JP4571809B2 - 貴金属含有触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特にα,β−不飽和カルボン酸の製造用触媒として好適な貴金属含有触媒の製造方法に関する。
貴金属含有触媒は、非特許文献1に記載されているように、自動車の排ガス浄化用をはじめとする環境保全用途、石油精製、石油化学、医薬、香料、食品などの化学用途等様々な目的に使用されている。化学用途では、水素化、脱水素、酸化、カルボニル化、ヒドロホルミル化等の各種化学反応による様々な化合物の合成に使用されている。この中には既に工業的に確立できたものも多いが、中には開発途上のものもあり工業化に向けての開発が進められている。
開発途上のものの一つとして、貴金属含有触媒を用いてオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法が挙げられる。例えば、特許文献1には金を含有する触媒、特許文献2〜4にはパラジウムを含有する触媒が提案されている。
特開2001−172222号公報 特開昭60−155148号公報 特開昭60−139341号公報 特開昭56−59722号公報 室井高城著、工業貴金属触媒、JETI発行
本願発明者が特許文献1〜4の実施例に記載された方法に準じて製造した貴金属含有触媒を用いてプロピレンからアクリル酸を製造したところ、特許文献1〜4に記載されている副生成物(アセトアルデヒド、アセトン、アクロレイン、酢酸、二酸化炭素)以外に多様なポリマーやオリゴマーが多く副生することがわかり、これらの副生成物を含めた実際のアクリル酸の収率は実施例に記載されたものより低くなることが判明した。このように、特許文献1〜4に記載の方法で製造した触媒の性能は未だ十分ではなく、より高い選択率、収率、及び生産性を実現できる貴金属含有触媒の製造方法が望まれていた。
したがって本発明の目的は、特にα,β−不飽和カルボン酸の製造に用いたときに、高い選択率、収率、及び生産性を実現できる貴金属含有触媒の製造方法を提供することにある。
本発明は、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化しα,β−不飽和カルボン酸を製造するための貴金属含有触媒を製造する方法であって、貴金属化合物を含有する溶液中で、下記式(1)で表される化合物により前記貴金属化合物を還元することを特徴とする貴金属含有触媒の製造方法である。
Figure 0004571809
〔式(1)において、R1は−CH2OH、−CHO、または−COOR5を表し、R2〜R5は水素原子またはアルキル基を表す〕
また、前記溶液に担体を分散させ、該担体に貴金属が担持された担持触媒を製造することもできる。
このような方法で製造された貴金属含有触媒は、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化しα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒として好適に用いることができる。
貴金属化合物を含有する溶液中で式(1)で表される化合物により貴金属化合物を還元する方法により、特にα,β−不飽和カルボン酸の製造に用いたときに、高い選択率、収率、及び生産性を実現できる貴金属含有触媒を製造することができる。
本発明の貴金属含有触媒の製造方法は、貴金属化合物を含有する溶液中で、下記式(1)で表される化合物により前記貴金属化合物を還元することを特徴としている。
Figure 0004571809
〔式(1)において、R1は−CH2OH、−CHO、または−COOR5を表し、R2〜R5は水素原子またはアルキル基を表す〕
上記の式(1)で表される化合物は、R1が−CH2OH、−CHO、または−COOR5であり、R2〜R5が水素原子またはアルキル基であれば特に限定されず、少なくとも1種を用いていれば2種類以上の化合物を併用してもよい。上記のアルキル基としては炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。ただし、R2は、水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。具体的には、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。アリルアルコール、メタリルアルコール、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であることがさらに好ましく、アリルアルコール、メタリルアルコール、メタクロレイン、メタクリル酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であることが特に好ましい。
本発明では、上記のような二重結合を有する特定の化合物を還元剤として用いることで、二重結合を有する化合物と何らかの有利な相互作用を持つ表面構造を有する貴金属含有触媒が得られていると推定される。
本発明において貴金属化合物を構成する貴金属とは、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀、及びオスミウムからなる群より選ばれる1種以上であり、なかでもパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム及び金からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、特にパラジウムが好ましい。
貴金属化合物としては特に限定しないが、貴金属の、塩化物、酸化物、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、テトアンミン錯体およびアセチルアセトナト錯体からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましく、貴金属の、塩化物、酸化物、酢酸塩、硝酸塩または硫酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物がより好ましく、なかでも貴金属の、塩化物、酢酸塩、硝酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が特に好ましい。
この貴金属化合物を含有する溶液を調製するために用いる溶媒としては、水が一般的であるが、用いる貴金属化合物や式(1)で表される化合物の溶解性によっては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸、n−吉草酸、iso−吉草酸等の有機酸類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;およびヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類等の有機溶媒、あるいはこれらと水との混合溶媒を用いることができる。貴金属化合物として塩化パラジウムを用いる場合、エタノールと水の混合溶媒、アセトンと水との混合溶媒、酢酸と水との混合溶媒が好ましい。
本発明では、まず、貴金属化合物を溶媒に溶解して貴金属化合物を含有する溶液を調製する。
貴金属化合物を含有する溶液における貴金属化合物の濃度は、通常0.1質量%以上であり、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上である。また、通常20質量%以下であり、好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは7質量%以下である。
次いで、この貴金属化合物を含有する溶液に式(1)で表される化合物を加えて貴金属化合物を還元することで、貴金属含有触媒を製造することができる。
式(1)で表される化合物の使用量は、貴金属化合物を含有する溶液中の貴金属化合物1モルに対して、通常0.1モル以上であり、好ましくは0.3モル以上であり、より好ましくは0.5モル以上である。また、通常100モル以下であり、好ましくは50モル以下であり、より好ましくは30モル以下である。
本発明の貴金属含有触媒は、表面積を向上させ高分散を目的にするため、および/または、酸点や塩基点の制御のために、担体に貴金属が担持された担持触媒としても構わない。担体としては、例えば、活性炭、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、マグネシア、カルシア、チタニアおよびジルコニア等を用いることができるが、好ましくは活性炭、シリカ、アルミナがよい。好ましい担体の比表面積は担体の種類等により異なるので一概に言えないが、活性炭の場合、通常100m2/g以上、好ましくは300m2/g以上であり、通常5000m2/g以下、好ましくは4000m2/g以下である。この範囲内においては、担体の比表面積は小さいほど有用成分がより表面に担持された触媒の製造が可能となり、大きいほど有用成分が多く担持された触媒の製造が可能となる。
担持触媒とする場合には、担持触媒における貴金属の担持率は、担持前の担体に対して通常0.1質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。また、通常30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。
担持触媒とする場合には、貴金属化合物を含有する溶液に担体を分散させた状態にすれば良い。具体的には、担体と貴金属化合物を所望の順序または同時に溶媒に加えて、担体が分散した貴金属化合物の溶液を調製することができる。次いで、ここに式(1)で表される化合物を加えて貴金属化合物を還元することで、還元した貴金属を担体に担持させた担持触媒を製造することができる。
還元温度は、用いる貴金属化合物および式(1)で表される化合物等により異なるので一概に言えないが、通常−5℃以上、好ましくは15℃以上、また、通常150℃以下、好ましくは80℃以下で行う。
還元時間は、用いる貴金属化合物および式(1)で表される化合物等により異なるが、通常0.1時間以上、好ましくは0.25時間以上、より好ましくは0.5時間以上であり、通常4時間以下、好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下である。
還元後、貴金属含有触媒を含む分散液から貴金属含有触媒を分離する。貴金属含有触媒を分離する方法は特に限定されないが、例えば、ろ過、遠心分離等の方法を用いることができる。なお、分離後の溶媒に含まれる貴金属は10mg/l以下にすることが好ましい。溶媒中の貴金属の量はICP等の元素分析で定量することができる。この量は還元前の貴金属化合物濃度や還元温度、還元時間等により調節できる。
分離された貴金属含有触媒は適宜洗浄または/および乾燥される。
洗浄には、水、温水あるいは反応溶媒が使用される。洗浄により、例えば、塩化物イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等の原料塩由来の不純物が除去される。洗浄の方法および回数は特に限定されないが、不純物によっては反応を阻害する恐れがあるため、不純物を十分除去できる程度に洗浄することが好ましい。
乾燥方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。乾燥は、窒素、二酸化炭素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
本発明の貴金属含有触媒は、上記の貴金属を少なくとも1種含有していれば良い。すなわち、2種以上の貴金属を含有していても良く、貴金属以外に任意の金属や非金属元素を含有していても良い。貴金属以外の元素を触媒に含有させる手法としては特に限定されないが、例えば、貴金属化合物を含有する溶液中に他の元素の化合物を同時に溶解させて還元する方法、本発明の方法によりあらかじめ製造した貴金属含有触媒に他の元素の化合物を含む溶液を含浸させたものを乾燥し、還元雰囲気で還元する方法、あらかじめ他の元素を担持した担体を用いて本発明の貴金属含有触媒を製造する方法等があげられる。
以上のようにして、本発明の貴金属含有触媒を製造することができる。
本発明の貴金属含有触媒は、所望の反応に供する前に、活性化してもよい。活性化の方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。活性化の方法としては水素気流中の還元雰囲気下で加熱する方法が一般的である。
こうして製造された貴金属含有触媒は各種反応に使用することができるが、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒として好適であり、なかでも、プロピレンもしくはアクロレインからアクリル酸を製造するための触媒、または、イソブチレンもしくはメタクロレインからメタクリル酸を製造するための触媒として特に好適である。ここでは、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法について説明する。
α,β−不飽和カルボン酸の製造は、連続式、バッチ式の何れの形式で行ってもよいが、生産性を考慮すると工業的には連続式が好ましい。
原料のオレフィンとしては、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、2−ブテン等が挙げられるが、中でもプロピレンおよびイソブチレンが好適である。また、原料のα,β−不飽和アルデヒドとしては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド(β−メチルアクロレイン)、シンナムアルデヒド(β−フェニルアクロレイン)等が挙げられるが、中でもアクロレインおよびメタクロレインが好適である。
原料のオレフィンあるいはα,β−不飽和アルデヒドは、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等を少量含んでいてもよい。
製造されるα,β−不飽和カルボン酸は、原料がオレフィンの場合、オレフィンと同一炭素骨格を有するα,β−不飽和カルボン酸である。また、原料がα,β−不飽和アルデヒドの場合、α,β−不飽和アルデヒドのアルデヒド基がカルボキシル基に変化したα,β−不飽和カルボン酸である。
α,β−不飽和カルボン酸の製造に用いる分子状酸素源としては、空気が経済的であるが、純酸素または純酸素と空気の混合ガスを用いることもでき、必要であれば、空気または純酸素を窒素、二酸化炭素、水蒸気等で希釈した混合ガスを用いることもできる。
α,β−不飽和カルボン酸の製造に用いる反応溶媒としては、例えば、ターシャリーブタノール、シクロヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、ヘキサン、シクロヘキサンおよびトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を用いることが好ましい。なかでも、ターシャリーブタノール、メチルイソブチルケトン、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸およびiso−吉草酸からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物がより好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸を選択率よく製造するためには、これら有機溶媒に水を共存させることが好ましい。共存させる水の量は特に限定されないが、有機溶媒と水の合計質量に対して通常2質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、通常70質量%以下、好ましくは50質量%以下である。有機溶媒と水の混合物は均一な状態であることが望ましいが、不均一な状態であっても差し支えない。
反応の原料であるオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの濃度は、反応器内に存在する溶媒に対して通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上であり、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
分子状酸素の量は、原料であるオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒド1モルに対して通常0.1モル以上、好ましくは0.3モル以上、より好ましくは0.5モル以上であり、通常20モル以下、好ましくは15モル以下、より好ましくは10モル以下である。
通常、貴金属含有触媒は反応液に懸濁させた状態で使用されるが、固定床で使用してもよい。貴金属含有触媒の使用量は、反応器内に存在する溶液に対して通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。また、通常30質量%以下であり、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
反応温度および反応圧力は、用いる溶媒および反応原料によって適宜選択される。反応温度は通常30〜200℃であり、好ましくは50℃以上であり、好ましくは150℃以下である。また、反応圧力は通常大気圧(0MPa)〜10MPa(ゲージ圧)であり、好ましくは0.5MPa(ゲージ圧)以上であり、好ましくは5MPa(ゲージ圧)以下である。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、下記の実施例及び比較例は、メタクロレインの酸化反応によりメタクリル酸を製造する反応を行ったものである。また、下記の実施例および比較例中の「部」は質量部である。
原料および生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。なお、メタクロレインの反応率、生成するメタクリル酸の選択率、収率および生産性は以下のように定義される。
メタクロレインの反応率(%) =(B/A)×100
メタクリル酸の選択率(%) =(C/B)×100
メタクリル酸の収率(%) =(C/A)×100
メタクリル酸の生産性(g/g/h) =D/(E×F)
ここで、
Aは供給したメタクロレインのモル数、
Bは反応したメタクロレインのモル数、
Cは生成したメタクリル酸のモル数、
Dは生成したメタクリル酸の質量(単位:g)、
Eは触媒に含まれる貴金属原子の質量(単位:g)、
Fは反応時間(単位:時間)
である。
[実施例1]
(触媒製造)
攪拌羽根を装備したガラス製反応容器に酢酸200部、水50部、および酢酸パラジウム2.5部を入れ、80℃で攪拌しながら加熱溶解した後、30℃に冷却した。反応容器の気相部を窒素で置換した後、攪拌状態の溶液に還元剤としてアリルアルコール12.9部を添加し、30℃で15時間攪拌を行った。その後、攪拌を止め、反応液を取り出し、窒素気流下で反応液から沈殿をろ別し、熱水洗浄した。得られた沈殿を窒素気流下100℃において1晩乾燥し、パラジウム金属含有触媒を得た。
(反応評価)
攪拌羽根を装備したオートクレーブに反応溶媒として酢酸75部および水25部を入れ、上記の方法で得たパラジウム金属含有触媒1.2部とメタクロレイン2.5部を添加してオートクレーブを密閉した。次いで、オートクレーブの気相部を窒素で置換した後、攪拌を開始し90℃まで昇温した。昇温完了後、オートクレーブに窒素を内圧1.0MPa(ゲージ圧)まで導入した後、空気を内圧3.5MPa(ゲージ圧)まで導入した。この状態で10分間メタクロレインの酸化反応を行った。
反応終了後、氷浴でオートクレーブ内を20℃まで冷却した。オートクレーブのガス出口にガス捕集袋を取り付け、ガス出口を開栓して出てくるガスを回収しながら反応器内の圧力を開放した。オートクレーブから触媒入りの反応液を取り出し、遠心分離により触媒を分離して、反応液だけを回収した。回収した反応液と捕集したガスはガスクロマトグラフィーにより分析した。
この結果、メタクロレイン反応率82.9%、メタクリル酸選択率77.2%、メタクリル酸収率64.0%、およびメタクリル酸生産性は9.8g/g/hであった。
[実施例2]
触媒製造に用いる還元剤をメタクロレイン15.6部に代えた以外は実施例1と同様にして触媒を製造し、反応評価を行った。この結果、メタクロレイン反応率79.1%、メタクリル酸選択率78.8%、メタクリル酸収率62.3%、およびメタクリル酸生産性は9.6g/g/hであった。
[比較例1]
触媒製造に用いる還元剤をヒドラジン1水和物11.1部に代えた以外は実施例1と同様にして触媒を製造し、反応評価を行った。この結果、メタクロレイン反応率43.2%、メタクリル酸選択率68.4%、メタクリル酸収率29.5%、およびメタクリル酸生産性は4.5g/g/hであった。
[実施例3]
(触媒製造)
攪拌羽根を装備したオートクレーブに酢酸200部、水50部、および酢酸パラジウム2.5部を入れ、80℃で攪拌しながら加熱溶解した後、10℃に冷却し、担体としてシリカ(和光純薬工業製ワコーゲルC−200(商品名))23.6部および還元剤としてアリルアルコール12.9部を添加し、オートクレーブを密閉した。オートクレーブの気相部を窒素で置換した後、攪拌を開始し、50℃まで昇温した。50℃で15時間攪拌を行った後、攪拌を止め、オートクレーブを開放し、反応液を取り出し、窒素気流下で反応液から沈殿をろ別し熱水洗浄した。得られた沈殿を窒素気流下100℃において1晩乾燥し、シリカ担持パラジウム金属含有触媒を得た。この触媒のパラジウム担持率は5.0質量%であった。
(反応評価)
触媒を上記の方法で得たシリカ担持パラジウム金属含有触媒24.8部に代えた以外は実施例1と同様にして反応評価を行った。この結果、メタクロレイン反応率84.3%、メタクリル酸選択率74.5%、メタクリル酸収率62.8%、およびメタクリル酸生産性は9.6g/g/hであった。
[実施例4]
触媒製造に用いる還元剤をメタクリル酸19.2部に代えた以外は実施例3と同様にして触媒を製造し、反応評価を行った。この結果、メタクロレイン反応率81.5%、メタクリル酸選択率79.1%、メタクリル酸収率64.5%、およびメタクリル酸生産性は9.9g/g/hであった。
[比較例2]
攪拌羽根を装備したオートクレーブに酢酸200部、水50部、および酢酸パラジウム2.5部を入れ、80℃で攪拌しながら加熱溶解した後、10℃に冷却し、担体としてシリカ(和光純薬工業製ワコーゲルC−200(商品名))23.6部を添加し、オートクレーブを密閉した。オートクレーブの気相部を窒素で置換した後、攪拌を開始し、0.5MPa(ゲージ圧)のプロピレンガスを導入した。50℃まで昇温し、50℃で15時間攪拌を行った後、攪拌を止め、オートクレーブを開放し、反応液を取り出し、窒素気流下で反応液から沈殿をろ別し熱水洗浄した。得られた沈殿を窒素気流下100℃において1晩乾燥し、シリカ担持パラジウム金属含有触媒を得た。この触媒のパラジウム担持率は5.0質量%であった。
(反応評価)
実施例3と同様にして反応評価を行った。この結果、メタクロレイン反応率56.8%、メタクリル酸選択率70.9%、メタクリル酸収率40.3%、およびメタクリル酸生産性は6.2g/g/hであった。
以上の結果をまとめて表1に示す。このように本発明の方法で製造した触媒は、α,β−不飽和カルボン酸の製造に使用した際に、高い選択率、収率、及び生産性を実現できることが分かった。
Figure 0004571809

Claims (2)

  1. 液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化しα,β−不飽和カルボン酸を製造するための貴金属含有触媒を製造する方法であって、貴金属化合物を含有する溶液中で、下記式(1)で表される化合物により前記貴金属化合物を還元することを特徴とする貴金属含有触媒の製造方法。
    Figure 0004571809
    〔式(1)において、R1は−CH2OH、−CHO、または−COOR5を表し、R2〜R5は水素原子またはアルキル基を表す〕
  2. 前記溶液に担体を分散させ、該担体に貴金属が担持された担持触媒とする請求項1記載の貴金属含有触媒の製造方法。
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