JP4561933B2 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Description
本発明は、ディスプレイ装置に使用するプラズマディスプレイパネルに関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、2枚のガラス基板を互いに貼り合わせて構成されており、ガラス基板の間に形成される空間に放電光を発生させることで画像を表示する。画像における画素に対応するセルは、自発光型であり、放電により発生する紫外線を受けて赤、緑、青の可視光を発生する蛍光体が塗布されている。
例えば、X、Y電極およびアドレス電極を有する3電極構造のPDPは、X電極およびY電極間でサステイン放電を発生させることで、画像を表示する。サステイン放電を発生させるセル(点灯させるセル)は、例えば、Y電極およびアドレス電極間で選択的にアドレス放電を発生させることにより、選択される。
一般的なPDPでは、XおよびY電極が間隔を置いて前面ガラス基板に配置され、X電極の延在する方向(横方向)に直交する方向(縦方向)に延在する隔壁(縦隔壁)および互いに隣接する縦隔壁の間に配置されたアドレス電極が背面ガラス基板に配置されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、X電極は、Xバス電極とX透明電極とにより構成され、Y電極は、Yバス電極とY透明電極とにより構成される。そして、セルは、互いに隣接する一対のXバス電極およびYバス電極と、互いに隣接する一対の縦隔壁とで囲われる領域に形成される。
また、輝度を向上させるためにセル面積を大きくしたPDPでは、上記縦方向に沿って互いに隣接する2つのセル間の距離が短くなり、一方のセルのXバス電極および他方のセルのYバス電極間で誤放電が発生するおそれがある。この誤放電を防止するために、例えば、特許文献1のPDPでは、縦方向に沿って互いに隣接する2つのセル間において、一方のセルのXバス電極および他方のセルのYバス電極間に位置する横隔壁(横方向に延在する隔壁)を設けている。すなわち、縦隔壁と横隔壁とにより構成される格子状の隔壁が背面ガラス基板に設けられる。
近年、X電極およびY電極とアドレス電極の3電極を前面ガラス基板に配置したPDPが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この種のPDPでは、XおよびY電極が間隔を置いて前面ガラス基板に配置され、上記縦方向に延在するアドレス電極がXおよびY電極を覆う誘電体層上に配置される。そして、アドレス電極に対向する隔壁(縦隔壁)と、XおよびYバス電極の両方に対向する隔壁(横隔壁)とにより構成される格子状の隔壁が背面ガラス基板に設けられている。そして、蛍光体は、背面ガラス基材の表面および隔壁(縦隔壁および横隔壁)の側面に塗布される。
特開2006−185903号公報
特開2006−12772号公報
特許文献2のPDPでは、上記横隔壁がX、Yバス電極の両方に対向しているため、横隔壁の幅(縦方向に沿う幅)が大きくなり、上記縦隔壁と横隔壁とにより囲まれる面積が小さくなる。すなわち、前面ガラス基板上に3電極を有する(前面ガラス基板上にアドレス電極を有する)特許文献1のPDPでは、蛍光体が塗布される面積は、背面ガラス基板上にアドレス電極を有する特許文献1のPDPに比べて小さい。
なお、前面ガラス基板上に3電極を有するPDPでは、互いに隣接するセルにおける一方のセルのXバス電極および他方のセルのYバス電極間での誤放電を防止するとともに、アドレス電極およびYバス電極間での誤放電を防止する必要がある。これは、前面ガラス基板上に3電極を有するPDPでは、アドレス電極とYバス電極との距離が近いためである。
本発明の目的は、前面ガラス基板上に3電極を有するPDPにおいて、誤放電を防止しつつ、蛍光体が塗布される面積を大きくすることである。特に、前面ガラス基板上に3電極を有するPDPにおいて、画像の輝度を向上させ、画像の品位を向上させることである。
プラズマディスプレイパネルは、互いに対向する第1基板および第2基板を有している。第1基板は、第1および第2バス電極、誘電体層、アドレス電極を有し、第2基板は、第1および第2隔壁を有している。第1および第2バス電極は、第1方向に延在し、間隔を置いて第1基板上に配置され、アドレス電極は、第1方向と交差する第2方向に延在し、第1および第2バス電極を覆う誘電体層上に配置される。第1隔壁は、第2方向に延在し、アドレス電極近傍に位置して第2基板上に配置される。また、第2隔壁は、第1方向に延在し、第2バス電極に対向して第2基板上に配置される。
本発明では、前面ガラス基板上に3電極を有するPDPにおいて、誤放電を防止しつつ、蛍光体が塗布される面積を大きくできる。特に、前面ガラス基板上に3電極を有するPDPにおいて、画像の輝度を向上させ、画像の品位を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態におけるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPとも称する)の要部を示している。図中の矢印D1は、第1方向D1を示し、矢印D2は、第1方向D1に画像表示面に平行な面内で直交する第2方向D2を示している。PDP10は、画像表示面を構成する前面基板部12と、前面基板部12に対向する背面基板部14とにより構成されている。前面基板部12と背面基板部14の間(より詳細には、背面基板部14の凹部)に放電空間DSが形成される。
前面基板部12は、ガラス基材FS(第1基板)上(図では下側)に第1方向D1に沿って平行に形成され、第2方向D2に沿って交互に形成されたXバス電極Xb(第1バス電極)およびYバス電極Yb(第2バス電極)を有している。Xバス電極Xbには、Xバス電極XbからYバス電極Ybに向けて第2方向D2に延在するX透明電極Xtが接続されている。また、Yバス電極Ybには、Yバス電極YbからXバス電極Xbに向けて第2方向D2に延在するY透明電極Ytが接続されている。図の例では、X透明電極XtおよびY透明電極Ytは、第2方向D2に沿って互いに対向している。
ここで、Xバス電極XbおよびYバス電極Ybは、金属材料等で形成された不透明な電極であり、X透明電極XtおよびY透明電極Ytは、ITO膜等で形成された光を透過する透明電極である。そして、X電極XE(維持電極)は、Xバス電極XbおよびX透明電極Xtにより構成され、Y電極YE(走査電極)は、Yバス電極YbおよびY透明電極Ytにより構成される。X電極XEおよびY電極YEで構成される電極対(より具体的には、X透明電極XtおよびY透明電極Yt間)で繰り返して放電(サステイン放電)を発生させる。
また、透明電極XtおよびYtは、それぞれが接続されるバス電極XbおよびYbとガラス基材FSとの間に全面に配置されてもよい。なお、バス電極XbおよびYbと同じ材料(金属材料等)で、バス電極XbおよびYbと一体の電極が透明電極XtおよびYtの代わりに形成されてもよい。
電極Xb、Xt、Yb、Ytは、誘電体層DL1に覆われている。例えば、誘電体層DL1は、CVD法により形成された二酸化シリコン膜等の絶縁膜である。そして、誘電体層DL1上(図では下側)には、バス電極Xb、Ybの直交方向(第2方向D2)に延在する複数のアドレス電極AEが設けられている。このように、この実施形態のPDPは、前面基板部12に3電極(電極XE、YE、AE)を有している。
また、アドレス電極AEは、誘電体層DL2に覆われており、誘電体層DL2の表面は、保護層PLに覆われている。例えば、保護層PLは、放電を発生しやすくするために、陽イオンの衝突による2次電子の放出特性の高いMgO膜で形成される。なお、アドレス電極AEおよび誘電体層DL1は、誘電体層DL2を設けずに、保護層PLに直接覆われてもよい。
放電空間DSを介して前面基板部12に対向する背面基板部14は、ガラス基材RS(第2基板)上に、第1隔壁(バリアリブ)BR1および第2隔壁BR2により格子状に形成された隔壁を有している。例えば、隔壁BR1、BR2は、例えば、ガラス基材RSと一体に形成される。なお、隔壁BR1は、バス電極Xb、Ybに直交する方向(第2方向D2)に延在し、アドレス電極AEに対向している。また、隔壁BR2は、バス電極Xb、Ybに沿った第1方向D1に延在し、バス電極Ybのみに対向している。すなわち、バス電極Xbは、放電空間DS上に位置し、バス電極Ybは、隔壁BR2上に位置している。
ここで、1つのセル(一色の画素)は、後述する図2に示すように、互いに隣接する一対の隔壁BR1と互いに隣接する一対の隔壁BR2とで囲われる領域に形成される。すなわち、隔壁BR1、BR2により、セルの側壁が構成される。そして、隔壁BR1、BR2の側面と、隔壁BR1、BR2に囲まれた部分のガラス基材RS上とには、紫外線により励起されて赤(R)、緑(G)、青(B)の可視光を発生する蛍光体PHr、PHg、PHbが、それぞれ塗布されている。
PDP10の1つの画素は、赤、緑および青の光を発生する3つのセルにより構成される。このように、PDP10は、画像を表示するためにセルをマトリックス状に配置し、かつ互いに異なる色の光を発生する複数種のセルを交互に配列して構成されている。特に図示していないが、バス電極Xb、Ybに沿って形成されたセルにより、表示ラインが構成される。
PDP10は、前面基板部12および背面基板部14を、保護層PLと隔壁BR1が互いに接するように貼り合わせ、Ne、Xe等の放電ガスを放電空間DSに封入することで構成される。
図2は、図1に示したPDP10の概要を示している。なお、図2は、画像表示面側(図1の上側)から見た電極Xb、Xt、Yb、Yt、AE、隔壁BR1、BR2の状態を示している。図中の網掛け部分は、隔壁BR1、BR2を示している。
上述したように、セルC1は、互いに隣接する一対の隔壁BR1と互いに隣接する一対の隔壁BR2とで囲われる領域(図の破線で囲んだ領域)に形成される。なお、セルは、図に示したセルC1に対応するバス電極Yb(図では、セルC1の下側のバス電極Yb)およびアドレス電極AE(図では、セルC1の左側のアドレス電極AE)の一部分を含んで定義される場合もある。また、画像表示面側から見た場合、各セルC1の放電空間DSは、互いに隣接する一対の隔壁BR1と互いに隣接する一対の隔壁BR2とで囲われる領域に形成される。
隔壁BR2は、バス電極Ybに沿ってそれぞれ配置されている。より詳細には、上述した図1で説明したように、隔壁BR2は、バス電極Ybのみに対向して配置されている。そして、バス電極Xbは、セルC1(図の破線で囲んだ領域)内を通って配置される。すなわち、この実施形態では、隔壁BR2の第2方向D2に沿う幅W1を、バス電極Xb、Ybの両方に対向させた隔壁を設ける場合に比べて小さくできる。この結果、セルC1の第2方向D2に沿う長さW2を大きくでき、蛍光体が塗布される面積(図の破線で囲んだ領域)を大きくできる。蛍光体が塗布される面積を大きくできるため、画像の輝度を向上でき、画像の品位を向上させることができる。
また、隔壁BR2は、第2方向D2に沿って互いに隣接するセルC1において、一方のセルC1のバス電極Xbおよび他方のセルC1のバス電極Yb間で誤放電が発生することを防止する。これにより、第2方向D2に沿って互いに隣接するセルC1の間隔を狭くできるため、セルC1の面積を大きくできる。さらに、隔壁BR2は、バス電極Ybとアドレス電極AEとの間で誤放電が発生することを防止する。
なお、この実施形態では、セルC1に対応するアドレス電極AE、透明電極Yt、Xtは、第1方向D1に沿って左側から順番に配置されている。このため、アドレス電極AEと透明電極Yt間に電圧を印加することにより、着目するセルC1の放電空間DSでアドレス放電を発生させることができる。このとき、隔壁BR1も誘電体層の一部として作用し、アドレス電極AEと透明電極Yt間の電界が放電空間DSに生ずる。また、アドレス電極AEを挟んで第1方向D1に互いに隣接する2つのセルC1において、一方のセルC1の透明電極Ytのみがアドレス電極AEに隣接する。このため、一方のセルC1のアドレス電極AEと透明電極Yt間でアドレス放電を発生させるとき(アドレス期間)に、一方のセルC1のアドレス電極AEと他方のセルC1の透明電極Yt間で誤放電が発生することを防止できる。
また、この実施形態では、アドレス電極AEを挟んで第1方向D1に互いに隣接する2つのセルC1において、アドレス電極AEは、自身に対応する一方のセルC1側(図では、右側)に片寄って配置されている。すなわち、アドレス電極AEは、自身に対応する一方のセルC1(図では、右側のセルC1)の放電空間DSに近い位置に配置され、他方のセルC1の放電空間DSから遠い位置になる。この結果、この実施形態では、一方のセルC1でアドレス放電を発生させるときに、一方のセルC1のアドレス電極AEと他方のセルC1の透明電極Yt間で誤放電が発生することを確実に防止できる。なお、アドレス電極AEは、隔壁BR1からはみ出ない範囲で、自身に対応するセルC1側に片寄って配置されてもよいし、一部または全部が隔壁BR1からはみ出して、自身に対応するセルC1側に配置されてもよい。
図3および図4は、図2に示したPDP10の断面を示している。なお、図3は、図2のA−A’線に沿うPDP10の断面を示し、図4は、図2のB−B’線に沿うPDP10の断面を示している。なお、図3に示した蛍光体PHは、蛍光体PHr、PHg、PHbのいずれかであり、以下、可視光の色毎に区別しない場合等、蛍光体PHr、PHg、PHbを、蛍光体PHとも称する。
図3に示すように、バス電極Xbは、放電空間DS上に位置し、バス電極Ybは、隔壁BR2上に位置している。この実施形態では、バス電極Ybが放電空間DS上に位置していないため、バス電極Xb、Yb間での誤放電およびアドレス電極AE、バス電極Yb間での誤放電を防止できる。また、この実施形態では、バス電極Xbに対向する位置まで隔壁が設けられている場合に比べて、蛍光体PHが塗布されるガラス基材RSの面積および隔壁BR1の側面の面積を大きくできる。
図4に示すように、セルC1(R)の隔壁BR1、BR2の側面およびガラス基材RS上には、赤の可視光を発生する蛍光体PHrが塗布されている。同様に、セルC1(G)およびC1(B)には、緑および青の可視光を発生する蛍光体PHgおよびPHbが、それぞれ塗布されている。上述した図1で説明したように、1つの画素PXは、赤、緑および青の光をそれぞれ発生する蛍光体PHr、PHg、PHbがそれぞれ塗布された3つのセルC1(セルC1(R)、C1(G)、C1(B))により構成される。
図5は、図1に示した背面基板部14の概要を示している。ガラス基材RSの周辺部には、排気空間ESからガラス基材RSの外面まで貫通する排気孔EHが設けられている。これにより、組み立てられたPDPの放電空間DSを真空状態に設定でき、放電ガスを放電空間DSに封入できる。また、放電空間DSおよび排気空間ESは、サンドブラスト法等により、ガラス基材RSを直接彫り込んで形成される。すなわち、隔壁BR1、BR2は、サンドブラスト法等でガラス基材RSを削ることにより、ガラス基材RSと一体に形成される。これにより、例えば、隔壁BR1、BR2を形成するための焼成工程を必要としないため、PDPの製造コストを低減できる。多くの場合、この焼成工程の焼成炉は電気をエネルギーとしており、この焼成工程を無くすことは電気エネルギーの削減にもなる。
図6は、図1に示したPDP10を用いて構成されたプラズマディスプレイ装置の一例を示している。プラズマディスプレイ装置(以下、PDP装置とも称する)は、PDP10、PDP10の画像表示面16側(光の出力側)に設けられる光学フィルタ20、PDP10の画像表示面16側に配置された前筐体30、PDP10の背面18側に配置された後筐体40およびベースシャーシ50、ベースシャーシ50の後筐体40側に取り付けられ、PDP10を駆動するための回路部60、およびPDP10をベースシャーシ50に貼り付けるための両面接着シート70を有している。回路部60は、複数の部品で構成されるため、図では、破線の箱で示している。光学フィルタ20は、前筐体30の開口部32に取り付けられる保護ガラス(図示せず)に貼付される。なお、光学フィルタ20は、電磁波を遮蔽する機能を有することもある。また、光学フィルタ20は、保護ガラスではなく、PDP10の画像表示面16側に直接貼付されることもある。
図7は、図1に示したPDP10を駆動するための回路部60の概要を示している。回路部60は、バス電極Xbに共通のパルスを印加するXドライバXDRV、バス電極Ybに選択的にパルスを印加するYドライバYDRV、アドレス電極AEに選択的にパルスを印加するアドレスドライバADRV、ドライバXDRV、YDRV、ADRVの動作を制御する制御部CNTおよび電源部PWRを有している。ドライバXDRV、YDRV、ADRVは、PDP10を駆動する駆動部として動作する。電源部PWRは、ドライバYDRV、XDRV、ADRVに供給する電源電圧Vsc、Vs/2、−Vs/2、Vsa等を生成する。
制御部CNTは、画像データR0−7、G0−7、B0−7に基づいて使用するサブフィールドを選択し、ドライバYDRV、XDRV、ADRVに制御信号YCNT、XCNT、ACNTを出力する。ここで、サブフィールドは、PDP10の1画面を表示するための1フィールドが分割されたフィールドであり、サブフィールド毎にサステイン放電の回数が設定されている。そして、画素を構成するセルC1毎に、使用するサブフィールドを選択することにより、多階調の画像が表示される。
図8は、図1に示したPDP10に画像を表示するためのサブフィールドにおける放電動作の一例を示している。図中の星印は、放電の発生を示している。各サブフィールドSFは、リセット期間RST、アドレス期間ADR、サステイン期間SUSおよび消去期間ERSにより構成される。なお、消去期間ERSは、点灯したセルのみの壁電荷を減少させるための放電を発生させる期間のため、サステイン期間SUSに含めて定義される場合もある。
まず、リセット期間RSTでは、緩やかに下降する負の電圧(鈍波)が、維持電極XE(バス電極Xbおよび透明電極Xt)に印加され、正の電圧が、走査電極YE(バス電極Ybおよび透明電極Yt)に印加される(図8(a))。そして、維持電極XEは、負の書き込み電圧に維持され、緩やかに上昇する正の書き込み電圧(書き込み鈍波)が走査電極YEに印加される(図8(b))。これにより、セルの発光を抑えながら維持電極XEと走査電極YEに正と負の壁電荷がそれぞれ蓄積される。次に、維持電極XEに正の調整電圧が印加され、負の調整電圧(調整鈍波)が走査電極YEに印加される(図8(c))。これにより、維持電極XEと走査電極YEにそれぞれ蓄積された正と負の壁電荷の量が減るとともに、全てのセルの壁電荷が等しくなる。なお、例えば、正の調整電圧は、電圧Vs/2より低い電圧であり、負の調整電圧の最小値は、電圧−Vs/2より高い電圧である。
アドレス期間ADRでは、アドレス放電時に陽極となるスキャン電圧が維持電極XEに印加され、アドレス放電時に陰極となるスキャンパルスが走査電極YEに印加され、アドレス放電時に陽極となるアドレスパルス(電圧Vsa)が、点灯するセルに対応するアドレス電極AEに印加される(図8(d))。スキャンパルスとアドレスパルスにより選択されたセルでは、一時的にアドレス放電が発生する。
すなわち、走査電極YEとアドレス電極AE間には、放電を発生させる最低電圧(放電開始電圧)以上の電圧が印加され、維持電極XEとアドレス電極AE間には、放電開始電圧より低い電圧が印加される。これにより、着目するセルのアドレス電極AEと走査電極YE間でアドレス放電を発生させるときに、隣接するセルの維持電極XEとアドレス電極AE間で誤放電が発生することを防止できる。アドレス電極AEの波形に示される2回目のアドレスパルスは、他の表示ラインの放電セルを選択するために印加される(図8(e))。
サステイン期間SUSでは、負および正のサステインパルスが、維持電極XEおよび走査電極YEにそれぞれ印加される(図8(f、g))。これにより、点灯したセルの放電状態が維持される。互いに極性の異なるサステインパルスが、維持電極XEおよび走査電極YEに繰り返して印加されることにより、サステイン期間SUSに点灯したセルの放電(サステイン放電)が繰り返し行われる。
消去期間ERSでは、負の消去前パルスと正の高電圧の消去前パルスが、維持電極XEおよび走査電極YEにそれぞれ印加され、放電が発生する(図8(h))。これにより、壁電荷が、維持電極XEおよび走査電極YEに蓄積される。この際、走査電極YEは、電圧Vs/2より高い電圧が印加されるため、蓄積される壁電荷の量は相対的に多くなる。次に、正の消去パルスと負の消去パルスが、維持電極XEおよび走査電極YEにそれぞれ印加される(図8(i))。これにより、放電が起こるが、2電極間に印加されている電圧値の差がサステイン期間SUSの電圧値の差よりも低いため、壁電荷の量がサステイン期間SUSに比べて減る。
以上、この実施形態では、隔壁BR2は、バス電極Ybのみに対向している。すなわち、バス電極Xbは、放電空間DS上に位置し、バス電極Ybは、隔壁BR2上に位置している。これにより、この実施形態では、隔壁BR1、BR2により囲まれる領域を大きくでき、蛍光体PHが塗布される面積を大きくできる。また、蛍光体PHが塗布される面積が大きいため、画像の輝度を向上でき、画像の品位を向上させることができる。なお、この実施形態では、バス電極Ybが隔壁BR2上に位置しているため、バス電極Xbとバス電極Yb間での誤放電およびアドレス電極AEとバス電極Yb間での誤放電を防止できる。
なお、上述した実施形態では、1つの画素が、3つのセル(赤(R)、緑(G)、青(B))により構成される例について述べた。本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、1つの画素を4つ以上のセルにより構成してもよい。あるいは、1つの画素が、赤(R)、緑(G)、青(B)以外の色を発生するセルにより構成されてもよく、1つの画素が、赤(R)、緑(G)、青(B)以外の色を発生するセルを含んでもよい。
上述した実施形態では、隔壁BR1、BR2が、ガラス基材RSと一体に形成される例について述べた。本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、隔壁BR1、BR2は、ペースト状の隔壁材料を塗布し、乾燥、サンドブラスト、焼成工程を経て形成されてもよいし、印刷による積層で形成されてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
上述した実施形態では、アドレス電極AEが、自身に対応する一方のセルC1側に片寄って配置される例について述べた。本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、アドレス電極AEは、アドレス電極AEの第1方向D1に沿う中心線と隔壁BR1の第1方向D1に沿う中心線とを同じ位置にして配置されてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
上述した実施形態では、透明電極Xt、Ytが第2方向D2に沿って対向する位置に配置される例について述べた。本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、図9に示すように、透明電極Xt2、Yt2の先端部SD1、SD2が第1方向D1に沿って対向する位置に配置されてもよい。図9は、画像表示面側から見た電極Xb、Xt2、Yb、Yt2、AEおよび隔壁BR1、BR2の状態を示している。図9の例では、透明電極Xt2、Yt2およびアドレス電極AEが、上述の実施形態(図2)と相違している。その他の構成は、上述の実施形態と同じである。上述の実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
バス電極Xbに接続された透明電極Xt2の先端SD1は、バス電極Ybに接続された透明電極Yt2の先端SD2に対向している。また、透明電極Xt2、Yt2は、対向部を広くするために、T字形状にそれぞれ形成されている。なお、透明電極Xt2、Yt2の形状は、長方形でもよいし、台形でもよい。また、突出部Apは、アドレス電極AEから各セルC1の透明電極Yt2に向けて突出し、アドレス電極AEと一体に形成されている。このため、アドレス電極AEと透明電極Yt2間に電圧を印加することにより、着目するセルC1でアドレス放電を発生させることができる。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施形態およびその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。
本発明は、ディスプレイ装置に使用するプラズマディスプレイパネルに適用できる。
Claims (4)
- 放電空間を介して互いに対向する第1基板および第2基板と、
前記第1基板上に、第1方向に延在し、間隔を置いて配置された第1および第2バス電極と、
前記第1基板上に設けられ、前記第1および第2バス電極を覆う誘電体層と、
前記誘電体層上に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、間隔を置いて配置された複数のアドレス電極と、
前記第2基板上に設けられ、前記第2方向に延在し、前記アドレス電極近傍に位置する複数の第1隔壁と、
前記第2基板上に設けられ、前記第1方向に延在し、前記第2バス電極に対向する複数の第2隔壁とを備え、
前記第1バス電極は、前記放電空間上に位置していることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項1記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
互いに隣接する一対の前記第1隔壁と、互いに隣接する一対の前記第2隔壁とで囲われる領域に形成されるセルを備え、
前記各セルは、
前記第2基板上と前記第1および前記第2隔壁の側面とに塗布された蛍光体を備えていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項2記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
赤、緑および青の光をそれぞれ発生する前記蛍光体がそれぞれ塗布された3つの前記セルにより構成される画素を備えていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項1記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記第1および第2隔壁は、前記第2基板と一体に形成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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