JP4571829B2 - 抗クラミジア組成物 - Google Patents
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1質量部の没食子酸(関東化学株式会社製)、没食子酸プロピル(関東化学株式会社製)、カフェ酸(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ、10質量部の澱粉部分分解物(DE8、商品名『パインデックス#1』、松谷化学株式会社製)とともに200質量部の水に添加して加熱溶解した。適量の水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり200Uのサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を加え、40℃で24時間インキュベートした。その後、100℃で20分間インキュベートして酵素を失活させた後、適量の水酸化ナトリウムを添加してpH4.5に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり50Uのグルコアミラーゼ(商品名『グルコチーム』、ナガセ生化学工業株式会社製)を加え、40℃で20時間インキュベートした。次いで、80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた後、ろ紙でろ過した。ろ液を、本反応系に用いた没食子酸、没食子酸プロピル、又はカフェ酸1gあたり200mlの合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)を充填したカラムに負荷して吸着させ、カラムを水で洗浄後、5%(w/w)エタノール水溶液でさらに洗浄し、15乃至50%(w/w)エタノール水溶液で溶出した。これを減圧乾固及び水に再溶解した後、同じカラムで同じ操作を繰り返し、得られた溶出液を減圧乾固して、本発明の抗クラミジア組成物に用いる没食子酸、没食子酸プロピル、カフェ酸の糖転移物を得た。これらを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、これらの糖転移物はモノグルコシド、つまりα−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル又はα−グルコシルカフェ酸であり、それらのモル比率は約94%であった。残りの約6%は非糖転移物であった。
常法に準じて、適宜の液体培養液に懸濁した人の血液あるいはマウスの血液から調製したバフィーコートへセンダイウイルスあるいはニューカッスル病ウイルスを作用させ、所定の時間インキュベートし、人あるいはマウスインターフェロンαを製造した。これらをそれぞれ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーなどを適用することによって、人あるいはマウスインターフェロンαを調製した。
10体積%ウシ胎児血清を補足したイーグル最小培地(pH7.2)へ、宿主細胞として、人の肺に由来する繊維芽細胞株の1種であるA549細胞(ATCC CCL−185)あるいは人の子宮に由来する繊維芽細胞株の1種であるHeLa229細胞(ATCC CCL−2.1)を8.6×105個/mlの細胞密度になるように浮遊させ、培養プレートに一定量分注し、37℃のインキュベーター(5%CO2)中で16時間培養した後、遠心分離により培地を除去した。別途、トラコーマタイプDのクラミジア・トラコマティスUW−3/Cx株(ATCC VR−885)あるいはクラミジア・ニューモニエTWAR株AR−39(ATCC 53592)をSPG緩衝液(75gスクロース、0.52g燐酸二水素カリウム、1.529g燐酸水素二ナトリウム二水和物及び0.72gグルタミン酸を蒸留水1,000mlに溶解した後、除菌濾過してなる緩衝液)により希釈し、培養プレート上のA549細胞あるいはHeLa229細胞へそれぞれ適量添加した後、1,500×gで1時間遠心してクラミジアを細胞へ感染させた。次いで、緩衝液を除去し、8体積%ウシ胎児血清を補足したイーグル最小培地(pH7.2)に5ml/ウェルずつ添加し、37℃のインキュベーター(5%CO2)中で48時間培養した。その後、培養物から培地を除去し、新鮮なSPG緩衝液を3ml/ウェルずつ添加した後、セルスクレーパーを用いて細胞を浮遊状態で採取し、新鮮なSPG緩衝液で希釈して、1ml当りの封入体形成単位(IFU)が5×108IFUである、トラコーマタイプDのクラミジア・トラコマティスUW−3/Cx株、及び、クラミジア・ニューモニエTWAR株AR−39クラミジア懸濁液を得た。
人の子宮に由来する繊維芽細胞株の1種であるHeLa細胞(ATCC CCL−2)を、10体積%ウシ胎児血清を補足したイーグル最小培地(pH7.2)に浮遊させ、培養プレートへ1ウェルに0.1mlずつ、細胞密度8×104個/mlで播種した後、37℃インキュベーター(5%CO2)中で16時間培養した。次いで、実験例2の方法により調製した人のインターフェロンαとともに実験例1で用いた市販の没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸をそれぞれ8体積%ウシ胎児血清を補足したイーグル最小培地(pH7.2)で溶解又は希釈し、表1乃至3に示す濃度になるように上記プレートに添加した後、37℃インキュベーター(5%CO2)中で24時間培養した。培地を除去した後、実験例3の方法により調製したトラコーマタイプDのクラミジア・トラコマティスUW−3/Cx株懸濁液を、超音波処理した後、培養プレートへ1×104IFU/ウェルずつ添加した後、クラミジアをHeLa細胞に吸着感染させるために、遠心分離機により1,500×gで1時間処理した。過剰なクラミジア懸濁液を除去した後、上記と同様のインターフェロンαとともに没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸を含有する8体積%ウシ胎児血清を補足した新鮮なイーグル最小培地(pH7.2)を添加してさらに48時間培養した。その後、蛍光標識法により培養細胞における封入体形成細胞数を計数し、インターフェロンα及び没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸を含まない通常の培地による封入体形成細胞数に対する相対封入体数(%)を算出した。結果を表1(没食子酸)、表2(没食子酸プロピル)、表3(カフェ酸)に示す。
ズィーピン・ヤン著、「ア マウス モデル オブ クラミジア ニューモニエ ストレイン ティーダブルエーアール ニューモニティス」、インフェクション・アンド・イムニティー、1993年、第61巻、第5号、2037乃至2040頁に記載された方法に準じて、80匹の5週齢の雄性C3H/HeNマウスに、常法に従って、上記実験例2で得たクラミジア・ニューモニエTWAR株AR−39懸濁液3×107IFUを鼻腔から感染させた。マウスを8群(10匹/群)に分け、その3群に対して、一日当り10IUの実験例3で得たマウスインターフェロンαと、1ngの実験例1で得たα−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル、α−グルコシルカフェ酸を、通常の固形飼料に含有させて摂食させた。また、残り5群には、各種糖転移物の代わりに、没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸に置き換えた固形飼料、インターフェロンαのみを含有する固形飼料、また、対照としては、通常の固形飼料を摂食させた。14日目にすべてのマウスから肺を摘出し、常法の蛍光標識法により、クラミジア感染により形成された封入体細胞数を計数し、試験開始前の封入体数と比較した。結果を表4に示す。
クラミジアの感染が疑われる複数の成人男性の咽頭から、上皮細胞を綿棒で採取し、SPG緩衝液に浮遊させた後、超音波処理し、これを実験例4に記載した方法に準じて、HeLa細胞に感染させ、37℃インキュベーター(5%CO2)中で48時間培養した。これを常法の蛍光標識法を適用して、クラミジアの存在が確認された男性(年齢49乃至75歳、56名)を以下に示す本生体内試験の被験者とした。
この結果は、没食子酸、没食子酸プロピル及びカフェ酸を糖転移物にすることにより、生体に適用した場合における、抗クラミジア活性が著明に上昇することを示している。また、それらは非糖転移物であっても、トレハロースの混合物として生体に適用すると、抗クラミジア活性を上昇することができることを示している。
没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸、並びに、実験例1で調製したそれらの糖転移物を、常法にしたがって8週齢の雄性マウス各10匹にそれぞれ経皮、経口あるいは腹腔内投与した。その結果、これらのマウスのLD50は、いずれの投与経路による場合にも約100mg/kg(マウス体重)以上であった。この結果は、α−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル、α−グルコシルカフェ酸、没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸がヒトへの投与を前提とする医薬品として安全であることを物語っている。
常法にしたがって、市販されている人のインターフェロンα標品(商品名『インターフェロンα』、コスモバイオ株式会社販売)へ抗ヒトインターフェロンα抗体カラムクロマトグラフィーを適用して、インターフェロンα標品中のウシ血清アルブミンを除去した後、限外濾過膜及びゲル濾過カラムクロマトグラフィーをそれぞれ適用することによって、人のインターフェロンαを得た。
1質量部の没食子酸(関東化学株式会社製)、没食子酸プロピル(関東化学株式会社製)、カフェ酸(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ、10質量部の澱粉部分分解物(DE8、商品名『パインデックス#1』、松谷化学株式会社製)とともに200質量部の水に添加して加熱溶解した。適量の水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり200Uのサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を加え、40℃で24時間インキュベートした。その後、100℃で20分間インキュベートして酵素を失活させた後、適量の水酸化ナトリウムを添加してpH4.5に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり50Uのグルコアミラーゼ(商品名『グルコチーム』、ナガセ生化学工業株式会社製)を加え、40℃で20時間インキュベートした。次いで、80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた後、ろ紙でろ過した。ろ液を、本反応系に用いた没食子酸、没食子酸プロピル、又はカフェ酸1gあたり200mlの合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)を充填したカラムに負荷して吸着させ、カラムを水で洗浄後、5%(w/w)エタノール水溶液でさらに洗浄し、15乃至50%(w/w)エタノール水溶液で溶出した。これを減圧乾固及び水に再溶解した後、同じカラムで同じ操作を繰り返し、得られた溶出液を減圧乾固して、本発明の抗クラミジア組成物に用いる没食子酸、没食子酸プロピル、カフェ酸の糖転移物を得た。これらを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、これらの糖転移物はモノグルコシド、つまりα−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル又はα−グルコシルカフェ酸であり、それらのモル比率は約94%であった。残りの約6%は非糖転移物であった。
実施例1で得たインターフェロンα、及び実施例2で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物を、粉末トレハロース2水和物(商品名『トレハ』、株式会社林原商事販売)に混合し、1錠0.21gになるように常法にしたがって打錠し、一錠あたり、50IUのインターフェロンαとともに、実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを7ngずつ含有するように配合して、抗クラミジア組成物としての錠剤を得た。
常法にしたがって、下記に示す口腔洗浄剤の基本処方1gに対して、実施例1で得た1×104IUの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを5μgずつ含有するように配合して、抗クラミジア組成物としての液剤を得た。
粉末トレハロース(2水和物) 5質量部
グリセリン 15質量部
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1質量部
サッカリン 適量
香料 適量
クロルヘキシジン 適量
水 44質量部
常法にしたがって、下記に示すトローチ剤の基本処方1gに対して、実施例1の方法により得た1×105IUの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを5μgずつ含有するように配合して、常法にしたがい1錠3gのトローチ錠に成形して、抗クラミジア組成物としてのトローチ剤を得た。
澱粉 34質量部
結晶セルロース 10質量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10質量部
ステアリン酸マグネシウム 1質量部
常法にしたがって、イソロイシンを3質量%及びトレハロースを2質量%含有する注射用精製水1mlに、実施例1の方法により得た1×105IUの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを0.1mgずつ含有するように溶解させた後、滅菌濾過して抗クラミジア組成物としての液剤を得た。
常法にしたがって、実施例1の方法により得た1×106IU/mlの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを250μg/mlずつ含有するように適量の燐酸緩衝生理食塩水(pH7.2)に溶解し、49gの粉末トレハロース(2水和物)と均一に配合した後、さらに450gの白色ワセリンと練り合わせて、抗クラミジア組成物としての軟膏を得た。
常法にしたがって、下記に示す点眼剤の基本処方1mlに対して、実施例1の方法により得た1×106IUの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを250μgずつ含有するように配合して抗クラミジア組成物としての点眼剤を得た。
塩化ナトリウム 0.04質量部
塩化カリウム 0.02質量部
燐酸2水素ナトリウム 0.03質量部
硼砂 0.04質量部
塩化ベンザルコニウム 0.004質量部
水 80質量部
常法にしたがって、下記に示す練歯磨の基本処方1gに対して、実施例1の方法により得た1×106IUの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを250μgずつ含有するように配合して、アルミニウムラミネートチューブへ100gずつ充填して抗クラミジア組成物としての練歯磨を得た。
トレハロース(2水和物) 20質量部
グリセリン 18質量部
カラギーナン 0.9質量部
ラウリル硫酸ナトリウム 1.1質量部
香料 適量
サッカリン 適量
水 38質量部
Claims (2)
- 有効成分として、インターフェロンαとともに、インターフェロンαの1国際単位(IU)当たり0.05乃至1ngのα−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル又はα−グルコシルカフェ酸を含有してなる抗クラミジア組成物。
- マルトース又はトレハロースを賦形剤とする錠剤の形態にある請求項1記載の抗クラミジア組成物。
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