以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の一例であるカラー複写装置の概略構成を示す断面図である。このカラー複写装置の全体構成と動作については後述し、本発明の要点である現像装置について先に説明する。
図2に示すように、現像ユニット30の各現像器31M、C、Y、Kは、感光体ベルト11表面の静電潜像を現像するためにトナーを表面に担持して回転する現像スリーブ32と、トナーを汲み上げて撹拌するために回転するトナーパドル33、トナー補給ローラ34及びドクタローラ36とを含む現像第1ユニット35と、トナーを収容するトナーカートリッジである現像第2ユニット37の2つのユニットで構成されている。このように2つのユニットに分割されている理由は、現像第1ユニット35は、現像第2ユニット37を交換して使用しても耐えうる耐久性を有しているからである。なお、現像第2ユニット(トナーカートリッジ)37内には2軸のアジテータ38,38が設けられている。
現像第2ユニットであるトナーカートリッジ37からはトナー補給口39を通して現像第1ユニット35へとトナーが補給される。トナーカートリッジ37内に設けられたアジテータ38が回転することによりトナーを汲み上げ、各現像第1ユニット35に補給口39からトナーが補給される。
図3は、トナーカートリッジ37を取り外した状態の現像器31を示す斜視図である。また、図4は、現像第1ユニット35のシャッタ部を示す部分斜視図である。
図3,4に示すように、現像器31には、現像第1ユニット35の側面(トナーカートリッジ37に対向する面)にトナー補給口39aが設けられている。このトナー補給口39aは、作像幅のほぼ全幅に対応して設けられたもので、複数の開口から構成されている。トナー補給口39aが設けられた第1ユニット内側面にはシャッタ装着部21が設けられ、図4に矢印で示すようにシャッタ機構90がスライド移動可能に装着される。シャッタ機構90はスライド板91と弾性部材92からなり、スライド板91の一面に弾性部材92が貼着されている。スライド板91及び弾性部材92には、トナー補給口39aに対応する複数の開口(図では弾性部材92の開口92aのみを示す)が設けられている。スライド板91及び弾性部材92に設けられた複数の開口は、トナー補給口39aと同形状で同じ位置に同じ数だけ設けられ、シャッタ機構90をスライド移動させ、シャッタ側開口92a(及びスライド板91の図示されていない開口)が本体側のトナー補給口39aに一致することによってトナー補給口が開かれ、両者の開口がずれることによってトナー補給口が閉鎖される。なお、スライド板91の奥側(図では斜め左上)端部には、後述するトナーカートリッジ側のシャッタ機構のスライド板95に設けられた突起部が嵌合される受け部93が形成されている。
図4に示すように、シャッタ装着部21の上辺及び下辺にはマイラー(商品名)フィルム等の摺動性に優れた部材からなるガイド部材22,23が貼り付けられている。シャッタ装着部21は図3から判るように、ユニット内側面に凹形状に形成されており、その凹んだ部分にシャッタ機構90がはめ込まれ、シャッタ機構90の上部及び下部をガイド部材22,23でガイドすることにより、シャッタ機構90がシャッタ装着部21を矢印方向に移動可能となっている。
本例では、シャッタ機構90のスライド板91を0.5mm厚のマイラー(商品名)フィルムで構成し、シャッタ装着部21の凹み量(外面との段差)を0.3mmに設定している。したがって、スライド板91の厚みとシャッタ装着部21の凹みの差(本例では0.2mm)の分だけガイド部材22,23がスライド板91を抑える(シャッタ機構90を現像第1ユニット35に対して押し付ける)ことになり、現像第1ユニット35とシャッタ機構90間におけるシール性を向上させている。
図5は、トナーカートリッジを示す斜視図である。また、図6は、そのトナーカートリッジ37に設けられたシャッタ機構を分解した様子を示す模式図である。トナーカートリッジ37は、図に示す矢印Sの如く、現像第1ユニット35(図3)内に挿入されてセットされる。現像第1ユニット35のトナー補給口39aに対応するように、トナーカートリッジ37の一方側の側面(トナーカートリッジ37を現像器31にセットしたときの現像第1ユニット35に対向する面)にトナー補給口39bが設けられている。このトナー補給口39bは、現像器31本体側のトナー補給口39aと同じ数の複数の開口から構成されており、その形状及び位置も本体側のトナー補給口39aと一致するように設けられる。
トナーカートリッジ37のシャッタ機構100は、トナー補給口39bの周囲を覆うようにカートリッジ側面に貼着された弾性部材94と、その弾性部材94の外側でスライド可能に支持されるスライド板95と、そのスライド板95のさらに外側に配置される固定シール96とから構成されている。
上記弾性部材94には、トナー補給口39bに対応する複数の開口94aが設けられており、開口の個数・形状・位置はトナー補給口39bと一致するように設けられる。上記スライド板95にはトナー補給口39b及び弾性部材94の開口94aに対応する複数の開口95aが設けられている。スライド板95の開口95aも、その開口の個数・形状・位置はトナー補給口39b及び弾性部材94の開口94aと一致するように設けられる。
上記固定シール96は剛体部材であり、該固定シール96はトナーカートリッジ37に固定されており、スライド板95が移動しても固定のままである。この固定シール96には、トナー補給口39b及び弾性部材94の開口94aならびにスライド板95の開口95aに対応する複数の開口96aが設けられている。この開口96aも、その開口の個数・形状・位置はトナー補給口39b及び弾性部材94の開口94aならびにスライド板95の開口95aに一致するように設けられる。
シャッタ機構100のスライド板95がスライド移動し、その開口95aがカートリッジのトナー補給口39b及び弾性部材94の開口94aならびに固定シール96の開口96aに一致することによってトナーカートリッジ37のトナー補給口が開かれ、両者の開口(開口95aと、トナー補給口39b・開口94a・開口96a)がずれることによってトナー補給口が閉鎖される。
また、スライド板95の一端(トナーカートリッジ37を現像器31に挿入したときの奥側端部)には突起部95bが形成されている。この突起部95bは、トナーカートリッジ37を現像器31にセットしたときに、現像器31本体側のシャッタ機構90のスライド板91に設けられた受け部93に嵌合される。
突起部95bと反対側のスライド板95の端部には、係止部95cが形成されている。図5に示すように、スライド板95をカートリッジ側面にスライド移動可能に支持させたとき、スライド板95の移動範囲は、カートリッジ挿入方向(矢印S方向)の前側には、係止部95c(開口95aが設けられた中間部よりも幅が広く形成されている)の上下の斜辺部がカートリッジ37に設けた上下当接部37a,37aに当接することで規制される。カートリッジ挿入方向の後側には、係止部95cの後端部がカートリッジ37に設けた突起97に当接することで規制される。
該スライド板95がカートリッジ37に対し、最大限前側に移動したとき、すなわち、突起部95bがカートリッジ37から最も突出したとき、スライド板95の開口95aはトナー補給口39b及び弾性部材94の開口94aならびに固定シール96の開口96aと一致せず(開口95aが他の開口とずれた状態となり)、シャッタ機構100は閉鎖状態となる。
一方、該スライド板95がカートリッジ37に対し、最大限後側に移動したとき、すなわち、係止部95cの後端部が突起97に当接したとき、スライド板95の開口95aはトナー補給口39b及び弾性部材94の開口94aならびに固定シール96の開口96aと一致し、シャッタ機構100は開放状態となる。
スライド板95は弾性部材94の外側からカートリッジに装着され、スライド板95が弾性部材94を押圧して弾性変形させ、スライド板95と弾性部材94間に隙間を無くし、トナーカートリッジ37からのトナー落下を防止する。さらに、スライド板95の外側に固定シール96があることにより、シャッタ機構100が閉まったときにはスライド板95の開口95aと固定シール96の開口96aとがズレることにより、スライド板95の開口95aも固定シール96(の非開口部)によって塞がれ、スライド板95の開口95a部に残ったトナーの落下も防止される。したがって、本例のトナーカートリッジ37は、これを現像器31本体から取り外したカートリッジ単体の状態では、シャッタ機構100によりカートリッジからのトナー落ちが厳重に防止される。
さて、図3,5,6に示す矢印Sの如く、トナーカートリッジ37を現像器31本体内に挿入してセットするわけであるが、カートリッジセット時のシャッタ機構の動作について図7の模式図を参照して説明する。
図7(a)に示すように、カートリッジ装着前の段階では本体側のシャッタ機構90及びカートリッジ側のシャッタ機構100は共に「閉」状態である。すなわち、本体側ではスライド板91の非開口部によりトナー補給口39aが閉鎖されている。また、カートリッジ側ではスライド板95の非開口部によりトナー補給口39bが閉鎖されている。
図7(b)は、シャッタ機構100のスライド板95の奥側端部に設けられた突起部95bが現像器31側のシャッタ機構90のスライド板91奥側端部の受け部93に嵌合した状態である。この時点ではまだ、本体側のシャッタ機構90及びカートリッジ側のシャッタ機構100は共に「閉」状態である。
図7(b)の状態から矢印S方向にさらにカートリッジが挿入されることによって、カートリッジ側のスライド板95を介して押された本体側のスライド板91(及び弾性部材92)が前方に移動し、本体側のトナー補給口39aが次第に開口されていく。そして、図7(c)に示すように、本体側スライド板91の前端がシャッタ装着部21の端面に当接してスライド板91の移動が規制されたとき(スライド板91がカートリッジ挿入方向に最大限に移動したとき)に、スライド板91及び弾性部材92の開口部がトナー補給口39aに合致し、トナー補給口39aが開口される(シャッタ機構90が開放される)。なお、このとき、カートリッジ側のシャッタ機構100は閉状態である。
また、図7(c)の状態となったとき、突起部95bが本体側の受け部93に嵌合したカートリッジ側のスライド板95も、それ以上の挿入方向への移動が規制される。そして、さらに矢印S方向にカートリッジが挿入されることによって、カートリッジ37の筐体および弾性部材94,固定シール96が前方に移動し(カートリッジに対してスライド板95が相対的に後方に移動し)、図7(d)に示すように、カートリッジ37が完全に現像器31本体にセットされた位置で、スライド板95後側の係止部95c後端部が突起97(図6)に当接し、このとき、カートリッジ側各部材(カートリッジ筐体,弾性部材94,スライド板95,固定シール96)の各開口(39b,94a,95a,96a:図6参照)が合致し、シャッタ機構100が開放されてカートリッジ側トナー補給口が開口される。また、これによって、本体側トナー補給口39aとカートリッジ側トナー補給口39bが一致して連通し、トナー補給口39が開口される。
このように、本例においては、トナーカートリッジ37を現像器31本体(現像第1ユニット35)にセットすることにより、シャッタ機構90及びシャッタ機構100が自動的に開放され、本体側のトナー補給口39aとカートリッジ側のトナー補給口39bとが連通する。また、トナーカートリッジ37を現像器31本体(現像第1ユニット35)にセットする際に、まず先に本体側のシャッタ機構90が開き始め、本体側のシャッタ機構90が完全に開いた後にカートリッジ側のシャッタ機構100が開くように構成されている。これにより、トナー漏れがより確実に防止される。
トナーカートリッジ37を現像器31本体から取り外すときは、カートリッジ37を本体から引き出す動作によって、シャッタ機構90及びシャッタ機構100のスライド板91及びスライド板95が挿入時と逆方向に移動され、シャッタ機構90及びシャッタ機構100が共に閉鎖される。
トナーカートリッジ37を現像器31本体にセットした状態では、トナーカートリッジ側のシャッタ機構100によって本体側のシャッタ機構90の弾性部材92が押圧されて弾性変形し、固定シール96と弾性部材92間に隙間を無くし、トナーカートリッジ37と現像器31本体との接合部におけるトナー漏れを防止し、現像部からのトナー落下を防止する。
また、本例においては、トナーカートリッジ37を現像器31本体から引き出すことにより、シャッタ機構90及びシャッタ機構100が自動的に閉鎖されるので、現像器31本体(現像第1ユニット35)及びトナーカートリッジ37からのトナー漏れが防止される。
ところで、トナーカートリッジ37がセットされる現像第1ユニット35のカートリッジセット部24の底面にはガイドリブ25が設けられている。これに対応して、トナーカートリッジ37の底面には、上記ガイドリブ25に嵌合可能なガイド溝19が形成されている。図8に、ガイド溝19が形成されたトナーカートリッジ37の底面を示す。また、図9は、ガイドリブ25及びガイド溝19の形状を示す平面図である。
これらの図に示すように、ガイドリブ25は、現像第1ユニット35のシャッタ機構90と平行するように設けられ、シャッタ機構90からの距離が大きい遠隔部25aと、シャッタ機構90からの距離が小さい近接部25bと、両者を結ぶ中間部(斜辺部)25cとからなっている。
一方、ガイド溝19は、トナーカートリッジ37のシャッタ機構100と平行するように設けられ、主として、溝幅の広い広幅部19aと、溝幅の狭い狭幅部19bとからなっている。広幅部19aと狭幅部19bは溝幅が異なっているが、シャッタ機構100と反対側において、広幅部19aと狭幅部19bの壁面(溝の壁面)は段差無く一直線につながっている。そして、シャッタ機構100側で溝幅が異なるように段差を設けられ、広幅部19aと狭幅部19bが中間部(斜辺部)19cで連絡されている。ガイド溝19の両端はカートリッジ外部に開放されているが、カートリッジ挿入方向前側の端部では、シャッタ機構100と反対側で溝の内側に突出する顎部19dと、シャッタ機構100側で溝の外側に斜めに広がる導入部19eとが形成されている。ガイド溝19がガイドリブ25に嵌入できるように、ガイド溝19の各部の溝幅や長さが設定されていることは言うまでもない。
図10は、トナーカートリッジ37を現像第1ユニット35のカートリッジセット部24にセットする際の、ガイドリブ25にガイド溝19が填まり込む様子を示す模式図である。
図10(a)に示すように、トナーカートリッジ37の挿入当初は、ガイド溝19の広幅部19aがガイドリブ25の遠隔部25aに填まり込み、また、ガイド溝19先端部のシャッタ機構と反対側に顎部19dが設けられているため、トナーカートリッジ37は現像第1ユニット35のシャッタ機構90から遠ざけられ、トナーカートリッジ37(及びそのシャッタ機構100)が本体側のシャッタ機構90に接触しないように案内される。ガイド溝19の顎部19dがガイドリブ25の遠隔部25aに当接している範囲では、そのままトナーカートリッジが本体側のシャッタ機構90に接触することなくガイドされて挿入が継続される。
トナーカートリッジ37の挿入が継続され、ガイド溝19の顎部19dがガイドリブ25の斜辺部25cに差し掛かると、顎部19dの対向する部分が導入部19eとして広げられているため、ガイド溝先端がガイドリブ25の斜辺部25cに引っ掛かることなく、斜辺部25cを通過することができる。このとき、ガイド溝先端部がガイドリブ25の斜辺部25cに案内されることによって、トナーカートリッジ37の前側(挿入方向前側)では次第にカートリッジが本体側シャッタ機構90に近づいていく。また、その際に、カートリッジ37が多少斜めに(現像第1ユニット35に対して斜めに)なって案内される。
そして、図9(b)に示すように、ガイド溝19の顎部19dがガイドリブ25の近接部25bに差し掛かると、カートリッジ37の先端から挿入方向前方に突き出ているスライド板95の突起部95bが本体側シャッタ機構90のスライド板91に設けられた受け部93に嵌合する。また、カートリッジ37の先端部において、シャッタ機構100(の固定シール96)が本体側シャッタ機構90の弾性部材92に接触する。固定シール96と弾性部材92の接触はカートリッジ前方から徐々に始まるため、全体が一度に接触せず、カートリッジ挿入時における摺動抵抗の急激な上昇を防止している。
カートリッジ37の挿入が継続され、カートリッジ後側でガイドリブ25の後端部にガイド溝の斜辺部19cが当接して案内され、カートリッジは次第に本体側シャッタ機構90と平行になっていく。さらに、ガイドリブ25の後端部がガイド溝19の狭幅部19bに嵌合することで、カートリッジ37が本体側シャッタ機構90と平行になり、本体側シャッタ機構90の弾性部材92全体がカートリッジ側シャッタ機構100(の固定シール96)に押圧されて圧縮する。そして、図9(c)に示すように、トナーカートリッジ37が完全に現像第1ユニット35にセットされる。
このように、本例では、トナーカートリッジ37を現像器本体(現像第1ユニット35)にセットする際に、トナーカートリッジ37の大部分(本例では80%強)が本体に挿入されるまでは本体側シャッタ機構90とカートリッジ側シャッタ機構100すなわち固定シール96と弾性部材92とが接触しないので、カートリッジセット時の摺動抵抗を大幅に低減させることができる。したがって、カートリッジ装着時の操作性を向上させることができる。
また、本体側シャッタ機構90とカートリッジ側シャッタ機構100の接触、すなわち、固定シール96と弾性部材92の接触はカートリッジ前方から徐々に始まるため、全体が一度に接触するのではなく、次第に接触面積が増加していくため、摺動抵抗が急激に上昇することがなく、この点でも操作性に優れている。
さらに、カートリッジ挿入時にトナーカートリッジ37がガイドリブ25に案内されることによって、カートリッジ37の角部が本体側シャッタ機構90の穴(弾性部材92の開口92a)に当接してこれを損傷させることがない。そのため、本体側シャッタ機構90の弾性部材92の損傷によるトナー漏れを未然に防ぐことができる。
トナーカートリッジ37を現像器本体(現像第1ユニット35)から取り外す場合は、上記とは逆に、最初は本体側シャッタ機構90とカートリッジ側シャッタ機構100が全面的に接触しているが、カートリッジ37を少し引き出した時点でカートリッジ前方(引き出し時の前方)から徐々にカートリッジが現像器本体から離間していき、ガイド溝19の顎部19dがガイドリブ25の斜辺部25cを通過するあたりでカートリッジ37が現像器本体から完全に離間する。したがって、取り出し時における摺動抵抗が大きく低減され、操作が容易である。
このように、本例では、トナーカートリッジ37を現像器本体(現像第1ユニット35)から取り外す際に、トナーカートリッジ37のわずかの部分(本例では20%弱)が本体から出た時点で本体側シャッタ機構90とカートリッジ側シャッタ機構100すなわち固定シール96と弾性部材92の接触が解除されるので、カートリッジ取り出し時の摺動抵抗を大幅に低減させることができる。したがって、カートリッジ取り出し時の操作性を向上させることができる。
また、本体側シャッタ機構90とカートリッジ側シャッタ機構100の接触解除、すなわち、固定シール96と弾性部材92の接触解除はカートリッジ前方(取り出し時の前方)から徐々に始まるため、全体が一度に離間するのではなく、次第に接触面積が減少していくため、摺動抵抗が急激に小さくなることがなく、カートリッジを取り落としたり、体や衣服に当ててしまうことが防止され、この点でも操作性に優れている。
なお、本例では、図10(b)及び図7(b)に示すように、カートリッジ挿入時において、スライド板95の突起部95bが本体側シャッタ機構90の受け部93に嵌合したとき(シャッタ機構90とシャッタ機構100が接触を開始したとき)に、図7(b)に示すように、カートリッジ側シャッタ機構100の一番奥の開口1001 が、本体側シャッタ機構90の一番奥の開口901 と奥から2番目の開口902 の間に位置しており、そこから図7(d)のように両シャッタ機構が完全に開放される間に、カートリッジ側の開口1001 が本体側の開口901 と並ぶ(一致する)位置まで移動する。つまり、シャッタ閉鎖状態からシャッタ開放状態となる間に、カートリッジ側シャッタ機構の一つの開口(ここでは1001 で説明している)は本体側シャッタ機構の一つの開口(ここでは901 で説明している)を通り越すことが無いので、トナー漏れが確実に防止される。
すなわち、図7(b)の状態から図7(d)の状態の間に、図7(c)の本体側シャッタ機構90(トナー補給口39a)が開放された状態が存在するが、その状態ではトナー補給口39aはカートリッジ側シャッタ機構の固定シール96の非開口部によりシールされており、その状態からトナー補給口39a部に移動してくるカートリッジ側開口(1001 )がそのトナー補給口39a部(901 )を通り過ぎることが無いので、カートリッジ側開口(1001 )に本体側からトナーが入り込んだとしても、外部に漏れず、トナー漏れが防止される。
ところで、本例では、トナーカートリッジ37のシャッタ機構100の一番外側にある部材が剛体部材の固定シール96であるために、トナーカートリッジ37を現像器31本体に着脱する際に、現像器31本体側のトナー補給口39a部に設けられたシャッタ機構90の弾性部材92と固定シール96とが摺動することになり、トナー補給口39a,bを作像幅のほぼ全幅に対応して設け、その部分にシール部材として配置した弾性部材の面積が大きい場合でも、摺動抵抗を低減させることができる。したがって、トナーカートリッジ37を現像器31本体にセットする際の操作性が向上する。固定シール96を摺動性に優れた部材とするか、固定シール96の外面に摺動性に優れたコーティングを施すと好適である。
図3,4では図示を省略したが、図12,13の従来例と同様にトナーカートリッジ37を現像器31本体にセットすると、現像器31本体に設けられたギヤがカートリッジ側のギヤに噛み合い、トナーカートリッジ37内に設けられたアジテータ38,38(図2)が回転駆動されることにより、トナー補給口39b,aを介してトナーがカートリッジ37から現像器31本体へと補給される。
本例においては、トナー補給口39a,bを作像幅のほぼ全幅に対応して設けたことにより、トナーカートリッジ37から供給される新品トナーは、現像器31本体の現像第1ユニット35作像幅のほぼ全幅に広がって混入されるため、新品トナーと現像第1ユニット35内のトナーが好適に混合され、画像ムラの発生や地汚れの発生を効果的に防止することができる。
図11は、シャッタ機構の開口部及びトナー補給口の形状が異なる別例を示すものである。ここではトナーカートリッジで説明するが、現像器本体側でも同様である。なお、図5,6で説明したトナーカートリッジと対応する部分・部材には同じ符号を付して説明する。
図11に示すトナーカートリッジ37の側面には、斜めに傾斜した複数のトナー補給口39bが設けられている。これに対応するように、カートリッジ側面にスライド移動可能に支持されるスライド板95にも、斜めに傾斜した複数の開口部95aが形成されている。なお、ここでは、スライド板95の内側にある弾性部材及びスライド板95の外側にある固定シールは省略する。
図11(a)に示すシャッタ機構が閉鎖された状態では、トナー補給口39bと開口部95aの位置はズレており、トナーカートリッジからのトナー漏れが防止される。
そして、図に矢印で示すようにスライド板95がカートリッジ37に対して移動すると、図11(b)に示すようにトナー補給口39bと開口部95aが合致し、シャッタ機構が開放された状態となり、トナーカートリッジからのトナー供給が可能となる。
なお、ここでは、シャッタ機構の開口部及びトナー補給口の形状を説明するだけであって、シャッタ機構を開閉するためのスライド板の移動方向(スライド板とカートリッジ筐体との相対移動方向)は、図の矢印の方向に限定されるものではなく、反対方向に設定することも可能である。
最後に、図1に示すカラー複写装置1の全体構成と動作について説明する。この図に示すカラー複写装置1は、装置最上部にスキャナユニット70を配し、プリンタ部2との間の装置胴体内に排紙部66を設けている。
スキャナユニット70は、コンタクトガラスの下方に走査手段が走行可能に配設されており、光源により照明された原稿からの反射光をミラー・レンズ等を介してCCDに導き、原稿画像の読み取りを行なう。
プリンタ部2は、感光体ベルトユニット10、書き込み光学ユニット20、現像ユニット30、中間転写ユニット40、2次転写ユニット50、定着ユニット60等で構成されている。そして、Black:黒(以下、Bkという)、Cyan:シアン(以下、Cという)、Magenta:マゼンタ(以下、Mという)、Yellow:イエロー(以下、Yという)のカラー画像を感光体ユニット10の感光体ベルト11上に順次顕像化し、これらを重ね合わせて最終的な4色フルカラー画像を形成する。
上記感光体ベルト11は図中時計方向に回転し、その周りには、感光体クリーニング装置12、帯電ローラ13、感光体廃トナータンク17、現像ユニット30の選択された現像器、中間転写ユニット40の中間転写ベルト41などが配置されている。図2に示すように、感光体ベルト11は、駆動ローラ14、1次転写対向ローラ15、張架ローラ16間に張架され、図示しない駆動モーターによって回転移動を行う。なお、つなぎ目のある感光体ベルト11を用いる場合には、感光体ベルト11端部の非画像形成領域につなぎ目マークを設け、図示しないセンサにより検出を行い、つなぎ目を避けて画像形成を行う。
また、上記書き込み光学ユニット20は、カラー画像データを光信号に変換して、各色画像に対応した光書き込みを行い、感光体ベルト11に静電潜像を形成する。この書き込み光学ユニット20は、光源としての半導体レーザ、レーザー発光駆動制御部、ポリゴンミラー、反射ミラーなどで構成されている。
また、上記現像ユニット30は、Bk現像器31K、Y現像器31Y、C現像器31C、M現像器31Mと、各現像器を図中左右方向に移動させ感光体ベルト11に対し、接離動作を行う図示しない接離機構などで構成されている。図示例では、装置本体上側から順に、黒トナーを収容したBk現像器31K、イエロートナーを収容したY現像器31Y、シアントナーを収容したC現像器31C、マゼンタトナーを収容したM現像器31Mとなっている。各現像器31K、Y、C、Mは、感光体ベルト11表面の静電潜像を現像するためにトナーを表面に担持して回転する現像スリーブ32K、Y、C、Mと、トナーを汲み上げて撹拌するために回転するトナーパドル33K、Y、C、M等を含む現像第1ユニット35K、Y、C、Mと、トナーを収容するトナーカートリッジ34K、Y、C、Mの現像第2ユニットの2つのユニットで構成されている。
各現像器31K、Y、C、M内のトナーは所定の極性に帯電され、また、各現像スリーブ32K、Y、C、Mには、図示しない現像バイアス電源によって現像バイアスが印加され、現像スリーブ32K、Y、C、Mが感光体ベルト11に対して所定電位にバイアスされている。また、上記接離機構は、図示しないモータから各現像器31K、Y、C、Mに駆動を伝達するための図示しない電磁クラッチがオンになるとその駆動力で各現像器31K、Y、C、Mを感光体ベルト11側(図中右側)に移動させるようになっている。現像時には各現像器31K、Y、C、Mのうち選択されたいずれか一つが移動し、感光体ベルト11に当接する。一方、電磁クラッチをオフにして駆動伝達を解除すると感光体ベルト11に当接していた現像器が感光体ベルト11から離間する方向(図中左側)に移動する。
カラー複写装置本体の待機状態では、現像ユニット30はいずれの現像器31K、Y、C、Mも感光体ベルト11と離間した位置にセットされており、プリント動作が開始されると、スキャナユニット70で読み取った画像データあるいはパソコン等の外部機器からの画像データに基づき、レーザー光による光書き込み、静電潜像形成が開始される。
また、上記中間転写ユニット40は、中間転写ベルト41のほか、ベルトクリーニング装置、位置検出用センサなどで構成されている。中間転写ベルト41は駆動ローラ、1次転写ローラ、2次転写対向ローラ46、クリーニング対向ローラ及びテンションローラに張架されており、図示しない駆動モータにより図中反時計方向に駆動制御される。
また、カラープリンタ1の転写紙カセット80a,b内には、転写紙が収納されており、給紙コロ81によって送出され、搬送ローラ82を介してレジストローラ83へと搬送される。
さらに、2次転写ユニット50は、2次転写ローラ51と、2次転写ローラ51を中間転写ベルト41に対して接離するためのクラッチ等を備えた揺動機構(不図示)などで構成されている。転写紙が転写位置に到達するタイミングに合致させて2次転写ローラ51が揺動機構の回転軸を中心に揺動する。この2次転写ローラ51と上記2次転写対向ローラ46とにより転写紙と中間転写ベルト41とを一定の圧力で接触させる。2次転写ローラ51は中間転写ユニット40に設けられた図示しない位置決め部材により2次転写対向ローラ46との平行度の位置精度が保たれている。また、2次転写ローラ51に設けた図示しない位置決めコロにより中間転写ベルト41に対する2次転写ローラ51の接触圧を一定にしている。2次転写ローラ51を中間転写ベルト41に接触させると同時に、2次転写ローラ51はトナーと逆極性の転写バイアスが印加され、中間転写ベルト41上の重ねトナー像を転写紙に一括転写する。
なお、上記各ユニットは装置から容易に脱着できるようになっている。例えば、図1において、中間転写ユニット40をはずす場合には、図示しない前面カバーを開け、紙面の奥側から手前側にユニットをスライドさせることで、容易にはずすことができる。
上記構成のカラー複写装置1において、画像形成サイクルが開始されると、まず感光体ベルト11は図中時計回りに、中間転写ベルト41は図中反時計回りに図示しない駆動モータによって回転される。感光体ベルト11上にMトナー像形成、Cトナー像形成、Yトナー像形成、Bkトナー像形成が行われ、最終的にM、C、Y、Bkの順に中間転写ベルト41上に重ねてトナー像が形成される。このとき1次転写ローラ45に印加するバイアスは順次電圧を高くすることが一般的であるが、中間転写ベルト41の抵抗特性等に応じて異なる。
上記Mトナー像形成は次のように行なわれる。図示しない電源の印加電圧により帯電ローラ13は感光体ベルト11を一様帯電する。そして、書込みのためのレーザ光LDはMカラー画像信号に基づいて露光を行う。この露光が行われたとき、当初一様荷電された感光体ベルト11の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、M静電潜像が形成される。そして、このM静電潜像にM現像スリーブ32M上のMトナーが接触することにより、感光体ベルト11の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にはMトナーが吸着され、静電潜像と相似なMトナー像が形成される。そして、感光体ベルト11上に形成されたMトナー像は、1次転写位置において中間転写ベルト41に接する。この1次転写位置では、1次転写ローラと対向ローラ15とにより中間転写ベルト41と感光体ベルト11との間にニップが形成されており、1次転写ローラにMトナー像と逆極性のバイアスを印加することによりMトナー像を中間転写ベルト41に転写する。
感光体ベルト11上の若干の未転写残留トナーは、感光体ベルト11 の再使用に備えて感光体クリーニング装置12で清掃される。ここで回収されたトナーは回収パイプを経由して廃トナータンク17に蓄えられる。
感光体ベルト11側ではM画像形成工程の次にC画像形成工程に進み、C画像データによるレーザー光LDによる書き込みが行われ、C静電潜像が形成される。そして、先のM静電潜像の後端部が通過した後で、かつC静電潜像の先端部が到達する前にM現像器が現像位置から退避し、C現像器Cが現像位置にセットされてC静電潜像がCトナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像が続行されるが、C静電潜像の後端部が通過した時点で、先のM現像器の場合と同様にC現像器が現像位置から退避し、次のY現像器を現像位置に移動させる。このことも同様に次のBk静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、Y及びBkの画像形成工程については、それぞれの静電潜像形成、現像の動作が上述のM、Cの工程と同様であるので説明は省略する。
上記中間転写ベルト41には、感光体ベルト11に順次形成するM、C、Y、Bkのトナー像が、同一面に順次位置合わせされて、4色重ねのトナー像が形成され、次の2次転写工程において、この4色のトナー像が転写紙に一括転写される。
上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙は上記転写紙カセット80a,bのいずれかから給送され、レジストローラ83のニップで待機している。そして、2次転写ローラ51に中間転写ベルト41上の4色重ねのトナー像先端がさしかかるときに、ちょうど転写紙の先端がこのトナー像の先端に一致するようにレジストローラ対83が駆動され、転写紙とトナー像との位置合わせが行われる。そして、転写紙が中間転写ベルト41上のトナー像と重ねられて2次転写位置を通過する。このとき2次転写ローラ51による転写バイアスで転写紙が荷電され、トナー画像のほとんどが転写紙上に転写される。
そして、中間転写ベルト41から4色重ねトナー像を一括転写された転写紙は、定着ユニット60に搬送され、所定温度に制御された定着ベルトと加圧ローラのニップ部でトナー像が溶融定着され、胴内排紙部66に排出され、排紙トレイ67上に裏向きにスタックされ、フルカラーコピーを得る。
一方、1次転写後の感光体ベルト11の表面は、感光体クリーニング装置12でクリーニングされ、除電ランプ(不図示)で均一に除電される。また、転写紙にトナー像を転写した後の中間転写ベルト41の表面は、ベルトクリーニング装置42のクリーニングブラシを接離機構で押圧することによってクリーニングされる。中間転写ベルト41からクリーングされたトナーは廃トナータンク49に蓄えられる。
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、現像器本体及びトナーカートリッジの形状や構成等は適宜変更可能である。また、現像器本体及びトナーカートリッジに設けるトナー補給口の数や形状また位置等も適宜変更可能である。トナーカートリッジを現像器本体の上部に着脱する構成でも良い。
トナーカートリッジの装着を案内するガイドリブの形状や大きさは任意であり、適宜設定可能である。例えば、本体側シャッタ機構からガイドリブ遠隔部間での距離や、ガイドリブ近接部及び遠隔部の長さ、等は適宜変更可能である。また、ガイドリブの近接部と遠隔部を連絡する部分は、曲線状に構成しても良い。
また、現像器本体側に設けるシャッタ機構の一番外側(最外面)に摺動性に優れる剛体部材(実施例の固定シール)を配置し、カートリッジ側に設けるシャッタ機構の一番外側(最外面)に弾性部材を配置し、カートリッジ挿入により、その弾性部材が圧縮されるような構成も可能である。
さらに、画像形成装置各部の構成も任意である。単数の現像器を備えたモノクロ装置にも本発明を適用できることは言うまでもない。また、画像形成装置としては複写装置に限らず、プリンタやファクシミリ、あるいは複数の機能を有する複合機でも良い。