JP4572435B2 - 鉄含有物からの還元鉄の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含有物から還元を製造する方法に関し、とくに加熱炉内の炉床上、とりわけ炉床が水平方向に移動する炉の炉床上に堆積させた含有物を、その炉床が移動する間に加熱還元して還元を連続的に製造する方法について提案する。
【0002】
【従来の技術】
還元金属たとえば鋼は一般に、転炉か電気炉にて製造されるのが普通である。
このうち、電気炉法は、スクラップや還元鉄を、電気エネルギーを使って加熱溶融し、場合によっては、さらに精錬することにより鋼にしている。ただし、近年、スクラップ需給が逼迫していること、および、より高品質の鋼への要求が高くなってきたことから、スクラップに代えて還元鉄を使用する傾向が見られる。
【0003】
こうした要請に応えられるべく開発された還元鉄製造プロセスのひとつとして、水平方向に移動する炉床上に、鉄鉱石と固体還元剤とを装入し、上方から輻射伝熱によって鉄鉱石を加熱, 還元することにより還元鉄を製造する、移動炉床炉法が知られている (特開昭63−108188号公報) 。この方法の実施に際して用いられる移動型炉床炉は、図示されているように、炉床が水平に移動する過程で装入原料を加熱できる形式の炉であり、水平に移動する炉床が、図1に示すような環状 (旋回) 移動する形式をとるのが普通であり、この形態の移動型炉床炉を通常、回転炉床炉とも呼んでいる。
【0004】
上記の回転炉床炉は、図1(a)に示すように、原料の供給側から排出側に向かって、予熱帯10a、還元帯10bおよび冷却帯10dに区画された環状の炉体10を有し、その炉体内に環状の炉床11を回転移動するように配設した構成を有するものである。その回転する炉床11上には、図1(b)に示すように、たとえば鉄鉱石と固体還元剤との混合物からなる原料2が装入される。その原料としては、炭材内装ペレットが好適に用いられる。この炉床11は、表面に耐火物が施工してあるが、たとえば粒状耐火物を堆積させたものであってもよい。そして、この炉体10の上部には、バーナー13が配設してあり、このバーナー13を熱源として、炉床11上に堆積させた鉄鉱石等の金属含有酸化物を還元剤介在の下に加熱還元し還元鉄を得るようになっている。なお、図1において、符号14は原料を炉床上へ装入する装入装置、符号15は還元物を排出する排出装置である。
【0005】
上記の移動型炉床炉の操業は、炉体10内の雰囲気温度を通常、1300℃程度に保持するのが普通であり、還元処理が終了した後の還元生成物 (還元鉄) は、炉外での酸化防止とハンドリングを容易にするために、回転する炉床11上の冷却帯10dにおいて冷却した上で炉外に排出する方法によって行われる。
【0006】
従来、上記移動型炉床炉の操業に当たっては、原料として、炭材を内装したペレットが用いられている。この炭材内装ペレットは、特開昭63−108188号公報にも開示されているように、還元に必要な酸化鉄に対する炭素の量を、化学量論的必要量よりも多く含有するものである。これは、酸化鉄の還元および還元後の再酸化防止の観点から決定されている。
【0007】
また、この移動型炉床炉の操業における他の問題は、使用原料が厳選されるということである。即ち、一般的な金属含有物、例えば鉄鉱石は、その産地によって差はあるものの、多くの脈石成分を含み、一方、固体還元剤の代表例である石炭、石炭チャー、コークスにも灰分が含まれている。ところが、移動型炉床炉というのは、主として還元処理のみを行う炉であるから、生成する還元鉄中には脈石の混入が不可避に生じ、さらに還元剤に含まれる灰分をもこの還元鉄に付着残留することから、高品位のもののみを使用しなければならないという問題があった。
それは、脈石や灰分を多く含む還元鉄を原料として電気炉の操業を行うと、スラグ塩基度調整のための石灰使用量を多くしなければならず、石灰使用量の増加によるコストの増加とともに、石灰の滓化に必要な熱量増加に伴う電力使用量の増加を余儀なくされるからである。
【0008】
要するに、従来の移動型炉床炉の操業では、できるだけ脈石成分の少ない高品位鉄鉱石を使用し、また還元剤についても灰分の少ないものを使用することが必須となっていたのである。しかし、最近では、鉄鉱石や石炭資源の枯渇や性状の変化に伴い、より低品位のものも使用しなければならず、こうした問題点の解決が焦眉の急務となっているのが実情である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような理由から、移動型炉床炉の操業においても、金属成分と脈石成分などを効果的に分離する技術が必要になってきている。例えば、金属成分と脈石成分を分離するには、還元鉄から脈石や灰分を溶融分離することが有効である。つまり、還元鉄を溶融してメタルを生成させるとともに、脈石分や灰分は滓化してスラグを生成させる方法である。
【0010】
ただし、還元鉄を炉床上で溶融させるということは、溶融メタルが炉床耐火物に融着したり微細な割れ目等に侵入し、凝固後のメタル排出時に、炉床耐火物を損傷させるといった問題が生じる。とくに、移動型炉床炉の内部は、鉱石還元のためにかなり高温であることから、高温用の高価な耐火物が用いられており、さらには、特開昭63−108188号公報に開示のように、粒状耐火物で被覆された状態になっている。従って、炉の安定操業を確保し、製品の製造コストを抑えるためには、この炉床耐火物を長期に渡って損傷しないようにしなければならないという制約がある。
【0011】
そこで、本発明の主たる目的は、炉床上で生成した還元生成物の速やかな溶融を実現してメタルとスラグとの分離を促進し、かつこれらの炉外へ排出が容易にできるようにすることにある。
本発明の他の目的は、含有物から還元を、高い生産性を達成しつつ簡便に製造するための技術を確立することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上掲の目的を実現するために鋭意研究した結果、発明者らは、下記の要旨構成にかかる本発明を開発するに到った。
即ち、本発明は、移動型炉床炉の加熱炉内において水平方向に移動する炉床上に、含有物および炭素を含有する固体還元剤を含む原料を堆積させ上方からの輻射伝熱によって該鉄含有物を加熱することにより還元を得るに当たり、前記原料中に含まれる固体還元剤中の炭素の含有量を、鉄含有物の還元に必要な理論炭素量よりも少ない量とし、該原料の昇温に伴って起こる還元反応の途中において少なくとも一度はこの原料を溶融状態に導き、その後、冷却して塊状の還元を回収することを特徴とする含有物からの還元の製造方法である。
【0013】
また、本発明は、移動型炉床炉の加熱炉内において水平方向に移動する炉床上に、含有物および炭素を含有する固体還元剤を含む原料を堆積させ上方からの輻射伝熱によって該鉄含有物を加熱することにより還元を得るに当たり、前記加熱炉の炉床上に固体還元剤を装入し堆積させたのち、その固体還元剤の層の上に、含有物の還元に必要な理論炭素量よりも少ない量の炭素を含有する固体還元剤を含む前記原料を装入して積層し、該原料の昇温に伴って起こる還元反応の途中において少なくとも一度はこの原料を溶融状態に導き、その後、冷却して塊状の還元を回収することを特徴とする含有物からの還元の製造方法である。
【0014】
さらに、本発明は、移動型炉床炉の加熱炉内において水平方向に移動する炉床上に、含有物および炭素を含有する固体還元剤を含む原料を堆積させ上方からの輻射伝熱によって該鉄含有物を加熱することにより還元を得るに当たり、前記加熱炉の炉床上に、固体還元剤を装入堆積させるとともに、その固体還元剤の層の表面に複数の凹部を形成したのち、その凹部つき固体還元剤の層の上に、含有物の還元に必要な理論炭素量よりも少ない量の炭素を含有する固体還元剤を含む前記原料を装入して積層し、該原料の昇温に伴って起こる還元反応の途中において少なくとも一度はこの原料を溶融状態に導き、その後、冷却して塊状の還元を回収することを特徴とする含有物からの還元の製造方法である。
【0015】
なお、本発明において、上記含有物としては、鉄鉱石、砂鉄、還元鉄粉、製鉄ダスト、ステンレス精錬ダスト、製鉄スラッジなどの鉄分、Ni分、Cr分、Zn分、Pb分などの金属を含有する含有物などを使用する。
また、固体還元剤としては、石炭チャー、コークス、一般炭、無煙炭などの炭素含有材料を主として使用する。これら含有物および固体還元剤はそれぞれ単一種類のものを使用してもよいし、また、各々2種以上のものを混合して使用してもよい。このような含有物と固体還元剤を混合して炉床炉用原料とする。
なお、上記原料中の製鉄ダストや製鉄スラッジなどのように、十分な炭素分を含有する含有物の場合、固体還元剤を混合することなくそのまま使用することもできる。また、原料中には、溶融時に還元鉄や灰分の溶融を容易にするために必要最小限の副原料を添加してもよい。このような副原料としては、石灰石、螢石、蛇文岩、ドロマイトなどが使用できる。さらに、かかる原料は、ブリケットやペレットなどのように塊状化したものを用いてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
一般に、原料中に含まれる金属含有物は、固体還元剤とともに加熱され昇温すると、通常、約1000℃以上の高温では次のような反応によって還元される。
MOy+yC → M+yCO ……(1)
Y=ΣXMOx/100 ……(2)
ここで、上記(1) 式中のMは、Fe, Cr, Ni, Zn, Pbなどの被還元金属、
:(1) 式で1molの金属酸化物MOyの還元に必要な炭素の化学当量(mol)
MOx:原料中に含まれる金属酸化物の割合(mol%)
Y:原料1mol を還元するのに必要な炭素の化学当量(mol)
【0017】
上記移動型炉床炉内での反応についても、上記(1), (2)式に従うと考えられるので、原料中に含まれる金属含有物を還元して被還元金属を得るのに必要な理論炭素量;即ち化学当量は、(1), (2)式から求めることができる。なお、固体還元剤は、通常は揮発分を含んでいるが、1000℃まで昇温される間に揮発してしまうため、(1) 式の反応に寄与しない。従って、原料中に含まれる固体還元剤の揮発分中の炭素は、還元に使用される原料中の炭素の量に含まない。
【0018】
また、本発明の他の実施形態として、上記原料以外の固体還元剤を炉床上に敷き詰めて堆積させた場合もまた、基本的には上記(1), (2)式に従って反応すると考えられる。
炉床に装入する固体還元剤は、上記原料中に内装するものと同じでも良いし、それとは別種の固体還元剤を使用してもよい。また、上掲の各種固体還元剤のうち、一種あるいは二種以上を混合したものを用いてもよい。
なお、固体還元剤層の上に装入し堆積させる金属含有物は、炉内からの伝熱を直接、十分に受けて熱的に効率の良い処理が行われる。しかも、固体還元剤層上の金属含有物が加熱されて溶融すると、メタルとスラグとの分離が比較的円滑に行われ、各々の表面張力によりメタルおよびスラグのそれぞれに凝集しやすい。
さらに、もし上記固体還元剤層の表面に凹部を形成した場合には、前記表面張力により生成したメタルおよびスラグが固体還元剤層表面の複数の凹部内に集まり、その内部に収容されるので、メタルとスラグの分離はより一層速やかに行われる。
【0019】
なお、ここでいう溶融現象とは、原料中に含まれる有価金属を含有する粉が1粒子として溶融するだけでなく、個々の粒子が溶融することによって不定形となり、いくつかの粒子が凝集して、元の粒子が区別できなくなる状態を意味する。
通常、原料の体積に対して、溶融したメタルおよびスラグの体積は10〜60 vol%程度に収縮するので、炉床上に積まれた固体還元剤層の表面に形成された凹部の内部空間の総体積に対して、10倍程度までの量の原料を堆積させることができる。即ち、固体還元剤層の表面に凹部を形成する場合、形成された凹部内に流入してその凹部を充満するに足る程度のメタルおよびスラグが生成する量の原料を堆積させることができる。
【0020】
以下、移動型炉床炉の炉床上に直接、含有物の他に固体還元剤をも内装してなる原料を装入し一定の厚みに堆積させ、そして原料中の含有物を加熱還元する過程において少なくとも一度は溶融状態に導く操業を行うことで、還元生成物からメタルとスラグとを分離生成させることにより、品位の高い還元鉄(メタル)を、高い生産性を達成しつつ製造する方法について詳述する。
この例については、原料中に内装する炭素含有量を含有物の還元に必要な理論炭素量の50〜90mass%と少なくした点に特徴がある。つまり、必要量よりも不足ぎみの固体還元剤と含有物とからなる混合物、または含有物と同じように少ない量の固体還元剤と副原料とからなる混合物を原料とし、これらの原料を炉床上で還元し、引き続きその還元物を溶融状態にまで導くことを基本としている。
【0021】
即ち、上記原料を移動型炉床炉のその炉床上に装入堆積させた後、炉内の上方から加熱する。そうすると、原料中の含有物は共に混合し内装した固体還元剤の作用により原料内部において還元が進行し、内部に脈石を含んだままの還元生成物になる。この還元生成物は、原料中に含まれる固体還元剤の量によっても還元率が異なるが、還元途中のものである。また、この還元生成物の中には固体還元剤中の灰分も含まれている。なお、原料の配合方法および用いた含有物、固体還元剤によっても異なるが、一般には原料中の固体還元剤が還元反応により消費されるため、還元生成物の体積は出発原料に比べ減少する。
【0022】
ここで、副原料は、還元生成物の溶融を容易ならしめるために加えられるものであって、石灰石、螢石、蛇紋岩、ドロマイトなどが用いられる。これらは溶融する前までに結晶水の蒸発、一部の分解反応 (例えば、石灰石の主成分であるCaCoはCaOに熱分解される) を起こすものの、固体を維持している。
【0023】
そして、さらに加熱を続けると、前記還元生成物、灰分あるいは副原料は溶融を開始すると同時に、残る固体還元剤によってさらに還元されて、メタルおよびスラグに分離する。
本発明において、原料中に含まれる炭素含有量を含有物の還元に必要な量よりも少なくする理由は、還元生成物の溶融を速め、メタルとスラグの分離を促進するとともに、高い生産性を達成することにある。以下、このことについてさらに詳しく説明する。
【0024】
そこで、原料中に含まれる炭素含有量が還元生成物の溶融現象に及ぼす影響について、実験結果に基づいて説明する。
まず、含有物として、粒径:2mm以下に整粒した鉄鉱石粉を用い、固体還元剤として粒径:2mm以下に整粒したコークス粉を用い、これらを混合して原料となる、平均粒径:0.5mmの混合粉を得た。使用した粉鉄鉱石およびコークス粉の組成をそれぞれ表1,2に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0004572435
【0026】
【表2】
Figure 0004572435
【0027】
そして、鉄鉱石粉とコークス粉との割合を種々変えた混合粉を、図2に示すような実験装置内に装入し、1480〜1500℃に一定時間加熱保持して還元し、少なくとも一部は溶融した状態にしたのち取り出し、還元生成物の状態を調査した。
この実験装置の炉床面積は0.25mであり、実験は装入する鉱石量を一定にして、混合する粉コークスの量を変えて行ったものである。なお、図2において、炉床11は昇降装置16により炉内10に迫り上がり、炉床11上に積層された原料混合粉2aは、バーナ13の燃焼熱により昇温し、移動炉床等と同様の熱履歴が受けられるように構成したものである。
【0028】
上記実験の結果を図3に示す。この図から明らかなように、内装還元剤 (粉コークス) の量が当該原料中の金属含有物の還元に必要な量付近では、原料中の粉コークスの量が減少するにつれて、還元生成物が溶融するまでの時間が短くなっていることがわかる。即ち、原料中の粉コークスの量は少なくした方が、原料を速やかに溶融できるということを意味している。そして、このことはまた、還元途中もしくは還元後に残っているコークス粉というのは、たとえ高温域にあっても固体の状態を維持していることから、金属含有物粒子が溶融した場合にこれらが互いに融着するのを妨げるように作用して溶融を遅延させることを意味するものである。しかも、このような作用は、原料粒子 (成形体粒子) が小さいほど、特に、平均粒径の小さい製鉄ダストなどを原料中に含む場合に顕著である。
なお、原料中のコークス粉の割合が過度に低い場合、溶融物の還元に時間がかかるようになる。したがって、原料中の固体還元剤 (コークス粉) の量は、金属含有物の還元に必要な量の50〜90mass%程度、好ましくは50〜75mass%程度とすることが好ましい。
【0029】
なお、鉄鉱石粉の形態や含有するコークス粉の量により溶融するまでの時間に差が生じ、このことが、生産性の変動要因になる場合がある。そこで、このような変動を抑える意味で、内装還元剤とは別に、追加的な還元剤の装入や、予め還元剤の一部を炉床上に堆積させるという方法の採用は有効である。これらの方法では、還元生成物が一旦溶融した後、固体還元剤と活発に反応するようになるため、還元速度は原料が固体の状態のときよりも一層速くなる。したがって、溶融時の還元率が低くてもメタルやスラグの分離までの時間は短くなるため、却って生産性は高くなると考えられる。
【0030】
ところでもし、上述した本発明方法と異なり、原料中に内装する固体還元剤 (コークス粉) の含有量を金属含有物の還元に必要な量よりも多くした場合、加熱炉、とくに回転炉床炉内では還元生成物の溶融が困難となり、却って製品還元率が低下し、さらには炉内での再酸化防止も不十分になる。しかも、金属酸化物の還元は進行するもののメタルとスラグの分離ができなくなり、いわゆる還元鉄から脈石成分を取り除くことができなくなる。一方でもし、このような状態で還元生成物を溶融させるとしたら、図3からわかるように、時間が著しくかかるため、生産性が低下するという問題がある。
【0031】
これに対し、本発明に従い、原料を移動型炉床炉内で少なくとも一度は溶融させると、Fe、Cr、Niなどの金属は塊状化するために、溶融せずに粉状でいるよりも表面積は小さくなって、著しい再酸化は阻止される。この意味において、原料中に含まれる固体還元剤の量は含有物の還元に必要な量に比べて少なくすることで、溶融までの時間を短くすることができ、さらにはメタルとスラグの分離を効果的に実現して、高い生産性を確保することができるようになる。
【0032】
なお本発明は、固体還元剤を内装した原料を用いる場合において、固体還元剤を原料とは別に移動型炉床上に装入堆積させる方法であってもよい。この場合、炉床上に堆積させる固体還元剤の層は、原料(含有物)が溶融するまでは、互いに混合していないため、そのほとんどは還元剤としての本来の役割を果たしておらず、いわゆる揮発分が失われる以外、ほとんど変化しない。なお、一般的な固体還元剤には、灰分が10%程度含まれているが、残部の大半は炭素質であり、1000〜1500℃程度の高温になっても固体状態を維持する。
従って、この実施形態の特徴は、溶融生成物が炉床に接触しないのはもちろん、固体還元剤自体が炉床耐火物に溶着するようなことがない点にある。つまり、この例では、この固体還元剤層が耐火物保護層となるということである。もちろん、この固体還元剤層上に積層堆積させた原料(含有物)が溶融した後は、金属含有物と固体還元剤との混合が起こるので、還元反応が急速に進行し、還元剤としての本来の役割を果たすようになる。したがって、この実施形態に係る本発明方法では、基本的には還元途中の原料が溶融した後に、追加的な固体還元剤の供給は必要がないと言える。
【0033】
本発明のさらに他の実施形態としては、上記の方法において、固体還元剤層の表面に、凹部を形成しておく方法が考えられる。この場合、メタルおよびスラグは、溶融物の表面張力および重力の作用によって、かかる固体還元剤層の凹部内に集まり、固体還元剤層上に凹部単位ごとに分割された状態でメタル, スラグが維持される。この場合において、溶融メタルおよび溶融スラグの体積は、原料である混合物の10〜60%の体積しかないため、溶融メタルおよび溶融スラグ同士が互いに接触して融着することがないようにすることが可能となる。
【0034】
この点に関しては、溶融メタルや溶融スラグは、その比重が固体還元剤のそれよりも大きいため、溶融メタル、溶融スラグが固体還元剤の層の下に潜り込むことが考えられる。しかし、含有物と固体還元剤との混合物(または含有物および副原料と固体還元剤との混合物)を、表面に凹部を形成した固体還元剤層上に積み上げて還元したのち溶融させるため、溶融メタルや溶融スラグは一つ一つが小さなものであり、表面張力の作用によって、固体還元剤層の上に保持されたままの状態になる。そして、この状態で炉床、とくに移動炉床上の冷却帯で溶融メタルや溶融スラグが冷却されると、脈石および灰分が分離したメタルとスラグとが固体還元剤層上において、該固体還元剤層表面の凹部単位毎の塊になる。かくして、凝固したメタルおよびスラグは下層の固体還元剤層の存在によって炉床からは離れた位置に保持され、一つ一つが小さな塊になることから、炉外への排出が容易になる。
【0035】
これに対し、固体還元剤層表面を平滑に形成した場合は、溶融メタルおよび溶融スラグは固体還元剤層の上に保持され、溶融メタルおよび溶融スラグによって炉床の耐火物が損傷されることはないが、冷却後のメタルおよびスラグは固体還元剤層の上で小さく分割されることはなく、連続的に繋がった大きな塊を形成する場合があり、メタルを炉外に排出するのが困難になることがある。
【0036】
なお、炉内の炉床から排出されたスラグおよびメタルは、例えば、炉外において磁力や風選によってメタルとスラグの分離を行ったり、スラグとメタルとの密度差を利用して選別したりすることにより、分別回収する。
【0037】
【実施例】
この例は、直径2.2mの回転テーブル上に、アルミナ系耐火物を取付けた炉床と、その炉床上を炉体にて覆うと共にバーナーを設置してなる図4に示すような回転炉床炉を用いて、還元鉄を製造する操業例である。
図4に示す回転炉床炉は、予熱帯10a、還元帯10b、溶融帯10cおよび冷却帯10dに区画されている。また、この回転炉炉床上には、鉄含有物と固体還元剤とを含む混合物を堆積した原料層が形成されている。図4において、符号17は、還元鉄を冷却して取り出すために排出口前に設置した冷却器である。この炉の操業において、メタルは、排出装置15で排出した後、磁石によってスラグと分離し、磁石に付いたものを製品とした。炉内の予熱帯10a〜冷却帯10d間の温度パターンは変更せず、排出装置15の位置でのスラグ、メタルの分離状況を確認し、分離が十分できる速度に回転炉床の回転速度を設定した。
また、炉の供給口における原料の積み付け方法は、回転炉床11上に、装入装置14により、図5〜図7に示すような積層条件(3種類の条件)で炉床上には別に固体還元剤の層を形成し、かつその含有物および固体還元剤などの原料を積み付けた。
即ち、炭材内装原料を炉床上に直接装入する例(図5)、炉床上に平滑な固体還元剤層1を形成し、その上に含有物2を積層した例(図6)、そして、固体還元剤層の表面に凹部を形成した例(図7)である。なお、前記凹部は、固体還元剤層を積み付けた後に表面に凸部のあるローラーを押し付けることによって形成した。
また、原料としての含有物としては、脈石分(SiO、AlO等)を7mass%以上含有する、表1に示す成分組成の鉄鉱石を用い、そして固体還元剤には灰分を6〜11mass%含有する、表2に示す成分組成のものを用いた。これらは篩い目1mm以下に調整して用いた。また、場合によっては、原料として表3に示す高炉ダストも使用した。
【0038】
【表3】
Figure 0004572435
【0039】
以上の条件で行った操業結果を、表4に示す。表中のNo.1〜7は、本発明の適合例である。いずれの条件においても生産性の著しい低下もなく、脈石、灰分がほとんど除去された還元鉄を回収できた。
なお、No.1の例(内装炭材を利用するもの)では、原料中に含まれる固体還元剤のみでは含有物を完全に還元することはできない。そこで、回転炉床炉の溶融帯で溶融還元生成物の上方から固体還元剤を追加装入する方法により還元した。また、このNo.1の方法では、炉床上に固体還元剤の層がないため、炉床耐火物と溶融物が直接接触して固着したため、破砕機により製品を破砕して取り出すケースも見られた。
No.2および3の例(表面が平坦な固体還元剤層)は、還元に必要な還元剤について固体還元剤層により供給する方法である。この方法では、製品(還元生成物)形状の制御はされなかったので、一部において300mmを超えるような大きな塊も生成したが、固体還元剤層の存在により炉床耐火物は保護されており溶融物が固着することはなかった。また、製品への鉄回収率が97.8%以上と高い状態で回収することができた。
次に、炉床の上に固体還元剤の層を設け、しかもその表面に凹凸をつけたNo.4〜7の例では、溶融スラグと溶融メタルが固体還元剤表面の凹部内に凝集して50mm程度の大きさの小塊となって分離したので、その形態のまま容易に炉外へ排出することができ、破砕機は全く不必要であった。
No.8および9の例は、比較例である。これらの例では、原料中のC量が還元に必要な量を超えて含まれていたため、還元物が溶融するまでに時間がかかり、生産性が低下した。特に、No.9の例では、原料に高炉ダストを使用したため、原料の粒径が小さく、著しく生産性が低下した。
【0040】
【表4】
Figure 0004572435
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、簡素な設備を用い、含有物と固体還元剤の混合物(原料)から、脈石や灰分の混入の極めて少ない還元、すなわち電気炉等で精錬する際の原料として評価の高い還元を、生産性を低下させることなく得ることができる。しかも、簡単な設備で円滑な操業を確保できると共に、設備の損傷機会も少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】移動型炉床炉の説明図である。
【図2】固体還元剤の配合率の実験で使用した加熱炉の説明図である。
【図3】原料中の固体還元剤と保持時間に対して還元物が溶融する範囲を示した図である。
【図4】実施例で用いた移動型炉床炉の説明図である。
【図5】実施例で採用した原料積層条件の説明図である。
【図6】実施例で採用した原料積層条件の説明図である。
【図7】実施例で採用した原料積層条件の説明図である。
【符号の説明】
1 固体還元剤層
2、2a 原料
4 メタル
5 スラグ
10 炉体
10a 予熱帯
10b 還元帯
10c 溶融帯
10d 冷却帯
11 炉床
13 バーナー
14 装入装置
15 排出装置
16 昇降装置
17 冷却装置

Claims (3)

  1. 移動型炉床炉の加熱炉内において水平方向に移動する炉床上に、含有物および炭素を含有する固体還元剤を含む原料を堆積させ上方からの輻射伝熱によって該鉄含有物を加熱することにより還元を得るに当たり、前記原料中に含まれる固体還元剤中の炭素の含有量を、鉄含有物の還元に必要な理論炭素量よりも少ない量とし、該原料の昇温に伴って起こる還元反応の途中において少なくとも一度はこの原料を溶融状態に導き、その後、冷却して塊状の還元を回収することを特徴とする含有物からの還元の製造方法。
  2. 移動型炉床炉の加熱炉内において水平方向に移動する炉床上に、含有物および炭素を含有する固体還元剤を含む原料を堆積させ上方からの輻射伝熱によって該鉄含有物を加熱することにより還元を得るに当たり、前記加熱炉の炉床上に固体還元剤を装入し堆積させたのち、その固体還元剤の層の上に、含有物の還元に必要な理論炭素量よりも少ない量の炭素を含有する固体還元剤を含む前記原料を装入して積層し、該原料の昇温に伴って起こる還元反応の途中において少なくとも一度はこの原料を溶融状態に導き、その後、冷却して塊状の還元を回収することを特徴とする含有物からの還元の製造方法。
  3. 移動型炉床炉の加熱炉内において水平方向に移動する炉床上に、含有物および炭素を含有する固体還元剤を含む原料を堆積させ上方からの輻射伝熱によって該鉄含有物を加熱することにより還元を得るに当たり、前記加熱炉の炉床上に、固体還元剤を装入堆積させるとともに、その固体還元剤の層の表面に複数の凹部を形成したのち、その凹部つき固体還元剤の層の上に、含有物の還元に必要な理論炭素量よりも少ない量の炭素を含有する固体還元剤を含む前記原料を装入して積層し、該原料の昇温に伴って起こる還元反応の途中において少なくとも一度はこの原料を溶融状態に導き、その後、冷却して塊状の還元を回収することを特徴とする含有物からの還元の製造方法。
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