JP4564203B2 - 原子炉制御棒の誤動作防止装置 - Google Patents

原子炉制御棒の誤動作防止装置 Download PDF

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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力発電所における電動駆動式制御棒の操作時に機能する原子炉制御棒の誤動作防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、原子力発電は、原子炉内のウランに代表される原子燃料に中性子を当てて核分裂を起こさせ、その時生じる核分裂エネルギーを電力に変換することにより行われている。
【0003】
原子炉の出力の調整は、図7に示すように、原子炉圧力容器1内に装荷された燃料棒を多数配置してなる燃料集合体の間に、中性子吸収材により構成される十字型の制御棒2を配置し、この制御棒2を炉心に挿入したり引抜いたりして、原子燃料に当てる中性子の量を調整することによって行っている。
【0004】
制御棒2の駆動は、ネジ穴の空いたボールナット3上に、中空ピストン4と一体化した制御棒2を載せ、制御棒駆動モータ5によってネジ山の刻まれたボールネジ6を回転させて、ボールナット3を上下方向に駆動することによって行われる。
【0005】
制御棒駆動モータ5の電源供給源としてコンタクタやサイリスタスイッチ等からなる制御棒駆動電源供給装置7が設置されており、この制御棒駆動電源供給装置7内の接点をON−OFFすることによりモータが正・逆に駆動され、あるいは停止される。
【0006】
制御棒2の位置は、制御棒位置検出器8により検知される。制御棒位置検出器8は、ボールネジ6の回転数を検出しそれを制御棒の位置に換算して、制御棒位置信号9として制御棒の位置の位置制御を行う制御棒位置制御装置10に出力する。
【0007】
制御棒2が駆動状態から停止状態に移ったときに制御棒2を固定するため、保持用ブレーキ11が設置されている。保持用ブレーキ11は、制御棒駆動モータ5の停止時にかけられ、駆動する際には解除される。
【0008】
制御棒位置制御装置10は、約200本ある制御棒の統括制御を行う制御棒統括制御装置12から目標位置を含む制御棒駆動信号13が入力されると、ブレーキ解除信号14を出力して保持用ブレーキ11をはずし、制御棒駆動電源供給装置7に制御棒駆動信号16を出力して制御棒駆動モータ5を駆動させる。
【0009】
さらに、制御棒位置制御装置10は、制御棒位置検出器8からの制御棒位置信号9を監視しており、制御棒2が目標位置に達したところで制御棒駆動信号16およびブレーキ解除信号14の出力を止めて制御棒駆動モータ5を停止させて保持用ブレーキ11をかける。
【0010】
非常時には、スクラム(緊急停止)弁17が開き、水圧制御ユニット(HCU)18のアキュムレータ内に蓄えられた高圧水がスクラム配管19を通って中空ピストン4内に流入され、それによって、制御棒2が原子炉圧力容器1側へ急速に挿入される。
【0011】
原子炉出力は、このような原子炉制御棒の位置制御によって調整されているが、何らかの原因により制御棒が誤動作した場合には、原子炉への予期せぬ反応度が投入されて原子炉の運転に支障をきたす恐れがある。
【0012】
制御棒の誤動作を防止するため、制御棒の制御装置には冗長化構成が図られており、誤信号出力においても制御棒の誤動作が起きないようにされている。
【0013】
このように、従来の制御棒の制御装置については冗長化構成が図られているが、出力最終端である制御棒駆動電源供給装置においては冗長化構成が採られず、非常時には機器本体に保持用ブレーキによる電気的、機械的な負荷エネルギーをかけて制御棒を停止させる対策がとられているだけであり、システム面でも制御棒電源供給装置の故障に対応する必要性がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述のとおり、従来の制御棒の制御装置は冗長化構成が採られて誤信号出力においても制御棒が誤動作することのないように構成されているが、出力最終端である制御棒駆動電源供給装置については、非常時に保持用ブレーキで制御棒の移動を止める対策がとられているだけであり、システム面でも対応することが望まれている。
【0015】
したがって本発明の目的は、出力最終端である制御棒駆動電源供給装置の故障が生じた際に、システム的に電源を遮断して制御棒の移動を停止させる原子炉制御棒の誤動作防止装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係わる原子炉制御棒の誤動作防止装置は、原子炉制御棒を上下に駆動する制御棒駆動装置と、前記制御棒駆動装置に駆動電源を供給する制御棒駆動電源供給装置と、前記制御棒駆動電源供給装置に電源を供給する電源装置と、前記制御棒の位置を検出して制御棒位置信号を出力する制御棒位置検出装置と、前記制御棒位置信号を予め設定された設定位置と比較して、前記設定位置に前記制御棒を位置させるべく制御棒駆動信号を前記制御棒駆動電源供給装置に出力する制御棒位置制御装置と、前記制御棒駆動信号の出力状態と制御棒の移動・停止状態又は位置の整合性を監視し非整合の場合に電源遮断信号を出力する制御棒駆動電源監視装置と、前記制御棒駆動電源供給装置と前記電源装置間に介挿され、前記電源遮断信号を受けて電源を遮断する電源遮断器とを具備し、前記制御棒駆動電源監視装置が、前記制御棒駆動装置の動作予定時間と前記制御棒駆動装置の駆動動作の実時間とを比較して前記実時間が前記予定時間を越えたとき電源遮断信号を出力するタイマ電源監視装置を具備することを特徴とする。
【0020】
この原子炉制御棒の誤動作防止装置では、制御棒位置制御回路からの制御棒駆動指令が出力されていない時に、制御棒位置検出装置からの制御棒位置信号に変化があるような異常状態を検知した場合は、電源供給装置の誤動作がその一要因であると考えられるため、電源遮断器をOFF状態にする。
【0021】
これにより、制御棒駆動電源供給装置がON状態のままとなる故障が発生しても、制御棒を停止させることができ、原子炉への予期せぬ反応度投入操作を防止することができる。
【0023】
た、制御棒駆動電源供給装置がON状態のままとなる故障が発生しても、制御棒を停止させることができ、原子炉への予期せぬ反応度投入操作を防止することができる。
【0024】
請求項2の原子炉制御棒の誤動作防止装置は、請求項1の原子炉制御棒の誤動作防止装置において、前記制御棒駆動電源供給装置はコンタクタを具備し、前記制御棒駆動電源監視装置は、前記コンタクタの予備接点のON−OFF状態と前記制御棒駆動信号の有無とを比較して前記コンタクタの予備接点がON状態で前記制御棒駆動信号が無いとき前記電源遮断器に電源遮断信号を出力するコンタクタ電源監視装置を具備することを特徴とする。
【0025】
このように、コンタクタの状態を監視し上述の条件下で電源遮断器を遮断することによって、制御棒駆動電源供給装置がON状態のままとなる故障を発生しても、制御棒を止めることができ、原子炉への予期せぬ反応度投入操作を防止することができる。
【0026】
請求項3の原子炉制御棒の誤動作防止装置は、請求項1の原子炉制御棒の誤動作防止装置において、前記電源供給装置はサイリスタスイッチを具備し、前記制御棒駆動電源監視装置は、前記サイリスタスイッチの電源出力部の電圧又は電流による前記電源供給装置のON−OFF状態と前記制御棒駆動信号の有無とを比較して前記サイリスタスイッチがON状態で前記制御棒駆動信号が無いとき前記電源遮断器に電源遮断信号を出力するサイリスタスイッチ電源監視装置を具備することを特徴とする。
【0027】
制御棒駆動電源供給装置がインバータのような電源制御回路の場合には、電源出力部の電圧又は電流を入力することによって電源装置のON−OFF状態を確認し、電源装置出力状態と制御棒位置制御回路からの制御棒駆動指令の有無とが一致していないことを検出した場合には、制御棒駆動電源供給装置がON状態のままとなる故障とみなして、電源遮断器を遮断し、制御棒を停止する。
【0028】
このように、サイリスタスイッチの状態を監視し、上述の条件下で電源遮断器を遮断することによって、制御棒駆動電源供給装置がON状態のままとなる故障が発生しても、制御棒を停止させることができ、原子炉への予期せぬ反応度投入操作を防止することができる。
【0029】
請求項4の原子炉制御棒の誤動作防止装置は、請求項2又は3の原子炉制御棒の誤動作防止装置において、前記制御棒駆動電源供給装置のON−OFF状態と前記制御棒駆動信号の有無とを比較して前記制御棒駆動電源供給装置がON状態で前記制御棒駆動信号が無いとき前記制御棒駆動電源供給装置および前記電源遮断器への前記制御棒駆動信号の出力を阻止する制御棒駆動信号阻止手段とを具備することを特徴とする。
【0030】
これにより、制御棒駆動電源供給装置が故障しても、誤って制御棒駆動用モータを駆動することを防止できる。
【0031】
請求項5の原子炉制御棒の誤動作防止装置は、請求項4の原子炉制御棒の誤動作防止装置において、前記制御棒駆動信号阻止手段による前記制御棒駆動信号の出力の阻止がある場合に故障警報を出力する警報出力手段を具備することを特徴とする。
【0032】
これにより、制御棒駆動電源供給装置がON状態のままとなる故障が発生した場合に直ちに運転員に状況を通知することができるから、制御棒誤動作を回避し原子炉への予期せぬ反応度投入操作を防止することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0034】
なお、以下の実施の形態においては、発明の要部とは関係のない図7における原子炉圧力容器1、制御棒2の記載を省略し、共通部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0035】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の原子炉制御棒の誤動作防止装置の第1の実施の形態の構成図である。
【0036】
同図において、制御棒駆動装置を構成するボールナット3、中空ピストン4、制御棒駆動モータ5、ボールネジ6、制御棒駆動電源供給装置7、制御棒位置検出器8、保持用ブレーキ11、制御棒統括制御装置12及び制御棒位置制御装置10の構成及び動作、並びに、非常時のスクラム(緊急停止)弁17、水圧制御ユニット(HCU)18等の構成及び動作は、図7で説明した従来の原子炉における原子炉における制御棒の駆動制御装置と同様である(以下の各実施の形態においても同様である。)。
【0037】
この実施例では、コンタクタやサイリスタスイッチ等からなる制御棒駆動電源供給装置7と電源装置20との間に、電源遮断器21が介挿されている。
【0038】
電源遮断器21としては、制御棒駆動電源供給装置7と同様に、コンタクタやサイリスタスイッチ等が用いられる。
【0039】
制御棒駆動電源供給層値7及び電源遮断器21にはそれぞれ制御棒駆動信号16が別個に送られる。つまり、電源遮断器21は、制御棒位置制御装置10から出力された制御棒駆動信号16を受けて、制御棒駆動電源供給装置7とは別個に受けて、次のように、制御棒駆動電源供給装置7のON−OFFと同時に作動する。
【0040】
すなわち、電源遮断器21は、制御棒位置制御装置10が出力する制御棒駆動信号16がON状態(挿入又は引抜)のときは、遮断回路を閉じて制御棒駆動電源供給装置7へ電源を供給し、制御棒駆動信号16がOFF状態(停止)のときは、遮断回路を開いて制御棒駆動電源供給装置7への電源供給を遮断する。
【0041】
これにより、制御棒位置制御装置10からの制御棒駆動信号16が出力されているときに、制御棒駆動電源供給装置7がON状態のままとなる故障が発生しても電源遮断器21により制御棒を停止することで、原子炉への予期せぬ反応度投入操作を防止することができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態の構成図である。
【0043】
この実施の形態では、制御棒位置信号9と制御棒駆動信号16の整合を監視する制御棒駆動電源監視装置22が設置されている。
【0044】
この制御棒駆動電源監視装置22は、制御棒位置検出器8から出力される制御棒位置信号9と制御棒駆動信号16とを比較して制御棒2の誤動作を検出すると、電源遮断器21に制御棒停止信号26を出力する。この制御棒停止信号26により、電源遮断器21は遮断され制御棒2が停止する。
【0045】
図3は、制御棒駆動電源監視装置22の構成図である。制御棒駆動電源監視装置22には、制御棒位置検出器8からの制御棒位置信号9と制御棒位置制御装置10からの制御棒駆動信号16とが入力される。
【0046】
制御棒位置信号9は、制御棒駆動電源監視装置22内の制御棒駆動距離算出回路27に入力され、制御棒駆動距離算出回路27は、この制御棒位置信号9と、所定の時間(t秒) 前に入力された過去の制御棒位置信号9との差分を取ることにより、所定の時間(t秒)内に進んだ制御棒駆動距離を算出して、その結果である制御棒駆動距離信号28を制御棒位置異常判定回路29に出力する。
【0047】
制御棒位置異常判定回路29は、制御棒駆動距離信号28中の制御棒駆動距離が予めモータ特性等によって設定された閾値Xよりも大きい場合には、制御棒が動作状態にあることを示す制御棒動作状態信号30を出力する。
【0048】
制御棒動作状態信号30が出力されているときに、制御棒位置制御装置10からの制御棒駆動信号16が出力されていないときは、制御棒駆動電源供給装置7が誤動作して何らかの故障で制御棒駆動装置のモータに電源を供給している可能性がある。よって本実施の形態では、制御棒駆動電源監視装置22は、制御棒動作状態信号30が出力されており、かつ、制御棒駆動信号16が出力されていないときに、制御棒停止信号26を電源遮断器21に出力して電源遮断器21を遮断する。
【0049】
これにより、制御棒駆動電源供給装置7に故障が発生しても電源遮断器21により制御棒2を停止することで、原子炉への予期せぬ反応度投入操作を防止することができる。
【0050】
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の第3の実施の形態の構成図である。
【0051】
本実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、制御棒駆動電源監視装置22が設置され、この制御棒駆動電源監視装置22は誤動作を検出したとき制御棒停止信号26を電源遮断器21に出力する。
【0052】
すなわち、本実施の形態では、制御棒駆動電源供給装置7から制御棒駆動電源監視装置22に制御棒駆動電源供給装置7が駆動電源を供給している状態か(ON状態)、供給を停止している状態か(OFF状態)を示す駆動電源供給装置状態信号31が出力され、駆動電源供給装置状態信号31がON状態であって制御棒位置制御装置10からの制御棒駆動信号16がOFF状態にあるときは、制御棒駆動電源供給装置7に誤動作故障が生じているものと判断して、制御棒駆動電源監視装置22は、電源遮断器21に制御棒駆動停止信号26を出力して電源遮断器21を遮断する。
【0053】
以下、本実施の形態において制御棒駆動電源供給装置7にコンタクタを用いた場合の具体例について説明する。
【0054】
図5(a)は、この例における制御棒駆動電源監視装置22のシーケンス図であり、図5(b)はその内部の故障検出回路32のシーケンス図、図5(c)は制御棒駆動電源供給装置7および電源遮断器21の接点の構成図である。
【0055】
この例のように、制御棒駆動電源供給装置7にコンタクタを用いた場合には、コンタクタのON−OFF状態の監視によって制御棒駆動用モータに電源が供給されているかどうかを確認することができる。この場合、コンタクタの予備接点を駆動電源供給装置状態信号31の発生源とすることができる。
【0056】
図5(a)および(c)では、制御棒駆動電源供給装置7の制御棒引抜用接点をX1 、制御棒挿入用接点をX2 、また電源遮断器21の接点をZ1 として表している。X1 又はX2 のON状態の信号が制御棒駆動電源供給装置状態信号31として制御棒駆動電源監視装置22に入力されている。
【0057】
図5(a)および(b)は、故障が検出された場合を示したもので、制御棒駆動電源監視装置22およびその内部要素である故障検出回路32の左側には、入力信号群が示され、右側には出力信号群が示されている。
【0058】
図5(a)に示すように、制御棒駆動電源監視装置22内には故障検出回路32が設けられており、この故障検出回路32は、図5(b)に示すように、制御棒位置制御装置10からの制御棒駆動信号16(同図中の制御棒引抜信号、制御棒挿入信号、制御棒引抜または挿入信号)が入力されていない状態で、制御棒駆動電源供給装置状態信号31(同図中の接点ON状態)が入力されたとき、制御棒駆動電源供給装置7が誤動作しているものと判断して故障検出信号33を出力する。
【0059】
なお、制御棒駆動電源供給装置7にコンタクタを用いる場合には、図5(b)に示すように、コンタクタの接点が離れるまでの遅れ時間を見込んで故障検出回路内にタイマを設定し、接点が離れるまでの遅れ時間(t1)中に故障検出があっても故障検出信号33を出力しないように構成して誤検出を防止することが望ましい。
【0060】
図5(a)に示すように、制御棒駆動電源監視装置22内で故障検出回路32が再び故障検出信号33を出力すると、故障検出信号33はセット回路Sを駆動してセット信号を出し続ける。
【0061】
セット信号は、警報出力手段34に入力されて警報を発生するとともに、電源遮断器21の接点Z1 、制御棒駆動電源供給装置7の制御棒引抜用接点X1 、および制御棒駆動電源供給装置7の挿入用接点X2 に向かう夫々の駆動信号の経路の途中に設定されたワイプアウト回路(WO)に入り、前記した夫々の駆動信号の進行を阻止し続ける。事故原因が判明した後セット信号はリセット回路Rによりリセット(解除)される。
【0062】
ここで、電源遮断器21の接点Z1 においては、その機能上、駆動信号がONの時、その接点がOFFになる。すなわち、故障検出信号33が出力されると、電源遮断器21は遮断され、制御棒駆動用電源供給装置7への電源供給を遮断する。
【0063】
なお、ここでの警報出力手段34により出力される警報は,サイレンなどの警報音には限定されず、音声、文字表示、制御盤でのランプ点灯など、さまざまな態様、あるいはこれらの適切な組合わせが考えられることはいうまでもない。 次に、本実施の形態で、制御棒駆動電源供給装置7にサイリスタスイッチを用いた具体例について説明する。
【0064】
図6(a)は、この例における制御棒駆動電源監視装置22のシーケンス図であり、図6(b)は、制御棒駆動電源供給装置7および電源遮断器21の接点構成図である。
【0065】
図6(b)に示すように、この例では、制御棒駆動用モータの電源入力部の電圧または電流を計測する電源検出部35が設けられている。この具体例では、電源検出部35で計測された電圧または電流が予め設定された設定値以上であるか否かを検出することによって、制御棒駆動用モータに電源が供給されているかどうかを確認することができるため、電圧または電流のON−OFF状態を制御棒駆動電源供給装置状態信号31として用いることができる。
【0066】
この具体例では、図6(a)に示すように、制御棒駆動電源監視装置22内の故障検出回路32は、制御棒位置制御装置10からの制御棒駆動信号16がOFF状態であって、制御棒駆動電源供給装置状態信号31がON状態のときは、制御棒駆動電源供給装置7が誤動作しているものとして故障検出信号33が出力される。
【0067】
故障検出信号33はセット回路Sにおいて駆動信号を発生し続け、これがワイプアウト回路(WO)に入り、電源遮断器の接点Z1 に向かう挿入または引出の各駆動信号を阻止する。その結果、制御棒駆動電源監視装置22は、電源遮断器21に制御棒停止信号(Z1 遮断信号)を出力して、電源遮断器21を遮断することができる。
【0068】
なお、この場合、コンタクタを適用した例において説明した警報出力手段34を追設して、制御棒駆動電源供給装置の誤動作を警報により通知するとしてもよい。
【0069】
以上説明した各実施の形態の構成はいずれも本願発明の1つの好適な態様を示すものであり、各実施の形態の構成を適宜組合わせる、あるいは、1つまたは複数の実施の形態をもとに制御棒の誤動作防止のための制御系統の多重化した配置を行うことを考慮してもよい。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、原子力発電所における原子炉制御棒の電動駆動式制御棒の操作において、例えば万一制御棒駆動装置に電源を供給する制御棒駆動電源供給装置が故障してON状態を続けるような誤動作が生じたような場合に、制御棒駆動電源供給装置に連結する電源遮断器が遮断されるので制御棒の動作を停止させることができる。したがって、原子炉に予期せぬ反応度を投入するような事態を防止して原子炉の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第1の実施の形態の構成図。
【図2】本発明に係わる第2の実施の形態の構成図。
【図3】本発明の第2の実施の形態における原子炉制御棒の誤動作防止装置の構成図。
【図4】本発明に係わる第3の実施の形態の構成図。
【図5】 本発明の第3の実施の形態における原子炉制御棒の誤動作防止装置のシーケンス図。
【図6】本発明の第3の実施の形態における原子炉制御棒誤動作防止装置の別のシーケンス図。
【図7】従来の原子炉制御棒位置制御装置の構成図。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器、2…制御棒、3…ボールナット、4…中空ピストン、5…制御棒駆動モータ、6…ボールネジ、7…制御棒駆動電源供給装置、8…制御棒位置検出器、9…制御棒位置信号、10…制御棒位置制御装置、11…保持用ブレーキ、12…全制御棒統括制御装置、13…目標位置を含む駆動信号、14…ブレーキ解除信号、16…制御棒駆動信号、17…スクラム弁、18…水圧制御ユニット(HCU)、19…スクラム配管、20…電源装置、21…電源遮断器、22…制御棒駆動電源監視装置、26…制御棒停止信号、27…制御棒駆動距離算出回路、28…制御棒駆動距離信号、29…制御棒位置異常判定回路、30…制御棒動作状態信号、31…制御棒駆動電源供給装置状態信号、32…故障検出回路、33…故障検出信号、34…警報出力手段、35…電源検出部

Claims (5)

  1. 原子炉制御棒を上下に駆動する制御棒駆動装置と、
    前記制御棒駆動装置に駆動電源を供給する制御棒駆動電源供給装置と、
    前記制御棒駆動電源供給装置に電源を供給する電源装置と、
    前記制御棒の位置を検出して制御棒位置信号を出力する制御棒位置検出装置と、
    前記制御棒位置信号を予め設定された設定位置と比較して、前記設定位置に前記制御棒を位置させるべく制御棒駆動信号を前記制御棒駆動電源供給装置に出力する制御棒位置制御装置と、
    前記制御棒駆動信号の出力状態と制御棒の移動・停止状態又は位置の整合性を監視し非整合の場合に電源遮断信号を出力する制御棒駆動電源監視装置と、
    前記制御棒駆動電源供給装置と前記電源装置間に介挿され、前記電源遮断信号を受けて電源を遮断する電源遮断器とを具備し、
    前記制御棒駆動電源監視装置が、前記制御棒駆動装置の動作予定時間と前記制御棒駆動装置の駆動動作の実時間とを比較して前記実時間が前記予定時間を越えたとき電源遮断信号を出力するタイマ電源監視装置を具備することを特徴とする原子炉制御棒の誤動作防止装置。
  2. 前記制御棒駆動電源供給装置はコンタクタを具備し、前記制御棒駆動電源監視装置は、前記コンタクタの予備接点のON−OFF状態と前記制御棒駆動信号の有無とを比較して前記コンタクタの予備接点がON状態で前記制御棒駆動信号が無いとき前記電源遮断器に電源遮断信号を出力するコンタクタ電源監視装置を具備することを特徴とする請求項1記載の原子炉制御棒の誤動作防止装置。
  3. 前記電源供給装置はサイリスタスイッチを具備し、前記制棒駆動電源監視装置は、前記サイリスタスイッチの電源出力部の電圧又は電流による前記電源供給装置のON−OFF状態と前記制御棒駆動信号の有無とを比較して前記サイリスタスイッチがON状態で前記制御棒駆動信号が無いとき前記電源遮断器に電源遮断信号を出力するサイリスタスイッチ電源監視装置を具備することを特徴とする請求項1記載の原子炉制御棒の誤動作防止装置。
  4. 前記制御棒駆動電源監視装置が、前記制御棒駆動電源供給装置のON−OFF状態と前記制御棒駆動信号の有無とを比較して前記制御棒駆動電源供給装置がON状態で前記制御棒駆動信号が無いとき前記制御棒駆動電源供給装置および前記電源遮断器への前記制御棒駆動信号の出力を阻止する制御棒駆動信号阻止手段とを具備することを特徴とする請求項2又は3記載の原子炉制御棒の誤動作防止装置。
  5. 前記制御棒駆動信号阻止手段による前記制御棒駆動信号の出力の阻止がある場合に故障警報を出力する警報出力手段を具備することを特徴とする請求項4記載の原子炉制御棒の誤動作防止装置
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