JP4563970B2 - 農薬を検出する方法およびバイオマイクロセンサ - Google Patents
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Description
前記酵素がアセチルコリンエステラーゼまたはコリンオキシダーゼであることが好ましい。
前記無機触媒がプルシアンブルー(Fe(CN)6 3−)であることが好ましい。
前記電極の表面への固定が電解重合法によって行われることが好ましい。
前記電解重合法が、電極の表面に重合によりポリピロールの膜を一層作り、ポリピロール膜上に酵素、金ナノ粒子および無機触媒を固定することが好ましい。
前記金ナノ粒子の濃度が0.5〜2.0ppmであることが好ましい。
前記金ナノ粒子の粒径が16.5〜20nmであることが好ましい。
前記電極が白金電極であることが好ましい。
前記試料を温度センサに接触させて前記試料の温度を検出する工程をさらに含むことが好ましい。
前記電流信号が試料の温度により温度補償処理されることが好ましい。
前記農薬が有機リンまたはカーバメイト系であることが好ましい。
前記電極および温度センサが平板上に配置されることが好ましい。
また、本発明は、電流信号を検出する少なくとも1つの電極、前記電流信号を受け取って処理し、前記電流信号を濃度データに変換する処理ユニット、および、前記濃度データを表示する表示ユニット、を備え、前記電極の表面に酵素、金ナノ粒子および無機触媒が固定されるバイオマイクロセンサに関する。
前記酵素がアセチルコリンエステラーゼまたはコリンオキシダーゼであることが好ましい。
前記無機触媒がプルシアンブルー(Fe(CN)6 3−)であることが好ましい。
前記電極の表面への固定が電解重合法によって行われることが好ましい。
前記電解重合法が、電極の表面に重合によりポリピロールの膜を一層作り、ポリピロール膜上に酵素、金ナノ粒子および無機触媒を固定することが好ましい。
前記金ナノ粒子の濃度が0.5〜2.0ppmであることが好ましい。
前記金ナノ粒子の粒径が16.5〜20nmであることが好ましい。
前記電極が白金電極であることが好ましい。
温度を検出して前記処理ユニットに転送する温度センサをさらに含むことが好ましい。
前記電流信号が前記検出された温度により温度補償処理されることが好ましい。
前記バイオマイクロセンサが農薬を検出するのに用いられることが好ましい。
前記農薬が有機リンまたはカーバメイト系であることが好ましい。
前記電極および温度センサが共に平板上に配置されることが好ましい。
また、本発明は、金ナノ粒子および無機触媒を、酵素が固定された電極の表面に固定する工程を含む電流ノイズを低減する方法に関する。
前記無機触媒がプルシアンブルー(Fe(CN)6 3−)であることが好ましい。
前記金ナノ粒子の粒径が16.5〜20nmであることが好ましい。
前記金ナノ粒子の濃度が0.5〜2.0ppmであることが好ましい。
電解重合法により前記電極表面に金ナノ粒子および無機触媒を固定することが好ましい。
前記電解重合法が、電極の表面に重合によりポリピロールの膜を一層作り、ポリピロール膜上に金ナノ粒子および無機触媒を固定することが好ましい。
前記酵素がアセチルコリンエステラーゼまたはコリンオキシダーゼであることが好ましい。
本発明の提供するバイオセンサは、その表面に酵素、金ナノ粒子および無機触媒が固定された少なくとも1つの電極、温度センサ、およびデータ処理表示装置を備え、農薬を検出するのに用いられる。
本発明のバイオマイクロセンサ創作にあたり、従来のバイオセンサの長所を残すことはもちろんのこと、環境因子による干渉の回避、生体認識素子の活性維持、検出時間の短縮、および検出限界の低下による応用範囲の拡大を実現することが、より重要な課題としてあった。かかる諸目的を達成するためには、電極の作製、生体認識素子の固定、電流信号の増幅、ノイズ消去と信号デジタル化、センサ微小化など、バイオマイクロセンサ創作全般に関わるプラットフォーム技術を打ち立てることが要された。
図1に示される本発明の1実施形態によるバイオマイクロセンサは、それぞれ対電極、作用電極および参照電極である3つの電極101、103および105を備える。作用電極は、酵素、金ナノ粒子およびプルシアンブルー(Fe(CN)6 3−)が固定されており、試料中に発生する電流信号S1を検出し、検出した電流信号を処理ユニット120に出力する。
本発明に係るバイオマイクロセンサの電気化学検出全メカニズムは3ステップに分けられる。先ず、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)(1000unit/mg solid;Sigma)でアセチルコリン(ACh)(99%;Sigma)を加水分解した。そして、生成されたコリンにコリンオキシダーゼ(ChO)(100unit/mg solid;Sigma)を作用させ、過酸化水素を生成した。最後に外部電圧を印加して過酸化水素に酸化作用を起こさせて、反応させることにより電子を放出させた。このようにして電位計により酵素反応過程における電流出力信号の変化が測定可能となった。かかる酵素反応から電流信号検出までの全メカニズムは下式によって表わすことができる。
脱イオン水247.5mlを煮沸してから、1%クエン酸ナトリウム溶液15mlを加えて5分間煮沸し、HAuCl4溶液2.5mlをさらに加えた。溶液の色が薄い黄色から次第に灰色そして暗褐色へと変わった後で、90℃、15分加熱攪拌した。その溶液を室温中に置いて冷却すると、溶液相から暗赤色の金ナノ粒子が還元された。そして、それを4℃の冷蔵庫で保存した。クエン酸ナトリウムを還元剤として用いたところ、そのカルボキシル基(COO−)によって三価金イオンが一価金イオンに還元されると同時に、アセトンジカルボン酸(acetone dicarboxylate)が生成され、さらに一価金イオンが金原子に還元された。その全反応スキームは以下のとおりである。
酵素を固定するに先立って、白金電極の表面を超音波振動と濃硝酸を用いてそれぞれ洗浄した。そして、ゾルゲル固定法(sol-gel immobilization)と電解重合法(electropolymerization)によって白金電極表面への酵素固定を行った。
TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)(アルドリッチ ケミカル社製)10μl、脱イオン水200μL、エタノール30μL、および0.1MのHCl1μLをプラスチック製の小試験管に取り、超音波振動を1時間与えた後、室温で2〜3時間放置した。ゾルゲル溶液のpH値は6に維持しておいた。0.1mgのAChEとChO、および金ナノ粒子溶液1μL(対照群には添加しない)をpH値7のPBS(リン酸緩衝生理食塩水)溶液100μL中に溶解した。続いて、ゾルゲル溶液25μLを先の酵素溶液中に加え、充分に混合したのち、それを50μL取り出して白金電極と共に別のプラスチック製小試験管中に入れ、4℃で24時間空気乾燥し、PBS溶液で充分に洗浄してから、4℃の乾燥した環境中にて保存した。
サイクリックボルタンメトリー (cyclic voltammerty;CV)を利用して、0〜1Vの範囲を速度10mV/秒で走査し、酵素を白金電極表面に電解重合させた。酵素が直接電極表面に付着するのを避けるため、あらかじめ白金電極表面上に重合によりポリピロール(polypyrrole)の膜を一層作っておいた(下式(7)のとおり)。続いて、表1に示された条件で酵素電解重合を行った。なお、電極は、脱イオン水で洗浄してから4℃の0.1M PBS中に保管しておく必要がある。
実験を行うにあたり、先ず白金電極を作用電極とし、外部電圧+700mV(H2O2の酸化電位)を印加して、電位計の電流出力信号のH2O2濃度変化に対する反応をテストした。図2はシステムのバックグラウンド電流値の変化であり、本図から、試料中にH2O2を添加していない場合に、システムのバックグラウンド電流値はおよそ300秒後に安定値0に達することがわかる。
先ず、500mMのアセチルコリン(ACh)0.1mlを、0.1M PBSおよび0.1M KClの入った試験瓶中に入れてから、電流変化をテストしている間に、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)3.75unitおよびコリンオキシダーゼ(ChO)2unitを添加すると同時に外部電圧+700mVを加え、さらに、パラオクソン(paraoxon、有機リン系農薬の一種)を、濃度を変えて(0、0.47、4.7、47および470ppm)添加し、電流出力信号の変化を観察した。その結果が図5A〜5Eに示してある。図5A〜5Eを見るとわかるように、パラオクソンの濃度が470ppmに達したときに電流出力信号はようやく比較的はっきりとした変化を見せ始めた。これは、実験においてアセチルコリンエステラーゼ(AChE)の添加量が多すぎると、阻害剤であるパラオクソン添加後に残存した酵素活性がなおもアセチルコリン(ACh)を反応させてしまうため、電位変化が弱まらない、というのが原因であると考えられる。
上述した各酵素固定方法、すなわちゾルゲル固定法と電解重合法によってそれぞれ電極表面への酵素固定を行った結果、ゾルゲル固定法による酵素の固定には、ゲル化縮合プロセスの制御が容易でない、脱水乾燥の時間が長すぎる、ゲルが脆弱で酵素が流失し易い、遮蔽効果が分子の拡散と電子の伝達を妨げる、などの欠点があり、このために酵素固定後の電流出力信号が固定前に比べ著しく弱くなって、検出感度が低下してしまうことがわかった。図8に示されるように、ゾルゲル固定法で白金電極表面に酵素を固定した場合(図中の(a))、その電極の感度は、酵素を試料中にそのまま懸濁させた場合(図中の(b)、(c))に比べて、約4〜10倍も低かった。また、電極表面には固定せずに、酵素をゾルゲルで固定してから直接水試料中に入れた場合(図中の(d))には、物質移動抵抗の存在によって、酵素を電極表面に直接固定した場合よりも感度がさらに悪くなり、電流信号がほとんど発生しなかった。
バイオマイクロセンサの感度をより高めたい場合には、信号とノイズの比率(S/N)を大きくする必要がある。この目的を達成させるには、(1)環境試料中のその他の物質が検出過程で酸化されるのを防いでノイズを低減する、(2)電流信号を増幅する、という2方向からのアプローチが可能である。本発明創作の過程において、無機触媒であるプルシアンブルー(Fe(CN)6 3-)を酵素AChEおよびChO酵素と共に白金電極表面に固定したところ、プルシアンブルー(PB)とプルシアンホワイト(PW)との自触媒反応により、H2O2の酸化に本来必要であった外部電圧700mVを約0まで下げることができた(図10参照)。印加電位を低減できたのは、プルシアンブルー(PB)が、比較的高い電位(700mV)を要するH2O2の酸化反応を、低電位しか必要としない還元反応に転換させ得るような優れた触媒の機能を果たしたからであり、かかる還元反応促進の役目をしたのは、プルシアンブルー(PB)の還元態であるプルシアンホワイト(PW)である。
2−PAM(pyridine-2-aldoxime methochloride)により有機リン系農薬に阻害されたAChEの活性を回復させることができる。2−PAMがアセチルコリンエステラーゼ表面のリン酸と結合することでアセチルコリンエステラーゼの酵素活性を回復させるというのがその作用機序である。窒素上の正電荷とグルタミン酸(glutamate acid)との間にはクーロン引力が働くため、強力な求核力を持つ酸素原子がセリン(serine)と結合するリン原子を攻撃し、よって酵素活性が回復するのである。本発明では、有機リン系農薬に阻害された電極に各濃度の2−PAMを作用させて、それぞれの酵素活性回復率と電流出力信号の変化を測定した。その結果は図15に示すとおりである。図15からわかるように、0.126ppmのパラオクソン溶液で阻害した電極は、2−PAMの作用により30分以内に約70%の活性を回復した。阻害−回復試験を連続5回繰り返し行っても、酵素活性は顕著な下降を呈さなかった。このことは2−PAMが酵素活性剤として好適であること、そして電極が繰り返し再利用できる潜在能力を有することを示している。
環境中に存在する干渉因子は酵素を失活させ、また、環境中に存在する酸化し易い物質は電流ノイズを発生させる可能性がある。よって本発明では、温度、pH、重金属および有機溶剤の酵素活性に対する影響についても検討を加えた。図16は各温度下における酵素活性の変化を示しており、横座標は測定温度から25℃を引いた差(T−25)、縦座標は電流変化により表わされる阻害率である。図16からわかるように、測定温度が10〜40℃(横座標数値−15〜15)のとき、酵素活性は温度の上昇と共に高まっている。このことは、センサを現場で使用する際には温度補償が必須であるということを意味する。本発明では、各温度における酵素活性を検討すべく、基準点を25℃として、それぞれ異なる温度下での阻害率の変化を観察した。結果、10〜40℃の範囲において、酵素活性は温度と線形の関係を持つことを見出した(図16参照)。
従来技術による電気化学バイオセンサの検出限界は通常ppmレベルである。検出限界がこのように高いのでは、この種のバイオセンサは高濃度を測定する用途にしか向かず、実際の現場での汚染物モニタリングには何らの役目も果たさない。上述した諸プラットフォーム技術の確立を通し本発明者らが創作したバイオマイクロセンサは、検出限界ppbレベルを達成し、しかも短い検出時間でそれを実現できるものである。こうした低い検出限界は現行の農薬関連規制による基準値をはるかに下回っているため、本発明に係るマイクロバイオセンサは現場での汚染物モニタリングに大変有用である。図21は測定時間10分間、25℃における有機リン(パラオクソン)濃度と電流阻害率との関係図である。図21を見ると、電流阻害率は、初め有機リンの濃度の増加に伴って線形に上昇するが、有機リンの濃度が130ppbを超えたところで70%近くまで上がってからその後は横ばいとなっている。このような結果は、(1)有機リン系農薬が阻害し得る酵素(または有機リン系農薬が接触し得る酵素活性部位)は、全固定酵素のうち70%のみであり、残りの30%は酵素が深い位置にある、あるいはその立体的配向のために接近不可能である、(2)有機リン系農薬が接触可能な全ての酵素活性部位を阻害するには130ppbの濃度で充分であるので、有機リン濃度が高くなっても電流阻害率がさらに上昇することはない、ということを示唆する。
各温度における電極のパフォーマンスに合せてそれぞれ温度補償試験を行った。25℃を基準点とした上で、図22から得られた電流阻害率と有機リン系農薬濃度との関係と対応させ、予め有機リン濃度のわかっている標準溶液を用意して測定を行い、測定結果にしたがって2段階の温度補償を行った。第1段階は単一濃度温度補償、第2段階は全濃度範囲(0〜100ppb)温度補償である。測定する有機リン濃度は20、40、60、80および100ppb、温度範囲は10、18、25、32および40℃とした。結果は表2のとおりである。表2において、P1は図22の関係式より換算した初期(温度補償を行わない)測定結果、P2は単一濃度温度補償後に得られた結果、P3は全濃度範囲温度補償後に得られた結果である。そして実際に測定された結果を基準とし、各有機リン濃度および全範囲濃度の有機リン系農薬から得られた温度補償方程式を表3に整理した。表2より、単一濃度の温度補償方程式を用いて校正した結果、高濃度の有機リン(100ppb)を除いては、環境温度の如何に関わらずそのSD(標準偏差)をいずれも2%以内にできることがわかる(標準溶液濃度とP2とを比較)。また、単一の全濃度範囲の方程式を用いて温度補償を行った場合には、環境温度が25℃から離れるにつれて補償効果が低下することがわかる(標準溶液濃度とP3を比較)。環境温度が18〜32℃にあるときに有機リン全濃度の温度補償を行った結果、SD<7%であった。環境温度が10℃まで下がる、あるいは40℃まで上がると、そのSDが15%に至ることもあった。したがって、実試料で実測定を行う際には、電流阻害率と濃度との関係式および全範囲温度補償方程式から、試料中における有機リンの含量を求めることができる。試料の温度が温度補償範囲を超えるほど過度に高いまたは低い場合には、温度が戻ってから測定を行った方がよい。
一連の実験結果に基づいて、一定の測定時間の下における電流阻害率と有機リン濃度との関係式を導き出した。信号デジタル化を実現するべく、この関係式をチップに焼き込み、信号収集システムの接続を確立して、バイオマイクロセンサのデジタル信号転送システムとした。このデジタル信号伝送システムは、大きくソフトウェア、ハードウェアの2部分に分けて実現されている。ハードウェアの部分には、パームサイズ電位計、信号伝送線(RS232ケーブル)、信号分析および記録装置(マイクロプロセッサ)等が含まれる。ソフトウェアは主にLabVIEW(Laboratory Virtual Instrument Engineering Workbench)パッケージプログラム言語を使用し、これによってハードウェア間の信号収集、伝送、分析および記録などの作業を制御することとした。LabVIEWはナショナルインスツルメンツ社が1986年に開発したグラフィカルなプログラム言語であり、主に、例えばGPIB、VXI、PXI、RS232など統合制御を可能とする通信インターフェース、およびデータ表現(data presentation)、データ保存(data storage)、データ分析(data analysis)、データ収集(data acquisition)、シリアル機器制御(serial instrument control)などを支援する機能の構築に用いられている。LabVIEWには、モジュール“Express VIs”によりプロトタイピング、テスト混合信号設計、および自動化試験プログラムコードの自動生成が可能、Real−Time Desktop PC機能によりいかなるタイプのPCベース計測システムにおいてもシステム安定性とパフォーマンスが最適化され得る、快速なPDAデータ収集およびDMM支援によりカスタマイズされたポータブルデータ収集システムを確立できる、ブルートゥースがサポートされているため無線ブルートゥース技術を利用して他の機器との通信が可能、50個の新たな数学関数機能とLAPACK/BLASライブラリを利用して精度と速度を最大200%まで向上できる、ハイパースレッド(Hyper-Threading)によりシステムパフォーマンスを最高100%まで高めることができる、といった特長がある。これによれば、汚染物の濃度が検出できるだけでなく、検出過程で阻害時間、酸化電位、電流記録周波数を含む計測条件を変える際にも非常に便利である。
本発明に係るバイオマイクロセンサの実用性を確認する目的で、市販のトマトジュースを用いて初期試験を行った。結果は図23に示すとおりである。先ずトマトジュース原液中の有機リン系農薬を測定してから、原液中に30ppbのパラオクソンを添加(spike)し、センサがこれを精確に計測できるか実験を行った。またこれとは別に、先ずトマトジュース原液を10倍に希釈してから、有機リン系農薬を測定し、その後でこの希釈液中にも同様に30ppbのパラオクソンを添加してセンサの測定状況を観察する実験を行った。実験における農薬の全阻害時間は約10分間とした。図23から明らかなように、原液を用いた実験ではトマトジュース原液中の有機リン系農薬濃度は25.6ppbであり(図中(a)参照)、30ppbのパラオクソンを添加後、測定値は54.9ppbに変化した(図中の(b)参照)。また、10倍に希釈した別の実験では、希釈後に希釈液中の農薬濃度は既に測定可能範囲を下回ったが(図中の(c)参照)、その後に30ppbのパラオクソンを添加すると、希釈液中の有機リン系農薬は再び測定可能な値となり、その値は39.6ppbであった(図中の(d)参照)。よって、本発明に係るバイオマイクロセンサは、ジュース中の有機リン系農薬の残留量を精確に測定することができ、かつ、ジュース中における干渉要素、例えば糖分、色、懸濁固体および酸化防止剤等は測定結果に何らの影響も及ぼさないということがわかった。このことは、該システムが実試料の測定に適用され得るものであることを示している。
120 処理ユニット
103 電極
122 表示ユニット
105 電極
S1 電流信号
110 温度センサ
S2 温度信号
Claims (25)
- 液体試料を準備する工程、
酵素、金ナノ粒子および無機触媒が表面に固定された少なくとも1つの電極に前記試料を接触させる工程、ならびに、
前記電極から出力される電流信号を検出する工程、
を備える農薬を検出する方法であって、前記金ナノ粒子の粒径が20nm以下である農薬を検出する方法。 - 前記酵素がアセチルコリンエステラーゼおよびコリンオキシダーゼである、請求項1記載の農薬を検出する方法。
- 前記無機触媒がプルシアンブルー(Fe(CN)6 3−)である、請求項1記載の農薬を検出する方法。
- 前記酵素、金ナノ粒子および無機触媒の前記電極の表面への固定が電解重合法によって行われる、請求項1〜3いずれか1項に記載の農薬を検出する方法。
- 前記電解重合法が、電解重合溶液を形成して、電極の表面に重合によりポリピロールの膜を一層作り、ポリピロール膜上に酵素、金ナノ粒子および無機触媒を固定する、請求項4記載の農薬を検出する方法。
- 前記金ナノ粒子の濃度が前記電解重合溶液中に0.5〜2.0ppmである、請求項5記載の農薬を検出する方法。
- 前記金ナノ粒子の粒径が16.5〜20nmである、請求項1記載の農薬を検出する方法。
- 前記電極が白金電極である、請求項1記載の農薬を検出する方法。
- 前記試料を温度センサに接触させて前記試料の温度を検出する工程をさらに含む、請求項1記載の農薬を検出する方法。
- 前記電流信号が試料の温度により温度補償処理される、請求項9記載の農薬を検出する方法。
- 前記農薬が有機リンまたはカーバメイト系である、請求項1記載の農薬を検出する方法。
- 前記電極および温度センサが平板上に配置される、請求項9記載の農薬を検出する方法。
- 電流信号を検出する少なくとも1つの電極、
前記電流信号を受け取って処理し、前記電流信号を濃度データに変換する処理ユニット、および、
前記濃度データを表示する表示ユニット、
を備える、前記電極の表面に酵素、金ナノ粒子および無機触媒が固定されるバイオマイクロセンサであって、前記金ナノ粒子の粒径が20nm以下であるバイオマイクロセンサ。 - 前記酵素がアセチルコリンエステラーゼおよびコリンオキシダーゼである、請求項13記載のバイオマイクロセンサ。
- 前記無機触媒がプルシアンブルー(Fe(CN)6 3−)である、請求項13記載のバイオマイクロセンサ。
- 前記酵素、金ナノ粒子および無機触媒の前記電極の表面への固定が電解重合法によって行われる、請求項13〜15いずれか1項に記載のバイオマイクロセンサ。
- 前記電解重合法が、電解重合溶液を形成して、電極の表面に重合によりポリピロールの膜を一層作り、ポリピロール膜上に酵素、金ナノ粒子および無機触媒を固定する、請求項16記載のバイオマイクロセンサ。
- 前記金ナノ粒子の濃度が前記電解重合溶液中に0.5〜2.0ppmである、請求項17記載のバイオマイクロセンサ。
- 前記金ナノ粒子の粒径が16.5〜20nmである、請求項13記載のバイオマイクロセンサ。
- 前記電極が白金電極である、請求項13記載のバイオマイクロセンサ。
- 温度を検出して前記処理ユニットに転送する温度センサをさらに含む、請求項13記載のバイオマイクロセンサ。
- 前記電流信号が前記検出された温度により温度補償処理される、請求項21記載のバイオマイクロセンサ。
- 農薬を検出するのに用いられる、請求項13記載のバイオマイクロセンサ。
- 前記農薬が有機リンまたはカーバメイト系である、請求項23記載のバイオマイクロセンサ。
- 前記電極および温度センサが共に平板上に配置される、請求項21記載のバイオマイクロセンサ。
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