本発明の非接触液体検知構成は、光を透過し内部に液体を蓄えるための空間を設けた容器体と、この容器体の外部から内部に光を照射する発光素子と、前記の発光素子の照射した光を前記容器体の内部から外部へ透過させて、その光の受光量に応じた電気信号を出力する受光素子を容器体の外部に配置して備えた構成において、前記発光素子は、前記容器体の表面に垂直以外の角度で光を入射する配置とし、前記受光素子は、前記容器体の内部に液体が有る状態で入射した光が到達する位置にあって、光の進行軸の中心の延長方向において光を受光する配置とし、前記容器体には、前記受光する光の光軸の中心が前記容器体の内部から外部へ透過するときに略垂直となる平面形状の光透過平面部を備えて、前記受光量の増加が判断される状態にあれば容器体の内部に液体が有ると判定するようにしたという構成を有する。
すなわち、容器体に受光素子の受光する光の光軸の中心に略垂直となる平面形状の光透過平面部を備えて、内部に液体が有る状態において、受光素子は、発光素子が照射した光であって透過平面部を透過した光を受光して、この受光素子の出力する電気信号の変化から受光量の増加が判断できるときには液体の有る状態を判定する構成としている。
これにより、内部に液体が有る状態では光透過平面部を透過する光は略垂直に入射するので、液体内側への反射が最小となって透過光量の減少は抑制されるので、液体の無い状態に対して、液体の有る状態の受光量を大きくすることができる。
つまり、液体の無い状態と有る状態の受光量の差をより顕著にすることができるので、発光素子の発光効率と受光素子の受光変換効率に対する選定の仕様条件の幅が広がることで用いることができる素子の入手性が高まり、また検知のための電力消費の低減が可能となるために、一般的な電気機器に対してより広く搭載して活用し易くすることができるという効果を奏する。
また、光素子は容器体の内部に液体が無い状態で入射した光が到達する位置にあって、光の進行軸の中心の延長方向において光を受光する配置とし、前記容器体には、前記受光する光の光軸の中心が前記容器体の内部から外部へ透過するときに略垂直となる平面形状の光透過平面部を備えて、前記受光量の増加が判断される状態にあれば容器体の内部に液体が無いことを判定するという構成にしてもよい。
すなわち、容器体に受光素子の受光する光の光軸の中心に略垂直となる平面形状の光透過平面部を備えて、内部に液体が無い状態において、受光素子は、発光素子が照射した光であって透過平面部を透過した光を受光して、この受光素子の出力する電気信号の変化から受光量の増加が判断できるときには液体の無い状態を判定する構成としている。
これにより、内部に液体が無い状態では光透過平面部を透過する光は容器体の内部の方向への反射が最小となって透過光量の減少は抑制されるので、液体の有る状態に対して、液体の無い状態の受光量を大きくすることができる。
つまり、液体の有る状態と無い状態の受光量の差をより顕著にすることができるので、発光素子の発光効率と受光素子の受光変換効率に対する選定の仕様条件の幅が広がることで用いることができる素子の入手性が高まり、また検知のための電力消費の低減が可能となるために、一般的な電気機器に対してより広く搭載して活用し易くすることができるという効果を奏する。
また、光を透過し内部に液体を蓄えるための空間を設けた容器体と、この容器体の外部に光を照射する発光素子と、また前記発光素子の照射した光を受光して受光量に応じた電気信号を出力する受光素子を液体表面の上方向に配置して備えて、前記発光素子は、前記容器体の表面に垂直以外の角度で上方向に向かい光を入射させたときに、前記の入射した光が容器体の内部に液体が有る状態で進行する延長方向において規定する深さの液体表面において全反射を生じる配置とし、また前記容器体の内部には前記の全反射により進行方向が変化した光の進行軸の中心が液体表面に対して略垂直に入射するように反射する反射面を備え、さらに前記受光素子は前記反射面で反射されて進行方向が変化した光を受光する配置として、受光素子の出力する電気信号の変化から受光量の増加が判断される状態にあれば容器体の内部に液体が有ることを判定するという構成にしてもよい。
すなわち、容器体の内部に液体が規定する深さにあるときに液体表面において全反射された後に反射面において反射される発光素子から照射した光を受光素子で受光して、この受光素子の出力する電気信号の変化から受光量の増加が判断できるときには液体の有る状態を判定する構成としている。
これにより、内部に液体が有る状態では反射面における反射により液体表面を透過する光は略垂直に入射するので、液体内側への反射が最小となって透過光量の減少は抑制されるので、液体の無い状態に対して、液体の有る状態の受光量を大きくすることができる。
つまり、液体の無い状態と有る状態の受光量の差をより顕著にすることができるので、発光素子の発光効率と受光素子の受光変換効率に対する選定の仕様条件の幅が広がることで用いることができる素子の入手性が高まり、また検知のための電力消費の低減が可能となるために、一般的な電気機器に対してより広く搭載して活用し易くすることができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1と図2は機器に搭載する液体を蓄えるための容器を側面から一部分を拡大して示した断面図であるが、この容器は外郭を成す容器体1の内部に空間を備えて、この空間に機器で活用するための被検出液体2を蓄えられるように構成している。
この、容器体1に蓄える被検出液体2は図上において下方向に重力で引かれることで、上方向は空間部3として空気で満たされた状態となる。
ここで、この被検出液体2は対象としては透明体であるところの、例えば水であり、以下の説明においては被検出液体2が水であるときを一例として説明を行うものとする。
この、被検出液体2であるところの水を活用する機器としては、例えば加湿機が挙げられる。
搭載する機器が例えば、この加湿機であれば容器体1は加湿のための水を蓄えるタンクや加湿空気を生成するために水を蒸発させるための上方向が開放した形状のトレーに当たり、機器の主体と成る本体から取り外し可能として、使用者がタンクに水を給水し、またトレーの清掃が行えるように構成されていることが一般的である。
ここで、容器体1は光透過性で、且つ、絶対屈折率が空気よりも大きく、被検出液体2と同等以上となる材料で構成するものである。
よって、容器体1は被検出液体2が水であるときは絶対屈折率が約1.33であることから、光透過性に優れて水に犯され難いポリエチレン(絶対屈折率:約1.5)やポリエチレンテレフタレート(絶対屈折率:約1.6)や、またポリスチレン(絶対屈折率:約1.6)等の樹脂材を用いて、約0.5mmから約2mmの厚さでブロー成形や金型成形により形成して構成するものである。
この、容器体1の内部に被検出液体2が無いときには機器の周囲と同様に一般的な空気で満たされることから空間部3の絶対屈折率はおおよそ1となる。
なお、容器体1もその構成材料に備える絶対屈折率によりその周囲の空気や被検出液体2との界面において光の屈折を生じることから実際の構成においてはこの屈折の状況も考慮する必要があるが、本実施の形態の説明の要旨には影響しないことから、以降は同考慮を省いて被検出液体2と空気の関係にのみ基づいて説明する。
この、容器体1の外側には光を照射する発光素子4と、この発光素子4が照射した光を受光して、その受光量に応じた電気信号を出力する受光素子5を発光面と受光面が対向するように配置している。
また、この発光素子4は照射する光が容器体1の表面に対して垂直以外の角度で入射するような配置とし、受光素子5はこの容器体1に入射する光の進行する延長方向において光を受光する配置としている。
このことから、発光素子4と受光素子5は図に示しているように例えば容器体1の角部を対角に挟み込んだ状態の配置となる。
また、容器体1に対する発光素子4と受光素子5の配置の位置は安定した液体の検知のためには固定されていなければならないために、例えば容器体1のそのものに取り付け部位を設ける等して固設する必要がある。
しかしながら、例えば搭載する機器が一例として示した加湿機であれば容器体1が機器の本体から取り外されて使用される点を考慮して機器の側に固設した構成とする必要がある。
この時、機器の本体を成す外郭が絶縁性を備えた樹脂で形成されたものにあってはその構成の一部に取り付け部位を設けて、この部位に固設することで、容器体1が機器の規定位置に装着された状態においては規定した位置関係を保てるように構成するものである。
図1はこのように機器の本体の規定の部位に容器体1を装着した状態を示しており、発光素子4と受光素子5は機器の本体の外郭を成す外郭体6の規定した位置の2ヶ所に固定のための挿入孔7を設けて、この挿入孔7に装着することにより規定の位置関係を保つようにした構成を示している。
また、この発光素子4と受光素子5を装着した挿入孔7には光透過体により構成した保護シート8を外郭体6の表面に接着材で貼着して覆うことで埃や液体の進入を防いでいる。
ここで、保護シート8の材質は透明で受光素子5の照射する光の波長に対して透過性に優れ、薄板シート状においても強靱なものが好ましく、例えばメタクリル系樹脂の0.3mmから0.7mm厚さのシート材を金型でカットして構成するものであり、アクリル系の接着剤を用いて容検知構成の外郭体6に接着して固定する。
また、容器体1における発光素子4の照射した光の入射面と入射した光の受光素子5への透過面は光の分散や収束を生じないことが重要であり、基本的には厚さが一定で、その表面は凹凸のない平滑面とする必要があることから、例えば容器体1が円筒や球面等の形状であっても平面化することが望ましい。
ここで、発光素子4は照射する光が機器の状態の表示や報知を目的としたものではないことから使用者に煩わしさを与えない可視光以外の光が望ましく、また比較的で安価で入手性の高い素子が望ましいことから、例えば一般的にリモコン装置にて使用されている直流電流を流すことで900nm前後の波長の赤外線光を発する赤外線LEDを用いるものである。
ここで、受光素子5は発光素子4の照射する赤外線光を受光して、この受光量に応じた電気信号を出力するものであるが、安価で入手性の高い素子が望ましいことから、例えば可視光線を減衰させる光学フィルター性能を持たせた樹脂にて受光量に合わせて導通電流が変化するフォトトランジスター素子を封入したものを用いるものである。
受光素子5が前記のフォトトランジスター素子を基本としたものを用いたものであれば、例えば直流電源とおよび抵抗素子を直列に接続すれば、受光素子5の備える特性に応じて受光量に応じた導通電流が直流電源を電力源として抵抗素子に流れて抵抗素子の両端には導通電流に比例した電圧が生じることとなる。
よって、抵抗素子の両端に生じる電圧は受光量に応じて変化することとなり、この電圧の変化を受光量に応じた電気信号として、A/D変換機能を備えた、例えば1チップマイクロコンピューターで読み込む構成を用いれば、電気信号の変化から受光量の変化をソフト処理により認識して、さらには受光量の変化から液体の有無を判定できることとなる。
ところで、光の屈折の角度は屈折の法則により光の透過する前後の媒質の絶対屈折率と入射角度に基づいて下記に示した式1によって求めることができることが知られている。
sin i/sin r ≒ nb/na ・・・・・・(式1)
上記の数式において、iは光の入射界面に垂直な法線に対する光の入射角度、rは入射後の前記法線に対する屈折角度、naは入射側の光の絶対屈折率、そしてnbは入射後の媒質の光の絶対屈折率であり、よって光の入射角度と屈折角度の関係は入射前後の媒質の絶対屈折率の比に比例して一定となることが解る。
よって、発光素子4が照射する光を容器体1の表面に対して垂直以外の角度で入射させると、容器体1の構成材の影響を除けば容器体1の内部に被検出液体2が無いときには容器体1の周囲と内部の空間部3は空気により占められて絶対屈折率が同一であることから、光は屈折することなく図において点線の矢印線で示しているように入射された延長方向に進行していくこととなる。
容器体1の内部に被検出液体2が有るときには容器体1の周囲の空気に対して被検出液体2の絶対屈折率が大きいいために、光は図において実線の矢印線で示しているように前記の法線に対する角度が狭まる方向に屈折して、入射角度が大きい程、入射角度に対する屈折角度の変化幅が大きくなることが解る。
例えば、被検出液体2が水であれば絶対屈折率は前述の通り、水が約1.33であり空気は約1であることから、入射角度が30°であれば屈折角度は約22°と−8°狭まり、入射角度が約60°であれば屈折角度は約41°と−19°とより大きく狭まることとなる。
ところで、発光素子4や受光素子5が前述した通り、入手性に優れる一般的な赤外線LEDやフォトトランジスター素子であれば光の照射や受光の範囲に最低でも±15°前後の広がりが存在する。
ことから、被検出液体2の有無による屈折角度の違いに基づいて液体の有無を判定する点においては光の入射角度がより大きくなるように発光素子4の配置を設定すれば屈折角度の変化幅が大きくなることとなる。
このことにより、光の進行する受光素子5の方向において被検出液体2の有無による受光量の変化幅も大きくなって、これに伴って受光素子5の出力する電気信号の差もより明確化することとなり、検知の判定上、有利となることが解る。
しかしながら、容器体1の表面に対して斜めに入射する光は、反射の法則と、および下記に示した式2、3によって示されるフレネルの式によれば入射角度が広がれば広がるほど入射角度と同一の角度で入射の反対方向に反射される光の割合が大きくなることが知られている。
rp=〔cosi − ((nb/na)^2 − (sini)^2)^0.5〕/〔cosi+ ((nb/na)^2 − (sini)^2)^0.5〕 ・・・・・・(式2)
rs=〔−cosi (nb/na)^2 + ((nb/na)^2 i (sini)^2)^0.5〕/〔cosi(nb/na)^2 + ((nb/na)^2 − (sini)^2)^0.5〕 ・・・・・・(式3)
上記式2、3において、iは光の入射界面に垂直な法線に対する光の入射角度、naは入射側の光の絶対屈折率、そしてnbは入射後の媒質の光の絶対屈折率であり、rpとrsは各、P波およびS波の偏光波における反射率である。
このことは液体の検知のために必要となる被検出液体2への光の透過量が減ることを示しており、受光素子5の受光量の差から被検出液体2の有無を判定する構成においては、安定した検知のためには、より高効率で高感度な発光素子4や受光素子5の使用や、また光の照射のための電力の増加が必要となる可能性が高まることに繋がる。
なお、光が絶対反射率が1の空気より1.3から1.6程度の水や樹脂に進むときは反射の法則と、およびフレネルの式によれば入射界面に垂直な法線に対する入射角度が60°以下であれば、総合でほぼ75%以上程度は透過することとなる。
よって、この反射の影響も考慮すると被検出液体2が水であるときには発光素子4が照射した光の範囲の中心軸が容器体1に対して50°から60°の入射角度となる配置とすることが液体の安定した検知のためには望ましこととなる。
例えば、図3において本実施の形態の構成における配置の一例を示しているように、容器体1に対する光の入射角度が55°になるように配置すれば被検出液体2における屈折角度は約38°となるために容器体1に入射する光は内部に被検出液体2が無いときに対してある時は17°屈折して進行することとなる。
この、屈折前後のどちらかの光が進行する延長方向に受光素子5を配置すれば受光量に応じて受光素子5が出力する電気信号の値の違いから、被検出液体2の有無を判定することができることとなる。
ここで、受光素子5を屈折前の光が進行する延長方向に配置すれば受光素子5の受光量と、および出力する電気信号は被検出液体2が無いときは大きく、有れば小さい方向に変化する。
また、受光素子5を屈折後の光が進行する延長方向に配置すれば受光素子5の受光量と、および出力する電気信号は被検出液体2が有るときは大きく、無ければ小さい方向に変化することとなる。
よって、前記2通りの受光素子5の配置において、それぞれ受光素子5から出力される被検出液体2の有無に応じた電気信号の値を予め測定し、例えば各測定値の中間値を閾値として予め規定しておき、この閾値に対して大小関係を比較すれば電気信号の違いから被検出液体2の有無を判定することができることとなる。
ところで、受光素子5を配置する側の容器体1の内部から外部に光が透過する面においても反射の法則と、およびフレネルの式に基づいて、透過面に対して斜めに光が入射するとその表面において容器体1の内部方向への反射が生じることで、透過する光量が減少することになる。
この時、光は絶対反射率が1.3から1.6程度の水や樹脂から容器体1の周囲の空気の方向に向けて光は透過することとなり、容器体1の内部に被検出液体2が有る時には、ほぼ容器体1の外側表面の1ヶ所で光が反射され、また容器体1の内部に被検出液体2が無い時には、容器体1の内側表面と外側表面の2ヶ所で光は反射される。
また、絶対反射率が1.3から1.6程度の水や樹脂から絶対反射率が1の空気の方向に光が透過するときには屈折の法則に基づいて、入射界面に垂直な法線に対する入射角度が約49°以上であれば光はその界面において全反射を生じて透過しないことも知られている。
この、全反射のように、進行する光が容器体1の内部方向に全て反射される状況においては、全反射が生じる前の光が進行する延長方向において容器体1の外部に受光素子5を配置しても、発光素子4は照射した光は受光素子5には到達しないことなり、受光素子5の出力する電気信号にも液体の有無で変化が生じないこととなる。
例えば、図1で示しているように略直角となる容器体1の角部を発光素子4と受光素子5で挟み込んだ構成において、前述したように発光素子4の入射角度が55°となる配置としたときには、被検出液体2であるところの水が有れば屈折角度は約38°となり、容器体1の内部から外部に透過する光の入射界面に垂直な法線に対する入射角度は約52°となる。
よって、前記の構成では容器体1の内部に被検出液体2が有る状態においては容器体1の内部から外部への光の透過方向の入射角度は約49°以上となることから全反射が生じることで光は、ほぼ透過できないこととなる。
このことから、被検出液体2によって屈折した光の進行する延長方向の容器体1の外部に受光素子5を配置する構成においては、被検出液体2の有無では受光量は変化しないこととなるために、受光量の増加により被検出液体2の有る状態を判定する構成は実際上においては機能しないことが解る。
この、全反射の発生を防止するためには発光素子4の容器体1に対する光の入射角度を約61°以上とすることで被検出液体2が有る状態における光の屈折角を41°以上として、容器体1の内部から外部への透過方向の光の入射角度が約49°以下となるように構成する必要がある。
しかしながら、前述した通り、容器体1の表面に対して光を斜めに入射する際、この入射角度が大きくなればなるほど反対方向に反射される光の割合も大きくなり容器体1の内部に透過する光量が減ることとなるために、この入射角度は60°以下とすることが望ましいことから、容器体1の内部から外部への光の透過方向の入射角度を49°以下として、さらに大幅に狭めることは難しいこととなる。
このように、容器体1の内部から外部への光の透過方向の入射角度は全反射が生じる49°に近い角度に調整することは難しいことから、全反射の状態は防げたとしても実際上は容器体1の内部から外部へは光の大部分は容器体1の内部の方向に反射されて、一部分が容器体1の外部に透過することとなるために、被検出液体2の有無による受光素子5の受光量の差は非常に小さくなることとなる。
しかしながら、被検出液体2の有無による受光素子5の受光量の差から被検出液体2の有無を判定する方式においては、受光素子5の受光量の差がより大きいほど、その違いが明確となって被検出液体2の有無の判定に有利となり、より安定した液体の有無の判定が可能となる。
よって、この透過光量の減少を考慮して、発光素子4に高発光効率の物を使用したり、また印加電力を増やすことで発光強度を高めたり、あるいは受光素子5を高受光変換効率のものを用いる等の対策を施すことが一般的であった。
ところで、絶対屈折率が異なる媒質の界面に対して光が垂直に入射するときは反射の法則に基づいて下記に示した式4によって求められる反射率Rに従って光が反射されることも一般的に知られている。
R = (na − nb)^2 / (na + nb)^2 ・・・・・・(式4)
上記式4において、naは入射側の光の絶対屈折率、そしてnbは入射後の媒質の光の絶対屈折率である。
よって、例えば絶対反射率が1.3から1.6程度の水や樹脂から絶対反射率が1の空気の方向に界面に対して光が垂直に入射するときは全体の約3.4%前後のみが反射され、残りの約96%以上は空間の方向に透過することとなる。
このことから、光を透過させる面を平面として光の進行軸に対して垂直に配置すれば入射する光をほぼ減衰させることなく透過させることができることが解る。
そこで、本構成においては、受光素子5を配置する側の容器体1の内部から外部へ光を透過させる面には光の進行軸に対して略垂直となる平面形状の光透過平面部9を設けることで、受光素子5によって容器体1の内部を進行する光のほぼ全てを受光できるようにしている。
ここで、図1は受光素子5を屈折後の光が進行する延長方向に配置して受光素子5の受光量が増加すれば被検出液体2が有る状態であることを判定する構成を示し、図2は、受光素子5を屈折前の光が進行する延長方向に配置して受光素子5の受光量が減少すれば被検出液体2が無い状態であることを判定する構成を示している。
なお、光透過平面部9は、例えば容器体1の製造時にブロー成形や金型成形において同時成形により容器体1の位置部分を凸設させて形成して設けるものである。
上記構成において、光透過性の材料で構成した透明な被検出液体2を蓄える容器体1の外部には容器体1の表面に対して垂直以外の角度で光を入射させる発光素子4と、この発光素子4が照射した光が被検出液体2の有無において屈折後、あるいは屈折前の状態において進行する延長方向に容器体1を透過した光を受光するための発光素子4とを容器体1の角部を挟み込む配置で対向させて備えて、また受光素子5を配置する側の容器体1の内部から外部へ光を透過させる面には光の進行軸に対して略垂直となる平面形状の光透過平面部9を設けており、受光素子5から受光量に応じて出力される電気信号を予め規定している値と比較することで被検出液体2の有無を判定する構成としている。
このことから、容器体1の内部から外部へ光を透過させる面においては光透過平面部9の配置していることで光の内部方向への反射を抑制して、ほぼ全てを透過させて受光素子5において受光させることができる。
よって、受光素子の液体の無い状態に対する有る状態の受光量の差や、受光素子の液体の有る状態に対する無い状態の受光量の差をより大きくできることから、被検出液体2から周囲空間の方向の光の透過において透過光量が減少する構成に対して発光素子4の発光効率と受光素子5の受光変換効率に対する選定の仕様条件の幅が広がることで用いることができる素子の入手性が高まり、また検知のための電力消費の低減が可能となるために、一般的な電気機器に対してより広く搭載して活用することができる。
なお、受光素子5を屈折後の光が進行する延長方向に配置する構成とすれば、長期使用伴う容器体1の表面への埃や汚れ付着に基づいて透過する光量が減少する状態においても被検出液体2が無い状態と同意の判定をすることができる。
この時には、搭載する機器の運転を停止することで利用者に給水や機器の清掃等のメンテンナンスを促す等、加湿機等の水利用機器であればフェールセーフの動作対応が可能となることは言うまでもない。
なお、容器体1は光透過性の材料で構成するものであるが、金属等の非光透過性の材料にて構成されたものであっても光を透過させる必要がある部分のみに開口部を設け、この開口部を光透過性の板材で塞いで、被検出液体2の漏れが生じないように容器体1に対して接着剤や溶着にて貼り付ける、あるいは同時成形により固設する構成とすれば被検出液体2の有無の検知判定が可能となり、本構成においてもその作用効果に差異を生じない。
なお、容器体1は以上説明した発光素子4からの照射光の入射と透過光の受光素子5による受光の関係を満たす配置であればその形状は問わず、図4に示しているような上方向も覆われたタンク形状や図5に示す導管の一部分の形状であっても、その作用効果に差異を生じない。
(実施の形態2)
図6から図8において、実施の形態1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6は機器の搭載する液体を蓄えるための容器体1の一例において側面の構成を示した断面図である。
発光素子4は照射する光が容器体1の表面に垂直以外の角度で上方向に向かい入射するように容器体1の外部に配置している。
また、発光素子4は容器体1の内部に入射した光が容器体1の内部に被検出液体2が有る状態で進行する延長方向の予め規定する深さの被検出液体2の表面となる空間の空気との界面において、光が前述した通り、反射の法則と、およびフレネルの式で示されているように上部の空間の方向には透過することなく、入射角度の同一の角度で入射した反対方向に全て反射されることで進行方向が変化する全反射が生じるように容器体1に対して配置している。
なお、被検出液体2の深さは、容器体1の形状が図6に示しているように側面から見て直方体であり、発光素子4を容器体1に側面に配置する構成であれば、容器体1に対する光の入射の位置から被検出液体2の表面までの距離にあたる。
この、全反射により進行方向が変化した光の延長線上には、被検出液体2の表面に対して略垂直に光を入射させることで、被検出液体2の表面おける被検出液体2の方向への反射の発生を抑制することにより、ほぼ減衰を生じさせること無く光を被検出液体2の上方向の空間部3に導いて透過させるための傾斜させた反射面10を設けている。
ここで、この反射面10の傾斜角度は、前述した通り全反射において光は入射角度と同一の角度で入射の反対方向に反射さることから、被検出液体2の表面において全反射された光の入射角度の半分の角度をもって被検出液体2の表面に対して傾斜させれば光の進行軸が被検出液体2の表面に対して略垂直に入射するように光を反射させることができることとなる。
この、反射面10は光を効率良く反射させるために白色や銀色系の光の反射性に優れた色や材質で構成するものであり、例えば容器体1の対象面を反射面10の形状に隆起させるように容器体1の金型を構成することにより容器体1と同時に反射面10を形成して、後に白色ABS等の樹脂材の切断した平板を反射面10の表面に接着する、あるいはアルミ等の金属粉末を混濁させた透明アクリル樹脂等の高光反射性の塗装を塗布して構成する。
受光素子5は、この反射面10により被検出液体2の表面に対して略垂直に入射するように進行軸が変化した光の進行方向の延長線上で光を受光するように受光面を配置するものである。
ここで、発光素子4と受光素子5の配置の位置は、前述した通り、安定した液体の検知のためには容器体1に対して固定されていなければならず、搭載する機器が例えば、容器体1が取り外される構成で、この機器の本体を成す外郭体6が絶縁性を備えた樹脂で形成されるものにあっては、この外郭体6の規定した位置の2ヶ所に固定のための挿入孔7を設けて装着することで規定の位置関係を保つように構成する点は変わらない。
よって、以上の構成により、被検出液体2が容器体1の内部に無い、あるいは規定した深さに至らない状態であれば発光素子4から照射して容器体1に入射した光は全反射が生じずに、ほぼ入射角を保ちながら進行することから、反射面10にて反射された光を受光するように配置された受光素子5には導かれないこととなる。
しかしながら、容器体1の内部に被検出液体2が有れば容器体1に入射した光は被検出液体2の表面での全反射された後に反射面10にて反射されることから、被検出液体2の表面における空間部3の方向への透過による減衰を生じること無く受光素子5に導かれることとなるために、受光素子5において発光素子4から照射した光が受光される状態にあれば容器体1の内部に被検出液体2が有ることを判定できることとなる。
次に、構成の具体例として被検出液体2が水であるときの配置の具体的な一例を図7に基づいて説明する。
図7は機器に搭載する液体を蓄えるための容器を側面から一部分を簡略化して示した断面図である。
ここで、前述した通り、媒質が異なる界面における全反射が生じる光の入射角度は、反射の法則とフレネルの式により光の透過する前後の媒質の絶対屈折率によって規定され、例えば被検出液体2が水であれば絶対反射率は約1.33となり絶対反射率が約1となる空気の方向に光が透過するときには、入射界面に垂直な法線に対する入射角度が約49°以上であれば光はその界面において全反射が生じることとなる。
よって、発光素子4を容器体1に対して光の入射界面に垂直な法線に対する光の入射角度を例えば55°となるように配置すると、容器体1の内部に入射した光は被検出液体2との界面において約38°の屈折角度で屈折して進行する。
この、屈折して進行する光は被検出液体2の表面に垂直な法線に対して約52°の入射角度で入射することとなり、この角度は入射界面に対して約49°以上となることから全反射が生じることとなる。
被検出液体2の表面において全反射が生じると、光は被検出液体2の上部の空間部3の方向には透過することなく、全て入射した反対方向に入射角度の同一の角度で反射されて進行方向が変化することとなる。
ここで、被検出液体2の深さを、例えば18mmに規定すると、三角関数の関係から発光素子4から照射した光は容器体1への入射面から横方向に約22mmの位置を光軸の中心として全反射が生じることとなる。
よって、反射面10の傾斜角度は被検出液体2の表面に対する光の入射角度が約52°であることから水平面から約26°傾斜させれば良いこととなる。
ここで、この受光素子5の被検出液体2の表面における全反射が生じる位置からの横方向の距離は、反射面10に対して全反射した光の光軸の中心となる位置の被検出液体2の表面からの深さを、例えば20mmに設定すれば三角関数の関係から約26mmとなる。
よって、受光素子5は発光素子4から照射した光の容器体1への入射面から約48mmの横方向の位置には配置することとなる。
ここで、容器体1の内部に被検出液体2が無い状態においては、発光素子4を容器体1に対して光の入射角度が55°になるように配置していることから、三角関数の関係より、容器体1の内部の空間を屈折すること進む光の光軸の中心は、図7において点線の円で囲んで示している容器体1への光の入射位置から縦方向に約69mmの高さの位置で受光素子5の受光軸と斜め方向から交差することとなる。
この、交差する高さに受光素子5を配置すると被検出液体2が無い状態にも関わらずに受光素子5は発光素子4から照射した光を斜め方向からではあるが受光して、受光の状態によっては被検出液体2の有無における受光量の差が狭まり被検出液体2の有無の判定が難しくなる可能性も有る。
また、前述した通り、発光素子4の光の照射や受光素子5の受光の範囲は最低でも±15°前後の広がりが存在することから、被検出液体2が無い状態において発光素子4が照射した光が受光素子5で受光される可能性は使用する素子にも影響されて規程が難しく、被検出液体2の有無の判定を同様に難しくする要因となる。
よって、上記の被検出液体2の無い状態における発光素子4の照射光の受光素子5での受光を防ぐために、受光素子5の容器体1への光の入射位置に対する縦方向の配置位置は前記において示した交差位置であるところの約69mmの高さを避けて、例えば40mmの高さに配置するものである。
この、受光素子5の配置の高さは、実際の構成の設計においては受光素子5の受光の状態を確認しながら被検出液体2の有無の判定に影響を与えない高さに設定するものである。
また、容器体1に対する受光素子5の配置は、例えば機器の本体を成す外郭体6に設けた挿入孔7に装着して規定の位置を保つように構成することから、受光素子5に斜めから入射する光は外郭体6と、および挿入孔7に遮られることで受光素子5には、ほぼ到達しないことから、実際の構成の設計においてはこの点も考慮して受光素子5の配置の高さは、被検出液体2の有無の判定に影響を与えない高さに設定すれば良いこととなる。
上記構成において、容器体1の内部に被検出液体2が規定する深さに有るときには、発光素子4から照射して容器体1に入射した光は被検出液体2の表面で減衰すること無く全反射され反射面10に導かれ、さらに反射面10で反射されて被検出液体2の表面に対して略垂直に入射するように進行軸が変化して、この進行軸が変化した光の進行する延長線上において受光素子5で受光されることとなる。
このとき、被検出液体2が容器体1の内部に有る状態においては被検出液体2の表面から受光素子5の方向の空間に向かい透過する光は被検出液体2の表面に対して略垂直に入射することで絶対屈折率が異なる2つの媒質の界面における反射が生じないために、透過光量が減少することなく受光素子5に到達することとなる。
よって、被検出液体2から周囲空間の方向の光の透過において透過光量が減少する構成に対して発光素子4の発光効率と受光素子5の受光変換効率の選定の幅を広げることができることから、用いる素子の仕様条件の緩和が可能となって入手性が高まり、また検知のための電力消費の低減が可能となるために、一般的な電気機器に対してより広く搭載して活用することができる。
なお、容器体1の外郭を被検出液体2の表面に並行となる平面を受光素子5との間に備えた構成とすれば、被検出液体2の表面の光の透過と同様に反射面10にて反射された光は減衰することなくほぼ全てが容器体1を透過することとなるために、容器体1は図8に示しているような上方向も覆われたタンク形状の構成であっても、その作用効果に差異を生じない。
なお、反射面10の表面は平滑な面であることが望ましいが、光を分散反射する微細な凸凹を備えた表面とすることも可能であり、分散反射においても判定に充分な受光量を受光素子5において得られるときには反射面10の傾斜は任意の角度に設定できることは言うまでもない。
なお、容器体1は光透過性の材料で構成するものであるが、金属等の非光透過性の材料にて構成されたものであっても光を透過させる必要がある部分のみに開口部を設け、この開口部を光透過性の板材で塞いで、被検出液体2の漏れが生じないように容器体1に対して接着剤や溶着にて貼り付ける、あるいは同時成形により固設する構成とすれば被検出液体2の有無の検知判定が可能となり、本構成においてもその作用効果に差異を生じない。