンサC62およびコンデンサC63の合成容量とインダクタL62とから構成されるLC直列共振回路の共振周波数が、コンデンサC61と共振用インダクタ4とから構成されるLC直列共振回路の共振周波数の2倍以下であるように構成することが好ましい。このように構成した場合には、コンデンサC61と共振用インダクタ4とがなすLC共振、およびコンデンサC62およびコンデンサC63の合成容量とインダクタL62とがなすLC共振において、電流Ic1および電流Ip2,Ip3がそれぞれ、ダイオードD61またはダイオードD62によって阻止されにくくなり、それぞれのLC共振が互いに継続しやすくなることから、ダイオード52に加わる逆電圧Vdの降下量がより抑えられ、高周波のリンギングがより小さなものなる。よってこの場合には、熱抵抗の高い部位での発熱をより抑制することが可能となる。なお、このことは以降の実施の形態においても同様である。
スナバ回路6全体の動作説明に戻り、次に図7に示したように、スイッチング素子S1,S2がオンからオフになると(図4のタイミングt7〜t8の区間T3)、トランス3の2次側巻線33に現れる電圧[−VO2]は、ダイオード52に対して順方向となる。このため、2次側巻線33からダイオード52を通って出力ラインLOに電流Ixが流れる。このとき、回生用インダクタL61は、コンデンサC62,C63に対する一方向性放電路Id2,Id3として機能し、これらコンデンサC62,C63に蓄積されたコンデンサC61からの移動電荷はそれぞれ、一方向性放電路Id2,Id3を介して出力ラインLO側(図示しない低圧バッテリ側)に回生され、利用に供される。この結果、図4に示したようにダイオード52に加わる逆電圧Vdが0Vにリセットされると共に、スイッチング電源装置のエネルギー効率が向上する。
次に、図8に示したように、スイッチング素子S3,S4がオフからオンになると(再び、図4のタイミングt0〜t1の区間T1に対応する)、スイッチング素子S3からスイッチング素子S4の方向に電流Ic20が流れ、トランス3の2次側巻線32,33に現れる電圧[−VO1]、[−VO2]がダイオード52に対して順方向になる一方、ダイオード51に対して逆方向(逆電圧Vd)となる。このため、2次側巻線33からダイオード52を通って出力ラインLOに電流Ixが流れる。
このとき、ダイオード52、ダイオードD61、およびトランス3の2次側巻線33の順に通る充電ループIc2が形成され、コンデンサC61への充電が行われる。一方、ダイオード51には逆電圧Vdが印加されるが、充電ループIc2において1次側の共振用インダクタ4によるインダクタンス成分とコンデンサC61とによりLC直列共振回路が構成されるため、ダイオード51に印加される逆電圧Vdは上記の式(2)の値以下に抑制される。
また、ダイオード51に加わる逆電圧Vdが上記の式(2)で示されるピーク値になると、コンデンサC61の端子電圧Vcがピークホールドされ、ダイオードD61は非導通となる。このときも図9に示したように(再び、図4のタイミングt1〜t2の区間T2に対応する)、充電ループIc2によってコンデンサC61に蓄積された電荷が、前述のように電荷移動ループIp2,Ip3によってコンデンサC62,C63へと移動し、放出される。したがって、ダイオードD61が再び導通することで充電ループIc2が形成され、コンデンサC61の端子電圧VcがコンデンサC1と共振用インダクタ4とがなすLC共振電圧に従って緩やかに下降することから、ダイオード51に加わる逆電圧Vdの降下量が抑えられ、熱抵抗の高い部位での発熱も抑制される。
最後に、図10に示したように、スイッチング素子S3,S4がオンからオフになると(再び、図4のタイミングt7〜t8の区間T3に対応する)、トランス3の2次側巻線32に現れる電圧[−VO1]はダイオード51に対して順方向となる。このため、2次側巻線32からダイオード51を通って出力ラインLOに電流Ixが流れる。このときも、回生用インダクタL61はコンデンサC62,C63に対する一方向性放電路Id2,Id3として機能することで、これらコンデンサC62,C63に蓄積されたコンデンサC61からの移動電荷がそれぞれ、一方向性放電路Id2,Id3を介して出力ラインLO側(図示しない低圧バッテリ側)に回生され、利用に供される。
図11は、図1の整流回路5(ダイオード51,52)における逆電圧Vdの実測波形を表すものである。この図において、(A)は従来のスイッチング電源装置(例えば、図6に示した構成のもの)における逆電圧Vdの電圧波形を示しており、(B)は、(A)における符号W1で示した領域の一部を拡大して示したものである。また、(C)は本実施の形態のスイッチング電源装置における逆電圧Vdの電圧波形を示しており、(D)は、(C)における符号W2で示した領域の一部を拡大して示したものである。
このように、従来のスイッチング電源装置(図11(A),(B))においては、符号W1で示したように、振幅の大きい高周波のリンギングが出現している一方、本実施の形態のスイッチング電源装置(図11(C),(D))においては、符号W2で示したように、従来のスイッチング電源装置と比べて、高周波のリンギングの振幅が抑制されていることが分かる。よって、本実施の形態のスナバ回路6を設けることで、整流回路5(ダイオード51,52)における逆電圧(サージ電圧)Vdにおいて、実際に高周波のリンギングが抑制されることが分かる。
以上のように、本実施の形態では、スナバ回路6のコンデンサC61と共振用インダクタ4とによりLC直列共振を起こさせるようにしたので、整流回路5のダイオード51,52に加わるサージ電圧を抑止することができ、消費電力を低減することができる。
また、スナバ回路6においてこのような共振用のコンデンサC61に加え、電荷蓄積用のコンデンサC62,C63を設け、コンデンサC61に蓄えられた電荷をこれらコンデンサC62,C63へ移動させると共に、コンデンサC61から放出された電荷をLC共振作用により補充するようにしたので、整流回路5のダイオード51,52に加わる高周波のリンギングを抑制して熱抵抗の高い部位(例えば、トランス3や共振用インダクタ4)での発熱を抑制することができ、スイッチング電源装置全体を大型化することなく十分な放熱を確保することができる。よって、放熱するための部材を小さくしても十分な放熱を確保することができ、装置全体を小型化することも可能となる。また、放熱部材の大きさをそのまま保った場合には、装置全体がより高温まで耐え得るようになることから、装置の動作温度範囲を拡大することも可能となる。さらに、整流回路5のダイオード51,52に加わる高周波のリンギングを抑制することができることから、装置内で発生するノイズを低減することも可能となる。
なお、本実施の形態では、図1に示したようなセンタタップ型カソードコモン接続のスイッチング電源装置について説明してきたが、例えば図12に示したように、本実施の形態のスナバ回路6を、センタタップ型アノードコモン接続のスイッチング電源装置に対して適用することも可能である。このように構成した場合でも、本実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図13は、本実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を表すものである。この図において、図1に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。このスイッチング電源装置は、上記第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置(図1)において、スナバ回路6に代えてスナバ回路16を備えたものである。その他の部分の構成は、図1の場合と同様である。
スナバ回路16は、第1の実施の形態におけるスナバ回路6と同様に、コンデンサC61〜C63と、ダイオードD61〜D63と、回生用インダクタL61と、緩衝用のインダクタL62とを含んで構成される。ただしそれらの接続関係がスナバ回路6のものとは異なっており、具体的には、ダイオードD61のカソードは接地ラインLGに接続され、コンデンサC61はダイオードD61のアノード(接続点E)と出力ラインLOとの間に接続されている。ダイオードD62は、そのカソードが接続点Eに接続され、そのアノード(接続点G)がインダクタL62を介してコンデンサC62の一端に接続されると共にダイオードD63のカソードに接続されている。コンデンサC62の他端は接地ラインLGに接続され、コンデンサC63はダイオードD63のアノード(接続点F)と接地ラインLGとの間に接続され、インダクタL61は、接続点Fと出力ラインLOとの間に接続されている。なお、このスナバ回路16に含まれるコンデンサC61〜C63、ダイオードD61〜D63、回生用インダクタL61および緩衝用のインダクタL62がなす機能については、第1の実施の形態におけるスナバ回路6のものと同様であるので、その説明を省略する。
次に、図14(A)〜(C)および図15(A)〜(C)を参照して、以上のような構成のスイッチング電源装置の動作を説明する。なお、図14および図15では、1次側の回路部分の図示を省略している。また、このスイッチング電源装置のDC−DCコンバータとしての基本動作は図1の場合と同様であるので、その説明を省略し、スナバ回路16の動作のみを説明する。
まず、図14(A)に示したように、スイッチング素子S1,S2がオフからオンになると、ダイオード51から2次側巻線32を通って、出力ラインLOに電流Ixが流れる。また、ダイオード51、コンデンサC61、ダイオードD61およびトランス3の2次側巻線32を順に通る充電ループIc1が形成され、コンデンサC61への充電が行われる。また、ダイオード52には逆電圧Vdが印加されるが、充電ループIc1において1次側の共振用インダクタ4によるインダクタンス成分とコンデンサ61とによりLC直列共振回路が構成されるため、ダイオード52に印加される逆電圧Vdは、前述の式(2)の値以下に抑制される。
また、ダイオード52に加わる逆電圧Vdが上記の式(2)で示されるピーク値になると、コンデンサC61の端子電圧Vcがピークホールドされ、ダイオードD61は非導通となる。すると図14(B)に示したように、充電ループIc1によってコンデンサC61に蓄積された電荷が、前述のように電荷移動ループIp2,Ip3によってコンデンサC62,C63へと移動し、放出される。したがって、ダイオードD61が再び導通することで充電ループIc1が形成され、コンデンサC61の端子電圧VcがコンデンサC1と共振用インダクタ4とがなすLC共振電圧に従って緩やかに下降することから、ダイオード52に加わる逆電圧Vdの降下量が抑えられ、熱抵抗の高い部位での発熱も抑制される。
次に、図14(C)に示したように、スイッチング素子S1,S2がオンからオフになると、トランス3の2次側巻線33に現れる電圧[−VO2]はダイオード52に対して順方向となる。このため、2次側巻線33からダイオード52を通って出力ラインLOに電流Ixが流れる。このとき、回生用インダクタL61はコンデンサC62,C63に対する一方向性放電路Id2,Id3として機能することで、これらコンデンサC62,C63に蓄積されたコンデンサC61からの移動電荷がそれぞれ、一方向性放電路Id2,Id3を介して出力ラインLO側(図示しない低圧バッテリ側)に回生され、利用に供される。
次に、図15(A)に示したように、スイッチング素子S3,S4がオフからオンになると、ダイオード52から2次側巻線33を通って、出力ラインLOに電流Ixが流れる。また、ダイオード52、コンデンサC61、ダイオードD61およびトランス3の2次側巻線33を順に通る充電ループIc2が形成され、コンデンサC61への充電が行われる。また、ダイオード51には逆電圧Vdが印加されるが、充電ループIc2において1次側の共振用インダクタ4によるインダクタンス成分とコンデンサ61とによりLC直列共振回路が構成されるため、ダイオード51に印加される逆電圧Vdは、前述の式(2)の値以下に抑制される。
また、ダイオード51に加わる逆電圧Vdが上記の式(2)で示されるピーク値になると、コンデンサC61の端子電圧Vcがピークホールドされ、ダイオードD61は非導通となる。このときも図15(B)に示したように、充電ループIc2によってコンデンサC61に蓄積された電荷が、前述のように電荷移動ループIp2,Ip3によってコンデンサC62,C63へと移動し、放出される。したがって、ダイオードD61が再び導通することで充電ループIc2が形成され、コンデンサC61の端子電圧VcがコンデンサC1と共振用インダクタ4とがなすLC共振電圧に従って緩やかに下降することから、ダイオード51に加わる逆電圧Vdの降下量が抑えられ、熱抵抗の高い部位での発熱も抑制される。
次に、図15(C)に示したように、スイッチング素子S3,S4がオンからオフになると、トランス3の2次側巻線32に現れる電圧[−VO1]はダイオード51に対して順方向となる。このため、2次側巻線32からダイオード51を通って出力ラインLOに電流Ixが流れる。このときも、回生用インダクタL61はコンデンサC62,C63に対する一方向性放電路Id2,Id3として機能することで、これらコンデンサC62,C63に蓄積されたコンデンサC61からの移動電荷がそれぞれ、一方向性放電路Id2,Id3を介して出力ラインLO側(図示しない低圧バッテリ側)に回生され、利用に供される。
以上のように、本実施の形態のスイッチング電源装置においても、上記第1の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、スナバ回路16において共振用のコンデンサC61に加え電荷蓄積用のコンデンサC62,C63を設け、コンデンサC61に蓄えられた電荷をこれらコンデンサC62,C63へ移動させると共にコンデンサC61から放出された電荷をLC共振作用により補充するようにしたので、整流回路5のダイオード51,52に加わる高周波のリンギングを抑制し、熱抵抗の高い部位での発熱を抑制することができる。よって、スイッチング電源装置全体を大型化することなく十分な放熱を確保することができる。
なお、本実施の形態においても、例えば図16に示したように、本実施の形態のスナバ回路16を、センタタップ型アノードコモン接続のスイッチング電源装置に対して適用することも可能である。このように構成した場合でも、本実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、フォワード型カソードコモン接続のスイッチング電源装置について説明する。
図17は、本実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を表すものである。この図において、図1に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施の形態のスイッチング電源装置は、1次側巻線31と2次側巻線32とを有するトランス13を用いて構成されたフォワード型(一方向型)のスイッチング電源装置であり、トランス13の1次側に、図1のインバータ回路1に代えて、1つのスイッチング素子S0からなるインバータ回路11を備えている。このスイッチング電源装置はまた、トランス13の2次側に設けられた整流回路15と、この整流回路15に接続されたスナバ回路6と、このスナバ回路6に接続された平滑回路7とを備えている。整流回路15は、アノードがトランス13の2次側巻線32の一端Aに接続されたダイオード51と、アノードがトランス13の2次側巻線32の他端Cに接続されカソードがダイオード51のカソードに共通接続されたダイオード52とにより構成されたカソードコモン接続の構造を有する。なお、スナバ回路6および平滑回路7を始めとするその他の部分の構成は、図1の場合と同様である。
次に、図18および図19を参照して、以上のような構成のスイッチング電源装置の動作を説明する。
本実施の形態では、図18に示したように、インバータ回路11のスイッチング素子S0がオンになると、トランス13の2次側巻線32に現れる電圧VO1は、ダイオード52に対して逆方向(逆電圧Vd)となり、ダイオード51およびスナバ回路6のダイオードD61に対して順方向となる。このため、2次側巻線32からダイオード51を通って出力ラインLOに電流Ixが流れる。このとき、ダイオード51、ダイオードD61、コンデンサC61、およびトランス13の2次側巻線32を順に通る充電ループIcが形成され、コンデンサC61への充電が行われる。一方、ダイオード52には逆電圧Vd(サージ電圧)が印加されるが、充電ループIcにおいて、1次側の共振用インダクタ4によるインダクタ成分とコンデンサC61とによりLC直列共振回路が構成されるため、ダイオード52に印加される逆電圧Vdは前述の式(2)以下の値に抑制される。
また、ダイオード52に印加される逆電圧Vdが前述の式(2)で示されるピーク値になると、コンデンサC61の端子電圧Vcがピークホールドされ、ダイオードD61は非導通となる。すると充電ループIcによってコンデンサC61に蓄積された電荷が、前述のように電荷移動ループIp2,Ip3によってコンデンサC62,C63へと移動し、放出される。したがって、ダイオードD61が再び導通することで充電ループIcが形成され、コンデンサC61の端子電圧VcがコンデンサC1と共振用インダクタ4とがなすLC共振電圧に従って緩やかに下降することから、ダイオード52に加わる逆電圧Vdの降下量が抑えられ、熱抵抗の高い部位での発熱も抑制される。
次に、図19に示したように、インバータ回路11のスイッチング素子S0がオフになると、トランス13の2次側巻線32に現れる電圧[−VO1]はダイオード51に対して逆方向(逆電圧Vd)となる。この時、接地ラインLGからダイオード52を通って出力ラインLOに電流Ixが流れる。このとき、回生用インダクタL61はコンデンサC62,C63に対する一方向性放電路Id2,Id3として機能し、これらコンデンサC62,C63に蓄積されたコンデンサC61からの移動電荷がそれぞれ、一方向性放電路Id2,Id3を介して出力ラインLO側(図示しない低圧バッテリ側)に回生され、利用に供される。
以上のように、本実施の形態のスイッチング電源装置においても、上記第1および第2の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、スナバ回路6において共振用のコンデンサC61に加え電荷蓄積用のコンデンサC62,C63を設け、コンデンサC61に蓄えられた電荷をこれらコンデンサC62,C63へ移動させると共にコンデンサC61から放出された電荷をLC共振作用により補充するようにしたので、整流回路5のダイオード52に加わる高周波のリンギングを抑制し、熱抵抗の高い部位での発熱を抑制することができる。よって、スイッチング電源装置全体を大型化することなく十分な放熱を確保することができる。
なお、本実施の形態においては、図17に示したようなフォワード型カソードコモン接続のスイッチング電源装置について説明してきたが、例えば図20に示したように、本実施の形態のスナバ回路6を、フォワード型アノードコモン接続のスイッチング電源装置に対して適用することも可能である。このように構成した場合でも、本実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図21は、本実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を表すものである。このスイッチング電源装置は、上記第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置(図17)において、スナバ回路6に代えてスナバ回路16を備えたものである。その他の部分の構成は、図17の場合と同様である。
次に、図22および図23を参照して、以上のような構成のスイッチング電源装置の動作を説明する。
本実施の形態では、図22に示したように、インバータ回路11のスイッチング素子S0がオンになると、トランス13の2次側巻線32に現れる電圧VO1は、ダイオード52に対して逆方向(逆電圧Vd)となり、ダイオード51およびスナバ回路6のダイオードD61に対して順方向となる。このため、2次側巻線32からダイオード51を通って出力ラインLOに電流Ixが流れる。このとき、ダイオード51、コンデンサC61、ダイオードD61およびトランス13の2次側巻線32を順に通る充電ループIcが形成され、コンデンサC61への充電が行われる。一方、ダイオード52には逆電圧Vd(サージ電圧)が印加されるが、充電ループIcにおいて、1次側の共振用インダクタ4によるインダクタ成分とコンデンサC61とによりLC直列共振回路が構成されるため、ダイオード52に印加される逆電圧Vdは前述の式(2)以下の値に抑制される。
また、ダイオード52に印加される逆電圧Vdが前述の式(2)で示されるピーク値になると、コンデンサC61の端子電圧Vcがピークホールドされ、ダイオードD61は非導通となる。すると充電ループIcによってコンデンサC61に蓄積された電荷が、前述のように電荷移動ループIp2,Ip3によってコンデンサC62,C63へと移動し、放出される。したがって、ダイオードD61が再び導通することで充電ループIcが形成され、コンデンサC61の端子電圧VcがコンデンサC1と共振用インダクタ4とがなすLC共振電圧に従って緩やかに下降することから、ダイオード52に加わる逆電圧Vdの降下量が抑えられ、熱抵抗の高い部位での発熱も抑制される。
次に、図23に示したように、インバータ回路11のスイッチング素子S0がオフになると、トランス13の2次側巻線32に現れる電圧[−VO1]はダイオード51に対して逆方向(逆電圧Vd)となる。この時、接地ラインLGからダイオード52を通って出力ラインLOに電流Ixが流れる。このとき、回生用インダクタL61はコンデンサC62,C63に対する一方向性放電路Id2,Id3として機能し、これらコンデンサC62,C63に蓄積されたコンデンサC61からの移動電荷がそれぞれ、一方向性放電路Id2,Id3を介して出力ラインLO側(図示しない低圧バッテリ側)に回生され、利用に供される。
本実施の形態のスイッチング電源装置においても、上記第1〜第3の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、スナバ回路16において共振用のコンデンサC61に加え電荷蓄積用のコンデンサC62,C63を設け、コンデンサC61に蓄えられた電荷をこれらコンデンサC62,C63へ移動させると共にコンデンサC61から放出された電荷をLC共振作用により補充するようにしたので、整流回路5のダイオード52に加わる高周波のリンギングを抑制し、熱抵抗の高い部位での発熱を抑制することができる。よって、スイッチング電源装置全体を大型化することなく十分な放熱を確保することができる。
なお、本実施の形態においても、例えば図24に示したように、本実施の形態のスナバ回路16を、フォワード型アノードコモン接続のスイッチング電源装置に対して適用することも可能である。このように構成した場合でも、本実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、スイッチング電源装置の回路構成を具体的に挙げて説明したが、回路構成はこれに限定されるものではない。例えば、インバータ回路を、8つのスイッチング素子を用いたフルブリッジ型、2つのスイッチング素子を用いたフォワード型、または2つもしくは4つのスイッチング素子を用いたハーフブリッジ型により構成してもよい。また例えば、スイッチング素子全体を、フライバック型などの昇圧型などにより構成してもよい。
1…インバータ回路、2…平滑コンデンサ、3,13…トランス、31…1次側巻線、32,33…2次側巻線、4…共振用インダクタ、5,15,25…整流回路、51,52…ダイオード、6,16…スナバ回路、C61〜C63…コンデンサ、D61〜D63…ダイオード、L61…回生用インダクタ、L62…緩衝用インダクタ、7…平滑回路、71…チョークコイル、72…平滑コンデンサ、S0,S1〜S4…スイッチング素子、L1H…1次側高圧ライン、L1L…1次側低圧ライン、LO…出力ライン、LG…接地ライン、T1,T2…入力端子、T3,T4…出力端子、Ic0,Ic10,Ic20…1次側電流、Ic,Ic1,Ic2…充電ループ、Id2,Id3…放電路、Ip2,Ip3…電荷移動路、Vd…逆電圧(サージ電圧)、Vin…入力直流電圧、Vout…出力直流電圧。