JP4566329B2 - バイト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回折レンズの成型用金型を加工するためのバイトに、関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光磁気ディスクの対物レンズや眼視光学系などの多くの分野に亘って回折レンズが応用されている。これら回折レンズは、光軸を共通の中心とする複数の輪帯(以下、輪帯群という)が形成された回折レンズ面を有し、波長フィルター機能や色収差補正機能などの特性を有する。
【0003】
回折レンズ面に刻まれる輪帯群は、そのレンズ面において、光軸から離れる方向に沿って階段状に形成され、各輪帯の表面は、ベースとなるレンズ面が球面状であった場合には、夫々球面状に湾曲している。
【0004】
このような輪帯群を備えた回折レンズにおいては、隣接する輪帯の間の境界部を光軸と平行な円柱面状に形成することが理論的に好ましいと、されている。しかし、回折レンズの回折レンズ面は金型を用いてモールド成型されるのが一般的であるので、レンズの素材を金型の隅々まで充填させるために、或いは、抜き勾配を設けることを目的として、当該境界部を光軸を中心軸とする円錐面状に形成しても良いことが知られている。
【0005】
上述した回折レンズ面を成型するための金型としては、先端面に回折レンズ面の反転形状が粗加工された円柱形の金属が、用いられる。この円柱形の金属(以下、ワークという)は、旋盤上において加工される際、旋盤に備えられる主軸台の主軸スピンドルに、取り付けられる。旋盤の主軸台は、主軸スピンドルを回転駆動することができ、このワークは、輪帯の中心軸が主軸スピンドルの回転軸と同軸となるように、固定される。また、このワークを切削加工するために、金属切削用の刃物であるバイトが、用いられる。このバイトは、旋盤に備えられる往復台の最上部に設置された刃物台に、取り付けられる。旋盤の往復台は、バイトを水平方向に移動させることができ、このバイトを刃物台に取り付けるときには、その切っ先(エッジコーナ,ノーズとも言う)が主軸スピンドルの回転軸を含む水平面に沿って平行移動できるように、バイトの高さが調整される。
【0006】
そして、ワークが加工される際、主軸台によってワークが回転駆動されるとともに、バイトを取り付けた往復台がコンピュータの自動制御又は作業者によって操作されることにより、ワークの先端面(切削対象面)上に形成される各輪帯面及び円錐面が、夫々できるだけ滑らかな面となるように、切削される。
【0007】
従来より、このワークの切削対象面を加工するために、単結晶ダイヤモンドの材質からなるバイトが、用いられている。このバイトは、図6に示すように、全体として略三角柱状に、形成され、略楔形状のシャンク30の先端に固着された状態で、使用される。
【0008】
略三角柱状のバイト31は、図8に示すように、略三角形の上面における2つ直線辺縁32,35がなす角度が約40度から約55度となるように、形成されている。その一方の直線辺縁32は、直線状の刃先として鋭利に研がれることにより、主切れ刃(主刃,横切刃とも言う)を、構成している。ここで、もう一方の直線辺縁35を、便宜上、「直線辺部」と称することにする。
【0009】
この主切れ刃32において上面36に接する一側面37は、主切れ刃32がワークと接している時にワークに対して干渉することを防ぐために、上面36に対して直角より若干鋭角な角度を有した状態で接することにより、主逃げ面を、構成している。なお、バイト31の上面36は、金属を切削した際に切りくずが削り出されていくすくい面を、構成している。
【0010】
また、図7に示すように、このバイト31のすくい面36において、主切れ刃32と直線辺部35とがなす頂角が、すくい面36及び主切れ刃32に対して略直角な方向に、切り落とされている。その頂角が切り落とされることによってすくい面36上に形成された直線辺縁34は、約3μmの長さを有し、直線状の刃先として鋭利に研がれることにより、副切れ刃(副刃,前切刃とも言う)を、構成している。
【0011】
この副切れ刃34においてすくい面36に接する側面(切り落とされてできた平坦面)38は、副切れ刃34がワークと接している時にワークに対して干渉することを防ぐために、すくい面36に対して直角より若干鋭角な角度を有した状態で接することにより、副逃げ面を、構成している。ここで、主切れ刃32及び副切れ刃34が接する頂角の先端33が、バイト31の「切っ先」である。
【0012】
このような形状に形成されているバイト31によって、輪帯面及び円錐面を備えた回折レンズ面の反転形状を工作物の先端面に切削する際には、回折レンズの回折効率を向上させるために、各輪帯の表面の粗さを低減することと境界部の形状の精度を高めることとが、要求される。
【0013】
このような要求を満たすために本願出願人が先に出願した特願平10−75701号の「輪帯レンズ成形用金型の加工方法及びそのバイト」では、バイト31の主副切れ刃32,34をワークの回転軸を含む水平面に沿って回転軸に近づく方向に平行移動させながらワークの切削対象面を加工する際に、回転軸から離れるほど回転軸に対して主切れ刃32を傾かせながら各輪帯面及び円錐面を形成する方法が、示されている。
【0014】
この方法によると、夫々球面の一部をなす輪帯の表面を副切れ刃34によって削る場合、回転軸に対して輪帯面の法線が傾く角度に応じて、切っ先33を通って水平面に垂直な軸周りにバイト31を回転させることにより、直線状の短い刃先からなる副切れ刃34を輪帯面の各接平面に対して常に平行となる向きに向けることができるので、各輪帯の表面の粗さをより小さくすることができると、されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6乃至図8に示すような従来のバイト31は、主切れ刃32と直線辺部35とがなす角度を40度以上の角度にした場合でも、その先端部分の副切れ刃34の幅が約3μmと細いために、輪帯面や円錐面を形成している途中で破損(いわゆるチッピング)が生じ易い。
【0016】
然も、切削対象面の表面粗さを低減するために、送りピッチ(工作物が一回転する間にバイト31が回転軸に向かって削り進む距離)を小さくする必要があり、且つ、副切れ刃34の幅が極めて小さいことに因り、単位長さ当たりの刃先が受け持つ切削量がかなり多く、バイト31の寿命が極端に短い。
【0017】
また、主副切れ刃32,34の刃先を研いでバイト31を再利用しようとしても、バイト31のすくい面36や主副逃げ面37,38等の多くの面を再研磨しなければならない。特に、副切れ刃34は、その幅が大きすぎると輪帯の表面の粗さが大きくなり、その幅が小さすぎるとバイト31の先端が欠け易くなるので、再研磨の度に主副両逃げ面37,38を必ず研磨して、副切れ刃38の幅を毎回一定に保たなければならない。ところが、バイト31は単結晶ダイヤモンドの材質からなるので、このような再研磨には、時間もコストも掛かってしまう。
【0018】
そこで、本発明の課題は、従来よりも強い強度の先端部分を有し、送りピッチを大きく取っても加工対象としての輪帯面の表面粗さを増大させることなく、然も、摩耗した場合でも再研磨を容易に行うことができる回折レンズ金型加工用のバイトを、提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために構成された本発明であるバイトは、直線状の刃先からなる主切れ刃と前記主切れ刃に対して切っ先で接する弧状の刃先からなる副切れ刃とをすくい面の側縁に備え、前記切っ先における前記主切れ刃と前記副切れ刃とがなす角度が60度以上90度以下であるとともに、前記副切れ刃が凸状に湾曲していることを、特徴とする。
【0020】
このように構成されると、球面状に湾曲する切削対象面を副切れ刃によって切削する際、副切れ刃の切っ先における接線が切削対象面の接平面と平行な状態に保たれた場合、副切れ刃の刃先は、この切削対象面に接した切っ先から離れる側に行くに従って切削対象面から徐々に離れる。このため、副切れ刃の幅を大きく形成しても、副切れ刃における切っ先から離れる側の刃先が、切っ先が接する箇所以外の切削対象面に対して、干渉することがない。
【0021】
さらに、このように副切れ刃の幅を大きく形成することにより、副切れ刃を含むバイトの先端部分の強度が増すので、切削加工中にその先端部分が損傷しにくくなる。
【0022】
また、湾曲状の副切れ刃は、広い区域に亘って球面状の切削対象面に、接することができるので、バイトによって切削対象面加工する際には、表面粗さを大きくすることなく、送りピッチを大きくすることができる。
【0023】
そして、主副切れ刃が摩耗したときには、すくい面のみを研磨するだけで再研磨を完了することができる。各面を研磨する必要がないので、簡単に、且つ、短時間に再生することができる。
【0024】
本発明によるバイトでは、切っ先において主切れ刃と副切れ刃とがなす角度が、90度未満に形成されても良いし、90度に形成されても良い。前者の場合には、60度以上に形成されていることが好ましく、75度以上に形成されていると、より望ましい。後者の場合には、切削対象面において隣接する輪帯の境界部には、輪帯面に対して90度をなす円錐面が、形成される。
【0025】
また、本発明によるバイトでは、副切れ刃の刃先の形状を弧状としても良いし、円弧状としても良い。後者の場合には、その曲率半径を約0.1mm〜約0.5mmに設定することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るバイトの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態によるバイト1の全体斜視図である。また、図2は、本例のバイト1における切っ先3を含む先端部分を拡大した平面図である。
【0028】
本実施形態のバイト1は、金属を切削加工するための刃物である。また、このバイト1は、図1に示すように、全体として略三角柱状に形成されており、単結晶ダイヤモンドの材質からなる。
【0029】
先ず、本例のバイトの各部分の形状及び構成について説明する。
【0030】
略三角柱のバイト1は、略三角形の上面6における2つの直線辺縁2,5に挟まれた角度が約40度から約55度となるように、形成されている。その一方の直線辺縁2は、直線状の刃先として鋭利に研がれることにより、主切れ刃を構成している。ここで、もう一方の直線辺縁5を、便宜上、「直線辺部」と称することにする。
【0031】
この主切れ刃2において上面6に接する一側面7は、主切れ刃2が切削対象物と接している時に切削対象物に対して干渉することを防ぐために、上面6に対して直角より若干鋭角な角度を有した状態で接することにより、主逃げ面を、構成している。なお、バイト1の上面6は、金属を切削した際に切りくずが削り出されていくすくい面を、構成している。
【0032】
そして、略三角形のすくい面6において主切れ刃2と直線辺部5とがなす頂角が、すくい面6に対して略直角な方向に、且つ、主切れ刃2に対して直角に、切り落とされている。これにより、バイト1には、側面8が形成されている。但し、この側面8は、すくい面6に対して略垂直な中心軸を持つ円柱面の一部をなしている。
【0033】
この円柱面状の側面8とすくい面6との稜線は、円弧状の辺縁4をなしている。円弧状の辺縁4は、図2に示すように、すくい面6上において主切れ刃2と接する交点(以下、「切っ先」という)3における円弧の接線(図示せず)が主切れ刃2に対して直角に交差するように、形成されており、切っ先3から離れる側に行くに従ってその接線から遠ざかるように、湾曲している。また、この辺縁4は、すくい面6上において、主切れ刃2に対して垂直な方向における長さが約0.1mmとなるように、形成されている。そして、この辺縁4は、円弧状の刃先として鋭利に研がれることにより、副切れ刃を、構成している。
【0034】
この副切れ刃4においてすくい面6に接する上記側面(切り落とされてできた円柱面)8は、副切れ刃4が切削対象物と接している時に切削対象物に対して干渉することを防ぐために、実際には、すくい面6に対して直角よりも若干鋭角な角度を有した状態で接している。これにより、この側面8は、副逃げ面を構成している。
【0035】
図3は、バイト1をシャンク10に取り付けた状態を示す斜視図である。また、図4は、本例のバイト1を実装する旋盤20の概略構成を示す側面図である。
【0036】
上述した形状からなるバイト1は、図3に示すように、略楔形状のシャンク10の先端に固着された状態で、使用される。そして、バイト1は、図4に示すように、このシャンク10を介して旋盤20に取り付けらる。
【0037】
旋盤20は、主軸スピンドル21aを回転駆動する主軸台21と,水平方向に移動可能な往復台22とから、主に構成されている。往復台22の最上部には、シャンク10を取り付け固定するための刃物台22aが、備えられている。
【0038】
そして、旋盤20の主軸スピンドル21aには、切削対象物である円柱形の金属(以下、ワークという)15が、固定される。このワーク15は、その中心軸が主軸スピンドル21aの回転軸Axと同軸となるように、取り付けられる。
【0039】
また、本例のバイト1が、シャンク10を介して刃物台22aに固定される。
シャンク10を刃物台22aに取り付ける際には、往復台22を水平方向にスライドさせたときに、主軸スピンドル21aの回転軸Axを含む水平面(回転軸Axに沿って紙面に垂直な平面)に沿って主副切れ刃2,4が平行移動するように、バイト1の高さが調整される。
【0040】
図5は、ワーク15の切削対象面がバイト1の先端部分によって加工されている状態を水平面に対して垂直な方向(図4の矢印a)から見たときの断面図を、示している。また、この図5においては、比較のために、二点差線にて従来のバイト31を示し、図6乃至図8に示したものと同じ符号を付している。
【0041】
この図5に示すように、ワーク15の切削対象面(輪帯形成面16)上には、光軸を共通の中心とする複数の輪帯を備えた回折レンズ面の反転形状、即ち、ワーク15の中心軸(回転軸Ax)を共通の中心とする複数の輪帯面16aと,各輪帯面16a間に形成されるとともに夫々回転軸Axを中心軸とした複数の円錐面16bとが、予め粗加工されている。ここで、輪帯形成面16に形成される回折レンズ面のベースとなるレンズ面は、球面に形成されているので、各輪帯面16aは、夫々球面の一部をなす湾曲面として形成されている。
【0042】
そして、ワーク15が加工される際、主軸台21によってワーク15が回転駆動されるとともに、バイト1を取り付けた往復台22がコンピュータ制御によって自動的に操作されることにより、ワーク15の輪帯形成面16上に形成されている各輪帯面16a及び円錐面16bが、夫々滑らかな面となるように、切削される。
【0043】
また、この旋盤20の往復台22には、バイト1を水平方向に縦横に平行移動させる機能の他に、切っ先3を通って水平面に垂直な回転軸(図示せず)を中心としてバイト1を回転させる機能が、備えられている。そして、バイト1の切っ先3を図5の矢印bに示すように移動させて輪帯形成面16を加工する際には、球面の一部をなす輪帯面16aにおける切っ先3が接する箇所の法線方向に対して直線状の主切れ刃2が常に一致するように、バイト1が操作される。
【0044】
このようにバイト1が操作されると、主切れ刃2が各輪帯面16aに対して必ず90度を保ったまま円錐面16bを加工するので、主切れ刃2によって滑らかな面に削られる円錐面16bは、夫々隣接する輪帯面16aに対して垂直となる。また、球面の一部をなす輪帯面16aが円弧状の副切れ刃4によって削られるために、この輪帯面16aは、滑らかな湾曲面(球面)として加工される。
【0045】
このとき、副切れ刃4における円弧が、回転軸から離れる方向に沿って湾曲する輪帯面16aの曲率半径と同程度の半径に、形成されていると、副切れ刃4は、より大きい区域に亘って輪帯面16aに接することができる。これにより、輪帯面16aをより滑らかな湾曲面状に加工することができ、表面粗さ(表面の凹凸の幅)を低減することができる。但し、副切れ刃4における円弧の半径は、どの輪帯面16aの曲率半径よりも若干小さく設定されている。このため、切っ先3が輪帯面16aに接した状態(表面を浚っている状態)では、副切れ刃4は、切っ先3から離れる側に行くに従って輪帯面16aから徐々に離れていく。従って、副切れ刃4における切っ先3から離れる側が、切っ先3及びその近傍が接する箇所以外の輪帯面16aに、干渉することがない。
【0046】
一方、従来のバイト31においても、輪帯面16aの法線方向に主切れ刃32を一致させて輪帯形成面16を加工すると、表面粗さが低減できるとされていた。しかし、図5に示すように、副切れ刃34は極めて小さい幅(図8では約3μm)ではあるが直線状の刃先であるために、微視的には副切れ刃24の両端の角が輪帯面16aに主に接するだけであるので、輪帯面16aには、その副切れ刃34における両端の角の形状(回転軸を中心として螺旋状に広がる筋)が、形成されてしまう。
【0047】
従って、本例のバイト1のように球面の一部をなす輪帯面16aを円弧状の副切れ刃4によって削るほうが、従来のバイト31のように球面の一部をなす輪帯面16aを直線状の副切れ刃34によって削るよりも、刃先の形状が輪帯面16aに転写されることが少なくなり、表面粗さを低減することができる。
【0048】
以上に説明したように、本例のバイト1は、主切れ刃2に対して直角に接する副切れ刃4を円弧状に形成した構成であるから、副切れ刃4の幅は、大きく設けられ得る。これは、副切れ刃4の幅を大きく設けたとしても、円弧の半径を輪帯面16aの曲率半径よりも小さく設けているのであれば、切っ先3が輪帯面16aに接しているとき、副切れ刃4における切っ先3から離れる側の部分が輪帯面16aに干渉することがないからである。
【0049】
このような理由により、本例のバイト1の副切れ刃4は、従来のバイト31の副切れ刃34の幅(約3μm)よりも大きな幅(約0.1mm)に、形成されている。ここで、上記の説明において、副切れ刃4の幅を約0.1mmに設定しているとしたが、これに制限されるものではなく、当該副切れ刃4の幅を、0.1mm以下に、例えば0.05mmに設定しても良く、それ以下であっても良い。
さらに、周囲に干渉しない範囲であれば、0.1mmよりも大きく設定することも可能である。
【0050】
また、このように副切れ刃4の幅が大きく形成される(上記の例で言えば、副切れ刃4は、従来の副切れ刃34の幅に対して約33倍の大きさの幅を有する)ことにより、すくい面6における副切れ刃4を含む先端部分が、図5に示す従来のバイト31の先端部分のような尖った形状とはならない。このように、副切れ刃4を含む先端部分が尖った形状に形成されていないので、バイト1によって輪帯形成面16を加工する際に、副切れ刃4を含む先端部分には、チッピング等の損傷が、従来のバイト31よりも生じにくくなる。
【0051】
さらに、上述したように、副切れ刃4が広い区域に亘って輪帯面16aに接することができるので、表面粗さを大きくすることなく送りピッチを大きく取ることが可能となり、輪帯形成面16を加工する時間を短縮することができる。従来のバイト31は、送りピッチが約1μm(〜約0.1μm)ぐらいまでの大きさに設定されていたが、本例のバイト1において、例えば、送りピッチを2μmにすることが可能であるので、この場合、輪帯形成面16を加工するのに要する時間は約半分となる。
【0052】
さらに、副切れ刃4が広い区域に亘って輪帯面16aに接することができ、且つ、送りピッチを大きくすることができるために、バイト1の寿命が長くなる。
これは、副切れ刃4における単位長さ当たりの刃先が受け持つ切削量が少なくなるためである。
【0053】
そして、本例のバイト1は、主副切れ刃2,4が鋭利でなくなった場合に、再研磨することができる。本例のバイト1では、副切れ刃4の幅がかなり大きく設定されているので、その幅に精度を求める必要が無く、再研磨の際には、すくい面6のみが研磨されれば良い。
【0054】
バイト1の主副逃げ面7,8は、上述したように、夫々すくい面6に対して若干鋭角な角度を有した状態で接している。また、直線辺部5においてすくい面6と接する側面は、実際には、すくい面6に対して直角か又は若干鋭角な角度を有した状態で接している。これにより、すくい面6と平行な方向における副逃げ面8の幅は、すくい面6から離れるに従って徐々に狭くなっていく。
【0055】
このため、すくい面6のみを何度も再研磨していくと、副切れ刃4の幅が研磨毎に徐々に小さくなっていく。しかし、切っ先3における主副切れ刃2,4の間の角度が再研磨毎に一定に保たれていれば、即ち、主逃げ面7と副逃げ面8とが直角に接していれば、多少副切れ刃4の幅が狭くなったとしても問題ない。
【0056】
なお、本例のバイト1では、すくい面6上において切っ先3での主切れ刃2と副切れ刃4とがなす角度が、90度に形成されているとしたが、90度に形成されてなくても良い。輪帯形成面16において互いに隣接する輪帯の境界部が、輪帯面16aに対して直角に形成される場合に限り、当該角度が90度であることが要請される。一方、隣接する輪帯の境界部が、例えば、回転軸Axを中心軸とする円柱面状に形成される場合には、当該角度が90度より小さく設定されても良い。
【0057】
但し、当該角度を極端に小さい角度に設定すると、切っ先3を含む先端部分の強度が落ちる。例えば、副切れ刃4の切っ先3における接線と主切れ刃2とのなす角度が55度以下であると、バイト1の先端部分は尖った形状となってしまうために、従来のバイト31の先端部分と実質的に同形状となってしまう。このため、輪帯形成面16を加工する際に、副切れ刃4を含む先端部分が、欠け易くなる。従って、切っ先3において主切れ刃2と副切れ刃4とがなす角度は、バイト1の先端部分が高強度を有するためには、90度近傍に設定されることが好ましい。
【0058】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のバイトによると、従来よりも強い強度の先端部分を有し、送りピッチを大きく取っても加工対象としての輪帯面の表面粗さを増大させることなく、然も、摩耗した場合でも再研磨を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態によるバイトの全体斜視図
【図2】 本例のバイトにおける切っ先を含む先端部分を拡大した平面図
【図3】 本例のバイトをシャンクに取り付けた状態を示す斜視図
【図4】 本例のバイトを実装する旋盤の概略構成を示す側面図
【図5】 本例のバイトによって切削対象面が加工されている状態を図4の矢印a方向から見たときの断面図
【図6】 従来のバイト及びシャンクの斜視図
【図7】 従来のバイトの斜視図
【図8】 従来のバイトにおける切っ先を含む先端部分を拡大した平面図
【符号の説明】
1 バイト
2 主切れ刃
3 切っ先
4 副切れ刃
5 直線辺部
6 すくい面
7 主逃げ面
8 副逃げ面
10 シャンク
15 ワーク
16 輪帯形成面
16a 輪帯面
16b 円錐面
20 旋盤

Claims (3)

  1. 輪帯を有する回折レンズ面を成型するための金型を加工するために用いられるバイトにおいて、
    直線状の刃先からなる主切れ刃と前記主切れ刃に対して切っ先で接する弧状の刃先からなる副切れ刃とをすくい面の側縁に備え、前記切っ先における前記主切れ刃と前記副切れ刃とがなす角度が60度以上90度以下であるとともに、前記すくい面上において前記副切れ刃の前記切っ先とは逆の端から前記主切れ刃に対しておろした垂線の長さが前記輪帯の幅よりも大きく、前記副切れ刃が凸状に湾曲しており、該湾曲の曲率半径が前記輪帯の曲率半径よりも小さいことを特徴とするバイト。
  2. 前記副切れ刃は、前記切っ先において前記主切れ刃に対して直角に接することを特徴とする請求項1記載のバイト。
  3. 前記副切れ刃は、円弧状の刃先からなることを特徴とする請求項1又は2記載のバイト。
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