干渉計とは、光波の干渉を利用して波面を測定することにより、被測定物の光学的特性及び形状等を測定するものであり、例えば、製造中又は使用中の光学素子の検査等に用いられている。干渉計の原理は、単一の光源から出射された光を2つの光路に分け、一方の光路に被波面測定物を介在させ、他方の光路に参照部材を介在させて、各光路の光に被波面測定物及び参照部材を透過させるか又は被波面測定物及び参照部材により反射させた後、2つの光を合成して相互に干渉させ、その干渉縞を観察することによって、被波面測定物の波面を測定するものである。
干渉計には、例えば、トワイマングリーン型干渉計及びマッハツェンダー型干渉計がある(例えば、非特許文献1参照。)。トワイマングリーン型干渉計は被波面測定物及び参照部材において光を反射させるものであり、マッハツェンダー型干渉計は被波面測定物及び参照部材において光を透過させるものである。図8は従来のトワイマングリーン型干渉計を示すブロック図であり、図9は従来のマッハツェンダー型干渉計を示すブロック図である。
図8に示すように、従来のトワイマングリーン型干渉計においては、単色光源101が設けられており、この単色光源101から出射される単色光の光路に沿って、集光レンズ102、アパーチャ103、集光レンズ104、立方体型ハーフミラー105がこの順に設けられており、立方体型ハーフミラー105の後方に被波面測定物106が配置されるようになっている。アパーチャ103には、ほぼ回折限界のサイズの穴が形成されており、この穴を単色光源101から出射された光が通過するようになっている。立方体型ハーフミラー105は、2つの二等辺直角三角柱を貼り合わせた立方体の光学部材であり、単色光源101から出射された光の略半量を被波面測定物106に向けて透過させ、残りの略半量を反射させると共に、被波面測定物106により反射された光の略半量を反射させ、残りの略半量を透過させるものである。
単色光源101から出射され、立方体型ハーフミラー105によって反射された光の光路上には、参照ミラー107が設けられている。また、波面測定物106により反射され、立方体型ハーフミラー105によって反射された光の光路上には、チューブレンズ108、結像レンズ109及びカメラ110がこの順に配置されている。なお、被波面測定物106及び参照ミラー107はいずれもチューブレンズ108の焦点に位置し、カメラ110は結像レンズ109の焦点に位置している。
次に、図8に示す従来のトワイマングリーン型干渉計の動作について説明する。単色光源101から出射された光は、集光レンズ102でアパーチャ103に集光される。上述の如く、アパーチャ103には略回折限界のサイズの穴が形成されているため、アパーチャ103に入射した光は、空間可干渉性を劣化させる成分が取り除かれて、アパーチャ103を出射する。アパーチャ103を通過した光は、集光レンズ104でコリメートされる。集光レンズ104によりコリメートされた光は、立方体型ハーフミラー105により光量が略等分され、光の一部は立方体型ハーフミラー105を透過して被波面測定物106に向かい、残部は立方体型ハーフミラー105により反射されて参照ミラー107に向かう。
被波面測定物106に向かった光は、被波面測定物106により反射されて再び立体型ハーフミラー105に入射し、その一部が立体型ハーフミラー105により反射されてチューブレンズ108に向かい、残部が立体型ハーフミラー105を透過して集光レンズ104に向かう。一方、参照ミラー107に向かった光は、参照ミラー107により反射されて再び立体型ハーフミラー105に入射し、その一部が立体型ハーフミラー105を透過して、チューブレンズ108に向かい、残部が立体型ハーフミラー105により反射されて集光レンズ104に向かう。
被波面測定物106の反射光のうち立体型ハーフミラー105により反射された光と、参照ミラー107の反射光のうち立体型ハーフミラー105を透過した光は、チューブレンズ108及び結像レンズ109により構成される像転送光学系を経てカメラ110に到達する。被波面測定物106及び参照ミラー107はいずれもチューブレンズ108の焦点に位置し、カメラ110は結像レンズ109の焦点に位置しているため、カメラ110は被波面測定物106及び参照ミラー107の双方を重ねて観察できる。
なお、単色光源101の空間可干渉性が十分に高い場合は、アパーチャ103を設けないこともある。また、集光レンズ102の焦点距離と集光レンズ104の焦点距離との比の値を調節することにより、立方体型ハーフミラー105に入射するビームのサイズを自由に拡大縮小できるが、単色光源101のビームサイズが必要十分なサイズであれば、集光レンズ102及び集光レンズ104も設けないこともある。更に、立方体型ハーフミラー105の形状は二等辺直角三角柱を貼り合わせた形の立方体であるが、板型のハーフミラーで代用できる。但し、被波面測定物106の波面に集光性又は発散性の顕著な曲率が認められる場合は、板型のハーフミラーと同じ硝材で同じ厚さの基板に両面反射防止コーティングを施した補償板を設置することにより、被波面測定物106側の光路と参照ミラー107側の光路とを均衡させることもある。更にまた、立方体型ハーフミラー105が、チューブレンズ108側だけでなく集光レンズ104側にも光を戻すことにより、単色光源101の動作が不安定になる場合は、単色光源101と立方体型ハーフミラー105との間にファラデーアイソレータ等を設け、往路光と復路光を分離することもある。
被波面測定物106の反射光と参照ミラー107の反射光とが光学的にほぼ平行である場合は、両反射光は相互に干渉し、カメラ110により干渉縞を観察することができる。即ち、角周波数をω、時間をt、係数をk、位置をx、位相をα及びβとするとき、被波面測定物106による反射光Eaを下記数式1のように表し、参照ミラー107による反射光Ebを下記数式2のように表すと、カメラ110により観察される干渉縞の強度Iは下記数式3のように表される。
干渉縞の強度Iの最大値として(2×I0)を定義すると、下記数式4のようになるため、上記数式3は下記数式5のように書ける。
干渉縞の変調度は、下記数式6に示す値の大きさで決まるが、Aは0乃至√(2×I0)の範囲の値を取るため、干渉縞の変調度は、A=√(I0/2)のとき、即ち、A=Bのときに最大となる。
但し、集光レンズ104からチューブレンズ108に到る光路において、被波面測定物106により反射された光も、参照ミラー107により反射された光も、共に立方体型ハーフミラーにおける1回の透過及び1回の反射を経ているため、被波面測定物106の反射率と参照ミラー107の反射率が等しい限りは、自動的にA=Bの関係が満たされる。このとき、干渉縞の強度Iは下記数式7のようになる。
位相αと位相βとの間の位相差をχ(=α−β)とすると、波面を干渉縞により測定する場合、その感度(dI/dχ)は、下記数式8により与えられる。
ゆえに、測定の感度(dI/dχ)は、位相差χが0又はπに近い値を取ると小さくなり、位相差χが(π/2)又は(3π/2)に近い値を取ると大きくなる。
次に、従来のマッハツェンダー型干渉計について説明する。なお、図9において、図8に示した従来のトワイマングリーン型干渉計と同じ機能を備えた構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図9に示すように、従来のマッハツェンダー型干渉計においては、単色光源101が設けられており、単色光源101から出射される単色光の光路に沿って、集光レンズ102、アパーチャ103、集光レンズ104、板型ハーフミラー111がこの順に設けられている。
単色光源101から出射された光は、板型ハーフミラー111により光量が略等分されて2つの光路に分離されるようになっている。一方の光路、即ち、板型ハーフミラー111を透過した光の光路に沿って、ミラー112、参照プレート113及び板型ハーフミラー116がこの順に設けられている。また、他方の光路、即ち、板型ハーフミラー111により反射された光の光路上にはミラー114が設けられており、ミラー114により反射された光が板型ハーフミラー116に入射され、前記一方の光路と結合するようになっている。
即ち、板型ハーフミラー116の一方の面には板型ハーフミラー111を透過しミラー112により反射された光が照射されるようになっており、板型ハーフミラー116の他方の面には板型ハーフミラー111により反射されミラー114により反射された光が照射されるようになっている。また、板型ハーフミラー111により分離され板型ハーフミラー116により結合される2つの光路により長方形が形成されており、2つの光路の長さは相互に等しくなっている。そして、前記他方の光路における前記一方の光路の参照プレート113が配置された位置に相当する位置に、被波面測定物115が配置されるようになっている。
また、板型ハーフミラー111を透過し板型ハーフミラー116により反射された光及び板型ハーフミラー111により反射され板型ハーフミラー116を透過した光の光路に沿って、チューブレンズ108、結像レンズ109及びカメラ110がこの順に設けられている。参照プレート113及び被波面測定物115は、共にチューブレンズ108の焦点に位置しており、カメラ110は結像レンズ109の焦点に位置している。
次に、図9に示す従来のマッハツェンダー型干渉計の動作について説明する。集光レンズ104によってコリメートされた光は、板型ハーフミラー111で光量が略等分され、透過光は、ミラー112により反射され、参照プレート113を透過して、板型ハーフミラー116の一方の面に入射し、反射光は、ミラー114により反射され、被波面測定物115を透過して、板型ハーフミラー116の他方の面に入射する。参照プレート113を透過して板型ハーフミラー116により反射された光と、被波面測定物115を透過して板型ハーフミラー116を透過した光は、共にチューブレンズ108及び結像レンズ109により構成される像転送光学系を経て、カメラ110において結像する。このとき、参照プレート113及び被波面測定物115は共にチューブレンズ108の焦点に位置しており、カメラ110は結像レンズ109の焦点に位置しているため、カメラ110により参照プレート113及び被波面測定物115の双方を一緒に重ねて観察できる。このとき、測定の感度(dI/dχ)の位相差χに対する依存性は、上記数式8のようになる。
なお、参照プレート113は、板型ハーフミラー111と板型ハーフミラー116の間に形成された2つの光路の光路長が均衡するように、被波面測定物115を介在させることによる光路長の増減を補正している。ゆえに、単色光源101の時間可干渉性が十分に高い場合、又は別の方法で2つの光路の光路長を均衡させられる場合は、参照プレート113は設けなくても構わない。
田幸敏治、他編「光学的測定ハンドブック」、朝倉書店、初版(1981年7月25日発行)、p.227−230
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る干渉計を示すブロック図であり、図2は図1に示す参照ミラーを示す斜視図であり、図3は図1に示す波面変調器を示す斜視図である。本実施形態に係る干渉計は、波面変調器用の干渉計である。波面変調器とは、入射した光を複数の領域に区画し各領域毎に前記光の波面を変調して出射するものであり、例えば、光束の中央部の位相と周辺部の位相とを相互に半波長分ずらすことによって、この光束の集光性を向上させ、小さなビームスポットを形成できるようにするものである。
このような波面変調器を例えば光ディスクの再生装置に組み込むことにより、再生装置が小さなビームスポットを形成できるようになり、データが高密度で記録された光ディスクから、このデータを読み出すことができるようになる。又は、波面変調を行うことによって、光ディスクに照射するビームスポットを小さくし、データが高密度に記録された光ディスクの読出動作を行い、波面変調を行わないことによって、光ディスクに照射するビームスポットを大きくし、データが低密度に記録された光ディスクから低ノイズで読出動作を行うというように、光ディスクの種類に応じて動作を切り替えることができる。
本実施形態に係る波面変調器用干渉計は、このような波面変調器を含む光学系として設けられており、波面変調器に本来の動作を実行させながら、適宜、波面変調器の動作をモニタするものである。
図1に示すように、本実施形態に係る干渉計1においては、偏光ビームスプリッタ2が設けられている。この偏光ビームスプリッタ2は、p偏光を透過させると共にs偏光を反射するものである。なお、この偏光ビームスプリッタ2には波面変調前の光21が入射されるようになっているが、この光21は、例えば、単色光源(図示せず)から出射され、レンズ、アパーチャ(図示せず)等により平行化された光である。また、偏光ビームスプリッタ2を透過した光の光路に沿って、ファラデーローテータ3、光路分岐結合手段としての立方体型ハーフミラー4、波面変調器5がこの順に設けられている。ファラデーローテータ3は、入射した光の偏光方向を(π/4)回転させるものである。偏光ビームスプリッタ2及びファラデーローテータ3により、ファラデーアイソレータが構成されている。
立方体型ハーフミラー4は、図8に示す立体型ハーフミラー105と同じものであり、2つの二等辺直角三角柱を貼り合わせた立方体の光学部材であり、立方体の各側面から入射した光の略半量を透過させ、残りの略半量を反射することにより、入射した光を略等分するものである。波面変調器5は入射した光の波面を変調して反射するものであり、その詳細な構成は後述する。
また、ファラデーローテータ3を透過し、立方体型ハーフミラー4により反射された光の光路に沿って、シャッタ6及び参照ミラー7がこの順に設けられている。シャッタ6は光を通過させるか遮断するかを切り替えるものであり、例えば、電磁石でオンとオフとを切り替えるファラデーアイソレータである。そして、立方体型ハーフミラー4から出射しシャッタ6を通過した光は、参照ミラー7により反射されて再びシャッタ6を通過して立方体型ハーフミラー4に入射するようになっている。
図2に示すように、参照ミラー7は、アルミニウム、クロム又は金等の金属からなる金属板8の表面に、空気中における光21の波長の(1/8)に相当する深さの溝9が複数本、相互に平行に形成されたものである。また、その表面は機械的な強度及び酸化に対する耐性を向上させるために、誘電体(図示せず)によりコーティングされている。参照ミラー7は溝9が形成された面にシャッタ6を通過した光が照射されるように配置されており、溝9のピッチは、入射した光が複数本の溝に照射されるようなピッチとなっている。なお、金属板8の表面において、溝9間の領域が凸部8aになっており、溝9の底面が凹部8bとなっている。
更に、図1に示すように、波面変調器5により反射され、立方体型ハーフミラー4により反射された光の光路に沿って、チューブレンズ10、結像レンズ11及びカメラ12がこの順に設けられている。そして、波面変調器5及び参照ミラー7は、共にチューブレンズ10の焦点に位置している。このため、干渉計1において、波面変調器5及び参照ミラー7は光学的に相互に等価な位置にある。また、カメラ12は結像レンズ11の焦点に位置している。
即ち、立方体型ハーフミラー4から見ると、各側面に垂直な相互に90°ずつ異なる4つの方向に、夫々、ファラデーローテータ3、参照ミラー7、波面変調器5及びカメラ12が設けられている。そして、立方体型ハーフミラー4は、ファラデーローテータ3から入射された光を参照ミラー7に向かう方向及び波面変調器5に向かう方向に分離して出射すると共に、参照ミラー7及び波面変調器5から入射した光を合流させてファラデーローテータ3に向かう方向及びカメラ12に向かう方向に出射するものである。
図3に示すように、波面変調器5においては、入射される光の光路に沿って、液晶パネル13、ミラー14、遮光板15、光電変換パネル16、像転送光学部17、液晶ライトバルブ18及びレーザダイオード19がこの順に設けられている。レーザダイオード19は、液晶ライトバルブ18に対してレーザ光を照射する光源である。液晶ライトバルブ18は画素回路を備え、変調したい波面に応じた光学画像を表示するものであり、例えば、位相を(−π)とする領域を黒色とし、位相を(+π)とする領域を白色とし、位相を(−π)と(+π)との間の中間の値とする領域を灰色とする白黒画像を表示するものであり、例えば、入射された光束の中央部と周辺部とで位相を半波長分異ならせる場合は、光束の中央部に相当する領域に黒色の円を表示し、周辺部に相当する領域に白色の環を表示するものである。
像転送光学部17は例えば複数のレンズからなり、液晶ライトバルブ18に表示された光学画像を光電変換パネル16において結像するものである。光電変換パネル16は、像転送光学部17により結像された光学画像を電荷画像に変換するものである。また、液晶パネル13は、2枚のガラス基板(図示せず)及びその間に配置された液晶層(図示せず)を備えており、画素回路は設けられておらず、光電変換パネル16により形成された電荷画像に応じて、液晶層の液晶分子が回転し、光学画像を形成するようになっている。更に、遮光板15は、レーザダイオード19から出射し液晶ライトバルブ18を透過して光電変換パネル16に照射された光を吸収し、この光が液晶パネル13側に漏洩することを防止するものである。ミラー14は、液晶パネル13を透過した光を液晶パネル13に向けて反射するものである。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る干渉計の動作について説明する。先ず、通常の波面変調動作について説明する。通常の波面変調動作時には、図1に示すシャッタ6を閉じておく。また、図3に示す液晶ライトバルブ18に変調したい波面に応じた画像を表示させ、レーザダイオード19にレーザ光を出射させる。これにより、レーザダイオード19から出射されたレーザ光が、液晶ライトバルブ18を透過することにより光学画像が付加され、像転送光学部17によりこの光学画像が光電変換パネル16において結像する。なお、光電変換パネル16を透過した光は、遮光板15に到達して吸収される。そして、光電変換パネル16がこの光学画像を電荷画像に変換し、この電荷画像に起因する電位により、液晶パネル13の液晶分子が回転し、光学画像を形成する。
一方、図1に示すように、外部から干渉計1に入射した波面偏光前の光21が、偏光ビームスプリッタ2にp偏光として入射されると、この光21は偏光ビームスプリッタ2を透過し、ファラデーローテータ3を透過することによりその偏光方向が(π/4)回転し、立方体型ハーフミラー4に入射する。そして、この光21は、立方体型ハーフミラー4により光量が略等分され、光の略半量は立方体型ハーフミラー4を透過して波面変調器5に向かい、残りの略半量は立方体型ハーフミラー4により反射されてシャッタ6に向かう。このとき、シャッタ6は閉じているため、立方体型ハーフミラー4により反射された光は、シャッタ6により遮断される。
一方、立方体型ハーフミラー4を透過して波面変調器5に入射した光21は、図3に示す液晶パネル13を透過し、ミラー14により反射されて再び液晶パネル13を透過し、立方体型ハーフミラー4に向かう。このとき、光21は液晶パネル13の液晶分子の角度に応じて異なる屈折率を感受する。これにより、波面変調前の光21は、液晶ライトバルブ18に表示された画像に応じて変調され、波面変調後の光22となる。
図1に示すように、波面変調器5において反射された波面変調後の光22は、再び立方体型ハーフミラー4に入射し、立方体型ハーフミラー4によって光量が略等分される。即ち、光22の略半量は立方体型ハーフミラー4を透過してファラデーローテータ3に向かい、残りの略半量は立方体型ハーフミラー4により反射されてチューブレンズ10に向かう。チューブレンズ10に向かった光は、チューブレンズ10及び結像レンズ11により集光されてカメラ12に到達する。このとき、波面変調器5はチューブレンズ10の焦点に位置し、カメラ12は結像レンズ11の焦点に位置するため、波面変調器5の像はカメラ12において結像する。
一方、立方体型ハーフミラー4からファラデーローテータ3に向かった光は、ファラデーローテータ3によってその偏光方向が(π/4)だけ回転し、即ち、往復で(π/2)だけ回転し、偏光ビームスプリッタ2に対してs偏光として入射する。このため、この光は偏光ビームスプリッタ2により反射され、波面変調後の光22として干渉計1から出射する。この波面変調後の光22は、例えば、光ディスクの再生等に利用される。
次に、波面変調器をモニタするための動作について説明する。モニタ動作時においては、シャッタ6を開く。これにより、上述の通常の波面変調動作に加えて、以下の動作が発生する。即ち、偏光ビームスプリッタ2及びファラデーローテータ3を透過し、立方体型ハーフミラー4により反射された波面変調前の光21が、シャッタ6を通過して参照ミラー7に到達する。このとき、図2に示すように、参照ミラー7の凹部8bは、凸部8aよりも空気中における光21の波長の(1/8)に相当する長さだけ凹んだ位置にあるため、凸部8aにおいて反射された光と、凹部8bにおいて反射された光との間には、往復で光の波長の(1/4)の光路差が生じる。この結果、参照ミラー7の凸部8a及び凹部8bにおいて反射された光は、その光軸に垂直な面において隣接する領域間で位相が(π/2)異なる複数の領域を備えた光となる。
参照ミラー7において反射された光は、再びシャッタ6を通過し、立方体型ハーフミラー4に入射する。そして、立方体型ハーフミラー4により略等分され、光の略半量は立方体型ハーフミラー4により反射されて、ファラデーローテータ3及び偏光ビームスプリッタ2を透過して、波面変調後の光22と共に干渉計1から出射する。一方、光の残りの略半量は立方体型ハーフミラー4を透過し、チューブレンズ10及び結像レンズ11を介して、カメラ12に到達する。このとき、参照ミラー7はチューブレンズ10の焦点に位置し、カメラ12は結像レンズ11の焦点に位置するため、参照ミラー7の像はカメラ12において結像する。
このため、カメラ12においては、波面変調器5及び参照ミラー7の双方の像が結像することになる。これにより、波面変調器5により反射された光と、参照ミラー7により反射された光との間で干渉縞が発生し、この干渉縞を観察することによって、波面変調器5の波面を測定し、波面変調器5の動作をモニタすることができる。なお、上述の通常動作時においては、カメラ12には参照ミラー7により反射された光は到達しないため、干渉縞は発生しない。
図4(a)は従来の干渉計により観察される干渉縞を示す平面図、及び縦軸にA−A’線における位置をとり、横軸に光量をとって、干渉縞の光量分布を示す模式的グラフ図であり、(b)は本実施形態の干渉計により観察される干渉縞を示す平面図、並びに縦軸にB−B’線における位置をとり、横軸に光量をとって、干渉縞の光量分布を示す模式的グラフ図及び縦軸にC−C’線における位置をとり、横軸に光量をとって、干渉縞の光量分布を示す模式的グラフ図である。図4(a)及び(b)に示す干渉縞は、波面変調器及び参照ミラーにおいて同じ波面が形成された場合の干渉縞である。なお、図4(a)及び(b)においては、図示を簡略化するため、波面が縦方向にのみ歪み横方向に歪んでいない例を示しており、相対的に暗い領域を図示の左上から右下に延びる斜線で表しており、相対的に明るい領域を図示の左下から右上に延びる斜線で表している。
発明が解決しようとする課題の項において説明したように、これらの斜線で表した領域23においては、波面変調器からの光と参照ミラーからの光との位相差が0又はπに近い値となっているため、波面を測定することができない。このため、従来の干渉計においては、図4(a)に示すように、例えば領域24は全て領域23に含まれてしまうため、波面の測定が全くできない。
これに対して、本実施形態においては、参照ミラー7(図2参照)により反射された光においては、その光軸に垂直な面において隣接する領域間で位相が(π/2)異なる複数の領域が形成されているため、図4(b)に示すように、カメラ12によって観察される干渉縞においても、参照ミラー7からの反射光のうち、第1の位相をもつ領域によって形成された領域25aと、この第1の位相と(π/2)だけ異なる第2の位相をもつ領域によって形成された領域25bとが、交互に配列されることになる。このため、波面を測定することができない領域23は、領域25aと領域25bとの境界線により分断される。従って、領域25a及び25bを、波面の歪の周期の半分以下の周期で分割すれば、波面変調器5のどの領域についても、領域25a及び25bのうち少なくとも一方の領域においては、波面を測定することができる。例えば、領域24についても、その一部の領域において波面を測定することができる。そして、シャノンの情報定理(Shannon's sampling theorem)により、一部の領域において波面を測定することができれば、これらの領域の波面からこれらの領域間の領域の波面を補間することにより、波面変調器の全領域の波面を測定することができる。なお、図4(b)においては、図を簡略化するために、領域25a及び25bの幅を広く描いているが、領域25a及び25bを十分に狭く形成すれば、波面変調器の全領域について、波面を精度良く測定できる。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態においては、参照ミラー7に溝9を形成することにより、参照ミラー7の反射光を、その光軸に垂直な面において隣接する領域間で位相が(π/2)異なる複数の領域を備えた光とすることができる。これにより、波面変調器5のどの領域についても、いずれかの領域により干渉縞を形成することができ、波面を測定することができる。この結果、波面変調器5の全領域の波面を一度に測定することができる。このため、特に、波面変調器5の経時変化を測定することができ、波面変調器5の動作をモニタすることができる。
また、本実施形態においては、シャッタ6が設けられており、波面変調器の通常動作時、即ち、波面変調器の動作モニタを行わない場合には、シャッタ6を閉じている。これにより、波面変調器の通常動作時には、参照ミラー7を波面変調のための光学系から光学的に切り離すことにより、参照ミラー7の反射光が波面変調後の光22に混入することを防止し、波面変調後の光22として、高品質な光を出力することができる。
更に、本実施形態においては、液晶ライトバルブ18が表示した光学画像を、光電変換パネル16により一旦電荷画像に変換し、それを液晶パネル13において再び光学画像に変換し、この光学画像を使用して波面を変調している。これにより、液晶ライトバルブ18の回路パターンが、波面変調後の光22に対して影響を及ぼすことを防止できる。
なお、本実施形態においては、波面変調器5を上述の如く構成し、液晶ライトバルブ18が表示した光学画像を一旦電荷画像に変換した後、再度光学画像に変換する例を示したが、本発明はこれに限定されず、液晶ライトバルブの後方にミラーのみを設けて波面変調器を構成してもよい。これにより、波面変調後の光が液晶ライトバルブの回路パターンの影響を受けてしまうものの、波面変調器の構成を簡略化することができる。
また、本実施形態においては、シャッタ6を電磁石でオンとオフとを切り替えるファラデーアイソレータにより構成する例を示したが、本発明はこれに限定されず、シャッタは、電磁石でオンとオフとを切り替えるファラデーローテータでもよく、また、光路に遮光板を介在させる機械式のシャッタでもよい。但し、電磁石式のシャッタを使用すれば、機械式のシャッタよりも高速でオンとオフとを切り替えることができる。なお、シャッタとしてファラデーローテータを使用する場合は、通常の波面変調動作時には偏光方向を往復で(π/2)回転させ、波面変調器の波面を測定する際には偏光方向を回転させないで使用する。
更に、波面変調器5及び参照ミラー7の位置は、相互に入れ替えてもよい。更にまた、本実施形態においては、波面変調前の光21が偏光ビームスプリッタ2に対してp偏光で入射し、この光がファラデーローテータ3を往復することによりその偏光方向が(π/2)回転し、波面変調後の光22が偏光ビームスプリッタ2に対してs偏光で入射する例を示したが、本発明はこれに限定されず、往路の光をs偏光として偏光ビームスプリッタ2により反射させ、復路の光をp偏光として偏光ビームスプリッタ2を透過させてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5(a)及び(b)は本実施形態における参照ミラーを示す側面図である。本実施形態に係る干渉計は、前述の第1の実施形態に係る干渉計と比較して、参照ミラーが異なっている。即ち、前述の第1の実施形態における参照ミラー7(図1参照)の替わりに、図5(a)に示す参照ミラー27が設けられている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
図5(a)に示すように、本実施形態における参照ミラー27においては、第1の誘電体からなる基板28が設けられている。基板28の表面上の領域は、領域29a及び29bに分割されており、夫々複数の領域29a及び29bが、一方向に沿って交互に配列されている。そして、領域29aにおいては、誘電体層30及び31が交互に積層されている。誘電体層30は、その屈折率が前述の第1の誘電体の屈折率とは異なる第2の誘電体からなり、その厚さが波面変調前の光21(図1参照)の誘電体層30中における波長の(1/2)に相当する厚さとなっている。また、誘電体層31は、その屈折率が前述の第1及び第2の誘電体の屈折率とは異なる第3の誘電体からなり、その厚さが波面変調前の光21(図1参照)の誘電体層31中における波長の(1/2)に相当する厚さとなっている。
また、領域29bにおいては、誘電体層32乃至37が基板28側からこの順に繰り返し積層されている。誘電体層32は前述の第2の誘電体からなり、その厚さは波面変調前の光21(図1参照)の誘電体層32中における波長の(1/8)に相当する厚さとなっている。誘電体層33は前述の第3の誘電体からなり、その厚さは波面変調前の光21(図1参照)の誘電体層33中における波長の(1/8)に相当する厚さとなっている。誘電体層34は前述の第2の誘電体からなり、その厚さは波面変調前の光21(図1参照)の誘電体層34中における波長の(1/4)に相当する厚さとなっている。
また、誘電体層34上には誘電体層35乃至37が設けられている。誘電体層35は前述の第3の誘電体からなり、その厚さは波面変調前の光21の誘電体層35中における波長の(1/8)に相当する厚さとなっている。誘電体層36は前述の第2の誘電体からなり、その厚さは波面変調前の光21の誘電体層36中における波長の(1/8)に相当する厚さとなっている。誘電体層37は前述の第3の誘電体からなり、その厚さは波面変調前の光21の誘電体層37中における波長の(1/4)に相当する厚さとなっている。従って、領域29aにおける各1層の誘電体層30及び31の合計の膜厚は、領域29bにおける各1層の誘電体層32乃至37の合計の膜厚と等しく、光21の誘電体中の1波長に略相当する厚さとなっている。
次に、本実施形態の動作について説明する。基板28側から参照ミラー27に入射された光は、異なる誘電体層同士が接する界面で生じたミクロな反射光が積算されてマクロな反射光となる。往復で層中の波長に相当する光路長を経たミクロな反射光同士は強め合い、往復で層中の波長の(1/2)に相当する光路長を経たミクロな反射光同士は弱め合う。ゆえに、何層かの光路長を足し合わせた際に、その往復の光路長が層中の波長に相当する層の組を考えると、その組のミクロな反射光の積算がマクロな反射光を形成すると考えて構わない。
領域29aにおいては、誘電体層30と誘電体層31が各々単層で、往復の光路長が層中の波長に相当する。ゆえに、各界面における反射光同士が強め合い、誘電体層を積み重ねれば積み重ねるほど、反射率が指数関数的に増加し、誘電体層30及び31の組を何組か積層すると、全体の反射率は略100%になる。
領域29bにおいては、誘電体層32乃至34の3層で1組の積層膜を形成し、誘電体層35乃至37の3層で1組の積層膜を形成し、各積層膜中を往復する光路は層中の波長に相当する。ゆえに、積層膜間の界面のミクロな反射光の積算がマクロな反射光を形成する。誘電体層34と誘電体層35との界面38と、誘電体層35と誘電体層36との界面39と、誘電体層36と誘電体層37との界面40とに注目すると、界面39の反射光は、界面38の反射光に対して、往復で層中の波長の(1/4)に相当する光路長の差が生じる。また、界面40の反射光は、界面38の反射光に対して、往復で層中の波長の(1/2)に相当する光路長の差が生じる。ゆえに、界面38の反射光と界面40の反射光とは相殺され、界面39の反射光のみがマクロな反射光として残る。また、誘電体層37とその上層の誘電体層32との界面の反射光と、誘電体層33と誘電体層34との界面の反射光も相殺される。この結果、領域29bにおいても、層を積み重ねれば積み重ねるほど、反射率が指数関数的に増加し、誘電体層32乃至37の組を何組か積層すると、全体の反射率は略100%になる。
また、領域29bにおける界面39における反射光は、領域29aにおける誘電体層30と誘電体層31との界面における反射光に対して、往復で層中の波長の(1/4)に相当する光路差が生じる。従って、領域29bにおける反射光の位相は、領域29aに対する反射光の位相に対して、(π/2)だけずれる。
なお、各界面における反射率をRとすると、図5(b)に示すように、1つの誘電体層内でk回反射する光については、その合計の反射率はRkとなる。通常、各界面における反射率Rは数%程度であるため、反射回数kが3以上である場合は、合計の反射率Rkは各界面における反射率Rに比べて無視することができる。
このように、本実施形態においては、誘電体のみにより形成した参照ミラーを使用して、その光軸に垂直な面において隣接する領域間で位相が(π/2)異なる複数の領域を備えた反射光を得ることができる。これにより、前述の第1の実施形態における金属からなる参照ミラーと比較して、反射率が高く、光に対する耐久性が高い参照ミラーを得ることができる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図6は本実施形態に係る干渉計を示すブロック図であり、図7は図6に示す参照プレートを示す斜視図である。本実施形態に係る干渉計も、前述の第1の実施形態と同様に、例えば光ディスクの再生装置に使用される波面変調器用の干渉計である。
図6に示すように、本実施形態に係る干渉計51においては、波面変調前の光21が入射される位置に、光路分岐部材としての板型ハーフミラー52が設けられている。板型ハーフミラー52は、入射された波面変調前の光21を略等分し、2つの光路に分岐するものである。一方の光路、即ち、板型ハーフミラー52を透過した光の光路に沿って、シャッタ53、ミラー54、参照プレート55、光路結合部材としての板型ハーフミラー56がこの順に設けられている。シャッタ53は、電磁石によりオンとオフとを切り替えるファラデーアイソレータである。また、他方の光路、即ち、板型ハーフミラー52により反射された光の光路に沿って、ミラー57及び波面変調器58がこの順に設けられており、ミラー57により反射され波面変調器58を透過した光が板型ハーフミラー56に入射され、この他方の光路が前記一方の光路と結合するようになっている。波面変調器58は液晶ライトバルブにより構成されている。
即ち、板型ハーフミラー56の一方の面には、板型ハーフミラー52を透過し、シャッタ53を通過し、ミラー54により反射され、参照プレート55を透過した光が照射されるようになっており、板型ハーフミラー56の他方の面には、板型ハーフミラー52により反射され、ミラー57により反射され、波面変調器58を透過した光が照射されるようになっている。また、板型ハーフミラー52により分岐され板型ハーフミラー56により結合される2つの光路により長方形が形成されており、2つの光路の長さは相互に等しくなっている。
また、板型ハーフミラー52を透過し板型ハーフミラー56により反射された光及び板型ハーフミラー52により反射され板型ハーフミラー56を透過した光の光路に沿って、チューブレンズ59、結像レンズ60及びカメラ61がこの順に設けられている。参照プレート55及び被波面測定物58は、共にチューブレンズ59の焦点に位置している。従って、参照プレート55及び被波面測定物58は、光学的に相互に等価な位置に配置されている。また、カメラ61は結像レンズ60の焦点に位置している。
図7に示すように、参照プレート55においては、屈折率がnのガラスからなる透明基板62の表面に、複数本の溝63が相互に平行に形成されている。溝63の深さdは、空気中における光21の波長をλとすると、d=λ/{4×(n−1)}により表すことができる。参照プレート55は溝63が形成された面にミラー54により反射された光が照射されるように配置されており、溝63のピッチは、入射した光が複数本の溝に照射されるようなピッチとなっている。なお、透明基板62の表面において、溝63間の領域が凸部62aになっており、溝63の底面が凹部62bとなっている。
次に上述の如く構成された本実施形態に係る干渉計の動作について説明する。先ず、通常の波面変調動作について、図6を参照して説明する。通常の波面変調動作時にはシャッタ53を閉じておく。また、波面変調器58の液晶ライトバルブ(図示せず)に変調したい波面に応じた画像を表示させる。そして、図6に示すように、波面変調前の光21が板型ハーフミラー52に入射すると、この光21は板型ハーフミラー52により光量が略等分され、略半量の光は、板型ハーフミラー52を透過して、シャッタ53に到達する。このとき、シャッタ53は閉じているため、シャッタ53に到達した光はシャッタ53により遮断される。そして、残りの略半量の光は、板型ハーフミラー52により反射されてミラー57に向かう。
ミラー57に向かった光は、ミラー57によって反射され、波面変調器58に到達する。このとき、波面変調器58には画像が表示されているため、この光は波面変調器58を透過することによって、画像に応じて波面が変調される。そして、波面変調器58を透過した光は、板型ハーフミラー56に到達し、略半量が板型ハーフミラー56によって反射され、波面変調後の光22として干渉計51から出射され、残りの略半量が板型ハーフミラー56を透過して、チューブレスレンズ59、結像レンズ60により集光されて、カメラ61に到達する。このとき、波面変調器58はチューブレンズ59の焦点に位置し、カメラ61は結像レンズ60の焦点に位置するため、波面変調器58の像はカメラ61において結像する。なお、板型ハーフミラー56によって反射された波面変調後の光22は、例えば、光ディスクの再生等に利用される。
次に、波面変調器をモニタするための動作について説明する。モニタ動作時においては、シャッタ53を開く。これにより、上述の通常の波面変調動作に加えて、以下の動作が発生する。即ち、板型ハーフミラー52を透過した波面変調前の光21が、シャッタ53を通過し、ミラー54により反射され、参照プレート55に到達する。このとき、上述の如く、図7に示す参照プレート55の凹部62bの深さdは、d=λ/{4×(n−1)}となっているため、凸部62aを透過した光と、凹部62bを透過した光との間には、光の波長の(1/4)の光路差が生じる。この結果、参照プレート55の凸部62a及び凹部62bを透過した光は、位相が相互に(π/2)だけ異なる。
参照プレート55を透過した光は、板型ハーフミラー56に入射する。そして、板型ハーフミラー56により略等分され、光の略半量は板型ハーフミラー56を透過して、波面変調後の光22と共に干渉計51から出射する。一方、光の残りの略半量は板型ハーフミラー56により反射されて、チューブレンズ59及び結像レンズ60を介して、カメラ61に到達する。このとき、参照プレート55はチューブレンズ59の焦点に位置し、カメラ61は結像レンズ60の焦点に位置するため、参照プレート55の像はカメラ61において結像する。このため、カメラ61においては、波面変調器58及び参照プレート55の双方の像が結像することになる。これにより、波面変調器58を透過した光と、参照プレート55を透過した光との間で干渉縞が発生し、この干渉縞を観察することによって、波面変調器58の波面を測定し、波面変調器58の動作をモニタすることができる。なお、上述の通常動作時においては、カメラ61には参照プレート55を透過した光は到達しないため、干渉縞は発生しない。
そして、本実施形態においては、参照プレート55を透過した光が、その光軸に垂直な面において隣接する領域間で位相が(π/2)異なる複数の領域を備えるため、カメラ61によって観察される干渉縞においても、参照プレート55の透過光のうち、位相が相互に異なる領域によって形成された領域が、交互に配列されることになる。このため、これらの領域を波面の歪の周期の半分以下の周期で配列すれば、波面変調器58のどの領域についても、波面を測定することができる。この原理は、前述の第1の実施形態において説明した原理と同様である。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態においては、参照プレート55に溝63を形成することにより、参照プレート55の透過光を、その光軸に垂直な面において、位相が相互に(π/2)異なる2種類の領域が交互に配列された光とすることができる。これにより、波面変調器58のどの領域についても、いずれかの位相の領域により干渉縞を形成することができ、波面を測定することができる。この結果、波面変調器58の全領域の波面を一度に測定することができる。これにより、波面変調器58の経時変化を測定することができ、波面変調器58の動作をモニタすることができる。
また、本実施形態においては、シャッタ53が設けられており、波面変調器の通常動作時、即ち、波面変調器の動作モニタを行わない場合には、シャッタ53を閉じることにより、参照プレート55の透過光が波面変調後の光22に混入することを防止することができる。これにより、波面変調後の光22として、高品質な光を出力することができる。
なお、本実施形態においては、シャッタ53を電磁石でオンとオフとを切り替えるファラデーアイソレータにより構成する例を示したが、本発明はこれに限定されず、シャッタは、電磁石でオンとオフとを切り替えるファラデーローテータでもよく、また、光路に遮光板を介在させる機械式のシャッタでもよい。但し、電磁石式のシャッタを使用すれば、機械式のシャッタよりも高速でオンとオフとを切り替えることができる。
また、上述の各実施形態においては、被波面測定物が波面変調器であり、この波面変調器の動作をモニタする例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば被波面測定物がレンズ等の光学素子であり、この光学素子の検査を行ってもよい。また、上述の各実施形態においては、参照ミラー又は参照プレートから出射した光が、その光軸に垂直な面において、位相が(π/2)異なる2種類の領域が交互に配列された光である例を示したが、領域間の位相差は必ずしも(π/2)には限定されず、また、位相の種類は3種類以上であってもよい。