JP3879375B2 - 移動型炉床炉への原料等装入方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動型炉床炉への原料等の装入技術に関し、とくに金属を含有する鉱石や製鉄ダスト、スラジ、産業廃棄物などの金属含有物,即ち原料を炭材とともに移動炉床上に装入堆積させたのち、該移動炉床が加熱炉内を移動する間に、その堆積原料を加熱還元し、溶融させることにより、還元金属を連続的に回収するための移動型炉床炉への前記原料や炭材の装入方法に関するものであって、溶融後の還元金属の生成,分離と排出とを確実かつ容易に行わせることができるようにした原料等装入方法について提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
還元金属たとえば鋼は一般に、転炉か電気炉にて製造されるのが普通である。このうち、電気炉法は、スクラップや還元鉄を、電気エネルギーを使って加熱溶融し、場合によっては、さらに精錬することにより鋼にしている。ただし、近年、スクラップ需給が逼迫していること、および、より高品質の鋼への要求が高くなってきたことから、スクラップに代えて還元鉄を使用する傾向が見られる。
【0003】
還元鉄等の製造プロセスのひとつに、水平方向に移動する炉床上に鉄鉱石と固体還元剤とを装入堆積させ、上方から輻射伝熱によって鉄鉱石を加熱, 還元することにより還元鉄を製造する、いわゆる移動型炉床炉法がある (特開昭63−108188号公報) 。この既知の方法で用いられる移動型炉床炉は、炉床が加熱炉内を水平に移動する過程で装入堆積原料を加熱する形式の炉であり、水平に移動する炉床が、図1に示すような環状 (旋回) 移動する形式をとるのが普通である。
【0004】
上記の移動型炉床炉の例として、回転炉床炉について説明する。
従来の回転炉床炉は、図1に示すように、原料の供給側から排出側に向かって、予熱帯10a、還元帯10bおよび冷却帯10dに区画された環状の炉体10を有し、その炉体内に環状の移動炉床11を回転移動するように配設した構成を有するものである。その回転する移動炉床11上には、たとえば鉄鉱石等の原料と固体還元剤である炭材との混合物が装入される。なお、その原料としては、炭材内装ペレットが好適に用いられる。この炉床11は、表面に耐火物が施工してあるが、たとえば粒状耐火物を堆積させたものであってもよい。そして、この炉体10の上部には、バーナー13が配設してあり、このバーナー13を熱源として、移動炉床11上に堆積させた鉄鉱石等の金属含有酸化物を還元剤介在の下に加熱還元して還元鉄を得るようになっている。なお、図1において、符号14は原料を炉床上へ装入する装入装置、符号15は還元物を排出する排出装置である。
【0005】
ところで、一般的な金属含有物、例えば鉄鉱石は、その産地によって差はあるものの、多くの脈石成分を含み、一方、固体還元剤の代表例である石炭、石炭チャー、コークスにも灰分が含まれている。移動型炉床炉では生成する還元鉄中には脈石の混入が不可避であり、さらに還元剤に含まれる灰分をもこの還元鉄に付着残留することから、使用する原料や固体還元剤として高品位のもののみを使用しなければならないという制約があった。
さらに、脈石や灰分を多く含む還元鉄を原料として電気炉の操業を行うと、スラグ塩基度調整のための石灰使用量を多くしなければならず、石灰使用量の増加によるコストの増加とともに、石灰の滓化に必要な熱量増加に伴う電力等のエネルギー使用量の増加を余儀なくされるため、この点からも従来の移動型炉床炉の操業では、できるだけ脈石成分の少ない高品位鉄鉱石のみを使用し、また還元剤についても灰分の少ないものを使用することが必須となっていた。
【0006】
しかし、最近では、鉄鉱石や石炭資源の枯渇や性状の変化に伴い、より低品位のものも使用しなければならず、こうした問題点の解決が焦眉の急務となっているのが実情である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような理由から、移動型炉床炉の操業においては、上述した原料事情の影響もあって、金属成分と脈石成分などを効果的に分離する技術の開発が必要になっていた。例えば、金属成分と脈石成分を分離するには、還元鉄から脈石や灰分を溶融分離することが有効である。つまり、還元鉄を溶融してメタルを生成させるとともに、脈石分や灰分は滓化してスラグを生成させる方法である。
【0008】
ただし、還元鉄を炉床上で溶融させるということは、溶融メタルが炉床耐火物に融着したり微細な割れ目等に侵入し、凝固後のメタル排出時に、炉床耐火物を損傷させるといった問題が生じる。とくに、移動型炉床炉の内部は、鉱石還元のためにかなり高温であることから、高温用の高価な耐火物が用いられており、製品の製造コストを抑えるためには、この炉床耐火物を長期に渡って損傷しないようにしなければならないという制約がある。
【0009】
こうした問題点を克服するために、出願人は先に、特開平11−106815号公報において、「粉鉄鉱石と粉固体還元材とを主とする原料を、水平に移動する炉床上に層状に積み付け、炉内上方からの輻射伝熱によって鉄鉱石の還元を行う移動型炉床炉の操業方法において、粉鉄鉱石と粉固体還元材との混合粉または粉鉄鉱石および粉副原料と粉固体還元材との混合粉を該炉床上に、粉固体還元材を介して炉床に直接接触しないようにして小区画化して点在させ、還元された還元鉄を該炉床上で少なくとも一度は溶融させることを特徴とする移動型炉床炉の操業方法」を提案し、このことによって、「簡便な設備を用いながらも、設備を損傷させることなく、また、円滑な操業も確保しながら、脈石、灰分の混入がない還元鉄、すなわち電気炉に供して評価の高い還元鉄を得る」ようにした。
【0010】
しかしながら、この改良技術にしてもなお、小区画化して点在させた原料が溶融時に横方向へ流動し互いに凝集してしまい、大きなメタルやスラグの板状となって排出が困難になるという、解決すべき若干の課題を残していた。
【0011】
そこで、本発明の主たる目的は、炉床上で生成した還元生成物の速やかな溶融を実現してメタルやスラグの小塊の形成を確実にし、これにより炉外への個別排出が容易にできるようにするための原料等の装入方法を提案することにある。
本発明の他の目的は、ペレット化等の原料の事前処理をするまでもなく、高い生産性を達成しつつ簡便に還元金属を製造するための技術を確立することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上掲の目的を実現するために鋭意研究した結果、発明者らは、下記の要旨構成にかかる本発明を開発するに到った。
即ち、本発明は、移動炉床上に、主として粉状の金属含有物等の原料と粉状の固体還元剤からなる炭材とを装入して堆積させ、該移動炉床が加熱炉内を移動する間に、前記原料を加熱還元し、さらに溶融させて還元金属を得る型式の移動型炉床炉の、その移動炉床上への原料等の装入に当たり、
前記移動炉床上に、まず炭材を装入し炭材層を形成し、次いでその炭材層の上層に前記原料あるいは前記原料と炭材との混合物を装入して原料層を形成し、その後その原料層の上から突起を押し付けると共に、その押し付け力を、炭材層表面のさらに下方にまで及ぼすことで、該原料層から炭材層中にまで達する複数の凹部を形成することを特徴とする移動型炉床炉への原料等装入方法である。
【0015】
なお、本発明において、上記原料中の金属含有物としては、鉄鉱石、Cr鉱石、Ni鉱石、砂鉄、還元鉄粉、製鉄ダスト、ステンレス精錬ダスト、製鉄スラッジなどの鉄分、Ni分、Cr分、Zn分、Pb分などの金属を含有する粉状物などを使用する。
一方、固体還元剤,即ち炭材としては、石炭チャー、コークス、一般炭、無煙炭などの炭素含有材料粉を主として使用する。これら粉状原料および粉状炭材はそれぞれ単一種類のものを使用してもよいし、また、各々2種以上のものを混合して使用してもよい。このような金属含有物と固体還元剤を混合して炉床炉用装入物とする。
なお、上記原料中の製鉄ダストや製鉄スラッジなどのように、もともと十分な炭素分を含有する金属含有物の場合、炭材を混合することなくそのまま使用することもできる。また、原料中には、溶融時に還元鉄や灰分の溶融を容易にするために必要最小限の副原料を添加してもよい。このような副原料としては、石灰石、螢石、蛇紋岩、ドロマイトなどが使用できる。さらに、かかる原料は、ブリケットやペレットなどのように塊状化したものを用いてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の好適実施形態では、前記移動炉床上に固体還元剤,即ち炭材を装入堆積させて炭材層を形成し、その上へ原料あるいは原料と炭材の混合物を体積させて原料層を形成する。移動炉床上に下層として堆積させる前記炭材層は、その上層に堆積させる原料 (金属含有物等) の方が溶融しても溶融することはなく、しかも互いに混合することもない。この炭材層は、実質的にそのほとんどは、還元剤としての役割を果たしておらず、いわゆる揮発分が失われること以外、ほとんど変化しないものだからである。なお、一般的な固体還元剤には、灰分が10%程度含まれているが、残部の大半は炭素質であり、1000〜1500℃程度の高温で固体状態を維持している。
【0017】
従って、本発明の実施形態の特徴は、下層の炭材層の存在によって、たとえ上層の原料層が溶融しても、その溶融生成物が炉床に直接接触するのを防止できることである。つまり、本発明では、かかる炭材層が耐火物保護層となる。さらに、この炭材層上に積層堆積させた原料層 (金属含有物等) が溶融した後は、溶融した金属含有物と炭材との接触面積が増大するため、還元反応が急速に進行し、還元剤としての役割も果たすようになる。
【0018】
本発明においては、かかる炭材層には、その上に原料層を装入堆積した後に、その表面に凹部を形成しておく点に特徴がある。即ち、原料層に凹部を形成すると同時に炭材層にも凹部が生成するように、該原料層の上から突起を押し付けるのである。
一般に、還元反応の進行によって溶融生成したメタルおよびスラグは、溶融物の表面張力および重力の作用によって集積する性質があるので、前記炭材層に凹部が形成してあれば、その中に該溶融メタル,溶融スラグが集まりやすく、その凹部を該炭材層上に点在化させておけば、前記メタル等の集積が点状に分散した状態で保持される。この場合において、溶融メタルおよび溶融スラグの体積は、原料である混合物の10〜60%の体積に縮小するため、溶融メタルおよび溶融スラグはそれぞれ凹部内に分離される。
【0019】
溶融メタルや溶融スラグは、その比重が炭材のそれよりも大きいため、溶融メタル、溶融スラグが炭材層の下に潜り込むことが考えられる。しかし、溶融物は、それ自身の表面張力によって粒状になると共に、炭材層の上に点在化して保持され、そしてそのまま上記凹部内に収容された状態になる。
【0020】
その結果として、溶融メタルや溶融スラグが前記移動炉床上の冷却帯で冷却されると、脈石および灰分が分離したメタルとスラグとが、該炭材層表面の凹部単位毎の塊として保持されることになる。しかも、凝固したメタルおよびスラグは、この炭材層の存在によって、炉床からは離れた位置に保持されることになるから、炉床に溶着したり傷めたりするようなこともなく、小さな塊の状態で保持されるから、必然的に炉外への排出も容易になる。
【0021】
これに対し、炭材層表面を平滑のままの状態にした場合は、溶融メタルおよび溶融スラグは該炭材層の上に保持され、炉床の耐火物が損傷されることはないものの、冷却後のメタルおよびスラグは炭材層の上で小さく分割されて点在化するようなことはなく、多くの場合、連続的に繋がった大きな塊を形成する場合が多く、メタルを炉外に排出することが困難になる場合がある。
なお、炉内の炉床から排出されたスラグおよびメタルは、例えば、炉外において磁力や風選によってメタルとスラグの分離を行ったり、スラグとメタルとの密度差を利用して選別したりすることにより、分別回収する。
【0022】
本発明において、下層炭材層の表面に、上述した凹部を形成するために、次のような方法を採用する。
図3は、下層の炭材層1に凹部3を形成するための、発明者らがまず最初に検討した比較例としての装入装置14の一例を示すものである。
この装入装置14は、20〜160 mm/sec の速度で移動する移動炉床11上の移動方向に沿って、炭材ホッパ4と原料ホッパ5とを配設すると共に、その両者の間に窪み付けロール6を配設して構成されている。そして、まず炭材ホッパ4から切り出された炭材が約50mmの厚さで堆積して炭材層1を形造るので、その表面から、胴周面に前記凹部形状に対応する複数の突起6a (高さ約13mm) を設けてなる窪み付けロール6の該突起6aを押し付けて凹部3を形成する。次いで、その凹部3つき炭材層1の表面に、前記原料ホッパ5から金属含有物を主とする原料を10〜25mm厚に切り出して堆積させ、その後、炉床炉の予熱帯に送り込むようになっている。
【0023】
この比較例として示した装入装置による炭材層1への凹部3の形成は、凹部3形成後に原料の切り出し積み付けを行うので、原料や積み付けられた時の衝撃で凹部3の形が崩れやすいため、溶融物 (メタル,スラグ) の集積割合が低く、溶融物点在化の程度も悪く、しかも炉床炉内で加熱を受ける原料表面が平坦であるため、凹部3内原料の溶融が遅れやすいという問題があった。
【0024】
本発明では、上記の比較例の装入装置が抱える問題点を克服するものとして、図4に示す装入装置とこの装置を用いた装入方法とを提案する。
本発明に係るこの装入装置14は、20〜160mm/sec の速度で移動する移動炉床11上の移動方向に沿って、まず炭材ホッパ4を配設すると共に、その下流側に原料ホッパ5を並べて配設し、そしてさらにその下流側に、高さ約23mmの突起6aを胴周面に有する窪み付けロール6を配置してなるものである。このような装入装置14によれば、まず炭材ホッパ4から炭材を約50mm厚となるように切り出して炉床上に炭材層1を形成し、次いで、その上に、原料ホッパ5から金属含有物を主とする原料を切り出して、10〜25mm厚の原料層2を積層堆積させ、その後前記窪み付けロール6の突起6aを該原料層2の上から押し付けて原料層1ごと押し込むことで、生成する窪み (凹部) を前記炭材層1にまで及ぼして陥没させるのである。
【0025】
その結果、例えば、当初の原料層2の厚みが15mmであっても、前記凹部については7mm程度に圧縮されると同時に、生成したこの凹部3の底 (外側下端) が炭材層1の表面から約15mm押し込まれて陥没した状態となる。従って、圧縮されて約7mm厚にまで減尺された原料層2cの底部の厚み部分が、そっくりそのまま、該炭材層2中に埋没した状態になって、上述した凹部3が形成されることになる。
そして、このような構造の凹部3、即ち炭材層2中に埋没した状態にある原料層2cの存在によって、溶融したメタル等が凹部3内に凝集しやすく、かつ点在化が明確になる。
【0026】
しかも、炉床炉内で加熱される原料層表面が凹凸により受熱面積が増加するため、原料層への熱伝達が促進されて、生産性が向上する。さらに、本発明によれば、原料等の装入の最終の段階で凹部3を形造るので、その形状が崩れるようなことがなく、それ故に、メタルやスラグの凝集を確実に実現でき、排出障害を招くようなこともない。
【0027】
本発明にかかる上記装入装置14のこうした作用をより一層効果的なものとするために、本発明では、窪み付けの前に、予め前記凹部3まわりの原料層2の表面を加圧して押しつぶし、原料層2の圧密化を図っておくことが望ましい。それは、窪み付け時に凹部の崩れがなくなるので、形状のしっかりした凹部を形成,保持できるからである。
このような凹部の形成手段としては、上記した窪み付けロールの他に、凸部を有するスタンプを上から押し込む手段や、所定の形状の棒を上から押し込む等、適宜の手段が採用できる。
【0028】
【実施例】
この実施例は、原料装入用実験装置を用いて、本発明に適合する条件で冷間の積み付け (装入方法) の実験を行ない、その効果を検証したその報告である。
移動炉床11上に、粒径10mm 100%のコークスを50mmの層厚で積み付けて炭材層1を形成し、この炭材層1の上に、粒径が−3mm 100%の鉱石とコークスとを重量比で80:20に混合した原料を15mmの層厚で積み付け、所定の層厚の原料層2を形成した。その後、前記原料層2の表面に複数の突起6aを設けた窪み付けロール6で、前記原料層2の表層から、炭材層1にまでおよぶ深さの、複数の窪み (凹部3) をつけた。このときの窪み付けロール6は、径が100 Aで、突起高さが23mmのものを使用したが、該窪み付けロール6の形状はこれに限定されるものではない。ただし、径は大きい方が好ましく、突起6aの高さは、最終的に炭材層に残存する窪み深さが15mm前後になるような寸法のものがよいことがわかった。また、ロールの周速移動炉床11の走行速度と同じか、それ以下にすることが好ましい。さらに、窪み (凹部) を付ける際に、窪み付けロール6の高さ位置を下げることで、より確実に窪みを形成させることができることもわかった。
【0029】
以上のように炭材ならびに原料を積み付けた結果、最終的に炭材層に残存する窪み深さ (凹部) は、平均で15mmと良好であった。これを加熱炉内で原料層2の表面から加熱すると、金属含有物の還元物が溶融し、メタルとスラグに分離しながら、炭材層1に残存している凹部3に集まり、当初の目的が達成できた。
【0030】
なお、このような装入方法では、炭材層を形成する炭材の粒径は、10mm以下程度であればよく、その上層の金属含有物の粒径も炭材を含有するか否かにかかわらず、炭材層1を形成する炭材と同程度以下であれば目的を達成することができる。このような金属含有物の一例として、高炉ダストのような金属含有ダストを使用することができることがわかった。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、上層原料層の上から窪み付けロールの突起にて下層炭材層にまでおよぶ深さで点在化した複数の凹部を形成するので、表層から加熱された金属含有物は加熱還元,溶融し、メタルとスラグに分離しながら、溶融物の表面張力および重力の作用によって炭材層中に形成されている凹部に容易に凝集させることができ、凹部毎に分散して凝固した粒状のメタル,スラグを生成させることができる。しかも、本発明では、窪み付けによる凹部の形成を一連の原料装入工程の最終段階で行うので、以降の工程で形成された凹部が崩れるおそれがなく、凹部へのメタル・スラグの凝集を確実に行うことができる。さらに、原料層表面に凹凸ができるために加熱される表面積が増大し、熱伝達が良くなるので、還元や溶融の遅れが防止でき、生産性の向上につながる。とくに、溶融メタルや溶融スラグは、凹部内に確実に凝集して粒状となるので、移動炉床から排出するときも容易であり、一緒に排出する炭材層の炭材との分級除去も容易で歩留りも極めて高い。
そして、金属含有物の溶融が炭材層上で行われるため、溶融したメタルが炉床耐火物の微細な隙間に浸透するような現象もなく、このことによる炉床耐火物の損傷は全く発生しない。
さらにまた、本発明によれば、窪み付けロールの突起高さが、少なくとも炭材層の表層か、それ以上の深くにまで達する程度にしてあるため、凹部の形がより確実に確保されることになり、溶融メタルや溶融スラグの凝集もより確実なものになる。
なお、本発明によれば、凹部を形成する際に、凹部近傍の原料層を押圧しておくので、凹部が形成される瞬間に起こる凹部まわりの盛り上がりを防止することができ、狙いどおりの凹部形状を形成できる。従って、凹部形状の制御性が向上し、その結果として、凝集したメタルやスラグの形状のばらつきが低減し、後工程でのハンドリング性が向上するという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】移動型炉床炉の略線図である。
【図2】装入物堆積層の模式図である。
【図3】比較例である装入装置の略線図である。
【図4】本発明にかかる装入装置の略線図である。
【図5】凹部まわりの詳細を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 炭材層
2 原料層
3 凹部
4 炭材ホッパ
5 原料ホッパ
6 窪み付けロール
6a 突起
11 移動炉床
Claims (1)
- 移動炉床上に、主として粉状の金属含有物等の原料と粉状の固体還元剤からなる炭材とを装入して堆積させ、該移動炉床が加熱炉内を移動する間に、前記原料を加熱還元し、さらに溶融させて還元金属を得る型式の移動型炉床炉の、その移動炉床上への原料等の装入に当たり、
前記移動炉床上に、まず炭材を装入し炭材層を形成し、次いでその炭材層の上層に前記原料あるいは前記原料と炭材との混合物を装入して原料層を形成し、その後その原料層の上から突起を押し付けると共に、その押し付け力を、炭材層表面のさらに下方にまで及ぼすことで、該原料層から炭材層中にまで達する複数の凹部を形成することを特徴とする移動型炉床炉への原料等装入方法。
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