JP4565169B2 - pH感応性マイクロカプセル - Google Patents
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Description
【発明の背景】
マイクロカプセル化は、水と混和しない成分を処方するために用いられるよく知られた方法である。マイクロカプセルは、通常、使用前の保存期間中にそれらの活性成分がカプセル壁を透過するのを防ぐように設計される。例えば、懸濁液濃縮物として処方されるマイクロカプセル中に存在する活性成分は、保存中にカプセルから漏出し、その懸濁液の毒物学的特性及び/または物理学的特性における望ましくない変化を引き起こすことができる。特に、活性成分の漏出は、懸濁液の流動、粘性、及び外観に変化をもたらし、そして結晶成長を引き起こすことができる。結晶成長は、懸濁液の粘性を増し、懸濁液中に沈殿物の形成を引き起こし、そして懸濁液を分配するために用いられる装置中に妨害物を生じさせることができるので、特に問題がある。
【0002】
従来、水と混和しない活性成分の透過を防ぐために、厚壁のマイクロカプセルが用いられてきた。しかしながら、厚壁のマイクロカプセルは、それらの意図された目的のために用いられる場合に、それらの活性成分を容易にそして/または完全に放出しないので、全く申し分がない訳ではない。
【0003】
ある種のpH感応性ポリ(スチレン)マイクロカプセルが、Kokufuta等によりBiotechnology and Bioengineering、32、289−294(1988)に記述されている。この文献は、ポリ(スチレン)マイクロカプセルが、これらをpH感応にするために高分子電解質で被覆されることを開示している。しかしながら、水と混和しない成分は、Kokufuta等により記述された方法によりカプセルに包まれることはできない。
【0004】
pH依存性を示すポリ(L−リジン−alt−テレフタル酸)マイクロカプセルが、Miyauchi等によりJournal of Microencapsulation、9(3)、329−333(1992)に記述されている。しかしながら、この文献は、水を含んでいるマイクロカプセルの調製を記述しているだけで、水と混和しない成分を含んでいるマイクロカプセルの調製方法を開示していない。
【0005】
それ故、水と混和しない成分を含み、そして意図された目的のために用いられた場合に内容物を迅速に放出するマイクロカプセルを提供することが本発明の目的である。
【0006】
また、容易に結晶化しない、保存安定の水性のマイクロカプセル組成物を提供することも本発明の目的である。
【0007】
本発明のこれらのそして他の目的は、以下に述べるこれらの詳細な記述からより明らかになる。
【0008】
【発明の構成】
本発明は、殻壁内に水と混和しない活性成分を含んでなり、該殻壁がその中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有する、pH感応性マイクロカプセルを提供する。
【0009】
本発明はまた、これらのマイクロカプセルの病虫害防除剤剤的使用、これらのマイクロカプセルを含んでいる組成物、及びこれらのマイクロカプセルの製造方法にも関する。
【0010】
本発明は、殻壁内に水と混和しない活性成分を含んでなり、該殻壁がその中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有する、pH感応性マイクロカプセルを提供する。
【0011】
本発明のマイクロカプセルは、それらが存在する環境のpHに対する独特な依存性のために、「pH感応(性)」と呼ばれる。都合よく、殻壁中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有するマイクロカプセルは、約pH1からpH5.5までのpH値で安定であり、そして約5.5より高いpH値でそれらの内容物を放出することが見いだされている。
【0012】
独特なことに、本発明のpH感応性マイクロカプセルは、結晶化及び沈殿のような従来の調製物に関連した問題なしに、約pH1からpH5.5までのpH値で長期間保存されることができる。加えて、本発明のマイクロカプセルは、約5.5より高いpHを有する環境にさらされた場合に、それらの内容物を容易に放出する。それに反して、向上した保存安定性のために考案される従来のマイクロカプセルは、意図された目的のために用いられた場合に、それらの内容物を容易にそして/または完全には放出しない。
【0013】
本発明における使用のために適した殻壁は、それらの中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有することができるあらゆる従来の殻壁を含む。好ましくは、殻壁は、各々、その中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有する、ポリアミド、ポリエステル、ポリアミド/ポリエステル共重合体、または架橋したアミノ樹脂である。
【0014】
本発明の好ましい態様において、殻壁に組み入れられた遊離カルボン酸基を有するポリアミド殻壁はハロゲン化ポリ酸及びポリアミンから形成され、殻壁に組み入れられた遊離カルボン酸基を有するポリエステル殻壁はハロゲン化ポリ酸及びポリオールから形成され、殻壁に組み入れられた遊離カルボン酸基を有するポリアミド/ポリエステル殻壁はハロゲン化ポリ酸、ポリアミン、及びポリオールから形成され、そして殻壁に組み入れられた遊離カルボン酸基を有する架橋したアミノ樹脂殻壁はハロゲン化ポリ酸及び水と混和しないアミノ樹脂プレポリマーから形成される。
【0015】
ポリアミド、ポリエステル、及びポリアミド/ポリエステル殻壁がそれらの中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有することを確実にするために、殻壁形成成分中のアミノ及び/またはヒドロキシ基に対するハロゲン化酸基の比は、好ましくは1:1より大きくそして約5:1より小さく、より好ましくは約2:1ないし3:1である。そして架橋したアミノ樹脂殻壁がその中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有することを確実にするために、ハロゲン化ポリ酸に対する水と混和しないアミノ樹脂プレポリマーの比は、好ましくは、重量に基づいて約20:1ないし5:1である。
【0016】
ポリアミド、ポリエステル、またはポリアミド/ポリエステル殻壁中に遊離カルボン酸基が組み入れられた本発明のpH感応性マイクロカプセルの発見は、マイクロカプセル化の最新技術を考慮すると特に意外である。水と混和しない成分をカプセルに包むために用いられる界面重合の原理は、当該技術分野においてよく知られている(例えば、米国特許第3,577,515号;米国特許第4,360,376号及び米国特許第4,563,212号を参照)。これらの特許は、ハロゲン化酸基に対する少なくとも化学量的な量のアミノ及び/またはヒドロキシ基の使用を開示し、そしてさらにハロゲン化酸基に対するアミノ及び/またはヒドロキシ基の比が好ましくは1:1より大きいことを開示している。しかしながら、これらの特許において要求されるような等しいまたは過剰量のアミノ及び/またはヒドロキシ基が用いられる場合、遊離カルボン酸基は生じない。
【0017】
架橋したアミノ樹脂殻壁中に遊離カルボン酸基を組み入れられた本発明のpH感応性マイクロカプセルは、米国特許第4,956,129号を考慮すると特に意外である。米国特許第4,956,129号は、水と混和しないエーテル化した尿素−ホルムアルデヒドプレポリマーから形成される、架橋したアミノ樹脂殻壁を有するマイクロカプセルの調製を記述している。しかしながら、この特許の方法により調製されたマイクロカプセルは、pH感応性を示さない。実際、この特許は、いったん殻壁が形成されると、あらゆる水溶性の塩基を加えることにより、水性のマイクロカプセル組成のpHを上げることが好ましいと教示している。
【0018】
本発明のマイクロカプセルのpH感応性は、これらを農業用途における使用のために特に適したものにする。これらのマイクロカプセルは、いかなる著しい劣化もなしに数カ月間、低いpHを有する水性組成において保存されることができる。これらの安定な組成は、次に、水で希釈され、そして土壌に噴霧されることができる。土壌のpHは、通例、5.5より高いので、本発明のマイクロカプセルは、殻壁中に遊離カルボン酸基が組み入れられていないマイクロカプセルより著しく速くそして/または完全にそれらの内容物を放出する。
【0019】
本発明における使用のために適したハロゲン化ポリ酸は、ハロゲン化三酸及びハロゲン化二酸のような通常のハロゲン化ポリ酸を含む。好ましいハロゲン化ポリ酸は、三酸クロライド、三酸ブロマイド、二酸クロライド、及び二酸ブロマイドである。トリメソイルクロライド、三量体酸クロライドなどのような三酸クロライド、及びテレフタロイルクロライド、セバコイルクロライド、アジポイルクロライド、アゼラオイルクロライド、ドデカン二酸クロライド、二量体酸クロライドなどのような二酸クロライドがより好ましい。加えて、ハロゲン化ポリ酸等価体もまた、殻壁形成反応において用いられることができる。
【0020】
本発明における使用のために適したポリアミンは、ジアミン及びトリアミンのような通常のポリアミンを含む。1,6−ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、プロピレン−1,3−ジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−及び2,6−トルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどのようなジアミン、並びにジエチレントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、2,4,6−トリアミノトルエンなどのようなトリアミンが、本発明における使用のために適し、そしてジアミンが好ましい。これらのポリアミンの塩酸塩もまた、遊離カルボン酸基を有するポリアミド殻壁を形成するために用いられることができる。
【0021】
使用のために適しているポリオールは、ジオール及びトリオールのような通常のポリオールを含む。好ましいポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのようなグリコール、ビスフェノールA、ヒドロキノン、レソルシノール、カテコール、ピロガロール、フロログルシノール二水和物、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパンなどを含み、そしてエチレングリコールがより好ましい。
【0022】
本発明における使用のために適した水と混和しないアミノ樹脂プレポリマーは、部分的にエーテル化された尿素−ホルムアルデヒドプレポリマー、部分的にエーテル化されたメラミン−ホルムアルデヒドプレポリマーなどのような通常の水と混和しないアミノ樹脂プレポリマー及びこれらの混合物を含み、そして部分的にエーテル化された尿素−ホルムアルデヒドプレポリマーが好ましい。部分的にエーテル化された尿素−ホルムアルデヒド及びメラミン−ホルムアルデヒドプレポリマーは、それぞれ、対応する尿素−及びメラミン−ホルムアルデヒドプレポリマーのメチロール基の約50%ないし98%のヒドロキシル水素原子がC4−C10アルキル基で置換される、尿素−ホルムアルデヒド及びメラミン−ホルムアルデヒドプレポリマーである。本発明の好ましい態様において、尿素−及びメラミン−ホルムアルデヒドプレポリマーの約60%ないし90%のメチロール基はn−ブタノールでエーテル化される。エーテル化された尿素−ホルムアルデヒドプレポリマーのさらなる記述及びこれらの製造方法は、米国特許第4,956,129号において提示されている。
【0023】
一般的に、約100℃未満の融点を有するか、または水と混和しない溶媒中に可溶であり、そして殻壁形成成分と融和する、あらゆる水と混和しない活性成分が本発明において用いられることができる。本発明のpH感応性マイクロカプセルは、好ましくは、除草剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、殺線虫剤、殺真菌剤、殺陸貝剤、植物成長調製物質、毒性緩和剤、アルジサイド、カビ駆除剤、外部寄生虫駆除剤などのような水と混和しない農業化合物、及びこれらの組み合わせを含む。除草剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、殺線虫剤、殺真菌剤、及び殺陸貝剤が好ましい。本発明における使用のために特に適した除草剤化合物は、ペンジメタリン及びトリフルラリンのようなジニトロアニリン化合物、並びにアラクロル(alachlor)、メトラクロル(metolachlor)、及びプロパクロル(propachlor)のようなハロアセトアニリド化合物を含む。本発明における使用のために特に適した殺虫剤化合物は、テルブホス、マラチオン、クロルピリホス、ジアジノン、及びプロフェノホス(profenofos)のようなリン酸エステル化合物、並びにサイパー(cyper)メトリン、アルファ−サイパーメトリン、及びペルメトリンのようなピレスロイド化合物を含む。
【0024】
本発明のpH感応性マイクロカプセルは、典型的には、約1マイクロメートルないし200マイクロメートル、好ましくは約3マイクロメートルないし50マイクロメートル、そしてより好ましくは約5ないし15マイクロメートルの中央値直径を有する。
【0025】
本発明はまた、ポリアミド、ポリエステル、ポリアミド/ポリエステル、または架橋したアミノ樹脂殻壁を有する水と混和しない活性成分を含んでいる水性のマイクロカプセルを製造するための改善された方法にも関し、その改善は、殻壁形成中に過剰のハロゲン化ポリ酸を加えることにより該殻壁中に遊離カルボン酸基を組み入れることを含んでなる。
【0026】
過剰のハロゲン化ポリ酸は、常法を越えた量を意味し、すなわち、(1)ポリアミド、ポリエステル、またはポリアミド/ポリエステル殻壁の場合、殻壁形成成分中に存在するアミノ及び/またはヒドロキシ基に対するハロゲン化酸基の比は、本発明によると1:1より大きくそして約5:1より小さくなければならず、一方、従来法はより少ないハロゲン化ポリ酸を使用し、そして、(2)ハロゲン化ポリ酸が通常添加されない架橋したアミノ樹脂殻壁の場合、本発明は、本発明におけるハロゲン化ポリ酸に対するアミノ樹脂プレポリマー殻壁形成成分の比が好ましくは重量に基づいて約20:1ないし5:1であるようなハロゲン化ポリ酸の使用を意図する。
【0027】
本発明の工程は、都合よく、通常の温度で行われることができる。もちろん、温度は、形成される殻壁の型による。ポリアミド、ポリエステル、ポリアミド/ポリエステル殻壁を形成する場合、その工程は、通常、水と混和しない活性成分を液体状態に保つために、そして壁形成反応速度を増大するために高い温度で行われ、この工程は、好ましくは、約35℃ないし85℃の温度で行われ、そしてより好ましくは、約50℃ないし65℃の温度で行われる。架橋したアミノ樹脂殻壁を形成する場合、殻壁の形成を確実にするために、エマルジョンは、通例、約50℃ないし100℃に加熱され、この温度(好ましくは、60°ないし80℃)はまた、ハロゲン化ポリ酸及びアミノ樹脂プレポリマーが反応し、殻壁中に含まれた遊離カルボン酸基を有する架橋したアミノ樹脂殻壁を形成することを可能にする。
【0028】
本発明の方法の好ましい態様において、水性のpH感応性マイクロカプセル組成物のpHは、約pH1ないしpH5.5であり、好ましくは約pH2ないしpH4である。水性のpH感応性マイクロカプセル組成物が望ましいpHの範囲にあることを確実にするために、塩基または塩基の混合物が殻壁形成中または後に加えられることができる。本発明における使用のために適した塩基は、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物及び炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムのようなアルカリ金属の炭酸塩を含む。水酸化ナトリウムが好ましい塩基である。
【0029】
様々な殻壁の厚さが本発明により得られることができる。一般的に、壁の厚さは、マイクロカプセルに対して要求される用途に対応して選択される。ポリアミド、ポリエステル、またはポリアミド/ポリエステルで製造された殻壁を形成する場合、水と混和しない溶液は、ハロゲン化ポリ酸の重量で、好ましくは約1%ないし15%、より好ましくは約2%ないし8%を含み、そしてポリアミン、ポリオール、またはこれらの混合物は、水と混和しない溶液の重量に対して重量で約0.3%から5%まで、より好ましくは約0.6%から3%までの量において存在する。架橋したアミノ樹脂殻壁を形成する場合、水と混和しない溶液は、好ましくは、ハロゲン化ポリ酸の重量で約1%ないし3%、そしてアミノ樹脂プレポリマーの重量で約5%ないし20%を含む。
【0030】
都合よく、pH感応性マイクロカプセルは、あらゆる通常の乳化剤を用いて調製されることができる。特に、ポリビニルアルコール、アルキル化ビニルピロリドン重合体、エトキシル化リグノスルホン酸塩、リグノスルホン酸塩、酸化リグニン、リグニン塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体の塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体の部分エステルの塩、ポリアクリル酸の部分塩、ポリアクリル酸三元共重合体の部分塩などのような乳化剤、及びこれらの混合物が、本発明の方法における使用のために適している。上記の乳化剤において、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウム塩が、通例好ましく、そしてナトリウム及びマグネシウム塩が特に好ましい。本発明の方法における使用のために好ましい乳化剤は、ポリビニルアルコール、アルキル化ビニルピロリドン重合体、及びリグノスルホン酸塩を含む。
【0031】
本発明の方法において用いられる水溶液は、乳化剤または乳化剤の混合物の重量で、好ましくは約0.5%ないし5%、より好ましくは約1%ないし3%を含む。本発明の方法により調製された水性のpH感応性マイクロカプセル組成物は、水と混和しない活性成分の重量で、好ましくは約5%ないし60%、より好ましくは約20%ないし50%を含む。
【0032】
本発明の方法において用いられる水と混和しない溶液は、アミノ樹脂プレポリマーが用いられる場合は、温度が壁形成反応を開始するために必要とされる温度より低いという条件で、活性成分の融点以上の温度で、ハロゲン化ポリ酸及び、必要な場合、アミノ樹脂プレポリマーを活性成分と混合することにより調製される。代わりに、水と混和しない溶液は、ハロゲン化ポリ酸及び、必要とされる場合、アミノ樹脂プレポリマーを、適当な水と混和しない溶媒中の活性成分の溶液と混合することにより調製されることができる。
【0033】
使用のために適している水と混和しない溶媒は、本発明の方法において用いられる成分のあらゆるものと望ましくなく反応しない溶媒を含む。適した溶媒は、水と混和しない炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、ケトン、長鎖エステル、及びこれらの混合物を含む。
【0034】
より詳細には、本発明は、架橋したアミノ樹脂殻壁中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有する水性のpH感応性マイクロカプセル組成物の製造方法を提供し、この方法は、
(a)乳化剤を含んでいる水溶液を用意し、
(b)この水溶液中に、水と混和しないアミノ樹脂プレポリマー、ハロゲン化ポリ酸、及び水と混和しない活性成分を含んでなる水と混和しない溶液を撹拌しながら分散させてエマルジョンを形成し、好ましくは、ハロゲン化ポリ酸に対するアミノ樹脂プレポリマーの比が、重量に基づいて約20:1ないし5:1であり、そして、
(c)このエマルジョンを約50℃ないし100℃に加熱する、
ことを含んでなる。
【0035】
本発明の好ましい態様において、アミノ樹脂プレポリマーは、アルコール中の溶液またはアルコール及びキシレン中の混合物の形態において提供されるエーテル化された尿素−ホルムアルデヒドプレポリマーである。一般的に、これらの溶液及び混合物において用いられるアルコールは、対応する尿素−ホルムアルデヒドプレポリマーをエーテル化するために用いられるアルコールと同じである。
【0036】
他の特別な態様において、本発明はまた、好ましい方法、すなわち、ポリアミド、ポリエステル、またはポリアミド/ポリエステル殻壁中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有する水性のpH感応性マイクロカプセル組成物の調製にも関し、この方法は、
(a)乳化剤を含んでなる水溶液を用意し、
(b)この水溶液中に、ハロゲン化ポリ酸及び水と混和しない活性成分を含んでなる水と混和しない溶液を撹拌しながら分散させてエマルジョンを形成し、
(c)工程(b)のエマルジョンに、アミノ及び/またはヒドロキシ基に対するハロゲン化酸基の比が1:1より大きく、そして約5:1より小さいという条件で、ポリアミン、ポリオール、またはこれらの混合物を撹拌しながら加える、ことを含んでなる。
【0037】
本発明の方法によりポリアミド、ポリエステル、またはポリアミド/ポリエステル殻壁を形成する場合、アミノ及び/またはヒドロキシ基に対するハロゲン化酸基の比は、マイクロカプセル殻壁に遊離カルボン酸基が組み入れられることを保証するので、特に重要な特徴である。好ましい態様において、殻壁形成成分中のアミノ及び/またはヒドロキシ基に対するハロゲン化酸基の比は、約2:1ないし3:1である。
【0038】
ポリアミン及びポリオールと反応する、ポリイソシアン酸エステル、ポリクロロギ酸エステル、及びポリスルホニルクロライドのような付加的な壁形成成分が、この好ましい方法の水と混和しない溶液に加えられることができる。これらの付加的な壁形成成分は、殻壁中の遊離カルボン酸基の形成を妨げないような量において加えられる。
【0039】
本発明は、さらに、約pH1ないしpH5.5のpHを有する水溶液中に懸濁された、殻壁内に水と混和しない活性成分を含んでなり、該殻壁がその中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有する、水性のpH感応性マイクロカプセル組成物を提供する。
【0040】
保存安定な水性のpH感応性マイクロカプセル組成物を得るために、組成物のpHは、水と混和しない成分の早すぎる放出を防ぐために、好ましくは約pH4より低い。本発明の好ましい態様において、水性のpH感応性マイクロカプセル組成物のpHは、約pH2ないしpH4である。
【0041】
本発明はまた、殻壁内に水と混和しない病虫害防除剤を含んでなり、該殻壁がその中に含まれた遊離カルボン酸基を有する、病虫害防除剤的に有効量のマイクロカプセル化した病虫害防除剤を害虫の場所につけることにより、雑草、昆虫、ダニ、真菌、線虫などのような害虫を制御するための方法も提供する。特に、本発明は、殻壁内に水と混和しない除草剤を含んでなり、該殻壁がその中に含まれた遊離カルボン酸基を有する、除草剤的に有効量のマイクロカプセル化した除草剤を、植物の葉にまたは種子を含んでいる土壌もしくは水にまたはそれらの他の増殖している組織につけることを含んでなる、望ましくない植物種を制御するための方法を提供する。
【0042】
本発明はまた、作物学的に受容しうる不活性の固体または液体担体、及び殻壁内に水と混和しない病虫害防除剤を含んでなり、該殻壁がその中に含まれた遊離カルボン酸基を有する、病虫害防除剤的に有効量のマイクロカプセル化した病虫害防除剤を含んでなる病虫害防除剤組成物も提供する。都合よく、本発明の水性のpH感応性マイクロカプセル組成物は、病虫害防除剤組成物として直接用いられることができ、そして使用のために水で希釈される。代わりに、抗沈殿(antisettling)剤、塩、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、不凍剤などのような付加的な成分が、本発明の水性のpH感応性マイクロカプセル組成物に加えられることができる。本発明の病虫害防除剤組成物は、好ましくは、約pH2ないしpH4のpHを有する。
【0043】
【実施例】
本発明のさらなる理解を容易にするために、以下の実施例が、主として、そのより具体的な詳細を例示する目的のために提示される。本発明の全範囲は請求において特定されるので、本発明は、これらの実施例により制限されるとみなされるべきではない。
【0044】
実施例1
トリメソイルクロライド、1,6−ヘキサメチレンジアミン、及びポリビニルアルコールを用いたpH感応性マイクロカプセル組成物の調製
ペンジメタリン(70.0g)、トリメソイルクロライド(5.0g)、及びAROMATICR200(商標)、芳香族炭化水素混合物(C10ないしC13芳香族化合物、蒸留範囲226℃−279℃)、EXXON Corp.、Houston、TX(85.0g)の混合物を60℃で撹拌し、水と混和しない溶液を得る。この水と混和しない溶液を、ポリビニルアルコール溶液(120.0gの2wt/wt%溶液)に60℃で撹拌しながら加え、エマルジョンを得る。その後、スターラーの速度を下げ、そして撹拌したエマルジョンに1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMDA、2.2gの50wt/wt%溶液)、水酸化ナトリウム(1.8gの50wt/wt%溶液)、及び水(31.0g)の溶液を加え、得られた混合物を60℃で約4時間撹拌し、表Iにおいて組成物番号1として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を形成する。
【0045】
本質的に同じ方法を用いて、表Iにおいて組成物番号2−12として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を得る。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例2
Beetle 1050 R (商標)樹脂及びトリメソイルクロライドを用いたpH感応性マイクロカプセル組成物の調製
ペンジメタリン(110.0g)、Beetle 1050R(商標)樹脂1(20.0g)、トリメソイルクロライド(2.5g)、及びAROMATICR2002(商標)(30.0g)の混合物を55℃で撹拌し、水と混和しない溶液を得る。この水と混和しない溶液を、120gの2wt/wt% AIRVOLR 2053(商標)溶液及び10.0gの20wt/wt% REAXR88B4(商標)溶液の水溶液に65℃で撹拌しながら加え、エマルジョンを得る。温度をゆっくりと70℃に上げながら、このエマルジョンを1時間撹拌する。さらなる水(50.0g)を加え、そしてエマルジョンを70℃で1時間撹拌し、そして室温まで冷却させ、表IIにおいて組成物番号13として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を得る。
【0048】
本質的に同じ方法を用いて、表IIにおいて組成物番号14−19として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を得る。
【0049】
1 キシレン及びn−ブタノール中のブチル化された尿素−ホルムアルデヒド樹脂、Cytec Industries、West Paterson、NJ。
【0050】
2 芳香族炭化水素混合物(C10ないしC13芳香族化合物、蒸留範囲226°−279℃)、Exxon Corp.、Houston、TX。
【0051】
3 部分的に加水分解した酢酸ビニル重合体、Air Products andChemicals Inc.、Allentown、PA。
【0052】
4 リグノスルホン酸のナトリウム塩、Westvaco、CharlestonHeights、SC。
【0053】
【表2】
【0054】
実施例3
カプセル壁中にMONDUR R MRS(商標)を含んでいるpH感応性マイクロカプセル組成物の調製
ペンジメタリン(110.0g)、トリメソイルクロライド(1.0g)、MONDURRMRS(商標)、4,4’−ジフェニルジイソシアナート重合体、Mobay Corp.、Pittsburgh、PA(7.5g)、及びAROMATICR2002(商標)(30g)の混合物を50℃で撹拌し、水と混和しない溶液を得る。この水と混和しない溶液を、ポリビニルアルコール溶液(120gの2wt/wt%溶液)に50℃で撹拌しながら加え、エマルジョンを得る。その後、スターラーの速度を下げ、そして撹拌したエマルジョンに1,6−ヘキサメチレンジアミン(0.44gの50wt/wt%溶液)、水酸化ナトリウム(0.36gの50wt/wt%溶液)、及び水(20.0g)の溶液を加え、得られた混合物を50℃で約3時間撹拌し、表IIIにおいて組成物番号20として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を形成する。
【0055】
本質的に同じ方法を用いて、表IIIにおいて組成物番号21−27として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を得る。
【0056】
【表3】
【0057】
実施例4
マイクロカプセル形成前に塩を用いたpH感応性マイクロカプセル組成物の調製
塩化ナトリウム(30.0g)、REAXR88B(商標)、リグノスルホン酸のナトリウム塩、Westvaco、Charleston Heights、SC(4.27g)、及び水(146.0g)の混合物を塩酸(2.36gの10wt/wt%溶液)でpH7に調整し、そして60℃で撹拌し、水溶液を得る。この水溶液に(ペンジメタリン(110.0g)、トリメソイルクロライド(5.0g)、及びAROMATICR200(商標)(30g)の混合物を60℃に加熱することにより前もって調製した)水と混和しない溶液を撹拌しながら加え、エマルジョンを得る。その後、スターラーの速度を下げ、そして撹拌したエマルジョンに1,6−ヘキサメチレンジアミン(3.28gの50wt/wt%溶液)、水酸化ナトリウム(1.80gの50wt/wt%溶液)、及び水(20.0g)の溶液を加え、得られた混合物を60℃で約3時間撹拌し、表IVにおいて組成物番号28として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を形成する。
【0058】
本質的に同じ方法を用いて、表IVにおいて組成物番号29−31として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を得る。
【0059】
【表4】
【0060】
実施例5
乳化剤としてREAX R 88B(商標)を用いたpH感応性マイクロカプセル組成物の調製
REAXR88B(商標)(4.27g)及び水(146.0g)の混合物を塩酸(2.48gの10wt/wt%溶液)でpH7に調整し、そして60℃で撹拌し、水溶液を得る。この水溶液に(ペンジメタリン(140.0g)、トリメソイルクロライド(5.0g)、及びAROMATICR200(商標)(10g)の混合物を60℃に加熱することにより前もって調製した)水と混和しない溶液を撹拌しながら加え、エマルジョンを得る。その後、スターラーの速度を下げ、そして撹拌したエマルジョンに1,6−ヘキサメチレンジアミン(3.28gの50wt/wt%溶液)、水酸化ナトリウム(1.80gの50wt/wt%溶液)、及び水(20.0g)の溶液を加え、得られた混合物を60℃で約3時間撹拌し、表Vにおいて組成物番号32として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を形成する。
【0061】
本質的に同じ方法を用いて、表Vにおいて組成物番号33及び34として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を得る。
【0062】
【表5】
【0063】
実施例6
カプセル壁中にMONDUR R MRS(商標)を含み、そしてマイクロカプセル形成前に塩を用いて調製したpH感応性マイクロカプセル組成物の調製
塩化ナトリウム(20g)、REAXR88B(商標)(4.27g)、及び水(145.73g)の混合物を塩酸(3.54gの10wt/wt%溶液)でpH7に調整し、そして60℃で撹拌し、水溶液を得る。この水溶液に(ペンジメタリン(55.0g)、MONDURRMRS(商標)(2.75g)、トリメソイルクロライド(2.75g)、及びAROMATICR200(商標)(15g)の混合物を50℃に加熱することにより前もって調製した)水と混和しない溶液を撹拌しながら加え、エマルジョンを得る。その後、スターラーの速度を下げ、そして撹拌したエマルジョンに1,6−ヘキサメチレンジアミン(1.20gの50wt/wt%溶液)、水酸化ナトリウム(0.99gの50wt/wt%溶液)、及び水(10g)の溶液を加え、得られた混合物を50℃で約3時間撹拌し、以下に組成物番号35として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を形成する。
【0064】
実施例7
カプセル壁形成反応を触媒するためにジラウリン酸ジブチルチン(dibutyltin dilaurate)を用いたpH感応性マイクロカプセル組成物の調製
ペンジメタリン(110.0g)、トリメソイルクロライド(5.5g)、MONDURRMRS(商標)(5.5g)、ジラウリン酸ジブチルチン(AROMATICR200(商標)中の0.5gの10wt/wt%溶液)、及びAROMATICR200(商標)(30g)の混合物を50℃で撹拌し、水と混和しない溶液を得る。この水と混和しない溶液をポリビニルアルコール溶液(130.0gの2wt/wt%溶液)に50℃で撹拌しながら加え、エマルジョンを得る。その後、スターラーの速度を下げ、そして撹拌したエマルジョンに1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMDA、2.4gの50wt/wt%溶液)、水酸化ナトリウム(1.98gの50wt/wt%溶液)、及び水(14.12g)の溶液を加え、得られた混合物を50℃で約3時間撹拌し、表VIにおいて組成物番号36として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を形成する。
【0065】
本質的に同じ方法を用いるが、用いる1,6−ヘキサメチレンジアミンの量を変えて、表VIにおいて組成物番号37−39として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を得る。
【0066】
【表6】
【0067】
実施例8
SPAN R 80(商標)を含んでいるpH感応性マイクロカプセル組成物の調製
REAXR88B(商標)(4.27g)及び水(150.0g)の混合物を塩酸(3.56gの10wt/wt%溶液)でpH7に調整し、そして60℃で撹拌し、水溶液を得る。この水溶液に(ペンジメタリン(55.0g)、MONDURRMRS(商標)(2.75g)、トリメソイルクロライド(2.75g)、SPANR80(商標)、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ICI AMericas Inc.、Wilmington、DE(0.28g)、及びAROMATICR200(商標)(15.0g)の混合物を50℃に加熱することにより前もって調製した)水と混和しない溶液を撹拌しながら加え、エマルジョンを得る。その後、スターラーの速度を下げ、そして撹拌したエマルジョンに1,6−ヘキサメチレンジアミン(1.20gの50wt/wt%溶液)、水酸化ナトリウム(0.99gの50wt/wt%溶液)、及び水(40.0g)の溶液を加え、得られた混合物を50℃で約3時間撹拌し、以下に組成物番号40として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を形成する。
【0068】
本質的に同じ方法を用いるが、水溶液に塩化ナトリウムを加えて、以下に組成物番号41として識別されるpH感応性マイクロカプセル組成物を得る。
【0069】
実施例9
pH感応性マイクロカプセル濃縮組成物の調製
塩化ナトリウム(26.24g)を(実施例5からの)165.0gの組成物番号32に撹拌しながら加え、表VIIにおいて組成物番号42として識別されるpH感応性マイクロカプセル濃縮組成物を形成する。
【0070】
本質的に同じ方法を用いるが、(実施例4からの)170.0gの組成物番号28に11.24gの塩化ナトリウムを加えて、表VIIにおいて組成物番号43として識別されるpH感応性マイクロカプセル濃縮組成物を得る。
【0071】
【表7】
【0072】
実施例10
マイクロカプセル組成物のpH感応性の評価
バッファー溶液の調製
様々な量のバッファー溶液濃縮物を100mLの30vol/vol%イソプロパノール溶液に加え、以下に示されるバッファー溶液を得る。
【0073】
バッファー溶液濃縮物 加えた濃縮物のグラム
氷酢酸 0.50
氷酢酸 0.50
+ 50wt/wt% NaOH溶液 0.35
氷酢酸 2.50
+ 50wt/wt% NaOH溶液 2.85
KH2PO4 1.00
+ 50wt/wt% NaOH溶液 0.20
K2HPO4 1.00
+ KH2PO4 0.10
ホウ酸 0.30
+ 50wt/wt% NaOH溶液 0.20
pH感応性の評価
ペンジメタリンを含んでいる適当なマイクロカプセル組成物の1グラムを脱イオン水で20.00gに希釈する。(マイクロカプセル組成物中のペンジメタリンの最初のwt/wt%から計算されるように)0.0100gのペンジメタリンを含む得られた分散物の量を200mLのガラス瓶中に置く。100ミリリットルの適当なバッファー溶液をこの瓶に加え、得られた分散物を低速で撹拌し、そして分散物のpHを測定する。4、16、及び/または32分の時間間隔で、分散物の3mLサンプルを10mLの注射器に抜き出し、そしてテフロンミリポアフィルターを通してキュベット中に押し出す。キュベット中の溶液の吸収を400nmで測定する。
【0074】
30vol/vol%イソプロパノール溶液中のペンジメタリンの希釈溶液を用いて、wt/wt%ペンジメタリン対吸収の標準検量線を用意する。
【0075】
標準検量線及び400nmでのサンプルの吸収を用いて、サンプル中のパーセントペンジメタリンを測定する。次に、マイクロカプセル組成物中のペンジメタリンの最初の量(0.0100g)及びサンプル中のパーセントペンジメタリンから、マイクロカプセル組成物からのペンジメタリンのパーセント放出を計算する。
【0076】
図1は、いくつかのpH値での組成物番号1のマイクロカプセルからのペンジメタリンのパーセント放出を示す。図1のデータからわかるように、これらのマイクロカプセルは低いpH値で安定であり、そしてペンジメタリンの放出はpH値≧5.9で劇的に増加する。
【0077】
図2は、いくつかのpH値及び時間間隔での組成物番号13のマイクロカプセルからのペンジメタリンのパーセント放出を示す。図2のデータからわかるように、これらのマイクロカプセルは低いpH値で著しくより安定であり、そしてペンジメタリンの放出はpH値>5.9で劇的に増加する。
【0078】
図3は、適当なバッファー溶液中で16分間撹拌した後の、組成物番号1及び2、並びに以下に識別されるコントロール組成物のマイクロカプセルからのペンジメタリンのパーセント放出を示す。
【0079】
図3のデータからわかるように、それぞれ、3:1及び2:1のトリメソイルクロライド:HMDA比を有する、マイクロカプセル組成物番号1及び2は、望ましいpH感応性を示す。それに反して、0.5:1のトリメソイルクロライド:HMDA比を有するコントロールマイクロカプセル組成物は、いかなる望ましいpH感応性も示さない。
【0080】
1 コントロール組成物は、実施例1の方法により調製される。
【0081】
実施例11
結晶成長の評価
この評価では、適当なマイクロカプセル組成物のサンプル(約30g)をガラス瓶に注ぎ、そしてこれらの瓶を試験室中に置く。これらのサンプルを0°−40℃の温度サイクルに供し、各サイクルは約24時間かかる。数週間後、これらのサンプルを取り除き、光学顕微鏡検査により結晶成長を評価する。結果を表VIIIに要約する。表VIIIのデータは、表IVにおいて与えられた組成物番号により報告される。コントロール組成物は以下に識別される。
【0082】
表VIIIのデータからわかるように、本発明のpH感応性マイクロカプセル組成物は、容易に結晶化しない。
【0083】
【0084】
【表8】
【0085】
発明の特徴及び態様を示せば以下のとおりである。
【0086】
1.殻壁内に水と混和しない活性成分を含んでなり、該殻壁がその中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有する、pH感応性マイクロカプセル。
【0087】
2.殻壁が、その中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有するポリアミド、その中に含まれた遊離カルボン酸基を有するポリエステル、その中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有するポリアミド/ポリエステル共重合体、及びその中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有する架橋したアミノ樹脂からなる群から選択される、上記1に記載のマイクロカプセル。
【0088】
3.ポリアミド殻壁がハロゲン化ポリ酸及びポリアミンから形成され、ポリエステル殻壁がハロゲン化ポリ酸及びポリオールから形成され、ポリアミド/ポリエステル殻壁がハロゲン化ポリ酸、ポリアミン、及びポリオールから形成され、そして架橋したアミノ樹脂殻壁がハロゲン化ポリ酸及び水と混和しないアミノ樹脂プレポリマーから形成される、上記2に記載のマイクロカプセル。
【0089】
4.ポリアミド、ポリエステル、またはポリアミド/ポリエステル殻壁形成成分中のアミノ及び/またはヒドロキシ基に対するハロゲン化酸基の比が1:1より大きくそして約5:1より小さく、そしてハロゲン化ポリ酸に対するアミノ樹脂プレポリマーの比が重量に基づいて約20:1ないし5:1である、上記3に記載のマイクロカプセル。
【0090】
5.活性成分が、除草剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、殺線虫剤、殺真菌剤、及び殺陸貝剤からなる群から選択される病虫害防除剤である、上記1に記載のマイクロカプセル。
【0091】
6.約pH1ないしpH5.5のpHを有する水溶液中に懸濁された、上記1において記述したpH感応性マイクロカプセルを含んでなる、水性のpH感応性マイクロカプセル組成物。
【0092】
7.ポリアミド、ポリエステル、ポリアミド/ポリエステル、または架橋したアミノ樹脂殻壁を有する水と混和しない活性成分を含んでいる水性のマイクロカプセルを製造するための改善された方法で、その改善が、殻壁形成中に過剰のハロゲン化ポリ酸を加えることにより該殻壁中に遊離カルボン酸基を組み入れること含んでなる方法。
【0093】
8.(a)乳化剤を含んでなる水溶液を用意し、
(b)この水溶液中に、ハロゲン化ポリ酸及び水と混和しない活性成分を含んでなる水と混和しない溶液を撹拌しながら分散させてエマルジョンを形成し、そして、
(c)工程(b)のエマルジョンに、アミノ及び/またはヒドロキシ基に対するハロゲン化酸基の比が1:1より大きくそして約5:1;より小さいという条件で、ポリアミン、ポリオール、またはこれらの混合物を撹拌しながら加える、
ことを含んでなる、上記7に記載の方法。
【0094】
9.(a)乳化剤を含んでいる水溶液を用意し、
(b)この水溶液中に、ハロゲン化ポリ酸に対するアミノ樹脂プレポリマーの比が重量に基づいて約20:1ないし5:1であるという条件で、水と混和しないアミノ樹脂プレポリマー、ハロゲン化ポリ酸、及び水と混和しない活性成分を含んでなる水と混和しない溶液を撹拌しながら分散させてエマルジョンを形成し、そして、
(c)このエマルジョンを約50℃ないし100℃に加熱する、
ことを含んでなる、上記7に記載の方法。
【0095】
10.マイクロカプセル化した病虫害防除剤が上記1−6のいずれかにおいて記述されたようである、病虫害防除剤的に有効量のマイクロカプセル化した病虫害防除剤を害虫の場所につけることを含んでなる、害虫を制御するための方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】いくつかのpH値での組成物番号1のマイクロカプセルからのペンジメタリンの放出に対するpHの影響を示すグラフである。
【図2】いくつかのpH値及び時間間隔での組成物番号13のマイクロカプセルからのペンジメタリンの放出に対するpHの影響を示すグラフである。
【図3】異なるトリメソイルクロライド:1,6−ヘキサメチレンジアミン比を有するマイクロカプセルからのペンジメタリンの放出に対するpHの影響を示すグラフである。
Claims (6)
- 殻壁内に水と混和しない活性成分を含んでなるpH感応性マイクロカプセルであって、
該殻壁が、その中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有するポリアミド、その中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有するポリエステル、その中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有するポリアミド/ポリエステル共重合体、及びその中に組み入れられた遊離カルボン酸基を有する架橋したアミノ樹脂からなる群から選択され、かつ、
該ポリアミドの殻壁がハロゲン化ポリ酸とポリアミンから形成されており、該ポリエステルの殻壁がハロゲン化ポリ酸とポリオールから形成されており、ポリアミド/ポリエステル共重合体の殻壁がハロゲン化ポリ酸とポリアミン及びポリオールとから形成されており、そして架橋したアミノ樹脂の殻壁がハロゲン化ポリ酸と水と混和しないアミノ樹脂プレポリマーから形成されており、かつそれぞれ、
ポリアミドの殻壁形成成分中のハロゲン化酸基対アミノ基の比、ポリエステルの殻壁形成成分中のハロゲン化酸基対ヒドロキシ基の比、またはポリアミド/ポリエステルの殻壁形成成分中のハロゲン化酸基対アミノ基及びヒドロキシ基の比が2:1ないし3:1であり、そしてアミノ樹脂プレポリマー対ハロゲン化ポリ酸の比が重量基準で20:1ないし5:1である、
上記マイクロカプセル。 - 水と混和しない活性成分が除草剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、殺線虫剤、殺真菌剤及び軟体動物駆除剤からなる群より選択される有害生物防除剤である請求項1に記載のマイクロカプセル。
- pH1ないしpH5.5のpHを有する水溶液中に懸濁された、請求項1に記載のpH感応性マイクロカプセルを含んでなる水性のpH感応性マイクロカプセル組成物。
- ポリアミド、ポリエステル、ポリアミド/ポリエステル、または架橋したアミノ樹脂の殻壁を有する水と混和しない活性成分を含有する水性のマイクロカプセルの製造方法であって、
(a)乳化剤を含む水溶液を用意する工程、
(b)該水溶液中にハロゲン化ポリ酸と水と混和しない活性成分を含む水と混和しない溶液を撹拌しながら分散させてエマルジョンを形成する工程、及び
(c)工程(b)のエマルジョンにポリアミン、ポリオールまたはそれらの混合物を撹拌しながら加える工程であって、かつそれぞれ、ハロゲン化酸基対アミノ基の比、ハロゲン化酸基対ヒドロキシ基の比、またはハロゲン化酸基対アミノ基及びヒドロキシ基の比が2:1から3:1未満である、工程
による殻壁の形成中に該殻壁中に遊離のカルボン酸基を組み入れることを特徴とする、上記の製造方法。 - 架橋したアミノ樹脂の殻壁を有する水と混和しない活性成分を含有する水性のマイクロカプセルの製造方法であって、
(a)乳化剤を含む水溶液を用意する工程、
(b)該水溶液中に水と混和しないアミノ樹脂プレポリマーとハロゲン化ポリ酸と水と混和しない活性成分を含む水と混和しない溶液を撹拌しながら分散させてエマルジョンを形成する工程であって、かつ、アミノ樹脂プレポリマー対ハロゲン化ポリ酸の比が重量基準で20:1ないし5:1である工程、及び
(c)該エマルジョンを50℃ないし100℃に加熱する工程
による殻壁の形成中に該殻壁中に遊離のカルボン酸基を組み入れることを特徴とする、上記の製造方法。 - 有害生物の生息場所へ請求項2に記載の有害生物有害生物防除剤を含むマイクロカプセルをつけることを含んでなる有害生物の防除方法。
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