JP4564676B2 - 油圧緩衝器のピストン又はバルブケース - Google Patents
油圧緩衝器のピストン又はバルブケース Download PDFInfo
- Publication number
- JP4564676B2 JP4564676B2 JP2001025766A JP2001025766A JP4564676B2 JP 4564676 B2 JP4564676 B2 JP 4564676B2 JP 2001025766 A JP2001025766 A JP 2001025766A JP 2001025766 A JP2001025766 A JP 2001025766A JP 4564676 B2 JP4564676 B2 JP 4564676B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- valve
- piston
- window frame
- chamber
- valve case
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Fluid-Damping Devices (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の懸架装置など車体の振動を抑制する油圧緩衝器に関し、特に減衰力発生構造の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の油圧緩衝器としては、例えば、「特開平3−163234号」公報に開示された技術をピストン5及びバルブケース15の上面側に適用した図2に示すようなものが知られている。まず構造の概要を図面に基づいて説明する。油圧緩衝器を車両に取り付けた状態では図2と上下関係が同じであるので、以下、図2の上下関係で油圧緩衝器の部材の位置或いは部位を説明する。
【0003】
車体と車輪との間に結合部材を介して取付けられる油圧緩衝器は、車体側に取り付けられるピストンロッド1の下端部にピストン5と伸側減衰力を制御するピストンバルブを組み付けそれを摺動自在に収容するとともに、下端部に圧側減衰力を制御するベースバルブを装着したシリンダ21を、車輪側に取り付けられる外筒22に収容し、外気を遮断するシール24とロッドガイド23とを収容したパッキンケース25を外筒22の上部から嵌挿した後、外筒22の上端部を全周溶接等により密封して形成されている。そして、シリンダ21と外筒22の間にはタンク室Dが形成される。
【0004】
作動油の充満したシリンダ21内をピストンロッド1が上昇する際には、密閉された上部室Aの作動油は、ピストンロッド1の下端部に組み付けられたピストンバルブを介して下部室Bに流出し、この際の通路抵抗が伸側減衰力となる。ピストンロッド1の上昇によって不足するピストンロッド退出体積分の作動油は、シリンダ21の下端部に組み付けられたベースバルブを介してタンク室Dに連なる底部室Cより下部室Bに補充される。
【0005】
つぎに、伸側減衰力を制御するピストンバルブについて説明する。
ピストンロッド1の下端部には上部よりも小径のインロー部1Aが設けられ、ここにリーフバルブ3からなる逆止弁CVの最大撓みを規制するバルブストッパ2,外周縁が逆止弁CVの撓みの支持径となる環座7,リーフバルブ3,上面がリーフバルブ3に対向するピストン5を順次嵌挿する。
【0006】
シリンダ21内を上部室Aと下部室Bに区画し外周にガイド5Sを巻着したピストン5には、図1(D)に示すように、その上面側に内周側に形成された上側ボス部5Eと、当該上側ボス部5Eの上端面に連なりその外周側に半径方向に伸びる放射状窓枠5Fと、当該放射状窓枠5Fに連なり軸心Zからの半径Rが一定な円弧状の外側窓枠5Gとによって包囲された複数の扇形の上側開口窓5Dが隔設されている。当該各上側開口窓5Dには下部室Bに連通する外周ポート5Aが穿孔されるとともに、各上側開口窓5Dの間に形成された凹部5Kには円環状の下側開口窓5Cに連通する内周ポート5Bが穿孔されている。
【0007】
続いて、下側開口窓5Cに対向し外周側に切欠き4Aを設けた切欠きリーフバルブ4と当該切欠きリーフバルブの背面に重畳されたリーフバルブ6からなる伸側減衰弁PV,外周縁が伸側減衰弁PVの撓みの支持径となる環座7,伸側減衰弁PVの最大撓みを規制するバルブストッパ8を順次組み付け、最後にピストンナット9をインロー部1Aのねじ部に螺着し、締付け工具により締結することによりピストンバルブが構成される。
【0008】
作動油の充満したシリンダ21内をピストンロッド1が上昇する所謂伸長工程において、ピストン速度が小さくピストン5の下側開口窓5Cと下部室B間の圧力差が小さい所謂低速域においては、伸側減衰弁PVは下側開口窓5Cを覆窓している。このため上部室Aの圧油は、ピストン上面側の凹部5Kと内周ポート5Bを介して下側開口窓5Cに導かれ、下側開口窓5Cに対向する切欠きリーフバルブ4の切欠き4Aを介して下部室Bに流出し、この際の通路抵抗により、ピストン速度のほぼ2乗に比例する低速域の伸側減衰力を発生する。
【0009】
ピストン速度が増大するのに伴い、切欠き4Aを通過する流量が増え下側開口窓5Cと下部室B間の圧力差も大きくなる。ピストン速度が中速域に近づくにつれ、下側開口窓5Cに対向して配設されている伸側減衰弁PVの外周側が、その合成された撓み剛性に打ち勝って、下側開口窓5Cの外側シート部から押し開かれて作動油が下部室Bに流出し、この際の通路抵抗と内周ポート5Bの通路抵抗とにより中速域以降の伸側減衰力を発生する。切欠きリーフバルブ4とリーフバルブ6からなる伸側減衰弁PVの撓み剛性と内周ポート5Bの通路面積を適当に選択することにより、所要の減衰力特性を得ることができる。
【0010】
つぎに、圧側減衰力を制御するベースバルブについて説明する。まずガイド11の軸部11Aに、リーフバルブ13からなる吸込み弁DVの最大撓みを規制するバルブストッパ12,外周縁が吸込み弁DVの撓みの支持部となる環座17,リーフバルブ13,上面がリーフバルブ13に対向するバルブケース15を順次嵌挿する。
【0011】
シリンダ21の下端部に嵌着され下部室Bと底部室Cとを区画するバルブケース15には、図1(D)に( )付きで示すように、その上面側に、内周側に形成された上側ボス部15Eと、当該上側ボス部15Eの上端面に連なりその外周側に半径方向に伸びる放射状窓枠15Fと、当該放射状窓枠15Fに連なり軸心Zからの半径Rが一定な円弧状の外側窓枠15Gとによって包囲された複数の扇形の上側開口窓15Dが隔設されている。当該各上側開口窓15Dには底部室Cに連通する外周ポート15Aが穿孔されるとともに、各上側開口窓15Dの間に形成された凹部15Kには円環状の下側開口窓15Cに連通する内周ポート15Bが穿孔されている。
【0012】
続いて、ガイド11の軸部11Aに、上記バルブケース15の下側開口窓15Cに対向し外周側に切欠き14Aを設けた切欠きリーフバルブ14と当該リーフバルブ14の下側に重畳されるリーフバルブ16とからなる圧側減衰弁BV,外周縁が圧側減衰弁BVの撓みの支持径となる環座17,圧側減衰弁BVの最大撓みを規制するバルブストッパ18を順次組み付け、最後に、ガイド11の軸部11Aの下端部を工具により加締めることによりベースバルブが構成される。
【0013】
作動油の充満したシリンダ21内をピストンロッド1が下降する所謂収縮工程において、ピストン速度が小さくバルブケース15の下側開口窓15Cと底部室C間の圧力差が小さい所謂低速域においては、圧側減衰弁BVは下側開口窓15Cを覆窓している。このため、ピストン5を介して容積の拡大する上部室Aに補充される分を除いたピストンロッド1の侵入体積分に相当する下部室Bの圧油は、バルブケース上面側の凹部15Kと内周ポート15Bを介して下側開口窓15Cに導かれ、下側開口窓15Cに対向する切欠きリーフバルブ14の切欠き14Aを介して底部室Cに流出し、この際の通路抵抗により、ピストン速度のほぼ2乗に比例する低速域の圧側減衰力を発生する。
【0014】
ピストン速度が増大するのに伴い、切欠き14Aを通過する流量が増え切欠き前後の圧力差が増大するとともに、バルブケース上面側の凹部15Kと内周ポート15Bを介して下部室Bに連通するバルブケースの下側開口窓15Cと、底部室C間との圧力差も大きくなる。
【0015】
このため、ピストン速度が中速域に近づくにつれ、下側開口窓15Cに対向して配設されている切欠きリーフバルブ14とリーフバルブ16からなる圧側減衰弁BVの外周側が、その合成された撓み剛性に打ち勝って下側開口窓15Cの外側シート部から押し開かれて作動油が底部室Cに流出し、この際の通路抵抗と内周ポート15Bの通路抵抗とにより中速域以降の圧側減衰力を発生する。切欠きリーフバルブ14とリーフバルブ16からなる圧側減衰弁BVの撓み剛性と内周ポート15Bの通路面積を適当に選択することにより、所要の減衰力特性を得ることができる。
【0016】
ここで上部室Aに補充される分について説明する。ピストン速度が小さくピストン5の外周ポート5Aを介して下部室Bに連通する外側開口窓5Dと上部室A間の圧力差が小さい所謂低速域においては、リーフバルブ3からなる逆止弁CVは外側開口窓5Dを覆窓している。このため下部室Bの圧油は、ピストン5の内周ポート5Bを通り、切欠きリーフバルブ4の切欠き4Aを介して容積の拡大する上部室Aに補充される。
【0017】
ピストン速度が中速域に近づくにつれ、ピストンロッド1の侵入体積分を除いた下部室Bの圧油は、ピストン5の外周ポート5Aを通り、リーフバルブ3からなる逆止弁CVの合成された撓み剛性に打ち勝って、上側開口窓5Dに対向する逆止弁CVを押し開いて、容積の拡大する上部室Aに流出する。ピストン速度が中速域から高速域へと増大し下部室Bと上部室A間の差圧が増加するに従って、逆止弁CVの撓みが増え容積の拡大する上部室Aにスムーズに作動油が補充される。
【0018】
逆に、ピストンロッド1が上昇する際に、ピストン速度の低速域においては、底部室Cからバルブケース15の外周ポート15Aを通り、リーフバルブ13からなる吸込み弁DVの撓み剛性に打ち勝って、上側開口窓15Dから吸込み弁DVを押し開いて、下部室Bに補充される。ピストン速度が中速域から高速域へと増大し底部室Cと下部室B間の差圧が増加するに従って、上側開口窓15Dに対向する吸込み弁DVの撓みが増え、底部室Cから容積の拡大する下部室Bにスムーズに補充される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
油圧緩衝器が伸長行程から収縮行程に切り替わる際に、特にピストン速度の微低速域においては、圧側減衰力を発生させる下部室Bの圧力と容積の拡大する上部室A間の差圧が小さいので、この小さな差圧で逆止弁CVを遅滞なく滑らかに開弁させることは難しい。しかし吸込み弁DVは、吸込み弁自身の撓み剛性に基づく復帰力と下部室Bと底部室C間の差圧とによって速やかに閉弁する。
【0020】
一方、収縮行程から伸長行程に切り替わる際に、逆止弁CVは、逆止弁自身の撓み剛性に基づく復帰力と上部室Aと下部室B間の差圧とによって速やかに閉弁する。しかし、底部室Cの圧力はタンク室D内に封入されたガスの圧力(標準型:1bar,低圧ガス型:3bar)と同一で、底部室Cと下部室B間の差圧は上記封入ガス圧を越えることができないので、この小さな差圧で吸込み弁DVを遅滞なく滑らかに開弁させることは難しい。
【0021】
このため、伸長行程から収縮行程に切り替わる際に、ピストン速度の微低速域においては上部室Aへの吸い込み不足を生じ、上部室Aの圧力が一時的に低下するので、ピストンロッドにはベースバルブ側で発生する本来の圧側減衰力に、上記上部室Aの圧力低下に起因する上部室A側への吸引力が加わるため、図3(B)のM部で示すように、圧側減衰力の立ち上がり勾配が急になり、減衰力の不連続を生じてしまう。
【0022】
同様に、収縮行程から伸長行程に切り替わる際に、ピストン速度の低速域においては下部室Bへの吸い込み不足を生じ、下部室Bの圧力が一時的に低下するので、ピストンロッドにはピストンバルブ側で発生する本来の伸側減衰力に、上記下部室Bの圧力低下に起因する下部室B側への吸引力が加わるため、図3(B)のL部で示すように、伸側減衰力の立ち上がり勾配が急になり、減衰力の不連続を生じてしまう。
【0023】
上述したように、伸長行程から収縮行程に切り替わる際の逆止弁CVと収縮行程から伸長行程に切り替わる際の吸込み弁DVの課題は類似しているので、以下、課題を逆止弁CV(吸込み弁DV)の形式で一緒に説明する。逆止弁CV(吸込み弁DV)を滑らかに開弁させる方法としては、その撓み剛性を小さくするか、或いは、上側開口窓5D(15D)の受圧面積を増加することが考えられる。
【0024】
しかし、逆止弁CV(吸込み弁DV)は、伸長行程時の伸側減衰力(収縮行程時の圧側減衰力)に対応する上部室A(下部室B)の圧力に耐える必要があるため、撓み剛性の低減には限界がある一方、上側開口窓5D(15D)の受圧面積の増加には、スペース上の制約がある。
【0025】
逆止弁CV(吸込み弁DV)の開弁圧力は、逆止弁CV(吸込み弁DV)自身の撓み剛性と、図1(D)に示す上側ボス部5E(15E)から半径方向に伸びる放射状窓枠5F(15F)及び当該放射状窓枠に連なり軸心Zからの半径Rが一定な円弧状の外側窓枠5G(15G)と逆止弁CV(吸込み弁DV)間の接合面の吸着力とによって決まることが知られている。特に、底部室Cと下部室B間の差圧は、タンク室D内に封入されたガスの封入ガス圧を越えることができないので、小さな差圧で作動しなければならない吸込み弁DVの開弁圧力に占める吸着力の影響は大きい。
【0026】
ここで上記逆止弁CV(吸込み弁DV)は、内周側が固定されており外周側から徐々に開弁するので、逆止弁CV(吸込み弁DV)の開弁圧力に占める吸着力の影響は、まず外側窓枠5G(15G)、次に放射状窓枠5F(15F)の順になる。しかし、半径方向に伸びる放射状窓枠5F(15F)に対する吸着力は、半径方向に徐々に剥離されるのと内周側にあることもあって開弁圧力に対する影響は小さので、殆ど無視することができる。
【0027】
本発明は以上のような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、撓み剛性を小さくすることなしに逆止弁CV(吸込み弁DV)を遅滞なく滑らかに開弁させ、減衰力の不連続に起因する異音の発生を抑制することのできる油圧緩衝器を提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明の第一の課題解決手段における油圧緩衝器のピストン又はバルブケースは、シリンダと、ピストンロッドに締結されてシリンダ内を上部室と下部室とに区画するピストンと、シリンダの下部に設けられて下部室とタンク室に連通する底部室とを区画するバルブケースと、ピストン又はバルブケースの上面側に、内周側に形成された上側ボス部と、上側ボス部の上端面に連なり当該上側ボス部の外周側に半径方向に伸びる放射状窓枠と、当該放射状窓枠に連なる外側窓枠とによって包囲されて下部室又は底部室に連通する複数の上側開口窓を隔設し、当該上側開口窓に逆止弁又は吸込み弁を対向させるとともに、ピストン又はバルブケースの下面側に、上部室又は下部室に連通する下側開口窓を設けて伸側減衰弁又は圧側減衰弁を対向させ、ピストンに配設した逆止弁と伸側減衰弁にとよりピストンロッドが伸長する際の伸側減衰力を制御する一方、バルブケースに配設した吸込み弁と圧側減衰弁によりピストンロッドが下降する際の圧側減衰力を制御する油圧緩衝器において、上記ピストン又はバルブケースの上側ボス部の外周側に半径方向に伸びる放射状窓枠に連なって上側開口窓を形成する外側窓枠は、ピストン又はバルブケースの軸心から外側窓枠の内縁に至る距離が、放射状窓枠に連なる両端部から中央部にかけて増加する弧状又はΛ字状になっていることを特徴とする。
【0029】
また、第二の課題解決手段における本発明の油圧緩衝器のピストン又はバルブケースは、シリンダと、ピストンロッドに締結されてシリンダ内を上部室と下部室とに区画するピストンと、シリンダの下部に設けられて下部室とタンク室に連通する底部室とを区画するバルブケースと、ピストン又はバルブケースの上面側に、内周側に形成された上側ボス部と、上側ボス部の上端面に連なり当該上側ボス部の外周側に半径方向に伸びる放射状窓枠と、当該放射状窓枠に連なる外側窓枠とによって包囲されて下部室又は底部室に連通する複数の上側開口窓を隔設し、当該上側開口窓に逆止弁又は吸込み弁を対向させるとともに、ピストン又はバルブケースの下面側に、上部室又は下部室に連通する下側開口窓を設けて伸側減衰弁又は圧側減衰弁を対向させ、ピストンに配設した逆止弁と伸側減衰弁にとよりピストンロッドが伸長する際の伸側減衰力を制御する一方、バルブケースに配設した吸込み弁と圧側減衰弁によりピストンロッドが下降する際の圧側減衰力を制御する油圧緩衝器において、上記ピストン又はバルブケースの上側ボス部の外周側に半径方向に伸びる放射状窓枠に連なって上側開口窓を形成する外側窓枠は、ピストン又はバルブケースの軸心から外側窓枠の内縁に至る距離が、放射状窓枠に連なる両端部から中央部にかけて減少する弧状又はV字状若しくは直線状になっていることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる油圧緩衝器は従来技術と同じ基本構造を備え、ピストンロッド1がその下端部に装着されたピストン105を介して、シリンダ21内に移動自在に挿入されるとともに、上部室Aと下部室Bを区画する。また、シリンダ21の下端部にはバルブケース115が嵌着され、同じく下部室Bとタンク室Dに連通する底部室Cを区画している。そして、ピストン105又はバルブケース115の上面側には、下部室B又は底部室Cに連なる複数の上側開口窓が隔設されている。
【0032】
本発明に係わる油圧緩衝器は従来技術と同じ基本構造を備えているので、図2の( )内に従来技術と異なる部品及び部位にのみ異なる番号を追記して説明する。また、ピストン105及びバルブケース115の上側開口窓は形状が類似しているので、以下、ピストン側(バルブケース側)の形式で一緒に説明する。更に、減衰力の発生メカニズムについては従来技術と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0033】
本発明に係わるピストン105(バルブケース115)の上面側には、図1(A)の第1実施形態に示すように、内周側に形成された上側ボス部105E(115E)と、当該上側ボス部105E(115E)の上端面に連なりその外周側に半径方向に伸びる放射状窓枠105F(115F)と、当該放射状窓枠105F(115F)に連なる外側窓枠105G(115G)とによって包囲された複数の上側開口窓105D(115D)を隔設している。従来構造との相違は、ピストン105(バルブケース115)の軸心Zから外側窓枠105G(115G)の内縁に至る距離Rが、放射状窓枠105F(115F)に連なる両端部から中央部にかけて増加する弧状になっていることである。
【0034】
逆止弁CV(吸込み弁DV)が上側開口窓105D(115D)を覆窓している場合には、作動油の油膜を挟んで当接する逆止弁CV(吸込み弁DV)と上側開口窓105D(115D)との接合面には吸着力が発生している。逆止弁CV(吸込み弁DV)が上側開口窓105D(115D)から開弁する際には、逆止弁CV(吸込み弁DV)がその撓み剛性に打ち勝って外周側から撓むので、本発明に係わる上側開口窓の場合には、軸心Zから最も遠い外側窓枠105G(115G)の中央部から押し開かれることになる。
【0035】
逆止弁CV(吸込み弁DV)が上側開口窓105D(115D)から開弁する際に、上記吸着力に抗して押し開く剥離力は、従来構造のように、軸心Zから外側窓枠5G(15G)の内縁に至る距離Rが一定で一気に剥離するよりも、本発明に係わるピストン105(バルブケース115)のように、外側窓枠105G(115G)の中央部から両端部にかけて徐々に且つ滑らかに剥離する方が小さいので、逆止弁CV(吸込み弁DV)の開弁圧力をその分だけ低減することができる。
【0036】
本実施形態における外側窓枠105G(115G)は、逆止弁CV(吸込み弁DV)が中央部から両端部にかけて徐々に且つ滑らかに剥離すればよいので、曲率半径が同じ円又は曲率半径が変化する楕円の1部からなる弧状、或いは、曲率半径が変化する放物線又は正弦波の1部からなる弧状等のいずれでもよい。
【0037】
上記第1実施形態の説明から分かるように、逆止弁CV(吸込み弁DV)を中央部から両端部にかけて滑らかに剥離させるには、上側開口窓の外側窓枠は第1実施形態で説明した中央部が外側に膨らむ弧状に限らず、中央部が外側に膨らんでいればよいことになる。
【0038】
図1(B)に示す第2実施形態の上側開口窓205D(215D)は、外側窓枠205G(215G)が中央部で外側に折れ曲がったΛ字状になっている。本実施形態においても、逆止弁CV(吸込み弁DV)は、ピストン205(バルブケース215)の軸心Zから最も遠い外側窓枠205G(215G)の中央部から押し開かれることになる。
【0039】
図1(C)に示す第3実施形態の上側開口窓305D(315D)は、外側窓枠305G(315G)が直線状になっている。本実施形態においては、逆止弁CV(吸込み弁DV)は、ピストン305(バルブケース315)の軸心Zから最も遠い外側窓枠305G(315G)の両端部から押し開かれることになる。
また、上記第1,2実施形態の膨らみを内側に反転させれば容易に想定できるので図示は省略するが、吸着力の低減効果は、上側開口窓305D(315D)の外側窓枠が図示の直線状に限らず、内側に窪んだ弧状又は中央部で内側に折れ曲ったV字状でも得ることができる。
【0040】
第1,第2実施形態においては、外側窓枠の中央部から両端部にかけて、また第3実施形態においては、両端部から中央部にかけて徐々に且つ滑らかに剥離するので、逆止弁CV(吸込み弁DV)は、従来構造に比べてより小さい差圧で開弁し、差圧の小さいピストン速度の微低速域からスムーズに開弁させることができる。この結果、図3(A)に示すように減衰力の不連続がなくなり、これに起因するコトコト音の発生を防止することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述した通り本発明の第1,第2実施形態においては、外側窓枠の中央部から両端部にかけて、また第3実施形態においては、外側窓枠の両端部から中央部にかけて徐々に且つ滑らかに剥離するので、逆止弁(吸込み弁)は、従来構造に比べてより小さい差圧で開弁し、差圧の小さいピストン速度の微低速域からスムーズに開弁させることができる。この結果、減衰力の不連続がなくなり、これに起因するコトコト音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A) 第1実施形態に係わるピストン(バルブケース)の上面図である。
(B) 第2実施形態に係わるピストン(バルブケース)の上面図である。
(C) 第3実施形態に係わるピストン(バルブケース)の上面図である。
(D) 従来技術に係わるピストン(バルブケース)の上面図である。
【図2】従来技術(本発明)に係る油圧緩衝器の縦断面図である。
【図3】(A) 本発明に係わる油圧緩衝器の減衰力特性の一例である。
(B) 従来技術に係わる油圧緩衝器の減衰力特性の一例である。
【符号の説明】
A 上部室
B 下部室
C 底部室
D タンク室
BV 圧側減衰弁
CV 逆止弁
DV 吸込み弁
PV 伸側減衰弁
R 軸心から上側開口窓の内縁に至る半径
Z (ピストン又はバルブケースの)軸心
1 ピストンロッド
21 シリンダ
105 ピストン
105C,115C 下側開口窓(ピストン側,バルブケース側)
105D,115D 上側開口窓(ピストン側,バルブケース側)
105E,115E 上側ボス部(ピストン側,バルブケース側)
105F,115F 放射状窓枠(ピストン側,バルブケース側)
105G,115G 外側窓枠(ピストン側,バルブケース側)
115 バルブケース
Claims (2)
- シリンダと、ピストンロッドに締結されてシリンダ内を上部室と下部室とに区画するピストンと、シリンダの下部に設けられて下部室とタンク室に連通する底部室とを区画するバルブケースと、ピストン又はバルブケースの上面側に、内周側に形成された上側ボス部と、上側ボス部の上端面に連なり当該上側ボス部の外周側に半径方向に伸びる放射状窓枠と、当該放射状窓枠に連なる外側窓枠とによって包囲されて下部室又は底部室に連通する複数の上側開口窓を隔設し、当該上側開口窓に逆止弁又は吸込み弁を対向させるとともに、ピストン又はバルブケースの下面側に、上部室又は下部室に連通する下側開口窓を設けて伸側減衰弁又は圧側減衰弁を対向させ、ピストンに配設した逆止弁と伸側減衰弁にとよりピストンロッドが伸長する際の伸側減衰力を制御する一方、バルブケースに配設した吸込み弁と圧側減衰弁によりピストンロッドが下降する際の圧側減衰力を制御する油圧緩衝器において、上記ピストン又はバルブケースの上側ボス部の外周側に半径方向に伸びる放射状窓枠に連なって上側開口窓を形成する外側窓枠は、ピストン又はバルブケースの軸心から外側窓枠の内縁に至る距離が、放射状窓枠に連なる両端部から中央部にかけて増加する弧状又はΛ字状になっていることを特徴とする油圧緩衝器のピストン又はバルブケース。
- シリンダと、ピストンロッドに締結されてシリンダ内を上部室と下部室とに区画するピストンと、シリンダの下部に設けられて下部室とタンク室に連通する底部室とを区画するバルブケースと、ピストン又はバルブケースの上面側に、内周側に形成された上側ボス部と、上側ボス部の上端面に連なり当該上側ボス部の外周側に半径方向に伸びる放射状窓枠と、当該放射状窓枠に連なる外側窓枠とによって包囲されて下部室又は底部室に連通する複数の上側開口窓を隔設し、当該上側開口窓に逆止弁又は吸込み弁を対向させるとともに、ピストン又はバルブケースの下面側に、上部室又は下部室に連通する下側開口窓を設けて伸側減衰弁又は圧側減衰弁を対向させ、ピストンに配設した逆止弁と伸側減衰弁にとよりピストンロッドが伸長する際の伸側減衰力を制御する一方、バルブケースに配設した吸込み弁と圧側減衰弁によりピストンロッドが下降する際の圧側減衰力を制御する油圧緩衝器において、上記ピストン又はバルブケースの上側ボス部の外周側に半径方向に伸びる放射状窓枠に連なって上側開口窓を形成する外側窓枠は、ピストン又はバルブケースの軸心から外側窓枠の内縁に至る距離が、放射状窓枠に連なる両端部から中央部にかけて減少する弧状又はV字状若しくは直線状になっていることを特徴とする油圧緩衝器のピストン又はバルブケース。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001025766A JP4564676B2 (ja) | 2001-02-01 | 2001-02-01 | 油圧緩衝器のピストン又はバルブケース |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001025766A JP4564676B2 (ja) | 2001-02-01 | 2001-02-01 | 油圧緩衝器のピストン又はバルブケース |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002227905A JP2002227905A (ja) | 2002-08-14 |
JP4564676B2 true JP4564676B2 (ja) | 2010-10-20 |
Family
ID=18890696
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001025766A Expired - Fee Related JP4564676B2 (ja) | 2001-02-01 | 2001-02-01 | 油圧緩衝器のピストン又はバルブケース |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4564676B2 (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04117939U (ja) * | 1991-04-05 | 1992-10-22 | 株式会社昭和製作所 | スリツトバルブ及びその製造装置 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2839252B2 (ja) * | 1987-11-19 | 1998-12-16 | 株式会社ユニシアジェックス | 液圧緩衝器 |
JP3123021B2 (ja) * | 1989-11-20 | 2001-01-09 | カヤバ工業株式会社 | 油圧緩衝器のバルブ装置 |
JPH11201212A (ja) * | 1998-01-16 | 1999-07-27 | Unisia Jecs Corp | 液圧緩衝器の減衰バルブ |
-
2001
- 2001-02-01 JP JP2001025766A patent/JP4564676B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04117939U (ja) * | 1991-04-05 | 1992-10-22 | 株式会社昭和製作所 | スリツトバルブ及びその製造装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002227905A (ja) | 2002-08-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4318080B2 (ja) | 油圧緩衝器 | |
JP4847379B2 (ja) | フロントフォーク | |
JP5008667B2 (ja) | 非対称吸込減衰弁 | |
JP5115814B2 (ja) | 緩衝器 | |
US5738191A (en) | Vibration damper | |
JP2001099210A (ja) | ダンパ | |
JPH09280294A (ja) | 油圧緩衝器のバルブ構造 | |
JPH07332425A (ja) | 減衰力調整式油圧緩衝器 | |
JP4564676B2 (ja) | 油圧緩衝器のピストン又はバルブケース | |
JP2004257507A (ja) | 油圧緩衝器 | |
JP4443030B2 (ja) | 油圧緩衝器のバルブ構造 | |
JP4564675B2 (ja) | 油圧緩衝器のバルブ構造 | |
JP4405657B2 (ja) | 油圧緩衝器のバルブ構造 | |
JP2002195336A (ja) | 油圧緩衝器のバルブ構造 | |
JP2001059539A (ja) | 油圧緩衝器の減衰力発生構造 | |
JP2002139090A (ja) | 油圧緩衝器のバルブ構造 | |
JP5106347B2 (ja) | 液圧緩衝器 | |
JP2002089607A (ja) | 油圧緩衝器の減衰力発生構造 | |
JP2002181111A (ja) | 油圧緩衝器のピストン又はバルブケース | |
JP2002206584A (ja) | 油圧緩衝器のバルブ構造 | |
CN109219711A (zh) | 止回阀组件 | |
JP6093599B2 (ja) | 緩衝装置 | |
JP2002168280A (ja) | 油圧緩衝器のバルブ構造 | |
JP2607428Y2 (ja) | 油圧緩衝器 | |
JP2009008149A (ja) | 減衰力調整式油圧緩衝器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070928 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091201 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20091130 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20091224 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100121 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100713 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100802 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806 Year of fee payment: 3 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4564676 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806 Year of fee payment: 3 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |