JP4573547B2 - スピーカ装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スピーカ装置におけるヨークの構造などに関する。
従来より、ツボ型ヨーク、平板状のマグネット、及び平板状のプレートを含む磁気回路と、フレームを含む振動系とを備える内磁型のスピーカ装置が知られている。そのようなツボ型ヨークは、例えば、平板状のマグネット及びプレートの外周壁を覆う円筒状の円筒部と、その円筒部の外周壁の上端近傍から外側に延び出てなるフランジ部とを有している。このフランジ部の上面には、フレームの内周縁部が取り付けられている。
しかしながら、上記のスピーカ装置では、ツボ型ヨークの上端側にフランジ部を形成して、そのフランジ部の上面にフレームの内周縁部を固定するようにしている。このため、フレームは、全体的に、ツボ型ヨークと反対側の放音側へ配置され、ツボ型ヨークの下端部からフレームの上端部までの距離が長くなってしまう。これにより、スピーカ装置の薄型化を図ることが困難であった。
なお、内磁型スピーカ装置の例が特許文献1及び2に記載されている。
特開2002−51394号公報 特開2002−271893号公報
本発明が解決しようとする課題としては、上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、スピーカ装置の薄型化を図ることが可能なツボ型ヨークの構造、及びそのツボ型ヨークを備えるスピーカ装置を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、スピーカ装置であって、マグネットと、前記マグネットを支持する底部と、前記底部から前記マグネットの上面側へ延びる円筒部と、前記円筒部の前記マグネットの下面側の端部から外側に延びるフランジ部とを有するツボ型ヨークと、前記マグネット上に配置されるプレートと、を有する磁気回路と、前記フランジ部に取り付けられるフレームと、を備え、前記フランジ部の上面には凸部が形成されていると共に、前記フレームには前記凸部と対応する位置に開口が形成されており、前記凸部は前記開口に挿入され、かつ、前記凸部が変形された状態で前記磁気回路が前記フレームに取り付けられ、前記底部には、カシメ装置のカシメ刃と前記凸部のカシメ部位とを位置決めするための開口が形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、マグネットと、前記マグネットを支持する底部と、前記底部から前記マグネットの上面側へ延びる円筒部と、前記円筒部の前記マグネットの下面側の端部から外側に延びるフランジ部とを有するツボ型ヨークと、前記マグネット上に配置されるプレートと、を有する磁気回路と、前記フランジ部に取り付けられるフレームと、を備え、前記フランジ部の上面には凸部が形成されていると共に、前記フレームには前記凸部と対応する位置に開口が形成されており、前記凸部は前記開口に挿入され、かつ、前記凸部が変形された状態で前記磁気回路が前記フレームに取り付けられ、前記底部には、カシメ装置のカシメ刃と前記凸部のカシメ部位とを位置決めするための開口が形成されているスピーカ装置の製造方法であって、平板状のマグネットを支持する底部と、円筒部及び前記円筒部の前記マグネット側と反対側の端部から外側に延びるフランジ部を有する本体部とを結合してツボ型ヨークを作製する工程と、前記フレームの内周縁近傍に形成された開口に前記フランジ部の上面に形成された凸部を挿入し、前記凸部をカシメ装置で変形することにより前記ツボ型ヨークを前記フレームに取り付ける工程と、を有することを特徴とする。
本発明の1つの実施形態では、スピーカ装置は、マグネットと、前記マグネットを支持する底部と、前記底部前記マグネットの上面側へ延びる円筒部と、前記円筒部の前記マグネットの下面側の端部から外側に延びるフランジ部とを有するツボ型ヨークと、前記マグネット上に配置されるプレートと、を有する磁気回路と、前記フランジ部に取り付けられるフレームと、を備え、前記フランジ部の上面には凸部が形成されていると共に、前記フレームには前記凸部と対応する位置に開口が形成されており、前記凸部は前記開口に挿入され、かつ、前記凸部が変形された状態で前記磁気回路が前記フレームに取り付けられ、前記底部には、カシメ装置のカシメ刃と前記凸部のカシメ部位とを位置決めするための開口が形成されている。
上記のスピーカ装置において、ツボ型ヨークには、円筒部のマグネットの下面側の端部から外側に延びるフランジ部が形成されている。また、そのフランジ部の上面には凸部が形成されている。このため、フレームの一端部、即ち下端部に形成された開口にその凸部を挿入し、その凸部をカシメ装置で変形することにより、磁気回路をフレームに取り付けることができる。これにより、フレームの一端部はツボ型ヨークの下端部近傍に配置され、フレームは、全体的にツボ型ヨーク側へ配置される。よって、フレームの他端部、即ち上端部からツボ型ヨークの下端部までの距離が縮まり、スピーカ装置の薄型化を図ることができる。また、底部には、カシメ装置のカシメ刃と前記凸部のカシメ部位とを位置決めするための開口が形成されており、例えば、カシメ装置に設けられた位置決め用の突起部をその開口に挿入することにより、カシメ装置のカシメ刃をツボ型ヨークの凸部のカシメ部位に正確に位置させることができる。好適な例では、前記底部は、前記円筒部及び前記フランジ部と別体にして成形することができる。この場合、前記底部の下端を、前記円筒部の内周壁の下端に結合することでツボ型ヨークを作製することができる。
上記のスピーカ装置の一態様では、前記フレームは、上端部が変形した状態の前記凸部と、前記フランジ部の上面とにより挟持されている。よって、フレームは、フランジ部と変形した凸部とによって確実に固定される。これにより、ツボ型ヨークとフレームとのカシメ強度の向上を図ることができ、重量のある磁気回路を安定した状態で保持することができる。
上記のスピーカ装置の他の一態様は、ボイスコイルボビンと、前記ボイスコイルボビンの上端近傍に固定され、前記上端近傍から前記ボイルコイルボビンの下端近傍まで延び出てなる連結部材と、前記連結部材の下端部と略同一の高さに位置し、前記フレームの第2のフランジ部に配置された支持部材と、前記連結部材の下端近傍と、前記支持部材とにより支持されたダンパーと、前記ボイスコイルボビンの前記上端部と略同一の高さに位置する前記フレームの第1のフランジ部と、前記ボイスコイルボビンの前記上端部とにより支持された振動板と、を備える。
この態様によれば、ダンパーは、ボイルコイルボビンの上端近傍に固定された連結部材と、その連結部材の下端部と略同一の高さに位置し、フレームの第2のフランジ部に配置された支持部材とによって支持される。ここで、連結部材は、例えば、略円筒状の部材が好適であり、支持部材は、例えば、略環状の部材が好適である。また、振動板は、ボイスコイルボビンの上端部と略同一の高さに位置するフレームの第1のフランジ部と、ボイスコイルボビンの上端部とによって支持される。ここで、振動板は、その薄型化を図るべく略平板状の形状とするのが好ましい。これに伴い、振動板やダンパーは、よりツボ型ヨーク側へ配置される。よって、スピーカ装置の薄型化を図ることができる。
本発明の他の実施形態では、マグネットと、前記マグネットを支持する底部と、前記底部から前記マグネットの上面側へ延びる円筒部と、前記円筒部の前記マグネットの下面側の端部から外側に延びるフランジ部とを有するツボ型ヨークと、前記マグネット上に配置されるプレートと、を有する磁気回路と、前記フランジ部に取り付けられるフレームと、を備え、前記フランジ部の上面には凸部が形成されていると共に、前記フレームには前記凸部と対応する位置に開口が形成されており、前記凸部は前記開口に挿入され、かつ、前記凸部が変形された状態で前記磁気回路が前記フレームに取り付けられ、前記底部には、カシメ装置のカシメ刃と前記凸部のカシメ部位とを位置決めするための開口が形成されているスピーカ装置の製造方法は、平板状のマグネットを支持する底部と、円筒部及び前記円筒部の前記マグネット側と反対側の端部から外側に延びるフランジ部を有する本体部とを結合してツボ型ヨークを作製する工程と、前記フレームの内周縁近傍に形成された開口に前記フランジ部の上面に形成された凸部を挿入し、前記凸部をカシメ装置で変形することにより前記ツボ型ヨークを前記フレームに取り付ける工程と、を有する。
上記のスピーカ装置の製造方法によれば、先ず、底部と本体部とを結合することにより、ツボ型ヨークを作製することができる。次に、フレームの内周縁部近傍に形成された開口にフランジ部の上面に形成された凸部を挿入し、その凸部のカシメ部位をカシメ装置で変形することにより、ツボ型ヨークをフレームに取り付けることができる。この方法により製造されたスピーカ装置では、フレームの内周縁部がツボ型ヨークの下端部近傍に配置される。このため、フレームは、全体的にツボ型ヨーク側へ配置される。よって、フレームの上端部からツボ型ヨークの下端部までの距離が縮まり、スピーカ装置の薄型化を図ることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。本実施例は、ツボ型ヨークの下端にフランジ部及び凸部を形成して、そのフランジ部上にフレームを取り付ける。これにより、ツボ型ヨークの下端部からフレームの上端部までの距離を縮めて、スピーカ装置の薄型化を図る。
図1に、本発明の実施例に係るスピーカ装置100の概略構成を模式的に示す。なお、本実施例のスピーカ装置100は車載用スピーカとして好適に用いることができる。図1は、スピーカ装置100の中心軸を含む平面を切断したときの断面図を示している。以下、図1を参照して、本実施例のスピーカ装置100の構成等について説明する。
スピーカ装置100は、図1に示すように、主として、フレーム10、支持部材9、ボイスコイルボビン3、連結部材8、ダンパー2、端子部材21、端子部材22、ボイスコイル4、及び振動板1を有する振動系12と、ツボ型ヨーク5、マグネット6及びプレート7を有する磁気回路系11と、防塵キャップ31と、その他各種の部材を備えている。
先ず、振動系12の各構成要素について説明する。
フレーム10には、スピーカ装置100の様々な構成要素が固定され、それらの構成要素を支持する役目を担う。フレーム10は、熱伝導性の良好な金属材料により作製されている。このため、フレーム10は、スピーカ装置100の外部空間とその内部空間との間で熱の授受を行う媒体としての機能を有する。フレーム10は、上方に開いた鍋状又はつぼ状の形状をなし、上部に形成され振動板1の外周縁部等を支持する第1のフランジ部10aと、中央部に形成され支持部材9を支持する第2のフランジ部10bと、内周縁部に形成された開口10cと、第1のフランジ部10aとのフランジ部10bとの間の側壁に形成された複数の開口10dとを有する。開口10cは、その内周縁部の周方向に一定の間隔を隔てて複数形成されている。各開口10cには、後述するツボ型ヨーク5の変形前の各凸部51cが挿入される。
支持部材9は、例えば、樹脂材料からなり、平面視すると略環状の形状をなす。支持部材9は、断面視すると階段状の形状をなし、上面9a及び上面9bを有する。支持部材9は、例えば、雄ねじやボルトなどの固定部材61を通じて、第2のフランジ部10bに取り付けられる。
ボイスコイルボビン3は、略円筒状の形状をなしている。ボイスコイルボビン3の下端部の外周壁には、ボイスコイル4が巻かれている。また、ボイスコイルボビン3の下端部の内周壁は、平板状のマグネット6及びプレート7の外周壁と一定の間隔を隔てて対向している。さらに、ボイスコイルボビン3の下端部の外周壁は、ポールピース5の上端部の外周壁と一定の間隔を隔てて対向している。そして、ポールピース5の上端部の内周壁と、プレート8の外周壁との間に空隙(磁気ギャップ20)が形成されている。
連結部材8は、例えば、樹脂材料からなり、略円筒状の形状をなす円筒部8aと、その円筒部8aの上端から内側に屈曲してなる屈曲部8bとを有し、それらが一体的に形成されてなる。連結部材8の内周縁部、即ち、屈曲部8bの内周縁部は、ボイスコイルボビン3の外周壁の上端近傍に固着している。
ダンパー2は、導電ダンパー2aと、通常のダンパー2bとを有している。導電ダンパー2aは、ダンパー2bの上方に配置される。導電ダンパー2aは、図示しない複数の導電部材を有している。各導電部材は、導電ダンパー2aの上面に、かつ、導電ダンパー2aの内周縁部からその外周縁部にかけて縫い付けられている。ダンパー2bの外周縁部は、支持部材9の上面9bに固着していると共に、ダンパー2bの内周縁部は、連結部材8の下端部に固着している。一方、導電ダンパー2aの外周縁部は、支持部材9の上面9aに固着していると共に、導電ダンパー2aの内周縁部は、連結部材8の下端近傍に固着している。
端子部材21は、導電性を有する金属などの部材であり、複数設けられている。各端子部材21は、連結部材8に取り付けられている。各端子部材21の上端は、ボイスコイル4の各リード線と電気的に接続されていると共に、各端子部材21の下端は、導電ダンパー2aの各導電部材と電気的に接続されている。
端子部材22は、導電性を有する部材であり、複数設けられている。各端子部材22は、支持部材9の上面9aに固定されている。各端子部材22の一端は、導電ダンパー2aの各導電部材と電気的に接続されていると共に、各端子部材22の他端は、図示しないアンプ側の中継配線と電気的に接続されている。
ボイスコイル4は、1組のプラス/マイナスのリード線(図示略)を有している。プラス側のリード線はL(又はR)チャンネル信号の入力配線であり、マイナス側のリード線はグランド(GND:接地)信号の入力配線である。各リード線は、上記したように各端子部材21の上端に電気的に接続されている。このため、ボイスコイル4には、各端子部材22、導電ダンパー2aの各導電部材、各端子部材21及び各リード線を介して、アンプ側から1チャンネル分の電気信号が入力される。
振動板1は、その薄型化を図るため略平板状の形状をなしている。振動板1には、各種の用途に応じ、紙系、高分子系、金属系などの各種の材料を適用することができる。振動板1の外周縁部には、別体のエッジ部1aが取り付けられている。振動板1の外周縁部は、第1のフランジ部10aに固着している。一方、振動板1の内周縁部は、ボイスコイルボビン3の外周壁の上端近傍に固着している。
次に、磁気回路系11の各構成要素について説明する。
磁気回路系11は、内磁型の磁気回路として構成されている。本磁気回路は、ツボ型ヨーク5と、平板状のマグネット6と、平板状のプレート7とを有している。ツボ型ヨーク5は、フレーム10に取り付けられる。なお、ツボ型ヨーク5の構造等については後述する。平板状のマグネット6は、後述するツボ型ヨーク5の底部52上に固着している。平板状のプレート7は、そのマグネット6上に固着している。磁気回路系11では、マグネット6及びプレート7により磁気回路を構成し、プレート7の外周壁とツボ型ヨーク5の内周壁との間に形成される磁気ギャップ20にマグネット6の磁束を集中させている。
防塵キャップ31は、ボイスコイルボビン3の上面を塞ぐように、そのボイスコイルボビン3の上端部に接着剤を介して取り付けられている。これにより、防塵キャップ31は、異物などがスピーカ装置100内部へ侵入するのを防止する機能を有する。
次に、各種の構成部材について説明する。
各種の構成部材には、パッキン13及び緩衝部材14などの部材が含まれる。
パッキン13は、環状の形状をなし、絶縁性を有する部材である。パッキン13の材料としては、例えば、樹脂材料が好適である。パッキン13の下面は、第1のフランジ部10a、及びエッジ部1aの外周縁部に夫々固着している。これにより、振動板1及びエッジ部1aの外周縁部は、パッキン13と第1のフランジ部10aとにより挟持されている。
緩衝部材14は、例えば、スピーカ装置100を車両の所定位置に取り付ける際の緩衝材としての機能を有するとともに、外部からの振動がスピーカ装置100の本体に伝達するのを防止する機能などを有する。このため、緩衝部材14の材料としては、例えば、クッション性のあるスポンジなどの部材が好適である。また、緩衝部材14は、取付前の状態では棒状をなし、片面に接着剤が塗布、又は両面テープが貼り付けてある。緩衝部材14は、環状に変形された状態で、その接着剤又は両面テープを介してパッキン13の上面に貼り付けられている。
以上に述べたスピーカ装置100において、アンプ側から出力された電気信号は、各端子部22、導電ダンパー2aの各導電部材、各端子部材21、及びボイスコイル4の各リード線を介してボイスコイル4へ供給される。これにより、磁気ギャップ20内でボイスコイル4に駆動力が発生し、振動板1をスピーカ装置100の軸方向に振動させる。こうして、スピーカ装置100は、矢印60の方向に音波を放射する。
[ツボ型ヨークの構造]
次に、図2を参照して、スピーカ装置100の薄型化を図ることが可能なツボ型ヨーク5の構造について説明する。図2(a)は、ツボ型ヨーク5の平面図を示しており、図2(b)は、図2(a)におけるツボ型ヨーク5の切断線A−A’に沿った断面図を示している。
ツボ型ヨーク5は、本体部51と底部52とを有し、それらが結合されてなる。
本体部51は、円筒部51aと、フランジ部51bと、そのフランジ部51bの上面から上方に突出する凸部51cとを有し、それらが一体的に形成されてなる。円筒部51aは略円筒状をなす。円筒部51aの下端部の一内周縁部51dには、底部52の外周縁部52cが結合される。円筒部51aは、図1及び図2(b)に示すように、その一内周縁部51dの近傍位置からプレート7の近傍位置まで上方に延び出てなる。フランジ部51bは、一内周縁部51dの近傍位置から円筒部51aに略垂直に外側方向に延び出てなる。フランジ部51bの上面には、フレーム10の内周縁部が取り付けられる。凸部51cは、円柱状の形状をなし、フランジ部51bの上面に一定の間隔を隔てて複数形成されている。各凸部51cは、カシメられることによりフレーム10の内周縁部を固定する役割を果たす。
底部52は、図2(b)に示すように、略凹形状を逆にした断面形状をなす。底部52は、載置部52aと、開口52bと、外周縁部52cとを有し、それらが一体的に形成されてなる。載置部52aの直径はマグネット6及びプレート7の直径と略同一であり、載置部52a上には、マグネット6が固定される。開口52bは、載置部52aの中心軸上に形成される。開口52bは、カシメ用治具によって凸部51cのカシメ部位をフレーム8にカシメる際の位置決め用の穴として使用される。外周縁部52cの外周壁は、本体部51の一内周縁部51dに結合される。
そのような構造を有するツボ型ヨーク5は、図示しないカシメ用治具によって凸部51cがフレーム8にカシメられる。これにより、その凸部51cは変形を生じ、その変形した凸部51cとフランジ部51bの上面との間にフレーム10の内周縁部が挟持された状態で、ツボ型ヨーク5がフレーム10に取り付けられる。これにより、ツボ型ヨーク5とフレーム10とのカシメ強度の向上を図ることができ、重量のある磁気回路系11を安定した状態で保持することができる。このようにして、ツボ型ヨーク5がフレーム10に取り付けられた状態が図1に示される。
以上のように、かかる構造のツボ型ヨーク5を有するスピーカ装置100では、ツボ型ヨーク5の下端、即ちフランジ部51b上にフレーム10の内周縁部が取り付けられる。これにより、フレーム10は、全体的にツボ型ヨーク5側へ配置される。よって、図1に示すように、フレーム10の上端部からツボ型ヨークの下端部までの距離Dが縮まり、スピーカ装置の薄型化を図ることができる。
加えて、本発明のスピーカ装置100では、平板状の振動板1は、第1のフランジ部10aと、ボイスコイルボビン3の外周壁の上端近傍との間に配置するようにしている。また、ダンパー2は、連結部材8の外周壁の下端近傍と、支持部材9との間に配置するようにしている。これにより、振動板1やダンパー2は、よりツボ型ヨーク5側へ配置される。よって、スピーカ装置100の薄型化を図ることができる。
[スピーカ装置100の製造方法]
次に、図3乃至図7を参照して、スピーカ装置100の製造方法について説明する。図3は、スピーカ装置100の製造方法のフローチャートを示す。図4及び図5は、ツボ型ヨーク5の製造工程の一例を示す。図6は、ツボ型ヨーク5をフレーム10に取り付ける工程(カシメ工程)の一例を示す。図7(a)は、マグネット6とプレート7とを一体化させるときに使用する取り付け用治具500の平面図を示す。図7(b)は、取り付け用治具500を使用して、マグネット6とプレート7とを一体化する前の状態を側面図として示す。図7(c)は、取り付け用治具500を使用して、マグネット6とプレート7とを一体化した後の状態を側面図として示す。
先ず、ツボ型ヨーク5を製造する(工程S1)。具体的には、その構成要素である、本体部51と底部52とを別々に製造し、その後、それらを結合することによりツボ型ヨーク5を製造する。かかる製造方法について、図4及び図5を参照して説明する。
図4(a)はツボ型ヨーク5の底部52の製作過程を模式的に示す。底部52は鉄などの金属材料の基材を鍛造することにより製作される。具体的には、基材300を複数回の鍛造工程(P10〜P12)により、工程P14に示すように底部52と同様の略凹型の断面形状とする。そして、工程P14で外周縁部303を切断すると共に、外周縁部52c及び開口52bを形成する。こうして、底部52が製作される。
図4(b)はツボ型ヨーク5の本体部51の製作過程を模式的に示す。本体部51も基本的に金属材料の基材を鍛造することにより製作される。具体的には、基材800を複数回の鍛造工程(P20〜P22)により、略ツボ型形状の材料805とする(工程P24を参照)。この工程P24において、鍛造により、もしくは図4(c)又は(d)に示す一組の金型M1、M2により、フランジ部51bに凸部51cを形成する(凸部の第1の製作方法)。そして、工程P26で、プレス打ち抜き加工により、材料805の上部810を打ち抜く。これにより、図4(b)の工程P26に示すように、材料805の上部810が分離される。
次に、工程P28において、円筒部51aとフランジ部51bとの境目付近(破線820で示す)に切削加工を施し、底部52を取付可能な状態に加工する。こうして、図4(b)の工程P28に示すように本体部51が製作される。
次に、図5(b)に示すように、製造された本体部51と、製造された底部52とを結合する。具体的には、本体部51の一内周縁部51dと、その位置に対応する底部52の外周縁部52cとが接触するように、底部52を本体部51に圧入し、本体部51のフランジ部51bをカシメて底部52を本体部51に固定する。こうして、上記したツボ型ヨーク5が製造される。
次に、凸部の第2の製作方法について説明する。図5(a)は凸部51cの第2の製作方法を示す。この方法では、図4(b)のプレス打ち抜き加工工程P26と同時に凸部51cを形成する。この打ち抜き加工の様子を図5(a)に模式的に示す。図5(a)において、上部810がついたままの材料805をダイス73とストリッパプレート72との間に押さえ込み、ポンチ71を矢印の方向に移動して上部810を打ち抜く。これにより、図4(b)の工程P26に示すように、材料805の上部810が分離されるとともに、凸部51cが形成される。なお、上記の凸部51cの第2の製作方法では、この打ち抜き加工の際に、フランジ部51bに凸部51cを同時に形成するので、図5(a)に示すように、ダイス73に凹部73aが形成されているとともに、ストリッパプレート72には凸部72aが形成されている。よって、材料805から上部810を打ち抜き加工する際に、フランジ部51b上に複数の凸部51cを形成することができる。
次に、凸部の第3の製作方法について説明する。凸部51cの第3の製作方法では、底部52を本体部51に圧入する際に凸部51cを形成する。即ち、図4(b)に示した工程P26、即ち材料805から上部810を打ち抜く際には凸部51cを形成せず、図5(c)に示すように、底部52を本体部51に圧入する時点では凸部51cは形成されていない。底部52を本体部51に圧入する際に同時に凸部51cを形成する。よって、第3の製作方法で凸部51cを形成する場合には、工程P26における打ち抜き加工で使用するダイス73及びストリッパプレート72は、図5(a)に示すような凹部73a及び凸部72aを有しないものとする。
次に、図3に戻り、その製造したツボ型ヨーク5をフレーム10に取り付ける(工程S2)。具体的には、先ず、図6(a)に示すように、フレーム10の開口10cにツボ型ヨーク5の凸部51cを挿入しつつ、フランジ部51b上にフレーム10の内周縁部を重ね合わせる。次に、図6(a)に示すように、カシメ用治具400を上方の位置から下降させつつ、位置決め用の突起部402をツボ型ヨーク5の開口52bに挿入して、凸部51cの上面のカシメ部分の正確な位置決めをする。これにより、凸部51cの上面のカシメ部分と、円錐状の形状をなすカシメ刃401とが接触した状態になる。
次に、図6(b)に示すように、その位置からカシメ用治具400をさらに下降させつつ、カシメ刃401により凸部51cをフレーム10にカシメる。次に、図6(c)に示すように、カシメ用治具400を上方位置に退避させる。こうして、ツボ型ヨーク5がフレーム10に取り付けられ、フレーム10は変形後の凸部51cとフランジ部51bの上面とによって挟持される。
次に、図3に戻り、マグネット6とプレート7とを一体化する(工程S3)。かかる方法について、図7を参照して説明する。図7(a)に示すように、取り付け用治具500は、マグネット6を載せる第1の台座502と、プレート7を載せる第2の台座504とを有する。
図7(b)に示すように、先ず、取り付け用治具500の起立壁503と、マグネット6の外周壁とが密着するように、マグネット6を第1の台座502上に配置する。これにより、取り付け用治具500の中心軸と、マグネット6の中心軸とが一致する。次に、そのマグネット6上に図示しない接着要素を塗布する。次に、取り付け用治具500の起立壁505と、プレート7の外周壁とが密着するように、プレート7を第2の台座504上に配置する。これにより、図7(c)に示すように、取り付け用治具500の中心軸、マグネット6の中心軸、及びプレート7の中心軸が夫々一致した状態で、マグネット6の上面とプレート7の下面とが固着される。次に、取り付け用治具500から一体化されたマグネット6及びプレート7を取り出す。
次に、図3に戻り、ツボ型ヨーク5内に一体化された状態のマグネット6及びプレート7を収容する(工程S4)。具体的には、その製造したツボ型ヨーク5の載置部52aの上面とマグネット6の下面とが重なり合うように、一体化されたマグネット6及びプレート7を配置して、そのマグネット6の下面と載置部52aの上面とを接着要素により固着する。このとき、図示しないギャップゲージにより一体化されたマグネット6及びプレート7とツボ型ヨーク5間に形成される磁気ギャップ20の間隔(隙)を全周にわたって一定にする。そして、その接着要素が完全に乾燥して、一体化されたマグネット6及びプレート7と、ツボ型ヨーク5の載置部52aとが完全に固着することにより本工程が終了する。
次に、その他スピーカ装置100の各種構成部品をフレーム8などに取り付ける(工程S5)。こうして、図1に示すスピーカ装置100が製造される。
本発明の実施例に係るスピーカ装置の断面図を示す。 ツボ型ヨークの平面図及び断面図を示す。 本実施例に係るスピーカ装置の製造方法のフローチャートを示す。 ツボ型ヨークの製造工程の断面図を模式的に示す。 ツボ型ヨークの製造工程の断面図を模式的に示す。 ツボ型ヨークの凸部をフレームにカシメる工程の断面図を模式的に示す。 マグネットとプレートとを一体化する取り付け用治具の平面図等を示す。
符号の説明
5 ツボ型ヨーク
6 マグネット
7 プレート
8 連結部材
9 支持部材
10 フレーム
51 本体部
51a 円筒部
51b フランジ部
51c 凸部
52 底部
D 距離
100 スピーカ装置

Claims (5)

  1. マグネットと、
    前記マグネットを支持する底部と、前記底部から前記マグネットの上面側へ延びる円筒部と、前記円筒部の前記マグネットの下面側の端部から外側に延びるフランジ部とを有するツボ型ヨークと、
    前記マグネット上に配置されるプレートと、を有する磁気回路と、
    前記フランジ部に取り付けられるフレームと、を備え、
    前記フランジ部の上面には凸部が形成されていると共に、前記フレームには前記凸部と対応する位置に開口が形成されており、
    前記凸部は前記開口に挿入され、かつ、前記凸部が変形された状態で前記磁気回路が前記フレームに取り付けられ、
    前記底部には、カシメ装置のカシメ刃と前記凸部のカシメ部位とを位置決めするための開口が形成されていることを特徴とするスピーカ装置。
  2. 前記底部は、前記円筒部及び前記フランジ部と別体成形されていると共に、前記底部の下端は、前記円筒部の内周壁の下端に結合されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  3. 前記フレームは、上端部が変形した状態の前記凸部と、前記フランジ部の上面とにより挟持されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  4. ボイスコイルボビンと、
    前記ボイスコイルボビンの上端近傍に固定され、前記上端近傍から前記ボイルコイルボビンの下端近傍まで延び出てなる連結部材と、
    前記連結部材の下端部と略同一の高さに位置し、前記フレームの第2のフランジ部に配置された支持部材と、
    前記連結部材の下端近傍と、前記支持部材とにより支持されたダンパーと、
    前記ボイスコイルボビンの前記上端部と略同一の高さに位置する前記フレームの第1のフランジ部と、前記ボイスコイルボビンの前記上端部とにより支持された振動板と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスピーカ装置。
  5. マグネットと、
    前記マグネットを支持する底部と、前記底部から前記マグネットの上面側へ延びる円筒部と、前記円筒部の前記マグネットの下面側の端部から外側に延びるフランジ部とを有するツボ型ヨークと、
    前記マグネット上に配置されるプレートと、を有する磁気回路と、
    前記フランジ部に取り付けられるフレームと、を備え、
    前記フランジ部の上面には凸部が形成されていると共に、前記フレームには前記凸部と対応する位置に開口が形成されており、
    前記凸部は前記開口に挿入され、かつ、前記凸部が変形された状態で前記磁気回路が前記フレームに取り付けられ、
    前記底部には、カシメ装置のカシメ刃と前記凸部のカシメ部位とを位置決めするための開口が形成されているスピーカ装置の製造方法であって、
    平板状のマグネットを支持する底部と、円筒部及び前記円筒部の前記マグネット側と反対側の端部から外側に延びるフランジ部を有する本体部とを結合してツボ型ヨークを作製する工程と、
    前記フレームの内周縁に形成された開口に前記フランジ部の上面に形成された凸部を挿入し、前記凸部をカシメ装置で変形することにより前記ツボ型ヨークを前記フレームに取り付ける工程と、を有することを特徴とするスピーカ装置の製造方法。
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