JP4568992B2 - 静止誘導電器の鉄心構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、整流器用変圧器や相間リアクトルなどの静止誘導電器の鉄心構造に関し、特に、騒音が発生し難い静止誘導電器の鉄心構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来の相間リアクトルの鉄心構造を示す斜視図である。相間リアクトルの鉄心1が、下部の水平ヨーク3Bと両側脚3Aとからなるコの字状の鉄心3と、上部の水平ヨーク4とで構成され、両側脚3Aと上部の水平ヨーク4との間に空隙5が介装されている。
【0003】
図7における鉄心1でもって構成される相間リアクトルは、3相星形結線変圧器が整流器に結線されてなる多相整流装置に用いられるものである。すなわち、多相整流装置は、2台の3相星形結線変圧器の出力側が整流器を介して直流負荷の一方端に接続されるとともに、2台の3相星形結線変圧器の中性点側が鉄心1の窓11を貫通した後に直流負荷の他方端に接続される。その際、2台の3相星形結線変圧器の中性点側からのリードが、それぞれ鉄心1の窓11を互いに逆方向に貫通するように結線され、3相星形結線変圧器の間に循環電流が流れるのが防止されている。しかしながら、2台の3相星形結線変圧器のうち、どちらかの直流出力電流が多くなると、その出力電流の値に応じた方向の磁束が鉄心1内を流れ、その鉄心1が直流偏磁する。その場合の磁束密度が大きいと鉄心1が飽和し、循環電流の防止機能が失われてしまう。そのために、図7のように相間リアクトルの鉄心1には非磁性の空隙5が介装されている。それによって、鉄心1の磁気抵抗が大きくなるので、磁束が飽和するまでの電流値が大きくなる。したがって、2台の3相星形結線変圧器からの直流出力電流の均衡が例えくずれても、鉄心1が直流偏磁し難くなりその循環電流の防止機能が維持される。なお、図示されていないが、実際には空隙5には非磁性の絶縁物が介装され鉄心1の全体が上下から機械的に締め付けられている。
【0004】
図8は、従来の整流器用変圧器の鉄心構造を示す斜視図である。整流器用変圧器の鉄心2が、下部の水平ヨーク6Cと両側脚6Aと中央脚6Bとからなるヨの字状の鉄心6と、上部の水平ヨーク7とで構成され、両側脚6Aおよび中央脚6Bと、上部の水平ヨーク7との間に空隙50が介装されている。整流器用変圧器においては、両側脚6Aにそれぞれ一次巻線と二次巻線が巻回され、その二次巻線に整流器が接続される。中央脚6Bは、両側脚6Aで発生する磁束の位相差を補正するための帰路脚の役目を担っている。また、空隙50は、図7における空隙5と同様に、鉄心2の直流偏磁を防止するためのものである。すなわち、整流器用変圧器の二次巻線に接続される整流器の僅かな切り入れの時間のずれにより、その二次巻線に流れる電流に直流分が発生する。この直流分により、鉄心2が直流偏磁し飽和し易くなる。鉄心2に非磁性の空隙50が介装されることによって、鉄心2の磁気抵抗が大きくなる。したがって、磁束が飽和するまでの電流値が大きくなり、鉄心2が直流偏磁し難くなる。なお、図示されていないが、実際には空隙50にも非磁性の絶縁物が介装され鉄心2の全体が上下から機械的に締め付けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の静止誘導電器の鉄心構造には、空隙の存在に起因する騒音を抑えるためにその鉄心の上下からの締め付けを強固にしなければならないという問題があった。
すなわち、鉄心に空隙が介装されると鉄心を振動させる力が発生し、その振動でもって騒音が起き易くなる。鉄心の磁束密度をBとすると、空隙の両側における鉄心の端部に働く単位面積当たりの力F0 は、
【0006】
【数1】
F0 =B2 /(2μ0 ) (1)
となる。ここで、μ0 は真空中の透磁率である。この力F0 が鉄心を振動させ、騒音を起こす。そのために、従来は鉄心に空隙が存在する場合、その鉄心の上下を強固に締め付けることによって、その騒音の発生を抑えていた。したがって、鉄心を機械的に締め付けるための構造が大がかりになり、装置の大型化とコストアップとを招いていた。
この発明の目的は、鉄心に働く力を従来より減らすことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明によれば、周回する鉄心が方向性珪素鋼板でもって形成されてなる静止誘導電器の鉄心構造において、周回する前記鉄心の一部では方向性珪素鋼板がその透磁率の大きい方向が周回方向に対して所定の角度で交叉するように配設されるとともに、周回する前記鉄心の他の部分では方向性珪素鋼板がその透磁率の大きい方向が周回方向と同じ方向となるように配設されてなるようにするとよい。それによって、鉄心の一部では方向性珪素鋼板がその透磁率の大きい方向が周回方向と同じ方向ではなく所定の角度,例えば90度で交叉するように配設されるので、その分だけ鉄心を周回する磁気抵抗が大きくなり直流偏磁し難くなる。また、前記鉄心の一部における周回方向での比透磁率は他の部分における周回方向での比透磁率よりも小さいものの1以上の充分に大きい値なので、鉄心を振動させる力が、従来のような鉄心に非磁性の空隙を介装した構成より減少するようになる。したがって、騒音を低減するために鉄心を機械的に締め付ける構造を、従来のような鉄心に非磁性の空隙を介装した構成の場合ほど大がかりにする必要がなくなり、装置の小型化とコストダウンが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を実施例および参考例に基づいて説明する。図1は、この発明の参考例にかかる相間リアクトルの鉄心構造を示す斜視図であり、(A)と(B)は互いに異なる構造の例である。図1の(A)は、鉄心1の両側脚3Aと上部の水平ヨーク4との間にそれぞれ磁性体8が介装され、この磁性体8の透磁率は上部の水平ヨーク4の透磁率やコの字状鉄心3の透磁率より小さい材料でもって形成されている。図1の(A)のその他は、図7の従来の構成と同じであり、従来と同じ部分は同一参照符号を付けることによって詳細な説明は省略する。すなわち、図7における空隙5に磁性体8が嵌め込まれた構成になっている。それによって、磁束が透磁率の小さい磁性体8を通るので、鉄心1を周回する磁気抵抗が磁性体8の介装されていない場合より大きくなり鉄心1が直流偏磁し難くなる。しかも、(1)式と同様に、鉄心の磁束密度をB、真空中の透磁率をμ 0 とするとともに、透磁率の小さい方の磁性体の比透磁率がμ S であるときに、透磁率の異なる磁性体の境界面に働く単位面積当たりの力F 1 は、
【数2】
F 1 =B 2 /(2μ 0 ・μ S ) (2)
であることから、磁性体8の比透磁率をμS とすると、磁性体8の境界面に働く力F1 は、従来のような非磁性の空隙の場合に境界面に働く力のμS 分の1という小さいものとなる。それによって、鉄心1を振動させる力が従来より減少し、騒音が低減される。したがって、鉄心1を機械的に締め付けるための構造をそれ程大がかりにする必要がなくなり、装置の小型化とコストダウンが可能になる。磁性体8の材料としては、例えば、磁性のある粉末を固めて成形した磁性粉末でもよく、その比透磁率μS が5であれば、磁性体8の境界面に働く力F1 は,従来の空隙の場合の5分の1になる。なお、磁性体8は、両側脚3Aと下部の水平ヨーク3Bとの間に介装されてもよい。
【0011】
図1の(B)は、鉄心1の上部の水平ヨーク4の途中に図1の(A)と同様な材料である磁性体8が介装された例であり、図1の(B)のその他は、図1の(A)の構成と同じである。それによっても、磁束が透磁率の小さい磁性体8を通るので、鉄心1を周回する磁気抵抗が磁性体8の介装されていない場合より大きくなり鉄心1が直流偏磁し難くなる。しかも、磁性体8の境界面に働く力F1 は、従来のような非磁性の空隙の場合に境界面に働く力のμS 分の1という小さいものとなり、装置の小型化とコストダウンが可能になる。なお、磁性体8は、両側脚3Aや下部の水平ヨーク3Bの途中に介装されてもよい。
【0012】
図2は、この発明の実施例にかかる相間リアクトルの鉄心構造を示す斜視図であり、(A)と(B)は互いに異なる構造の例である。図2の(A)は、鉄心1が、コの字状鉄心9と上部の水平ヨーク9Cとで構成されている。コの字状鉄心9は、いずれも方向性珪素鋼板でもって形成された両側脚9Aと下部の水平ヨーク9Bからなる。両側脚9Aは、その磁気抵抗の小さい方向、すなわち、透磁率の大きい方向が矢印のように上下方向に向けられ、下部の水平ヨーク9Bは、その磁気抵抗の小さい方向が矢印のように左右方向に向けられている。一方、上部の水平ヨーク9Cは、その磁気抵抗の小さい方向が矢印のように上下方向に向けられている。両側脚9Aと下部の水平ヨーク9Bとはそれらの端部が45度に切られた状態で接合されている。両側脚9Aと上部の水平ヨーク9Cとは、短冊型に形成され互いに突き合わされた状態で接合されている。図2の(A)のその他は、図1の構成と同じである。上部の水平ヨーク9Cの磁気抵抗の小さい方向が左右方向,すなわち周回方向に向けられてあれば鉄心1を周回する磁気抵抗が小さくなって鉄心1が直流偏磁し易くなるが、図2の(A)の構成では、上部の水平ヨーク9Cの磁気抵抗の小さい方向が上下方向,すなわち周回方向に直交する方向に向けられているため、磁束が上部の水平ヨーク9Cの磁気抵抗の大きい左右方向を通るので、その分だけ鉄心1を周回する磁気抵抗が大きくなり鉄心1が直流偏磁し難くなる。しかも、上部の水平ヨーク9Cにおける周回方向での比透磁率は、コの字状鉄心9における周回方向での比透磁率より小さいものの1以上の充分に大きい値なので、両側脚9Aと上部の水平ヨーク9Cとの境界面に働く力F1 は、従来のような非磁性の空隙の場合に境界面に働く力より小さいものとなり、装置の小型化とコストダウンが可能になる。なお、上部の水平ヨーク9Cは、その磁気抵抗が両側脚9Aや下部の水平ヨーク9Bの矢印方向の磁気抵抗より大きい無方向性の珪素鋼板であってもよい。また、図2の(A)の鉄心2は上下逆に配されてあってもよい。
【0013】
図2の(B)は、鉄心1の上部の水平ヨーク9Dの途中に磁気抵抗の小さい方向が矢印のように上下方向に向けられた水平ヨーク9Eが介装されている。両側脚9Aと上部の水平ヨーク9Dとはそれらの端部が45度に切られた状態で接合されている。また、上部の水平ヨーク9D,9Eの端部同士は90度に切られ互いに突き合わされた状態で接合されている。図2の(B)のその他は、図2の(A)の構成と同じである。それによっても、磁束が上部の水平ヨーク9Eの磁気抵抗の大きい方向を通るので、鉄心1を周回する磁気抵抗が大きくなり鉄心1が直流偏磁し難くなる。しかも、上部の水平ヨーク9Eにおける周回方向での比透磁率は、その他の水平ヨーク9Dなどにおける周回方向での比透磁率より小さいものの1以上の充分に大きい値であるので、水平ヨーク9Dと水平ヨーク9Eとの境界面に働く力F1 は、従来のような非磁性の空隙の場合に境界面に働く力より小さいものとなり、装置の小型化とコストダウンが可能になる。なお、上部の水平ヨーク9Eも、その磁気抵抗が両側脚9Aや下部の水平ヨーク9Bや上部の水平ヨーク9Dの矢印方向の磁気抵抗より大きい無方向性の珪素鋼板であってもよい。なお、図2の(B)の鉄心2も上下逆に配されてあってもよい。
【0014】
図3は、この発明の異なる参考例にかかる整流器用変圧器の鉄心構造を示す斜視図である。鉄心2の両側脚6Aおよび中央脚6Bと、上部の水平ヨーク7との間にそれぞれ磁性体8が介装され、この磁性体8の透磁率は図1と同様な材料であり、上部の水平ヨーク7の透磁率やヨの字状の鉄心6の透磁率より小さい材料でもって形成されている。図3のその他は、図8の従来の構成と同じであり、図8における空隙50に磁性体8が嵌め込まれた構成になっている。それによって、磁束が透磁率の小さい磁性体8を通るので、鉄心2を周回する磁気抵抗が磁性体8の介装されていない場合より大きくなり鉄心1が直流偏磁し難くなる。しかも、鉄心2を振動させる力が従来より減少し騒音が低減されることは、図1の場合と同様である。したがって、鉄心2を機械的に締め付けるための構造をそれ程大がかりにする必要がなくなり、装置の小型化とコストダウンが可能になる。なお、磁性体8は、両側脚6Aおよび中央脚6Bと、下部の水平ヨーク6Cとの間に介装されてもよい。
【0015】
図4は、この発明のさらに異なる参考例にかかる整流器用変圧器の鉄心構造を示す斜視図である。鉄心2の上部の水平ヨーク7の途中の2個所に図1の(A)と同様な材料である磁性体8が介装されている。磁性体8は上部の水平ヨーク7の両側脚6Aと中央脚6Bの間にそれぞれ介装されている。図4のその他は、図3の構成と同じである。それによっても、磁束が透磁率の小さい磁性体8を通るので、鉄心2を周回する磁気抵抗が磁性体8の介装されていない場合より大きくなり鉄心2が直流偏磁し難くなる。しかも、磁性体8の境界面に働く力F1 は、従来のような非磁性の空隙の場合に境界面に働く力のμS 分の1という小さいものとなり、装置の小型化とコストダウンが可能になる。なお、磁性体8は、両側脚6Aや中央脚6Bや下部の水平ヨーク6Cの途中に介装されてもよい。
【0016】
図5は、この発明の異なる実施例にかかる整流器用変圧器の鉄心構造を示す斜視図である。鉄心2が、ヨの字状鉄心10と上部の水平ヨーク1Dとで構成されている。ヨの字状鉄心10は、いずれも方向性珪素鋼板でもって形成された両側脚10Aと中央脚10Cと下部の水平ヨーク10Bからなる。両側脚10Aと中央脚10Cは、その磁気抵抗の小さい方向、すなわち、透磁率の大きい方向が矢印のように上下方向に向けられ、下部の水平ヨーク10Bは、その磁気抵抗の小さい方向が矢印のように左右方向に向けられている。一方、上部の水平ヨーク10Dは、その磁気抵抗の小さい方向が矢印のように上下方向に向けられている。両側脚10Aおよび中央脚10Cと、下部の水平ヨーク10Bとはそれらの端部が45度に切られた状態でそれぞれ接合されている。両側脚10Aおよび中央脚10Cと、上部の水平ヨーク10Dとは、短冊型に形成され互いに突き合わされた状態で接合されている。図5のその他は、図3の構成と同じである。上部の水平ヨーク10Dの磁気抵抗の小さい方向が左右方向に向けられてあれば鉄心2を周回する磁気抵抗が小さくなって鉄心1が直流偏磁し易くなるが、磁束が上部の水平ヨーク10Dの透磁率の小さい左右方向を通るので、その分だけ鉄心2を周回する磁気抵抗が大きくなり鉄心2が直流偏磁し難くなる。しかも、両側脚10Aおよび中央脚10Cと、上部の水平ヨーク10Dとの境界面に働く力F1 は、従来のような非磁性の空隙の場合に境界面に働く力のμS 分の1という小さいものとなり、装置の小型化とコストダウンが可能になる。なお、上部の水平ヨーク10Dは、その磁気抵抗が両側脚10Aや中央脚10Cや下部の水平ヨーク10Bの矢印方向の磁気抵抗より大きい無方向性の珪素鋼板であってもよい。また、図5の鉄心2は、上下逆に配されてあってもよい。
【0017】
図6は、この発明のさらに異なる実施例にかかる整流器用変圧器の鉄心構造を示す斜視図である。鉄心2の上部の水平ヨーク10Eの途中に磁気抵抗の小さい方向が矢印のように上下方向に向けられた水平ヨーク10Fが介装されている。
両側脚10Aおよび中央脚10Cと、上部の水平ヨーク10Eとはそれらの端部が45度に切られた状態で接合されている。また、上部の水平ヨーク10E,10Fの端部同士は90度に切られ互いに突き合わされた状態で接合されている。
図6のその他は、図5の構成と同じである。それによっても、磁束が上部の水平ヨーク10Fの磁気抵抗の大きい方向を通るので、鉄心2を周回する磁気抵抗が大きくなり鉄心2が直流偏磁し難くなる。しかも、上部の水平ヨーク10Fにおける周回方向での比透磁率は、その他の水平ヨーク10Eなどにおける周回方向での比透磁率より小さいものの1以上の充分に大きい値であるので、水平ヨーク10Fと水平ヨーク10Eとの境界面に働く力F1 は、従来のような非磁性の空隙の場合に境界面に働く力より小さいものとなり、装置の小型化とコストダウンが可能になる。なお、上部の水平ヨーク10Fも、その磁気抵抗が両側脚10Aや中央脚10Cや下部の水平ヨーク10Bや上部の水平ヨーク10Eの矢印方向の磁気抵抗より大きい無方向性の珪素鋼板であってもよい。また、図6の鉄心2も、上下逆に配されてあってもよい。
【0018】
なお、上述の図2,5,6の実施例のように、周回する鉄心を方向性珪素鋼板でもって形成し、鉄心の一部では方向性珪素鋼板をその透磁率の大きい方向が周回方向に直交するように配設されるとともに、鉄心の他の部分では方向性珪素鋼板をその透磁率の大きい方向が周回方向と同じ方向となるように配設される構成では、鉄心全体を1種類の磁性材料で構成することができるため、装置のコストをより低くすることが可能となる。
【0019】
また、上述の図2の実施例における水平ヨーク9C,9E、図5の実施例における水平ヨーク10Dおよび図6の実施例における水平ヨーク10Fは、それぞれ透磁率の大きい方向を鉄心の周回方向に直交させたものであるが、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、透磁率の大きい方向が鉄心の周回方向に90度以外,例えば45度で交叉する構成としてもよい。
【0020】
また、上述の図2,5,6の実施例および図1,3,4の参考例はいずれも上部および下部の水平ヨークを備えた1階建ての鉄心構造に本発明を適用した構成を示すものであるが、本発明は、このような1階建ての鉄心構造に限定されるものではなく、上部の水平ヨークと下部の水平ヨークとの間に中間部の水平ヨークを備えた2階建てあるいは3階建ての鉄心構造にも同様に適用することができる。
【0021】
また、上述の図2,5,6の実施例および図1,3,4の参考例は、2脚あるいは3脚の鉄心構造に本発明を適用した構成を示すものであるが、本発明は、このような2脚あるいは3脚の鉄心構造に限定されるものではなく、4脚あるいは5脚の鉄心構造にも同様に適用することができる。
【0022】
【発明の効果】
この発明は前述のように、周回する鉄心が方向性珪素鋼板でもって形成されてなる静止誘導電器の鉄心構造において、周回する前記鉄心の一部では方向性珪素鋼板がその透磁率の大きい方向が周回方向に対して所定の角度で交叉するように配設されるとともに、周回する前記鉄心の他の部分では方向性珪素鋼板がその透磁率の大きい方向が周回方向と同じ方向となるように配設されてなるようにすることによって、装置の小型化とコストダウンが可能になる。また、鉄心全体を1種類の磁性材料で構成することができるようになるため、装置のコストをより低くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の参考例にかかる相間リアクトルの鉄心構造を示す斜視図であり、(A)と(B)は互いに異なる構造の例
【図2】 この発明の実施例にかかる相間リアクトルの鉄心構造を示す斜視図であり、(A)と(B)は互いに異なる構造の例
【図3】 この発明の異なる参考例にかかる整流器用変圧器の鉄心構造を示す斜視図
【図4】 この発明のさらに異なる参考例にかかる整流器用変圧器の鉄心構造を示す斜視図
【図5】 この発明の異なる実施例にかかる整流器用変圧器の鉄心構造を示す斜視図
【図6】 この発明のさらに異なる実施例にかかる整流器用変圧器の鉄心構造を示す斜視図
【図7】 従来の相間リアクトルの鉄心構造を示す斜視図
【図8】 従来の整流器用変圧器の鉄心構造を示す斜視図
【符号の説明】
1,2:鉄心、8:磁性体
Claims (1)
- 周回する鉄心が方向性珪素鋼板でもって形成されてなる静止誘導電器の鉄心構造において、周回する前記鉄心の一部では方向性珪素鋼板がその透磁率の大きい方向が周回方向に対して所定の角度で交叉するように配設されるとともに、周回する前記鉄心の他の部分では方向性珪素鋼板がその透磁率の大きい方向が周回方向と同じ方向となるように配設されてなることを特徴とする静止誘導電器の鉄心構造。
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