JP4572609B2 - 無菌化米飯の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無菌化米飯の製造方法、特に個食炊飯式無菌化米飯の製造方法に関する。
無菌化米飯の製造方法としては現在、大釜ガス炊飯方式、個食釜ガス炊飯方式、個食トレー蒸気炊飯方式の3つの方式がある。大釜ガス炊飯方式は、米を大釜でガス炊飯した後販売用の容器に盛付け、容器を密封する方式である。個食釜ガス炊飯方式は、米を複数の個食釜に計量充填し、ガス炊飯した後容器に移し替え、容器を密封する方式である。また個食トレー蒸気炊飯方式は、米を複数の個食トレーに計量充填し、蒸気炊飯した後トレーをそのまま密封する方式である。これら3方式の無菌化米飯製造方法として、特許文献1〜5等種々の提案がなされている。
これら3つの方式のうち、大釜炊飯方式は、炊飯後大釜の米飯を個々の容器に盛付ける際に計量精度が低く生産効率が悪い上に二次汚染の確率が大きくなるという問題がある。
個食釜ガス炊飯方式は、個食炊飯釜の材質がアルミニウムダイカスト合金等に限定される上にガス炊飯した米飯を個食炊飯釜から容器に移し替えるための反転装置が大型化し、無菌環境がかく乱されるために二次汚染の確率が大きくなるという問題がある。また、ガス炊飯した米飯は、図4の説明図に示すように、個食炊飯釜aの表面(米飯との接触面)bにおいて、飯粒cの炊飯釜表面bに対する付着面付近は乾いた糊状(固化澱粉)dとなっており、この米飯を個食炊飯釜aから容器に移し替えるには個食炊飯釜aを反転装置により反転して炊飯釜aに強い衝撃を与えることにより飯粒cを剥離面eにおいて糊状部分dから剥離し容器内に落とし込むことが必要となる。この衝撃により容器への移し替え時に米飯の形状が崩れ容器の上縁部に飯粒が付着するとその後の密封工程において密封不良が発生するという問題が生じる。
また、個食トレー蒸気炊飯方式は、個食トレーにより蒸気炊飯した米飯を他の容器に移し替えることなく密封するものであるが、容器を密封する前に製品の酸化防止のために容器内の米飯中に含まれる空気を窒素ガス等の不活性ガスによりガス置換する場合に、図5の説明図に示すように、置換ガスは容器fの中央部から上側を図中矢印の方向に流れることにより容器fの下部に置換が充分に達成できない領域gが発生し、このため製品全体としての酸化防止が不充分となり、長期保存した場合に米飯の味覚が落ちるという問題が生じる。また、この方式では容器への移し替え工程がないので、炊飯後の米飯を俵型等に成形することができず不便な場合がある。
特開平9−172992 特開平8−256709 特開平6−046770 特開平5−176693 特開平5−199857
本発明は、上記従来の無菌化米飯の製造方法における問題点を一挙に解決した新規な無菌化米飯の製造方法を提供しようとするものである。すなわち、本発明は、大釜ガス炊飯方式に対しては個々の容器に充填される米飯の計量精度を向上するとともに二次汚染の確率を低下させ、個食釜ガス炊飯方式に対しては、炊飯釜の材質選択範囲を拡大し、簡便な反転装置を使用可能とすることにより二次汚染の確率を低下させ、かつ容器への移し替え時に米飯の形状が崩れることがなく、個食トレー蒸気炊飯方式に対しては、不活性ガスによるガス置換効率が向上するとともに炊飯後に俵型等任意の形状への米飯の成形が可能な無菌化米飯の製造方法を提供しようとするものである。
上記本発明の課題を解決する無菌化米飯の製造方法は、個食炊飯式無菌化米飯の製造において、個食炊飯釜に充填された米を蒸気により炊飯する炊飯工程と、炊飯された米飯を個食炊飯釜から容器へ移し替える容器移し替え工程を有し、該個食炊飯釜は、米飯との接触面に水との接触角が92°以上である撥水性材料で形成した表面を有することを特徴とする。
該撥水性材料で形成した表面はフラクタル的凹凸構造を有することが特に好ましい。
本発明の1側面においては、該容器移し替え工程において、容器内の米飯の収納状態を炊飯時と反転させることを特徴とする。
本発明の1側面においては、容器移し替え工程後容器密封前に不活性ガスによる置換を行うことを特徴とする。
本発明の1側面においては、該容器は容器内の酸素濃度を減少させる機能を有する容器であることを特徴とする。
本発明によれば、個食炊飯方式を採るので、大釜ガス炊飯方式に比べて個々の容器に充填される米飯の計量精度が向上するとともに二次汚染の確率が低下する。
また、本発明においては、個食炊飯釜の表面を水との接触角が92°以上である撥水性材料で形成するので、このような性質を有する多種の樹脂等の材料によって炊飯釜を形成することができ、個食釜ガス炊飯方式に比べて炊飯釜の材質の選択範囲を拡大することができる。また、本発明によれば、個食釜に充填された米飯を蒸気により炊飯することにより、炊飯終了後米飯を容器に移し替える際に、米飯は、ガス炊飯の場合のように飯粒の炊飯釜表面に対する付着面付近において乾いた糊状となることがなく、付着面は澱粉液の状態となっており、飯粒の炊飯釜表面からの剥離は釜表面の濡れ性に依存することになる。そこで、炊飯釜の表面を水との接触角が92°以上である撥水性材料で形成することにより、澱粉液の炊飯釜表面に対する濡れが小さくなり、炊飯釜を反転して米飯を容器に移し替える際に米飯は炊飯釜になんら衝撃を加えなくとも、あるいは僅かな衝撃を加えるのみで、容易に炊飯釜から剥離して容器に落下する。したがって、個食ガス炊飯方式に比べて米飯の形状の崩れを防止することができ、容器の上縁部に飯粒が付着することによる密封不良の発生を防止することができる。
また、本発明によれば、米飯を個食炊飯釜から容器に移し替えることにより、容器の下部の米飯部分においても、飯粒間の隙間が大きくなって、不活性ガスによるガス置換を行う際に置換ガスは容器の下部に存在する米飯の部分にも充分に流れ、個食トレー蒸気炊飯方式に比べて製品全体として充分な酸化防止を達成することができる。また、個食トレー蒸気炊飯方式では不可能であった俵型等任意の形状への米飯の成形が可能となる。
以下添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の1実施形態を示すフロー図である。
本発明に係る無菌米飯の製造方法は、個食炊飯釜を使用する蒸気炊飯工程を有する。このため、洗米、浸漬した生米を複数の個食炊飯釜に所定量だけ計量充填し、加水した後これらの個食炊飯釜を蒸気殺菌室に移送し、蒸気殺菌、蒸気炊飯、むらしを行う。この蒸気殺菌室および蒸気殺菌方法としてはたとえば特開平9−9937号公報記載の装置等公知の装置および方法を使用することができる。
本発明の重要な特徴の一つは、個食炊飯釜として、米飯との接触面に水との接触角が92°を超える撥水性材料で形成した表面を有する炊飯釜を使用することである。この条件を満たす撥水性材料としては、接触角が92°以上であるポリオレフイン系樹脂たとえばポリエチレン(水との接触角θ=92°〜96°)、ポリプロピレン(θ=95°〜98°)やフッ素系樹脂たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(θ=108°〜113°)、FEP(θ=105°)、PFA(θ=115°)あるいはこれらの組み合わせが好適である。個食炊飯釜は全体をこの撥水性材料で形成してもよいし、個食炊飯釜本体を他の樹脂またはアルミニウム合金等の金属性材料で形成し、この釜本体の米飯との接触面を形成する表面のみを上記撥水性材料で被覆するように構成してもよい。
本発明においては、個食炊飯釜に充填された米飯を蒸気炊飯することにより、個食炊飯釜の米飯との接触面は100℃未満に維持され、図2の部分断面図に示すように、飯粒1の炊飯釜2の表面に対する付着面は、澱粉液3の状態となっており、飯粒1の炊飯釜2からの剥離は釜表面の濡れ性に依存することになる。個食炊飯釜の米飯との接触面をこのような撥水性材料で形成することにより、釜表面の濡れ性は極めて小さくなり、米飯を個食炊飯釜から容器に反転して移し替える際に、米飯は、釜に大きな衝撃を加えなくとも剥離面4において容易に剥離し、自重により容器内に落下する。したがって、移し変えに際して米飯の型崩れが生じることがない。
個食炊飯釜の米飯との接触面を形成する釜表面の材料としては、上記の撥水性材料の中で、特にフラクタル的凹凸構造を有するものが好ましい。
ここで、「フラクタル」とは、マンデルブロー(B.B.Mandelbrot)によって名づけられた「非整数次元」をもつ図形の総称である(B.B. Mandelbrot: The Fractal Geometry of Nature, Freeman, (1982)。フラクタル図形には自分自身を何分の1かに縮小した図形が、自分自身の一部になっているという特徴すなわち自己相似性があり、この自己相似性のため、フラクタル図形は非常に凹凸した構造をしている。たとえば2<D<3の非整数次元Dをもつフラクタル図形は、無限に凹凸した表面、あるいは無数の孔のあいた多孔体の形状を呈し、その全表面積は無限大となる。自然界に存在するフラクタルは、自己相似性の成り立つスケール範囲に上限と下限があり、近似的なフラクタルに過ぎないので、その全表面積が無限大になることはないが、それでも非常に大きな値になる。たとえば活性炭やシリカゲルは自然界に存在する物質でこのような近似的なフラクタルを有する物質である。フラクタルを有する物質では、具体的には、フラクタル表面の表面積増倍因子γは(L/l)D-2となる。ここで、Dは表面のフラクタル次元、lとLはそれぞれ自己相似性の成り立つ範囲の下限と上限のスケールを表す。そして、平滑表面上での液体の接触角をθとすると、フラクタル表面上での液体の接触角θはcosθ=(L/l)D-2cosθとなり、フラクタル表面が撥水性物質でできている場合は超撥水現象が発生し、親水性物質でできている場合は超親水性現象が発生する。
本明細書において使用する「フラクタル的凹凸構造」という用語は、上記のような自然界に存在する近似的なフラクタル表面によって形成される凹凸構造を意味するものである。したがって、平滑表面での接触角θが92°である撥水性材料がフラクタル的凹凸構造を有する場合は、その接触角はさらに大きくなり、超撥水性を有する表面となる。本発明においては、炊飯後の米飯を容器に移し替える際に米飯の炊飯釜からの剥離を容易にし、米飯の型崩れを防止するために、個食炊飯釜の米飯との接触面を構成する表面はこのようなフラクタル的凹凸構造を有する撥水性材料で形成することが好ましい。
ポリオレフイン系樹脂やフッ素系樹脂からなる固体の表面をフラクタル的凹凸構造とするには、たとえばサンドブラステイングにより、またはこれらの樹脂に他種の樹脂を混合する等公知の方法により容易に行うことができる。
蒸気殺菌室において蒸気殺菌を終了した米飯を収容した個食炊飯釜は蒸気炊飯室から取り出し、次段の容器移し替え部に移送する。容器移し替え部は公知の個食炊飯釜反転装置を備えており、この反転装置を作動して、個食炊飯釜を反転し、米飯を個食炊飯釜からプラスチックトレー等の米飯販売用容器に移し替える。米飯の移し替えは、このような単なる反転による移し替えだけでなく、たとえば、本出願人が特願2003−284137号により提案したように、米飯をまず個食炊飯釜ごと炊飯部に設置された反転装置によって反転した後個食炊飯釜を飯台部に移送し、この飯台部に設置された反転装置によって個食炊飯釜を反転して米飯を容器に移し替えるようにしてもよい。これによって炊き上がった米飯はその上下を個食炊飯釜における状態と変えることなく容器に移し替えることができる。
容器に移し替えた米飯の長期保存中の酸化を防止するには、窒素ガス等不活性ガスによる米飯のガス置換を行うか、または容器に、容器内の酸素濃度を減少させる機能を持たせることが望ましい。またこれら両方法を併用することもできる。
ガス置換を行うには、容器を容器移し替え部から不活性ガスフロー装置に移送し、不活性ガスを容器のヘッドスペース内に吹き込んでヘッドスペースおよび米飯内の空気をガス置換する。この不活性ガスフロー装置としては多くの公知の装置があり、そのいずれかを使用することができる。容器移し替え部において米飯を個食炊飯釜から容器に移し替えることにより、容器の下部の米飯部分においても、飯粒間の隙間が大きくなって、不活性ガスによるガス置換を行う際に置換ガスは図3に示すように、矢印の方向に流れて、容器5の下部に存在する米飯の部分にも充分に流れ、個食トレー蒸気炊飯方式に比べて製品全体として充分な酸化防止を達成することができる。
ガス置換を終了した容器は次段に配置されたシーラーに移送され、蓋材で容器を密封した後製品として排出される。このシーラーも多くの公知の装置があり、そのいずれかの装置を使用することができる。
なお、殺菌室から個食炊飯釜を容器移し替え部に移送する工程はクリーンルーム等の無菌環境下で実施される。
容器に容器内の酸素濃度を減少させる機能を持たせるには、容器を酸素吸収樹脂で形成するか酸素吸収剤を混入し、または容器に酸素吸収部または酸素吸収層を設ける。
酸素吸収剤ないし酸素吸収樹脂には公知の任意のものが使用可能である。たとえば、鉄系の酸素吸収剤としては、鉄または鉄系化合物からなる鉄粉およびハロゲン化金属の混合物が好ましい。鉄粉としては、酸素吸収反応を起こすものであれば純度等は特に制限なく、例えば、還元鉄粉、噴霧鉄粉、電解鉄粉等の鉄粉、鋳鉄、鋼材等の各種鉄の粉砕物や研削品や、炭化鉄、鉄カルボニル、酸化第1鉄、水酸化第1鉄、珪酸鉄等の鉄系化合物等が用いられる。
鉄系酸素吸収剤の助剤であるハロゲン化金属としては、たとえば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物、臭化物またはヨウ化物が用いられ、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等の塩化物またはヨウ化物が好ましく用いられる。好ましい酸素吸収剤は、鉄粉とハロゲン化金属を含む鉄粉系組成物であり、特に好ましくは、鉄粉にハロゲン化金属を付着させたハロゲン化金属被覆鉄粉系組成物である。
酸素吸収樹脂としては、金属系の酸化触媒と酸化性樹脂ないし酸化性有機成分とを含有するもの、ポリフエノール類、アスコルビン酸類等と塩基性物質とを含有するものとが使用される。
酸化性樹脂ないし酸化性有機成分としては、遷移金属系触媒の作用により、空気中の酸素により酸化を受ける樹脂または有機成分である。
酸化性樹脂としては、(1)ポリプロピレンのように3級炭素を有する樹脂、(2)エチレンー一酸化炭素共重合体のようにカルボニル基を有する樹脂、(3)MXD6等ベンゼン環を有するポリアミド樹脂、(4)ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびこれらの共重合体のように、主鎖に不飽和二重結合を有する樹脂、(5)シクロヘキセン基等のような不飽和二重結合を側鎖に有する樹脂、(6)ポリシクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系樹脂等が使用される。酸化性有機成分としては、(7)アスコルビン酸、(8)システイン等が挙げられ、これらは炭酸ナトリウム、酢酸カリウム等の塩基性物質との共存下で、水分を吸収し、酸素を吸収する。
金属系の酸化触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族の金属化合物が好ましいが、他に銅、銀等(第I族)、錫、チタン、ジルコニウム等(第IV族)、バナジウム(第V族)、クロム等(第VI族)、マンガン等(第VII族)の金属化合物を挙げることができる。これらの金属化合物の中、コバルト化合物は、酸素吸収速度が大きく、特に好適である。遷移金属触媒は、上記遷移金属の低価数の無機酸塩あるいは有機酸塩あるいは錯塩の形で一般に使用される。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例について説明する。図1は米の浸漬から、密封までの工程を示したものである。浸漬までは、定法通り、脱穀、精米を経て、洗米を行った。通常の炊飯と同じく約30分の浸漬を行い、水分含量約27%の米を調製した。次に、炊飯釜に投入する一人前の米を分取計量した。炊き上がり量200グラムを予定して、一人前は97グラムの浸漬米とした。
この米をステンレス製の笊に入れ、水蒸気を当てて米表面の殺菌を実施した。この殺菌装置は、レトルト形状の圧力釜で、中に浸漬米を入れた笊を保持する構造を有している。加熱に蒸気を用いる高温短時間レトルトにより、殺菌を行う。蒸気は食品用のボイラーから供給される。蒸気供給バルブと排気バルブの開閉により、殺菌釜内の温度調節を行う。このときの殺菌温度は145℃で保持時間は8秒とした。表面殺菌価は、相対的に昇温が難しい底部においてもBacillus subtilis菌芽胞を対象に6Dを確保した。このときの重量は102gに増加していた。
殺菌を終えた米は、別途、加熱殺菌を行って無菌化された炊飯釜に移した。この炊飯釜は2mmのポリプロピレン・シートから溶融成形したもので、内面にはガラスブラストによりフラクタル的凹凸構造を形成させたものである。殺菌米を入れた後、これに通常の熱交換器により殺菌した炊き水を92g注入した。炊き水の温度が高くなると炊飯時間は短縮できるが、70℃を越えた水温では、芯の残る米飯となるので、60℃以下まで冷却した炊き水とした。殺菌米102gと炊き水92gとでは、合計重量が200gに満たないが、不足分は加熱蒸気の凝縮水によって補われる。
炊飯には同一出願者による特開2004−173518号に示す連続無菌炊飯装置の炊飯工程部分を分離した装置を使用した。公報に示した装置では、炊飯部分とガス置換シール部分が一体化しているが、炊飯部のみ切り離す設計が可能である。特に加圧装置を用いない蒸気炊飯ではあるが、容器の底面に当たるように蒸気が吹き出し、容器とトンネル底部によって構成される空間においては、僅かに100℃を越える温度まで上昇するが、容器上面の温度が97℃程度であるので、容器内に弱い対流が発生する。このことにより、米粒が攪拌され、溶出澱粉による飯粒の照りや粒立ちの良い米飯の炊飯が可能となる。このときの炊飯時間は27分とした。
炊飯が終了すると、ただちに炊飯釜から販売用容器へ移し替えた。容器は、ポリプロピレンを主材に、エチレンビニルアルコール共重合体層と還元鉄を主とした脱酸素剤を含むポリプロピレン層で構成され、その口径サイズは部位により異なるが、炊飯釜内径より2ないし4mm大きい。移し替えには、炊飯釜に容器を蓋の様に被せ、素早く反転して、軽く衝撃を与えることにより行った。このとき、炊飯米と炊飯釜内面との間には、澱粉液が存在し、この操作による炊飯釜に残った米粒の数は7個以下であり、移し替えられた米飯の形崩れも軽微なものであった。
容器に移した後は、窒素ガスでヘッドスペースの空気を置換し、密封した。シール装置は、これも同一出願者による特開2004−059008号に示す装置を米飯容器用に形を合わせたものを使用した。シール後は空冷水冷により、室温近くまで冷却された後、外装段ボールに詰めて製品とした。
この製品の残存酸素濃度を、密封30分後に測定したところ、平均して0.12%であった。この製品の1ヶ月後の容器内酸素濃度を測定したところ、0.07%を保っていた。
比較例1
実施例と同様の製法で、炊飯後の移し替え工程を省略できる方法を用いた。脱穀、精米から浸漬米表面の殺菌工程までは、全く同一であるが、殺菌した米を移したのは専用の炊飯釜ではなくて、販売用の容器とした。炊き水の量や炊飯条件も実施例と同一とした。炊飯終了後、他の容器に移し替えることなく、ガス置換とシールを行ったが、残存酸素濃度は平均して0.21%であった。また、炊飯中に、脱酸素剤が消費されるために、1ヶ月後の容器内酸素濃度も0.16%と実施例より劣っていた。
比較例2
実施例における炊飯装置の熱源をガスとした。熱源がガスであるので、炊飯釜は、ステンレス釜の内面にテフロン・コーティングを施している。殺菌後の移し替え工程までは、同一であるが、炊飯釜に入れた後は、これもステンレス製の蓋を置き、ガスオーブンに入れた。ガスオーブンの温度は最初の8分を160℃に設定し、その後の18分を230℃に設定した。炊飯後、販売用の容器を被せ、反転して移し替えを試みたが、炊飯釜と米飯との間が乾いた糊状になっていたためか、米飯の形状が崩壊して、7から8割程度しか移し替えることができなかった。
本発明はトレー等の容器に充填して販売される無菌化米飯の製造に適用することができる。
本発明の1実施形態を示すフロー図である。 本発明の方法で使用される個食炊飯釜の米飯と接触する表面の状態を示す説明図である。 本発明の方法によるガス置換の状態を示す説明図である。 従来の方法で使用される個食炊飯釜の米飯と接触する表面の状態を示す説明図である。 従来の方法によるガス置換の状態を示す説明図である。

Claims (5)

  1. 個食炊飯式無菌化米飯の製造において、個食炊飯釜に充填された米を蒸気により炊飯する炊飯工程と、炊飯された米飯を個食炊飯釜から容器へ移し替える容器移し替え工程を有し、該個食炊飯釜は、米飯との接触面に水との接触角が92°以上である撥水性材料で形成した表面を有することを特徴とする無菌化米飯の製造方法。
  2. 該撥水性材料で形成した表面はフラクタル的凹凸構造を有することを特徴とする請求項1記載の無菌化米飯の製造方法。
  3. 該容器移し替え工程において、容器内の米飯の収納状態を炊飯時と反転させることを特徴とする請求項1または2に記載の無菌化米飯の製造方法。
  4. 容器移し替え工程後容器密封前に不活性ガスによる置換を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無菌化米飯の製造方法。
  5. 該容器は容器内の酸素濃度を減少させる機能を有する容器であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の無菌化米飯の製造方法。

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