JP4569129B2 - リチウム二次電池用非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
R23は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基、又は該アルキレン基とエーテル結合とが結合した二価の基を表わす。
但し、R 11、R12、R21、R22、R 23 の何れも、硫黄原子、或いは酸素原子を有する場合の酸素原子に隣接する炭素原子は不飽和結合を有さないものとする。
xは、1を表わす。
nは、1〜5の整数を表わす。nが2以上の場合、複数のR23は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。)
また、本発明の別の要旨は、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極及び正極と、電解質が非水溶媒に溶解された非水系電解液とを備えたリチウム二次電池において、該非水系電解液が、上述のリチウム二次電池用非水系電解液であることを特徴とする、リチウム二次電池に存する。
本発明のリチウム二次電池用非水系電解液(以下、適宜「本発明の電解液」等と略称する。)は、電解質を非水溶媒に溶解させた非水系電解液に、以下の一般式(I)で表わされるスルフィド化合物(以下、適宜「本発明におけるスルフィド化合物」等と略称する。)、及び、以下の一般式(II)で表わされるアミン化合物(以下、適宜「本発明におけるアミン化合物」等と略称する。)からなる群のうち、少なくとも一種の化合物を含有させたことを特徴とする。
炭化水素基としては、飽和又は不飽和、脂肪族又は芳香族のいずれでもよく、脂肪族炭化水素の場合、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。また、これらの組み合わせでも良い。炭化水素基の具体例については後述する。
また、複素環の種類も特に制限されない。具体的には、ヘテロ原子の種類、環の数や各環の員数等、何れも限定されるものではないが、窒素,酸素,硫黄などをヘテロ原子として含む5又は6員環の単環、或いは2又は3環からなる縮合環が好ましい。具体例としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チオオキサゾール、チオイソオキサゾール、1,3,4−チアジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンツイミダゾール、ベンゾチアゾール、プリン、キノリン、イソキノリンなどが挙げられる。
炭化水素基及び複素環としては、上に説明したものと同様のものが挙げられる。
更に、R1及びR2は、互いに結合して環を形成していてもよい。
本発明におけるスルフィド化合物の詳しい作用メカニズムは定かではないが、スルフィド化合物の硫黄原子が正極上で電気化学的に酸化され、発生したラジカルにR1の不飽和結合が付加することで重合反応が開始され、正極上に安定な被膜が生成するものと考えられる。
R1が有する不飽和結合の数は特に制限されず、一つでも複数でも良い。また、不飽和結合の位置も特に制限されないが、推測される上述の作用メカニズムより、R1の末端に不飽和結合が存在することが好ましい。
なお、勿論、R1に加えてR2が不飽和結合を有していても良い。この場合、R1の有する不飽和結合に加えて、R2の有する不飽和結合が上述の重合反応に関与するものと考えられる。
なお、本発明におけるスルフィド化合物全体の硫黄原子の数は特に制限されないが、製造時の原料の入手性を考えると、通常6以下、好ましくは4以下の範囲である。
mは、通常3以上、また、通常5以下、好ましくは4以下の整数を表わす。mの数に応じて、R31は3〜5個存在することになるが、これらは互いに同一でもよく、異なっていても良い。
xは、1又は2を表わす。
・一般式(Ia)・・・R11、R12
・一般式(Ib)・・・R21、R22
・一般式(Ic)・・・(3〜5個の)R31
炭化水素基及び複素環としては、式(I)のスルフィド化合物について上に説明したものと同様のものが用いられる。
R3としては、炭化水素基単独からなる場合と、炭化水素基がエーテル結合及び/又は複素環と結合してなる場合とが挙げられるが、何れであっても良い。また、後者の場合には、単一の炭化水素基がエーテル結合及び/又は複素環と結合した形態と、複数の炭化水素基がエーテル結合及び/又は複素環により連結された形態とが考えられるが、何れであっても良い。
炭化水素基及び複素環としては、式(I)のスルフィド化合物について上に説明したものと同様のものが挙げられる。
R4及びR5としては、炭化水素基単独からなる場合と、炭化水素基がスルフィド結合、ジスルフィド結合、アミノ基、エーテル結合及び複素環のうち、一種又は二種以上と結合してなる場合とが挙げられるが、何れであっても良い。また、後者の場合には、単一の炭化水素基がスルフィド結合、ジスルフィド結合、アミノ基、エーテル結合又は複素環と結合した形態と、複数の炭化水素基が一種以上のスルフィド結合、ジスルフィド結合、アミノ基、エーテル結合及び/又は複素環により連結された形態とが考えられるが、何れであっても良い。
更に、R3、R4及びR5のうち2つ又は3つが、互いに結合して環を形成していてもよい。
本発明におけるアミン化合物の詳しい作用メカニズムは定かではないが、アミン化合物の硫黄原子が正極上で電気化学的に酸化され、発生したラジカルにこのR3の不飽和結合が付加することで重合反応が開始され、正極上に安定な被膜が生成するものと考えられる。
R3が有する不飽和結合の数は特に制限されず、一つでも複数でも良い。また、不飽和結合の位置も特に制限されないが、推測される上述の作用メカニズムより、R3の末端に不飽和結合が存在することが好ましい。
なお、勿論、R3に加えてR4及び/又はR5が不飽和結合を有していても良い。この場合、R3の有する不飽和結合に加えてR4及び/又はR5の有する不飽和結合が上述の重合反応に関与するものと考えられる。
rは、通常3以上、また、通常5以下、好ましくは4以下の整数を表わす。rの数に応じて、R61及びR62はそれぞれ3〜5個ずつ存在することになるが、これらは互いに同一でもよく、異なっていても良い。
・一般式(IIa)・・・R41、R42、R43
・一般式(IIb)・・・R51、R52、R53、(1〜3個の)R54
・一般式(IIc)・・・(3〜5個の)R61、(3〜5個の)R62
2級アミンでは、アリル(メチル)アミン、アリル(エチル)アミン、アリル(プロピル)アミン、アリル(ブチル)アミン、ジアリルアミンが挙げられる。
脂肪族3級アミンでは、アリル(ジメチル)アミン、アリル(ジエチル)アミン、アリル(ジプロピル)アミン、アリル(ジブチル)アミン、ジアリル(メチル)アミン、ジアリル(エチル)アミン、ジアリル(プロピル)アミン、トリアリルアミン、トリ(2−ブテニル)アミン、トリ(3−ブテニル)アミンなどが挙げられる。
環状3級アミンでは、N−アリルピロリジン、N−アリルピペリジン、N−アリルモルホリンなどが挙げられる。
芳香環または複素環をもつ3級アミンでは、アリル(フェニル)アミン、アリル(ジフェニル)アミン、ジアリル(フェニル)アミン、アリル(ベンジル)アミン、アリル(ジベンジル)アミン、ジアリル(ベンジル)アミン、N,N−ジアリル−4−アミノピリジンなどが挙げられる。
エーテル構造を含む3級アミンでは、N,N−ジアリル−4−メトキシアニリン、N,N−ジアリル−3−メトキシアニリン、N,N−ジアリル−2−メトキシアニリン、ジアリル(2−メトキシエチル)アミン、ジ(2−メトキシエチル)アリルアミン、ジアリル(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)アミン、ジ(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)アリルアミンなどが挙げられる。
スルフィド構造を含む3級アミンでは、N,N−ジメチル−2−アリルチオアニリン、N,N−ジアリル−2−メチルチオアニリン、N,N−ジメチル−4−アリルチオアニリン、N,N−ジアリル−4−メチルチオアニリン、N,N−ジアリル−2−アリルチオアニリン、N,N−ジアリル−4−アリルチオアニリン、(N,N−ジアリルアミノエチル)メチルスルフィド、(N,N−ジメチルアミノエチル)アリルスルフィド、(N,N−ジフェニルアミノエチル)アリルスルフィド、(N,N−ジアリルアミノエチル)アリルスルフィドなどが挙げられる。
N−アリルピロリジン、N−アリルピペリジン、N−アリルモルホリンなどの環状3級アミン;アリル(フェニル)アミン、アリル(ジフェニル)アミン、ジアリル(フェニル)アミン、アリル(ベンジル)アミン、アリル(ジベンジル)アミン、ジアリル(ベンジル)アミン、N,N−ジアリル−4−アミノピリジンなどの芳香族又は複素環をもつ3級アミン;N,N−ジアリル−4−メトキシアニリン、N,N−ジアリル−3−メトキシアニリン、N,N−ジアリル−2−メトキシアニリン、ジアリル(2−メトキシエチル)アミン、ジ(2−メトキシエチル)アリルアミン、ジアリル(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)アミン、ジ(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)アリルアミンなどのエーテル構造を含む3級アミン;N,N−ジメチル−2−アリルチオアニリン、N,N−ジアリル−2−メチルチオアニリン、N,N−ジメチル−4−アリルチオアニリン、N,N−ジアリル−4−メチルチオアニリン、N,N−ジアリル−2−アリルチオアニリン、N,N−ジアリル−4−アリルチオアニリン、(N,N−ジアリルアミノエチル)メチルスルフィド、(N,N−ジメチルアミノエチル)アリルスルフィド、(N,N−ジフェニルアミノエチル)アリルスルフィド、(N,N−ジアリルアミノエチル)アリルスルフィドなどのスルフィド構造を含む3級アミン、などの3級アミンが好ましい。
本発明におけるスルフィド化合物及びアミン化合物は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。具体的には、本発明におけるスルフィド化合物を1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いる場合;本発明におけるアミン化合物を1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いる場合;本発明におけるスルフィド化合物1種又は2種以上と、本発明におけるアミン化合物1種又は2種以上とを組み合わせて用いる場合が考えられるが,何れも可能である。2種以上を組み合わせて用いる場合、その比率も特に制限されない。
本発明で用いる非水溶媒の種類に特に制限はなく、任意の非水溶媒を用いることができる。具体例を挙げると、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の、炭素数が通常3以上、通常10以下、好ましくは5以下の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の、炭素数が通常3以上、通常10以下、好ましくは5以下の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常10以下、好ましくは8以下の環状エステル;酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは5以下の鎖状エステル;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常10以下、好ましくは8以下の環状エーテル;ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常10以下、好ましくは8以下の鎖状エーテル;及び、スルフォラン、ジエチルスルホン等の含硫黄有機溶媒などが挙げられる。これらの非水溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
(1)環状カーボネートと鎖状カーボネートとの組み合わせ
(2)環状カーボネートと環状エステルとの組み合わせ
(3)環状エステルと鎖状エステルとの組み合わせ
(4)環状カーボネートと環状カーボネートとの組み合わせ
特に、上記(1)〜(4)の非水溶媒の組み合わせが、非水溶媒全体の70体積%以上を占めるように混合した非水溶媒が、充放電特性、電池寿命などの電池性能全般を高める観点から好ましい。
環状カーボネートの具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。中でも、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが好ましい。これらは、1種のみを単独で使用しても良く、複数種を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
鎖状カーボネートの具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートが好ましい。これらは1種のみを単独で使用しても良く、複数種を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
環状エステルの具体例としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。中でも、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンが好ましい。これらは、1種のみを単独で使用しても良く、複数種を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
鎖状エステルの具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチルなどが挙げられる。中でも、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルが好ましい。これらは、1種のみを単独で使用しても良く、複数種を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
電解質としては、リチウム塩であれば特に限定は無く、様々なものを使用することができる。通常使用されるものの具体例としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiSbF6などの無機リチウム塩、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(CF3SO2)3等の含フッ素有機リチウム塩、Li[PF5(CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF3)3]、Li[PF3(CF2CF3)3]、Li[PF5(CF2CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF2CF3)3]等のフルオロアルキルフッ化リン酸リチウム,Li[BF3(CF3)]、Li[BF3(CF2CF3)]、Li[BF2(CF2CF3)2]等のフルオロアルキルホウ酸リチウム、LiB(CF3COO)4、LiB(OCOCF2COO)2、LiB(OCOC2H4COO)2、LiB(C2O4)などが挙げられる。これらのリチウム塩は、1種のみを単独で使用しても良く、複数種を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。中でもLiPF6、LiBF4を用いるのが好ましい。
本発明の非水系電解液には、更に、電極の表面に被膜を形成して、電極における溶媒の分解を阻止すると考えられている、他の被膜形成剤を混合して用いても良い。特に、上述した本発明におけるスルフィド化合物及びアミン化合物が、正極での溶媒の酸化分解を防止する作用を有することから、負極に対してこの様な作用を有する被膜形成剤(負極被膜形成剤)を併用してもよい。
本発明の非水系電解液には、上記のスルフィド化合物及び/又はアミン化合物、非水溶媒及び電解質、並びに必要に応じて用いられる負極被膜形成剤の他にも、種々の添加剤、例えば界面活性剤、過充電防止剤、脱水剤、脱酸剤等を混合して用いても良い。
次に、上述の本発明の非水系電解液を用いたリチウム二次電池(本発明のリチウム二次電池)について説明する。
負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金(スズ、ケイ素、鉛、ゲルマニウム、アルミニウム等またこれら金属のスパッタリング蒸着電極、真空蒸着電極も含む)、又はリチウムを吸蔵及び放出し得る材料を含むものであれば、その種類は特に限定されないが、具体例としては、例えば様々な熱分解条件での有機物の熱分解物や、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素材料、金属酸化物材料、更には種々のリチウム合金が挙げられる。中でも好適には、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチの高温熱処理によって製造された人造黒鉛及び精製天然黒鉛、或いはこれらの黒鉛にピッチを含む種々の表面処理を施した黒鉛材料が主として使用される。また、更なる高エネルギー密度化を求められるリチウム二次電池の場合には、リチウム合金を材料として用いた負極が、一般に黒鉛に代表される炭素材料に比較し、単位重量当たりの容量が大きいので好適である。
また、学振法によるX線回折で求めた黒鉛材料の結晶子サイズ(Lc)は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上の範囲が好適である。
正極活物質は、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な材料であれば、その種類は任意であり、特に限定されるものではないが、好ましくはリチウム遷移金属複合酸化物を使用する。このような物質の例としては、LiCoO2等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO2等のリチウムマンガン複合酸化物等を挙げることができる。これらリチウム遷移金属複合酸化物は、主体となる遷移金属元素の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属種で置き換えることにより安定化させることもでき、また好ましい。
負極用集電体の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス等の金属が使用される。これらの中でも、薄膜に加工し易いという点とコストの点から、銅箔が好ましい。一方、正極用集電体の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属が使用され、これらの中で薄膜に加工し易いという点とコストの点からアルミニウム箔が好ましい。
リチウム二次電池においては、通常、電極同士の短絡を防止するために、正極と負極との間にセパレータが介装される。本発明のリチウム二次電池に使用するセパレータの材質や形状は特に限定されないが、上述した本発明の非水系電解液に対して安定で、保液性の優れた材料の中から選ぶのが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等を用いるのが好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明の非水系電解液と、正極と、負極と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。電池を組み立てる方法は特に限定されず、通常採用されている方法の中から適宜選択すれば良い。
本発明のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等を挙げることができる。特に、本発明のリチウム二次電池は、サイクル特性に優れていることから、これらの何れの用途においても優れた効果が得られる。
〔負極の作製〕
X線回折における格子面(002)面のd値が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が652nm、灰分が0.07重量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が12μm、BET法比表面積が7.5m2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において1570〜1620cm-1の範囲のピークPA(ピーク強度IA)及び1300〜1400cm-1の範囲のピークPB(ピーク強度IB)の強度比R=IB/IAが0.12、1570〜1620cm-1の範囲のピークの半値幅が19.9cm-1である天然黒鉛粉末を負極活物質として用いた。この黒鉛粉末94重量部にポリフッ化ビニリデン6重量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散させてスラリー状とした。これを負極集電体である厚さ18μmの銅箔の片面に均一に塗布し、乾燥後、プレス機により負極層の密度が1.5g/cm3になるようにプレスして負極とした。
正極活物質としてLiCoO2を用い、この活物質85重量部にカーボンブラック6重量部及びポリフッ化ビニリデンKF−1000(呉羽化学社製、商品名)9重量部を加えて混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散させてスラリー状としたものを、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、乾燥後、プレス機により正極層の密度が3.0g/cm3になるようにプレスして正極とした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:7)に充分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルになるように溶解し、ブランク電解液とした。次いで、このブランク電解液99.5重量部に、ジアリルスルフィド0.5重量部を添加、混合して、所望の電解液(非水系電解液)を調製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製し、この電池要素を、袋状のアルミニウムの両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルム内に、正極及び負極の端子を取り出しながら設置後、電解液を注液して真空封止を行なって、シート状電池(リチウム二次電池)を作製した。
上記のシート状電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3Vで充放電を3サイクル行なって安定させ、続いて4サイクル目を0.5Cに相当する電流で充電終止電圧4.2Vまで充電し、充電電流値が0.05Cに相当する電流値になるまで充電を行なう4.2V−定電流定電圧充電(CCCV充電)(0.05Cカット)を行なった後、更に0.2Cに相当する定電流値で3V放電を行ない、高温保存前の放電容量を測定した。再度4.2V−CCCV充電(0.05Cカット)を行なった後、85℃の条件で72時間、高温保存を行なった。高温保存後の電池を、25℃において0.2Cの定電流で放電終始電圧3Vまで放電させ、残存容量を測定した。高温保存前の放電容量を100とした場合の、高温保存後の残存容量(%)を表1に示した。また、電池を冷却した後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、高温保存前後の体積変化から電池内のガス発生量を求めた。その結果を表1に示した。
ブランク電解液99.5重量部に、ジ(3−ブテニル)スルフィド0.5重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液99.5重量部に、ジ(2−ブテニル)スルフィド0.5重量部を添加した以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液97.9重量部に、ビニレンカーボネート2.0重量部と1,2−ジアリルチオエタン0.1重量部とを添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液99.5重量部に、1,2−ジアリルチオエタン0.5重量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液97.5重量部に、ビニレンカーボネート2.0重量部と1,2−ジアリルチオエタン0.5重量部とを添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液97.0重量部に、ビニレンカーボネート2.0重量部と1,2−ジアリルチオエタン1.0重量部とを添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液96.0重量部に、ビニレンカーボネート2.0重量部と1,2−ジアリルチオエタン2.0重量部とを添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液95.0重量部に、ビニレンカーボネート2.0重量部と1,2−ジアリルチオエタン3.0重量部とを添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液97.5重量部に、ビニレンカーボネート2.0重量部と1,2−ジプロパギルチオエタン0.5重量部とを添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液97.5重量部に、ビニレンカーボネート2.0重量部とジ(2−アリルチオエチル)スルフィド0.5重量部とを添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液97.5重量部に、ビニレンカーボネート2.0重量部とジ(2−アリルチオエチル)エーテル0.5重量部とを添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液97.5重量部に、ビニレンカーボネート2.0重量部と1,2−ジ(2−アリルチオエトキシ)エタン0.5重量部とを添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液97.5重量部に、ビニレンカーボネート2.0重量部とアリルフェニルスルフィド0.5重量部とを添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液99.5重量部に、トリアリルアミン0.5重量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液99.5重量部に、N,N−ジメチルプロパギルアミン0.5重量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液97.5重量部に、ビニレンカーボネート2.0重量部とN,N−ジフェニルアリルアミン0.5重量部とを添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
スルフィド化合物あるいはアミン化合物を添加せず、ブランク電解液を電解液としたこと以外は、実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液98重量部に、ビニレンカーボネート2重量部を添加し、スルフィド化合物あるいはアミン化合物を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液99.5重量部に、ジフェニルスルフィド0.5重量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液99.5重量部に、エチルビニルスルフィド0.5重量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
ブランク電解液99.5重量部に、トリフェニルアミン0.5重量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして電解液を調製した。この電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、同様に評価を行なって、結果を表1に示した。
Claims (3)
- リチウムを吸蔵及び放出することが可能な材料を正極に有するリチウム二次電池に用いられ、電解質が非水溶媒に溶解されたリチウム二次電池用非水系電解液において、下記一般式(Ia)、又は(Ib)で表わされ、分子量が70以上、1000以下であるスルフィド化合物を、非水系電解液全体に対して0.01重量%以上、2重量%以下の濃度で含有することを特徴とする、リチウム二次電池用非水系電解液。
R23は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基、又は該アルキレン基とエーテル結合とが結合した二価の基を表わす。
但し、R 11、R12、R21、R22、R 23 の何れも、硫黄原子、或いは酸素原子を有する場合の酸素原子に隣接する炭素原子は不飽和結合を有さないものとする。
xは、1を表わす。
nは、1〜5の整数を表わす。nが2以上の場合、複数のR23は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。) - ビニレンカーボネート化合物を、非水系電解液に対して0.01重量%以上、10重量%以下の範囲で更に含有することを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水系電解液。
- リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極及び正極と、電解質が非水溶媒に溶解された非水系電解液とを備えたリチウム二次電池において、該非水系電解液が、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用非水系電解液であることを特徴とする、リチウム二次電池。
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