JP4563567B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、排水性能及び操縦安定性能等の他の性能を犠牲にすることなく、低パターンノイズを実現した空気入りタイヤ、特に偏平率が小さくトレッド幅が広い、いわゆる高性能タイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤ、例えば乗用車用タイヤの場合、そのトレッドパターンとしては、例えば図3に示すように、タイヤ赤道面に対して平行に延びる周方向溝と、前記周方向溝に開口し、これからトレッド端に向かって前記赤道面に対して傾斜して延びる複数本の傾斜溝とを配設したものが一般的である。
【0003】
このトレッドパターンは、主として、周方向溝を通じてタイヤの前後方向への排水を行い、傾斜溝を通じてタイヤの側方への排水を行うことによって、優れた排水性能をタイヤに付与することができる。
【0004】
かかるトレッドパターンを有するタイヤにおいて、排水性能をさらに向上させるための手段としては、溝幅を広げる等により溝面積、いわゆるネガティブ率を大きくするか、又は傾斜溝を、タイヤ周方向に対し小さな角度で配設した、いわゆるハイアングル溝として配設することが有用である。
【0005】
しかしながら、ネガティブ率を大きくすることは、トレッド部の陸部剛性が不足することになり、また、傾斜溝をハイアングル溝にとして配設することは、傾斜溝で区画された陸部の角部が鋭角になるため、各陸部の剛性が不足し、よって、いずれの場合にも、十分な操縦安定性が得られない。
【0006】
また、排水性能と操縦安定性能をバランスよく満足させるためのトレッドパターンとしては、周方向溝と傾斜溝とを組み合わせたものを基本構成とするとともに、傾斜溝の延在形状をトレッド部の中央域と側方域とで異ならせること、より具体的には、中央域に位置する傾斜溝の溝部分を、タイヤ周方向に対し小さな傾斜にする急傾斜溝部として形成し、側方域に位置する傾斜溝の溝部分を、タイヤ周方向に対し大きな傾斜にする緩傾斜溝部として形成するのが好ましい。
【0007】
即ち、傾斜溝の延在形状を上記構成にすることによって、中央域に位置する傾斜溝の急傾斜溝部によって優れた排水性能を維持する一方、側方域に位置する傾斜溝の緩傾斜溝部によって区画された陸部の剛性を確保して良好な操縦安定性を得ることができる。
【0008】
また、パターンノイズを改良する手段としては、(1)周方向溝で区分される傾斜溝の2つの溝部分をタイヤ周方向に相互にずらして配置すること、(2)傾斜溝を周方向溝に開口させないで陸部内で終端させること、(3)パターンセンターを挟んで隣接する1対の傾斜溝をタイヤ周方向に相互にずらして位相差をつけることが有用である。
【0009】
しかしながら、上記(1)の手段は、傾斜溝をパターンセンター側からトレッド端に向かって連続して延在させることによって、タイヤ側方へスムーズに排水することができなくなるため、排水性能の点から好ましくない。
【0010】
また、上記(2)の手段は、周方向溝を流れる水の一部が傾斜溝に分流することができないため排水能率が劣るため、排水性能の点から好ましくない。
【0011】
このため、発明者はパターンノイズを改良する手段として、パターンセンターを挟んで隣接する1対の傾斜溝をタイヤ周方向に相互にずらして位相差をつけるという上記(3)の手段を採用することとし、前記位相差が異なるトレッドパターンを有する種々のタイヤのパターンノイズの大きさについて検討を行ったところ、以下の知見を得た。
【0012】
まず、パターンセンターを挟んで隣接する1対の傾斜溝の急傾斜溝部と緩傾斜溝部をタイヤ周方向に同一ピッチ数でそれぞれトレッド部の中央域と側方域に配設した場合には、前記急傾斜溝部で区分された陸部の角部が鋭角となるため、中央域に位置する陸部の剛性が十分に得られなくなる。
【0013】
そこで、中央域に位置する陸部の剛性を確保するため、急傾斜溝部の配設ピッチ数を緩傾斜溝部のそれの半分にする場合、言いかえれば、急傾斜溝部から第1及び第2緩傾斜溝部に分岐させることによって、急傾斜溝部の配設ピッチを緩傾斜溝部のそれの倍にする場合を考えると、前記1対の傾斜溝の急傾斜溝部同士及び緩傾斜溝部同士をそれぞれタイヤ周方向に半ピッチ分だけ位相をずらすことがパターンノイズの低減には有効である。
【0014】
しかしながら、前記1対の傾斜溝の急傾斜溝部同士を配設ピッチの半ピッチ分だけ位相をずらすと、緩傾斜溝部同士の位相差が同位相となり、十分なパターンノイズの低減効果が得られなかった。
【0015】
また、前記1対の傾斜溝の緩傾斜溝部同士を配設ピッチの半ピッチ分だけ位相をずらすと、急傾斜溝部同士の位相差が半ピッチの半分、即ち、1/4ピッチの位相差となるため、十分なパターンノイズの低減効果が得られず、加えて、パターンセンターを中心とする左右対称性が損なわれるため、トレッド部の中央域に位置する陸部の剛性の均一性が劣る結果、十分な微少舵角時のハンドリング剛性感が得にくいという点で好ましくない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、周方向溝と、急傾斜溝部及び緩傾斜溝部を有する複合傾斜溝とを組み合わせたものを基本構成とするとともに、パターンセンターを挟んで隣接する1対の複合傾斜溝の急傾斜溝部同士を所定の位相差で形成するととともに、緩傾斜溝部の配設形状の適正化を図ることにより、排水性能及び操縦安定性能等の他の性能を犠牲にすることなく、低パターンノイズを実現した空気入りタイヤ、特に偏平率が小さくトレッド幅が広い、いわゆる高性能タイヤを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明は、パターンセンターとトレッド端で区分された各トレッド半区域にて、そのトレッド半区域の幅中央又はその近傍に位置し、タイヤ周方向に沿って延びる1本の周方向主溝と、パターンセンターと周方向主溝の間に位置し、タイヤ周方向に対し比較的小さな角度で傾斜して延びる急傾斜溝部、並びに急傾斜溝部のトレッド端側に位置する終端位置及び急傾斜溝部の延在方向の中途位置でかつトレッド端側の溝壁位置から、それぞれ湾曲しながらタイヤ周方向に対し比較的大きな角度でトレッド端に開口するまで傾斜して延びる第1及び第2緩傾斜溝部を有する複数本の複合傾斜溝とを具え、パターンセンターを挟んで隣接する1対の複合傾斜溝は、タイヤ周方向に所定の位相差で配設され、急傾斜溝部の前記終端位置と第1緩傾斜溝部のトレッド端への開口位置を直線で結んだ第1仮想線に対する第1緩傾斜溝部の位置関係が、急傾斜溝部の前記溝壁位置と第2緩傾斜溝部のトレッド端への開口位置を直線で結んだ第2仮想線に対する第2緩傾斜溝部の位置関係と反対になることを特徴とする空気入りタイヤである。
【0018】
ここで、パターンノイズをより有効に改善する必要がある場合には、パターンセンターを挟んで隣接する1対の複合傾斜溝は、急傾斜溝部同士をタイヤ周方向に半ピッチ分の位相差で形成することが好ましい。また、第1緩傾斜溝部と第2緩傾斜溝部の配設ピッチは、急傾斜溝部の配設ピッチの1/2とすることが好ましい。
【0019】
さらに、排水性能を損なうことなくパターンノイズを低減する観点から、第1緩傾斜溝部は、タイヤ周方向に対する傾斜角度が、パターンセンター側からトレッド端側に向かって漸増し、第2緩傾斜溝部は、前記傾斜角度が、パターンセンター側からトレッド端側に向かって漸減するように構成することが好ましい。
【0020】
さらにまた、優れた排水性能を得るため、複合傾斜溝の急傾斜溝部は、タイヤ周方向に対し30°以下の傾斜角度で延在することが好ましく、また、トレッド部の側方域に位置する陸部の剛性を確保するため、第1及び第2の緩傾斜溝部は、タイヤ周方向に対する傾斜角度がそれぞれ60〜85°及び80〜60°であることが好ましい。
【0021】
また、排水能力を有効に高めるとともにより一層の低パターンノイズ化を図る必要がある場合には、第1緩傾斜溝部の開口幅は、第2緩傾斜溝部の開口幅よりも広いことが好ましい。
【0022】
さらに、タイヤ摩耗時には溝容積が減少するためパターンノイズを小さくすることができるものの、排水性能が悪化するが、タイヤ摩耗時において、パターンノイズをさほど悪化させることなく排水性能を高める必要がある場合には、第2緩傾斜溝部の溝幅は、トレッド開口側よりも溝底側の方が広いことが好ましく、加えて、第2緩傾斜溝部は、フラスコ状の断面形状を有することがより好適である。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に従う空気入りタイヤの代表的なトレッド部に形成したトレッドパターンの一部を示したものであり、図中1はトレッド部、2はパターンセンター、3a及び3bはトレッド端、4a及び4bはトレッド半区域、5a及び5bはトレッド半区域の幅中央位置、6はタイヤ周方向、7a及び7bは周方向主溝、8a及び8bは急傾斜溝部、9a及び9bは第1緩傾斜溝部、10a及び10bは複合傾斜溝、11a及び11bは第2緩傾斜溝部である。
【0024】
図1に示すトレッド部1を有するタイヤは、パターンセンター2とトレッド端3a又は3bで区分された各トレッド半区域4a又は4bにて、その幅中央位置5a若しくは5b又はその近傍位置にあり、タイヤ周方向6に沿って延びる1本の周方向主溝7a又は7bと、パターンセンター2と周方向主溝7a又は7bの間に位置し、タイヤ周方向6に対し比較的小さな角度、好ましくはタイヤ周方向に対し30°以下の角度で傾斜して延びる急傾斜溝部8a又は8b、及び急傾斜溝部8a又は8bの終端位置からタイヤ周方向6に対し比較的大きな角度でトレッド端3a又は3bに開口するまで傾斜して延びる第1緩傾斜溝部9a又は9bを有する複数本の複合傾斜溝10a又は10bとを具えている。
【0025】
尚、図1では、パターンセンター2はタイヤ赤道位置と一致している場合を示しているが、パターンセンター2がタイヤ赤道位置から幾分シフトしていてもよい。
【0026】
そして、複合傾斜溝10a,10bの中央域に位置する急傾斜溝部8a,8bによって、優れた排水性能を維持する一方、複合傾斜溝10a,10bの側方域に位置する緩傾斜溝部9a,9bによって区画された陸部の剛性を確保して、良好な操縦安定性を得ることができる。
尚、周方向主溝7a又は7bを、各トレッド半区域4a又は4bの幅中央位置5a若しくは5b又はその近傍位置に配設したのは、十分なショルダー陸部の剛性を得て、優れた操縦安定性を達成するためである。
【0027】
そこで、発明者は、上記トレッドパターンを基本構成とし、前記トレッドパターンの更なる改良を行うことによって、パターンノイズの低減を図るための種々の検討を行った結果、良好な操縦安定性能及び排水性能と低パターンノイズとを実現した空気入りタイヤを開発することに成功した。以下でこの発明を完成するに至った経緯を作用とともに説明する。
【0028】
まず、上記トレッドパターンを基本構成とする場合に十分な操縦安定性能を得るには、急傾斜溝部の配設ピッチを緩傾斜溝部のそれよりも広くして、トレッド部1の中央域に位置する陸部の剛性を確保することが必要となるが、中央域に位置する陸部の剛性の確保できるように急傾斜溝部の配設ピッチの適正化を図ると、急傾斜溝部の配設本数と緩傾斜溝部の配設本数が同数であるため、緩傾斜溝部の配設ピッチが急傾斜溝部の配設ピッチとほぼ同じに設定されることになって、側方域に位置する陸部の剛性が大きくなりすぎる傾向があることから、陸部剛性の緩和(換言すれば、陸部剛性の低減)と接地性の観点から、緩傾斜溝部の配設ピッチを、急傾斜溝部の配設ピッチよりも狭くすること、より好適には急傾斜溝部の配設ピッチの1/2にするのがよいことがわかった。
【0029】
よって、この発明では、緩傾斜溝部の配設ピッチを、急傾斜溝部の配設ピッチよりも狭くする手段として、複合傾斜溝10a,10bを、1本の急傾斜溝部8a,8bと、この急傾斜溝部8a,8bの終端位置及びトレッド端側の溝壁位置12からそれぞれトレッド端の開口端に向かって延びる2本の第1緩傾斜溝部9a,9b及び第2緩傾斜溝部11a,11bとで構成することとした。
【0030】
次に、排水性能を向上させるには、急傾斜溝部8a,8bの溝幅を広くする必要があるが、急傾斜溝部8a,8bの溝幅を広くすると溝容積が増加するためパターンノイズが悪化する傾向にあり、このため、パターンノイズの低減を図るべく、パターンセンター2を挟んで隣接する1対の複合傾斜溝10a1,10b1の急傾斜溝部8a,8b同士を、タイヤ周方向6に所定の位相差L、好ましくは1/2ピッチ分の位相差だけずらすことが有用であることが判明した。
【0031】
そこで、この発明では、パターンセンター2を挟んで隣接する1対の複合傾斜溝10a1.10b1の急傾斜溝部8a,8b同士を、タイヤ周方向6に所定の位相差、好ましくは1/2ピッチ分の位相差だけずらす構成を採用することとした。
【0032】
また、パターンセンター2を挟んで隣接する1対の複合傾斜溝10a1,10b1の急傾斜溝部8a,8b同士を、タイヤ周方向6に所定の位相差L、例えば1/2ピッチ分の位相差だけずらして配置する場合を考えると、タイヤ周方向6に隣接する第1緩傾斜溝部9a,9bと第2緩傾斜溝部11a,11bの配設ピッチは、同一ピッチ(この場合には、急傾斜溝部8a,8bの配設ピッチのほぼ1/2となる。)で配設することが陸部剛性の均一化を図る点で好ましいが、第1緩傾斜溝部9a,9bと第2緩傾斜溝部11a,11bの延在形状が同一であると、パターンセンター2を挟んで向かい合う一方の複合傾斜溝10aの第1緩傾斜溝部8aと他方の複合傾斜溝10bの第2緩傾斜溝部11bとがタイヤ周方向に同位相となって、これらの溝部がパターンセンター2を中心とする線対称パターンとなる結果、パターンノイズが悪化する傾向にある。
【0033】
そこで、この発明では、複合傾斜溝10a,10bの第1緩傾斜溝部9a,9bと第2緩傾斜溝部11a,11bの延在形状を異ならせること、より具体的には、急傾斜溝部8a,8bの終端位置12と第1緩傾斜溝部9a,9bのトレッド端3a,3bへの開口位置13を直線で結んだ第1仮想線mに対する第1緩傾斜溝部9a,9bの位置関係が、急傾斜溝部8a,8bのトレッド端3a,3b側の溝壁位置14と第2緩傾斜溝部11a,11bのトレッド端3a,3bへの開口位置15を直線で結んだ第2仮想線nに対する第2緩傾斜溝部11a,11bの位置関係と反対になること、より具体的には、路面に対してタイヤを図1の矢印16の方向に回転接地させるとき、同一タイヤ周線上で見て、第1緩傾斜溝部9a,9bは、第1仮想線mよりも後続接地するような延在形状で配設され、第2緩傾斜溝部11a,11bは、第2仮想線nよりも先行接地するような延在形状で配設されることを必須の発明特定事項とし、これによって、パターンセンター2を中心として実質的に線対称となる一方の(図1では左側のトレッド半区域4aに位置する)複合傾斜溝10aの第1緩傾斜溝部9a又は第2緩傾斜溝部11aと、他方の(図1では右側のトレッド半区域4bに位置する)複合傾斜溝10bの第2緩傾斜溝部11b又は第1緩傾斜溝部9bの接地インパクトのタイミングがずれる結果、パターンノイズの低減効果が図れる。
【0034】
また、コーナリング時の排水性能と側方域に位置する陸部のヒールアンドトゥ摩耗を防止する観点から、この発明では、第1及び第2の緩傾斜溝部を、急傾斜溝部から湾曲しながらタイヤ周方向に対し比較的大きな角度、好ましくはそれぞれ60〜85°及び80〜60°でトレッド端に開口することとした。
【0035】
よって、この発明は、上記構成を採用することとし、これによって、良好な操縦安定性能及び排水性能と低パターンノイズとを実現した空気入りタイヤを開発することに成功したのである。
【0036】
尚、図1では、パターンセンター2を挟んで隣接する1対の複合傾斜溝10a1,10b1の急傾斜溝部8a1,8b1同士をタイヤ周方向6に半ピッチ分の位相差Lで形成した場合について示してあるが、これは、操縦安定性、排水性能及びパターンノイズのうち、パターンノイズを重視したトレッドパターンであり、操縦安定性や排水性能を重視する場合には、必要に応じて前記位相差Lを適宜変更することができる。
【0037】
その他の実施形態としては、第1緩傾斜溝部9a,9bのタイヤ周方向6に対する傾斜角度を漸増させ、第2緩傾斜溝部11a,11bの前記傾斜角度を漸減させるように構成すれば、タイヤ側方への排水性能を十分に得ることができる。
【0038】
また、第1緩傾斜溝部9a,9bは、タイヤ側方への排水を主として担うことから、第1緩傾斜溝部9a,9bの開口幅は、第2緩傾斜溝部11a,11bの開口幅よりも広くすることが好ましい。
【0039】
加えて、第1緩傾斜溝部9a,9bの開口幅を第2緩傾斜溝部11a,11bの開口幅よりも広くすることは、一方のトレッド半区域4a又は4bと他方のトレッド半区域4b又は4aにそれぞれ位置する前記緩傾斜溝9a,9b,11a,11bのインパクトの分散効果もあるので、パターンノイズの低減にも有効に作用する。
【0040】
また、タイヤは、使用とともにトレッド部1が摩耗し、これに伴って溝容積も減少するため、新品時のタイヤに比べると、パターンノイズについては小さくなるものの、排水性能についても悪化する傾向がある。
【0041】
そこで、トレッド部1が摩耗したタイヤであっても、排水性能を十分に確保する場合には、図2に示すように、第2緩傾斜溝部11a又は11bの、溝底側での溝幅W1を、トレッド開口側位置での溝幅W2よりも広く設定すること、例えば第2緩傾斜溝部11a,11bの断面形状をフラスコ状にすることが好ましい。尚、モールドの強度上の制約から、実際には、第2緩傾斜溝部11a,11bの、溝底側での溝幅W1を、トレッド開口位置での溝幅W2の2倍程度にすることが好ましい。
【0042】
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。例えば、ブロック剛性を確保しつつ排水性能を向上させる場合には、タイヤ周方向6に隣接する2本の複合傾斜溝10a,10a又は10b,10bの配設によって形成する陸部の角部に面取りを施してもよい。
【0043】
【実施例】
次に、この発明に従う空気入りタイヤを試作し、性能評価を行ったので、以下で説明する。
・実施例
実施例のタイヤは、図1に示すトレッドパターンを有し、タイヤサイズがPSR205/55R16(トレッド幅:170mm)であり、周方向主溝、複合傾斜溝等の寸法等については表1にまとめて示す。尚、第2緩傾斜溝部は、図2に示すフラスコ状の断面形状を有し、その各寸法を表1に示してある。
また、トレッド部以外のタイヤ構造については、通常の乗用車用空気入りタイヤのものとほぼ同様な構成とした。
【0044】
【表1】
【0045】
・従来例
従来例のタイヤは、図3に示すトレッドパターンを有し、タイヤサイズがPSR205/55R16であり、周方向溝101〜103及び傾斜溝104〜106の寸法等については表2にまとめて示す。
【0046】
【表2】
【0047】
(性能評価)
新品時と50%摩耗時の上記各供試タイヤについて、排水性能、操縦安定性能及びパターンノイズを評価したので以下で説明する。
上記各供試タイヤを標準リム(61/2JJ)に組み付け、タイヤ内圧:230kPa、タイヤ負荷荷重:実車2名乗車相当の条件下で以下の各試験を行った。
【0048】
排水性能は、直進走行時とコーナリング走行時の双方で評価した。
直進走行時の排水性能は、水深5mmの濡れた路面上を直進走行して通過したときのハイドロプレーニング現象が発生するときの限界速度を測定し、これによって評価した。
【0049】
コーナリング走行時の排水性能は、水深5mmの半径80mの濡れた路面上を走行して通過したときのハイドロプレーニング現象が発生するときの限界横Gを測定し、これによって評価した。
【0050】
操縦安定性能は、ドライ状態のサーキットコースを各種走行モードにてスポーツ走行し、そのときのテストドライバーによるフィーリングによって評価した。
パターンノイズは、直線平滑路面上を100km/hから惰行したときの車室内騒音をテストドライバーによるフィーリングによって評価した。
【0051】
表3にこれらの評価結果を示す。尚、表3中の数値は、いずれの性能とも従来例を100とした指数比で示しており、大きいほど優れていることを示している。
【0052】
【表3】
【0053】
表3の評価結果から、実施例は、従来例に比べて、新品時及び50%摩耗時のいずれの場合も、排水性能及び操縦安定性に優れているとともに、パターンノイズが低減されている。
【0054】
【発明の効果】
この発明によって、排水性能及び操縦安定性能等の他の性能を犠牲にすることなく、低パターンノイズを実現した空気入りタイヤ、特に偏平率が小さくトレッド幅が広い、いわゆる高性能タイヤの提供が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に従う空気入りタイヤのトレッド部の一部の展開図である。
【図2】 第2傾斜溝部の断面形状を示す図である。
【図3】 従来例のタイヤのトレッド部の一部の展開図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 パターンセンター
3a,3b トレッド端
4a,4b トレッド半区域
5a,5b トレッド半区域の幅中央位置
6 タイヤ周方向
7a,7b 周方向主溝
8a,8b 複合傾斜溝の急傾斜溝部
9a,9b 複合傾斜溝の第1緩傾斜溝部
10a,10b 複合傾斜溝
11a,11b 複合傾斜溝の第2緩傾斜溝部
12 急傾斜溝部の終端位置
13 第1緩傾斜溝部のトレッド端への開口位置
14 急傾斜溝部のトレッド端側の溝壁位置
15 第2緩傾斜溝部のトレッド端への開口位置
16 タイヤの回転方向
m 第1仮想線
n 第2仮想線
W1 第2緩傾斜溝部の溝底側の溝幅
W2 第2緩傾斜溝部のトレッド開口位置での溝幅
Claims (10)
- パターンセンターとトレッド端で区分された各トレッド半区域にて、
そのトレッド半区域の幅中央又はその近傍に位置し、タイヤ周方向に沿って延びる1本の周方向主溝と、
パターンセンターと周方向主溝の間に位置し、タイヤ周方向に対し比較的小さな角度で傾斜して延びる急傾斜溝部、並びに急傾斜溝部のトレッド端側に位置する終端位置及び急傾斜溝部の延在方向の中途位置でかつトレッド端側の溝壁位置から、それぞれ湾曲しながらタイヤ周方向に対し比較的大きな角度でトレッド端に開口するまで傾斜して延びる第1及び第2緩傾斜溝部を有する複数本の複合傾斜溝とを具え、
パターンセンターを挟んで隣接する1対の複合傾斜溝は、タイヤ周方向に所定の位相差で配設され、
急傾斜溝部の前記終端位置と第1緩傾斜溝部のトレッド端への開口位置を直線で結んだ第1仮想線(m)に対する第1緩傾斜溝部の位置関係が、急傾斜溝部の前記溝壁位置と第2緩傾斜溝部のトレッド端への開口位置を直線で結んだ第2仮想線(n)に対する第2緩傾斜溝部の位置関係と反対になることを特徴とする空気入りタイヤ。 - パターンセンターを挟んで隣接する1対の複合傾斜溝は、急傾斜溝部同士をタイヤ周方向に半ピッチ分の位相差で形成する請求項1に記載した空気入りタイヤ。
- 第1緩傾斜溝部は、タイヤ周方向に対する傾斜角度が、パターンセンター側からトレッド端側に向かって漸増し、第2緩傾斜溝部は、前記傾斜角度が、パターンセンター側からトレッド端側に向かって漸減する請求項1又は2に記載した空気入りタイヤ。
- 路面に対してタイヤを回転接地させるとき、同一タイヤ周線上で見て、第1緩傾斜溝部は、第1仮想線よりも後続接地するような延在形状で配設され、第2緩傾斜溝部は、第2仮想線よりも先行接地するような延在形状で配設される請求項1、2又は3に記載した空気入りタイヤ。
- 複合傾斜溝の急傾斜溝部は、タイヤ周方向に対し30°以下の傾斜角度で延在する請求項1〜4のいずれか1項に記載した空気入りタイヤ。
- 第1及び第2緩傾斜溝部は、タイヤ周方向に対する傾斜角度がそれぞれ60〜85°及び80〜60°である請求項1〜5のいずれか1項に記載した空気入りタイヤ。
- 第1緩傾斜溝部の開口幅は、第2緩傾斜溝部の開口幅よりも広い請求項1〜6のいずれか1項に記載した空気入りタイヤ。
- 第2緩傾斜溝部の溝幅は、トレッド開口側よりも溝底側の方が広い請求項1〜7のいずれか1項に記載した空気入りタイヤ。
- 第2緩傾斜溝部は、フラスコ状の断面形状を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載した空気入りタイヤ。
- 第1緩傾斜溝部と第2緩傾斜溝部の配設ピッチは、急傾斜溝部の配設ピッチの1/2である請求項1〜9のいずれか1項に記載した空気入りタイヤ。
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