以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の内部構成を側面から見た状態を示す側面図である。図1に基づいて、加熱調理器100の構成及び動作について説明する。この加熱調理器100は、被加熱物(米や水等)を入れた内鍋を誘導加熱コイル等の加熱手段で加熱することで被加熱物を炊きあげ、このとき発生する蒸気を水槽で回収するものである。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
加熱調理器100は、上面が蓋体3に開閉自在に覆われ、炊飯釜2及び水タンク7を着脱自在に収納される本体1と、調理される被加熱物が入れられ、本体1の内部に着脱自在に収納される炊飯釜2と、本体1の後方上部に軸支されたヒンジ部(図示省略)を介して本体1の上面を開閉自在に覆う蓋体3と、蓋体3の内側に着脱自在に取り付けられ、炊飯釜2の上部開口部を開閉自在に覆う内蓋4と、炊飯釜2を加熱する誘導加熱コイル等の加熱体5と、所定量の水が貯留され、蒸気を冷却して復水することで蒸気を回収する水タンク7と、炊飯釜2と水タンク7とを連結し、蒸気を導通させる蒸気パイプ6と、で構成されている。なお、本体1と蓋体3とで、加熱調理器100の外形を構成するようになっている。
本体1は、上面が開口形成されており、内部に炊飯釜2及び水タンク7の他に加熱体5も収納するものである。炊飯釜2は、上面が開口形成されており、この開口部が内蓋4で覆われることで内部が密閉状態になるものである。蓋体3は、ユーザにより開閉スイッチ等(図示省略)が操作されることで、本体1の上面を開閉自在に覆うものである。また、蓋体3には、蒸気パイプ6が着脱自在に装着されるようになっている。内蓋4は、調理時に炊飯釜2の上部開口部を閉塞し、炊飯釜2の内部を密閉するものである。加熱体は、炊飯釜2の底面側に配設されており、通電制御されることで炊飯釜2を加熱して調理したり保温したりするものである。
蒸気パイプ6は、一端(紙面右側端部)が内蓋4の略中央部に、他端(紙面左側端部)が水タンク7の内部に挿入されている蒸気導入パイプ13に接続され、炊飯釜2と水タンク7とを連結するものである。水タンク7は、内部に所定量の水が貯留され、蒸気パイプ6を介して流通した蒸気を冷却して回収するものである。この水タンク7は、炊飯釜2が収納されている位置の脇に収納されるようになっている。また、水タンク7は、上面が開口形成されており、この開口部を着脱自在に覆うタンク蓋12を有している。さらに、タンク蓋12には、蒸気導入パイプ13が貫通するように固着されている。
蒸気導入パイプ13は、タンク蓋12が水タンク7に装着された状態において、一端(上端)が蒸気パイプ6に着脱自在に接続され、他端(下端)が水タンク7内部下側に位置するようになっている。つまり、蓋体3が開けられたとき蒸気パイプ6が蒸気導入パイプ13から離れ、蓋体3が閉じられたときに蒸気パイプ6が蒸気導入パイプ13に接続されるようになっている。蒸気パイプ6及び蒸気導入パイプ13は、炊飯時に発生した蒸気を水タンク7内に導く蒸気案内路として機能するものであり、水タンク7は、蒸気導入パイプ13を介して流入した蒸気を水で結露させ、回収水9として貯留するものであり、これらで蒸気回収装置を構成している。
また、本体1内には、加熱体5の通電制御を行なう制御部11と、水タンク7内に貯留されている回収水9の水位を検知する水位検知装置8と、が設けられている。制御部11は、本体1の底面であって、加熱体5の下側に配置され、水位検知装置8から出力される信号に基づいて加熱体5への通電を制御するものである。水位検知装置8は、水タンク7の側面に設けられており、水タンク7の回収水9の水位が予め設定されている水位10以上であるかどうかを検知するものである。この水位検知装置8は、回収水9の水位が水位10以上であることを検知すると、制御部11に出力している信号をHighレベルからLowレベルに反転し、出力するようになっている。
ここで、制御部11の具体的な制御動作について説明する。
制御部11は、蓋体3の上面に設けられているスイッチ等のユーザ操作を通して炊飯の開始を検知すると、水位検知装置8からの信号がHighレベルであるかLowレベルであるかを判定する。水位検知装置8からの信号がHighレベルであるとき、制御部11は、ユーザ操作に従い炊飯を開始する。一方、水位検知装置8からの信号がLowレベルであるとき、制御部11は、水タンク7内の回収水9が水位10に達していると判断する。そして、制御部11は、たとえば蓋体3の上面に設けられているランプや液晶ディスプレイ等で構成されている表示部に炊飯停止及び回収水9の排水を促すメッセージを表示し、併せてブザー音等でユーザに報知する。
つまり、制御部11は、水タンク7内に貯留されている水の水量を判定する水量判定部として機能し、水タンク7内の回収水9が水位10を超えていると判断した場合には、本体1や蓋体3周辺に結露が発生したり、回収水9が溢れてしまったりする可能性が高くなるため、このことを視覚的又は聴覚的のいずれかまたは双方でユーザに報知するようになっている。本体1や蓋体3周辺に結露が発生したり、回収水9が溢れてしまったりすると、安全性及び清潔性を損ねることになるとともに、内部機器(特に制御部11)に悪影響を与えることになる可能性が高くなる。そこで、そのような事態を未然に防止すべく、ユーザに報知することにしている。
また、制御部11は、炊飯終了時に水位検知装置8からの信号がLowレベルに反転しているかどうかを判定する。そして、水位検知装置8からの信号がLowレベルに反転しているときは、制御部11は、たとえば蓋体3の上面に設けられている表示部に回収水9の排水を促すメッセージを表示し、併せてブザー音等でユーザに報知する。なお、ブザー音に代えて、スピーカによる音声メッセージを利用してユーザに報知するようにしてもよい。
以上のように構成された加熱調理器100においては、米と水等の被加熱物の入った炊飯釜2を本体1内に収納されて蓋体3が閉じられ、炊飯開始のスイッチが操作されると、制御部11は、水位検知装置8からの信号がHighレベルかどうかを判定する。水位検知装置8からの入力信号がHighレベルのときは、制御部11は、加熱体5への通電を開始し、炊飯釜2を介して被加熱物に熱を伝える。この加熱動作により炊飯釜2内の被加熱物から蒸気が発生する。
炊飯釜2内に発生した蒸気は、蒸気パイプ6及び蒸気導入パイプ13を通って、水タンク7内に導かれ、水タンク7内に注入されている水に接触して温度が下がり、結露して水となり、回収水9として貯留される。炊飯量にもよるが、1回の炊飯によって回収される水量は約50〜100mLである。たとえば、水タンク7の底部が20cm×5cmの長方形で、その面積が100cm2 であるとする場合では、1回の炊飯で回収水9の水位が0.5〜1cm程度が上昇することになる。
一方、炊飯の開始を検知した際に、水位検知装置8からの信号がLowレベルのときは、制御部11は、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達していると判断して、炊飯停止及び回収水9の排水の催促をユーザに報知する。また、制御部11は、炊飯終了時に水位検知装置8からの信号がLowレベルに反転しているかどうかを判定する。炊飯終了時に水位検知装置8からの信号がLowレベルに反転しているときは、制御部11は、水タンク7内の回収水9が上限水位10に達していると判断して、回収水9の排水の催促をユーザに報知する。これは、炊飯の繰り返しによって、回収水9の水位が水位10に達していると判断できるからである。なお、水位検知装置8からの信号のHighレベルとLowレベルとは、相互に反転した信号でもよい。
実施の形態1に係る加熱調理器100によれば、炊飯時に発生した蒸気を水タンク7内で回収することができ、蒸気を外部に放出することがない。また、炊飯開始時に回収水9が水位10に達したことを水位検知装置8を通して検知したときは、ユーザに回収水9の排水を促すと共に炊飯停止を表示し、炊飯終了時に回収水9が水位10に達したことを水位検知装置8を通して検知したときは、ユーザに回収水9の排水を促すようにしているので、本体1や蓋体3周辺の結露の発生を抑制することができる。さらに、水タンク7内の回収水9が溢れることを未然に防止することができ、メンテナンス性の良い蒸気回収装置及び加熱調理器100を得ることができる。
ここで、水タンク7内の水位検知の具体的な仕組みについて説明する。
図2は、水タンク7の一例である水タンク7aの外観形状を示す斜視図である。図3は、水タンク7a及び発受光部を説明するための説明図である。図2及び図3に基づいて、水タンク7内の水位検知の具体的な仕組みを、水タンク7a及び発受光素子の配置関係及び動作とともに説明する。図3では、水タンク7a及び発受光部を3つの方向から見た状態をそれぞれ示しており、図3(a)が水タンク7a及び発受光部を上方から見た状態を示す平面図を、図3(b)が水タンク7a及び発受光部を水タンク7aの短手方向側面から見た状態を示す側面図を、図3(c)が水タンク7a及び発受光部を水タンク7aの長手方向側面から見た状態を示す側面図を、それぞれ示している。また、図3には、発光部15aから発光され、受光部16aで受光される光の光路を矢印(実線矢印及び破線矢印)で示してある。
図2及び図3に示す水タンク7aは、図1で示した水タンク7と同様の機能を有している。水タンク7aは、光を透過する材料(ポリスチレン等)で形成されている。この水タンク7aの側面(水タンク7aの長手方向側面の一方の側面)には、凹部14aが成形されている。凹部14aは、水タンク7aの長手方向側面の一方の側面の一部を、水タンク7aの高さ方向に沿って所定の深さの溝となるように形成されている。この凹部14aは、2つのタンク外側傾斜面(入出面)と、2つのタンク内側傾斜面(反射透過面)とを有している。
そして、タンク外側傾斜面の発光部15a側を入出面19a−1とし、タンク外側傾斜面の受光部16a側を入出面19a−2とし、タンク内側傾斜面の発光部15a側を反射透過面20a−1とし、タンク内側傾斜面の受光部16a側を反射透過面20a−2として、それぞれ図示している。なお、入出面19a−2は、凹部14aの高さ方向の中心線を軸として入出面19a−1の対称位置に形成され、反射透過面20a−2は、凹部14aの高さ方向の中心線を軸として反射透過面20a−1の対称位置に形成されている。また、以下の説明において、入出面と反射透過面とを併せて凹部14aの傾斜部と称する場合がある。
また、図3に示すように、発受光部である発光部15aと受光部16aとは、水タンク7aの長手方向側面に対してほぼ直角に配置されている。この発光部15aと受光部16aと、水タンク7aとで水位検知装置を構成している。また、図3(b)に示すように、発光部15a及び受光部16aは、水タンク7aの水位10の延長線上に配置されている。図3(a)に示すように、水タンク7a内の水位10に対応する位置が空気の場合、つまり回収水9が水位10まで貯留されていない場合における光路は実線矢印17となり、回収水9が水位10を超えて貯留されている場合における光路は破線矢印18となる。なお、実線矢印17は、図3(c)の矢印と対応している。
すなわち、回収水9が水位10まで貯留されていない場合、発光部15aの構成要素である発光素子から発光される光は、実線矢印17で示すように、入出面19a−1を通り、タンク壁面内部をタンク内部方向に向かって進み、反射透過面20a−1で反射され、タンク壁面内部をタンク壁面方向に沿って進み、反射透過面20a−2で反射され、タンク壁面内部をタンク外部方向に向かって進み、入出面19a−2を透過して、受光部16aに達するように進行する。一方、回収水9が水位10まで貯留されている場合は、発光部15aの構成要素である発光素子から発光される光は、破線矢印18で示すように、入出面19a−1を通り、タンク壁面内部をタンク内部方向に向かって進み、反射透過面20a−1を透過してタンク内部へ向かうように進行する。
ここで、水位検知装置の更に具体的な動作について説明する。
図4は、水タンク7aの一部を拡大して示す拡大平面図である。図4に基づいて、水位検知装置を構成する発光部15a及び受光部16aの詳細な動作について説明する。図4には、水タンク7aの一部、つまり凹部14aの発光部15a側の入出面19a−1及び反射透過面20a−1を光の光路と併せて図示している。この図4には、発光部15aから発光された光の光路を4つの実線矢印(矢印17a〜矢印17c及び矢印18c)で示している。また、図4には、水タンク7aを各寸法を併せて図示している。なお、水タンク7aの各寸法については後に詳細に説明する。
図4に示すように、発光部15aからの光は、矢印17aで示す光路を通って、入出面19a−1で屈折・透過して、タンク壁面内部に入り、矢印17bで示す光路を通って、反射透過面20a−1に至る。そして、回収水9が水位10まで貯留されていない場合は、反射透過面20a−1で反射して矢印17で示す光路のようにタンク壁面内部をタンク壁面方向に沿って進み、回収水9が水位10まで貯留されている場合は、反射透過面20a−1で屈折・透過して矢印18cで示す光路のように水タンク7aの内部方向に向かって進む。
図5は、光の反射・透過の仕組みを説明するための説明図である。図6は、光の入射角度と反射率との相関を示す特性図である。図5及び図6に基づいて、実施の形態1で利用している反射や屈折に関する原理について説明する。この実施の形態1においては、空気の屈折率n1 を1.00、水の屈折率n3 を1.33、水タンク7aの構成材料の一例であるポリスチレンの屈折率n2 を1.59として表している(図4参照)。なお、水タンク7a内が空気の場合には、タンク内部の屈折率n3 は、1.00となる。また、屈折に関するスネルの法則、及び、反射・透過に関するフレネルの公式は、下記の通りである。
図5に示すように媒質1(n1 )と媒質2(n2 )との間で、光が入射、反射、屈折した場合を考える。
ここで、
n1 :媒質1(入射側)の屈折率
n2 :媒質2(透過側)の屈折率
θ1 :入射角
θ2 :屈折角
θ3 :反射角
とすると、スネルの法則より、
(1) θ1 =θ3 (入射角と反射角とは等しい)
(2) n1 ×sinθ1 =n2 ×sinθ2
(又は、sinθ1 /sinθ2 =n2 /n1 )
となる。
また、フレネルの公式より、臨界が入射面に対し垂直の場合の反射係数rs及び透過係数tsを算出すると以下のようになる。
(3) rs=(n1cosθ1−n2cosθ2)/(n1cosθ1+n2cosθ2)
=−sin(θ1−θ2)/sin(θ1+θ2)
(4) ts=2n1cosθ1/(n1cosθ1+n2cosθ2)
スネルの法則を用いて入射角θ1 のみを用いて書き換えると以下のようになる。
(5) rs=[cosθ1−{(n2/n1)2 −(sinθ1)2}0.5]/[cosθ1+(n2/n1)2−(sinθ1)2}0.5]
(6) ts=2cosθ1/[cosθ1+{(n2/n1)2−(sinθ1 )2}0.5]
臨界が入射面に対し水平の場合の反射係数rp及び透過係数tpを算出すると以下のようになる。
(7) rp=(n1cosθ2−n2cosθ1)/(n1cosθ2+n2cosθ1)
=tan(θ1−θ2)/tan(θ1+θ2)
(8) ts=2n1cosθ1/(n1cosθ2+n2cosθ1)
スネルの法則を用いて入射角θ1 のみを用いて書き換えると以下のようになる。
(9) rp=[−(n2/n1)2×cosθ1+{(n2/n1)2−(sinθ1)2}0.5]/[(n2/n1)2×cosθ1+{(n2/n1)2−(sinθ1)2}0.5]
(10)tp=2×(n2/n1)×cosθ1/[(n2/n1)2×cosθ1+{(n2/n1)2−(sinθ1)2}0.5]
次いで、反射率R及び透過率Tが以下のように求められる。入射エネルギーに対する反射エネルギーの比を反射率Rといい、入射エネルギーに対する透過エネルギーの比を透過率Tという。
(11)R=r2 =1/2(rs2+rp2)
(12)T=t2 ×(n2cosθ2/n1cosθ1)
とそれぞれ表される。
屈折角θ2が90°となる入射角を臨界角とよび、それ以上の入射角では、全反射が生じる。(n1>n2の場合に生じる:たとえば、水n1=1.33から空気n2=1.00中に出る場合などの)臨界角θ1 rinは、以下の式で求められる。
(13)θ1rin=sin−1(n2/n1 )
上述した各式を用いて計算した各媒質間の反射率角度特性は図6のようになる。図6では、縦軸が反射率(%)を、横軸が入射角度(deg)をそれぞれ示している。また、線(イ)が空気→水(回収水9)の反射率角度特性を、線(ロ)が空気→ポリスチレン(PS)の反射率角度特性を、線(ハ)が水→ポリスチレンの反射率角度特性を、線(ニ)が水→空気の反射率角度特性を、線(ホ)がポリスチレン→空気の反射率角度特性を、線(ヘ)がポリスチレン→水の反射率角度特性を、それぞれ示している。
すなわち、各媒質間の反射率角度特性は、水→空気(線(ニ))、ポリスチレン→空気(線(ホ))、ポリスチレン→水(線(ヘ))の場合では、全反射が生じる。逆に、各媒質間の反射率角度特性は、空気→水(線(イ))、空気→ポリスチレン(線(ロ))、水→ポリスチレン(線(ハ))では、全反射はしないが、入射角度が大きくなる(光路が面と平行に近づく)と、反射率が急激に大きくなる。正面(入射角0°)の反射率は数%と小さい。
図4において、水タンク7aの側面の厚み(凹部14aの開始部における水タンク7aの側面板の厚み)をH3 =2mm、凹部14aの入出面19a−1を底辺W1 =3mmで、高さH1 (凹部14aの深さ)=1.5mmの直角三角形の斜辺とした。また、水タンク7aを成形するときの厚み変更の制約条件として、側面の一部の厚みを他の部分の厚みの2倍以内、好ましくは1.5倍以内とすることは可能である。ここでは、水タンク7aの側面厚さをH3 =2mmとしたので、凹部14aの底面を構成している水タンク7aの側面(凹部14aの最も凹んだ部分における水タンク7aの側面)の厚さをH4 =H3 ×1.5=3mmとした。
発光部15aからの光の入射角度をタンク平面の垂直方向からθ1 =5degだけ左に傾いたものとして光路を追跡する。ちなみに、垂直方向からの光の挙動を計算するには、θ1 =0degとすればよい。入出面19a−1の傾きをタンク平面の水平方向から下にθxとすると傾斜面の設定より、θx=tan−1(1.5/3)=26.57degとなる。また、反射透過面20a−1の傾きをθyとする。入出面19a−1への発光部15aからの光(矢印17a)の入射角は、θ2=θ1+θx=5+26.57=31.57degとなる。スネルの法則より、屈折角は、θ3 =sin−1{(n1/n2)sin(θ2 )}=19.2degとなり、光は矢印17bを進む。
次いで、反射透過面20a−1で反射(全反射)・透過が生じるが、反射後の光路(矢印17c)がタンク平面に平行となるようにθyを決めればよい。反射透過面20a−1において、スネルの法則より、入射角θ5 =反射角θ5 である。光路(矢印17b)とタンク平面の垂線のなす角をθ4 とすると、θ4 =θx−θ3 =7.3degとなる。したがって、θ5 =(90−θ4 )/2=41.3degとなる。さらに、このθ5 に対応する反射透過面20a−1の角度は、θy=90−θ5=48.7degとなる。
以上の条件においては、反射透過面20a−1の入射角θ5 =41.3degは、水タンク7aと空気の界面での全反射条件を満たすので、空気の場合、反射透過面20a−1では、全反射となり光線は100%反射される。矢印17bで示す光路の光は、全反射されて、矢印17cに進む。水の場合は、反射率は低く約2%程度で、98%が水タンク7a内部に透過する。ちなみに、この場合の屈折角θ6 は、n3 =1.33(水)として、θ6 =sin−1{(n2 /n3 )×sinθ5 }=52.1degとなる。矢印17bで示す光路の光は、ほぼ透過されて、水タンク7a内部に進む(矢印18c)。
H4 =3mmとして、反射透過面20a−1の大きさを定めると、底辺W2 =2.2mm、高さH2 =2.5mmの直角三角形の斜辺となる。水タンク7a内が空気の場合は、矢印17cで示す光路の光は、凹部14aの底部のタンク側面内を進み、入出面19a−1及び反射透過面20a−1と対称位置に形成された反射透過面20a−2及び入出面19a−2に順次入射して、反射透過面20a−2で反射(全反射)、入出面19a−2で透過されて、受光部16aに達することとなる。一方、水タンク7a内が水の場合は、光量のほとんどがタンク内部に透過されるので、受光部16aには、2%×2%=0.04%程度とほとんど光が達しない。
これにより、受光部16aが受ける光量が多い場合には、水タンク7a内が空気であり、光量がほとんどない場合には、水タンク7a内が水であることが判別できる。つまり、発光部15aから発光され、受光部16aで受光された光の光量が多いとき、水タンク7aの水位10にまで回収水9が到達していないと判別でき、発光部15aから発光され、受光部16aで受光された光の光量が少ないとき、水タンク7aの水位10にまで回収水9が到達していると判別でき、そのことをユーザに報知するようになっているのである。
なお、発光部15aからの入射角度が5degの場合について説明したが、これに限定するものではない。たとえば、θ1 =0degとした場合の各角度の計算を行なうと、入出面19a−1の角度は同じとしてθx=26.57deg、θ2 =θx=26.57deg、θ3 =sin−1{(1.0/1.59)sin(26.57)}=16.34deg、θ4 =θ3 −θx=10.23deg、θ5 =(90−θ4 )/2=39.9deg、θy=90−θ5 =50.1degとなり、この場合も、前述のθ1 =5degと同様に、水タンク7a内が空気か水により、反射透過面20a−1の挙動が異なり、矢印17cで示す光路の光量が大きく変化して、水位検知ができる。
しかしながら、詳細には、反射透過面20a−1の入射角度θ5 が小さくなっており、この面での全反射角度39degに対して尤度が減少している。また、θyが大きくなることで、反射透過面20a−1が立上り、水タンク7aの壁面厚みの許容値とした3mmの制限により、W2 が小さくなって、反射透過面20a−1の面積が小さくなり、入射光の位置ずれに対する尤度も減少していることがわかる。さらに、計算は、発光部15aの中心光軸について行なっているが、厳密には、少し角度のずれた周辺光も受光部16aに到達して、その出力に寄与しているため、これらの光の到達が減少していく可能性もある。したがって、最適な角度は、これらの諸条件を用途に応じて検討して決定すればよい。
以上のように実施の形態1では、水タンク7aの側面の一部に凹部14aを設け、凹部14aを構成している壁面の厚さを、他の側面の厚さの約1.5倍程度までに変えるように構成したので、一般的な型成形によって、安価に容易に製造できる。また、発受光部を用いた水位検知用の水タンク7aの形状を屈曲が少ないものとすることができる。したがって、水タンク7aの形状が、見た目にすっきりすることでデザイン性が向上し、清掃性、メンテナンス性、及び、持ち運び易い等の取扱性も向上できる。
次に、実施の形態1の変形例について説明する。
図7は、水タンク7の一例である水タンク7bの一部を拡大して示す拡大平面図である。図7に基づいて、凹部14bを別の形状とした水タンク7bについて説明する。図7には、水タンク7bの一部、つまり凹部14bの発光部15b側の入出面(入出面19b−1及び入出面19b−2)及び反射透過面(反射透過面20b−1及び反射透過面20b−2)を光の光路と併せて図示している。この図7には、発光部15bから発光された光の光路を実線矢印で示している。なお、入出面19b−1と反射透過面20b−1とが対向するようになっており、入出面19b−2と反射透過面20b−2とが対向するようになっている。また、入出面と反射透過面とを併せて凹部14bの傾斜部と称する場合がある。
図7に示すように、凹部14bは、この凹部14bを形成する傾斜部において、水タンク7bの板厚を一定とした部分(入出面19b−2と反射透過面20b−2とが対向する部分)を設けている点で凹部14aと相違している。つまり、凹部14bは、反射透過面20b−1から反射透過面20b−2に至る部分に所定の角度を設けて、入出面19b−2と反射透過面20b−2との間における壁面厚みを一定とし、入出面19b−1と反射透過面20b−1との間における壁面厚みを凹部14bの底面に向かって徐々に厚くするように形成されている。
この凹部14bにおいては、傾斜部において、入出面19b(入出面19b−1及び入出面19b−2)と反射透過面20b(反射透過面20b−1及び反射透過面20b−2)の角度と配置とを変えることにより、水タンク7b内が空気か水によって、反射と透過が変化するように各面を配置するようにしている。したがって、凹部14bの傾斜部を長くしたい場合には、全面に渡って、入出面19b及び反射透過面20bを延長する必要は無く、光が通過するのに必要な範囲で各面を配置すればよい。
また、水タンク7bを形成する際の型成形の制限から、角度の異なる面を長くすると、厚みの差が大きくなり、成形が困難になってしまう。そこで、図7で示したように、入出面19b−2と反射透過面20b−2の部分、つまり発光部15bからの光の反射透過に影響しない部分で、厚さを一定とすることが好ましい。そうすれば、水位の検知を、それ以外の部分、つまり入出面19b−1及び反射透過面20b−1の部分を利用して実現することができる。
図8は、水タンク7の一例である水タンク7cの一部を拡大して示す拡大平面図である。図8に基づいて、凹部14cを別の形状とした水タンク7cについて説明する。図8には、水タンク7cの一部、つまり凹部14cの発光部15c側の入出面(入出面19c−1及び入出面19c−2)及び反射透過面(反射透過面20c−1及び反射透過面20c−2)を光の光路と併せて図示している。この図8には、発光部15cから発光された光の光路を実線矢印で示している。なお、入出面19c−1と反射透過面20c−1とが対向するようになっており、入出面19c−2と反射透過面20c−2とが対向するようになっている。また、入出面と反射透過面とを併せて凹部14cの傾斜部と称する場合がある。
図8に示すように、凹部14cは、この凹部14cを形成する傾斜部において、厚みが異なる部分を2箇所(入出面19c−2と反射透過面20c−2との間における厚み、入出面19c−1と反射透過面20c−1との間における厚み)を設けている点で凹部14a及び凹部14bと相違している。つまり、凹部14cは、反射透過面20c−1から反射透過面20c−2に至る部分の板厚を薄くするように所定の角度を設けて、入出面19c−2と反射透過面20c−2との間における壁面厚みと、入出面19c−1と反射透過面20c−1との間における壁面厚みとを異なるものとするように形成されている。
この凹部14cにおいては、凹部14bと同様に、傾斜部において、入出面19c(入出面19c−1及び入出面19c−2)と反射透過面20c(反射透過面20c−1及び反射透過面20c−2)の角度と配置とを変えることにより、水タンク7c内が空気か水によって、反射と透過が変化するように各面を配置するようにしている。したがって、凹部14cの傾斜部を長くしたい場合には、全面に渡って、入出面19c及び反射透過面20cを延長する必要は無く、光が通過するのに必要な範囲で各面を配置すればよい。
また、水タンク7cを形成する際の型成形の制限から、角度の異なる面を長くすると、厚みの差が大きくなり、成形が困難になってしまう。そこで、図8で示したように、入射面19c−2と反射透過面20c−2の部分、つまり発光部15cからの光の反射透過に影響しない部分で、厚さを変化させることが好ましい。そうすれば、水位の検知を、それ以外の部分、つまり入射面19c−1及び反射透過面20c−1の部分を利用して実現することができる。
図9は、水タンク7の一例である水タンク7dの一部を拡大して示す拡大平面図である。図9に基づいて、凹部14dを別の形状とした水タンク7dについて説明する。図9には、水タンク7dの一部、つまり凹部14dの入出面(入出面19d−1及び入出面19d−2)及び反射透過面(反射透過面20d−1及び反射透過面20d−2)を光の光路と併せて図示している。この図9には、発光部15dから発光された光の光路を実線矢印で示している。なお、入出面19d−1と反射透過面20d−1とが対向するようになっており、入出面19d−2と反射透過面20d−2とが対向するようになっている。また、入出面と反射透過面とを併せて凹部14dの傾斜部と称する場合がある。
図9に示すように、凹部14dは、底面を構成する平坦な面が無いものである。この点で、凹部14dは、底面を構成する平坦な面を有していた凹部14a〜凹部14cとは相違している。水タンク7dを構成するプラスチック材料によっては、光の透過率が高くない場合がある。たとえば、ポリプロピレンでは、約2mmの厚さで、透過率は約80%ほどである。仮に、底部の平坦部の厚みを20mmとした場合の透過率は、およそ、0.8の(20/2)乗=0.107≒11%となり、透過により、光量が大幅に減衰する。このような場合に、凹部14dの底部の距離を短くする必要がある。そこで、凹部14dのように、発光部15d側の傾斜部と受光部16d側の傾斜部とが平面を介さずに接続するような形状とすると、光の減衰量を抑制することが可能となる。
なお、実施の形態1では、凹部(凹部14a〜凹部14d)の形状を、水タンク側面の底面側から上面側まで連続した凹みを設けて、溝のような形状として、入出面及び反射透過面を所定角度で所定位置に形成したものである。この場合、上下方向の任意の位置に発受光部を配置することにより、水位検知が可能である。また、凹部の形状を、水タンク側面の底面側(下部)から上面側(上部)まで連続した凹みとせずに、水位を検知したい位置周辺のタンク側面部分に、凹みを形成し、入出面及び反射透過面を所定角度で所定位置に形成しても同様に水位検知が可能である(図11参照)。
図11は、水位を検知したい位置周辺に、凹みを形成した水タンク7の一例である水タンク7eを説明するための説明図である。図11では、水タンク7e及び発受光部を3つの方向から見た状態をそれぞれ示しており、図11(a)が水タンク7e及び発受光部を上方から見た状態を示す平面図を、図11(b)が水タンク7e及び発受光部を水タンク7eの短手方向側面から見た状態を示す側面図を、図11(c)が水タンク7e及び発受光部を水タンク7eの長手方向側面から見た状態を示す側面図を、それぞれ示している。また、図11には、発光部15eから発光され、受光部16eで受光される光の光路を矢印(実線矢印及び破線矢印)で示してある。なお、図11では、図1〜図9で示した水タンクとの相違点を中心に説明するものとする。
図1〜図9で示した凹部は、水タンク側面の底面側から上面側までに形成した溝のような形状としていたが、図11で示した凹部14eは、水位を検知したい位置周辺のタンク側面部分に形成した断面矩形状のような形状としている。すなわち、凹部14eは、水位を検知したい位置に対応するタンク側面部分に、凹みを設け、入出面及び反射透過面を所定角度で所定位置に形成するような形状となっているのである。このような形状で凹部14eを構成しても、図1〜図9で示した凹部と同様に、水タンク内の水位を検知することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態1に係る水位検知装置(発光部、受光部及び水タンク)は、水タンクの側面形状と相互作用させることにより、水タンク内の水位を検知可能にしている。したがって、実施の形態1に係る水位検知装置によれば、側面形状に屈曲の少ない水タンクを利用することができる。したがって、水タンク(水タンク7及び水タンク7a〜水タンク7e)を安価に製造できるので、清掃性、取扱性及びデザイン性が劣ることもなく、このような水タンクを利用しても、水タンク内の水位を確実に検知することができる。
ところで、水位検知ができない場合について説明する。
図10は、水位検知ができない水タンク7’の一部を拡大して示す拡大平面図である。図10に基づいて、凹部14’を別の形状とした水タンク7’であって、水位検知できないものについて説明する。図10には、水タンク7’の一部、つまり凹部14’の発光部15’側の入出面(入出面19’−1及び入出面19’−2)及び反射透過面(反射透過面20’−1及び反射透過面20’−2)を光の光路と併せて図示している。この図10には、発光部15’から発光された光の光路を実線矢印で示している。なお、入出面19’−1と反射透過面20’−1とが対向するようになっており、入出面19’−2と反射透過面20’−2とが対向するようになっている。また、入出面と反射透過面とを併せて凹部14’の傾斜部と称する場合がある。
図10に示すように、凹部14’は、この凹部14’を形成する傾斜部において、厚みが異なる部分を2箇所(入出面19’−2と反射透過面20’−2との間における厚み、入出面19’−1と反射透過面20’−1との間における厚み)を設けている点で凹部14a〜凹部14cと相違している。つまり、凹部14’は、反射透過面20’−1から反射透過面20’−2に至る部分を厚くするように所定の角度を設けて、入出面19’−2と反射透過面20’−2との間における壁面厚みと、入出面19’−1と反射透過面20’−1との間における壁面厚みとを異なるものとするように形成されている。
図10では、発光部15’は、凹部14’の最も凹んだ部分(凹部14’の底面を構成している水タンク7’の側面部分)から離れた位置に光を入射するようになっている。そのため、入出面19’−1及び反射透過面20’−1で、水の有無による反射透過の変化は生じるが、反射光は、凹部14’の傾斜部において、反射されて、水タンク7’内部に透過してしまい、凹部14’の最も凹んだ部分から凹部14’の底面部には到達せず、受光部16’の光量変化が生じずに、水位検知することができない。また、発光部15’を凹部14’の最も凹んだ部分の方向に移動した場合には、入出面19’−2と反射透過面20’−2が、所定の角度を形成しておらず、水タンク7’内の水有無による、透過反射状態の変化を生じず、水位検知することができない。
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2に係る水位検知装置を説明するための説明図である。図12に基づいて、この実施の形態2に係る水位検知装置の構成及び動作について説明する。なお、この実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一部分又は同一要素には、同一符号を付している。また、図12には、発光部15gから発光され、受光部16gで受光される光の光路を矢印(実線矢印及び破線矢印)で示してある。
図12では、水タンク7の一例である水タンク7f及び発受光部を3つの方向から見た状態をそれぞれ示しており、図12(a)が水タンク7f及び発受光部を上方から見た状態を示す平面図を、図12(b)が水タンク7f及び発受光部を水タンク7fの短手方向側面から見た状態を示す側面図を、図12(c)が水タンク7f及び発受光部を水タンク7fの長手方向側面から見た状態を示す側面図を、それぞれ示している。実施の形態1では、水タンク側面を凹ませて、その傾斜部の厚みを変えることにより、水位検知を行なうようにしたものであるが、実施の形態2では、水タンク側面を変更することなく、水位検知を行なうようにしたものである。
図12に示すように、実施の形態2に係る水位検知装置は、発光部15f、受光部16f及び反射板21fで構成されている。発光部15f及び受光部16fは、実施の形態1に係る発光部及び受光部と同様の機能を有している。反射板21fは、水タンク7fの内部に挿入される蒸気導入パイプ13に取り付けられ、発光部15fからの光を反射するようになっている。すなわち、図12に示すように、この実施の形態2では、水タンク7fの側面を平坦かつ厚み一定とし、水タンク7f内の水位を検知するようにしている。
反射板21fは、その反射面が発光部15fからの光を反射するように、水タンク7fの側面にほぼ平行となるように取り付けられている。つまり、反射板21fを水タンク7f内部に配置することにより、発光部15fからの光を、反射板21fで反射させ、受光部16fに入るようにしている。換言すれば、実施の形態2に係る水位検知装置は、発光部15fから受光部16fに至るまでにおける光路に水面が存在するときに、水面で全反射が生じて、光路が変わるということを利用して、水位を検知するものである。
実施の形態2に係る水位検知装置を更に詳しく説明する。
発光部15fは、水タンク7fの側面外側に反射板21fが水タンク7f内に配置された状態において、この反射板21fに対向して、かつ、約20°から30°程度上方を向くように配置されている。反射板21fは、発光部15fからの光の光路上に配置されている。受光部16fは、水タンク7f内が空気の場合に、発光部15fからの光が反射板21fで反射された後、光が入るように配置されている。ここで、受光部16fは、発光部15fよりも上方に配置されている。つまり、発光部15fからは、斜め上方に向けて光が発光されるようになっている。
なお、水タンク7f内の水位10に対応する位置が空気の場合、つまり回収水9が所定の水位(水位10)まで貯留されていない場合における光路は実線矢印17fとなり、回収水9が水位10を超えて貯留されている場合における光路は破線矢印18fとなる。図12(b)に示すように、回収水9が水位10を超えて貯留されている場合には、発光部15fからの光は、水面で反射されて光路が変わり受光部16fに届かないようになっている。矢印17fと水タンク7fの内壁面の交点のうち、下側を交点22a、上側を交点22bとして以下の説明で使用する。
次に、水位検知装置の動作について詳細に説明する。
まず、水位10が低く、水面位置が交点22aより下にある場合は、発光部15fからの光は、矢印17fに沿って進み、交点22aを透過し、反射板21fで反射されて、交点22bを透過し、受光部16fに入る。そして、水位10が上昇して、図12(b)に示す位置、つまり交点22aと交点22bとの間における位置に水面がある場合は、発光部15fからの光は、矢印17fに沿って進み、交点22aを透過し、水面に入射する。水面から空気への界面における全反射条件は、入射角度が48°以上である。
図12では、水平方向より上方に20〜30°で光線が進んでいるので、水面への入射角は、70〜60°に相当するため、水面で全反射して、矢印18fに沿って進むことになる。この現象は、水面が交点22aから交点22bまでの間に生じる。矢印18fに沿って進む光は、受光部16fには入らない。次いで、水位がさらに上昇して、水面位置が交点22bより上にある場合は、発光部15fからの光は、矢印17fに沿って進み、水タンク側面から反射板21fまでの距離が短い場合には、水タンク7f内部が空気である場合とほぼ同じ光路となり、反射板21fで反射されて、交点22b付近を透過し、受光部16fに入る。
したがって、受光部16fの出力は、水面位置により変化する。すなわち、受光部16fは、水位10が交点22aより低い場合にHighレベル、水位10が交点22aから22bまでの間の場合にLowレベル、水位10が交点22bより高い場合にHighレベル、をそれぞれ出力するようになっている。つまり、受光部16fからの信号によって、水位10が交点22aと交点22bとの間に存在していることを検知することが可能である。
以上説明したように、本発明の実施の形態2に係る水位検知装置(発光部15f、受光部16f及び反射板21f)は、水タンク7fの側面に凹部を形成することなく、平坦なまま水タンク7f内の水位検知が可能である。したがって、水タンク7fの成形が更に容易で、一般的な成形機を用いることができ、製造コストを低減することが可能になる。また、水タンク7fの外部側面を平坦に、かつ安価に製造できるので、清掃性、取扱性及びデザイン性が劣ることもない。
なお、反射板21fを、蒸気導入パイプ13に取り付ける形態を例に説明したが、これに限定するものではない。たとえば、蒸気導入パイプ13自体を光沢のある金属製としたり、プラスチックにメッキや塗装を施したりすることによって、蒸気導入パイプ13自体の反射率を高くするようにしたものを用いても同様な効果を得ることができる。また、蒸気導入パイプ13に付属させなくとも、水タンク7fの底面から上方に向けて、反射板21fを立ち上げるようにしてもよく、タンク蓋12から下方に向けて反射板21fを伸ばすようにしてもよい。
実施の形態3.
図13は、本発明の実施の形態3に係る水位検知装置を説明するための説明図である。図13に基づいて、この実施の形態3に係る水位検知装置の構成及び動作について説明する。なお、この実施の形態3では実施の形態1及び実施の形態2との相違点を中心に説明し、実施の形態1及び実施の形態2と同一部分又は同一要素には、同一符号を付している。また、図13には、発光部から発光され、受光部で受光される光の光路を矢印(実線矢印及び破線矢印)で示してある。
図13(a)が水タンク7の一例である水タンク7g及び発受光部を水タンク7gの短手方向側面から見た状態を示す側面図を、図13(b)が水位変動に対する信号の変化を説明するためのグラフを、それぞれ示している。実施の形態1及び実施の形態2では、1対の発光部と受光部とによって水位を検知するようにしたものであるが、実施の形態3では、複数対の発光部15g(発光部15g−1〜発光部15g−3)と受光部16g(受光部16g−1〜受光部16g−3)とによって複数位置における水位を検知するようにしたものである。
図13に示すように、実施の形態3に係る水位検知装置は、3つの発光部15g、3つの受光部16g及び1つの反射板21gで構成され、複数の水位、つまり蒸気回収に最低限必要な初期水位と、水タンク7gから水が溢れることを防止するための満水位と、初期水位と満水位との間における中間水位と、が検知可能となるように配置されている。3つの発光部15g及び3つの受光部16gは、実施の形態1及び実施の形態2に係る発光部及び受光部と同様の機能を有している。すなわち、この実施の形態3では、水タンク7gの側面を平坦かつ厚み一定とし、水タンク7g内の水位を検知するようにしている。
反射板21gは、水タンク7gの内部に挿入される蒸気導入パイプ13に取り付けられ、3つの発光部からの光を反射するようになっている。この反射板21gは、その反射面が発光部15g−1〜発光部15g−3からの光を反射するように、水タンク7gの側面にほぼ平行となるように取り付けられている。つまり、反射板21gを水タンク7g内部に配置することにより、発光部15g−1〜発光部15g−3からの光を、反射板21gで反射させ、受光部16g−1〜受光部16g−3に入るようにしている。そして、実施の形態3に係る水位検知装置は、発光部から受光部に至るまでにおける光路に水面が存在するときに、水面で全反射が生じて、光路が変わるということを利用して、水位を検知するものである。
水位検知装置を更に詳しく説明する。発光部15g−1〜発光部15g−3は、水タンク7gの側面外側に反射板21gが水タンク7g内に配置された状態において、この反射板21gに対向して、かつ、約20°から30°程度上方を向くように配置されている。また、発光部15g−1が初期水位近傍位置に、発光部15g−2が中間水位近傍に、15g−3が満水位近傍に、それぞれ設置されている。反射板21gは、発光部15g−1〜発光部15g−3からの光の光路上に配置されている。この反射板21gは、実施の形態に係る反射板21gに比べて上下方向に長い(初期水位から満水位に至る長さよりも長い)反射面を有している。
受光部16g−1は、水タンク7g内が空気の場合(水タンク7g内の初期水位に対応する位置が空気の場合)に、発光部15g−1からの光が反射板21gで反射された後、光が入るように配置されている。ここで、受光部16g−1は、発光部15g−1よりも上方に配置されている。つまり、発光部15g−1からは、斜め上方に向けて光が発光されるようになっている。なお、水タンク7g内の初期水位に対応する位置が空気の場合における光路は実線矢印17g−1となり、初期水位を超えて貯留されている場合における光路は破線矢印18g−1となる。また、矢印17g−1と水タンク7gの内壁面の交点のうち、下側を交点23a、上側を交点23bとして以下の説明で使用する。これら交点は、初期水位の検知位置に合せて設定される。
受光部16g−2は、水タンク7g内が空気の場合(水タンク7g内の中間水位に対応する位置が空気の場合)に、発光部15g−2からの光が反射板21gで反射された後、光が入るように配置されている。ここで、受光部16g−2は、発光部15g−2よりも上方に配置されている。つまり、発光部15g−2からは、斜め上方に向けて光が発光されるようになっている。なお、水タンク7g内の中間水位に対応する位置が空気の場合における光路は実線矢印17g−2となり、中間水位を超えて貯留されている場合における光路は破線矢印18g−2となる。また、矢印17g−2と水タンク7gの内壁面の交点のうち、下側を交点23c、上側を交点23dとして以下の説明で使用する。これら交点は、初期水位と満水位との間における中間水位の検知位置に合せて設定される。
受光部16g−3は、水タンク7g内が空気の場合(水タンク7g内の満水位に対応する位置が空気の場合)に、発光部15g−3からの光が反射板21gで反射された後、光が入るように配置されている。ここで、受光部16g−3は、発光部15g−3よりも上方に配置されている。つまり、発光部15g−3からは、斜め上方に向けて光が発光されるようになっている。なお、水タンク7g内の満水位に対応する位置が空気の場合における光路は実線矢印17g−3となり、満水位を超えて貯留されている場合における光路は破線矢印18g−3となる。また、矢印17g−3と水タンク7gの内壁面の交点のうち、下側を交点23e、上側を交点23fとして以下の説明で使用する。これら交点は、満水位の検知位置に合せて設定される。
図13(b)のグラフに示すように、水位の変化に応じて受光部からの出力も変化するようになっている。この図13(b)には、初期水位を検知する発光部15g−1及び受光部16g−1で構成される水位検知装置8−1の出力値(図中で示すセンサ(1))、中間水位を検知する発光部15g−2及び受光部16g−2で構成される水位検知装置8−2の出力値(図中で示すセンサ(2))を、満水位を検知する発光部15g−3及び受光部16g−3で構成される水位検知装置8−3の出力値(図中で示すセンサ(3))の3つのセンサ出力値を図示している。
初期水位を検知する場合、受光部16g−1は、発光部15g−1からの光が入射したときにHigh、水面反射により受光部16g−1に入射しないときにLowの信号を出力する(センサ(1))。同様に、中間水位を検知する場合、受光部16g−2は、発光部15g−2からの光が入射したときにHigh、水面反射により受光部16g−2に入射しないときにLowの信号を出力する(センサ(2))。同様に、満水位を検知する場合、受光部16g−3は、発光部15g−3からの光が入射したときにHigh、水面反射により受光部16g−3に入射しないときにLowの信号を出力する(センサ(3))。
次に、実施の形態3に係る水位検知装置の動作について説明する。なお、水位検知装置8−1〜水位検知装置8−3の各動作については実施の形態2で説明した通りである。
加熱調理器100が蒸気回収を実行する場合には、水タンク7g内に最低必要水量以上の水(初期水位)がなければならない。つまり、蒸気回収動作を実行する際の最低限度の水(最低必要水量以上の水)があることを検知してから、蒸気回収動作を実行しなければならないのである。そこで、初期水位以上の水が回収水9として水タンク7g内に貯留されているかを、発光部15g−1及び受光部16g−1で構成される水位検知装置8−1で検知するようになっている。
また、水タンク7g内から回収水9が溢れてしまうことを防止するために、水タンク7g内の水量が所定水量以下(満水位)でなければならない。つまり、蒸気回収動作を実行中に、水タンク7g内の回収水9が満水位以下であること検知しなければならないのである。そこで、回収水9が満水位以下であるかを、発光部15g−3及び受光部16g−3で構成される水位検知装置8−3で検知するようになっている。しかしながら、初期水位及び満水位の検知では、水面がそれぞれの水位にあることは検知可能であるが、水面が初期水位より下あるいは上、また、満水位より下あるいは上は検知ができない。
そこで、この実施の形態3では、水面が初期水位と満水位との間にあることを検知する必要があり、発光部15g−2及び受光部16g−2で構成される水位検知装置8−2を付加している。水位検知装置8−2は、交点23cから交点23dまでの間に水面があることを検知可能としている。この信号と、水位検知装置8−1及び水位検知装置8−3の信号を組み合わせて、初期水位と満水位の間に水面があることを検知可能としている。高精度に、非検知領域が無いように水位を検知するためには、発光部15g−2と受光部16g−2との間隔を広げて、交点23cが交点23bより下に、交点23dが交点23eより上になるように配置すればよい。
ただし、水の全反射条件を利用するためには、発光部15g−2の上向き角度が、40°程度が限界である。そのため、交点23bと交点23eとの距離が大きい場合(たとえば、水タンク7gの高さが高い場合等)は、3つの水位検知装置では非検知領域が存在してしまうことになる。そこで、更に水位検知装置を追加配置して、検知領域を増加させればよい。つまり、図13に示したように、水位検知装置の設置個数を3つに限定するものではなく、水タンク7gの高さに応じて、水位検知装置の設置個数を決定すればよいのである。
以上説明したように、本発明の実施の形態3に係る水位検知装置は、水タンク7gの側面の形状を平坦なまま水タンク7g内の水位検知が可能である。したがって、水タンク7gの成形が更に容易で、一般的な成形機を用いることができ、製造コストを低減することが可能になる。また、水タンク7gの側面を平坦に、かつ安価に製造できるので、清掃性、取扱性及びデザイン性が劣ることもない。さらに、複数の水位検知装置を設けて、複数段の水位を検知可能にしたので、検知領域に抜けが無くなり、より精度の高い水位検知が可能となる。
また、図13では、反射板21gが、蒸気導入パイプ13に取り付ける形態を例に説明したが、これに限定するものではない。たとえば、蒸気導入パイプ13自体を金属製としたり、プラスチックにメッキや塗装を施したりすることによって、蒸気導入パイプ13自体の反射率を高くするようにしたものを用いても同様な効果を得ることができる。さらに、蒸気導入パイプ13に付属させなくとも、水タンク7gの底面から上方に向けて、反射板21gを立ち上げるようにしてもよいし、タンク蓋12から下方に向けて反射板21gを伸ばすようにしてもよい。
実施の形態4.
図14は、本発明の実施の形態4に係る水位検知装置を説明するための説明図である。図14に基づいて、この実施の形態4に係る水位検知装置の構成及び動作について説明する。なお、この実施の形態4では実施の形態1〜実施の形態3との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態3と同一部分同一要素には、同一符号を付している。また、図14には、発光部15hから発光され、受光部16hで受光される光の光路を矢印(実線矢印及び破線矢印)で示してある。
図14では、水タンク7の一例である水タンク7h及び発受光部を3つの方向から見た状態をそれぞれ示しており、図14(a)が水タンク7h及び発受光部を上方から見た状態を示す平面図を、図14(b)が水タンク7h及び発受光部を水タンク7hの短手方向側面から見た状態を示す側面図を、図14(c)が水タンク7h及び発受光部を水タンク7hの長手方向側面から見た状態を示す側面図を、それぞれ示している。この実施の形態4では、水タンク7hの内部形状を加工することで、水位検知を行なうようにしたものである。
図14に示すように、実施の形態4に係る水位検知装置は、発光部15h、受光部16h及び水タンク7hで構成されている。発光部15h及び受光部16hは、実施の形態1〜実施の形態3に係る発光部及び受光部と同様の機能を有している。また、水タンク7hは、実施の形態1に係る水タンク7と同様の機能を有しており、水タンク7hの内壁面には、水タンク7hの内壁面を突出させた2つのリブ24(リブ24a及びリブ24b)が形成されている。リブ24a及びリブ24bは、厚さがほぼ水タンク側面の厚さと同じ厚さで、水タンク7hの底面から上方に向かって立ち上がるように所定の高さで形成されている。また、リブ24a及びリブ24bの水タンク7hの内部における突出先端部の壁面が斜めに加工されている。
リブ24a及びリブ24bは、水タンク7hの長手方向内壁面の一部に所定の高さで所定の長さを突出させて形成されている。そして、リブ24aとリブ24bとは、所定の間隔をもって平行となるよう設けられている。また、リブ24a及びリブ24bの各突出先端部は、平行するリブ24a及びリブ24bの各内側辺を、それらの外側辺よりも長くして傾斜させた傾斜面に形成されている。つまり、リブ24a及びリブ24bの近接している辺(内側辺)を、遠い方の辺(外側辺)よりも長く加工することで、突出先端部を斜めに加工しているのである。突出先端部を斜めに加工することで、水の有無による光の反射透過の状態を変えるようにしているのである。
そして、リブ24aの突出先端部が反射透過面25aに、リブ24bの突出先端部が反射透過面25bになっている。発光部15hは、一方のリブ24aの延長線上であって、タンク側面に対して直角な方向に配置され、受光部16hは、他方のリブ24bの延長線上であって、タンク側面に対して直角な方向に配置されている。この実施の形態4に係る水位検知装置は、検知したい水位位置に対応する高さ位置に配置されている。なお、水タンク7h内の水位10に対応する位置が空気の場合、つまり発光部15hよりも水位10が下に位置している場合における光路は実線矢印17hとなり、回収水9が水位10を超えて貯留されている場合、つまり発光部15hよりも水位10が上に位置している場合における光路は破線矢印18hとなる。
次に、実施の形態4に係る水位検知装置の動作について説明する。
発光部15hは、リブ24aの位置のタンク側方に配置されており、発光部15hから発光された光は、まず、タンク側面に垂直に入射して、タンク側面内部に入る。この光は、リブ24a内を進み、反射透過面25aに達する。反射透過面25aの光が達する部分が空気中にある場合には、光は反射され、水中にある場合には、光は透過されることになる。つまり、光が透過された場合には、この光は、タンク内部へと進み、受光部16hに到達しない。
一方、反射された場合には、リブ24aの側面を透過して空気中を進み、対面するリブ24bの側面に入射、透過してリブ24b内を進み、反射透過面25bに入射する。入射した反射透過面25bの部分が空気中では、光は反射、水中では透過される。反射された光は、リブ24b内を進み、タンク側面を透過して、受光部16hに達する。反射透過面25a及び反射透過面25bの角度は、空気の屈折率1.0、水の屈折率1.33、タンク材料のプラスチックの屈折率を1.59とすると、45°程度が好ましい。ここで、光路となるリブ部分の厚さは、タンク側面の厚さの1.5倍程度を限度とする。たとえば、一般的なタンク側面の厚さを2mmとすると、リブ厚さは3mm程度までとなる。
図15は、図14に示したリブの変形例を示す水タンク7h及び発受光部を上方から見た平面図である。図15に基づいて、水タンク7h内に突出させて形成した2つのリブ(24a−1及び24b−1)について説明する。図15に示すように、リブ24a−1及びリブ24b−1は、図14で示したリブ24a及びリブ24bよりも突出方向の長さを短くしたものである。動作については、図14で説明した通りであるが、リブ24a−1及びリブ24b−1内を進む光の光路の長さが短いので、プラスチックの透過率による光量の減衰を少なくすることができる。
このようにリブ24a−1及びリブ24b−1内を進む光の光路の長さを短くしたので、タンク材料中での減衰が少なく抑えられて、光量が多く、受光時と受光していないときの光量の差が大きくなり、より正確な水位検知が可能となる。また同時に、リブ24a−1及びリブ24b−1の突出量が小さいので、水タンク7h内部の清掃性に優れており、デザイン性の高いタンク形状を得ることができる。つまり、図14及び図15に示すように、リブの突出方向の長さは適宜変更できるようになっている。なお、その他の構成に関しては、図14で説明した通りである。
以上説明したように、本発明の実施の形態4に係る水位検知装置は、水タンクの内部側面形状と相互作用させることにより、水タンク内の水位を検知可能にしており、水タンク7hの外側側面の形状を平坦なまま水タンク7h内の水位検知が可能である。したがって、水タンク7hの成形が更に容易で、一般的な成形機を用いることができ、製造コストを低減することが可能になる。また、水タンク7hの外部側面を平坦に、かつ安価に製造できるので、清掃性、取扱性及びデザイン性が劣ることもない。さらに、タンク側面の厚みの1.5倍程度のリブを設け、その先端部に反射透過面を構成するようにしたので、一般的な成形機で成形でき、正確な形状を安価に製造することができる。
実施の形態5.
図16は、本発明の実施の形態5に係る水位検知装置を説明するための説明図である。図16に基づいて、この実施の形態5に係る水位検知装置の構成及び動作について説明する。なお、この実施の形態5では実施の形態1〜実施の形態4との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態4と同一部分同一要素には、同一符号を付している。また、図16には、発光部15iから発光され、受光部16iで受光される光の光路を矢印(実線矢印及び破線矢印)で示してある。
図16では、水タンク7の一例である水タンク7i及び発受光部を3つの方向から見た状態をそれぞれ示しており、図16(a)が水タンク7i及び発受光部を上方から見た状態を示す平面図を、図16(b)が水タンク7i及び発受光部を水タンク7iの短手方向側面から見た状態を示す側面図を、図16(c)が水タンク7i及び発受光部を水タンク7iの長手方向側面から見た状態を示す側面図を、それぞれ示している。この実施の形態5では、水タンク7iの内部形状を加工することで、水位検知を行なうようにしたものである。
図16に示すように、実施の形態5に係る水位検知装置は、発光部15i、受光部16i及び水タンク7iで構成されている。発光部15i及び受光部16iは、実施の形態1〜実施の形態4に係る発光部及び受光部と同様の機能を有している。また、水タンク7iは、実施の形態1に係る水タンク7と同様の機能を有しており、水タンク7iの内壁面には、水タンク7iの底面から上面に向かって突出させた1つのリブ26が形成されている。このリブ26の高さは、検知したい水位までの高さとしている。また、リブ26の上端部の表面を、タンク内壁面からタンク内部に向かって下側に、すなわち内側下方に傾斜するようにして反射透過面27を形成している。
発光部15iは、水タンク7iの底面における外側下方に、上方に向けて光を発する位置に配置され、受光部16iは、水位検知を行なう高さ近傍に、タンク側面にほぼ垂直な方向に向けて配置されている。リブ26は、タンク内側の底面から上方に向けて形成され、その上面を反射透過面27としてタンク側面とほぼ45°の角度を成すように傾斜されている。また、反射透過面27の中心部が、検知したい水位の高さとなるように配置されている。なお、反射透過面27の中心部が空気の場合における光路は実線矢印17iとなり、反射透過面27の中心部が水中の場合における光路は破線矢印18iとなる。
次に、実施の形態5に係る水位検知装置の動作について説明する。
発光部15iは、水タンク7iの底面外側に配置されており、発光部15iから上方に向けて発光された光は、まず、タンク底面に垂直に入射して、タンク底面内部を通り、リブ26内部を下方から上方に向けて進む(実線矢印17i)。この光は、リブ26内を進み、反射透過面27に達する。反射透過面27の光が達する部分が空気中にある場合(たとえば、水位が低く、反射透過面27にまで水位が達していない場合)には、光は反射透過面27で反射され、水タンク7iの側面方向に向かって進み、受光部16iに入る。
一方、反射透過面27の光が達する部分が水中にある場合(たとえば、水位が高く、反射透過面27にまで水位が達している場合)には、光は反射透過面27で透過され、水タンク7iの内部に向かって進み、受光部16iには到達しない。したがって、反射透過面27よりも、水位が低い場合は、受光部16jに光が到達し、水位が高い場合は、受光部16jに光がほとんど到達せず、反射透過面27の位置における水の有無が判定することができる。ここで、リブ26の厚みは、タンク側面の厚みの約1.5倍の厚さ以内で形成されるものとする。
以上説明したように、本発明の実施の形態5に係る水位検知装置は、水タンクの内部側面形状と相互作用させることにより、水タンク内の水位を検知可能にしており、水タンク7iの外側側面の形状を平坦なまま水タンク7i内の水位検知が可能である。したがって、水タンク7iの成形が更に容易で、一般的な成形機を用いることができ、製造コストを低減することが可能になる。また、水タンク7iの外部側面を平坦に、かつ安価に製造できるので、清掃性、取扱性及びデザイン性が劣ることもない。さらに、タンク側面の厚みの1.5倍程度のリブを設け、その先端部に反射透過面を構成するようにしたので、一般的な成形機で成形でき、正確な形状を安価に製造することができる。
以上、本発明の具体的な実施の形態について説明したが、これらに限定せず、本発明の範疇及び精神を逸脱することなく、さまざまに変形または変更可能である。たとえば、実施の形態1では、説明の便宜上、水タンクを水タンク7及び水タンク7a〜水タンク7e、凹部を凹部14a〜凹部14eとして説明したが、これらを適宜組み合わせて適用するようにしてもよい。また、実施の形態3で説明したように、複数対の水位検知装置を設けて水位を検知するようにしてもよい。さらに、各実施の形態の特徴事項を組み合わせて適用するようにしてもよい。
なお、発光素子(発光部15a〜発光部15i)としてはLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)、受光素子(受光部16a〜受光部16i)としてはフォトダイオードやフォトトランジスタ等を使用することができる。また、光の波長としては、可視光でもよく、近赤外線でもよい。実施の形態に係る水位検知装置を加熱調理器に適用した場合を例に説明したが、これに限定するものではなく、水位検知を実行する様々な装置への適用が可能である。
水位検知を実行する家電機器としては、たとえば除湿機や加湿器、冷蔵庫の自動製氷機の水タンク等がある。また、水でなくても、屈折率や透過率によって他の液体、個体の検知も可能であり、不凍液タンクの液量検知や、クリーナのゴミタンクのゴミ量検知などへ応用も容易である。つまり、上記実施の形態では、水タンクを例に、その内部に貯留される水の高さ位置(水位)を検知するものとして説明したが、本発明は、水タンクでなくても、水以外の液体が貯留される液体タンクであっても同様に液体の高さ位置を検知できるものである。
1 本体、2 炊飯釜、3 蓋体、4 内蓋、5 加熱体、6 蒸気パイプ、7 水タンク、7a 水タンク、7b 水タンク、7c 水タンク、7d 水タンク、7e 水タンク、7f 水タンク、7g 水タンク、7h 水タンク、7i 水タンク、8 水位検知装置、8−1 水位検知装置、8−2 水位検知装置、8−3 水位検知装置、9 回収水、10 水位、11 制御部、12 タンク蓋、13 蒸気導入パイプ、14 凹部、14a 凹部、14b 凹部、14c 凹部、14d 凹部、14e 凹部、15’ 発光部、15a 発光部、15b 発光部、15c 発光部、15d 発光部、15e 発光部、15f 発光部、15g 発光部、15g−1 発光部、15g−2 発光部、15g−3 発光部、15h 発光部、15i 発光部、16’ 受光部、16a 受光部、16e 受光部、16f 受光部、16g 受光部、16g−1 受光部、16g−2 受光部、16g−3 受光部、16h 受光部、16i 受光部、17 矢印、17a 矢印、17b 矢印、17c 矢印、17f 矢印、17g 矢印、17g−1 矢印、17g−2 矢印、17g−3 矢印、17h 矢印、17i 矢印、18 矢印、18c 矢印、18e 矢印、18g 矢印、18g−1 矢印、18h 矢印、18i 矢印、19’−1 入出面、19’−2 入出面、19a−1 入出面、19a−2 入出面、19b−1 入出面、19b−2 入出面、19c−1 入出面、19c−2 入出面、19d−1 入出面、19d−2 入出面、19e−1 入出面、19e−2 入出面、20’−1 反射透過面、20’−2 反射透過面、20a−1 反射透過面、20a−2 反射透過面、20b−1 反射透過面、20b−2 反射透過面、20c−1 反射透過面、20c−2 反射透過面、20d−1 反射透過面、20d−2 反射透過面、21f 反射板、21g 反射板、22a 交点、22b 交点、23a 交点、23b 交点、23c 交点、23d 交点、23e 交点、23f 交点、24a リブ、24a−1 リブ、24b リブ、24b−1 リブ、25a 反射透過面、25b 反射透過面、26 リブ、27 反射透過面、100 加熱調理器。