JP4563850B2 - プレス打抜き性に優れた電子部品用銅基素材 - Google Patents

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Description

本発明は精密プレス加工において使用されるプレス打抜き性に優れた高強度銅基素材に関するものである。
小型化多機能化が目覚しい携帯端末などの精密機器に使用される電子部品は、高密度実装のためのコネクタの小型化により、コネクタのピン幅及びピン間隔は、年々益々狭くなってきている。それに使用される素材に求められる特性は、狭いピン幅で安定した接圧を得るための高い強度、過酷な曲げ加工に耐える曲げ加工性である。また、素材の導電率が低いと狭いピン幅、薄肉化により素材の発熱による温度上昇が無視できなくなるため、高い導電率も合わせて求められる。コネクタ用素材には前述のニーズに対処すべく強度と曲げ加工性及び導電率を兼ね備えた銅基合金が開発されつつある。具体的には、ベリリウム銅やチタン銅に代表される時効硬化型の銅基合金がファインピッチのコネクタに使用されつつある。
コネクタは素材をプレス加工することによって製造され、プレス金型にはダイス鋼やハイス鋼などの鉄鋼材料が使用されている。前述のベリリウム銅やチタン銅等の時効硬化型銅基合金のほとんどが活性元素を含有することによって高強度化を得ており、それらの合金は一般的なコネクタ用素材であるりん青銅に比べてプレス金型の磨耗が著しい。プレス金型が磨耗してくると、切断面にバリやだれが生じピン自体もねじれて加工形状が悪化してコネクタとして使用できなくなる。プレス加工品の形状不良が許容限度を超えた場合は、プレス金型を研摩して加工品の寸法精度を維持しなければならない。また、コネクタが小さくなればなるほど、即ちピン幅が狭くなればなるほど、高い寸法精度が要求されるので、小さなバリやピンのねじれも見逃せなくなり、故に金型を研摩する頻度が一層増えてしまう。加えてプレス加工が精密であればあるほど金型自体のコストが高くつくので、このような分野の合金で、プレス打抜き性を改善することは大変重要な課題であった。
プレス金型工具を長寿命化する技術として銅基合金の合金成分の調整による特許文献1〜7があり、銅基合金の結晶方位の調整による特許文献8〜11がある。
特開平11-256256号公報 特開平11-293366号公報 特開平11-1735号公報 特開2001-181757号公報 特開平7-97645号公報 特開2000-119776号公報 特開2001-303159号公報 特開2000-73130号公報 特開2000-328158号公報 特開2001-152303号公報 特開2002-180165号公報 特開平2-117701号公報 特開昭61-201762号公報
しかし、成分組成の調整を行ってプレス加工性のうち、プレス打抜き性を改善しているものでは、プレス打抜き性を良好にする成分組成が加工品の最終用途に対して悪影響を与えないとは必ずしも言えない場合がある。例えばSのように機械的性質に悪影響を及ぼす元素を加えて剪断加工時に亀裂が伝播し易くした合金は、特に曲げ加工性が劣化する。また、析出硬化型合金などの場合に、金型へのダメージを与える硬化元素を低減させている例では、金型は長寿命化するが当然素材強度は低下する。また、結晶方位を調整して塑性変形能を低下させたものは、プレス打抜き性は向上するが、曲げ加工性が劣化する。
本発明は本来の銅基合金の持つ性質を損なうことなく、プレス打抜き性に優れる銅基合金を提供することである。
本発明者らは上記した問題点を解決するため、特に強度を向上させるために添加された元素と炭素との親和性の関係から金型磨耗の機構を解明し、被加工材をCu層で覆う際、優れたプレス性を有するそのCu層の条件を見出した。また、素材表面と工具表面との摩擦抵抗についても究明し、薄膜金属潤滑と摩擦係数低下効果を有する素材表面を見出した。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明においてプレス加工とは、複数個の対をなす工具を用い、それらの工具間に加工材を置いて、工具に相対運動を行わせ、工具により加工材に強い力を加えることにより、打抜き(剪断)、曲げ、絞り等の成形を行うことである。
以下は、プレス加工のうち、打抜き(剪断)加工を例にて本発明の金型磨耗抑制効果を説明する。
一般に銅基合金においては、強度の向上をもたらす効果が大きい添加元素ほど、プレス加工した際、金型を磨耗させる効果も大きい傾向にあるといえ、その典型的な例がチタン銅やベリリウム銅である。
一般的にプレス加工における磨耗の形態には、
a.被加工材中に内在する硬質の非金属介在物等によって工具表面を物理的に削り取るアブレッシブ磨耗
b.接触面近傍での凝着磨耗
の2種類があるとされているが、チタン銅のプレス加工で金型に生じているのは、主としてb.凝着磨耗であることが研究観察を重ねた末に明らかとなった。
銅基合金の剪断加工において、磨耗が進行し易いのはパンチとダイの側面の先端である(図1.a)。即ち、パンチ1がダイ2に噛みこむ時に材料3がパンチ1とダイ2の間隙に流れ込む状態が生じ、そのとき材料表面とポンチ側面とが高速且つ高圧で接触し、材料成分が工具成分と反応して合金化または化合物化して工具の凝着磨耗が進行することを見出した。即ち、パンチ及びダイに使われる工具鋼は、Cr、Mo、W、Nb、Vなどの合金元素を添加して硬質の炭化物を形成させて硬くしたものであるが、銅合金の強度を向上させる添加元素の中にはこれらの合金元素より炭素との親和性が高いものもあり、それらがプレス加工中、高温高圧で工具に接触して、工具表面の炭化物が不安定になり磨耗に至るのである。例えばチタン銅を剪断加工しようとすると、被加工材成分のTiと被加工材と接触する工具表面の炭化物相のCとが反応して、硬くて脆いTiCが生成されるとともに、工具表面を形成していた炭化物のCが奪わることで工具表面の炭化物が不安定となり、少しずつ崩れて磨耗していき、この結果プレス加工品の形状が不良になるのである。このような添加元素の含有量を減らせば金型の磨耗量は減少するが、素地の強度が低下するので好ましくはない。
よって、本発明は、被加工材の表面を工具成分及びCと反応しにくい成分で覆えば、被加工材中の活性成分が工具と接触する機会が遮断され、工具が磨耗しにくくなるとの着想の下に、銅基合金の表面をCuで被覆することを特徴とするものである。
銅基合金の表面を被覆する成分としてCuを選定したのは、素地との整合性が高いからである。整合性が悪いと、プレス加工中、素地の変形に表面被覆層が追随できず、界面から剥離してしまう。界面の整合性が悪い限り、たとえ熱処理をしても拡散層が脆弱となり、剥離し易い状態を改善することは出来ない。一方、Cuを90%以上含有している銅基合金とCu層との界面は、極めて整合性が高く、過酷な変形を伴うプレス加工を施しても、決して界面から剥離することはない。
Cu層はプレス加工中に工具表面と素地との隔絶を安全に維持するだけの厚さがあればよく、その厚さは一般に0.05〜2.00μmの範囲であり、厚さが0.05μm未満ではプレス打抜き性向上に効果がなく、2.00μmを超えると材料全体の強度の低下が無視できなくなる。そして、より好ましくは、0.3〜1.0μmとするのがよい。Cu被覆は電解めっき、無電解めっきが一般的であるが、スパッタリングなどによっても形成することができる。
前述したように材料表面のCu層は、素材中の炭化物形成元素と工具表面との接触を絶つ働きをするが、Cu層中に含有する微量不純物として、炭化物を形成しやすい元素が含まれると、やはり工具表面の炭化物と反応してしまい、工具の摩耗を速めてしまう。よって、Cu層の純度は高いほどよい。
更に、Cu層は素地に比べて柔らかいので、プレス加工において薄膜金属潤滑の効果を発揮する。ここで、薄膜金属潤滑とは、表面に柔らかい層が形成されている場合に、潤滑性が良くなる現象である。すなわち接触摩擦は、接触面をミクロで見た場合に、実際にパンチ又はダイと接触している微小な凸部が塑性変形することによって生じる。そのときの変形抵抗が摩擦抵抗となるので、表面に柔らかい表面層があると、そこの凸部に変形が集中して、摩擦抵抗が小さくなり、潤滑性が向上するのである。よって、表面のCu層は柔らかいほど、潤滑性がよいので、Cu層の硬度を上げる不純物元素は極力無い方がよい。このことからもCu層の純度は高い方が良いといえる。
以上2つの観点からCu層中の不純物について、適正量を研究したところ、Sを除く微量元素の合計で500ppm以下であり、Cu層の純度が、99.90%以上であれば、工具表面の凝着摩耗が無視できるほど小さくなり、良好な薄膜金属潤滑が得られることが判明した。
ここで、Cu層の微量成分としては
Fe,Co,Ni,Si,Al,P,As,Se,Te,Sb,Bi,Au,Ag,Ti,Nb,V,Ta,W,Mo,Cr等が具体的に挙げられる。
一方、Sは、硫化Cuを形成して潤滑性を向上させる元素であり、潤滑油の主要成分でもあり、摩擦係数を低下させる。よって、表面のCu層にSが含有されていれば、薄膜金属潤滑と摩擦係数低下効果により更にプレス加工時の潤滑性が向上するが、含有量が多過ぎるとCu層が脆化してしまうので、プレス加工時にCu層が断絶して、素地が工具表面に接触してしまう。SがCu層中に0.5ppm以上含有すると、S特有の潤滑効果が得られるようになり、50ppmを超えると、Cu層の脆化が著しくなるので、Sの適正範囲は、0.5≦S≦50ppmとした。
また、電気めっきによって形成される銅の電着粒は、プレス加工において使用される潤滑油の濡れ性を高める効果があるが、その電着粒の大きさによって濡れ性が異なってくる。そして潤滑油を使用したプレス加工において、潤滑油の濡れ性が高い表面を有する素材ほど、工具の摩耗は低減される。ミクロ的には、電着粒の隙間に潤滑油のマイクロプールが形成され、工具との接触圧が高くなると、マイクロプールの圧力が高まり、そこから潤滑油が染み出して、接触面全体に行き渡り、望ましい流体潤滑が工具と被加工材の間で得られるのである。このような観点から、電着粒の形態について研究したところ、そのめっき後の表面粗さが、Ra:0.0030〜0.0100μm,Rz:0.0100〜0.0500μm:Sm:0.30〜1.00μmの範囲であれば、潤滑油を使用した際に理想的な流体潤滑が得られる。
プレス打抜き性を改善する目的で流体潤滑を良好にするべく表面粗さを規定した例は多い。それらはいずれもバフ研磨などの機械研磨やワークロールの粗度を調整した圧延により、表面粗さを作りこんだもので、触針式の粗さ計で測定した値を規定している。このような方法で粗さを作りこむと、流体潤滑の効果は多少期待できるものの、表層が硬くなっているので、薄膜金属潤滑は期待できない。一方、本発明で規定した電着粒は小さいので、触針式の粗さ計では測定できず、SEMで得られた像を解析することによって粗さを測定する。そして、粗さに異方性は全く無く、Cu層中の不純物元素を規定量以下に制御すれば、素地に比べて格段に柔らかい表層が得られる。更に、電着粒の大きさを本発明で規定した表面粗さになるように制御すれば、適度なマイクロプールが全面に形成されるので、材料表面がプレス加工時に潤滑油膜が充分に保持される。すなわち、プレス加工の潤滑性をミクロレベルで解析し、素材の最適な表面形態を見出したことに本発明の大きな特徴がある。
本発明の素材がもっている薄膜金属潤滑効果及び摩擦係数低下効果は、プレス金型のコーナー部において特に有効に作用する。即ち、プレス金型のコーナー部は、プレス加工中、被加工材が強く擦れるので、摩耗が起こりやすい部位である。しかし本発明の素材を用いると、曲率の小さなコーナー部においても摩耗が少なく、より精密なプレス加工が可能である。このように本発明が、金型磨耗性を向上させることでプレス打抜き性を含むプレス打抜き性に優れた素材であるといえる。
なお、銅基合金にCuめっきを施すことが従来も行われてきた。その目的は、例えば、強度は高いが導電率の低い鉄系合金にCuめっきをして導電率を向上させること(特許文献12参照)であり、薄膜金属潤滑を利用してプレス打抜き性を改善するものではない。
特許文献13によると、Cuめっき又はPVD処理後の銅基合金条材を圧延して表面のCuを0.5μm以上の厚さとするリードフレーム用銅基合金が示されているが、ボンディング性、めっき性、はんだ付け性、及びレジンモールドとの密着性の改善がその目的であり、薄膜金属潤滑を利用してプレス打抜き性を改善するものではない。
本発明における被加工材の対象として、代表的なものは、チタン銅、ベリリウム銅である。
具体的には、Ti:2.0〜4.0mass%を有するチタン銅、Be:0.20〜2.00mass%を有するベリリウム銅である。これらの合金に強度等の特性改善を目的としてCo、Si、Ni、B、Pの中から1種または2種以上を0.01〜0.50mass%添加しても同様な効果が得られる。
さらに、本発明はチタン銅、ベリリウム銅のみならず、炭化物を形成しやすい元素を合金の構成元素とする銅合金が対象となる。
即ち、炭化物の標準生成自由エネルギーの値がマイナス側に大きい元素ほど、炭化物を形成しやすい元素であるので、これらを合金の構成元素とする銅合金が対象である。銅基合金において、炭化物の標準生成自由エネルギーの値が25℃で−42kJ/mol以下(絶対値42kJ/mol以上)である添加元素が合金化されている場合には、プレス加工において工具表面の炭化物と反応して、凝着摩耗を引き起こす傾向が強くなる。炭化物の標準生成自由エネルギーが25℃で−42kJ/mol以下(絶対値42kJ/mol以上)である元素としては、Fe、Cr、Nb、V、Zr、Ti、Beなどがあり、これらの元素を使った銅基合金としてチタン銅、ベリリウム銅、Cu-Cr系合金、Cu-Zr系合金、Cu-Cr-Zr系合金などが挙げられる。このような合金の表面にCu層を形成させた場合に本発明は有効に作用する。なお、炭化物の標準生成自由エネルギーは、鉄鋼便覧(丸善出版,日本鉄鋼協会編)等に記載されている値でよい。
これらの構成元素の含有量は、0.1〜5.0mass%とした。0.1 mass%未満では構成元素として含有する目的の効果が得られないからである。また、5.0mass%を超える場合には、曲げ加工性や導電率を悪くするなどの悪影響をもたらすからである。
本発明における被加工材の製造方法は従来の圧延で条材を製造する方法でよい。例えば、チタン銅を例にすると、
Cuめっき前のチタン銅条の製造方法は、例えば、真空溶解・鋳造→熱延・水冷→面削→冷延→溶体化→酸洗→冷延→時効→酸洗である。その後、Cuめっきを施す。表面のCu層の状態は、めっき条件によって調整できる。例えばCu層の厚さは、電流値や通板速度で調整でき、Cu層の純度はアノードの純度やめっき液の純度によって調整できる。Cu層中のSの濃度は、めっき液である硫酸銅の濃度によって調整でき、電着粒の大きさは、電流密度によって調整できる。
実施例1
まず、本発明について、チタン銅を例に説明する。
真空溶解炉で表1の成分のインゴットを溶製し、950℃に加熱して熱間圧延し板厚10mmの熱延板を得、更に950℃で十分な均質化焼鈍を行なった後水冷し、機械面削加工により酸化スケールを取り除いた後冷延して板厚0.2mmの冷延板を得た。その後大気中800〜850℃×30〜120sで溶体化処理を行い、酸洗後冷延して板厚を0.15mmとした。そして360〜400℃×3〜48hの時効処理を行い、酸洗後、最後にCuめっきを両面に施した。電着粒を図の3の写真に示す。めっき条件は次のとおりであった。
めっき液 : CuSO4・5H2O=200g/リットル+H2SO4=100g/リットル, 電流密度:5A/dm2, 温度:50℃






Cuめっき層の純度、めっき厚及び電着粒の大きさを示す粗さは表2に示すとおりであった。Cuめっき厚は蛍光 X 線膜厚計により測定し、表面粗さはSEMで測定した。電気めっき層の粗さは、株式会社エニオニクス製の電子線三次元粗さ解析装置(ERA-8000)を用い、SEM加速電圧10kV,操作長さ(測定長さ)6μmの条件で、測定した。なお、粗さが非常に小さいのでノイズカットは不要、カットオフ値は0μmとし、その他の詳細は解析装置のマニュアルに従った。
また、引張試験を行って、0.2%耐力を測定し、W曲げ試験を行って亀裂が発生しない最小曲げ半径MBR/tを測定した。なお、W曲げ試験荷重は5トンとし、試験片の板幅は10mmとした。
打抜き性は、金型磨耗性で評価した。実際に連続プレス機で一定回数の打抜きを行い、金型の磨耗状況によって変化する切断部のバリ高さと破断面比率を測定して評価をおこなった。ここで、バリ高さとは図1.bに示す突起部の高さであり、金型が磨耗するにしたがってバリが高くなってくる。また金型が磨耗するにしたがって、図1.bに示す剪断面の割合が多くなり、即ち破断面比率h2/(h1+h2)は小さくなる。打抜き性試験は、潤滑剤がない場合と有る場合の2種類行った。Cuめっきの効果を見るだけなら、前者のみでよいが、表面粗さの効果を見るために後者も行った。
なお、他のプレス条件は以下の通りであった。
金型工具材料:SKD11、クリアランス:10μm、ストローク:200rpm 図3に評価に用いた金型セット形状を示す。1辺約5mmの正方形で4つの角の曲率が異なっており、それぞれの曲率半径は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mmである。曲率半径が小さい程、剪断加工時に応力集中が生じるので磨耗し易い。しかし、曲率半径が小さい程切断面形状がばらついて観察しにくくなる。また、プレス加工後の孔部と抜き落とし部とでは、抜き落とし側の方が観察し易い。以上を考慮し、今回の評価は抜き落とし側の曲率半径が0.1mmの角を観察した。
潤滑剤無しの場合は、十万回打ちぬいたときに素材間の差異が顕著となり、潤滑剤有りの場合は百万回打抜いたときに素材間の差異が顕著となったので、そのときの値を評価値として採用した。バリ高さはレーサ゛ー変位計で測定し、破断面比率は光学顕微鏡による断面観察で測定した。

※A群として分析した元素:
Fe,Co,Ni,Si,Al,P,As,Se,Te,Sb,Bi,Au,Ag,Ti,Nb,V,Ta,W,Mo,Cr





本発明例No. 1〜6は、請求項1を引用するを満たしており、いずれも強度が高く曲げ加工性及びプレス打抜き性も良い。このうちNo. 1以外は請求項1の表面粗も満たしているので、潤滑剤を使用したときのプレス打抜き性が更に良くなっている。また、No. 4,5は請求項3を満たしており、No.3,6は請求項3を引用する請求項4を満たしており、強度の向上が見られる。
一方比較例において、No. 7はCuめっきを施さなかったチタン銅であり、No. 8はCuめっき厚が請求項の規定より薄いチタン銅である。発明例に比べてバリが高く破断面比率が低いことから金型の磨耗が進行していると言える。更にNo. 9は、Cuめっきをせずに内質改善でプレス打抜き性を良好にしたものであるが、プレス打抜き性は改善されるものの、Sを多量に含有しているために延性が低下し、曲げ加工性が劣るため、プレス打抜き性を改善する方法として好ましくない。No. 10はCu層中のS濃度が大きすぎて、プレス加工中にCu層が断絶して素地が工具表面に接触し、凝着摩耗をあまり抑制できなかった。No.11は、Cu層中のA群元素の含有量が多く、No. 12はCu層のCu純度が低く、ともにCu層による凝着摩耗抑制効果が不十分であった。またNo. 12は、母材のTi含有量が低いために0.2%耐力が低くなった。
実施例2
本発明は、チタン銅のみならず、炭化物を形成しやすい元素を含有する合金系であれば、金型摩耗の低減効果が見込める。そこで、以下他の合金の例を示す。表6に示した合金の成分を基づいてそれぞれ溶解鋳造後熱延し、冷延、焼鈍を繰り返して、板圧厚0.15mmの冷延板を得、Cuめっきを施した。Cuめっき層の状態を表7に示す。そして実施例1と同じ条件で連続プレスを実施して、潤滑剤無しの場合と有りの場合でバリ高さ及び破断面比率を測定して、金型磨耗性を評価した。







※A群として分析した元素:
Fe,Co,Ni,Si,Al,P,As,Se,Te,Sb,Bi,Au,Ag,Ti,Nb,V,Ta,W,Mo,Cr








本発明例No.1〜5は請求項1を満たす表面処理を施しており、比較例に示した同じ成分の材料より、破断面比率が大きく、バリ高さが小さくなっている。また、No. 2以外は、請求項1の表面粗さを満たしているので、潤滑剤を用いたプレス加工において、金型の摩耗抑制効果が更に高くなっている。
一方比較例において、比較例No.6,7は発明例No.1、比較例No.8,9は発明例No.2、比較例No.10,11は発明例No.3、比較例No.12,13は発明例No.4、比較例No.14,15は発明例No.5と各々同一の組成の合金にCuめっきしたものである。ただし、比較例No.6,8,10,12,14はCu層中のSが請求の範囲より多い場合、比較例No.7,9,11,13,15はCu層中に含まれる第三元素の合計が請求の範囲より多い場合である。これら比較例を同一組成の発明例と比較すると、バリ高さ及び破断面比率について発明例より悪い結果となっている。
このように、鉄鋼中で炭化物を形成しやすい元素を含有する銅合金は、プレス加工において、金型が摩耗しやすいが、本発明で規定した表面処理をすることにより、金型摩耗が低減し、よって、精密プレスが可能になる。
本発明は高い強度と良好な曲げ加工性を具備した上でのプレス打抜き性改善を達成することができる。
プレス打抜き加工の概念図である。 プレス打抜きにおいて発生するバリの説明図である。 評価に用いた金型セット形状を示す。 本発明の凹凸を形成した電着粒を示す写真である。

Claims (4)

  1. 炭化物の標準生成自由エネルギーが、25℃で−42kJ/mol以下(絶対値42kJ/mol以上)である1種又は2種以上を必須添加成元素として、0.1〜5.0mass%含有し、残部が不可避的不純物及びCuである銅基合金からなる基材に,Sを除く微量成分の合計≦500ppm,0.5≦S≦50ppmに制御され、かつ 純度が、Cu≧99.90%に制御され厚さ:0.05〜2.0μmのCu層を電気めっきにより被着するとともに、電気めっき電着粒によって形成されたCu層の表面粗さが、圧延平行方向について、Ra:0.0030〜0.0100μm,Rz:0.0100〜0.0500μm,Sm:0.30〜1.00μmに制御されていることを特徴とするプレス打抜き性に優れた電子部品用素材
  2. 必須添加成元素としてTi:2.0〜4.0mass%又は、Be:0.20〜2.00mass%を含有する請求項記載のプレス打抜き性に優れた電子部品用素材。
  3. 合金の必須添加成元素としてFe、Cr、Nb、V、Zrの中から1種または2種以上を0.01〜0.50mass%含有する請求項1又は2記載のプレス打抜き性に優れた電子部品用素材。
  4. 合金の必須添加成元素以外の添加元素としてCo、Si、Ni、B、Pの中から1種または2種以上を0.01〜0.50mass%含有する請求項1から3までの何れか1項記載のプレス打抜き性に優れた電子部品用素材。
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