JP4573425B2 - 椅子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子のクッション部分である座を着脱可能にした椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、着座部分にクッションを有する椅子などにおいては、パイプフレームなどで構成された脚部に座受部を設け、この座受部にクッションを有する座を載せて座裏側からビスなどで固定するようにしていることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようにビスなどを用いて座を固定するような構造であると、座面の汚れや破損などに基づいて座を交換するなどのような場合、ビスを取り外して新しい座に交換し、再びビスで固定しなければならないため、その取外作業などに時間を要するという問題を有していた。
【0004】
そこで、本発明は上記問題を解決するためになされたもので、座の取り付け構造を工夫することによって、座を簡単に着脱できるような椅子を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の椅子の一つは上記課題を解決するために、脚部の上方に座を設けたものにおいて、脚部に設けてなり座をスライドさせて座の裏面に設けた座規制部と嵌め合わせることにより座が脚部から上方へ離脱することを防止する第一の規制部材と、弾性変形を利用して前記座に対する着脱を可能にするとともに当該第一の規制部材に取り付けられた座の裏面に設けたリブと嵌め合わされてスライドを規制する溝部を有する第二の規制部材を設けて構成するようにしたものである。
また、本発明の椅子の他の一つは上記課題を解決するために、脚部の上方に設けられた座受部と、当該座受部に支持される座とを有するものにおいて、座受部に設けてなり当該座受部に対して座をスライドさせて座の裏面に設けた座規制部と嵌め合わせることにより座が座受部から上方へ離脱することを防止する第一の規制部材と、弾性変形を利用して前記座に対する着脱を可能にするとともに前記第一の規制部材を介して座受部に取り付けられた座の裏面に設けたリブと嵌め合わされてスライドを規制する溝部を有する第二の規制部材を設けて構成するようにしたものである。
【0006】
このように、弾性変形を利用して、座のスライドを規制する第二の規制部材を着脱可能に設けるようにしたので、従来のようにビスなどを用いることなく、簡単に座の取外作業を行なうことができるようになる。なお、このような座を取り付ける方法としては、前者の椅子のように、脚部に直接上方への離脱を防止する第一の規制部材を設けることも考えられる。しかし、好ましくは、後者の椅子のように、脚部の上方に座受部を設け、この座受部に座が座受部から上方へ離脱することを防止する第一の規制部材を設けるようにすると良い。このように構成すると、座を支持する接触面積を大きく確保することができ、第一の規制部材を取り付ける位置を大きくすることができる。
【0007】
また、このように座をスライドさせて取り付ける方法として、座を直線的にスライドさせて第一の規制部材に座を取り付けることも考えられる。しかし、座をスライド回転させることによって取り付けるようにすれば、直線方向に対する座の抜けを防止することができ、例えば、着座時に生じる前後方向の動きに対する座の抜けやガタつきを防止することができるようになる。
【0008】
更に、このような発明において、座のスライドを規制する方法として、座の裏側にかぎ状の部材を設け、座をスライドさせた場合にこのかぎ状の部材を脚部や座受部に係わり合わせてそのスライドを規制するようにしても良く、また、脚部を弾性片で挟み込むような部材によって座のスライドを規制するように構成しても良い。この場合、特に脚部に対して直接的にこのようなスライドを規制する第二の規制部材を設けると、剛性を有する脚部に対して直接的にスライドを規制することができるので、座をより確実に固定することができる。
【0009】
また、このような第二の規制部材として、椅子の座裏に着脱し得る座裏カバーで構成するようにすれば、この第二の規制部材を目立たせることなく、椅子全体の外観を美しくすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態を示すパイプ椅子Aの外観を示したものであり、図2は、その分解斜視図を示したものである。
【0011】
このパイプ椅子Aは、脚部1と、この脚部1の上部に取り付けられる座受部2と、この座受部2の上部に取り付けられる座3と、この座受部2の中心部分に設けられた座裏カバー4(図2参照)とによって構成されるものであり、このパイプ椅子Aを利用する者によってこの座3を取り替えられるようにしたものである。
【0012】
この脚部1は、二本の金属製パイプを屈曲させて構成したものであり、互いの脚部を直交させてその交叉部分を溶接して固定し、このように屈曲させた脚部の上部水平部分10に座受部2を取り付けるための図示しないネジ孔を設けて、ネジで座受部2を取り付けるようにしたものである。
【0013】
この脚部1に取り付けられる座受部2は、プラスチックなどの合成樹脂によって形成されるものであり、型によって同一の座受部2を大量に生産できるようにしたものである。この座受部2は、内側壁部21aと外側壁部21bとを有する中空円盤状に設けられており、この外側壁部21bを脚部1の上部水平部分10の両端距離よりも内側に設けることによってスタッキングできるようにしている。また、この座受部2は、脚部1の上部水平部分10にこの座受部2を嵌め合わすための凹部20と、外側壁部21bと同一円心上に設けるとともにこれと直交する方向に設けたリブ22と、第一の規制部材たる規制部23とを設けており、この凹部20の上板部20aにネジ24を取り付けて脚部1の上水平部分10に固定できるようにしている。また、この上板部20aのネジ取付部の内側には、座3をスライド回転させて上方へ抜けないようにした規制部23を設けるとともに、脚部1の真上部分にこのような規制部23を設けることによって、規制部23の撓みを防止し、確実に座3をスライド回転させて嵌め合わせることができるようにしている。すなわち、交叉する脚部間にこのような規制部23を設けると、座受部2の撓みなどによって規制部23が同一平面上から外れてしまい、座3をスライド回転させても嵌め合わせることができなくなる可能性がある。従って、かかる不具合を解消するために、脚部1の真上部分にこのような規制部23を設けるようにしている。この規制部23は、上板部20aから一定の隙間を設けて、嵌め合わされた座3の垂直方向に対する離脱を規制するための垂直規制部23aと、脚部1の交叉部分を中心とするいずれか一方の回転方向に対する座3の回転を規制する回転規制部23bとによって構成されており、このように構成された規制部23に座3をスライド回転させて嵌め合わせることができるようにしている。
【0014】
座3は、この座受部2の上部に取り付けられるものであり、図3に示すように、プラスチックなどの合成樹脂によって構成された円形状の座板30と、この座板30の上部に取り付けられるクッション体とによって構成されるものである。このクッション体は、座板30の上面にスポンジ部材を取り付けるとともに、このスポンジ部材を覆うように着座面を構成するカバー31を取り付け、座板30の裏面の外縁近傍部分でそのカバー31の端部を固定するようにしたものである。また、この座板30も、型によって同一形状のものを大量に生産できるようにしたものであり、その裏面に座受部2に設けられた規制部23の位置に対応する箇所に座規制部32を設けるとともに、この座規制部32を設けた位置の内側に、放射状の起立したリブ33を複数設けるようにしている。この座規制部32は、座受部20に設けられた規制部23の垂直規制部23aに対応する垂直規制部32aと、座受部20の垂直規制部23aの先端部分が当たるようにした回転規制部32bとを設けて構成し、図4に示すように互いの規制部23および座規制部32をスライド回転して嵌め合わせることにより、座面垂直方向への抜けを防止するようにしている。また、このようにスライド回転させて座3を取り付けるようにすることにより、着座時に生ずる座中心部分を通る直線方向へのスライドも規制するようにしている。
【0015】
また、第二の規制部材を構成する座裏カバー4は、図2に示すように座受部2の内側壁部21aに沿ってその中空部分に取り付けられるものであり、座受部2などと同様にプラスチックなどの合成樹脂によって構成されるものである。この座裏カバー4は、座受部2の内側壁部21aに沿う壁部40を設けており、この壁部40に脚部1を嵌め合わすための切欠部41を設けている。また、この切欠部41の内側には、座裏カバー4の底板42から起立する弾性片43を脚部1のパイプ径と略同一距離隔てて設け、その先端部分に設けられた突起部44によって、挟み込んだ脚部1を容易に抜け落ちないようにしている。また、この座裏カバーの壁部40には、この座裏カバー4を脚部1に取り付けた場合に座3のリブ33が嵌め合わされる溝部45を設けており、この溝部45によって座受部2に取り付けられた座3のスライド回転を規制するようにしている。
【0016】
次にこのように構成された各部を組み合わせて構成されたパイプ椅子Aの座3を交換する場合について説明する。
【0017】
まず、図1に示すように組み合わされた状態で、座裏に設けられた座裏カバー4と座受部2との隙間部分に指などを引っ掛けて座裏カバー4に引っ張り、弾性片43の挟み込み力に対抗して座裏カバー4を取り外す。すると、図5に示すように、座裏カバー4に設けられた溝部45と座板30に設けられていたリブ33との規制が解除され、座3のスライド回転が許容されるようになる。そして、この状態で、座3を一方向にスライド回転させて座受部2に設けられた規制部23と座板30に設けられた座規制部32との嵌め合わせを外し、座3を上方向に取り外しできるようにする。そして、座裏カバー4を取り外したことによって形成された座受部2の中空部分に下方から手を入れて、座3を上方に持ち上げて座3を取り外す。
【0018】
そして、このように取り外された座3に対して、異なる座3を取り付ける場合、取り外し順序を戻るように、まず、座3を座受部2の上に載せてスライド回転させ、座板30に設けられた座規制部32と座受部2に設けられた規制部23とを図3に示すように嵌め合わせる。そして、座規制部32の垂直規制部32aの先端部分が座受部2に設けられた回転規制部23bに当たるまで回転させた状態で(図5)、座受部2の中空部分に座裏から座裏カバー4を挿入し、対向する弾性片43に脚部1の上水平部分10を挟み込んで取り付けるようにする。そして、この時、座裏カバー4の溝部45に座板3に設けられたリブ33を嵌め合わせて、座3がスライド回転しないようにする。
【0019】
このように、本実施の形態によれば、脚部1の上方に座3を設けたものにおいて、座3をスライドさせてこのスライド方向と異なる方向への離脱を防止する規制部23と、弾性変形を利用して座3に対する着脱を可能にするとともにこの規制部23に取り付けられた座3のスライドを規制する座裏カバー4を設けて構成するようにしたので、従来のようにビスなどを用いることなく、弾性変形を利用してワンタッチで座裏カバー4を取り外し、次に取付方向と逆方向のスライド回転によって座3を取り外すことができるようになる。
【0020】
また、この実施形態においては、脚部1の上方に座受部2を設け、この座受部2に座3を支持させるような構成を採用し、この座受部3に規制部23を設けるようにしたので、座3に対する接触面積を大きく確保することができ、規制部23の取付位置に対して自由度を持たせることができるようになる。
【0021】
また、この実施の形態においては、座3をスライド回転させることによって取り付けるようにしたので、直線方向に対する座3の抜けを防止することができ、例えば、着座時に生じる前後方向への座3の抜けやガタつきを防止することができる。
【0022】
更に、第二の規制部材である座裏カバー4についても、椅子Aの脚部1を挟み込むための弾性片43を設け、この弾性片43によって脚部1を挟み込むとともに座3のスライドを溝部45で規制するようにするようにしたので、剛性を有する脚部1に対して直接スライドを規制することができ、座3に対するガタつきをより確実に防止することができる。また、このように第二の規制部材を、椅子Aの座裏に着脱し得る座裏カバー4によって構成したので、スライドを規制する構造を目立たせることがなくなり、外観を美しくすることができる。
【0023】
なお、本発明は上記実施の形態に限られることなく、種々変更することができる。例えば、上記実施の形態においては、座受部2の上板部20aに規制部23を設けるようにしたが、これに限らず、座受部2のリブに沿って座3のスライド回転を規制するための規制部を設けるようにしても良い。また、本実施の形態においては、座受部2上に座3を取り付けるようにしたが、これに限らず、脚部1の上水平部分10に座をスライドさせて上方への離脱を規制するような部材を取り付け、このように取り付けられた座に対して、そのスライドを規制するように座裏カバーを取り付けるようにしても良い。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0025】
すなわち、本発明の椅子は、脚部の上方に座を設けたものにおいて、座をスライドさせて座の裏面に設けた座規制部と嵌め合わせることにより座が脚部から上方へ離脱することを防止する第一の規制部材と、弾性変形を利用して前記座に対する着脱を可能にするとともに当該第一の規制部材に取り付けられた座の裏面に設けたリブと嵌め合わされてスライドを規制する溝部を有する第二の規制部材を設けて構成するようにしたので、簡単に座の取外・取付作業を行なうことができるようになる。
【0026】
また、脚部の上方に座受部を設け、この座受部に座を支持させるような構成を採用し、この座受部に座が座受部から上方へ離脱することを防止する第一の規制部材を設けるようにしたので、座に対する接触面積を大きく確保することができ、第一の規制部材の取付位置に対して自由度を持たせることができるようになる。
【0027】
更に、座を回転スライドさせることによって取り付けるようにしたので、直線方向に対する座の抜けを防止することができるようになる。
【0028】
また、椅子の脚部を挟み込むための弾性片を設け、この弾性片によって脚部を挟み込むことによって座のスライドを規制するように第二の規制部材を設けるようにしたので、剛性を有する脚部に対するスライドを規制することができ、座のガタつきを防止することもできる。
【0029】
また、このような第二の規制部材として、椅子の座裏に着脱し得る座裏カバーで構成するようにしたので、第二の規制部材を目立たせることなく椅子の外観を美しくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す椅子を組み立てた状態における斜視図。
【図2】同実施の形態を示す椅子の分解斜視図。
【図3】同実施の形態における座の裏面斜視図。
【図4】同実施の形態における規制部の部分拡大図。
【図5】同実施の形態における座受部に座を取り付けた状態の裏面斜視図。
【符号の説明】
A・・・(椅子)パイプ椅子
1・・・脚部
2・・・座受部
3・・・座
4・・・第二の規制部材(座裏カバー)
23・・・第一の規制部材(規制部)
23a・・・第一の規制部材(垂直規制部)
23b・・・第一の規制部材(回転規制部)
32・・・座規制部
32a・・・垂直規制部
32b・・・回転規制部
43・・・弾性片
45・・・溝部
Claims (5)
- 脚部の上方に座を設けた椅子において、脚部に設けてなり当該座をスライドさせて座の裏面に設けた座規制部と嵌め合わせることにより座が脚部から上方へ離脱することを防止する第一の規制部材と、弾性変形を利用して前記座に対する着脱を可能にするとともに当該第一の規制部材に取り付けられた座の裏面に設けたリブと嵌め合わされてスライドを規制する溝部を有する第二の規制部材を設けたことを特徴とする椅子。
- 脚部の上方に設けられた座受部と、当該座受部に支持される座とを有する椅子において、座受部に設けてなり当該座受部に対して座をスライドさせて座の裏面に設けた座規制部と嵌め合わせることにより座が座受部から上方へ離脱することを防止する第一の規制部材と、弾性変形を利用して前記座に対する着脱を可能にするとともに前記第一の規制部材を介して座受部に取り付けられた座の裏面に設けたリブと嵌め合わされてスライドを規制する溝部を有する第二の規制部材を設けたことを特徴とする椅子。
- 前記第一の規制部材が、座を回転スライドさせて当該回転方向と異なる方向への離脱を防止する部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の椅子。
- 前記第二の規制部材が、脚部を挟み込む弾性片を介して脚部に着脱しうる部材であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の椅子。
- 前記第二の規制部材を、座裏に着脱し得る座裏カバーに設けたことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の椅子。
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