JP4562366B2 - 反応晶析処理方法およびその装置 - Google Patents
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吹出口の形成数は1個でもよいし、2個以上でもよい。吹出口としては、例えば被処理水用加圧室の被処理水、循環水用加圧室の循環水を複数の流れに分配するディストリビュータを採用することができる。
吹出口は、被処理水用圧力室と循環水用圧力室とに別々に形成した方が好ましい。しかし、被処理水および循環水が吹出口を通過する時間は短時間であるので、同じ吹出口を兼用してもよい。
種結晶としては、例えばケイ酸カルシウム化合物、炭酸カルシウム、リン鉱石、骨炭、リン酸カルシウムを採用することができる。
種結晶の粒径は限定されない。例えば、0.15〜0.3mmである。
5Ca 2+ +OH - +3PO 4 →Ca 5 (OH)(PO 4 ) 3
晶析反応は、被処理水中のリンを難溶性のヒドロキシアパタイトとして析出させる。ヒドロキシアパタイトの溶解度積はきわめて小さく(Ks=10〜55.9)、低いリン濃度の処理水を得ることができる。処理水のpHは、対象とする被処理水の種類、濃度、目標とする処理水のリン濃度により異なるが、一般的にpH8〜10である。
被処理水供給手段と循環水供給手段とは、各種のポンプを駆動源としたものを採用することができる。
この発明によれば、被処理水供給流路の下流側の端部は反応槽の周壁の一部から被処理水用圧力室に連通され、循環水供給流路の下流側の端部は反応槽内を通って循環水用圧力室に連通されている。これにより、反応槽の下方に配管が存在せず、反応槽の施工およびメンテナンスが容易になる。
この場合には、被処理水と循環水とを、流動床に導入する直前に初めて接触・混合させるか、または、個別に流動床に導入させるので、混合時の目的成分の濃度が目的成分の過溶解度以上であっても、大半の目的成分は化合物として種結晶の表面に晶析される。その結果、被処理水中のリン濃度が変動しても、循環水流量/被処理水流量比を変更することなく、リン酸カルシウムの凝集物の発生量を低減することができる。
また、この反応晶析処理方法において、前記流動床には薬液が添加され、該薬液は、前記被処理水と循環水とが流動床に導入される直前に、または流動床中で、前記被処理水と循環水とに接触・混合されるようにしてもよい。
薬液の種類は限定されない。例えば、消石灰(Ca(OH) 2 )、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ性水溶液を採用することができる。薬液の添加量は限定されない。
被処理水の種類は限定されない。例えば、下水処理の二次処理水や下水汚泥処理工程における返流水、産業廃水などを採用することができる。
また、目的成分の種類は限定されない。例えば、りん酸態りん、フッ素、ホウ素、アンモニア、その他の重金属類などを採用することができる。
反応槽11の上縁の外周部には、脱リン処理後の処理水が排出される環状の排水路11aが形成され、排水路11aの一部に排水管11bが連通されている。また、反応槽11の上部内には、周方向に一定ピッチで形成された多数のノズル孔を介して、処理水が貯留される領域において、SSを排出する環状のSS排出細管11cが配置されている。SS排出細管11cの一部と排水管11bの途中部とは、短尺な連通管11dにより連通されている。連通管11dの途中部には、開閉弁11eが設けられている。開閉弁11eを開き、排水管11bに処理水を流すと、連通管11dを介して、SS排出細管11c内が負圧化する。この負圧力により処理水中のSSがSS排出細管11cのノズル孔を通して、SS排出細管11c、連通管11d、排水管11bを経て外部に排出される。
内筒21の上端部には、上端の開口部に向かって徐々に拡径した拡径部21aが一体形成されている。拡径部21aには、パイプ周方向に90度間隔で、大判な4枚のガイド羽根21b…が立設されている。各ガイド羽根21b…は、反応槽11の蓋付近まで延びている。
上壁51は円板形状を有し、中心部に前記内筒21の下端部の嵌入孔51aが形成されている。また、この嵌入孔51aの周囲には、ディストリビュータ12の装着孔51b…が60度間隔で6つ形成されている。また、上壁51の外周部の内部には、上壁51の外端面と各装着孔51b…とを連通する合計6本の細い連通路51c…が、嵌入孔51aを中心として放射状に形成されている。
ノズル下部12a…とノズル上部12b…との間には、対応するノズル部54b…の先端が配置されている。したがって、連結管54に供給された消石灰水溶液は、ノズル部54b…を介して、対応するノズル下部12a…とノズル上部12b…との間から装着孔51b…に吹き出される。
消石灰水溶液供給槽17には、ポンプ31が途中部に設けられた岐管30の一端部が連通されている。岐管30の他端部は、供給部54aに連通されている。反応槽11の蓋には、処理水のpHを検出するpHセンサ100が設けられている。pHセンサ100は、pH制御装置101の入力側に接続されている。処理水のpHは、pHセンサ100により検出され、得られた検出データに基づき、pH制御装置101からポンプ31に、所定量の消石灰水溶液を流動床14に供給する指令が出される。前記消石灰水溶液供給手段18は、岐管30,ポンプ31により構成される。
まず、電磁弁25を開弁して被処理水供給ポンプ50を作動し、被処理水貯留槽23内の被処理水を被処理水供給管24を通して被処理水用圧力室19に供給する。循環水は、電動モータ41により回転羽根22を回転させることで、反応槽11の上部の処理水を、拡径部21aから内筒21を介して、循環水用圧力室20に供給する。その後、被処理水用圧力室19内の被処理水は、各吹出ノズル55…を介して、対応するディストリビュータ12を経て流動床14に導入される。一方、循環水用圧力室20内の循環水は、各ディストリビュータ12を通して、流動床14に導入される。
また、必要により供給される消石灰水溶液は、ポンプ31の作動により、消石灰水溶液供給槽17から岐管30、供給部54aを順次経て、連結管54、各ノズル部54b…を通して、対応する装着孔51b…から流動床14に導入される。
また、晶析脱リン装置10では、循環水供給流路として、反応槽11内に立設された内筒21を採用し、被処理水供給流路として、反応槽11の下部の周壁の一部に形成された被処理水供給管24を採用したので、従来装置のように反応槽11の底面部から配管が除去され、反応槽11の施工と、メンテナンスとが容易になる。
図7のグラフ中、比較例1では、リンを含有する被処理水と循環水とが1つの圧力室13で混合され、消石灰水溶液が外部の配管40aを通して流動床14の下部に供給される晶析脱リン装置10A(図4)を採用した。試験例1では、圧力室13が下側の被処理水用圧力室19と上側の循環水用圧力室20とに上下に区画され、反応槽11の周壁に設けられた循環水供給管41aの途中に消石灰水溶液が配管40bを通して混入される晶析脱リン装置10B(図5)を採用した。試験例2では、圧力室13が同じく下側の被処理水用圧力室19と上側の循環水用圧力室20とに区画され、消石灰水溶液が外からの配管40aを通して流動床14の下部に供給される晶析脱リン装置10C(図6)を採用した。
実験条件は、比較例1および試験例1,2ともに、被処理水のリン濃度(リン酸イオン態りん濃度)4.7mg/リットル、循環水流量/被処理水流量比10、流動床14の制御pH9.8、空塔速度10/hrである。
11 反応槽、
12 ディストリビュータ(吹出口)、
13 圧力室、
14 流動床、
15 被処理水供給手段、
16 循環水供給手段、
18 消石灰水溶液供給手段、
19 被処理水用圧力室、
20 循環水用圧力室、
21 内筒(循環水供給流路)、
24 被処理水供給管(被処理水供給流路)。
Claims (3)
- 反応槽の下部に形成された圧力室から、該圧力室の上壁に形成された複数の吹出口を通して、前記反応槽の圧力室より上方に形成され、種結晶が存在する流動床にリンを含有した被処理水を導入し、前記流動床で被処理水中のリンと種結晶とを接触させて種結晶の表面にこの被処理水中のリンを晶析することで処理水を得るとともに、該処理水の一部を循環水として、前記圧力室から各吹出口を通して流動床に導入する反応晶析処理方法において、
前記圧力室を、前記被処理水が導入される被処理水用圧力室と、前記循環水が導入される循環水用圧力室とに区画し、
前記被処理水は、前記吹出口を通して被処理水用圧力室から流動床に導入される一方、前記循環水は、前記被処理水用の吹出口とは異なる吹出口を通して循環水用圧力室から流動床に導入される反応晶析処理方法。 - リンを含有する被処理水が貯留される反応槽と、
該反応槽の下部内に形成され、複数の吹出口が上壁に形成された圧力室と、
前記反応槽内の圧力室より上方に形成され、種結晶が存在する流動床と、
前記圧力室に被処理水を供給する被処理水供給手段と、
前記被処理水に含まれるリンと種結晶とを接触させ、前記被処理水中のリンを種結晶の表面に晶析することで除去して得られた処理水の一部を、前記各吹出口を通して、前記圧力室に循環水として供給する循環水供給手段とを備えた反応晶析処理装置において、
前記圧力室を、前記被処理水が供給される被処理水用圧力室と、前記循環水が供給される循環水用圧力室とに区画し、
前記吹出口は、前記被処理水用圧力室と流動床とを連通する吹出口と、前記循環水用圧力室と流動床とを連通する吹出口とを有し、
前記被処理水供給手段は、前記被処理水を被処理水用圧力室に供給する被処理水供給流路を有し、
前記循環水供給手段は、前記循環水を循環水用圧力室に供給する循環水供給流路を有している反応晶析処理装置。 - 前記被処理水供給流路の下流側の端部は、前記反応槽の周壁の一部から被処理水用圧力室に連通され、
前記循環水供給流路の下流側の端部は、前記反応槽内を通って循環水用圧力室に連通された請求項2に記載の反応晶析処理装置。
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