JP4573752B2 - 色素沈着深さの判定方法及び装置 - Google Patents

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本発明は、色素沈着深さの判定方法及び装置に関する。
色素沈着の予防・軽減を目的とした化粧品等の開発や市場投入が行われるにつれて、対象とする色素沈着状態を客観的に評価する方法の確立が望まれている。このような色素沈着状態の客観的な評価手法として、下記特許文献1及び非特許文献1の技術が提案されている。
特許文献1に記載の技術は、対象となる皮膚について波長域の異なる複数の分光画像を撮影し、それぞれの分光画像を比較して、色素沈着を形成するメラニンが皮膚表面からみて相対的に浅い所にあるのか、深いところにあるのかを推定するものである。
また、非特許文献1に記載の技術は、皮膚の外部から入射される光について、表皮と真皮の境界で反射する光は偏光が失われないことを利用し、表皮のメラニンと真皮のメラニンを識別するものである。
特許文献1に記載の技術では、色素沈着が画像パターンとして認められるかどうかが判断基準となっているため、結果は皮膚面内の色素分布にも影響される。また非特許文献1に記載の技術では、色素沈着が表皮と真皮のどちらにあるかについては知り得るが、それ以上の深さ情報を得ることはできない。このような理由で、これらの技術では色素沈着の深さに関する精密な判定が困難であった。
特開平7−19839号公報 スティーブン・ジャックス(Steven L. Jacques)他,「偏光画像を用いた皮膚病理学(Imaging skin pathology with polarized light)」,ジャーナル・オブ・バイオメディカル・オプティクス(Journal of Biomedical Optics)、第7巻(No.3)、2002年7月、第329〜340頁
本発明は、皮膚の色素沈着の深さを精度良く判定することができる方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明は、皮膚上の参照領域及び判定領域のそれぞれにおける光の広がりを計測し、その変化(相違)に基づいて、皮膚における色素沈着の深さを判定する色素沈着深さの判定方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
また、本発明は、皮膚上の参照領域及び判定領域のそれぞれについて、第1の照射領域と、該第1の照射領域を含み且つ該第1の照射領域よりも広い第2の照射領域とにそれぞれ光を照射し、該第1の照射領域及び該第2の照射領域から戻って来る射出光をそれぞれ受光し、前記第1の照射領域からの前記射出光量R1と、前記第2の照射領域からの前記射出光量R2を求め、これらより算出される前記参照領域に対する前記判定領域の光の広がりの変化に基づいて、皮膚における色素沈着の深さを判定する色素沈着深さの判定方法を提供するものである。
また、本発明は、入射窓、照射窓及び受光窓を備えた積分球と、前記入射窓及び前記照射窓を介して皮膚上の参照領域及び判定領域内の照射領域に光を照射する光源と、前記受光窓を介して前記照射領域から戻って来る射出光を受光する受光器と、照射領域を変化させる絞りと、皮膚における色素沈着の深さを判定する判定処理部と、前記判定処理部の判定結果を出力する出力部とを備えており、前記判定処理部が、前記参照領域及び前記判定領域のそれぞれについての前記光源による前記照射領域への照射光量及び前記受光器の受けた射出光量より算出される前記参照領域に対する前記判定領域の光の広がりの変化に基づいて判定を行うように設けられている色素沈着深さの判定装置を提供するものである。
本発明によれば、色素沈着の深さを客観的に精度よく判定することができる。
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。
先ず、本発明の色素沈着深さの判定装置(以下単に判定装置ともいう。)を、その好ましい実施形態に基づいて説明する。図1は、本実施形態の判定装置を模式的に示すものである。図1において、符号1は判定装置を示している。
図1に示したように、判定装置1は、測定装置本体2と、該測定装置本体2に入出力インターフェース20を介してケーブル200で接続されたコンピュータシステム3とから構成されている。
測定装置本体2は、入射窓211、照射窓212及び受光窓213を備えた積分球21と、入射窓211及び照射窓212を介して照射領域に光を照射する光源22と、受光窓213を介して前記照射領域から戻って来る射出光を受光する受光器23と、照射領域を変化させる絞り24と、演算制御部25とを備えている。
積分球21は、内壁にMgO等の白色拡散反射塗料が塗工されたものであり、前記入射窓211を介して入射された光が拡散反射され、その一部が前記照射窓212を介して測定対象部の照射領域に照射され、該照射領域から戻って来る射出光を受光窓213を介して受光器23で受光できるように設けられている。本実施形態の装置1では、これら入射窓211、照射窓212及び受光窓213は、JIS Z8722での表記(照射角/受光角)でいうd/8°(dは拡散光)なる光学系の射出・受光条件を満たすように配置されている。
光源22は、注目している色素が吸収する波長を含んでいれば特に制限はないが、通常の測色も行うことを念頭に置くと、可視光領域(波長360〜740nm)を含む白色光を発光できるものが、より望ましい。光源22には、例えばキセノンランプが用いることができ、上述のように、特定の波長成分に着目する場合には、光源22として発光ダイオードを用いたり、光源22と入射窓211との間にバンドパスフィルターを介在させることで、その波長成分の光を入射できるようにすることができる。
受光器23は、分光レンズと、分光器と、複数の受光素子が配列されたアレイセンサとを備えている。受光器23は、受光窓213を介して入射される前記射出光を前記分光レンズで分光して前記分光器に導入し、前記アレイセンサの波長成分毎の射出光量の値を演算制御部25に出力する。光源に発光ダイオードなどの単色光を点灯させたり、複数の単色光を順次点灯させる等して計測する場合には受光器に分光器を備えていなくてもよい。また、その場合受光器はアレイセンサでなくても良い。
図2(a)及び(b)は、前記測定装置本体2における光学系の照射光及び射出光の照射・受光条件を模式的に示す図である。
絞り24は、開口部240の大きさを変えて照射領域を変化させる。照射領域は、後述するように受光領域Rに含まれている必要がある。受光領域Rの中で照射領域に含まれない部分は、そこからの反射を抑えるために絞り24は低反射率である黒色の材料にしておくことが好ましい。絞り24には、図3(a)に示すような、摘みを回転させて照射領域を変化させる、いわゆるアイリス絞り(カメラ等で採用されているレンズの絞り機構)や、図3(b)に示すような、プレートをスライドさせて照射領域を変化させるスライド絞りを用いることが好ましい。あるいは、絞り24は開口部240の大きさが異なる複数の絞り部材を着脱して交換するものであってもよい。
図1に示す演算制御部25は、いわゆるマイクロコンピュータユニットで構成され、演算処理装置(CPU)と、主記憶装置と、トリガー装置と、これらの装置を結ぶバスとを備えている。前記主記憶装置には、プログラムが記憶されている。演算制御部25は、該プログラムが起動された状態で、前記トリガー装置からの光源22の発光と同期したトリガー信号を受信すると、前記アレイセンサから出力される各波長の射出光量を前記主記憶装置に取り込んで保持する。そして、後述するように、コンピュータシステム3の指令に応じて保持した射出光量を所定のフォーマットで本体31に送信するように機能する。
コンピュータシステム3は、本体31と、入力装置32と、出力装置33とを備えている。入力装置32及び出力装置33は、本体31とインターフェース(図示せず)を介して接続されている。本実施形態では、後述するように、本体31が判定処理部として機能し、出力装置33が判定結果の出力部として機能する。
本体31は、演算処理装置(CPU)と、主記憶装置(RAM)と、補助(外部)記憶装置と、入力装置及び出力装置の接続用のインターフェースと、これらを結ぶバスとを備えている。前記主記憶装置又は前記補助記憶装置には測定装置本体2から前記射出光量を取り込んで計算するプログラムが記憶されている。このプログラムが起動した状態では、以下に説明するように、本体31は、皮膚上の参照領域及び判定領域のそれぞれについての光源22による前記照射領域への照射光量及び受光器23の受けた射出光量より算出される、前記参照領域における光の広がりに対する前記判定領域における光の広がりの変化(又は相違)に基づいて、判定領域の色素沈着深さを計算し判定する判定処理部として機能する。なお、評価装置1においては、肌の代わりに標準白色板を対象として、該肌と同様にして照射領域を変えて前記光源から光を照射したときに、それぞれの照射領域から受光したそれぞれの射出光の受光量(射出光量)を、それぞれの照射領域への照射光量とみなして評価処理が行われる。この標準白色板を対象とした照射光量の測定は、それぞれの照射領域について複数回ずつ行うことが好ましいが、1回ずつでもよい。
本体31の備える演算処理装置は、前記測定装置本体2の制御演算部25から入出力インターフェース20を介して送信されてくる、絞り24に応じて前記照射領域を変化させたときの波長成分(λ)毎の射出光量Rを、照射領域(A)及び測定回数(N:何回目か)に関連づけ、R(λ、A、N)として本体31の備える主記憶装置又は補助記憶装置に記憶させる。そして、前記演算処理装置は、前記照射光量(標準白色板を対象とした前記射出光量)と、絞り24で変化させたそれぞれの前記照射領域の複数回ずつの測定における前記射出光量との比較を統計的に処理して行う。ここで、統計的処理の具体的態様としては、複数のデータの平均値のほか、重み付き平均値、中央値、最大・最小を除いたデータの平均値等を求めるものが挙げられる。
具体的には、色素沈着深さの判定の対象となる肌の照射領域A1について、それぞれ射出光量R(λ、A1、1)〜R(λ、A1、N)の平均Rav(λ、A1)を求めるとともに、このRav(λ、A1)と、標準白色板を対象として肌と同条件で測定された射出光量Rs1とを比較し、それらの比Rav(λ、A1)/Rs1すなわちα1av(λ)を求める。照射領域A2についても同様に、それぞれ射出光量R(λ、A2、1)〜R(λ、A2、N)の平均Rav(λ、A2)を求めるとともに、このRav(λ、A2)と、標準白色板を対象として肌と同条件で測定された射出光量Rs2とを比較し、それらの比Rav(λ、A2)/Rs2すなわちα2av(λ)を求める。そして、これらα1avとα2avとを、これらの差分比(1−(α1av/α2av))として比較し、その結果を前記主記憶装置又は補助記憶装置に記憶させるとともに、波長毎のスペクトル(分光特性のグラフ)として出力装置33に出力させる。
上述のように処理して得られた参照領域及び判定領域のそれぞれスペクトルの出力結果を通して、演算処理装置は、参照領域に対する判定領域の光の広がりの変化に基づいて色素沈着の深さを判定する。即ち、前記差分比(1−(α1av/α2av))が減少していない場合、即ち光の広がりが小さくなっていない場合には、色素沈着が浅く、逆に前記差分比が減少している場合、即ち光の広がりが小さくなっている場合には、色素沈着が深いと判定し、その判定結果を出力する。なお、これらの一連の統計的な処理及び出力処理は、市販されている表計算ソフトウェアのスプレッドシート上において対話的に処理して行うこともできる。
次に、本発明の色素沈着深さの判定方法を、その好ましい実施形態として前記判定装置1を用いた実施形態に基づいて説明する。なお、以下に本発明の色素沈着深さの判定方法において説明される照射光量は、判定装置1を用いた実施形態においては、前述のように、肌の代わりに標準白色板を対象として該肌と同様にして照射領域を変えて前記光源から光を照射したときに、それぞれの照射領域から受光したそれぞれの射出光の受光量(射出光量)である。この標準白色板を対象とした射出光量の測定は、それぞれの照射領域について複数回ずつ行うことが好ましいが、1回ずつでもよい。
図2(a)及び(b)に示したように、本実施形態の色素沈着深さの判定方法は、まず、前記判定装置1を用い、参照領域及び判定領域のそれぞれについて、照射領域を絞り24によって変更し、第1の照射領域A1と、第1の照射領域A1を含み且つ該第1の照射領域A1よりも広い第2の照射領域A2とに、それぞれ光源22から光を照射し、第1の照射領域A1及び第2の照射領域A2から戻って来る射出光を受光器23で受光し、前記第1の照射領域A1及び前記第2の照射領域A2へのそれぞれの照射光量I1、I2と、第1の照射領域A1及び第2の照射領域A2から受光したそれぞれの射出光量R1、R2とを比較する。判定領域及び参照領域には、それぞれ色素斑を有する部分及びそれに隣接する色素斑のない部分を選ぶことが好ましい。また、経時的な色素変化を問題とする場合には、参照領域を問題とする部位の変化前、判定領域を変化後の同一部位とすることが好ましいが、変化前後で色素量の少ない方を参照領域、他方を判定領域としても構わない。
その際、前記光の照射及び前記射出光の受光の操作(測定)を、前記両照射領域について交互に複数回(本実施形態では5回)ずつ行い、コンピュータシステム3の本体31において、前記照射光量と前記射出光量との比較を、該複数回ずつの操作について統計的に処理して行う。両照射領域について交互に行う操作間隔(測定間隔)は、短い程好ましいが、被験者の心理的な緊張などに伴う皮膚の性状の変化が起こる前に一連の測定を完了するためには、15秒以下、特に10秒以下が好ましい。また、両照射領域についての操作回数(測定回数)は、多い程、より精度が高くなるが、実用性、回数に対する効果の度合い、皮膚の性状の変化が起こる前に一連の測定を完了することを考慮すると、3〜10回程度が好ましい。
そして、本体31によって、前記複数回ずつの操作について、前記第1の照射領域への前記照射光量I1の平均と該第1の照射領域から受光した前記射出光量R1の平均との比α1avと、前記第2の照射領域への前記照射光量I2と該第2の照射領域から受光した前記射出光量R2の平均との比α2avとを求め、さらに、前記比α1avと前記比α2avとの差分比(1−(α1av/α2av))を演算処理し、前記出力装置33に出力させる。
そして、参照領域に対する判定領域の光の広がりの変化、即ち前記差分比の変化の前記出力結果に基づいて、当該差分比の減少量がわずかな場合、即ち、光の広がりにあまり変化がない場合には、色素沈着の深さが浅く、逆に前記差分比が参照領域に比べて減少量が大きい場合、即ち光の広がりが小さくなっている場合には色素沈着が深いと判定する。各波長での広がりの変化量は、注目している色素の吸収スペクトル及び色素変化量・色素量が変化した場所の深さに依存するが、主には、色素の吸収スペクトルと色素量が変化した場所の深さによる。より正確に深さを判定するためには、光の広がりを測定するときに同時に通常の測色も行っておき、そこから求めた色素量の相対値を使って色素変化量を補正することが好ましい。この手法の適用範囲は、角質層から真皮上層部にかけてであり、最表面からの深さとしては、0mm〜2mm程度である。これより深い領域に色素が存在する場合は、深さと光の広がりの関係が変化するため本手法は単独では使用できないが、例えば、分光測色計や色彩色差計等の既存の他手法と組み合わせることができる。これら他手法と組み合わせると、色素が真皮下層のような充分に深い場所にあるときと、表皮のような浅い場所にあるときとで色味が変わることを利用して、判別することができる。
照射領域に含まれない領域からの反射を補正するために、サンプルのない(照射領域に入った光が戻ってこない)状態で受光量を測定しておき、I1、I2、R1、R2を求める際には、実測値から前記の測定値を差し引いて補正を行うことが好ましい。
前記第1の照射領域と前記第2の照射領域との面積比(A1/A2)は、0.1〜0.9、特に0.2〜0.6が好ましい。該面積比を斯かる範囲とすることで、第1の照射領域の測定での受光量をある程度確保しつつ、第1の照射領域の測定と第2の照射領域の測定との受光量の差異を得ることができ、色素沈着深さを客観的に精度よく判定することができる。
前記第1の照射領域の面積は、1〜10mm2、特に2〜8mm2が好ましい。前記第2の照射領域の面積は、3〜25mm2、特に5〜20mm2が好ましい。該第1及び第2の照射領域の面積を斯かる範囲とすることで、絞り24を肌に密着させることができ、また受光量に対する回り込みの光の量をより正確に検出することができるので、色素沈着深さを客観的に精度よく判定することができる。
なお、各照射領域の形状は略円形が好ましいが、他にも楕円形、矩形、正方形、菱形等で設計することができる。円形の場合、前記第1の照射領域の直径は、1〜4mm、特に1〜3mmが好ましい。前記第2の照射領域の直径は、1.5〜6mm、特に2〜5mmが好ましい。
前記第2の照射領域は、前記第1の照射領域を全て含んでいることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲において、部分的に含んでいてもよい。また、前記第2の照射領域は、前記第1の照射領域と同心であることが好ましい。
前記第1の照射領域及び前記第2の照射領域に照射する前記光は、前述のように、注目している色素が吸収する波長であれば特に制限はないが、通常の測色も同時に行うことを念頭に置くと、可視光領域(波長360〜740nm)を含む白色光が、より望ましい。また、特定の波長に着目する場合には、その波長を含む光でもよい。
前記第1の照射領域及び前記第2の照射領域から射出された射出光の波長は、注目している色素が吸収する波長であれば特に制限はないが、特にメラニンに着目する場合はヘモグロビンの影響を排除するために600nm以上800nm以下とすることがより好ましい。小型化、低コスト化のためには、光源を発光ダイオードに、受光器をモノクロにすることもできる。特にメラニンに着目する場合は、光源の波長を600nm以上800nm以下とすることでメラニンによる吸収が検出でき、かつヘモグロビンによる吸収の影響を抑えることができ、より精度の高い判定を行うことができる。
受光器のダイナミックレンジはより大きい方が好ましい。また、照射光量は、標準白色板を測定したときに受光する光の強度が受光器のダイナミックレンジを越えない範囲で大きいことが好ましい。
本実施形態による色素沈着深さの判定方法は、回り込み光全体を使って判定するため、得られる判定結果は、色素沈着深さをより正確に反映したものである。また、照射領域を変えてそれぞれの領域について交互に複数回測定を行うことで、緊張などによる測定中の肌の一時的な性状変化による影響を取り除くことができ、精度の高い判定を行うことができる。
本実施形態の色素沈着深さの判定方法は、上述のように、簡便な測定によって精度の高い色素沈着深さの判定を行うことができ、これにより、皮膚の色素沈着状態の把握、皮膚に施した化粧品や日焼け止めを含む各種効能剤の効能の評価を客観的に行うことができる。
本発明は、前記実施形態に何ら制限されない。
前記第1の照射領域及び前記第2の照射領域に照射する前記光の照射条件及び前記射出光の受光条件に特に制限はなく、前記実施形態のd/8°なる光学系の射出・受光条件の他、JIS Z 8722(2000)に準拠した照射・受光条件で照射し受光する条件であれば好ましい。特に外部からの光を遮断した照射・受光条件で照射し受光することが好ましい。
また、前記実施形態では、何れも肌の代わりに標準白色板を対象として、該肌と同様にして照射領域を変えて前記光源から光を照射したときに、それぞれの照射領域から受光したそれぞれの射出光の受光量(射出光量)を照射光量としたが、肌を対象として照射された照射光量を直接測定した値を用いる場合には、本体の演算処理装置による照射光量と射出光量との比較に基づく判定を行うときの比較の統計的な処理は、例えば以下のようにして行われる。
即ち、照射領域A1の測定について、照射光量I(λ、A1、1)〜I(λ、A1、N)の平均Iav(λ、A1)及び射出光量R(λ、A1、1)〜R(λ、A1、N)の平均Rav(λ、A1)を求め、それらの比Rav(λ、A1)/Iav(λ、A1)すなわちα1av(λ)を求める。Iav(λ)及びRav(λ)を求める際のNは同じであってもよいし、異なっていてもよい。照射領域A2の測定についても同様に、I(λ、A2、1)〜I(λ、A2、N)の平均Iav(λ、A2)及びR(λ、A2、1)〜R(λ、A2、N)の平均Rav(λ、A2)を求め、それらの比Rav(λ、A2)/Iav(λ、A2)すなわちα2av(λ)を求める。この場合もIav(λ)及びRav(λ)を求める際のNは同じであってもよいし、異なっていてもよい。そして、これらα1avとα2avとを差分比として比較することができる。
また、前記実施形態では、色素沈着深さの判定を、参照領域とは領域の異なる判定領域について行ったが、皮膚の特定の部位について、変化前の状態を参照領域として、変化後の同一部位の状態を判定領域としてそれぞれ測定し、得られた色素沈着深さの判定結果から美白化粧料や日焼け止め等を含む各種効能剤の効能の評価を行うこともできる。
また、前記実施形態では、装置本体からの測定値を別体のコンピュータシステムで処理するようにしたが、装置本体に出力装置を付設するとともに、装置本体の備えるマイクロコンピュータユニットに前記コンピュータシステムにおける判定処理を行わせることもできる。
さらに、本発明の本質は、参照領域と判定領域それぞれでの光の広がりの変化(又は相違)を使って色素沈着深さを評価するところにあるので、光の広がりを測定する手法であれば利用可能である。本発明において利用可能な、光の広がりを測定する手法としては、前記実施形態で示した手法の他に、拡散反射分光法などが挙げられる。
本発明の色素沈着深さの判定方法は、素肌は勿論、日焼け止め、美白化粧料などの各種効能剤の使用後における肌等の色素沈着深さの判定にも適用することができる。
また、本発明の色素沈着深さの判定方法は、各種基礎化粧料、メイクアップ化粧料、洗顔料若しくは日焼け止め等の各種効能剤の推奨、開発、効能の評価、タンニングの評価、化粧方法の推奨等に適用することができる。
また、本発明は、肌の測定部位に特に制限はない。顔(唇を含む)は勿論、手足や人体の各部位の色素沈着深さを判定することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は本実施例に何ら制限されない。
〔実施例1〕
<色素沈着深さの判定>
図4に示すような擬似サンプルを下記のように作製し、下記の装置本体を使用して、標準白色板並びに参照領域及び二種類の判定領域について、下記のように照射領域を変えて交互に5回ずつ射出光量を測定した。次いで、該装置本体に接続した市販のパーソナルコンピュータシステムにおいて、コニカミノルタ(株)製分光測色計CMシリーズ用色彩管理ソフトウェア「CM−S9w」を起動し、これら測定した射出光量を測定装置からCSV形式で該コンピュータシステムに取り込んだ。そして、市販のスプレッドシート(米国マイクロソフト社製「Excel」)上でこれらの射出光量について統計的な処理を行った後、参照領域及び判定領域のそれぞれについて前述のように差分比(1−α1av/α2av)を求め、該差分比のスペクトログラムを出力させた。その結果を図5に示した。
<測定条件>
装置本体:コニカミノルタ(株)製、分光測色計「CM−2600d」
照射・受光条件:d/8°(JIS Z8722)
第1の照射領域:L1(測定径:直径)=2mmの円形
第2の照射領域:第1の照射領域と略同心でL2(測定径:直径)=4mmの円形
測定:各領域について交互に5回ずつの測定を、3度行った。
各測定の間隔:約10秒
参照領域(図4(a)):常温硬化型シリコーンゴム(信越シリコーン社製、KE108)中にパウダーファンデーション用白色顔料3.6重量%を添加し、十分に混練した。その後、硬化剤(信越シリコーン社製、CAT108)を5.0重量%添加し、再度十分に混練し、直方体の型に流し込んだ。十分に硬化が進んだ後、型から取り出し、これの中心付近を参照領域とした。
判定領域1(図4(b)):赤色225号のエタノール溶液を、参照領域の測定が終わった後の参照領域用シリコーンゴムの中心付近に数滴滴下し、判定領域1とした。滴下後色素はシリコーン内を拡散していくので、一定時間(約5分)置いた後、すばやく測定した。
判定領域2(図4(c)):あらかじめ、参照領域用シリコーンゴムを作製したときと同じ配合で厚み約0.2mmの薄膜を作製しておく。それを判定領域1の上面に密着させて、判定領域2とした。即ち、上記のように判定領域1を測定した後、直ちに薄膜を密着させ、速やかに測定した。
図5に示したように、色素の深さが深くなると、光の広がりを表す、参照領域に対する判定領域1、2の前記差分比の変化は減少しており、前記差分比の増減によって色素の深さを判定できることが確認できた。
〔実施例2〕
紫外線を受けて1日後の色素沈着(紅斑)の生じた皮膚について、当該色素沈着の生じた部分を判定領域、その近傍の色素沈着を生じていない部分を参照領域として、実施例1と同様の測定条件で色素沈着の深さを判定した。波長550μmの光の広がりの変化量(差分比の変化量)は0.040〜0.065の減少であった。日焼け直後に生じる紅斑は、主にヘモグロビンの増加に起因する、真皮(深さ約0.2〜2mm)の色素沈着であり、実施例2の結果は、実施例1によるモデルの結果とも一致していた。この結果、本発明により色素沈着の深さを判定できることが確認できた。
〔実施例3〕
紫外線を受けて7日後の色素沈着の生じた皮膚について、当該色素沈着の生じた部分を判定領域、その近傍の色素沈着を生じていない部分を参照領域として、実施例1と同様の測定条件で色素沈着の深さを判定した。波長630μmの光の広がりの変化量は略ゼロであった(差分比の変化が減少していない)。紫外線を受けて7日程度を経た後の色素沈着は、主に表皮(深さ約0.02〜0.2mm)に存在するメラニンに起因する比較的浅い色素沈着であり、この結果からも、本発明により色素沈着の深さを判定できることが確認できた。
本発明によれば、色素沈着深さを客観的で精度よく判定することができる方法が提供される。
本発明の色素沈着深さの判定装置の一実施形態を模式的に示す図である。 本発明の色素沈着深さの判定装置における照射光及び射出光の照射・受光条件を模式的に示す図であり、(a)は第1の照射領域での照射・受光条件を示す図、(b)は第2の照射領域での照射・受光条件を示す図である。 本発明の色素沈着深さの判定装置における絞りの機構を模式的に示す図であり、(a)はアイリス絞りを示す図、(b)はスライド式絞りを示す図である。 参照領域及び判定領域の擬似モデルを模式的に示す図であり、(a)は参照領域、(b)は判定領域1を、(c)は判定領域2をそれぞれ示す図である。 実施例1による光の広がりの増減と色素沈着深さ関係の分光特性を示す図である。
符号の説明
1 色素沈着深さの判定装置
2 測定装置本体
21 積分球
22 光源
23 受光器
24 絞り
3 コンピュータシステム
31 本体(判定処理部)
33 出力装置

Claims (7)

  1. 皮膚上の参照領域及び判定領域のそれぞれに照射した光の広がりを求め、該参照領域における光の広がりに対する該判定領域における光の広がりの変化に基づいて、皮膚における色素沈着の深さを判定する色素沈着深さの判定方法。
  2. 前記光の広がりの変化が、皮膚上の前記参照領域及び前記判定領域のそれぞれについて、第1の照射領域と、該第1の照射領域を含み且つ該第1の照射領域よりも広い第2の照射領域とにそれぞれ光を照射し、該第1の照射領域及び該第2の照射領域から戻って来る射出光をそれぞれ受光し、前記第1の照射領域からの前記射出光量R1と、前記第2の照射領域からの前記射出光量R2を求め、該射出光量R1及び該射出光量R2より算出される前記参照領域における光の広がりに対する前記判定領域における光の広がりの変化である請求項1記載の色素沈着深さの判定方法。
  3. 前記第1の照射領域への前記照射光量I1と該第1の照射領域からの前記射出光量R1との比(R1/I1=α1)と、前記第2の照射領域への前記照射光量I2と該第2の照射領域からの前記射出光量R2との比(R2/I2=α2)とを求め、これら各比で算出される前記参照領域における光の広がりに対する前記判定領域における光の広がりの変化に基づく請求項2記載の色素沈着深さの判定方法。
  4. 前記光の広がりの変化が前記参照領域及び前記判定領域における前記各比の差分比(1−(α1/α2))の変化で定められる請求項3記載の色素沈着深さの判定方法。
  5. 入射窓、照射窓及び受光窓を備えた積分球と、前記入射窓及び前記照射窓を介して皮膚上の参照領域及び判定領域内の照射領域に光を照射する光源と、前記受光窓を介して前記照射領域から戻って来る射出光を受光する受光器と、照射領域を変化させる絞りと、皮膚における色素沈着の深さを判定する判定処理部と、前記判定処理部の判定結果を出力する出力部とを備えており、前記判定処理部が、前記参照領域及び前記判定領域のそれぞれについての前記光源による前記照射領域への照射光量及び前記受光器の受けた射出光量より算出される前記参照領域に対する前記判定領域の光の広がりの変化に基づいて判定を行うように設けられている色素沈着深さの判定装置。
  6. 前記判定処理部は、前記絞りで変化させたそれぞれの前記照射領域の複数回ずつの測定における前記照射光量と前記射出光量との比較を行うものである請求項5記載の色素沈着深さの判定装置。
  7. 前記絞りが、前記照射窓を拡縮させて前記照射領域を変化させるように設けられている請求項5又は6に記載の色素沈着深さの判定装置。

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