JP4571829B2 - 抗クラミジア組成物 - Google Patents

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Description

本発明は抗クラミジア組成物に関し、より詳細には、インターフェロンαとともに、ヒドロキシ安息香酸類及び/又はヒドロキシケイ皮酸類を有効成分として含有する抗クラミジア組成物に関するものである。
クラミジア属にはクラミジア・トラコマティス、クラミジア・ニューモニエ、クラミジア・シッタシなどの種類が知られており、これらのクラミジアは人に感染すると、例えば、肺炎、気管支炎などの呼吸器系疾患、口腔、尿路、膣、直腸などの粘膜及び結膜の炎症、動脈硬化、虚血性心疾患などの循環器系疾患、アルツハイマー病などを招来すると言われている。また、近年では、クラミジアは、SARS(重症急性呼吸器症候群)患者の多くから検出され、SARSの病状を重篤化する原因になっているという報告もある。
従来、テトラサイクリン系やマクロライド系の抗生物質はクラミジア関連疾患の治療に用いられており、すでに有力な治療手段として認知されている。また、非特許文献1には、インターフェロンαが、特許文献1には、植物由来のフェノール化合物が、特許文献2には竹類由来のベンゾキノンが、抗クラミジア活性を有しているという報告がなされている。しかしながら、抗生物質は経口投与により著効を発揮するという利点はあるものの、抗生物質一般に共通する欠点として、耐性菌の出現を招来したり、大腸における有用な菌叢を破壊し、食欲不振、嘔吐、下痢、便秘、膨満感、倦怠感、発疹などを惹起することがある。また、上記インターフェロンα、フェノール化合物及びベンゾキノンは、生体内での抗クラミジア活性は十分ではなく、大量投与における生体への安全性が懸念され、クラミジア関連疾患の治療・予防に適したものとはいえない。
国際公開第02/14464号明細書 特開2001−10967号公報 シー・ディー・ロザーメル(Rothermel CD)著、「エフェクト オブ インターフェロン オン ザ グロース オブ クラミジア トラコマティス イン マウス フィブロブラスツ(エル セルズ)」、インフェクション・アンド・イムニティー、1983年、第39巻、第1号、362乃至370頁
斯かる状況に鑑み、本発明の目的は、生体に適用することにより、クラミジアの増殖・感染を著明に抑制する手段を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するために、植物成分を中心にインターフェロンαの抗クラミジア効果を高める薬剤を鋭意検索したところ、ヒドロキシ安息香酸類及び/又はヒドロキシケイ皮酸類をインターフェロンαと併用すると、相乗的に抗クラミジア活性を示すことを発見した。さらに、ヒドロキシ安息香酸類及びヒドロケイ皮酸類が糖転移物である場合、生体内での安定性に優れ、長時間に渡りインターフェロンαとともに相乗的な抗クラミジア活性を示すことも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、有効成分として、インターフェロンαとともに、ヒドロキシ安息香酸類及び/又はヒドロキシケイ皮酸類を含有してなる抗クラミジア組成物を提供することにより、前記課題を解決するものである。
さらに、本発明は、有効成分として、インターフェロンαとともに含有するヒドロキシ安息香酸類及び/又はヒドロキシケイ皮酸類が糖転移物であることを特徴とする、抗クラミジア組成物を提供することにより、前記課題を解決するものである。
本発明は新規な抗クラミジア組成物に関するものである。本発明による抗クラミジア組成物は、有効成分であるインターフェロンαとヒドロキシ安息香酸及び/又はヒドロキシケイ皮酸との併用による相乗効果により、抗クラミジア活性が顕著に高められているうえ、生体に対する毒性が低く、生体内における持続性に優れるので、注射又は経皮、経粘皮、経鼻腔若しくは経口経路などにより、生体に適用することによって、クラミジアの増殖を効果的に抑制することができる。
既述したとおり、本発明の抗クラミジア組成物は、有効成分として、インターフェロンαとともに、ヒドロキシ安息香酸類及び/又はヒドロキシケイ皮酸類を含有するものである。本発明でいうインターフェロンαとは、例えば、哺乳類、鳥類などの白血球又はリンパ芽球様細胞などの血液系細胞へセンダイウイルスなどのインターフェロン誘導剤を作用させることによって得られるインターフェロンである。周知のとおり、インターフェロンαの分子には多形性があり、例えば、ヒトのインターフェロンαの場合、インターフェロンαに分類される分子は、アミノ酸配列の違いによって、サブタイプα1、サブタイプα2、サブタイプα5、サブタイプα6、サブタイプα7、サブタイプα8、サブタイプα14、サブタイプωなどに分類されている。本発明においては、どのサブタイプのインターフェロンαを用いてもよいが、とりわけ、サブタイプα8のインターフェロンαは抗クラミジア活性に優れるので、サブタイプα8が10質量%を越え、好ましくは20質量%以上含有するインターフェロンαを用いるのが望ましい。本発明の抗クラミジア組成物に配合するインターフェロンαは、特定のサブタイプのものを遺伝子組み替え技術により生産したり、天然又は株化細胞から適宜の誘導剤を用いて生産される市販のインターフェロン製剤を用いることもできる。
本発明でいうヒドロキシ安息香酸類とは、植物成分のタンニンを構成する成分であり、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、プロトカテキュ酸(3,4−ジヒドロキシ安息香酸)、p-ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸(3−メトキシ,4−ヒドロキシ安息香酸)などのヒドロキシ安息香酸、及びその誘導体、さらにそれらの糖転移物及びそれらの塩を総称するものである。本発明で使用するヒドロキシ安息香酸類の調製方法としては、ヒドロキシ安息香酸類を含む植物抽出物を適宜精製した後、必要に応じて、酸処理、アルカリ処理、酵素処理、加熱処理などの方法により加水分解して得る方法が挙げられる。本発明で使用するヒドロキシ安息香酸類は、その由来、調製方法を問わず、植物体から抽出・精製する方法以外にも、化学合成法によっても得ることができ、市販品を利用することも随意である。
本発明でいうヒドロキシケイ皮酸類とは、植物成分の一種であり、カフェ酸(3,4−ジヒドロキシケイ皮酸)、フェルラ酸(3−メトキシ,4−ヒドロキシケイ皮酸)などのヒドロキシケイ皮酸、及びその誘導体、さらにそれらの糖転移物及びそれらの塩を総称するものである。本発明で使用するヒドロキシケイ皮酸類の調製方法としては、ヒドロキシケイ皮酸類を含む植物抽出物を適宜精製した後、必要に応じて、酸処理、アルカリ処理、酵素処理、加熱処理などの方法により加水分解して得ることができる。本発明で使用するヒドロキシケイ皮酸類は、その由来、調製方法を問わず、植物体から抽出・精製する方法以外にも、化学的な合成方法によっても得ることができ、市販品を利用することも随意である。
本発明で用いるヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類における、ヒドロキシ安息香酸及びヒドロキシケイ皮酸の誘導体としては、天然に存在するものの具体例として、ガロイルグルコース、ケブリン酸、ケブラグ酸、コリラギンなどのヒドロキシ安息香酸類、クロロゲン酸などのヒドロキシケイ皮酸類などが挙げられる。これらの天然に存在する誘導体は、生体内外で加水分解反応によりヒドロキシ安息香酸及びヒドロキシケイ皮酸となり抗クラミジア活性を示すので、ヒドロキシ安息香酸及びヒドロキシケイ皮酸と同様に、本発明の抗クラミジア組成物に配合することができる。
また、本発明におけるヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類として、抗クラミジア活性を向上させることを目的として、化学的な手法により適宜の修飾を施したヒドロキシ安息香酸及びヒドロキシケイ皮酸の誘導体を利用することができる。このような誘導体として、ヒドロキシ安息香酸及びヒドロキシケイ皮酸のカルボキシル基に炭化水素基がエステル結合した化合物が挙げられる。エステル結合させる炭化水素基としては、鎖式炭化水素基であっても環式炭化水素基であってもよく、また、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。このうち、鎖式炭化水素基、いわゆる脂肪族炭化水素基が最も好適である。なお、没食子酸及びカフェ酸と脂肪族炭化水素基とのエステル誘導体は、炭化水素基の炭素数が多くなるほど抗クラミジア活性が向上するものの親水性が低下する傾向にある。それらの糖転移物は親水性が高く、扱いやすいという利点がある。炭化水素基の炭素数は、本発明の抗クラミジア組成物の形態及び使用方法などに応じて適宜選択すればよく、通常、炭素数1乃至12の範囲、好ましくは3乃至8の範囲の炭化水素基とのエステル誘導体に糖転移したものが本発明の抗クラミジア組成物に有利に配合することができる。炭素数12を越える炭化水素基とのエステル誘導体は、その親水性が著しく低下するので、糖転移によっても十分に親水性の改善が望めず、本発明の抗クラミジア組成物を生体に適用する際に好ましくない場合がある。また、ヒドロキシ安息香酸の一種である没食子酸と炭素数3の脂肪族炭化水素基とのエステル誘導体である没食子酸プロピルは、炭化水素基の炭素数が少ない割に抗クラミジア活性が高く、本発明の抗クラミジア組成物に有利に配合できる。
本発明の抗クラミジア組成物に用いるヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類として、化学的又は酵素的な糖転移反応によって、適宜の糖質を転移付加した糖転移物が有利に用いられる。ヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類が糖転移物である場合、それら糖転移物は、ヒドロキシ安息香酸及びヒドロキシケイ皮酸の水酸基の1又は2以上に糖質が結合した構造を有する。転移付加された糖質がグルコースの場合、ヒドロキシ安息香酸類の糖転移物は化学式1乃至3ものを、ヒドロキシケイ皮酸類の糖転移物は化学式4乃至6のものを例示できる。なお、式中、m又はnは0以上の整数、Rは水素原子、金属原子又は炭素数1乃至12の炭化水素基、R乃至Rは水素原子、水酸基又はメトキシ基を示す。化学式1乃至6においては、グルコース間の結合は1,4結合であるが、1,3結合、1,6結合であってもよい。また、糖質とヒドロキシ安息香酸又はヒドロキシケイ皮酸との結合様式としてα−グルコシド結合を例示しているが、必要に応じて、β−グルコシド結合とすることも可能である。また、本発明の効果を損ねない範囲で、糖転移物を塩の形態とすることもできる。
一般式1:
Figure 0004571829
(式中、nは0以上の整数、Rは水素原子、金属原子又は炭素数1乃至12の炭化水素基、R及びRは水素原子、水酸基又はメトキシ基を示す。)
一般式2:
Figure 0004571829
(式中、nは0以上の整数、Rは水素原子、金属原子又は炭素数1乃至12の炭化水素基、R及びRは水素原子、水酸基又はメトキシ基を示す。)
一般式3:
Figure 0004571829
(式中、m及びnは0以上の整数、Rは水素原子、金属原子又は炭素数1乃至12の炭化水素基、Rは水素原子、水酸基又はメトキシ基を示す。)
一般式4:
Figure 0004571829
(式中、nは0以上の整数、Rは水素原子、金属原子又は炭素数1乃至12の炭化水素基、R及びRは水素原子、水酸基又はメトキシ基を示す。)
一般式5:
Figure 0004571829
(式中、nは0以上の整数、Rは水素原子、金属原子又は炭素数1乃至12の炭化水素基、R及びRは水素原子、水酸基又はメトキシ基を示す。)
一般式6:
Figure 0004571829
(式中、m及びnは0以上の整数、Rは水素原子、金属原子又は炭素数1乃至12の炭化水素基、Rは水素原子、水酸基又はメトキシ基を示す。)
ヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類を糖転移物とするときの製造方法としては、例えば、ヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類を含む植物抽出物、例えば、緑茶、紅茶、コーヒーなどの抽出物を精製し、化学合成法又は酵素反応法などによってヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類に糖質を共有結合させて製造すればよい。このうち、糖転移酵素を利用した酵素反応法が簡便であることから、本発明においては有利に利用できる。例えば、ヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類にデキストリン、サイクロデキストリン、澱粉あるいはこれらの混合物を添加し、これに、例えば、バチラス属に属する微生物が産生する糖転移酵素、例えば、バチラス・ステアロサーモフィラス由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)を作用させて糖質を転移し、次いで所望により、この酵素反応液にグルコアミラーゼ及び/又はβ−アミラーゼを作用させてヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類を糖転移物とする方法が挙げられる。
また、本発明で用いるヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類が糖転移物である場合、糖質部分はグルコース以外にも、ガラクトース、マンノース、フコースなどの単糖、グルコサミン、ガラクトサミンなどのアミノ糖などを選択することができる。糖質部分の重合度は、1以上の整数から選ばれ、好ましくは1乃至5、さらに好ましくは1乃至3、最も好ましくは1である。糖質部分の重合度の高い糖転移物ほど、ヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類は生体内で安定にすることができるものの、重合度が5を越える糖質部分を有するヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類は即効性が低下しすぎて好ましくない場合がある。また、糖転移されていないヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類は、生体内において極めて不安定であり、急速に血中から消失するものの、即効性に優れる。したがって、糖転移されていないヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類を配合したり、また、種々の糖質重合度のヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類の糖転移物を混合して用いれば、生体内のヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類の濃度を一定量以上に長時間保持することができる。しかしながら、糖転移されていないヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類は生体内で不安定であるので、本発明の抗クラミジア組成物に配合するヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類の総量における糖転移物の割合は、モル比率で、50乃至100%、好ましくは70乃至100%(w/w)、さらに好ましくは90乃至100%(w/w)である。
本発明の抗クラミジア組成物に配合するインターフェロンαとヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類の混合比率は、インターフェロンαの1国際単位(以下IUと略する。)当りヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類の総量が、0.1pg乃至128ng、好ましくは、1pg乃至64ng、さらに好ましくは、10pg乃至32ngである。ヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類の総量がインターフェロンαの1IUに対し0.1pg未満であると相乗効果が発揮されず、128ngを越えて含有させても配合量の割に相乗効果が発揮されない場合がある。
本発明の抗クラミジア組成物は、用途に応じて、例えば、液状、ペースト状又は固状の注射用剤、皮膚外用剤、経粘皮用剤、経鼻腔用剤、経口用剤などの形態に調製して用いられ、具体的には、注射剤、点眼剤、座剤、軟膏剤、さらには、歯磨き、うがい薬などの口腔清浄剤や、歯科領域における口腔殺菌剤をはじめとする口腔用剤の形態が挙げられる。したがって、本発明の抗クラミジア組成物は、上記の形態において汎用される、例えば、研磨剤、発泡剤、湿潤剤、粘結剤、香味料、甘味料、保存料、弗素化合物、酵素剤、消臭剤、さらには、賦形剤、軟膏基剤、溶解剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、乳化剤、噴射剤などの調製用剤などの1又は複数と組み合わせて用いることを妨げない。また、本発明の目的を逸脱しない範囲で、斯かる剤形の薬剤において汎用される、例えば、止血剤、抗炎症剤、組織賦活剤、抗微生物剤、さらには、抗生物質、インターフェロンα以外のサイトカイン、ホルモン、成長因子などの1又は複数の他の薬効成分との併用も妨げない。なお、注射用剤、経粘皮用剤、経鼻腔用剤、口腔用剤などの調製用薬の形態とする場合には、インターフェロンα、ヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類を安定化する性質を兼備する点で、例えば、スクロース、グルコース、マルトース、トレハロース、フルクトース、マンニトール、マルチトールなどの糖又は糖アルコール、さらには、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、シスチン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、オルニチン、フェニルアラニン、フェニルグリシン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタマート、O−ホスホセリン、β−アラニン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、α−アミノイソ酪酸、4−(4−アミノフェニル)酪酸、アミノフェニル酪酸、アミノ安息香酸、4−アミノ馬尿酸、アミノメチル安息香酸、ε−アミノカプロン酸、7−アミノへプタン酸、β−アスパラギン酸、γ−グルタミン酸、ε−リジン、メチオニンスルホン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、d−オルニチン、p−ニトロ−フェニルアラニン、ヒドロキシプロリン、チオプロリンなどのアミノ酸又はこれらのアミノ酸の誘導体若しくはオリゴペプチドの一種又は二種以上を適宜配合することができる。とりわけ、トレハロースは、ヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類と会合体を形成し、その結果、これらの物質の生体内における安定性を高める効果を有しているので、非糖転移物を用いる場合、トレハロースを賦形剤として用いることが望ましい。
本発明の抗クラミジア組成物におけるインターフェロンα、ヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類の配合量は、その剤形、使用方法、投与頻度などを考慮して適宜決定すればよいが、通常、抗クラミジア組成物1gあたり、インターフェロンαの配合量が1乃至1×10IU、好ましくは、10乃至1×10IUの範囲内、ヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類の配合量が0.1pg乃至128mg、好ましくは、1pg乃至12.8mg、さらに好ましくは10pg乃至1.28mgの範囲内から選ばれる。また、投与量としては、抗クラミジア組成物の適用疾患、症状の重篤度、投与経路などにもよるけれども、通常、インターフェロンαの投与量は5乃至100IU/日/成人、好ましくは、10乃至50IU/日/成人、ヒドロキシ安息香酸類及び/又はヒドロキシケイ皮酸類の投与量は0.5ng乃至10μg/日/成人、好ましくは、1ng乃至5μg/日/成人とする。
本発明の抗クラミジア組成物は、斯かる用量で1日又は1週間に1回以上の頻度で注射又は経皮、経粘皮、経鼻腔用剤若しくは経口経路で適用することによって、生体におけるクラミジアの増殖・感染を著明に抑制することから、鼻腔、口腔や気道、さらには視覚器、消化器、泌尿器、生殖器などへ侵入したクラミジア菌が発症原因となる、例えば、肺炎などの呼吸器系疾患や、動脈硬化、虚血性心疾患などの循環器系疾患、結膜炎などの視覚器系疾患、直腸炎などの消化器系疾患、尿道炎などの泌尿器系疾患、副睾丸炎、卵管炎、子宮頚管炎、切迫早産、卵管の炎症、癒着、閉塞などの生殖器系疾患、アルツハイマー病、SARSなどの治療、予防に著効を発揮する。とりわけ、本発明の抗クラミジア組成物は、抗生物質を有効成分とする経口用剤とは違って、耐性菌の出現を招来したり、長期連用しても大腸における有用な菌叢を破壊することがないので、食欲不振、嘔吐、下痢、便秘、膨満感を生じたり、倦怠感、発湿などの副作用を惹起することがない。本発明の抗クラミジア組成物は、人由来のインターフェロンαを配合した場合、人をはじめとする多種の哺乳動物に対して効果を発揮する。さらに、人以外の動物に対してより効果的に作用することが望まれる場合、適用対象の動物種、例えば、イヌ、ネコ、サル、ウシ、ウマ、ヒツジなどの哺乳動物、ニワトリ、オウムなどの鳥類由来のインターフェロンαを、人のインターフェロンαとともに配合するか、人のインターフェロンの代わりに、適用対象の動物種由来のインターフェロンαを一種又は二種以上配合して、ペットや家畜を対象にしたクラミジア関連疾患の治療・予防に用いることができる。
以下、本発明による抗クラミジア組成物の性状及び効果につき、実験例に基づいて説明する。なお、例示する実験は、ヒドロキシ安息香酸類として、没食子酸、没食子酸プロピル、又はそれらの糖転移物を、ヒドロキシケイ皮酸類として、カフェ酸またはその糖転移物を用いて行われたものであるものの、本発明のヒドロキシ安息香酸類及びヒドロキシケイ皮酸類をそれらに限定する意味ではない。
<実験例1:没食子酸、没食子酸プロピル及びカフェ酸の糖転移物の調製>
1質量部の没食子酸(関東化学株式会社製)、没食子酸プロピル(関東化学株式会社製)、カフェ酸(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ、10質量部の澱粉部分分解物(DE8、商品名『パインデックス#1』、松谷化学株式会社製)とともに200質量部の水に添加して加熱溶解した。適量の水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり200Uのサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を加え、40℃で24時間インキュベートした。その後、100℃で20分間インキュベートして酵素を失活させた後、適量の水酸化ナトリウムを添加してpH4.5に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり50Uのグルコアミラーゼ(商品名『グルコチーム』、ナガセ生化学工業株式会社製)を加え、40℃で20時間インキュベートした。次いで、80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた後、ろ紙でろ過した。ろ液を、本反応系に用いた没食子酸、没食子酸プロピル、又はカフェ酸1gあたり200mlの合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)を充填したカラムに負荷して吸着させ、カラムを水で洗浄後、5%(w/w)エタノール水溶液でさらに洗浄し、15乃至50%(w/w)エタノール水溶液で溶出した。これを減圧乾固及び水に再溶解した後、同じカラムで同じ操作を繰り返し、得られた溶出液を減圧乾固して、本発明の抗クラミジア組成物に用いる没食子酸、没食子酸プロピル、カフェ酸の糖転移物を得た。これらを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、これらの糖転移物はモノグルコシド、つまりα−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル又はα−グルコシルカフェ酸であり、それらのモル比率は約94%であった。残りの約6%は非糖転移物であった。
なお、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの1Uは、1mM塩化カルシウムを含む20mM酢酸緩衝液(pH5.5)に加熱溶解した0.3%(w/w)可溶性澱粉溶液5mlに酵素液0.2mlを加え、40℃、10分間反応させ、この反応液0.5mlを0.02N硫酸15mlに加え反応を停止し、これに、0.1Nヨウ素溶液を0.2ml加えた後、660nmの吸光度を測定したとき、吸光度を10%減少させる酵素量と定義する。また、グルコアミラーゼの1Uは、1.0%(w/w)可溶性澱粉溶液(20mM酢酸緩衝液、pH4.5)5mlに、酵素液0.2mlを加え、40℃、10分間反応させ、生成した還元糖量をソモギー−ネルソン法で測定したとき、40℃、1分間に1μmolのグルコースに相当する還元力を遊離する酵素量と定義する。
<実験例2:人及びマウスインターフェロンαの製造>
常法に準じて、適宜の液体培養液に懸濁した人の血液あるいはマウスの血液から調製したバフィーコートへセンダイウイルスあるいはニューカッスル病ウイルスを作用させ、所定の時間インキュベートし、人あるいはマウスインターフェロンαを製造した。これらをそれぞれ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーなどを適用することによって、人あるいはマウスインターフェロンαを調製した。
<実験例3:クラミジア懸濁液の調製>
10体積%ウシ胎児血清を補足したイーグル最小培地(pH7.2)へ、宿主細胞として、人の肺に由来する繊維芽細胞株の1種であるA549細胞(ATCC CCL−185)あるいは人の子宮に由来する繊維芽細胞株の1種であるHeLa229細胞(ATCC CCL−2.1)を8.6×10個/mlの細胞密度になるように浮遊させ、培養プレートに一定量分注し、37℃のインキュベーター(5%CO)中で16時間培養した後、遠心分離により培地を除去した。別途、トラコーマタイプDのクラミジア・トラコマティスUW−3/Cx株(ATCC VR−885)あるいはクラミジア・ニューモニエTWAR株AR−39(ATCC 53592)をSPG緩衝液(75gスクロース、0.52g燐酸二水素カリウム、1.529g燐酸水素二ナトリウム二水和物及び0.72gグルタミン酸を蒸留水1,000mlに溶解した後、除菌濾過してなる緩衝液)により希釈し、培養プレート上のA549細胞あるいはHeLa229細胞へそれぞれ適量添加した後、1,500×gで1時間遠心してクラミジアを細胞へ感染させた。次いで、緩衝液を除去し、8体積%ウシ胎児血清を補足したイーグル最小培地(pH7.2)に5ml/ウェルずつ添加し、37℃のインキュベーター(5%CO)中で48時間培養した。その後、培養物から培地を除去し、新鮮なSPG緩衝液を3ml/ウェルずつ添加した後、セルスクレーパーを用いて細胞を浮遊状態で採取し、新鮮なSPG緩衝液で希釈して、1ml当りの封入体形成単位(IFU)が5×10IFUである、トラコーマタイプDのクラミジア・トラコマティスUW−3/Cx株、及び、クラミジア・ニューモニエTWAR株AR−39クラミジア懸濁液を得た。
<実験例4:インターフェロンα及び、没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸の抗クラミジア活性(インビトロ試験)>
人の子宮に由来する繊維芽細胞株の1種であるHeLa細胞(ATCC CCL−2)を、10体積%ウシ胎児血清を補足したイーグル最小培地(pH7.2)に浮遊させ、培養プレートへ1ウェルに0.1mlずつ、細胞密度8×10個/mlで播種した後、37℃インキュベーター(5%CO)中で16時間培養した。次いで、実験例2の方法により調製した人のインターフェロンαとともに実験例1で用いた市販の没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸をそれぞれ8体積%ウシ胎児血清を補足したイーグル最小培地(pH7.2)で溶解又は希釈し、表1乃至3に示す濃度になるように上記プレートに添加した後、37℃インキュベーター(5%CO)中で24時間培養した。培地を除去した後、実験例3の方法により調製したトラコーマタイプDのクラミジア・トラコマティスUW−3/Cx株懸濁液を、超音波処理した後、培養プレートへ1×10IFU/ウェルずつ添加した後、クラミジアをHeLa細胞に吸着感染させるために、遠心分離機により1,500×gで1時間処理した。過剰なクラミジア懸濁液を除去した後、上記と同様のインターフェロンαとともに没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸を含有する8体積%ウシ胎児血清を補足した新鮮なイーグル最小培地(pH7.2)を添加してさらに48時間培養した。その後、蛍光標識法により培養細胞における封入体形成細胞数を計数し、インターフェロンα及び没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸を含まない通常の培地による封入体形成細胞数に対する相対封入体数(%)を算出した。結果を表1(没食子酸)、表2(没食子酸プロピル)、表3(カフェ酸)に示す。
Figure 0004571829
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表1乃至3の結果より、インターフェロンαは、単独使用の場合、封入体数を半減させるためには、500IU/ml以上の濃度を要するものの、没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸との併用使用の場合、3.9乃至7.8IU/mlの濃度であっても、没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸を100ng/ml乃至1μg/mlの濃度(インターフェロンαの1IU当り12.8乃至128ng)での併用により、封入体数を半数以下にすることができた。また、単独使用の場合でも効果的である1,000IU/mlの濃度のインターフェロンαの場合、没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸を0.1ng/ml以上の濃度で併用使用(インターフェロンαの1IU当り0.1pg)したとき、さらに高い抗クラミジア活性を発揮した。この結果は、インターフェロンαと没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸はクラミジアの増殖・感染防御に関して相乗的に効果を発揮することを示している。また、抗クラミジア活性は、没食子酸プロピル、没食子酸、カフェ酸の順に高い結果が得られ、アルキル基の付加により抗クラミジア活性が高まることが示唆された。なお、没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸を実験例1で調製したそれぞれの糖転移物(α−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル又はα−グルコシルカフェ酸)に置き換えて同様に試験したところ、没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸と同様の相乗効果を得るためには、それらの糖転移物が5乃至10倍量必要であった。
<実験例5:マウスによる生体内試験>
ズィーピン・ヤン著、「ア マウス モデル オブ クラミジア ニューモニエ ストレイン ティーダブルエーアール ニューモニティス」、インフェクション・アンド・イムニティー、1993年、第61巻、第5号、2037乃至2040頁に記載された方法に準じて、80匹の5週齢の雄性C3H/HeNマウスに、常法に従って、上記実験例2で得たクラミジア・ニューモニエTWAR株AR−39懸濁液3×10IFUを鼻腔から感染させた。マウスを8群(10匹/群)に分け、その3群に対して、一日当り10IUの実験例3で得たマウスインターフェロンαと、1ngの実験例1で得たα−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル、α−グルコシルカフェ酸を、通常の固形飼料に含有させて摂食させた。また、残り5群には、各種糖転移物の代わりに、没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸に置き換えた固形飼料、インターフェロンαのみを含有する固形飼料、また、対照としては、通常の固形飼料を摂食させた。14日目にすべてのマウスから肺を摘出し、常法の蛍光標識法により、クラミジア感染により形成された封入体細胞数を計数し、試験開始前の封入体数と比較した。結果を表4に示す。
Figure 0004571829
表4の結果に示すとおり、インターフェロンαとともにα−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル、又はα−グルコシルカフェ酸を摂食させたマウスは、インターフェロンα単独、及び、インターフェロンαとともに没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸を摂食させたマウスよりもクラミジア感染による封入体数が著明に減少していた。この結果は、生体に適用する場合、糖転移物であるほうが極めて効果的であることを示している。
<実験例6:人による生体内試験>
クラミジアの感染が疑われる複数の成人男性の咽頭から、上皮細胞を綿棒で採取し、SPG緩衝液に浮遊させた後、超音波処理し、これを実験例4に記載した方法に準じて、HeLa細胞に感染させ、37℃インキュベーター(5%CO)中で48時間培養した。これを常法の蛍光標識法を適用して、クラミジアの存在が確認された男性(年齢49乃至75歳、56名)を以下に示す本生体内試験の被験者とした。
被験者を無作為に15群(10名/群)に分け、14群に対しては、表5の配合量の錠剤を、1回1錠、1日3回、毎食後、20日間に亙って服用させた。また、対照としては、有効成分を含有しないマルトース又はトレハロースのみの錠剤を5名ずつ服用させた。21日目にすべての被験者から、再度、咽頭の上皮細胞を採取してクラミジアによる封入体細胞数を計数し、各被験者について、服用前の封入体数と服用後の封入対数を比較した。結果を表6に示す。
Figure 0004571829
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表6の結果に示すとおり、賦形剤としてマルトースを用いた場合、インターフェロンαとともに、α−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル、又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを含有する錠剤は、インターフェロンα単独、及び、インターフェロンαとともに没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸のいずれかを含有する錠剤よりも極めて抗クラミジア効果に優れていた。一方、賦形剤としてトレハロースを用いた場合、インターフェロンαとともに没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸のいずれかを含有する錠剤は、糖転移物にしなくても、抗クラミジア活性に優れていた。
この結果は、没食子酸、没食子酸プロピル及びカフェ酸を糖転移物にすることにより、生体に適用した場合における、抗クラミジア活性が著明に上昇することを示している。また、それらは非糖転移物であっても、トレハロースの混合物として生体に適用すると、抗クラミジア活性を上昇することができることを示している。
<実験例7:急性毒性>
没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸、並びに、実験例1で調製したそれらの糖転移物を、常法にしたがって8週齢の雄性マウス各10匹にそれぞれ経皮、経口あるいは腹腔内投与した。その結果、これらのマウスのLD50は、いずれの投与経路による場合にも約100mg/kg(マウス体重)以上であった。この結果は、α−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル、α−グルコシルカフェ酸、没食子酸、没食子酸プロピル又はカフェ酸がヒトへの投与を前提とする医薬品として安全であることを物語っている。
以上の結果から、インターフェロンα及び没食子酸又はカフェ酸を含有する組成物は、相乗的に抗クラミジア効果を示し、また、生体に適用する際には、没食子酸又はカフェ酸の糖転移物が著効を示し、生体に適用しても安全であることが判明した。
以下、本発明の実施の形態につき、実施例に基づいて説明する。
<インターフェロンαの調製>
常法にしたがって、市販されている人のインターフェロンα標品(商品名『インターフェロンα』、コスモバイオ株式会社販売)へ抗ヒトインターフェロンα抗体カラムクロマトグラフィーを適用して、インターフェロンα標品中のウシ血清アルブミンを除去した後、限外濾過膜及びゲル濾過カラムクロマトグラフィーをそれぞれ適用することによって、人のインターフェロンαを得た。
<糖転移物>
1質量部の没食子酸(関東化学株式会社製)、没食子酸プロピル(関東化学株式会社製)、カフェ酸(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ、10質量部の澱粉部分分解物(DE8、商品名『パインデックス#1』、松谷化学株式会社製)とともに200質量部の水に添加して加熱溶解した。適量の水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり200Uのサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を加え、40℃で24時間インキュベートした。その後、100℃で20分間インキュベートして酵素を失活させた後、適量の水酸化ナトリウムを添加してpH4.5に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり50Uのグルコアミラーゼ(商品名『グルコチーム』、ナガセ生化学工業株式会社製)を加え、40℃で20時間インキュベートした。次いで、80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた後、ろ紙でろ過した。ろ液を、本反応系に用いた没食子酸、没食子酸プロピル、又はカフェ酸1gあたり200mlの合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)を充填したカラムに負荷して吸着させ、カラムを水で洗浄後、5%(w/w)エタノール水溶液でさらに洗浄し、15乃至50%(w/w)エタノール水溶液で溶出した。これを減圧乾固及び水に再溶解した後、同じカラムで同じ操作を繰り返し、得られた溶出液を減圧乾固して、本発明の抗クラミジア組成物に用いる没食子酸、没食子酸プロピル、カフェ酸の糖転移物を得た。これらを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、これらの糖転移物はモノグルコシド、つまりα−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル又はα−グルコシルカフェ酸であり、それらのモル比率は約94%であった。残りの約6%は非糖転移物であった。
<錠剤>
実施例1で得たインターフェロンα、及び実施例2で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物を、粉末トレハロース2水和物(商品名『トレハ』、株式会社林原商事販売)に混合し、1錠0.21gになるように常法にしたがって打錠し、一錠あたり、50IUのインターフェロンαとともに、実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを7ngずつ含有するように配合して、抗クラミジア組成物としての錠剤を得た。
本例の抗クラミジア組成物は、通常の錠剤と同様に用いることによって、生体内におけるクラミジアの増殖を抑制し、クラミジアが発症原因となる呼吸器系疾患や循環器系疾患を治療・予防することができる。
<口腔清浄剤>
常法にしたがって、下記に示す口腔洗浄剤の基本処方1gに対して、実施例1で得た1×10IUの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを5μgずつ含有するように配合して、抗クラミジア組成物としての液剤を得た。
エタノール 20質量部
粉末トレハロース(2水和物) 5質量部
グリセリン 15質量部
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1質量部
サッカリン 適量
香料 適量
クロルヘキシジン 適量
水 44質量部
本例のクラミジア組成物は、通常のうがい薬と同様に用いることによって、口腔内のクラミジアの増殖、感染を効果的に抑制し、クラミジアが発症原因をなる各種疾患を効果的に治療・予防することができる。
<トローチ剤>
常法にしたがって、下記に示すトローチ剤の基本処方1gに対して、実施例1の方法により得た1×10IUの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを5μgずつ含有するように配合して、常法にしたがい1錠3gのトローチ錠に成形して、抗クラミジア組成物としてのトローチ剤を得た。
粉末トレハロース(2水和物) 35質量部
澱粉 34質量部
結晶セルロース 10質量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10質量部
ステアリン酸マグネシウム 1質量部
本例の抗クラミジア組成物は、通常のトローチ剤と同様に用いることによって、口腔におけるクラミジアの増殖・感染を抑制し、クラミジアが発症原因になる呼吸器系疾患や循環器系疾患を治療・予防することができる。
<液剤>
常法にしたがって、イソロイシンを3質量%及びトレハロースを2質量%含有する注射用精製水1mlに、実施例1の方法により得た1×10IUの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを0.1mgずつ含有するように溶解させた後、滅菌濾過して抗クラミジア組成物としての液剤を得た。
本例の抗クラミジア組成物は、注射用剤、経粘皮用剤、経鼻腔用剤、経口用剤などとして、気道、鼻腔、口腔、視覚器、消化器、泌尿器、生殖器などにおけるクラミジアの増殖・感染を抑制し、クラミジアが発症原因になる呼吸器系疾患や循環器系疾患を治療・予防することができる。
<軟膏>
常法にしたがって、実施例1の方法により得た1×10IU/mlの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを250μg/mlずつ含有するように適量の燐酸緩衝生理食塩水(pH7.2)に溶解し、49gの粉末トレハロース(2水和物)と均一に配合した後、さらに450gの白色ワセリンと練り合わせて、抗クラミジア組成物としての軟膏を得た。
本例の抗クラミジア組成物は、皮膚外用剤、経粘皮用剤などとして、泌尿器、生殖器などにおけるクラミジアの増殖・感染を抑制し、クラミジアが発症原因になる泌尿器系疾患や生殖器系疾患を治療・予防することができる。
<点眼剤>
常法にしたがって、下記に示す点眼剤の基本処方1mlに対して、実施例1の方法により得た1×10IUの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを250μgずつ含有するように配合して抗クラミジア組成物としての点眼剤を得た。
トレハロース(2水和物) 20質量部
塩化ナトリウム 0.04質量部
塩化カリウム 0.02質量部
燐酸2水素ナトリウム 0.03質量部
硼砂 0.04質量部
塩化ベンザルコニウム 0.004質量部
水 80質量部
本例の抗クラミジア組成物は、通常の点眼剤と同様に用いることによって、眼部でのクラミジアの増殖を抑制し、かつ、生体における持続性が優れるので長時間抗クラミジア作用を発揮することから、クラミジアが発症原因になる疾患を効果的に治療・予防することができる。
<練歯磨>
常法にしたがって、下記に示す練歯磨の基本処方1gに対して、実施例1の方法により得た1×10IUの人のインターフェロンαとともに実施例2の方法で得た各種糖転移物又は対応する非糖転移物、すなわち、没食子酸、α−グルコシル没食子酸、没食子酸プロピル、α−グルコシル没食子酸プロピル、カフェ酸又はα−グルコシルカフェ酸のいずれかを250μgずつ含有するように配合して、アルミニウムラミネートチューブへ100gずつ充填して抗クラミジア組成物としての練歯磨を得た。
第二燐酸カルシウム 42質量部
トレハロース(2水和物) 20質量部
グリセリン 18質量部
カラギーナン 0.9質量部
ラウリル硫酸ナトリウム 1.1質量部
香料 適量
サッカリン 適量
水 38質量部
本例の抗クラミジア組成物の練歯磨は、通常の練歯磨と同様に常用することによって、口腔におけるクラミジアが発症原因になる疾患を効果的に治療・予防することができる。
叙述のとおり、本発明による抗クラミジア組成物は、生体に対する毒性が低いうえ、生体内における持続性に優れるので、注射又は経皮、経粘皮、経鼻腔若しくは経口経路など生体に適用することによって、クラミジアの増殖を著明に抑制することができる。したがって、クラミジアが発症原因となる疾患、又はクラミジアが併発している疾患、例えば、肺炎などの呼吸器系疾患や、動脈硬化、虚血性心疾患などの循環器系疾患、結膜炎などの視覚器系疾患、直腸炎などの消化器系疾患、尿道炎などの泌尿器系疾患、副睾丸炎、卵管炎、子宮頚管炎、切迫早産、卵管の炎症、癒着、閉塞などの生殖器系疾患、アルツハイマー病、及びSARSなどの治療、予防に著効を発揮する。とりわけ、本発明の抗クラミジア組成物は、抗生物質とは違って、耐性菌の出現を招来したり、長時間連用しても大腸における有用な菌叢を破壊する恐れが少ないないので、食欲不振、嘔吐、下痢、便秘、膨満感を生じたり、倦怠感、発湿などの副作用を惹起する恐れが少ない。

Claims (2)

  1. 有効成分として、インターフェロンαとともに、インターフェロンαの1国際単位(IU)当たり0.05乃至1ngのα−グルコシル没食子酸、α−グルコシル没食子酸プロピル又はα−グルコシルカフェ酸を含有してなる抗クラミジア組成物。
  2. マルトース又はトレハロースを賦形剤とする錠剤の形態にある請求項1記載の抗クラミジア組成物。
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