JP4564911B2 - 内燃機関のegr制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、気筒内の未燃ガスを圧縮着火させる圧縮着火燃焼運転が可能な内燃機関において、燃焼により生じた既燃ガスの一部を気筒内に残留させるEGR量を制御する内燃機関のEGR制御装置に関する。
従来の内燃機関の制御装置として、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。この内燃機関は、ガソリンエンジン(以下、単に「エンジン」という)であり、点火プラグによる火花点火と圧縮による自己着火とに切り換えて運転するように構成されている。また、吸気弁および排気弁の開閉タイミングをそれぞれ変更するための可変動弁機構を有している。吸気管には、吸気温度を検出するための吸気温度センサが、排気管には、排気温度を検出するための排気温度センサが、それぞれ設けられている。
この制御装置では、エンジンの回転数および要求負荷に応じて、エンジンが火花点火燃焼領域および自己着火燃焼領域のいずれにあるかを判別する。エンジンが火花点火燃焼領域にある場合には、可変動弁機構によって、吸・排気弁の開閉タイミングが、通常のタイミングに制御される。一方、エンジンが、自己着火燃焼領域にある場合には、排気弁を排気行程の途中で早く閉じ、吸気弁を吸気行程の途中で遅く開くように制御することによって、燃焼ガスの一部を内部EGRガスとして、シリンダ内に残留させる。それにより、次の燃焼サイクルにおいて、内部EGRガスを吸入新気に付加し、シリンダ内ガスの温度を高めることによって、シリンダ内ガスが圧縮により自己着火しやすいようにする。
また、このときの内部EGRガス量は、以下のように制御される。すなわち、エンジン回転数および要求負荷に応じて、圧縮開始時におけるシリンダ内ガスの要求温度が算出される。この要求温度は、シリンダ内ガスの自己着火のタイミングが、適切なタイミングになるように設定される。次に、吸気温度および排気温度に応じて、内部EGRガスの要求量である要求EGR量が算出される。この要求EGR量は、内部EGRガスを吸入新気に付加した際に、シリンダ内ガスが、算出した要求温度になるように算出される。そして、算出した要求EGR量に基づいて、吸・排気弁の開閉タイミングが算出される。
上述したように、シリンダ内ガスを圧縮により適切なタイミングで自己着火させるには、内部EGRガスを用いてシリンダ内ガスの温度を適正な温度に調整する必要がある。しかし、特許文献1の制御装置では、上述したように排気温度に応じて要求EGR量を算出しているので、以下の理由から、シリンダ内ガスの温度を適正な温度に調整できず、シリンダ内ガスを適切なタイミングで着火させることができないおそれがある。
排気温度は、排気管に設けた排気温度センサによって検出されるので、気筒内のシリンダ内ガスが燃焼した後、排気管に排出され、排気温度センサに到達し、検出されるまでに、遅れを伴う。このため、内燃機関の運転状態や環境条件が変化している状態、例えば、エンジンの運転状態が火花点火から自己着火に切り替わった直後や、自己着火による運転中に、運転状態や環境条件が変化することによって、燃焼温度が変動している場合には、排気温度センサの検出遅れにより、その検出温度が気筒内の燃焼後のガス温度に対してずれてしまう。このため、検出された排気温度を用いて要求EGR量を算出すると、シリンダ内ガスの温度を適切な温度に制御できず、それにより、着火タイミングが適切なタイミングからずれてしまう。その結果、燃焼が不安定化することでエンジンの出力が安定せず、トルクショックが生じ、さらには失火やそれによるノッキングが発生することによって、排ガス特性およびドライバビリティが悪化するおそれがある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、内燃機関の運転状態や環境条件の変化により燃焼温度が変動している場合でも、圧縮着火による安定した燃焼を確保でき、それにより、排ガス特性やドライバビリティを良好に維持することができる内燃機関のEGR制御装置を提供することを目的とする。
特開2001−289092号公報
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、気筒3a内の未燃ガスを圧縮着火させる圧縮着火燃焼運転が可能な内燃機関(実施形態における(以下、本項において同じ)エンジン)3において、燃焼により生じた既燃ガスの一部を気筒3a内に残留させるEGR量を制御する内燃機関のEGR制御装置1であって、気筒3a内に残留するEGR量を変更可能な可変EGR機構(排気弁保持機構72)と、内燃機関3の運転状態(エンジン回転数NE、エンジン水温TW、要求トルクPMCMD、排気温TEX、圧縮着火燃焼フラグF_HCCI)を検出する運転状態検出手段(クランク角センサ20、水温センサ21、アクセル開度センサ24、排気温センサ25、ECU2、図7のステップ17)と、検出された内燃機関の運転状態に応じて、未燃ガスの圧縮行程の上死点近傍における温度の目標値である目標未燃ガス温度TempCYLを設定する目標未燃ガス温度設定手段(ECU2、図5のステップ2)と、設定された目標未燃ガス温度TempCYLに応じて、気筒3a内に充填される未燃ガスの量(未燃ガス量GCYL)を算出する未燃ガス量算出手段(ECU2、図5のステップ3)と、気筒3a内に吸入される新気の温度(吸気温TA)を検出する新気温度検出手段(吸気温センサ22)と、未燃ガスが燃焼した直後の既燃ガスの温度(既燃ガス温度TEXGAS)を未燃ガスの燃焼ごとに取得する既燃ガス温度取得手段(ECU2、図5のステップ6)と、設定された目標未燃ガス温度TempCYL、算出された未燃ガス量GCYL、取得された既燃ガス温度TEXGAS、および検出された新気の温度に応じて、EGR量の目標値である目標EGR量(目標内部EGR量nEGR)を算出する目標EGR量算出手段と、算出された目標EGR量に基づいて、可変EGR機構を制御するEGR制御手段(ECU2、図5のステップ5)と、を備えていることを特徴とする。
この内燃機関のEGR制御装置によれば、内燃機関の運転状態に応じて、次回の燃焼のために気筒内に生成すべき未燃ガスの、圧縮行程の上死点近傍、例えば上死点後のクランク角0°〜10°付近における温度の目標値である目標未燃ガス温度が設定され、この目標未燃ガス温度に応じて、未燃ガス量が算出される。また、未燃ガスの燃焼により生じた気筒内の既燃ガスの、未燃ガスが燃焼した直後の温度が、既燃ガス温度取得手段によって未燃ガスの燃焼ごとに取得される。また、目標未燃ガス温度、未燃ガス量、既燃ガス温度、および気筒内に吸入される新気の温度に応じて、EGR量の目標値である目標EGR量が算出される。そして、可変EGR機構が、目標EGR量に基づいてEGR制御手段により制御されることによって、目標EGR量の既燃ガスが、内部EGRガスとして気筒内に残留させられ、次回の燃焼に用いられる未燃ガスの温度が目標未燃ガス温度に制御される。
以上のように、気筒内の既燃ガスの温度を燃焼ごとに取得し、そのように取得した既燃ガスの温度、目標未燃ガス温度、未燃ガス量および新気の温度に応じて目標EGR量を算出する。したがって、内燃機関の運転状態や環境条件の変化によって、既燃ガスの温度、すなわちEGRガスの温度が燃焼ごとに変動するような場合でも、目標EGR量を適切に設定することによって、実際の未燃ガスの温度を目標未燃ガス温度に精度良く制御することができる。その結果、着火タイミングを適切なタイミングに制御することができ、それにより、内燃機関の圧縮着火による安定した燃焼を確保し、内燃機関の出力を安定化させることができる。したがって、トルクショックの発生や、さらには失火およびノッキングの発生を防止することができ、排ガス特性およびドライバビリティを良好に維持することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る内燃機関のEGR制御装置について説明する。図2に示すように、この制御装置1はECU2を備えており、このECU2は、後述するように、内燃機関(以下「エンジン」という)3の運転状態などに応じて、EGR制御処理などの各種の制御処理を実行する。
図1および図3に示すように、エンジン3は、例えば4つの気筒3a(1つのみ図示)を有する直列4気筒のガソリンエンジンであり、図示しない車両に搭載されていて、各気筒3aのピストン3bとシリンダヘッド3cとの間に燃焼室3gが形成されている。
エンジン3は、気筒3aごとに設けられた一対の吸気弁4,4(1つのみ図示)および一対の排気弁7,7(1つのみ図示)と、吸気弁4を開閉駆動する吸気側動弁機構40と、排気弁7を開閉駆動する排気側動弁機構60と、燃料噴射弁10(図2参照)と、点火プラグ11(図2参照)などを備えている。
排気弁7のステム7aはガイド7bに摺動自在に嵌合しており、このガイド7bは、シリンダヘッド3cに固定されている。さらに、排気弁7は、上下のスプリングシート7c,7d間に設けられたバルブスプリング7eにより、閉弁側に付勢されている。また、吸気弁4およびその付近の構成は、排気弁7側と同じである。
吸気側動弁機構40および排気側動弁機構60は、互いにほぼ同じ構成を有しているので、以下、これらを代表して、排気側動弁機構60について説明する。排気側動弁機構60は、排気カム9を有する排気カムシャフト8、排気カム9およびロッカーアーム63や、後述する排気弁保持機構72を有している。排気カムシャフト8は、シリンダヘッド3cの上面に固定されたホルダ3fを介して、シリンダヘッド3cに回転自在に取り付けられるとともに、気筒3aの配列方向に沿って延びている。この排気カムシャフト8の一端部には、排気スプロケット(図示せず)が同軸に設けられている。この排気スプロケットは、図示しないタイミングチェーンを介してクランクシャフト3dに連結されており、排気カムシャフト8は、クランクシャフト3dが2回転するごとに1回転する。
また、排気カム9は、排気カムシャフト8と一体に排気弁7ごとに設けられており(1つのみ図示)、ロッカアーム63の中央部に上方から当接している。ロッカアーム63は、排気カムシャフト8の下方に配置され、一端部においてロッカアームシャフト62に回動自在に支持されているとともに、他端部において、排気弁7に上方から当接している。また、ロッカアームシャフト62は、ホルダ3fに支持され、排気カムシャフト8と平行に延びている。以上の構成により、クランクシャフト3dの回転に伴う排気カムシャフト8の回転により、排気カム9でロッカアーム63をロッカアームシャフト62を中心として回動させることによって、各排気弁7が、ガイド7bに沿って上下方向に開閉駆動される。
燃料噴射弁10は、気筒3aごとに設けられ、燃料を気筒3a内に直接、噴射するようにシリンダヘッド3cに取り付けられている。すなわち、エンジン3は直噴エンジンとして構成されている。また、燃料噴射弁10の開弁時間および開弁タイミングは、ECU2によって制御され、それにより燃料の噴射時間および噴射タイミングが制御される。
また、点火プラグ11も、気筒3aごとに設けられ、シリンダヘッド3cに取り付けられている。点火プラグ11の放電は、ECU2によって点火時期に応じて制御され、それにより、燃焼室3g内の未燃ガスを火花点火させ、燃焼させる。
また、エンジン3の吸気管12には、スロットル弁機構13が設けられている。スロットル弁機構13は、スロットル弁13aおよびこれを開閉駆動するTHアクチュエータ13bなどを備えている。スロットル弁13aは、吸気管12内に回動自在に設けられており、THアクチュエータ13bで駆動されることによって回動し、その開度に応じて、気筒13a内に吸入される空気の量を変化させる。
また、エンジン3には、クランク角センサ20および水温センサ21が設けられている。水温センサ21は、エンジン3のシリンダブロック3e内を循環する冷却水の温度であるエンジン水温TWを検出し、それを表す検出信号を、ECU2に出力する。また、クランク角センサ20は、マグネットロータおよびMREピックアップで構成されており、クランクシャフト3dの回転に伴い、いずれもパルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU2に出力する。
このCRK信号は、所定クランク角(例えば10゜)ごとに出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、各気筒3aのピストン3bが吸気行程のTDC位置よりも若干、手前の所定のクランク角位置にあることを表す信号であり、4気筒エンジンである本例においては、180°ごとに出力される。
また、吸気管12のスロットル弁機構13よりも下流側には、吸気温センサ22および吸気管内圧センサ23(いずれも図2参照)が設けられている。この吸気温センサ22は、気筒3a内に吸入される空気(新気)の温度(以下「吸気温」という)TAを検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。吸気管内圧センサ23は、吸気管12内の圧力(以下「吸気管内圧」という)PBAを絶対圧として検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。
排気弁保持機構72は、排気弁7ごとに設けられ、本実施形態において可変EGR機構を構成するものであり、排気弁7の閉弁タイミングを変更することにより、未燃ガスの燃焼によって気筒3a内に発生した既燃ガスの一部を、気筒3a内に残留させる内部EGRを実行する。排気弁保持機構72は、特開2004−52580号公報などで既に提案されているものと同様に構成されており、以下、その概略構成を説明する。
排気弁保持機構72は、対応する排気弁7の上方においてホルダ3fにそれぞれ固定されており、電磁アクチュエータ73、油圧ダンパ機構80およびアーマチュア係止機構90を有している。電磁アクチュエータ73は、多数の積層板をそれぞれ有する一対のヨーク74、74を有しており、各ヨーク74のコイル収納溝74aには、ボビンに巻きつけられたコイル75が嵌合している。ヨーク74,74の上方には、アーマチュア76が設けられており、その中央には、上下方向に延びる保持ロッド77が一体に設けられている。保持ロッド77は、アーマチュア76から、ヨーク74,74の間を延び、排気弁7のロッカアーム63に当接している。また、コイル75は、ECU2に接続されており、ECU2によって通電され、励磁されることによって、アーマチュア76を吸引する。
油圧ダンパ機構80は、電磁アクチュエータ73の上方に設けられており、ケーシング81と、このケーシング81に形成されたシリンダ81aと、このシリンダ81aに連通する第1および第2油路81b,81cと、シリンダ81aに摺動自在に嵌合するピストン82と、ピストン82とケーシング91の間に設けられた戻しばね83を有している。また、ピストン82は、アーマチュア76の上面に当接している。また、第1および第2油路81b,81cは、図示しない油圧ポンプにそれぞれ接続されており、油圧ポンプは、ECU2により駆動されることによって、第1および第2油路81b,81cを介してシリンダ81aに油圧を供給する。
アーマチュア係止機構90は、下ケーシング91および上ケーシング92を有しており、この下ケーシング91に形成されたガイド孔91aにアーマチュア係止部材93が、上ケーシング92のシリンダ92aにピストン94が、それぞれ摺動自在に嵌合している。アーマチュア係止部材93は、ガイド孔91a内に設けられた戻しばね95で上方に付勢されており、それによりアーマチュア76の下面の端部およびピストン94の下面に当接し、これらを押圧している。また、シリンダ92aには、前記油圧ポンプから油圧が供給される。
次いで、上述した排気弁保持機構72の動作を、図4を参照しながら説明する。排気行程において、排気弁7は、排気カム9によって駆動され、そのリフト量が最大になるタイミングに合わせて、電磁アクチュエータ73のコイル75が励磁される。それにより、アーマチュア76が戻しばね95の付勢力に抗してコイル75,75に引き寄せられることによって、保持ロッド77が下降し、ロッカアーム63を押圧する。それにより、同図の破線(a)に示すように、排気弁7はそのリフト量が最大の開弁状態に保持される。
その後、例えば閉じ角度d1でコイル75を非励磁にすると、アーマチュア76への吸引力が消失することにより、アーマチュア76および保持ロッド77は、戻しばね95の付勢力によって上方に押し上げられる。それにより、アーマチュア76が、ヨーク74,74の上面から離れ、上方のピストン82に衝突する。このときの衝撃は、油圧ダンパー機構80の戻しばね83および油圧などによって緩和される。また、排気弁7は、ロッカアーム63を介して作用する保持ロッド77の押圧力が消失することにより、バルブスプリング7eの付勢力によって、即座に閉弁状態に復帰する。
以上のように、コイル75の励磁中においては、排気弁7が開弁状態に保持されるので、コイル75を非励磁にする閉じ角度d1を変化させることによって、排気弁7の閉弁タイミングを無段階に制御することができる。それにより、排気管14への既燃ガスの排出量、すなわち、気筒3a内に残留する既燃ガスの量(内部EGR量)を自在に制御することができる。具体的には、閉じ角度d1を遅角側に変更すると、閉弁タイミングが遅くなることによって、内部EGR量は減少する。一方、閉じ角度d1を進角側に変更すると、閉弁タイミングが早くなることによって、内部EGR量は増大する。
また、吸気弁4側の吸気弁保持機構71は、排気弁保持機構72と同様に構成されており、吸気行程において、吸気弁4のリフト量が最大になるタイミングに合わせてコイルを励磁するとともに、非励磁にするタイミング(閉じ角度d2)を制御することによって、吸気弁4の閉弁タイミングを無段階に制御することが可能である(破線(b))。
さらに、ECU2には、アクセル開度センサ24および排気温センサ25が接続されている。このアクセル開度センサ24は、図示しないアクセルペダルの操作量であるアクセル開度APを検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。さらに、排気温センサ25は、排気管14内を流れる排ガスの温度(以下「排気温」という)TEXを検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。
ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどからなるマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されている。前述した各種のセンサ20〜25からの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
CPUは、これらの入力信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、エンジン3の運転状態を判別するとともに、判別した運転状態などに応じて、エンジン3の運転モードを、点火プラグ11で火花点火することにより未燃ガスを燃焼させる火花点火燃焼モードと、火花点火することなく圧縮着火により未燃ガスを燃焼させる圧縮着火燃焼モードのいずれかに設定する。また、本実施形態では、ECU2が、目標未燃ガス温度設定手段、未燃ガス量算出手段、既燃ガス温度取得手段、目標EGR量算出手段およびEGR制御手段を構成している。
以下、図5を参照しながら、ECU2で実行されるEGR制御処理について説明する。このEGR制御処理は、設定したエンジン3の運転モードに応じ、排気弁保持機構72により排気弁7の閉弁タイミングを制御することによって、内部EGR量を制御するものである。本処理は、TDC信号の入力に同期して実行される。
まず、ステップ1(「S1」と図示。以下、同じ)では、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて、図6に示すマップを検索することにより、要求トルクPMCMDを算出する。このマップでは、要求トルクPMCMDは、図示平均有効圧として設定されているとともに、エンジン回転数NEが高いほど、またアクセル開度APが大きいほど、より大きな値に設定されている。これは、エンジン回転数NEが高いほど、またアクセル開度APが大きいほど、エンジン3の負荷がより大きい状態になるので、それに対応するためである。
次いで、目標未燃ガス温度TempCYLを設定する(ステップ2)。この目標未燃ガス温度TempCYLは、次回の燃焼のために気筒3a内に充填すべき、新気および内部EGRガスを合わせた未燃ガスの温度の目標値である。
図7は、この目標未燃ガス温度TempCYLの設定処理を示している。まず、ステップ11〜13において、エンジン水温TW、吸気温TA、および排気温TEXが、それぞれの所定温度TWHCCI(例えば80℃)、TAHCCI(例えば0℃)、TEXHCCI(例えば250℃)よりも高いか否かを、それぞれ判別する。
これらの答がいずれもYESで、TW>TWHCCI、且つTA>TAHCCI、且つTEX>TEXHCCIのときには、ステップ14に進み、エンジン3が圧縮着火可能な運転領域内にあるか否かを判別する。この判別は、要求トルクPMCMDおよびエンジン回転数NEに応じ、図8に示すマップを検索することによって行われる。このマップでは、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDがいずれも中程度の運転領域が、圧縮着火燃焼を行うべきHCCI運転領域として設定され、他の運転領域が、火花点火燃焼を行うべきSI運転領域として設定されている。
このステップ14の答がYESで、エンジン3がHCCI運転領域にあるときには、圧縮着火燃焼運転の実行条件が成立しているとして、それを表すために圧縮着火燃焼フラグF_HCCIを「1」にセットする(ステップ15)。これにより、エンジン3は圧縮着火燃焼モードで運転される。一方、前記ステップ11〜14のいずれかの答がNOのときには、圧縮着火燃焼運転の実行条件が成立していないとして、ステップ16で圧縮着火燃焼フラグF_HCCIを「0」にセットする。これにより、エンジン3は火花点火燃焼モードで運転される。
上記ステップ15またはステップ16に続くステップ17では、圧縮着火燃焼フラグF_HCCIが「1」であるか否かを判別する。この答がYESで、エンジン3が圧縮着火燃焼モードで運転されているときには、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じ、図示しないマップを検索することにより、圧縮着火燃焼モード用の目標未燃ガス温度TempCYLを算出する(ステップ21)。このマップでは、目標未燃ガス温度TempCYLは、良好な排ガス特性を得ることを優先して、要求トルクPMCMDが大きいほど、より小さな値に設定され、また、エンジン回転数NEが大きいほど、より大きな値に設定されている。また、この圧縮着火燃焼モード用の目標未燃ガス温度TempCYLは、後述する火花点火燃焼モード用の目標未燃ガス温度TempCYLよりも全体的に高い値に設定されている。これは、未燃ガスの圧縮着火を良好に行わせるためには、未燃ガスの温度を高くすることが有効であるのに対し、火花点火には、そのような必要性がないからである。
一方、前記ステップ17の答がNOで、エンジン3が火花点火燃焼モードで運転されているときには、要求トルクPMCMDが、所定トルクPMCMD1以上であるか否かを判別する(ステップ18)。この答がNOのときには、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じ、図示しないマップを検索することにより、火花点火燃焼モード用の目標未燃ガス温度TempCYLを算出する(ステップ20)。このマップでは、目標未燃ガス温度TempCYLは、良好な排ガス特性を得ることを優先して、圧縮着火燃焼モード用の目標未燃ガス温度TempCYLと同様の傾向で設定されている。
一方、上記ステップ18の答がYESで、要求トルクPMCMDが所定トルクPMCMD1以上のときには、エンジン3の出力を優先するものとして、目標未燃ガス温度TempCYLを所定温度TempCYL1(例えば40℃)に設定する(ステップ19)。
図5に戻り、そのステップ3では、吸気管内圧センサ23で検出された吸気管内圧PBA、および上記ステップ2で設定した目標未燃ガス温度TempCYLに応じ、次式(1)によって、気筒3a内に充填される未燃ガス量GCYLを算出する。
GCYL=K・PBA/TempCYLA ……(1)
この式(1)は、気体の状態方程式に基づくものであり、TempCYLAは、目標未燃ガス温度TempCYLを絶対温度に換算した値、また、Kは気筒3aの容積や気体定数などに応じて定まる定数である。
次いで、ステップ4において、目標内部EGR量nEGRを算出する。この目標内部EGR量nEGRは、未燃ガスの燃焼によって発生した既燃ガスのうち、次回の燃焼のために気筒3a内に残留させるべき内部EGRガスの量である。
図9は、この目標内部EGR量nEGRの算出処理を示している。まず、ステップ31において、次式(2)によって、内部EGR温度TEGRを算出する。この内部EGR温度TEGRは、既燃ガスが次回の燃焼で内部EGRガスとして用いられるときの温度である。
TEGR=α×TEXGAS(n−1)+β×TempB(n−1)
……(2)
TEXGAS(n−1)は、後述するTEXGAS算出処理で求められる既燃ガス温度TEXGASの前回値である。また、TempB(n−1)は、気筒3aの壁部を代表とする、既燃ガスが次回の燃焼で内部EGRガスとして用いられるまでの既燃ガスの温度変化に影響を及ぼす構成部分の温度(以下「周囲温度」という)の前回値である。また、αおよびβは、互いの和が1.0で、それぞれ値0と1.0の間の重み係数である。
燃焼により生じた既燃ガスは、その一部が、内部EGRガスとして次回の燃焼で用いられるまでの間、気筒3a内に留まるので、気筒3aの壁温であるシリンダ壁温などの影響を受ける。したがって、上記の式(2)のように、燃焼直後の既燃ガスの温度である既燃ガス温度TEXGASとその周囲温度TempBを、重み係数αおよびβを用いて加重平均することによって、内部EGR温度TEGRを精度良く推定することができる。
次いで、上記の周囲温度TempBを、次式(3)によって算出する(ステップ32)。
TempBn=(1−α)×TEXGAS(n−1)
+(1−β)×TempB(n−1) ……(3)
次いで、前記ステップ2および3で算出した目標未燃ガス温度TempCYLおよび未燃ガス量GCYL、上記ステップ31で算出した内部EGR温度TEGR、および吸気温TAを用い、次式(4)によって、目標内部EGR量nEGRを算出する(ステップ32)。
nEGR=GCYL
×(TempCYL−TA)/(TEGR−TA) ……(4)
この式(4)は、以下の関係から導かれるものである。すなわち、気筒3aに吸入される吸入空気量をQAとすると、次式(5)が成立する。
TempCYL=(nEGR×TEGR+QA×TA)/(nEGR+QA)
……(5)
また、次の式(6)の関係から、式(7)が成立する。
nEGR+QA=GCYL ……(6)
QA=GCYL−nEGR ……(7)
そして、この式(7)を式(5)に代入してnEGRについて解くと、式(4)が得られる。したがって、この式(4)によって、目標内部EGR量nEGRを適切に算出することができる。
図5に戻り、そのステップ5では、排気弁7の閉じ角度d1を算出する。図10は、その閉じ角度算出処理を示している。まず、ステップ41では、エンジン回転数NE、要求トルクPMCMD、および前記ステップ4で算出した目標内部EGR量nEGRに応じて、図示しないマップを検索することにより、排気弁7の閉じ角度d1を算出する。
次いで、算出した排気弁7の閉じ角度d1に基づく駆動信号を、排気弁保持機構72の電磁アクチュエータ73に出力する(ステップ42)。これにより、内部EGR量が、算出した目標内部EGR量nEGRに制御され、その結果、未燃ガスの温度が、設定した目標未燃ガス温度TempCYLに制御される。
図5に戻り、そのステップ6では、既燃ガス温度TEXGASを算出し、本処理を終了する。この既燃ガス温度TEXGASは、上記ステップ5の実行により、排気弁7の閉じ角度d1を制御したときに生成された未燃ガスが燃焼することによって生じる既燃ガスの燃焼直後の温度である。
図11は、この既燃ガス温度TEXGASの算出処理を示している。まず、ステップ51では、前回のループにおいて算出した既燃ガス温度TEXGASを、その前回値TEXGASZにシフトする。
次いで、フューエルカットフラグF_FCが「1」であるか否かを判別する(ステップ52)。このフューエルカットフラグF_FCは、フューエルカット運転の実行中であるときに「1」にセットされるものである。この答がYESで、フューエルカット運転の実行中であるときには、気筒3aのシリンダ壁温TCYLWALを、既燃ガス温度の今回算出値TEXGASTとして設定する(ステップ53)。これは、フューエルカット運転中は燃焼が行われないため、気筒3a内に残留するガスの温度は、シリンダ壁温TCYLWALとほぼ一致するためである。
一方、上記ステップ52の答がNOで、フューエルカット運転が実行されていないときには、圧縮着火燃焼フラグF_HCCIが「1」であるか否かを判別する(ステップ55)。この答がNOで、エンジン3が火花点火燃焼モードで運転されているときには、吸気温TAおよび要求トルクPMCMDに応じて、図12に示す火花点火燃焼モード用のマップを検索することにより、既燃ガス温度のマップ値TEXGASMを算出する(ステップ56)。このマップでは、マップ値TEXGASMは、エンジン回転数NEが所定の回転数(例えば6000rpm)の場合を想定し、吸気温TAが高いほど、また、要求トルクPMCMDが大きいほど、より大きな値に設定されている。
火花点火燃焼モード中は、目標未燃ガス温度TempCYLが低い値に設定されるのに応じて、内部EGR量が少量に制御される。このため、既燃ガスの温度に及ぼす内部EGRガスの温度の影響は小さく、むしろ吸気温TAの影響が大きい。このため、火花着火燃焼モードでは、既燃ガス温度のマップ値TEXGASMは吸気温TAを用いて算出される。
一方、上記ステップ55の答がYESで、エンジン3が圧縮着火燃焼モードで運転されているときには、内部EGR量が多く、未燃ガスの温度が高いので、目標未燃ガス温度TempCYLおよび要求トルクPMCMDに応じて、図示しない圧縮着火燃焼モード用のマップを検索することにより、既燃ガス温度のマップ値TEXGASMを算出する(ステップ57)。このマップ値TEXGASMは、火花点火燃焼モードの場合と同じく、エンジン回転数NEが所定の回転数(例えば6000rpm)の場合を想定し、目標未燃ガス温度TempCYLが大きいほど、また、要求トルクPMCMDが大きいほど、より大きな値に設定されている。
上記ステップ56またはステップ57に続くステップ58では、既燃ガス温度のマップ値TEXGASMに応じ、次式(8)によって、既燃ガス温度の今回算出値TEXGASTを求める。
TEXGAST=TEXGASM
×(1−KTEXGME×(TDCME−5))
+TCYLWAL×KTEXGME×(TDCME−5)
……(8)
この式(8)から明らかなように、既燃ガス温度の今回算出値TEXGASTは、KTEXGME×(TDCME−5)を重み係数とする、既燃ガス温度のマップ値TEXGASMとシリンダ壁温TCYLWALとの加重平均によって算出される。燃焼温度は、シリンダ壁温との温度差が大きいほど、その影響を受けやすく、冷却されやすくなる。したがって、シリンダ壁温TCYLWALを加重平均の一方として用いることによって、シリンダ壁温の影響を反映させながら、既燃ガス温度の今回算出値TEXGASTを適切に求めることができる。なお、このシリンダ壁温TCYLWALとしては、所定値(例えば80℃)を用いてもよく、あるいは、既燃ガス温度TEXGASを排気系の遅れモデルに入力することにより算出した排気温の推定値と、排気温センサ25で検出された排気温TEXとの偏差によって、逐次、補正したものを用いてもよい。
また、重み係数KTEXGME×(TDCME−5)のうち、KTEXGMEは、値0と1.0の間の重み係数の基本値であり、TDCME−5は、その補正係数である。このうち、TDCMEは、TDC信号の発生間隔(msec)であり、減算項の値5は、既燃ガス温度のマップ値TEXGASMを設定した際の基準回転数であるエンジン回転数NE=6000rpmのときのTDC信号の時間間隔(msec)である。
以上の設定により、重み係数KTEXGME×(TDCME−5)は、エンジン回転数NEが基準回転数のときには0になり、シリンダ壁温TCYLWALの重みが0になるとともに、エンジン回転数NEが低いほど、TDC信号の発生間隔TDCMEが大きくなり、重み係数KTEXGME×(TDCME−5)が大きくなるため、シリンダ壁温の影響が大きくなる。また、エンジン回転数NEが低いほど、燃焼間の時間間隔が長くなるので、燃焼温度へのシリンダ壁温の影響が大きくなる。したがって、上記のような重み係数KTEXGME×(TDCME−5)を用いることによって、エンジン回転数NEの影響を反映させながら、既燃ガス温度の今回値TEXGASTを適切に求めることができる。
前記ステップ53またはステップ58に続くステップ54では、既燃ガス温度TEXGASを次式(9)によって算出する。
TEXGAS=γTEXGAST+(1−γ)TEXGASZ ……(9)
ここで、γは、値0と1.0の間の所定の重み係数である。この式(9)から明らかなように、既燃ガス温度TEXGASは、既燃ガス温度の今回算出値TEXGASTと、既燃ガス温度TEXGASの前回値TEXGASZとの加重平均値として算出される。
図13は、図5のEGR制御処理による動作例を示すタイミングチャートである。この例は、要求トルクPMCMDが一定であるとともに、エンジン回転数NEの変化などに伴い、時刻t1において、エンジン3の運転モードが火花点火燃焼モードから圧縮着火燃焼モードに切り換わった例である。
まず、時刻t1以前の火花点火燃焼モードでは、圧縮着火燃焼フラグF_HCCIが「0」であり、前記ステップ20の実行により、目標未燃ガス温度TempCYLは、火花点火燃焼モード用の比較的低い値(例えば20℃)に設定されるとともに、要求トルクPMCMDが一定であることから、一定の値に維持されている。また、ステップ56およびステップ31により、既燃ガス温度TEXGASおよび内部EGR温度TEGRは、比較的高い値(例えば400℃)に算出されている。以上のように目標未燃ガス温度TempCYLおよび内部EGR温度TEGRが設定されるのに応じ、式(4)により、目標内部EGR量nEGRは低い値(例えば10%)に設定され、それに応じて、排気弁7の閉じ角度d1が遅角側(例えば300°)に設定されている。その結果、実際の未燃ガス温度は、目標未燃ガス温度TempCYLとほぼ同じ値に制御されている。
この状態から、エンジン3の運転モードが圧縮着火燃焼モードに切り換えられると、その直後の1回目のループ(t1)では、ステップ21により、目標未燃ガス温度TempCYLが、火花点火燃焼モードよりも高い圧縮着火燃焼モード用の値(例えば200℃)に設定され、それ以降は、その値に維持される。
また、内部EGR温度TEGRは、式(2)において、切換え直前の火花点火燃焼モード時の値が、既燃ガス温度TEXGASの前回値および周囲温度TempBの前回値として用いられるため、切換え前と同じ値に維持される。以上の設定から、式(4)によって、目標内部EGR量nEGRは火花点火燃焼モード時よりも大きな値に設定され、それに応じて、排気弁7の閉じ角d1が、火花点火燃焼モード時よりも進角側に設定される。また、既燃ガス温度TEXGASは、ステップ57により、火花着火燃焼モード時よりも小さな値に算出されるとともに、式(9)により、段階的に減少するように算出される。
圧縮着火燃焼モードへの切換え後、2回目および3回目のループ(t2およびt3)では、式(2)において、既燃ガス温度TEXGASの前回値が用いられることにより、内部EGR温度TEGRは、段階的に増加し、最終的に例えば300℃に設定される。それに応じて、目標内部EGR量nEGRは、段階的に増加し、最終的に例えば50%に設定されるとともに、排気弁7の閉じ角度d1も、段階的に進角側に設定され、最終的に100°に設定される。圧縮着火燃焼モードへの切換え後、目標内部EGR量nEGRおよび排気弁7の閉じ角度d1が以上のように制御される結果、実際の未燃ガス温度は、タイミングチャートの最下段に示すように、目標未燃ガス温度TempCYLに一致するように精度良く制御されている。
以上のように、本実施形態によれば、気筒3a内に発生した既燃ガスの推定値である既燃ガス温度TEXGASを燃焼ごとに算出する(ステップ6)。そして、算出した既燃ガス温度TEXGAS、目標未燃ガス温度TempCYL、未燃ガス量GCYL、および既燃ガス温度TEXGASに応じて、目標未燃ガス量nEGRを算出する(ステップ33)ので、エンジン3の運転状態や環境条件の変化によって、燃焼温度、ひいては内部EGRガスの温度が燃焼ごとに変動するような場合でも、未燃ガスの実際の温度を目標未燃ガス温度TempCYLに精度良く制御でき、着火タイミングを適切なタイミングに制御することができる。
また、既燃ガス温度の今回値TEXGASTを算出する際、目標未燃ガス温度TempCYLや要求トルクPMCMDに応じて算出した既燃ガス温度のマップ値TEXGASMを、TDC信号の発生間隔TDCMEおよびシリンダ壁温TCYLWALに応じて補正するので、TDC信号の発生間隔TDCMEやシリンダ壁温TCYLWALが燃焼温度に与える影響を反映させながら、既燃ガス温度TEXGASを精度良く算出することができる。さらに、上記のように算出した既燃ガス温度TEXGASを用いて、周囲温度TempBに応じて内部EGR温度TEGRを算出する(ステップ31)ので、既燃ガスが内部EGRガスとして用いられるまでの温度変化を反映させながら、内部EGR温度TEGRを精度良く算出することができる。
そして、そのように精度良く算出した内部EGR温度TEGRを用いて目標内部EGR量nEGRを算出するので、目標内部EGR量nEGRを燃焼サイクルごとにより適切に設定することができる。それにより、未燃ガスの実際の温度を未燃ガス温度TempCYLにより精度良く制御することができる。その結果、未燃ガスの着火タイミングをより適切に制御でき、それにより、エンジン3の圧縮着火による安定した燃焼を確保し、エンジン3の出力を安定化させることができる。したがって、エンジン3の運転モードの切換え時などにおいて、トルクショックの発生や、さらには失火およびノッキングの発生を防止することができ、排ガス特性およびドライバビリティを良好に維持することができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、排気弁保持機構72による排気弁7の閉じ角度d1の制御によって内部EGR量を制御しているが、これに加え、吸気弁保持機構71によって吸気弁4の閉じ角度d2を変化させ、吸気弁4の閉弁タイミングを制御することによって、内部EGRガス量をよりきめ細かく制御してもよい。また、実施形態では、内部EGR量を変更する可変EGR機構として、排気弁保持機構72を用いているが、これに代えて、他の可変機構、例えば排気カム9および吸気カムの位相やリフトを変更可能な機構を用い、内部EGR量を変更するようにしてもよい。
さらに、実施形態は、本発明をガソリンエンジンに適用した例であるが、これに限らず、ガソリンエンジン以外の各種のエンジン、例えばディーゼルエンジンやクランク軸を鉛直方向に配置した船外機などのような船舶推進機用エンジンにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
本発明の一実施形態に係るEGR制御装置が適用された内燃機関の概略構成を示す模式図である。 EGR制御装置の概略構成を示すブロック図である。 排気弁開度保持機構を含む内燃機関の排気側動弁機構の概略構成を示す断面図である。 圧縮着火燃焼を実行しているときの排気弁および吸気弁のリフト曲線を示す図である。 EGR制御処理を示すフローチャートである。 要求トルクPMCMDの算出に用いるマップの一例を示す図である。 目標未燃ガス温度設定処理を示すフローチャートである。 内燃機関の運転領域判定に用いるマップの一例を示す図である。 目標内部EGR量算出処理を示すフローチャートである。 排気弁の閉じ角度算出処理を示すフローチャートである。 既燃ガス温度算出処理を示すフローチャートである。 既燃ガス温度のマップ値の設定に用いるマップの一例を示す図である。 EGR制御処理により、内燃機関の運転状態が、火花点火燃焼モードから圧縮着火燃焼モードに切り換わる際のタイミングチャートである。
符号の説明
1 EGR制御装置
2 ECU(運転状態検出手段、目標未燃ガス温度設定手段、
未燃ガス量算出手段、既燃ガス温度取得手段、
目標EGR量算出手段、EGR制御手段)
3 内燃機関
3a 気筒
20 クランク角センサ(運転状態検出手段)
21 水温センサ(運転状態検出手段)
22 吸気温センサ(新気温度検出手段)
24 アクセル開度センサ(運転状態検出手段)
25 排気温センサ(運転状態検出手段)
72 排気弁保持機構(可変EGR機構)
NE エンジン回転数(運転状態)
TW エンジン水温(運転状態)
PMCMD 要求トルク(運転状態)
TEX 排気温(運転状態)
TA 吸気温(新気温度)
TempCYL 目標未燃ガス温度
GCYL 未燃ガス量
nEGR 目標内部EGR量(目標EGR量)
TEXGAS 既燃ガス温度(既燃ガスの温度)
F_HCCI 圧縮着火燃焼フラグ(運転状態)

Claims (1)

  1. 気筒内の未燃ガスを圧縮着火させる圧縮着火燃焼運転が可能な内燃機関において、燃焼により生じた既燃ガスの一部を前記気筒内に残留させるEGR量を制御する内燃機関のEGR制御装置であって、
    前記気筒内に残留するEGR量を変更可能な可変EGR機構と、
    前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    当該検出された内燃機関の運転状態に応じて、未燃ガスの圧縮行程の上死点近傍における温度の目標値である目標未燃ガス温度を設定する目標未燃ガス温度設定手段と、
    当該設定された目標未燃ガス温度に応じて、前記気筒内に充填される未燃ガスの量を算出する未燃ガス量算出手段と、
    前記気筒内に吸入される新気の温度を検出する新気温度検出手段と、
    前記未燃ガスが燃焼した直後の前記既燃ガスの温度を前記未燃ガスの燃焼ごとに取得する既燃ガス温度取得手段と、
    前記設定された目標未燃ガス温度、前記算出された未燃ガス量、前記取得された既燃ガス温度、および前記検出された新気温度に応じて、前記EGR量の目標値である目標EGR量を算出する目標EGR量算出手段と、
    当該算出された目標EGR量に基づいて、前記可変EGR機構を制御するEGR制御手段と、
    を備えていることを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
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