JP4560762B2 - ハニカムフィルタの栓詰め方法 - Google Patents
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Description
特許文献1においては、選択されたセルの位置を決定するための走査手段としてテレビカメラ等の光学装置を用い、光学装置がセルや仕切り壁の位置を示す信号を出力すること、また、穿孔手段としてピン状の加熱穿孔エレメントやレーザを用いることが記載されているが、どのようにして選択されたセルを決め、その位置を決定するのか、また、レーザを用いた場合の具体的な穿孔方法については説明されておらず、実際の栓詰め処理に適用することはできない。
従って本発明は、ハニカムフィルタの製造方法において、ハニカム構造体に形成されたセル開口穴から、あるがままの連なり状態に対応した適切な栓詰めすべきセル開口穴を選定できる方法を提供することを第1の目的とし、効率的に選定できる方法を提供することを第2の目的としている。
また、本発明の第2の目的は、撮像時のエリアの移動距離に基づき当該エリアのセル開口穴の位置情報を変換し、変換された各エリアのセル開口穴の位置情報に基づき共有して撮像されたセル開口穴を検索し、検索されたセル開口穴のセル穴識別情報を基準として各エリアの撮像画像ごとに独自に付与されたセル開口穴のセル穴識別情報を端面全域で統一したセル穴識別情報に割り付け直し、栓詰めすべきセル開口穴を選定することにより達成される。すなわち、撮像時のエリアの移動距離に基づき当該エリアのセル開口穴の位置情報を変換し、変換された各エリアのセル開口穴の位置情報に基づき共有して撮像されたセル開口穴を検索し、検索されたセル開口穴のセル穴識別情報を基準として各エリアの撮像画像ごとに付与されたセル開口穴のセル穴識別情報を割り付け直すので、例えば共有して撮像されたセル開口穴の画像データを重ね合わせハニカム構造体の端面全体を再構成しセル穴識別情報を割り付け直す場合に比べ、選定の処理が高速化される。
1)セル開口穴の連なり状態に応じて合理的に隣接セル開口穴を選定し、隣接するセル開口穴に栓詰め穴用と非栓詰め穴用データが交互になるように割り付けるので、確実に栓詰めすべきセル開口穴を規定することができる。
2)画像処理で算出したセル座標情報をもとに、隣接セル探索ルールにより所定のセル開口穴を基準として順次隣接するセル開口穴を規定していくことで、セルが歪んでいてもセル開口穴の連接状態を適切に決めることができる。
3)連接したセル開口穴に連続した行列番号を割り付けることにより、栓詰めすべきセル開口穴に一連の行列番号を付与することで、他の栓詰めすべきセル開口穴を極めて容易に、短時間で選定することができる。
ハニカム構造体1は外周面が外殻をなす柱状で、軸方向に延び、軸方向に直交する断面が格子状をなす多数の仕切り壁で分割された多数のセルを有し、前工程で一端面或は両端面に栓詰め用封止材の侵入防止用のシートが貼られている。ハニカム構造体1は一端面を上にしてXYステージ2にセットされる。XYステージ2の上方には、ハニカム構造体1の端面を撮像する手段としてのCCDカメラ3と、シート除去手段としてのレーザ光を照射するレーザヘッド5が配設されている。XYステージ2は、ハニカム構造体1をセット、取出しする位置と、CCDカメラ3で撮像する位置と、レーザ光を照射する位置との間を移動できるストロークを有している。制御装置4は、XYステージ2の位置制御をするとともに、撮像時のCCDカメラ3からの画像情報及びXYステージの移動情報を取込んで、栓詰めすべきセル開口穴の位置情報と形状を求め、シート除去時のレーザ光照射制御及びXYステージ2の位置制御を行うとともに、情報を格納するメモリーを有している。なお、セル開口穴はシートを通して撮像されるので、シートは光透過性を有しており、使用するレーザ光で良好に溶融するような材質、厚さのものを使用する。
栓詰めすべきセル開口穴は、一方の端面と他方の端面とで逆の市松模様をなすように選定すればよい。このためには、基本的には、セル開口穴の連なり状態に応じて合理的に隣接セル開口穴を選定し、予め栓詰めすべく設定したセル開口穴を基準として、隣接するセル開口穴に、栓詰め不用穴とするか栓詰め用穴とするかを識別するためのセル穴識別情報を、栓詰め穴用と非栓詰め穴用データが交互になるように割り付ければよい。このため、栓詰めすべく設定した基準穴には、センサなどで認識できるようなマーキングを施しておくことが好ましい。なお、一端面側においては、栓詰めすべき基準穴としては任意の穴でよいため特にマーキングを施す必要はないが、この場合の他端面側の基準穴は、一端面側の市松模様を構成するセルと異なるセルのうちから、任意に少なくとも一つの開口穴を自動的または人為的に選定する必要がある。以下、一端側の基準穴にも、これを被うシートに画像処理で識別できるマーキング、例えば黒丸印や貫通穴などが施されているとして説明する。
最初に、図2のS1に示すように、CCDカメラ3でハニカム構造体1の一端面を撮像する。上記サイズのセル開口穴を良好な精度で計測するための画像分解能は約0.1mm/画素が必要であり、このためには、端面を4分割して撮像すればよいとする。撮像は、端面を4つのエリアに分けるようにXYステージ2を移動して行う。それぞれの撮像画像G1〜G4の模式図を図3の(a)から(d)に示すが、隣接エリアと一部重なるように、かつ重なる部分(斜線で示す)には同じセル開口穴が含まれるように撮像する。続いてS2に示すように、制御装置4は、撮像した画像を画像処理し、各画像ごとの各セル開口穴の図形情報をもとに、各セル開口穴の図心座標(位置情報)、面積、辺長、対角線長などを求める。
探索開始用のセル開口穴は任意に決めてよいが、本説明では画像内のセル開口穴の図心座標のうち、例えば端面の輪郭線と画像境界線の交点座標に一番近い図心座標を探索し、この図心を擁するセル開口穴を探索開始用のセル開口穴とし、セル穴識別情報として例えば1行1列を割り付ける。行方向に隣接するセル開口穴を規定する場合、この1行1列のセル開口穴の図心を最初の起点とし、画像座標のX軸方向に仮走査し、最初に交わる仕切り壁面に対し、その両端から延びる隣接仕切り壁のうち、所定の仕切り壁に沿った方向を算出し、この方向を1行1列のセル開口穴の行方向とし、起点と行方向を基準に所定のサーチエリアを設け、この範囲内にある他の図心座標のうち、起点から直近にある図心座標を求め、この図心座標を擁するセル開口穴を隣接セル開口穴とし1行2列と割り付ける。次に、1行2列のセル開口穴の図心を起点とし、上記と同様な処理を行って隣接セル開口穴を規定し1行3列を割り付ける。以下、順次同様な処理を行って同一行の列付けを行う。同様にして、列方向に隣接するセル開口穴の規定も行うことができる。
画像G1における探索開始用のセル開口穴は、セル開口穴の図心のうち、端面の輪郭線G1Lと画像境界線G1Xの交点GKに最も近い図心を擁するセル開口穴11とし、1行1列と割り付ける。右隣で1行2列と割り付けられるべきセル開口穴は、セル開口穴11の図心11zを最初の起点にして、行方向11gに延びるように設定したサーチエリアE1(点線内のハッチングAで示す)内にある図心座標のうち、直近にある図心座標を擁するセル開口穴12とする。セル開口穴11の行方向11gは、図心11zから画像座標のX軸方向に仮走査し、最初に交わる仕切り壁面に対し、その両端から延びる隣接仕切り壁のうち、例えば上側の仕切り壁に沿った方向とするが、本例のセル開口穴は正方形であることから、最初に交わる仕切り壁面に対し、直交した方向とする。
なお、図4に示したサーチエリアE1は、長手方向が設計上のセル開口穴間隔の1.5倍で、短手方向がセル開口穴間隔の1倍の範囲とし、図心を中心として短手方向を振分けるように設定しているが、セル開口穴形状が歪んだり配置がずれたりしていても、許容範囲内であれば隣接するセル開口穴が探索できるような範囲を設定すればよい。
なお、前記設定したサーチエリアE2内に、セル開口穴の図心座標がない場合は、2行目の開始点は、1行目の開始点の右隣である1行2列のセル開口穴12の図心から上記と同様にサーチエリアE2を設定することによって求める。この場合に求められた2行目の開始点を有するセル開口穴は、2行2列として割り付ける。
制御装置4は、所定のセル開口穴、ここでは図8(a)に示すように画像G1のデータから1行1列のセル開口穴を選定し、その図心座標1P(1,1)とほぼ同一の図心座標を有するセル開口穴を図8(b)に示す画像G3のデータから検索する。検索されたセル開口穴の画像G3における行列番号は11行1列であるとする。次に、画像G1の行列番号を画像G3の行列番号を基準として割り付け直す補正式を算出し、図8(c)に示すように、該補正式で画像G1のセル開口穴の行列番号を補正して画像G1とG3において統一的な行列番号に割り付け直す。この例では、図心座標が一致したセル開口穴の行列番号は、画像G1では1行1列であり、画像G3では11行1列なので、(補正後の画像G1の行番号=−1×画像G1の行番号+12)という行番号のみを補正する補正式が算出される。同様の処理を画像G2、画像G4にも展開すれば、ハニカム構造体1の端面全面に形成された全てのセル開口穴に、連続した行と列の番号を重複することなく割り付けることができる。なお、行列番号の統一の基準となる画像は適宜選定すればよい。
前述したように、栓詰めすべき設定したセル開口穴の一つにはマーキングが施されているので、このマーキングを撮像時画像処理で認識し、このセル開口穴に割り付けられた行列番号を求める。この行列番号をもとにすると、栓詰めすべき他のセル開口穴は簡単な数値計算で求めることができ、極めて短時間で規定することができる。即ち、市松模様に栓詰めするには、マーキング部のセル開口穴の行と列番号を加算した値が偶数の時、栓詰めすべき他のセル開口穴は、行と列番号を加算した値が偶数となるセル開口穴である。マーキング部のセル開口穴の行と列番号を加算した値が奇数の場合は、行と列番号を加算した値が奇数となるセル開口穴である。行番号から列番号を減算した場合も同様である。また、各画像内のセル開口穴の図心座標は求められており、各画像の座標位置関係はXYステージの移動量から求めることができるので、端面の全セル開口穴の図心座標は、任意に設定したCCDカメラ座標系で一義的に求めることができ、上記で求めた栓詰めすべきセル開口穴について、その図心や形状などを表す座標情報を行列番号とリンクして制御装置4に記憶させておくことができる。
なお、本説明は、端面を4視野で撮像した場合で行ったが、1視野で撮像した画像に対しても適用できることは言うまでもない。また、セル開口穴がほぼ設計図通りに正確に形成され、セル開口穴が一定方向になるように回転方向が位置決めされる場合は、隣接するセル開口穴は、画像処理で算出した座標情報をもとにして求めなくても、設計図で得られる座標情報から求めることもできる。
栓詰めすべきセル開口穴が選定されると、ハニカム構造体1がレーザヘッド5の下方へ来るように、XYステージ2を移動制御する。前述したように、光偏向式レーザ加工機を用いて、シートの所定箇所を良好な精度で除去するためには、光ビームの振れ幅が小さい範囲を加工エリアとすることが重要である。例えば、一辺が100mm四方の加工範囲を有するレーザ加工機を用いた実験では、70mm四方を超える位置にあるセル開口穴は、図心に対する溶融中心のずれが顕著になりシート除去精度が悪くなり、加工エリアを70mm四方以下にすることが好ましく、さらには50mm四方以下にすることが望ましいことを確認している。従って、端面のサイズが設定した加工エリアより大きな場合には、端面を複数の加工エリアに分けるようにハニカム構造体1を移動させ、都度加工する。なお、レーザヘッド座標系における座標情報は、CCDカメラ3とレーザヘッド5の機械的取り合い寸法が決まっているため、前記で求めたCCDカメラ座標系におけるセル開口穴の座標情報を変換して求めることができ、レーザヘッド5はその座標情報をもとに加工を行う。
また、レーザ加工方式は、セル開口穴の大きさ、レーザ光の強度などによっては、連続光方式に代えて、スポット光を順次照射していく方式とすることもできる。また、セル開口穴の面積が極めて小さかったり、形状が円形に近い場合は、図心にレーザ光を照射するだけで対応することもできる。なお、レーザ光の種類は、用いるシート材に合わせて、CO2やYAGなどを適宜選定すればよい。
2 XYステージ
3 CCDカメラ
4 制御装置
5 レーザヘッド
G1、G2、G3、G4 端面の撮像画像
11、12、13、21、22 セル開口穴
11z、12z、21z 各セル開口穴の図心
11g、12g、21g 各セル開口穴の行方向
E1 行方向サーチエリア
E2 列方向サーチエリア
L1、L2、L3、L4 端面のレーザ加工エリア
Claims (1)
- 軸方向に延びるセルが多数形成されたハニカム構造体のセル開口穴に栓詰めするハニカムフィルタの栓詰め方法において、
ハニカム構造体の端面を複数のエリアに分割し、隣接するエリアの画像には同一のセル開口穴が共有されるよう一のエリアを基準に他のエリアを移動させてエリア毎に撮像し、
各エリアの撮像画像ごとに、画像処理でセル開口穴の位置情報を算出し、所定のセル開口穴を基準として、画像処理で算出したセル開口穴の位置情報に基づき隣接するセル開口穴を順次求め、隣接するセル開口穴に栓詰め用穴とするか栓詰め不用穴とするかを識別するためのセル穴識別情報を割り付け、セル開口穴の位置情報と当該セル開口穴のセル穴識別情報とが一対一の関係となるよう設定し、
撮像時のエリアの移動距離に基づき当該エリアのセル開口穴の位置情報を変換し、変換された各エリアのセル開口穴の位置情報に基づき共有して撮像されたセル開口穴を検索し、検索されたセル開口穴のセル穴識別情報を基準として各エリアの撮像画像ごとに独自に付与されたセル開口穴のセル穴識別情報を端面全域で統一したセル穴識別情報に割り付け直し、
栓詰めすべきセル開口穴を選定するハニカムフィルタの栓詰め方法。
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