JP4568616B2 - 薄い板ガラスを製造するための装置及び引き出しタンク - Google Patents

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Description

本発明は、溶解タンクと、均質化装置と、入口と、少なくとも1つのスロットノズルからなるノズル装置を有する引き出しタンクとからなる、薄い板ガラス、特に3mm未満の厚さの板ガラスを製造するための装置に関する。さらに、この発明は適切な引き出しタンクに関する。
下向き引き出しプロセスとして公知のものでは、溶解タンクから出たガラスは、先ず攪拌坩堝に送られ、その中でガラスが機械的に均質化される。次にガラス溶融物は送り管を介して、引き出しノズルが固定されている引き出しタンクに送られる。この引き出しノズルはスロットを有し、このスロットを通してガラスリボンが引き下ろされる。引き出しノズルを伴うこの引き出しタンクは実際の成形コンポーネントである。該引き出しタンクの幅は、引き出し予定の所望のガラスリボン幅に少なくとも同じである。適切な加熱装置が引き出しタンク内のガラスを所望の成形温度に加熱する。さらに、該引き出しタンクでは、ガラスが、供給管の概略円形断面からノズルの全幅に亘って均一に分布されている。ガラスの流れを円形断面から細長い断面に亘り分布させるために引き出しタンクには、水平に走る円筒内部容積を有する構成要素が垂直に走る供給管へ一般に連結されている。そのような装置がDE−B1596484に既に記載されている。
3mm未満の厚さ、特に1mm未満の厚さを有する板ガラスが電子器具用、例えばディスプレー(携帯電話、フラットスクリーン等)及びコンピュータのディジタルマスメモリー用の基板ガラスとして使用される。従って、極めて高度な要求がガラスの内部品質に課せられるが、このような内部品質は、泡や封入物、清浄度、波打ち度及び平坦度からのずれ(そり)により実質的に判断される表面形態の品質、破断強度並びに、ある場合には軽量性によって決まる。
従来の引き出しタンクでは、ガラスがノズルの中心に優先して流れることが観察された。対照的に、引き出しタンクの外部領域には十分なガラスが供給されない。さらに、上方の角部では流れの無いゾーンができる場合があり、このゾーンはその大きさが一定でないためプロセスに変動をきたす。
これまで、特定温度分布をノズル部位の引き出し方向に対して横方向に使用して板ガラスの品質改良をすることが試みられている。この目的のため、例えば、DE10064977C1では、入口、引き出しタンク及びノズル装置が密閉装置として、該入口が対称的な管セクションを備えた円形管を有し、また該引き出しタンクが垂直方向及び横方向に分けられている加熱装置を有して設計することが提案されている。
JP2002−211934Aは別のアプローチを選択し、引き出しタンクの内径がスロットノズルに合致するように、スロットが外側両端部より中央で細くなったスロット形状となるように形成することを提案している。これにより中央で流れ抵抗が増大し、それにより相対的に外側両端部のガラスの流れが増大することになる。
本発明の目的は、一定の厚さと平坦度に関して高度な要求を満足するガラスリボンの製造を可能にする薄い板ガラスを製造するための装置及び適切な引き出しタンクを提供することである。
この目的は請求項1に係る装置及び請求項8に係る適切な引き出しタンクによって達成される。有利な形状は請求項2ないし請求項7及び請求項9ないし請求項13で与えられる。
この発明によれば、引き出しタンクは、各々が異なる断面を有する少なくとも2つのセクションからなっているが、この該断面はガラス溶融物の主流れ方向に垂直に測定されたものである。入口とスロットノズルとの間のガラス溶融物で覆われている道程(道のり)は、少なくとも2つの部分、すなわち、1セクションの部分と他のセクションの部分からなっている。部分道程当たりの圧力低下はこの場合、このセクション内の流れ抵抗を乗じた部分道程の長さに比例する。少なくとも2つのセクションが、異なった部分道程と流れ抵抗に関して互いに適応されている結果として、少なくとも2つのセクション覆われる距離に亘る全体の圧力低下が、特にスロットノズル内ではどの場所でも一定であることを確保することが可能である。これによりガラスの流れが全幅に亘り均一に分布し、それによりガラスの定量的流れがスロット幅のどの場所でも同じになることが確実となる。これにより非常に一定した厚さと平坦度を全体のリボン幅に亘って備えた引き出しガラスリボンとなる。
流体力学上の理由から、流速に依存して、流れのデッドゾーンが狭い断面から広い断面への移行部位に生じる可能性があること、そしてこれらのデッドゾーンが、不定のプロセス変動をもたらすことがあることから、小断面を有するセクションが後続する、大断面を有するセクションに入口が開けられれば有利である。
特に、円形断面を備えた入口を使用する時に、該入口が、同様に円形断面に開口することが好ましい。
全体のノズルに亘るガラス溶融物の特に均一な分布は、入口がタンクの長さに対し、その半分の長さで開口しており、かつ、そこから外側に走る2本の管が大断面を有するセクションとして配置されている場合に得られる。この2本の管は同じ断面を有し、それにより質量流量が、全体の幅に亘り中央から外側に各々均一に分けられる2つの部分に一様に分けられる。特に、そこでの流れの状態がスロットノズルと管の間で5°〜45°の角度になっていることが有利であることが分かった。
1つの好ましい実施形態では、小断面を有するセクションが矩形断面を有している。これは、略円形断面を有する大断面のセクションと組み合わせて、大断面を有するセクションとして管が特に使用された場合に、特に好都合であることが分かった。この場合、管はその周壁に、管軸に平行なスロットを有しており、そのスロットが小断面を形成するように平行壁と隣接している。これらの壁がスロットノズルに開いている。スロットノズルの長手方向に平行な壁間の距離はこの場合、前記管の断面より短い必要がある。
引き出しタンクに発熱体を設けることが有利であることが分かった。これは引き出しタンクの幅と高さに亘り、ガラスがノズル部位で引き出しプロセスに最適な温度分布を有するように引き出しタンクを加熱することができることを意味している。
この引き出しタンクは耐火材からなる必要がある。白金あるいは白金合金が特に好ましい。
この発明を、図面を参照してさらに詳細に説明する。
発明を実施するために最良の形態
図1に示された溶融タンク1で得られるガラス溶融物Aは、短い通路2を介して容器3に入り、その容器3でガラス溶融物Aはローター4により均質化される。ローター4は伝動装置5によって駆動され、その速度は調整可能である。均質化された溶融物Aは、チャンネル6を介して引き出しタンク7に供給される。このタンク7には白金から作られたノズル8を装備しており、また下スロットが設けられている。
通路2、容器3及び引き出しタンク7には、壁に組み込まれた加熱巻線9,10,11がそれぞれ装備されている。チャンネル6内の溶融物の加熱は、電極12,13,14,15によるジュール熱で行われる。加熱巻線に供給された電流強度と電極に供給された電流強度の双方共制御可能であり、それによって極端に微小な温度差を実現することができる。
引き出しタンク7の部分に配置されたノズル8は、同様に白金又は白金合金でライニングされており、また、そのノズル8は、制御可能な電源19から引き出しタンク7を加熱するのと無関係に支持コア及び/又は白金クラッドを介して電流を直接流して加熱することができる。
図1aは、ローター4の直上の溶融物表面を除いて全体設備とノズル8が全面で密閉されて溶融物が解放表面を持たないことを示している。加熱巻線16を装備したガス抜き管17だけが設けられている。
溶融物はノズルから下向きにガイドされ、ガラスBの流れは凝固の後、公知の引き出し装置、例えば駆動ロール、によって引き出される。このガラスリボンは次に所定の長さに切断されることができる。
図1aの断面D−Dに対応する図1bは、入口20とノズル8を有する引き出しタンク7の特定構造を示している。入口20と引き出しタンク7の双方は、入口を形成する管に対して引き出しタンク7を形成する管が直角に配置され管状設計である。水平に走る管には、この管軸に平行に走り、かつ、引き出しノズル8を形成するために細くなっているスロットが隣接している。ここで図示された引き出しタンク7では、ガラスがノズルの中央に向かって主に流れるが、引き出しタンク7の外側部位には十分なガラスが供給されない。さらに、ガラスは左上角部及び右上角部に流れず、その結果、流れのデッドゾーンがここで形成され、その大きさが不定のためプロセス変動を招く。
図2は本発明に係る引き出しタンク7’を示している。引き出しタンク7は、より大きな断面を有する管21aと管21bから形成されるセクションと、小断面を有し、管21aと管21bとに隣接する平行プレートで形成されるセクション22を有する。セクション22を形成する平行プレート間の間隔はこの場合、管21aと管21bの断面より小さい。
ノズルの全体の長さは1850mmである。この小断面を有するセクション22の幅は50mmであるが、一方、管21aと管21bの直径は80mmである。管21aと管21bはノズル8と30°の角度αを形成する。特に、特定のガラス成分と温度に依存する約10Pasの典型的なガラス溶融物粘度では、この特定の外形は、定性的ガラスの流れがノズルの全ての場所で同じであることを保証している。引き出しタンク7’の均し動作は幅方向に温度分布がなければ一般的に粘度とは無関係である。図3に概略図を示したように、L1a×W1+L2a×W2=L1b×W1+L2b×W2=一定の関係が当てはまる。この関係では、L1aとL1bは大断面を有するセクションの道程であり、結果として低い流れ抵抗W1となり、L2aとL2bは小断面を有するセクションの道程であり、従って高い流れ抵抗W2となる。なお、断面はガラス溶融物の流れの方向に垂直に常に測定される。
従来の流れのシミュレーション工具により、管の直径、角度及び壁の間隔を上記式に従うようにすることが可能である。例えば、より鋭角の場合、壁間隔が管の直径に対して増大される。このようなシミュレーション工具の助けにより、管の直径、角度及び壁間隔のパラメータを変えることで幅方向に不均一な温度分布でもガラス溶融物の均一な分布が達成されるように引き出しタンク形状を設計することも可能である。
従来技術による薄い板ガラスを製造するための装置を示す。 従来技術による薄い板ガラスを製造するための装置を示す。 本発明に係る引き出しタンクを示す。 ガラス溶融物で覆われた道程を示す。
1 ・・・ 溶解タンク
2 ・・・ 通路
3 ・・・ 容器
4 ・・・ ローター
5 ・・・ 伝動装置
6 ・・・ チャンネル
7 ・・・ 引き出しタンク
8 ・・・ ノズル
9,10,11 ・・・ 加熱巻線
12,13,14,15 ・・・ 電極

Claims (13)

  1. 溶解タンクと、均質化装置と、入口と、平行な間隙を有する少なくとも1つのスロットノズルを備えた引き出しタンク、とを有する薄い板ガラスを製造する装置において、引き出しタンク(7’)が全長に亘りガラス溶融物の主流れ方向に直角方向に互いに異なった断面を備えた少なくとも2つのセクション(21a,21b,22)を主流れ方向に有し、前記セクション(21a,21b,22)の寸法が、該2つのセクションの各々におけるガラス溶融物で覆われた道程(L1a+L2a,L1b+L2b)に亘って圧力低下が合計で該スロットノズル(8)の何れの場所でも一定かつ同じであるようにされていることを特徴とする装置。
  2. 前記入口(20)が、より大きい断面を有するセクション(21a,21b)に対して開いていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記より大きい断面を有するセクション(21a,21b)が略円形断面を有することを特徴とする請求項2に記載の装置。
  4. 前記入口(20)が、該引き出しタンク(7’)の全長の中間点に開いており、そこから2つの外側に走る管(21a,21b)がより大きい断面を有するセクションとして配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の装置。
  5. スロットノズル(8)と管(21a,21b)との間の角度(α)が5°〜45°であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
  6. 小断面を有するセクション(22)が矩形断面を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の装置。
  7. 前記引き出しタンク(7’)が加熱可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の装置。
  8. 薄い板ガラスを製造する装置用の引き出しタンクにおいて、全長に亘り前記引き出しタンクは、ガラス溶融物の主流れ方向に直角方向に互いに異なった断面を備えた少なくとも2つのセクション(21a,21b,22)を主流れ方向に有し、前記セクション(21a,21b,22)の寸法が、該2つのセクションの各々におけるガラス溶融物で覆われた道程(L1a+L2a,L1b+L2b)に亘って圧力低下が合計で該スロットノズル(8)の何れの場所でも一定で同じであることを特徴とする引き出しタンク。
  9. より大きな断面を有するセクション(21a,21b)が略円形断面を有することを特徴とする請求項8に記載の引き出しタンク。
  10. 中央から開始して2つの外側に走る管(21a,21b)が、より大きな断面を有するセクションとして配置されていることを特徴とする請求項9に記載の引き出しタンク
  11. スロットノズル(8)と管(21a,21b)との間の角度(α)が5°〜45°であることを特徴とする請求項10に記載の引き出しタンク
  12. 小断面を有するセクション(22)が矩形断面を有することを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の引き出しタンク
  13. 前記引き出しタンク(7’)が加熱可能であることを特徴とする請求項8ないし請求項12のいずれか1項に記載の引き出しタンク
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