[第1実施例]
図1は、この発明の一実施例である画像形成装置10の全体を正面から見た概略構成図である。
図1を参照して、第1実施例の画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であって、電子写真方式によって用紙(記録媒体)に多色または単色の画像を形成する。詳細は後述するように、画像形成装置10は、感光体ドラム36等を備える感光体ユニットと現像ローラ76等を備える現像ユニット34とを備え、感光体ユニットと現像ユニット34とは、画像形成装置10の装置本体12に対してそれぞれ個別に、その長手方向に着脱可能(挿抜可能)とされる。
先ず、画像形成装置10の基本構成について概略的に説明する。図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部30等を備える装置本体12、およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)24が設けられる。また、図示は省略するが、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる印刷指示等の入力操作を受け付けるタッチパネルおよび操作ボタン等の操作部が設けられる。
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内蔵される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
装置本体12には、CPUやメモリ等を含む制御部(図示せず)および画像形成部30等が内蔵される。制御部は、タッチパネル等の操作部への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
画像形成部30は、露光ユニット32、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、中間転写ベルトユニット42、転写ローラ44および定着ユニット46等を備え、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ52に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。4つの画像ステーションは、中間転写ベルト54の表面の走行方向に沿って水平方向に1列に並んで配置される。また、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40は、ユニット化されており、これらによって感光体ユニットが構成される。現像ユニット34および感光体ユニットのそれぞれは、装置本体12の前面側から個別に挿抜可能とされる。
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された静電潜像担持体であり、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能とされる。ただし、静電潜像担持体としては、感光体ドラム36の代わりに、感光体ベルトを用いることも可能である。帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。また、露光ユニット32は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。クリーナユニット38は、中間転写ベルト54へのトナー像の転写後において、感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去して回収する。
現像ユニット34は、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化する(トナー像を形成する)ものであって、感光体ドラム36にトナーを供給する現像ローラ76等を備える。現像ローラ76は、感光体ドラム36に対して水平方向に近い位置に配置され、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能とされる。また、現像ユニット34の現像ハウジング80内には、トナーおよびキャリアから成る現像剤(二成分現像剤)が収容され、この現像剤に含まれるトナーが、現像ローラ76を介して感光体ドラム36に供給される。現像ユニット34の具体的構成については、後述する。
中間転写ベルトユニット42は、中間転写ベルト54、駆動ローラ56、従動ローラ58および4つの中間転写ローラ60等を備え、感光体ドラム36の上方に配置される。中間転写ベルト54は、各感光体ドラム36に接触するように設けられており、中間転写ローラ60を用いて、各感光体ドラム36に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト54に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト54上に多色のトナー像が形成される。また、駆動ローラ56の近傍には、転写ローラ44が配置されており、中間転写ベルト54と転写ローラ44との間のニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルト54に形成されたトナー像が用紙に転写される。
定着ユニット46は、ヒートローラ62および加圧ローラ64を備え、転写ローラ44の上方に配置される。ヒートローラ62は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ62と加圧ローラ64との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
このような装置本体12内には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50からの用紙をレジストローラ68、転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ52に送るための第1用紙搬送路S1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路S1に戻すための第2用紙搬送路S2が形成される。この第1用紙搬送路S1および第2用紙搬送路S2には、用紙に補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ66が適宜設けられる。
装置本体12において片面印刷(画像形成)を行う際には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50によって用紙が1枚ずつ第1用紙搬送路S1に導かれ、搬送ローラ66によってレジストローラ68まで搬送される。そして、レジストローラ68によって、用紙の先端と中間転写ベルト54上の画像情報の先端とが整合するタイミングで転写ローラ44に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット46を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着され、排紙ローラ70を経て排紙トレイ52上に用紙が排出される。
一方、両面印刷を行う際には、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した用紙の後端部が排紙トレイ52近傍の排紙ローラ70まで到達したとき、この排紙ローラ70を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路S2に導かれる。第2用紙搬送路S2に導かれた用紙は、搬送ローラ66によって第2用紙搬送路S2を搬送されて、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路S1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されるので、その後、転写ローラ44および定着ユニット46を用紙が通過することによって、用紙の裏面に印刷が行われる。
このような画像形成装置10において、現像ローラ76は、画像形成時、つまり装置本体12に対する現像ユニット34の装着が完了した正規の装着状態で、その外周面が感光体ドラム36の外周面と近接するように配置される必要がある。一方、現像ユニット34の装置本体12への挿入時には、現像ユニット34が感光体ドラム36に接触して感光体ドラム36を傷つけてしまうことを防止するため、現像ユニット34が感光体ドラム36から離れた位置を移動するようにガイドする必要がある。この際、装置本体12が大型化されず、かつ部品点数の増加を抑制できるようにすることが望ましい。そこで、この第1実施例では、現像ユニット34および装置本体12に設けられる現像ユニット装着部102において、次のような構成を採用した。
以下、図2〜図6を参照して、現像ユニット34の構成について説明する。図2は、現像ユニット34を斜め上方から見た様子を示す斜視図であり、図3は、現像ユニット34の挿入方向手前側(装置本体12の前面側)の端面を示す図解図である。また、図4は、現像ユニット34の挿入方向に向かって右側(感光体ドラム36側)の側面を示す図解図であり、図5は、図4の反対側、つまり現像ユニット34の挿入方向に向かって左側の側面を示す図解図である。また、図6は、図4のVI-VI線における現像ユニット34の断面を示す断面図である。
図2〜図6に示すように、現像ユニット34は、第1搬送部材72、第2搬送部材74、現像ローラ76およびドクターブレード78等を備え、これらは現像ハウジング80によって所定の配置態様で一体的に保持される。
具体的には、現像ハウジング80の内部には、各々の回転軸が並行するように、第1搬送部材72および第2搬送部材74が設けられると共に、トナーとキャリアとを混合した現像剤が収容される。第1搬送部材72および第2搬送部材74は、円柱状の回転軸(スクリュー軸)の外周面に螺旋羽根が形成されたオーガスクリューである。第1搬送部材72および第2搬送部材74は、現像剤を撹拌しながら搬送することによって、現像ハウジング80内において現像剤を所定方向に循環させる。
また、現像ハウジング80内には、第2搬送部材74の上方に現像ローラ76が配置される。現像ローラ76は、現像剤担持体として機能するマグネットローラであって、感光体ドラム36に対して水平方向に近い位置において、互いの回転軸が平行に並び、かつ互いの外周面同士が近接するように配置される。現像ローラ76は、現像ハウジング80内の現像剤を表面に担持して、担持した現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム36の表面に供給する。これによって、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像が顕像化される。
さらに、現像ハウジング80内には、現像ローラ76の表面に対して所定の間隙を有するように、ドクターブレード78が固定される。ドクターブレード78は、現像ローラ76の軸線方向に延びる板状の部材である。このドクターブレード78によって、現像ローラ76に担持される現像剤の量が所定量に規制される。
そして、図4〜図6からよく分かるように、現像ハウジング80には、ガイド溝82,84および後端押上げ部86,88が形成される。ガイド溝82,84および後端押上げ部86,88は、現像ユニット34を現像ユニット装着部102に装着する際の挿入ガイドである。
ガイド溝82,84は、現像ハウジング80の両外側面80a,80bの下部に形成される。すなわち、現像ユニット34の挿入方向に向かって左側の側面である左外側面80aの下部には、第1ガイド溝82が形成され、その反対側の側面である右外側面80bの下部には、第2ガイド溝84が形成される。
第1ガイド溝82および第2ガイド溝84のそれぞれは、現像ローラ76の軸方向、つまり現像ユニット34の長手方向(挿入方向)に沿って直線状に延びるように形成される。また、第2ガイド溝84は、現像ユニット34が直立した状態、つまり正規の姿勢をとった状態において、第1ガイド溝82の高さ位置よりも低い位置に形成される。さらに、第1ガイド溝82および第2ガイド溝84のそれぞれには、後述のように、現像ユニット34を傾いた状態から挿入完了直前に回動させて正規の姿勢に位置決めするときに、ガイド溝82,84の幅方向(上下方向)に対するガイド突起110,112(図7参照)の移動を許容するための回避部82a,84aが形成される。回避部82a,84aは、たとえばガイド溝82,84の溝幅を広くしたり、分岐溝を設けたりすることによって形成される。
後端押上げ部86,88は、現像ユニット34の挿入方向後端側(挿入方向手前側、つまり装置本体12の前面側)の端部において、現像ハウジング80の底部に形成される。すなわち、現像ユニット34の挿入方向に向かって左側、つまり感光体ドラム36と反対側に位置する現像ハウジング80の左側壁の下端には、第1後端押上げ部86が形成される。また、現像ユニット34の挿入方向に向かって右側、つまり感光体ドラム36側に位置する現像ハウジング80の右側壁の下端には、第2後端押上げ部88が形成される。
第1後端押上げ部86および第2後端押上げ部88のそれぞれは、現像ハウジング80の下端から下方に突出する突起であって、現像ユニット34の挿入方向後端側に向かってその突出高さが高くなるように傾斜する傾斜面86a,88aと、その後端側に形成される水平面86b,88bとを有する。第1後端押上げ部86の傾斜面86aの傾斜角度は、第2後端押上げ部88の傾斜面88aの傾斜角度と略同じ角度である。また、第1後端押上げ部86の傾斜面86aは、第2後端押上げ部88の傾斜面88aよりも現像ユニット34の挿入方向先端側から傾斜を開始し、現像ユニット34の挿入方向後端側で傾斜を終える。つまり、第1後端押上げ部86の傾斜面86aは、第2後端押上げ部88の傾斜面88aよりも、現像ユニット34の挿入方向おける長さが長く形成され、その下端から上端までの高低差が大きい。
また、現像ハウジング80は、現像ユニット34が正規の姿勢をとった状態において、その左側壁の下端の高さ位置が、右側壁の下端の高さ位置よりもその長手方向の略全長に亘って低くなるように形成される。これによって、後述のように現像ユニット34を正規の姿勢から傾けた状態としたときに、現像ハウジング80の左側壁の下端が下方に突出し過ぎないようになる。
さらに、現像ハウジング80の底部には、現像ユニット34の挿入方向後端側の端部に、ストッパ90が回動可能に設けられる。ストッパ90は、現像ユニット34の挿入完了後において、現像ユニット34の長手方向の動きを規制するものであり、ストッパ90には、現像ユニット34の長手方向に延びる連結軸を介してロックレバー92が連結される。ストッパ90は、ロックレバー92の回動操作に合わせて、後端押上げ部86,88の下端よりも下方に突出するロック位置と、後端押上げ部86,88の下端よりも上方に納まるロック解除位置とに回動可能とされる。
一方、装置本体12内に設けられる本体フレーム100には、現像ユニット装着部102が形成される。上述の現像ユニット34は、装置本体12のフロント側から現像ユニット装着部102に対して挿抜可能に装着され、現像ユニット装着部102上を前後方向にスライドさせることによって、装置本体12内に挿入されたり、装置本体12から離脱されたりする。
以下、図7〜図9を参照して、現像ユニット装着部102の構成について説明する。図7は、現像ユニット装着部102を斜め上方から見た様子を示す斜視図であり、図8は、現像ユニット装着部102を示す平面図である。また、図9は、図8のIX-IX線における現像ユニット装着部102の断面を示す断面図である。
図7〜図9に示すように、現像ユニット装着部102は、矩形板状の底壁104と、底壁104の両側部から上方に立ち上がる側壁106,108とを含み、装置本体12の前後方向に直線状に延びる溝状に形成される。
また、現像ユニット装着部102には、ガイド突起110,112および前端押上げ部114,116が形成される。ガイド突起110,112および前端押上げ部114,116は、現像ユニット34を現像ユニット装着部102に装着する際の挿入ガイドである。
ガイド突起110,112は、上述のガイド溝82,84に対してスライド可能に嵌合される突起であって、両側壁106,108の上端部から内方に突出するように形成される。すなわち、現像ユニット34の挿入方向に向かって(つまり装置本体12の正面側から見て)左側の側壁である左側壁106の上端部には、第1ガイド溝82に嵌合される第1ガイド突起110が設けられる。また、現像ユニット34の挿入方向に向かって右側の側壁である右側壁108の上端部には、第2ガイド溝84に嵌合される第2ガイド突起112が設けられる。
第1ガイド突起110および第2ガイド突起112のそれぞれは、現像ユニット34の挿入方向に沿って所定間隔で配置される略直方体状の複数の突起によって構成される。第1ガイド突起110と第2ガイド突起112とは、同じ高さ位置に形成される。
また、現像ユニット34の挿入方向における最も手前側に設けられる第1ガイド突起110と第2ガイド突起112とは、前後方向の位置が同じとなるように(つまり左右に平行に並ぶように)設けられ、それよりも奥側の第1ガイド突起110と第2ガイド突起112とは、前後方向にずらした位置に設けられる。最も手前側の第1ガイド突起110と第2ガイド突起112とを左右に並べることによって、現像ユニット34の挿入開始時において、ガイド溝82,84に対してガイド突起110,112を嵌合させ易くなる。また、第1ガイド突起110と第2ガイド突起112とを前後方向にずらすことによって、現像ユニット34の挿入時における現像ユニット34の先端部の首振りを、少ない突起数で効果的に防止できる。
さらに、ガイド突起110,112は、現像ユニット34の挿入方向における手前側のものが奥側のものよりも前後方向に幅広とされる。これによって、ガイド溝82,84に対してガイド突起110,112をスライドさせる際に、ガイド突起110,112が意図するものよりも手前側の回避部82a,84aに入り込むことを防止できる。
前端押上げ部114,116は、現像ユニット34の挿入方向奥側(つまり装置本体12の背面側)の端部において、現像ユニット装着部102の底部に形成される。すなわち、現像ユニット装着部102の底壁104の左側壁106側、つまり感光体ドラム36と反対側の側部上面には、第1前端押上げ部114が形成される。また、現像ユニット装着部102の底壁104の右側壁108側、つまり感光体ドラム36側の側部上面には、第2前端押上げ部116が形成される。
第1前端押上げ部114および第2前端押上げ部116のそれぞれは、現像ユニット装着部102の底壁104上面から上方に突出する突起であって、現像ユニット34の挿入方向奥側に向かってその突出高さが高くなるように傾斜する傾斜面114a,116aと、その奥側に形成される水平面114b,116bとを有する。第1前端押上げ部114の傾斜面114aの傾斜角度は、第2前端押上げ部116の傾斜面116aの傾斜角度と略同じ角度である。また、第1前端押上げ部114の傾斜面114aは、第2前端押上げ部116の傾斜面116aよりも現像ユニット34の挿入方向手前側から傾斜を開始し、現像ユニット34の挿入方向奥側で傾斜を終える。つまり、第1前端押上げ部114の傾斜面114aは、第2前端押上げ部116の傾斜面116aよりも、現像ユニット34の挿入方向おける長さが長く形成され、その下端から上端までの高低差が大きい。
また、現像ユニット装着部102の底壁104には、現像ユニット34の挿入方向手前側の端部において、現像ユニット34が備えるストッパ90を受容する係止孔118が形成される。
続いて、図10および図11を参照して、現像ユニット装着部102に対して現像ユニット34を装着する際の現像ユニット34の動きについて説明する。図10は、現像ユニット34の挿入中の状態を示す図解図であり、図11は、現像ユニット34の挿入完了後の正規の装着状態を示す図解図である。
現像ユニット34は、現像ユニット装着部102への挿入開始から挿入完了直前までは、図10に示すように、正規の姿勢(位置)から傾いた状態でかつ下方にずれた位置を移動するようにガイドされる。そして、挿入完了直前から挿入完了までの間に、その挿入動作に伴って持ち上げられつつ回動されて感光体ドラム36に近づけられ、図11に示すように、現像ローラ76の外周面が感光体ドラム36の外周面と近接する正規の姿勢となるように位置決めされる。つまり、現像ユニット34を現像ユニット装着部102に装着する操作のみで、現像ユニット34は正規の姿勢となるように位置決めされる。このような現像ユニット34の挿入時の動作は、上述のガイド溝82,84、ガイド突起110,112、後端押上げ部86,88および前端押上げ部114,116を含む挿入ガイドによって、実行される。
具体的には、現像ユニット装着部102に現像ユニット34を装着するときには、現像ユニット34のガイド溝82,84に対して現像ユニット装着部102のガイド突起110,112を嵌め込み、そのままスライドさせるようにして現像ユニット34を長手方向に押し込む。このとき、第1ガイド突起110と第2ガイド突起112とが同じ高さ位置に形成される一方で、第2ガイド溝84が第1ガイド溝82よりも低い高さ位置に形成されるので、現像ユニット34は、挿入開始から挿入完了直前まで、正規の姿勢から傾いた状態を安定的に維持できる。
現像ユニット34を押し込んでいくと、現像ユニット34の先端部は、挿入完了直前に、現像ユニット装着部102の前端押上げ部114,116に到達する。そしてその後、現像ユニット34の先端部が前端押上げ部114,116の傾斜面114a,116aを介して水平面114b,116b上に乗り上げると共に、現像ユニット34の後端部が後端押上げ部86,88の傾斜面86a,88aを介して現像ユニット装着部102の底壁104上に乗り上げることによって、挿入完了直前から挿入完了までの間に、現像ユニット34全体が上方に持ち上げられる。このとき、第1後端押上げ部86および第1前端押上げ部114の傾斜面86a,114aは、第2後端押上げ部88および第2前端押上げ部116の傾斜面88a,116aよりも高低差が大きいことから、現像ユニット34は、右側壁の下端を支点として時計回りに回動する。すなわち、現像ユニット34は、挿入完了直前から挿入完了までの間に、後端押上げ部86,88および前端押上げ部114,116によって、持ち上げられつつ回動されて感光体ドラム36に近づけられ、正規の姿勢(位置)となるように位置決めされる。
現像ユニット34の挿入完了後は、ロックレバー92を回動させることによって、ストッパ90をロック位置に移動させる。これによって、係止孔118にストッパ90が嵌め込まれて現像ユニット34の長手方向の動きが規制され、現像ユニット34は正規の装着状態で固定される。
なお、現像ユニット装着部102から現像ユニット34を取り外す(離脱させる)ときには、上述のガイド溝82,84、ガイド突起110,112、後端押上げ部86,88および前端押上げ部114,116を含む挿入ガイドは、離脱ガイドとして機能し、現像ユニット34は、上述の挿入時の動きと逆の動きをするようにガイドされる。すなわち、現像ユニット34は、離脱開始から離脱開始直後までの間に、回動されつつ下方に移動されて感光体ドラム36から離される。そして、現像ユニット34は、離脱開始直後から離脱完了直前までは、正規の姿勢から傾いた状態でかつ下方にずれた位置を移動するようにガイドされる。
以上のように、この第1実施例によれば、現像ユニット34が正規の姿勢から傾いた状態で移動するようにガイドするので、現像ユニット34が略水平方向に平行移動した状態で移動することと比較して、水平方向のスペースをあまり使うことなく、現像ユニット34と感光体ドラム36との距離を確保できる。また、現像ユニット34が正規の姿勢から傾いた状態にすると共に、下方にずれた位置を移動するようにガイドすることで、より適切に現像ユニット34と感光体ドラム36との距離を確保できる。
また、ガイド溝82,84、ガイド突起110,112、後端押上げ部86,88および前端押上げ部114,116等の突起や溝で構成される挿入ガイドを用いて、現像ユニット34が正規の姿勢となるように位置決めするので、操作レバー等と連動する現像ユニット34の回動機構を別途設ける必要がない。また、現像ユニット34を挿入する操作を行うだけで、現像ユニット34が正規の姿勢に位置決めされるので、ユーザの操作負担が低減される。
したがって、第1実施例によれば、画像形成装置10の小型化を図ることができ、かつ画像形成装置10を構成する部品点数の増加を防ぐことができる。また、ユーザの操作負担を低減することができる。
[第2実施例]
次に、この発明の第2実施例である画像形成装置10について説明する。この第2実施例では、現像ユニット34および現像ユニット装着部102に設けられる挿入ガイドの構成が、上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と重複する説明は、省略または簡略化する。
図示は省略するが、第2実施例では、ガイド溝82,84およびガイド突起110,112を形成する位置が第1実施例とは逆である。すなわち、現像ハウジング80の両外側面80a,80bに対して、外方に突出するガイド突起110,112が、現像ユニット34の挿入方向に沿って所定間隔で形成される。一方、現像ユニット装着部102の両側壁106,108の内面に対して、現像ユニット34の挿入方向に沿って直線状に延びるガイド溝82,84が形成される。この際、たとえば、現像ユニット34の左外側面80aに形成される第1ガイド突起110は、現像ユニット34が正規の姿勢をとった状態において、現像ユニット34の右外側面80bに形成される第2ガイド突起112の高さ位置よりも高い位置に形成される。また、現像ユニット装着部102の両側壁106,108に形成されるガイド溝82,84は、それぞれ同じ高さ位置に形成される。
この第2実施例においても、第1実施例と同様の作用効果を奏し、画像形成装置10の小型化を図ることができ、かつ画像形成装置10を構成する部品点数の増加を防ぐことができる。また、ユーザの操作負担を低減することができる。
なお、上述の第1および第2実施例では、現像ユニット34を傾いた状態とするために、現像ユニット34側に形成されるガイド溝82,84またはガイド突起110,112において、左右で高さ位置を変えるようにしているが、現像ユニット装着部102側に形成されるガイド突起110,112またはガイド溝82,84において、左右で高さ位置を変えるようにしてもよい。
[第3実施例]
続いて、この発明の第3実施例である画像形成装置10について説明する。この第3実施例では、現像ユニット34および現像ユニット装着部102に設けられる挿入ガイドの構成が、上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と重複する説明は、省略または簡略化する。
図示は省略するが、第3実施例では、現像ユニット34に設けられる後端押上げ部としては、現像ハウジング80の左側壁下端側の第1後端押上げ部86のみが形成され、右側壁下端側の第2後端押上げ部88は形成されない。また、現像ユニット装着部102に設けられる前端押上げ部としては、左側壁106側の第1前端押上げ部114のみが形成され、右側壁108側の第2前端押上げ部116は形成されない。
そして、現像ユニット34は、ガイド溝82,84、ガイド突起110,112、第1後端押上げ部86および第1前端押上げ部114を含む挿入ガイドによって、現像ユニット装着部102への挿入開始から挿入完了直前までは、正規の姿勢(位置)から傾いた状態で感光体ドラム36から離れた位置を移動するようにガイドされる。そして、挿入完了直前から挿入完了までの間に、その挿入動作に伴って回動されて感光体ドラム36に近づけられ、現像ローラ76の外周面が感光体ドラム36の外周面と近接する正規の姿勢となるように位置決めされる。
この第3実施例においても、第1実施例と同様の作用効果を奏し、画像形成装置10の小型化を図ることができ、かつ画像形成装置10を構成する部品点数の増加を防ぐことができる。また、ユーザの操作負担を低減することができる。
なお、挿入ガイドの具体的構成は、上述の各実施例で採用した構成に限定されず、適宜変更可能である。たとえば、現像ユニット34および現像ユニット装着部102の両側部に設けられるガイド溝およびガイド突起のみを利用して、現像ユニット34の挿入完了直前から挿入完了までの間に、その挿入動作に伴って現像ユニット34を持ち上げつつ回動させるようにしてもよい。また、たとえば、現像ユニット34が傾いた状態を維持するためのガイド溝およびガイド突起は、現像ユニット34の底面および現像ユニット装着部102の底壁104等に形成することもできる。
また、上述の各実施例では、画像形成装置10として、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等を組み合わせた複合機を例示したが、画像形成装置10は、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等のいずれか、またはこれらの少なくとも2つを組み合わせた複合機であってもよい。
さらに、上述の各実施例においては、トナーおよびキャリアの二成分からなる現像剤を用いる画像形成装置10について説明したが、一成分現像剤を用いる画像形成装置にも適用可能である。また、現像ユニット34の内部構成についても適宜変更可能である。たとえば、第1搬送部材72および第2搬送部材74は、横方向に並ぶように配置される代わりに、上下方向に並ぶように配置されていてもよいし、さらに第3搬送部材を備えるようにしてもよい。
また、上述の第2および第3実施例に示した構成の変更は、それぞれ個別に説明したが、各実施例または各変形例において記載している技術的特徴のそれぞれは、互いに組み合わせて同時に採用してもよい。