JP4570301B2 - 電子部品収納用容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動子や表面弾性波素子や半導体素子等の電子部品を気密に収容するための電子部品収納用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば圧電振動子や表面弾性波素子や半導体素子等の電子部品を収容するための電子部品収納用容器は、図2に断面図で示すように、例えば酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックス材料から成り、上面に電子部品23が搭載される略平板状の絶縁基板24の上面に電子部品23を取り囲む枠状の絶縁枠体25を積層して成る絶縁基体21と、ガラス等の透光性材料や鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属材料から成り、絶縁基体21の絶縁枠体25上面に低融点ガラスや半田等の封止材26を介して接合されることにより絶縁基体21との間の空間に電子部品23を収容する略平板状の蓋体22とから主として構成されており、絶縁基板24の上面に電子部品23を搭載するとともに絶縁枠体25の上面に蓋体22を封止材26を介して接合することにより絶縁基体21と蓋体22との間の空間に電子部品23が収容されることとなる。
【0003】
また、絶縁基板24には、絶縁基体21と蓋体22との間の空間を真空に排気するための貫通孔27がその上面から下面にかけて途中に段差部27aを有するようにして形成されており、絶縁基体21と蓋体22とから成る容器内部に電子部品23を収容した後、絶縁基板24に形成された貫通孔27を介して電子部品23を収容する空間を真空に排気し、しかる後、この貫通孔27内に例えば銅合金等の金属から成る球状の封止用金属部材28を鉛−錫合金等から成る半田を介して取着させてこの貫通孔27を封止することにより、電子部品収納用容器内部に電子部品23が気密に収容された電子装置となる。
【0004】
なお、絶縁基体21に形成された貫通孔27内に鉛−錫合金等の半田を介して封止用金属部材28を取着させてこの貫通孔27を封止するには、貫通孔27の途中の段差部27aの表面にタングステンやモリブデン粉末等の高融点金属メタライズから成る金属層29を被着させておくとともにこの金属層29の表面にろう材との濡れ性に優れるニッケルや金等のめっき金属層(不図示)を被着させておき、この貫通孔27内に半田および封止用金属部材28を段差部27aで留まるようにして入れるとともに、半田を加熱溶融させることにより封止用金属部材28と金属層29とを半田を介して接合することにより封止する方法が採用されている。この場合、封止用金属部材28および半田は貫通孔27内の段差部27aで留まって、貫通孔27内に良好に位置決めされるとともに絶縁基体21と蓋体22との間の空間内に落ち込むことが有効に防止される。
【0005】
また、絶縁基体21は、例えば酸化アルミニウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤等を添加混合して泥漿状のセラミックスラリとなすとともにこのセラミックスラリをシート状となすことにより絶縁基板24用および絶縁枠体25用の複数枚のセラミックグリーンシートを用意し、次にこれらのセラミックグリーンシートに貫通孔27となる貫通孔および電子部品23を収容するための貫通穴を穿孔し、次にこれらのセラミックグリーンシートを上下に積層して積層体となし、最後にこれを約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0006】
なお、貫通孔27の途中に段差部27aを形成するには、絶縁基板24用のセラミックグリーンシートとして上層用のセラミックグリーンシートと下層用セラミックグリーンシートとの2枚のセラミックグリーンシートを準備するとともに、これらの2枚のセラミックグリーンシートに貫通孔27用の貫通孔をその直径が下層用のセラミックグリーンシートで大きくなるように互いに異なる直径で穿孔し、これらのセラミックグリーンシートを積層することによって貫通孔27の途中に段差部27aを形成する方法が採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の電子部品収納用容器によると、絶縁基体21の絶縁基板24の上面から下面にかけて形成された貫通孔27の途中に段差部27aを設けるために絶縁基板24用のセラミックグリーンシートとして上層用のセラミックグリーンシートと下層用のセラミックグリーンシートとの2枚のセラミックグリーンシートを用意して、上層用のセラミックグリーンシートに貫通孔27となる小さな孔を、下層用のセラミックグリーンシートには貫通孔27となる大きな孔をそれぞれ別々に形成してこの2枚のセラミックグリーンシートを上下に積層する必要があった。そのため、絶縁基板24の厚みがセラミックグリーンシート2枚分の厚みとなり、絶縁基体21を薄くすることができず、近年ますます要求されている電子装置の低背化が困難であるとともに絶縁基体21の製造工程が非常に煩雑であるという問題点を有していた。
【0008】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、絶縁基体の厚みを薄いものとして電子装置の低背化を可能とするとともに絶縁基体の製造が極めて簡便な電子部品収納用容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子部品収納用容器は、上面に電子部品が搭載される略平板状の絶縁基板上に前記電子部品を取り囲む枠状の絶縁枠体が積層されて成るとともに前記絶縁基板の上面から下面にかけて前記絶縁枠体の内側に開口する排気用の貫通孔が形成された絶縁基体と、前記絶縁枠体上に接合されて前記絶縁基体との間の空間に前記電子部品を封止する蓋体とから成る電子部品収納用容器であって、前記貫通孔は、その大きさが前記絶縁基板の上面から下面にかけて略同じであり、かつその上端が前記絶縁枠体で部分的に塞がれていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の電子部品収納用容器によれば、絶縁基板に形成された排気用の貫通孔は、その大きさが絶縁基板の上面から下面にかけて略同じであり、かつその上端の一部が絶縁枠体により部分的に塞がれるようにして形成されていることから、貫通孔内に封止用金属部材を入れると、その封止用金属部材は貫通孔の上端を部分的に塞ぐ絶縁枠体で留まって位置決めされる。したがって、貫通孔内に段差部を設けることなく封止用金属部材を貫通孔内に位置決めすることができるので、絶縁基板を1枚のセラミックグリーンシートから形成して薄型化することができるとともに絶縁基体の製造を簡略化することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の電子部品収納用容器を添付の図面を基に詳細に説明する。図1は本発明の電子部品収納用容器の実施の形態の一例を示す断面図であり、1は絶縁基体、2は蓋体、3は電子部品である。そして主として絶縁基体1と蓋体2とで本発明の電子部品収納用容器が構成され、この電子部品収納用容器内に電子部品3を気密に封止することによって電子装置が形成される。
【0012】
電子部品収納用容器を構成する絶縁基体1は、その上面に電子部品3が搭載される略四角平板状の絶縁基板4の上面に電子部品3を取り囲む略四角枠状の絶縁枠体5が積層されて成り、絶縁枠体5で囲まれた絶縁基板4上面には電子部品3が搭載される。
【0013】
この絶縁基体1は酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体・炭化珪素質焼結体・窒化珪素質焼結体・ムライト質焼結体・ガラスセラミックス等の電気絶縁材料から成る。例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、酸化アルミニウムおよび酸化珪素・酸化カルシウム・酸化マグネシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤等を添加混合して泥漿状のセラミックスラリとなすとともに、このセラミックスラリを従来周知のドクタブレード法等を採用してシート状となすことにより絶縁基板4および絶縁枠体5用の複数枚のセラミックグリーンシートを得て、次にこれらのセラミックグリーンシートに後述する貫通孔7および電子部品3を収容するための打ち抜き孔を穿孔するとともに上下に積層して絶縁基体1用のセラミックグリーンシートの積層体を得て、最後にこれを還元雰囲気中約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0014】
なお、絶縁基体1は、一般には例えばその幅が2〜5mm程度・長さが5〜10mm程度、厚みが0.3〜0.6mm程度であり、凹状の搭載部1aの幅が1〜4mm程度・長さが4〜9mm程度・深さが0.2〜0.5mm程度である。そして、圧電振動子の小型化・薄型化の要求に伴い、その小型化・薄型化がますます進んでいる。
【0015】
また、絶縁基体1には絶縁基板4の一端側から絶縁基板4の下面にかけて導出する配線導体6が被着形成されており、この配線導体6で絶縁基板4の上面の一端側に導出した部位に電子部品3の電極が銀−ポリイミド樹脂や銀−エポキシ樹脂・銀−シリコーン樹脂等の導電性接着剤11を介して接着固定される。そして、配線導体6で絶縁基板4の下面に導出した部位を図示しない外部回路基板等の配線導体に半田等の導電性接着剤を介して接合することにより、電子部品3の各電極が外部回路基板等に接続されることとなる。
【0016】
配線導体6は、タングステンやモリブデン・銀・銅等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダや溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを絶縁基板4となるセラミックグリーンシートに予め所定のパターンに印刷塗布しておくとともに、これを絶縁基体1となるセラミックグリーンシート積層体とともに焼成することによって、絶縁基体1の絶縁基板4の上面の一端側から絶縁基板4の下面に導出するようにして被着形成される。
【0017】
また、絶縁基体1の絶縁基板4には絶縁枠体5の内周にかかる位置に絶縁基板4の上面から下面にかけてその大きさが略同じ貫通孔7が形成されている。貫通孔7は、絶縁基体1と蓋体2とから成る容器の内部に電子部品3を収容した後、この電子部品3を収容する空間を真空に排気するための排気孔として機能し、その上端が絶縁枠体5で部分的に塞がれているとともにその内壁には封止用金属部材8を半田を介して取着するための金属層9が被着されている。
【0018】
そして貫通孔7は、絶縁基体1と蓋体2との間の空間に電子部品3を収容した後に、この電子部品3を収容する空間を真空に排気し、しかる後、貫通孔7内に半田および封止用金属部材8を入れるとともに半田を加熱溶融させて金属層9に封止用金属部材8を半田を介して取着することにより気密に封止される。なお、絶縁基体1の貫通孔7を封止する封止用金属部材8は、例えば銅等の金属から成る球体であり、また封止用金属部材8を金属層9に取着している半田は、例えば鉛90重量%−錫10重量%から成る鉛−錫合金である。
【0019】
このとき、貫通孔7内に入れた半田および封止用金属部材8は貫通孔7の上端を部分的に塞ぐ絶縁枠体5により貫通孔7内に留まり、貫通孔7内に良好に位置決めされるとともに絶縁基体1と蓋体2との間の空間内に落ちることはない。
【0020】
この場合、貫通孔7は、その大きさが絶縁基板4の上面から下面にかけて略同じなので、このような貫通孔7を有する絶縁基板4を形成するためのセラミックグリーンシートは1枚だけ準備すればよく、したがって、絶縁基板4の厚みをセラミックグリーンシート1枚分の厚みとして絶縁基体1の厚みを薄いものとすることができる。その結果、本発明の電子部品収納用容器によれば、電子装置の低背化を実現することができる。また同時に、絶縁基板4を形成するためのセラミックグリーンシートは1枚だけ準備すればよいので、打ち抜き孔の穿孔や積層の工程がその分少なく、絶縁基体1を極めて簡便に製作することができる。
【0021】
なお、貫通孔7は好ましくは円形の孔であり、その直径は0.1〜1mm程度が好ましい。貫通孔7が円形以外の場合、その内壁に金属層9を設けにくくなるとともに貫通孔7内に半田や封止用金属部材8を効率良く入れることが困難となる傾向がある。また、貫通孔7の直径が0.1mm未満では、貫通孔7内に半田および封止用金属部材8を入れにくくなる傾向にあり、他方、1mmを超えると、そのような貫通孔7を封止するために多量の半田と大きな封止用金属部材8が必要となる。また、貫通孔7はその上端の面積の5〜95%が絶縁枠体5により覆われることが好ましい。貫通孔7が絶縁枠体5により覆われる面積がその上端の面積の5%未満では、貫通孔7内に半田および封止用金属部材8を入れた際にこれらの半田および封止用金属部材8が絶縁枠体5により貫通孔7内に良好に留められなくなる危険性があり、他方、95%を超えると、絶縁基体1と蓋体2との間の空間を効率良く排気することが困難となってしまう傾向にある。但し、貫通孔7は必ずしも円形である必要はなく、三角形や四角形あるいはその他の形状であってもよい。
【0022】
なお、貫通孔7を封止する封止用金属部材8が取着される金属層9は、タングステンやモリブデン・銀・銅等の金属粉末メタライズから成り、ろう材との濡れ性を良好なものとするためにその表面に必要に応じてニッケルや金等から成るめっき金属層を被着させている。
【0023】
このような金属層9は、絶縁基板4用のセラミックグリーンシートに設けた貫通孔7用の打ち抜き孔の内壁にタングステン等の金属粉末を含有するメタライズペーストを塗布するとともに、これを絶縁基体1用のセラミックグリーンシート積層体とともに焼成することによって貫通孔7の内壁に被着形成される。
【0024】
電子部品収納用容器を構成する蓋体2は、例えば鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属や酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックスから形成されており、ろう材または低融点ガラス等からなる封止材10を介して絶縁基体1の上面に接合される。蓋体2は、鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成る場合であれば、鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属板を蓋体2に対応した形状に打ち抜くことによって形成され、ガラスやサファイアから成る場合であれば、蓋体2の厚みに対応した厚みのガラスやサファイアから成る広面積の板材を所定の大きさ・形状に切断したり、あるいは断面が蓋体2に対応した大きさ・形状のガラスやサファイアから成る棒材を所定厚さに切断することにより製作される。
【0025】
かくして本発明の電子部品収納用パッケージによれば、絶縁基体1の絶縁基板4上に電子部品3を搭載するとともに絶縁枠体5の上面に蓋体2を接合させた後、絶縁基体1と蓋体2との間の空間を真空に排気し、しかる後、貫通孔7を半田を介して封止用金属部材8で封止することによって製品としての電子装置となる。
【0026】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明の電子部品収納用容器によれば、絶縁基板に形成された排気用の貫通孔は、その大きさが絶縁基板の上面から下面にかけて略同じであり、かつその上端の一部が絶縁枠体により部分的に塞がれるようにして形成されていることから、貫通孔内に封止用金属部材を入れると、その封止用金属部材は貫通孔の上端を部分的に塞ぐ絶縁枠体で留まって位置決めされる。したがって、貫通孔内に段差部を設けることなく封止用金属部材を貫通孔内に位置決めすることができるので、絶縁基板を1枚のセラミックグリーンシートから形成して薄型化することができ、そのため、得られる電子装置を低背化することができるとともに絶縁基体の製造を簡便なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部品収納用容器の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】従来の電子部品収納用容器の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・絶縁基体
2・・・蓋体
3・・・電子部品
4・・・絶縁基板
5・・・絶縁枠体
7・・・貫通孔

Claims (1)

  1. 上面に電子部品が搭載される略平板状の絶縁基板上に前記電子部品を取り囲む枠状の絶縁枠体が積層されて成るとともに前記絶縁基板の上面から下面にかけて前記絶縁枠体の内側に開口する排気用の貫通孔が形成された絶縁基体と、前記絶縁枠体上に接合されて前記絶縁基体との間の空間に前記電子部品を封止する蓋体とから成る電子部品収納用容器であって、前記貫通孔は、その大きさが絶縁基板の上面から下面にかけて略同じであり、かつその上端が前記絶縁枠体で部分的に塞がれていることを特徴とする電子部品収納用容器。
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