JP4560285B2 - 核酸沈澱剤を利用した核酸増幅産物のハイブリダイゼーションアッセイ - Google Patents

核酸沈澱剤を利用した核酸増幅産物のハイブリダイゼーションアッセイ Download PDF

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Description

本発明は、核酸沈澱剤を利用した核酸増幅産物のハイブリダイゼーションアッセイに関する。より詳細には、標的配列をLAMP増幅して得られるインバーテッドリピート構造を有する核酸の核酸沈澱剤を利用したハイブリダイゼーションアッセイに関する。
核酸のハイブリダイゼーションアッセイは、サザンブロッティング法から、遺伝子チップやアレイ、RT−PCR法にいたるまで、様々な方法が開発されている。特に、固相担体を用いない液相でのハイブリダイゼーションアッセイでは、標的配列と標識プローブの結合物(B)を遊離の標識プローブ(F)と分離する「B/F分離」が不可欠となる。
こうしたB/F分離剤として、従来ハイドロキシアパタイトを用いる方法が知られている。ハイドロキシアパタイトは、適当な条件下では二本鎖核酸のみを選択的に吸着することができる不溶性物質である。したがって、標的配列と標識プローブがハイブリダイズした二本鎖核酸をハイドロキシアパタイトに吸着・沈澱させ、遊離の標識プローブと分離した後、沈澱中の標識を指標として標的配列を検出することができる。この方法は、ニトロセルロースやナイロンメンブレン上に標的配列を固定し、標識プローブとハイブリダイズさせる古典的な方法と比べて、液相で反応が行われるため迅速に反応が進み、多検体の処理や処理の自動化に向いているという利点がある(例えば、特許文献1参照)。
一方、ハイドロキシアパタイトは、核酸の鎖長が長いほど吸着しやすく、鎖長が短いほど吸着しにくいという特徴を有している。すなわち、検出対象のゲノムから調製した鎖長の長い核酸を標的配列として、鎖長の短い標識プローブにより検出を行った場合には良好な分離が得られるが、鎖長が短い核酸を標的核酸とした場合には、ハイドロキシアパタイトに対する標的配列と標識プローブの結合物の吸着量が少なく、分離能の低下とともに、検出感度も低下してしまう。
近年、PCR等の核酸増幅法が普及し、微量の標的核酸もハイブリダイゼーションアッセイによらずに直接検出することが可能になった。そのため、検出対象が限定される、ハイドロキシアパタイトを用いたハイブリダイゼーションアッセイはあまり行われていない。
他方、ハイドロキシアパタイトとは別に、各種の塩基性ポリマーが核酸の共沈剤として知られている。代表的なものとしては、ポリエチレンイミン、ポリ-L-リジン、及び硫酸プロタミン等があげられる。しかし、これらの物質は核酸の存在下に沈澱を形成するが、その沈澱は非常に粘稠で取り扱いが困難なため、酵素の精製の際の核酸除去剤として実用化されているにすぎない(例えば、特許文献2及び3参照)。
ところで、発明者らは、PCR法で不可欠とされる複雑な温度制御を必要としない新しい核酸増幅法:LAMP法(Loop-mediated isothermal amplification)の開発に成功している(例えば、特許文献4及び非特許文献1参照)。LAMP法では、特有のプライマーを用いることで、同一鎖上末端に互いに相補的な配列を有する増幅産物が生成する。生成した増幅産物は、相補的配列間のアニールによって形成されるループを起点とした伸長反応と、このループにアニールする別なプライマー(ループプライマー)による伸長反応によって、インバーテッドリピート構造(同一鎖上に互いに相補的な配列が繰り返し含まれる構造)を有する長鎖の増幅産物を生成する。発明者らは、このLAMP法の高い増幅効率を利用して、目視(濁度)による遺伝子の検出方法等(例えば、非特許文献2参照)を報告している。しかしながら、これまでLAMP産物の液相でのハイブリダイゼーションアッセイに関する報告は少なく、またそれらは核酸沈澱剤を用いたものではない。
特公平05‐078319号公報 特表平10‐507919号公報 特表2000‐502251号公報 国際公開00/28082号パンフレット 納富継宣ら(Tsugunori Notomi et al.),「Loop-mediated isothermal amplification of DNA.」,ヌクレイック アシッド リサーチ(Nucleic Acids Res.), Vol.28, No.12: e63, (2000) 森安義、長嶺憲太郎ら,「Detection of Loop-Mediated Isothermal Amplification Reaction by Turbidity Derived from Magnesium Pyrophosphate Formation.」,バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications), Vol. 289, No.1, 150-154, (2001)
本発明は、液相ハイブリダイゼーションアッセイにおけるB/F分離の問題を解決し、微量な検出対象をその鎖長にかかわらず高感度かつ簡便に検出しうる核酸検出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、標的配列のLAMP増幅で得られるような、インバーテッドリピート構造を有する核酸は、核酸沈澱剤と吸着しやすく、遊離の短鎖核酸プローブと良好に分離されることを見出した。そして、この方法を利用すれば微量検体の高感度な検出や、多検体の同時検出が可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、標的配列とこれに相補的な配列とを同一鎖上に1回又は2回以上反復して含むインバーテッドリピート構造を有する核酸に、該標的配列に特異的な核酸プローブをハイブリダイズさせ、生成したハイブリッドに核酸沈澱剤を吸着させて凝集塊を形成させることにより、前記インバーテッドリピート構造を有する核酸と遊離の核酸プローブを分離することを特徴とする、ハイブリダイゼーションアッセイに関する。
本発明のアッセイでは、凝集塊又は上清よりインバーテッドリピート構造を有する核酸又は該核酸中の標的配列の検出を行う。
ある実施態様において、インバーテッドリピート構造を有する核酸は、以下のプライマー(a)及び/又は(b)を用いた増幅法によって提供される。
(a) 鋳型核酸上の標的配列の3’側から該鋳型核酸上の3'末端方向に向かって、順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cを選択したとき、該F1cと同一の配列及び該F2cに相補的な配列F2を5’側から3’側にこの順で含むプライマー
(b) 鋳型核酸上の標的配列の5’側から該鋳型核酸上の5'末端方向に向かって、順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2を選択したとき、該R1に相補的配列R1c及び該R2と同一の配列R2を5'側から3’側にこの順で含むプライマー
例えば、前記増幅法としてLAMP法を用いることができる。
また、ある実施態様において、インバーテッドリピート構造を有する核酸と遊離の核酸プローブは親水性基材上で分離してもよい。前記親水性基材上には、あらかじめ核酸沈澱剤がスポットされていてもよいし、あらかじめ核酸プローブと核酸沈澱剤がスポットされていてもよい。
本発明で用いられる親水性基材としては、例えば、濾紙、ナイロンメンブレン、セルロースエステル類等の一般的にイムノクロマト法で用いられている基材を用いることができる。
また、ある実施態様において、本発明のハイブリダイゼーションアッセイは以下の工程を含む:
1)鋳型核酸上の標的配列をLAMP増幅し、該標的配列とこれに相補的な配列とを同一鎖上に1回又は2回以上反復して含むインバーテッドリピート構造を有する核酸を得る工程;
2)上記インバーテッドリピート構造を有する核酸に、標的配列に特異的な核酸プローブをハイブリダイズさせる工程;
3)生成したハイブリッドに核酸沈澱剤を吸着させて凝集塊を形成させ、遊離の核酸プローブと分離する工程;及び
4)得られた凝集塊又は上清より、上記インバーテッドリピート構造を有する核酸又は該核酸中の標的配列を検出する工程。
本発明のアッセイでは、インバーテッドリピート構造を有する核酸中の標的配列又は核酸プローブを標識し、該標識に基づいてインバーテッドリピート構造を有する核酸又は該核酸中の標的配列の検出を行うことができる。
あるいは、核酸プローブを標識し、該プローブの標識に基づいてインバーテッドリピート構造を有する核酸又は該核酸中の標的配列の検出を行うこともできる。
あるいはまた、鋳型核酸上の標的配列を、標識プライマー又は標識核酸基質を用いて増幅することにより、インバーテッドリピート構造を有する核酸中の標的配列を標識し、該標識に基づいてインバーテッドリピート構造を有する核酸又は該核酸中の標的配列の検出を行うこともできる。
本発明のアッセイでは、核酸沈澱剤として、ハイドロキシアパタイト、ポリエチレンイミン、硫酸プロタミン、ポリ-L-リジン、及びジエチルアミノエチル デキストランからなる群より選ばれるいずれか一つ又は二つ以上を好適に用いることができる。
本発明のアッセイでは、核酸プローブとしてペプチド核酸、又はロックド核酸を好適に用いることができる。
本発明はまた、本発明のアッセイを利用することにより、標的配列の増幅産物であるインバーテッドリピート構造を有する核酸と、該標的核酸を増幅するための未反応プライマーとを区別する方法を提供する。
さらに本発明は、本発明のアッセイを利用することにより、標的配列中の一塩基多型を検出する方法を提供する。
さらにまた本発明は、以下のi)〜vi)の少なくとも一つ以上を含む、ハイブリダイゼーションアッセイ用キットを提供する。
i)以下の(a)及び/又は(b)のインナープライマー、若しくはそれらの標識物
(a) 鋳型核酸上の標的配列の3’側から該鋳型核酸上の3'末端方向に向かって、順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cを選択したとき、該F1cと同一の配列及び該F2cに相補的な配列F2を5’側から3’側にこの順で含むプライマー
(b) 鋳型核酸上の標的配列の5’側から該鋳型核酸上の5'末端方向に向かって、順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2を選択したとき、該R1に相補的配列R1c及び該R2と同一の配列R2を5'側から3’側にこの順で含むプライマー
ii)以下の(c)及び/又は(d)のアウタープライマー
(c) 鋳型核酸鎖上の任意配列F2cよりも3'末端方向に任意配列F3cを選択したとき、該F3cに相補的な配列F3を含むプライマー
(d) 鋳型核酸鎖上の任意配列R2よりも5'末端方向に任意配列R3を選択したとき、該R3と同一の配列を含むプライマー
iii)標的配列の少なくとも一部に相補的な配列、又は標的配列の少なくとも一部に相同な配列を含み、該配列又はその相補鎖に特異的にハイブリダイズしうる核酸プローブ、あるいはその標識物
iv)核酸沈澱剤
v)鎖置換型の相補鎖合成反応を触媒するDNAポリメラーゼ
vi)要素v)の基質となるヌクレオチド、又はその標識物
前記キットは、さらに、以下の(e)及び/又は(f)のループプライマー、あるいはその標識物を含んでいてもよい。
(e) インナープライマー上のF1c及びF2の間の任意配列に相補的な配列を含むプライマー
(f) インナープライマー上のR1c及びR2の間の任意配列に相補的な配列を含むプライマー
前記キットにおいて、核酸沈澱剤としては、ハイドロキシアパタイト、ポリエチレンイミン、硫酸プロタミン、ポリ-L-リジン、及びジエチルアミノエチル デキストランからなる群より選ばれるいずれか一つ又は二つ以上を好適に用いることができる。
本発明によれば、液相ハイブリダイゼーションアッセイにおけるB/F分離の問題を解決し、微量な検出対象をその鎖長にかかわらず高感度かつ簡便に検出することができる。また、この方法は多検体同時処理や、処理の自動化、リアルタイムモニタリングも可能である。
本発明は、標的配列とこれに相補的な配列とを同一鎖上に1回又は2回以上反復して含むインバーテッドリピート構造を有する核酸に、該標的配列に特異的な核酸プローブをハイブリダイズさせ、生成したハイブリッドに核酸沈澱剤を吸着させて凝集塊を形成させることにより、前記インバーテッドリピート構造を有する核酸と遊離の核酸プローブを分離することを特徴とする、ハイブリダイゼーションアッセイとそのためのキットに関する。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.用語の定義
核酸:本明細書中における「核酸」は天然のものであっても、人工的に合成されたものであってもよい。該核酸には、DNA、cDNA、RNA、cRNA、及びPNA等の全てを含むものとする。また1本鎖核酸及び2本鎖核酸の双方を含むものとする。さらに、部分的に修飾された、あるいは全体が完全に人工的構造からなるヌクレオチド誘導体であっても、それが塩基対結合を形成しうるものであるかぎり、本発明の核酸に含まれる。また、遺伝子(生命に関わる特定の機能や情報を担う核酸)という用語も、核酸に含まれる。なお、本発明における核酸の構成塩基数は制限されない。
標的配列:本明細書中における「標的配列」又は「標的核酸」とは、検出すべき核酸配列又は核酸分子を意味する。
核酸プローブ:本明細書中における「核酸プローブ」とは、標的配列に特異的にハイブリダイズし、該配列を検出するための核酸断片を意味する。なお、後述するように核酸プローブは、ペプチド核酸であってもよい。
インバーテッドリピート構造:「インバーテッドリピート(逆反復反復)構造」とは、互いに相補的な2つの配列が同一鎖上に繰り返し含まれる構造を意味するものとする。このインバーテッドリピート構造については、次項で詳述する。
鋳型と相補鎖:本明細書中における「鋳型」とは、相補鎖合成の鋳型となる側の核酸を意味する。鋳型に相補的な塩基配列を持つ「相補鎖」は、鋳型に対応する鎖としての意味を持つが、両者の関係はあくまでも相対的なものに過ぎない。
鋳型核酸:本発明において「鋳型核酸」とは、本来の検出対象であって、その分子中に標的配列を含み、インバーテッド構造を有する核酸増幅産物調製やそのためのプライマー設計の基礎となる核酸を意味する。
ハイブリダイズ:「ハイブリダイズ」と「アニール」とは、核酸がワトソン−クリックのモデルに基づく相補的塩基対結合によって2本鎖を形成することを意味する。したがって、塩基対結合を構成する核酸鎖が同一鎖上にあっても、分子内の相補的な塩基配列が塩基対結合を形成すれば、ハイブリダイズ、あるいはアニールである。本発明において、ハイブリダイズとアニールは、核酸が塩基対結合による2本鎖構造を構成する点で同義である。
2. インバーテッドリピート構造を有する核酸
2.1 インバーテッドリピート構造
本発明のアッセイで用いられるインバーテッドリピート構造を有する核酸は、「標的配列とこれに相補的な配列が縦列した構造」を同一鎖上に1回又は2回以上反復して含む。
本発明のインバーテッドリピート構造を有する核酸の鎖長は、特に限定されないが、通常少なくとも100塩基長以上、平均1000塩基長程度が好ましい。これは、核酸沈澱剤は核酸の鎖長が長いほど吸着しやすく、鎖長が短いほど吸着しにくいという特徴を有しているため、検出対象である核酸が比較的長鎖であるほうがB/F分離が良くなるからである。
また、前記インバーテッドリピート構造を有する核酸中に含まれる「標的配列とこれに相補的な配列が縦列した構造」の反復数は特に限定されないが、通常少なくとも1〜10回程度、平均10回以上が好ましい。該核酸中に含まれる標的配列の数が多いほど、核酸プローブとのハイブリッド形成がよく、したがって検出感度が高くなるからである。
なお、インバーテッドリピート構造を有する核酸は、後述するような核酸増幅反応によって提供されるものであるため、必ずしも均一ではなく、様々な鎖長、増幅率のものが含まれる。したがって、上記鎖長や反復数の好ましい数値については、「平均」という表現を用いるものとする(なお、平均は通常の相加平均を意味する)。
本発明のインバーテッドリピート構造を有する核酸中に含まれる「標的配列」は、検出対象とする核酸(ゲノム遺伝子やmRNA)の一部であっても、全部であってもよい。含まれる領域は、検出対象とする核酸に特異的な配列を選択して用いることが好ましく、例えば、構造遺伝子ならば繰り返し配列を含まない、mRNA3'非翻訳領域に存在する配列特異性が高い部分等を好適に用いることができる。
また「これに相補的な配列」とは、例えば、5'-agttcatc-3'に対して、その相補的配列3'-tcaagtag-5'を意味するが、これらは同一鎖上に含まれるため、後者は5'-gatgaact-3'として逆方向に配置される。この互いに相補的な2つの配列は少なくとも一部において、鎖内アニール(同一鎖内でアニール)することによってループ構造を形成しうる。そして、このループ形成は本発明のインバーテッドリピート構造を有する核酸に特異な2次(あるいは3次)構造を与える。例えば、同一鎖上の両端にループが形成されると、本発明のインバーテッドリピート構造を有する核酸はダンベル型構造となり、同一鎖上に多数のループが形成されれば、該インバーテッドリピート構造を有する核酸はカリフラワー型構造となる。本発明のインバーテッドリピート構造を有する核酸が、高いB/F分離や強いシグナル強度を示すのは、主として長い鎖長と標的配列の高い反復数(高い増幅効率)によるものと思われるが、前記した特異な構造も一部で寄与していることが考えられる。
2.2 インバーテッドリピート構造を有する核酸の調製
本発明のインバーテッドリピート構造を有する核酸は、本来の検出であるゲノムDNAやmRNA等を鋳型核酸に対し、その少なくとも一部を標的配列として、調製することができる。調製方法は特に限定されず、化学的合成等の公知の核酸合成法や、PCR法、SDA法等の公知の核酸増幅法を適宜選択しうるが、特に、後述するX1c+X2構造を有するプライマーを用いた増幅法(例えば、LAMP法等)を利用すれば、効率的に調製することができる。
(1)X1c+X2構造を有するプライマーを用いた増幅法
本発明のプローブは、X1c+X2構造を有するプライマーを用いた増幅法によって効率的に合成することができる。
X1c+X2構造を有するプライマーは、具体的には以下のようにして設計する。
(a) 鋳型核酸鎖上の標的配列の3’側から当該鋳型核酸鎖上の3'末端方向に向かって、順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cを選択したとき、該F1cと同一の配列及び該F2cに相補的な配列F2を5’側から3’側にこの順で含むプライマー
(b) 鋳型核酸鎖上の標的配列の5’側から当該鋳型核酸鎖上の5'末端方向に向かって、順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2を選択したとき、該R1に相補的配列R1c及び該R2と同一の配列R2を5'側から3’側にこの順で含むプライマー
なお、上記プライマーは(a)(b)をペアとして用いてもよいし、(a)(b)どちらか一方と通常のプライマーをペアにして用いてもよい。
増幅反応は、例えば上記プライマー、鋳型核酸、ヌクレオチド基質及びDNA(RNA)ポリメラーゼを用いて、通常のPCR法により達成できる。
さらに、前記増幅反応はポリメラーゼとして鎖置換型DNAポリメラーゼを用いれば、等温条件下で行うこともできる。これは、プライマーがX1c+X2の構造を有するため、該プライマーからの伸長生成物はX1c+(X2+)X1の相補的配列(下線部)を含み、これが鎖内アニールして、合成された2本鎖核酸上に1本鎖部分を生成するためである。すなわち、2本鎖を高温で解離させなくとも、伸長生成物上には鎖内アニールによる新たな鎖置換反応の開始点が与えられる。この反応の概略は後述するLAMP法を参照されたい。
なお、前記鎖置換型DNAポリメラーゼとしては、例えばBst DNAポリメラーゼ、Bca(exo-)DNAポリメラーゼ、E. coli DNA ポリメラーゼIのクレノウフラグメント、Vent DNAポリメラーゼ、Vent(Exo-)DNAポリメラーゼ(Vent DNAポリメラーゼからエクソヌクレアーゼ活性を除いたもの)、DeepVent DNAポリメラーゼ、DeepVent(Exo-)DNAポリメラーゼ(DeepVent DNAポリメラーゼからエクソヌクレアーゼ活性を除いたもの)、Φ29ファージDNAポリメラーゼ、MS-2ファージDNAポリメラーゼ、Z-Taq DNAポリメラーゼ(宝酒造製)、KOD DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)等が挙げられる。
(2)LAMP法
1)LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法の概要
前記増幅法の好適な態様として、LAMP法による増幅法を用いることができる。「LAMP法」とは本発明者らが開発した核酸の増幅方法で、インナープライマーペア或いはこれにアウタープライマーペア、さらにループプライマーペアを加えた、2種、4種或いは6種の特異的プライマーと、鎖置換型ポリメラーゼ及び基質であるヌクレオチドを用いて、等温条件下(65℃前後)でDNA又はRNAを迅速かつ安価に増幅する方法である。LAMP法の概要については、文献:Notomi, T et al.:Nucleic Acids Res. 28(12):e63(2000)、特許:国際公開WO 00/28082号、あるいは栄研化学(株)ホームページ(http://www.eiken.co.jp/)を参照されたい。
LAMP法では、増幅生成物の同一鎖上末端に互いに相補的な配列が生成し、これらがアニールしてヘアピン状のループが形成され、そのループを起点としたポリメラーゼによる伸長反応が起きる。同時に、ループ内にアニールしたプライマーからは鎖置換型伸長反応が起こり、先の伸長生成物を1本鎖に解離させていく。解離した1本鎖もまた、末端に相補的配列を有するため、この反応は繰り返し起きる。こうして、LAMP法では増幅生成物の同一鎖上の複数の位置で、伸長反応と増幅反応が同時進行するため、DNAの増幅が超指数関数的にしかも等温条件下で達成され、本発明で用いられるインバーテッド構造を有する核酸を効率的に合成できる。
2)LAMP法用プライマー
LAMP法ではインナープライマー、アウタープライマー、ループプライマーと呼ばれる、特異的プライマーが用いられる。
インナープライマーとはLAMP法に必須のプライマーであって、鋳型DNAのそれぞれの鎖において、3’側に存在する任意配列X2c、これより5’側の任意配列X1cを選択したとき、該X2cに相補的配列X2と該X1cと同一の配列X1cを3’側から5’側にこの順で含む(X1c+X2の構造をもつ)プライマーをいう。機能的にいえば、インナープライマー上のX2は鋳型に特異的にアニールして相補鎖合成の起点を与える部分であり、X1cは増幅(伸長)生成物がループを形成するための相補的配列を与える。そして、このループが新たな相補鎖合成の起点となる。
アウタープライマーとは、インナープライマーよりも外側(すなわち鋳型の3’側)の任意配列X3cに相補的配列を有し、これにアニールしうるプライマー2種(2本鎖に相補的な各々について1つずつ)をいう。
なお、プライマーの鋳型核酸へのアニールを容易にするため、上記X1(X1c)、X2(X2c)、X3(X3c)の長さは5〜100塩基が好ましく、10〜50塩基がさらに好ましい。
上記インナープライマー及びアウタープライマーは、2本鎖(F及びR)のそれぞれについて必要であり、インナープライマー(F1c+F2、R1c+R2)、アウタープライマー(F3、R3)の各々2種が設計される。
各任意配列は、LAMP法により得られる増幅産物が分子間アニールではなく、分子内アニールを優先的に生じ、末端ヘアピン構造を形成するように選択することが好ましい。例えば、分子内アニールを優先的に生じさせるためには、任意配列の選択に当たって、F1c配列とF2c配列との間の距離及びR1配列とR1c配列との間の距離を考慮することが重要である。具体的には、両者各配列が、0〜500塩基、好ましくは0〜100塩基、最も好ましくは10〜70塩基の距離を介して存在するように選択することが好ましい。ここで、数値はそれぞれ、F1c配列及びF2c配列自身並びにR1配列及びR2配列自身を含まない塩基数を示している。
また、ループプライマーとは、LAMP法による増幅生成物の同一鎖上に生じる相補的配列が互いにアニールしてループを形成するとき、該ループ内の配列に相補的な塩基配列をその3’末端に含むプライマー2種(2本鎖に相補的な各々について1つずつ)をいう。前記アウタープライマーとループプライマーはLAMP法に必須のプライマーではないが、これらがあれば増幅(伸長)反応はより効率的に進行する。
3)増幅用鋳型核酸
LAMP法で用いられる増幅用鋳型核酸はDNAであってもRNAであってもよく、組織又は細胞等の生物学的試料から公知方法により、あるいは化学合成法により調製することができる。この場合、増幅すべき領域(標的領域という)の両側には、適当な長さの配列(両側配列という)が存在するように鋳型ポリヌクレオチドを調製する。両側配列とは、当該標的領域の5’末端からポリヌクレオチド鎖の5’末端までの領域の配列、及び当該標的領域の3'末端からポリヌクレオチド鎖の3’末端までの領域の配列を意味する。両側配列の長さは、標的領域の5'側及び3'側のいずれの領域も、10〜1000塩基、好ましくは30〜500塩基である。
4)反応条件
一連の反応は、酵素反応に好適なpHを与える緩衝剤、酵素の触媒活性の維持やアニールのために必要な塩類、酵素の保護剤、更には必要に応じて融解温度(Tm)の調整剤等の共存下で行うことが好ましい。緩衝剤としては、Tris-HCl等の中性から弱アルカリ性に緩衝作用を持つものが用いられる。pHは使用するDNAポリメラーゼに応じて調整すればよい。塩類としては、例えばKCl、NaCl、あるいは(NH4)2SO4等が、酵素の活性維持とDNAの融解温度(Tm)調整のために適宜添加される。酵素の保護剤としては、ウシ血清アルブミンや糖類が利用される。また、融解温度(Tm)調整剤としては、ベタイン、プロリン、ジメチルスルホキシド、あるいはホルムアミドを一般的に利用することができる。
5)LAMP反応
LAMP法における反応は、鋳型核酸に対して、以下の成分(i)(ii)(iii)を加え、インナープライマーが鋳型核酸上の相補的配列に対して安定な塩基対結合を形成することができ、かつ鎖置換型ポリメラーゼが酵素活性を維持しうる温度でインキュベートすることにより進行する。インキュベート温度は50〜75℃、好ましくは55〜70℃であり、インキュベート時間は1分〜10時間、好ましくは5分〜4時間である。
(i) インナープライマー2種、或いはさらにアウタープライマー2種、或いはさらにループプライマー2種
(ii) 鎖置換型ポリメラーゼ
(iii)基質ヌクレオチド
上記、インナープライマーや基質ヌクレオチドは適当な標識によりラベルされていてもよい。標識物質としては、例えば、蛍光色素(FITC、ROC等)、酵素、タンパク、放射性同位体、化学発光物質(例えば、DNP)、ビオチン、DIG(ジゴキシゲニン)等を挙げることができる。標識されたインナープライマーや基質ヌクレオチドを使用すれば、増幅産物であるインバーテッドリピート構造を有する核酸は標識され、そのシグナル強度に基き、インバーテッドリピート構造を有する核酸又は該核酸中の標的配列の検出が可能になる。
3. 核酸プローブ
核酸プローブは、一般的には検出すべき標的配列の少なくとも一部に相補的な配列を意味するが、本発明では標的配列とその相補鎖からなるインバーテッドリピート構造を有する核酸を検出する。したがって、本発明における核酸プローブは、検出すべき標的配列の少なくとも一部に相補的な配列、又は検出すべき標的配列の少なくとも一部に相同な配列のどちらでもよい。
前記核酸プローブの鎖長は、通常5〜50塩基長程度、好ましくは10〜30塩基長程度である。これは、核酸沈澱剤は長鎖の核酸に吸着しやすいという性質を有するため、遊離のプローブへの沈澱剤の吸着を防止して良好なB/F分離を達成するには、核酸プローブは比較的短鎖であることが必要だからである。
しかしながら、本発明においては、沈澱剤添加時の温度をプローブのTm付近に調整するなど反応条件を調整すれば、前記プローブの長さにかかわらず良好なB/F分離が可能となる。これは、B/F分離の効率が核酸と沈澱剤間の反応ではなく、インバーテッドリピート構造を有する核酸と核酸プローブ間の反応に主として依存しているからである。つまり、一般に短いプローブを使った場合には低温で、長いプローブを用いた場合は選択性を高めるために高温で沈澱剤を添加すれば、良好なB/F分離が達成できる。その意味では、プローブは、選択性、反応性などから決定される実用上有意義な長さを選択すればよい。
前記核酸プローブは、検出のために適当な試薬で標識されていてもよい。標識物質としては、例えば、蛍光色素(FITC、ROC等)、酵素、タンパク、放射性同位体、化学発光物質(例えば、DNP)、ビオチン、DIG(ジゴキシゲニン)等を挙げることができる。
また、核酸プローブはペプチド核酸、又はロックド核酸であってもよい。ペプチド核酸(PNA:Peptide nucleic acid)とはペプチド骨格に核酸塩基を有する分子であり、具体的には2−アミノエチルグリシンを骨格単位とし、これにメチレンカルボニル基を介して核酸塩基を結合させた構造を有する分子である(Nielsen, P. E.et al., Science 254, 1497〜1500 (1991))。
ペプチド核酸は、ssDNA(single strand DNA)及びdsDNA(double strand DNA)、RNAに結合し、相補的なDNA/DNA、RNA/DNA複合体よりも高い安定性を有するため、核酸プローブとして用いる際にDNAより短鎖で済み、ミスマッチの検出も容易である。また、DNAよりも核酸沈澱剤が吸着しやすい。さらに、ハイブリッド形成がpH、塩濃度に依存しないため、核酸検出時にpH、塩濃度を考慮する必要がなく、プロテアーゼとも反応しないため生物試料の検出にも使用できる。このため、ペプチド核酸は本発明のアッセイ用プローブとして好適である。 ロックド核酸(Locked Nucleic Acid(LNA))は、フラノース環の2’及び4’位にO-メチレン(オキシ-LNA)、S-メチレン(チオ-LNA)、又はNH2-メチレン成分(アミノ-LNA)が結合している二環核酸類似体である。2’及び4’位の置換基の結合はフラノース環の構造上の自由度を制限し、DNA類似体に対する親和性を高度に増加させる(WO99/14226、特表2002-521310)。このため、ロックド核酸は本発明のアッセイ用プローブとして好適である。
4. 核酸沈澱剤
本発明で用いられる核酸沈澱剤は、核酸に吸着して凝集塊を形成させるものであれば特に限定されないが、鎖長の短い核酸よりも鎖長の長い核酸と選択的に結合するものが好ましい。すなわち、核酸沈澱剤としては、界面活性剤、ジヒドロキシベンゼン、ドデシル硫酸ナトリウム、ジイソブチルスルホコハク酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゼン、サルコシル(Sarkosyl)、及びSO4、PO4、Cl、HCOOとのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等が公知であるが、本発明においては、ハイドロキシアパタイト、ポリエチレンイミン、硫酸プロタミン、ポリ-L-リジン、及びジエチルアミノエチル デキストラン(DEAE dextran)が好ましい。ポリエチレンイミンは、特に重合度が40以下程度のものが好ましい。
使用する核酸沈澱剤の濃度や量は、各沈澱剤の性質によって決定される。例えば、重合度14のポリエチレンイミンであれば、濃度0.1M〜2M程度、添加量は反応液25μlに対して4〜200μg程度が好ましい。
核酸沈澱剤添加時の反応液のpHも各沈澱剤の性質によって決定されるが、一般的に6〜10が好ましい。これは反応液のpHが高すぎるとプローブが核酸にハイブリダイズしにくくなり、一方pHが低すぎると核酸のプロトン化によりB/F分離が低下するからである。
また、核酸沈澱剤添加時の反応液のイオン強度も各沈澱剤の性質によって決定されるが、一般的に0.15mol/l以下が好ましい、イオン強度が高すぎると沈澱剤と核酸の静電的相互作用が阻害され、十分な凝集塊の形成が望めないからである。
さらに、核酸沈澱剤添加時の温度は20〜70℃程度が好ましい。
5. 核酸ハイブリダイゼーションアッセイの具体的手順
本発明のアッセイの、インバーテッドリピート構造を有する核酸の調製から検出までの具体的な手順は以下の工程を含む。
1)鋳型核酸上の標的配列をLAMP法等を用いて増幅し、該標的配列とこれに相補的な配列とを同一鎖上に1回又は2回以上反復して含むインバーテッドリピート構造を有する核酸を得る工程;
2)上記インバーテッドリピート構造を有する核酸に、標的配列に特異的な核酸プローブをハイブリダイズさせる工程;
3)生成したハイブリッドに核酸沈澱剤を吸着させて凝集塊を形成させ、遊離の核酸プローブと分離する工程;及び
4)得られた凝集塊又は上清より、上記インバーテッドリピート構造を有する核酸又は該核酸中の標的配列を検出する工程。
5.1 標的配列の増幅
まず、鋳型核酸上の標的配列を増幅し、該標的配列とこれに相補的な配列とを同一鎖上に1回又は2回以上反復して含むインバーテッドリピート構造を有する核酸を得る。
例えば、生物試料中の特定遺伝子の検出であれば、周知の方法に従って細胞より全RNAあるいはmRNAを調製し、このmRNAを逆転写によりcDNAとして増幅してインバーテッドリピート構造を有する核酸を調製してもよい。解析対象とする核酸量が少ない場合には、さらに前記cDNAをT7RNAポリメラーゼによってcRNAとして増幅して用いてもよい。増幅方法としては、前述したX1c+X2の構造を有するプライマーを用いた増幅反応や、LAMP法を好適に用いることができる。
5.2 ハイブリダイゼーション
次に、インバーテッドリピート構造を有する核酸に、標的配列に特異的な核酸プローブをハイブリダイズさせる。ハイブリダイズさせる条件は特に限定されないが、通常50〜70℃で、5分程度インキュベートする。なお、あらかじめ反応液中に核酸プローブを添加して前記増幅反応を行った場合、前記増幅工程とハイブリダイゼーション工程はほぼ同時に進行する。
5.3 核酸沈澱剤の吸着
次いで、生成したインバーテッドリピート構造を有する核酸と核酸プローブとのハイブリッドに核酸沈澱剤を吸着させて凝集塊を形成し、遊離の核酸プローブと分離する。
前述のように、核酸沈澱剤は短鎖の核酸プローブより長鎖のインバーテッドリピート構造を有する核酸と核酸プローブのハイブリッドに選択的に吸着して、凝集塊を生じるため、良好なB/F分離が可能となる。
良好なB/F分離のための、核酸沈澱剤の濃度や添加量、あるいは反応液のpHやイオン強度は、前述したように用いる核酸沈澱剤の種類によって決定される。
5.4 検出
最後に得られた凝集塊又は上清よりインバーテッドリピート構造を有する核酸又は該核酸中の標的配列を検出する。
ここで、検出は定性的なものと定量的なものの両方を含む。例えば、前述したように、核酸プローブ又はインバーテッドリピート構造を有する核酸を適当な標識でラベルし、そのシグナル強度に基づいてインバーテッドリピート構造を有する核酸又は該核酸中の標的配列の検出、定量を行うことができる。シグナル強度の読み取りは、例えば、蛍光プレートリーダー polarion(TECAN社製)等、市販の装置を用いて常法に基づき実施することができる。得られたデータは、通常沈澱剤を添加しない時のシグナル強度に対する相対的値として評価することが好ましい。
一方、標的配列の有無等、定性的な検出であれば、凝集塊を除いた上清の目視確認によっても実施することが可能である。
後述する実施例から明らかなように、本発明のアッセイを用いれば、各標的配列又はこれに対応する核酸プローブを異なる標識でラベルすることにより、多検体を同時処理することも可能である。
5.5 その他
本発明のアッセイでは、核酸プローブがハイブリダイズしうる標的配列が試料中に存在しない場合においても、インバーテッドリピート構造を有する核酸と遊離の核酸プローブは核酸沈澱剤によって好適に分離される。そして、検出すべき標的配列の有無は、得られる凝集塊や上清を観察することにより判断できる。上記のような場合も、もちろん、本発明のハイブリダイゼーションアッセイの範囲に含まれるものとする。
6.親水性基材を用いた固相上でのB/F分離
本発明のアッセイでは、親水性基材を用いた固相上でB/F分離を行ってもよい。固相上でのB/F分離は、液相におけるB/F分離のように遠心による沈澱形成の必要がないため簡便である。
用いられる親水性基材としては、濾紙、ナイロンメンブレン、セルロースエステル類等の一般的にイムノクロマト法で用いられている基材を用いることができる。特に、その表面に負電荷が導入された基材(例えば日本ポール社製バイオダインCなど)が好ましい。例えば、インバーテッドリピート構造を有する核酸に、標的配列特異的核酸プローブと核酸沈澱剤を加えた反応液を、濾紙上にスポットして展開する。インバーテッドリピート構造を有する核酸と核酸プローブと核酸沈澱剤で形成される凝集塊と、遊離の核酸プローブは固相上での移動度が明確に異なるため、両者は容易に分離することができる。
前記方法では、親水性基材の適当な位置に、あらかじめ核酸沈澱剤をスポットしておいてもよい。インバーテッドリピート構造を有する核酸に標的配列特異的核酸プローブを加えた反応液を基材上で展開すると、核酸沈澱剤がスポットされている位置でインバーテッドリピート構造を有する核酸と核酸プローブと核酸沈澱剤との凝集塊が形成される。
あるいは、親水性基材の所定の位置に、あらかじめ核酸沈澱剤と標的核酸特異的核酸プローブをスポットして、インバーテッドリピート構造を有する核酸を展開してもよい。この場合、インバーテッドリピート構造を有する核酸が展開されるより前方位置に核酸プローブを、より後方位置に核酸沈澱剤をスポットしておくことが必要である。これにより、基材上で核酸プローブとハイブリダイズしたインバーテッドリピート構造を有する核酸が、さらに核酸沈澱剤のスポット位置まで移動し、凝集塊を形成することができる。凝集塊は、前項同様、核酸プローブあるいはインバーテッドリピート構造を有する核酸のいずれかを標識しておくことにより、容易に検出することができる。
7.標的配列のハイブリダイゼーションアッセイ用キット
本発明はまた、本発明のハイブリダイゼーションアッセイに用いられるキットを提供する。該キットは、以下のi)〜vi)の少なくとも一つ以上を含む。
i)以下の(a)及び/又は(b)のインナープライマー、若しくはそれらの標識物
(a) 鋳型核酸上の標的配列の3’側から該鋳型核酸上の3'末端方向に向かって、順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cを選択したとき、該F1cと同一の配列及び該F2cに相補的な配列F2を5’側から3’側にこの順で含むプライマー
(b) 鋳型核酸上の標的配列の5’側から該鋳型核酸上の5'末端方向に向かって、順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2を選択したとき、該R1に相補的配列R1c及び該R2と同一の配列R2を5'側から3’側にこの順で含むプライマー
ii)以下の(c)及び/又は(d)のアウタープライマー
(c) 鋳型核酸鎖上の任意配列F2cよりも3'末端方向に任意配列F3cを選択したとき、該F3cに相補的な配列F3を含むプライマー
(d) 鋳型核酸鎖上の任意配列R2よりも5'末端方向に任意配列R3を選択したとき、該R3と同一の配列を含むプライマー
iii)標的配列の少なくとも一部に相補的な配列、又は標的配列の少なくとも一部に相同な配列を含み、該配列又はその相補鎖に特異的にハイブリダイズしうる核酸プローブ、あるいはその標識物。
iv)核酸沈澱剤
v)鎖置換型の相補鎖合成反応を触媒するDNAポリメラーゼ
vi)要素v)の基質となるヌクレオチド、又はその標識物
ここで、前記核酸沈澱剤は、ハイドロキシアパタイト、ポリエチレンイミン、硫酸プロタミン、ポリ-L-リジン、及びジエチルアミノエチル デキストランからなる群より選ばれるいずれか一つ又は二つ以上であることが好ましい。
また上記キットは、LAMP増幅をより効率的に進めるために、以下の(e)及び/又は(f)のループプライマー、あるいはその標識物をさらに含んでいてもよい。
(e) インナープライマー上のF1c及びF2の間の任意配列に相補的な配列を含むプライマー
(f) インナープライマー上のR1c及びR2の間の任意配列に相補的な配列を含むプライマー
本発明のキットには、上記必須構成要素のほか、必要に応じて融解温度調整剤(例えば、ベタイン、トリメチルアミンN-オキシド等)、酵素反応に好適な条件を与える緩衝液、合成反応生成物の検出のために必要な他の試薬類を含んでいても良い。さらに、該キットは、1回の反応に必要な試薬を反応容器に分注した状態で供給するものであってもよい。
8.本発明のハイブリダイゼーションアッセイの利用
本発明のアッセイは微量な検出対象をその鎖長にかかわらず高感度かつ簡便に検出することができる。このアッセイは多検体同時処理が可能であるとともに、処理の自動化やリアルタイムモニタリングも可能である。したがって、生物試料中に含まれる微量な遺伝子の検出等、種々の核酸のハイブリダイゼーションアッセイへの応用が期待される。以下、そのような応用例について説明する。
(1)増幅産物と未反応プライマーを区別する方法
本発明のアッセイは、長鎖核酸と短鎖核酸の効果的な区別(分離)を可能とする。したがって、本発明のアッセイを利用すれば、核酸増幅反応における未反応プライマーとその伸長物(増幅産物)を効果的に区別することも可能である。
例えば、2.2の(1)に記載したX1c+X2構造を有するプライマーを用いた増幅法における該プライマー、あるいは同(2)に記載したLAMP法におけるインナープライマーやループプライマーを標識して増幅を行い、その反応液に核酸沈澱剤を添加すれば、得られた凝集塊や上清を観察することで、増幅産物と未反応プライマーを区別(分離)することが可能となる。
(2)SNP(一塩基多型)の検出方法
本発明のアッセイは、微量な標的遺伝子を効率良く増幅し、高感度に検出することを可能にする。したがって、ゲノム中の多型、特に一塩基多型の検出にも好適に利用することができる。一塩基多型の検出では、標的配列にマッチした核酸プローブと一塩基ミスマッチの核酸プローブを用意し、これらを同時にハイブリダイズさせ、後は前記した手順どおり核酸沈澱剤を加えてアッセイを行う。
以下、実施例を用いて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕 ポリエチレンイミン(PEI)による2検体同時検出
1.試験方法
PSA(prostate-specific antigen cDNA fragment;配列番号1)、λ-DNA(宝酒造;GenBank Accession No.J02459)の配列をもとに、LAMP用プライマーを設計し、LAMP反応を行った。LAMP反応は、鋳型核酸の熱変性を行わず、表1に示す反応液組成にて、65℃、60分反応させた。次いで、反応液に3’末端をFITC又はROCラベルした検出用プローブを各々40nMになるよう添加し、65℃で5分間インキュベートした。さらに1MのPEI(重合度14)を反応液25μlに対して1μl添加し、65℃で1分間インキュベートした。
Figure 0004560285
PSA用プライマー及びプローブ:
FIP; 5'-TGTTCCTGATGCAGTGGGCAGCTTTAGTCTGCGGCGGTGTTCTG-3'(配列番号5)
RIP; 5'-TGCTGGGTCGGCACAGCCTGAAGCTGACCTGAAATACCTGGCCTG-3'(配列番号6)
F3; 5'-TGCTTGTGGCCTCTCGTG-3'(配列番号7)
R3; 5'-GGGTGTGTGAAGCTGTG-3'(配列番号8)
probe; 5'-TTTCATCCTGAAGACACAGG-3'(3'末端はFITC標識;配列番号9)
(FIP、RIPはそれぞれForward Inner Primer、Reverese Inner Primerを、F3、R3はそれぞれForward Outer Primer、Reverse Outer Primerを示す。)
λ-DNA用プライマー及びプローブ:
FIP; 5'-TCCCCTCAGAACATAACATAGTAATGCGGTAAGTCGCATAAAAACCATTC-3'(配列番号10)
RIP; 5'-TGAAAATTCCCCTAATTCGATGAGGTCGGCGCATAGCTGATAACAAT-3'(配列番号11)
F3; 5'-GCTTATCTTTCCCTTTATTTTTGC-3'(配列番号12)
R3; 5'-GCTGATCGGCAAGGTGTTCT-3'(配列番号13)
probe;5'-CCATTCTTCATAATTCAATCCAT-3'(3'末端はROX標識;配列番号14)
2.検出
1)目視観察
チューブ内に堆積した沈澱物を蛍光イルミネーター(波長365nm)で励起して目視観察した。
2)蛍光測定
PEI 沈澱後の上清の蛍光強度を、蛍光プレートリーダー polarion(TECAN社製)を用いて以下の条件で測定した。
FITC測定条件 励起波長 485nm ; 測定波長 535nm
ROX測定条件 励起波長 560nm ; 測定波長 595nm
3.結果
1)目視観察
全てのチューブには、FITCラベルしたPSA用プローブとROXラベルしたλ-DNA用プローブが含まれているが、PSAのみが増幅されているチューブ(図1左)ではFITCの蛍光色(緑)が、λ-DNAのみが増幅されているチューブ(図1右)ではROXの蛍光色(赤)が目視確認できた。また、どちらも増幅されているチューブ(図1中)ではそれらの中間色(オレンジ)が目視確認できた。すなわち、LAMP産物のPEI沈澱により完全なB/F分離ができることが確認できた。
2)蛍光測定
各サンプルの相対蛍光強度(PEI無添加時の蛍光に対する、添加後の上清の蛍光強度比)を図2に示す。プローブが結合するLAMP産物が存在している上清では明らかに蛍光強度が減少しており、PEI沈澱により2検体の同時検出が可能なことが確認された。
〔実施例2〕 硫酸プロタミン及びポリ−L−リジンによるλ-DNAの検出
1.試験方法
実施例1と同様にしてPSA及びλ-DNAをLAMP増幅し、λ-DNAプローブのみを40nM添加し、65℃で5分間インキュベートした。次いで、10mg/ml 硫酸プロタミン(大和化成株式会社製)及び4M ポリ-L-リジン(Mw 4000-15000;Sigma社製)をそれぞれ反応液25μlに対して1μl添加し、65℃で1分間インキュベートした。
2.検出
沈澱後の上清の蛍光強度を、蛍光プレートリーダー polarion(TECAN社製)を用いてROC測定条件(励起波長 560nm ; 測定波長 595nm)で測定した。
3.結果
各サンプルの相対蛍光強度を図3に示す。この結果から、硫酸プロタミン、ポリ-L-リジンでもPEI同様のB/F分離が可能なことが確認できた。
〔実施例3〕B/F分離に対する温度の影響
1.試験方法
実施例1と同様にPSA及びλ-DNAをLAMP増幅し、PSA検出用プローブを40nMになるように添加した。この反応液25μlに、種々の温度条件下で1MのPEI(重合度14)を1μl添加し、1分間インキュベートした。
比較のため、LAMP産物を含まないPSA検出用プローブ溶液に同様の条件でPEIを添加しインキュベートした。
2.検出
沈澱後の上清の蛍光強度を、蛍光プレートリーダー polarion(TECAN社製)を用いて測定した。
3.結果
各サンプルの、相対蛍光強度を図4及び図5に示す。その結果、22℃、77℃、及び99℃では、PSAのLAMP産物では明らかなB/F分離の低下が確認され、沈澱剤添加時の温度は20〜70℃程度が好ましいと思われた。一方、LAMP産物を含まない溶液では、PEIとプローブ間の反応には温度依存性は認められず、遊離のプローブは核酸沈澱剤によって沈澱していないことが確認された。
〔実施例4〕 B/F分離に対する核酸沈澱剤(PEI)の濃度の影響
1.試験方法
実施例1と同様にPSA及びλ-DNAをLAMP増幅し、PSA検出用プローブを40nMになるように添加した。この反応液25μlに、種々の濃度のPEI(重合度14)を1μl添加し、65℃で1分間インキュベートした。
さらに重合度42のPEIを同様に種々の濃度でLAMP産物とPSA検出用プローブを含む反応液に添加しインキュベートした。
2.検出
沈澱後の上清の蛍光強度を、蛍光プレートリーダー polarion(TECAN社製)を用いて測定した。
3.結果
各サンプルの相対蛍光強度を図6及び図7に示す。その結果より、PEIの添加濃度が高すぎても低すぎてもB/F分離は不調になることが確認された。重合度14のPEIの場合、0.1〜2M程度が好ましい濃度と考えられた。また、遊離のプローブは、PEIによってほとんど沈澱しないことが確認された。
重合度42のPEI沈澱の結果から、PEIでは重合度が高くなると、B/F分離能が低下することが確認された。このB/F分離能の低下は、λDNA-LAMP産物に比べて、PSA-LAMP産物のほうが大きかったが、目視では明確な差違は確認できなかった。PEIについては、その重合度は40以下程度であることが好ましいと思われた。
〔実施例5〕 B/F分離に対する核酸沈澱剤(PEI)添加量の検討
1.試験方法
実施例1と同様にPSA及びλ-DNAをLAMP増幅し、PSA検出用プローブを40nMになるように添加した。この反応液25μlに、1MのPEI(重合度14)を様々に希釈し、希釈倍率分だけ添加量を増やして添加し、65℃で1分間インキュベートした。
2.検出
沈澱後の上清の蛍光強度を、蛍光プレートリーダー polarion(TECAN社製)を用いて測定した。
3.結果
各サンプルの相対蛍光強度を図8に示す。その結果、PEIの濃度が低くても添加量が多ければ良好なB/F分離が得られることが確認された。すなわち、良好なB/F分離には、PEIの濃度ではなく、反応液中に添加されるPEIの絶対量が重要であることが確認された。重合度14のPEIの場合、実施例4の結果とあわせて考えると、25μlの反応液に対して、PEIをおよそ4μg〜200μg添加することが好ましいと考えられた。
〔実施例6〕M13増幅系における鋳型非依存性プライマー伸張物の識別
プライマーの設計が不十分な場合、鋳型を含まないLAMP反応液を長時間反応させると、鋳型DNA配列に非依存性のプライマー伸張物が生成する場合がある。PEI沈澱法で、このプライマー伸張物と正規のLAMP産物との区別を試みた。
1.試験方法
まず、鋳型としてM13mp18(配列番号2)の配列をもとに、LAMP用プライマーを設計し、LAMP反応を行った。LAMP反応は、鋳型核酸の熱変性を行わず、実施例1と同様の反応液組成(表1)にて、65℃、180分反応させた。次いで、反応液に3’末端をFITCラベルしたLAMP産物検出用プローブ及びPrimer伸長物検出用プローブ を各々40nMになるように添加し、65℃で5分間インキュベートした。さらに1MのPEI(重合度14)を反応液25μlに対して1μl添加し、65℃で1分間インキュベートした。
M13用プライマー及びプローブ
FIP; 5'-CGACTCTAGAGGATCCCCGGGTACTTTTTGTTGTGTGGAATTGTGAGCGGAT-3'(配列番号15)
RIP; 5'-ACAACGTCGTGACTGGGAAAACCCTTTTTGTGCGGGCCTCTTCGCTATTAC-3'(配列番号16)
F3; 5'-ACTTTATGCTTCCGGCTCGTA-3'(配列番号17)
R3; 5'-GTTGGGAAGGGCGATCG-3'(配列番号18)
LAMP産物検出用probe; 5'-ACAGCTATGACCATGATTACG-3'
(3'末端はFITC標識;配列番号19)
primer伸張物検出用probe; 5'-GCGTAATAGCAAGAGGC-3'
(3'末端はFITC標識;配列番号20)
2.検出
沈澱後の上清の蛍光強度を、蛍光プレートリーダー polarion(TECAN社製)を用いて測定した。
3.結果
各サンプルの相対蛍光強度を図9に示す。その結果、正規のLAMP産物では上清の蛍光強度が減少したが、プライマー伸張物では上清の蛍光強度があまり減少しなかった。一方、プライマーにハイブリダイズ可能なプローブ(プライマーのR2部分の相補鎖)を用いた場合は、正規のLAMP産物でもプライマー伸張物でも上清の蛍光強度が減少した。したがって、本発明のアッセイにより、正規のLAMP産物とプライマー伸張物を識別できることが確認てきた。
〔実施例7〕 HBV増幅系におけるミスマッチの区別
1塩基のみが異なるプローブのPEI沈澱法による識別が可能か否かを検討した。
1.試験方法
まず、鋳型としてpBR322にクローニングしたHBV DNA(配列番号3)の配列をもとに、LAMP用プライマーを設計し、LAMP反応を行った。LAMP反応は、鋳型核酸の熱変性を行わず、実施例1と同様の反応液組成(表1)にて、60℃、60分反応させた。次いで、反応液に3’末端をFITCラベルしたマッチプローブ及びミスマッチプローブを各々40nMになるように添加し、25℃で5分間インキュベートした。さらに1MのPEI(重合度14)を反応液25μlに対して1μl添加し、25℃で1分間インキュベートした。
HBV用プライマー及びプローブ
FIP; 5'-CCTACACAGACGCCGCAAAATAGCCAACCTCTTGTCCTCCAA-3'(配列番号21)
RIP; 5'-CCTGCTGCTATGCCTCATCTTCTTTCCATACAACGGGCAAACAG-3'(配列番号22)
F3; 5'-AAATTCGCAGTCCCCAACC-3'(配列番号23)
R3; 5'-AGGTCCTTGTAGTTGGT-3'(配列番号24)
マッチプローブ
FL10; 5'-ATAGCCAGGA-3'(3'末端はFITC標識;配列番号25)
ミスマッチプローブ
FL10_a; 5'-ATAGCAAGGA-3'(3'末端はFITC標識;配列番号26)
FL10_t; 5'-ATAGCTAGGA-3'(3'末端はFITC標識;配列番号27)
FL10_g; 5'-ATAGCGAGGA-3'(3'末端はFITC標識;配列番号28)
2.検出
沈澱後の上清の蛍光強度を、蛍光プレートリーダー polarion(TECAN社製)を用いて測定した。
3.結果
各サンプルの相対蛍光強度を図10に示す。その結果、プローブ内に1塩基のミスマッチを導入しても、ミスマッチがある場合(FL10_a, t, g)とマッチしている場合(FL10)を本発明のアッセイで区別できることが確認された。また、プローブが短くて融解温度(Tm)が低い場合(FL10のTmは28.5℃)でも、PEI添加時の温度を下げることで、良好な識別が可能なことが確認された。以上より、PEIは、良好なB/F分離を可能にすることが明らかになった。すなわち、LAMP反応でSNP部位を含む領域を増幅した後、そのSNPを認識するプローブ及びPEIを反応させることにより、SNPの識別が可能であることが確認された。
〔実施例8〕 B/F分離に対するイオン強度の影響
1.試験方法
LAMP反応液を常法にしたがってフェノール-クロロフォルム抽出及びエタノール沈澱し精製した(この時点でイオン強度はゼロと見なした)。そのLAMP産物に対して、任意のイオン強度となるようにKCl溶液を添加した。その後、実施例1と同様の方法でPSAとλ-DNAについてPEI沈澱を行った。
2.検出
沈澱後の上清の蛍光強度を、蛍光プレートリーダー polarion(TECAN社製)を用いて測定した。
3.結果
各サンプルの相対蛍光強度を図11に示す。イオン強度が高いと、B/F分離能が低下する。これは、イオン強度が高いとPEIとDNA間の静電的相互作用が阻害され、十分な沈澱形成反応が起こらないためと思われる。この結果から、良好なB/F分離には、イオン強度は少なくとも0.15以下であることが必要であることが確認された。
〔実施例9〕 B/F分離に対するpHの影響
PEI沈澱法によるB/F分離の効率へのpHの影響を調べた。
1.試験方法
実施例1と同様にPSA及びλ-DNAをLAMP増幅し、種々の濃度の希HClあるいはKOH水溶液を5μl添加した。そこにPSA検出用プローブを40nMになるように添加して65℃で5分間インキュベート後、その反応液25μlに1MのPEI(重合度14)を1μl添加し、65℃で1分間インキュベートした。なお、用いた蛍光色素(FITC)の蛍光強度がpH依存性を持つので、コントロール(PEI無添加)のpHも各サンプルと同じpHとなるように調整した。
2.検出
沈澱後の上清の蛍光強度を、蛍光プレートリーダー polarion(TECAN社製)を用いて測定した。
3.結果
各サンプルの相対蛍光強度を図12に示す。PHが高い場合、極端なB/F分離能の低下が認められた。これは、pHが高いためプローブがLAMP産物にハイブリしなくなったためと思われる。PHが低い場合もわずかにB/F分離能が低下した。これは、DNAのリン酸基がプロトン化することでその負電荷が減少したためと思われた。PEIがプロトン化すれば、その正電荷は増加するはずなので、良好なB/F分離を得るためには、DNAの負電荷量とPEIの正電荷量(両者のpKaによる)に至適の範囲があると推定される。本実施例の場合、およそpHが6から10の範囲が至適であると考えられた。
〔実施例10〕 ペプチド核酸プローブ用いたPEI沈澱
DNAプローブ自身もLAMP産物同様に負電荷を持つので、ある程度はPEIと結合してしまう。これは、本検出法のバックグランドノイズとなる。ペプチド核酸は、負電荷を持たないという点で、DNAプローブより本検出法に用いるプローブとして適している可能性がある。そこで、蛍光標識したペプチド核酸をプローブとした同様の実験を試みた。
1.試験方法
まず、鋳型としてk-Ras(配列番号4)の配列をもとに、LAMP用プライマーを設計し、LAMP反応を行った。LAMP反応は、鋳型核酸の熱変性を行わず、実施例1と同様の反応液組成(表1)にて、60℃、60分反応させた。次いで、反応液に3’末端をFITCラベルしたペプチド核酸(PNA)プローブを40nMになるように添加し、65℃で5分間インキュベートした。さらに1MのPEI(重合度14)を反応液25μlに対して1μl添加し、65℃で1分間インキュベートした。
比較のため、同様にPSAのLAMP産物にペプチド核酸プローブとPEIを添加し、検出を行った。
k-RAS用プライマー及びプローブ
FIP; 5'-CTACGCCACCAGCTCCAACTTTTTATAAGGCCTGCTGAAAATGACT-3'(配列番号29)
RIP; 5'-CAAGAGTGCCTTGACGATACAGCTTTACCTCTATTGTTGGATCATATTCG-3'(配列番号30)
F3; 5'-TGTATTAACCTTATGTGTGACATGTTC-3'(配列番号31)
R3; 5'-ATCAAAGAATGGTCCTGCAC-3'(配列番号32)
Probe 5'-TACGCCACCAGCTCC-3'(FITCラベル;配列番号33)
PNAプローブの蛍光標識法
100mM リン酸buffer (pH7.0)中 で10μMのPNA probe及び10uMの Fluorescein Succinimidyl Ester を混合し、遮光下、37℃で2h反応を行った。この反応液をDWで10倍希釈し1μMのFITC-PNAとして実験に用いた。
2.検出
沈澱後の上清の蛍光強度を、蛍光プレートリーダー polarion(TECAN社製)を用いて測定した。
3.結果
各サンプルの相対蛍光強度を図13に示す。その結果、ペプチド核酸のプローブを用いても、良好なB/F分離が達成できることが確認された。
〔実施例11〕親水性基材(濾紙)を利用した固相上でのB/F分離
液相でのB/F分離では、PEI-DNA複合体を遠心して沈澱形成させてから目視観察する必要がある。そこで、濾紙のような親水性基材を利用した固相上でのB/F分離を以下の3つの方法;(1)プローブ-LAMP産物-PEI混合液を基材に展開する方法、(2)PEIをあらかじめ基材にスポットしておく方法、(3)PEIとプローブをあらかじめ基材にスポットしておく方法、で試みた。
LAMP反応液として、実施例1と同様の方法でPSA及びλ-DNAをLAMP増幅したものを用いた。またプローブとして、PSA及びλ-DNAのそれぞれについて、蛍光プローブ(FITC(緑色)又はROX(赤)標識)と呈色プローブ(SACY5又はSACGP標識)を作製した。SACY5は、Cy5化Strept avidin(フナコシ社;Cy5/streptavidin=2〜8;青色)、SACGPは、Streptavidin Colloidal Gold Particle(コスモバイオ社;直径15nm;桃色)である。呈色用プローブは、3'biotin化したそれぞれのプローブに各呈色試薬を反応させることにより合成した。
蛍光プローブ
PSA: 5'-TTTCATCCTGAAGACACAGG-FITC (配列番号34)
λ: 5'-ATGGATTGAATTATGAAGAATG-ROX (配列番号35)
呈色プローブ
PSA: 5- TTTCATCCTGAAGACACAGG-SACY5 (配列番号34)
λ: 5'-ATGGATTGAATTATGAAGAATG-SACGP (配列番号35)
(1)プローブ-LAMP産物-PEI混合液を基材に展開する方法
LAMP反応液に、PSA用プローブ及びλ用プローブをそれぞれ1.6pmol、PEI(重合度14)0.4μmolを加えた。その液を濾紙片(ADVANTEC No1)の中心にスポットし、室温で数分放置後スポット部分を観察した。
蛍光プローブを用いた場合は、蛍光イルミネータ(365nm)上で目視観察した(図14上)。PSAのみ含む試料ではPSA検出用プローブの蛍光色(緑)、λ-DNAのみ含む試料ではλ-DNA検出用プローブの蛍光色(赤)、PSAとλ-DNAを共に含む試料では両蛍光色が混ざった色(橙色)が観察された。
呈色プローブを用いた場合、PSAのみ含む試料ではPSA検出用プローブの呈色(青)、λ-DNAのみ含む試料ではλ-DNA検出用プローブの呈色(桃色)が観察された(図14下)。
(2)PEIをあらかじめ基材にスポットしておく方法
PEI(重合度233)2μmolをあらかじめ濾紙(帯状;日本ポール社バイオダインC)上にスポットして乾燥させ、その一端にλ用呈色プローブを加えたLAMP反応液を滴下して展開し、PEIスポット部でのシグナルを観察した。
λ-DNAのLAMP反応液では、λ-DNA検出用プローブの呈色(桃色)が観察された(図15上)。対応するプローブがないPSAのLAMP反応液やLAMP産物を含まないNegative Contorolでは呈色は観察されなかった(図15中及び下)。
(3)PEIとプローブをあらかじめ基材にスポットしておく方法
λ用蛍光プローブ40pmolとPEI(重合度14)0.4μmolをあらかじめ濾紙(帯状;日本ポール社バイオダインC)上にスポットして乾燥させ、そこにLAMP反応液を滴下して展開した(LAMP産物は、プローブスポット部を通過してからPEI スポット部に達する)。上下どちらの基材にもλ用蛍光プローブがスポットしてある。λ-DNA産物を展開した場合は、PEIスポット部にλ用蛍光プローブの発色が見られた(白黒撮影のため黒いバンドとして観察されている)。一方、PSA産物を展開した場合は、バンドが観察されなかった。なお、ここで用いたバイオダインCは、表面に負電荷を導入した基材であり、こうした基材が本発明の実施には好ましいと思われた。
本発明のハイブリダイゼーションアッセイはB/F分離が容易で、微量な標的核酸をその鎖長にかかわらず高感度かつ簡便に検出することができる。したがって該方法は、多検体同時処理、自動処理、リアルタイムモニタリングに利用できる。また、本方法を固相上で行った場合は、B/F分離から検出までの工程が極めて容易になり、特別な装置を一切用いることなく検出操作が行える。このようなシステムは、現在強く開発が望まれている遺伝子Point of care test(POCT)システムへの応用が期待される。
図1は、PEI沈澱の蛍光イルミネータ(365nm)上での観察結果を示す写真である。(チューブ左;PSAのみのLAMP反応液、チューブ中;PSAとλ-DNAのLAMP反応液の混合液(1:1)、チューブ右;λ-DNAのLAMP反応液) 図2は、PEI沈澱後の相対蛍光強度を示すグラフである。グラフ中、1,4はPSAのLAMP反応液、2,5はPSAとλ-DNA増幅液の混合液(1:1)、3,6はλ-DNAのLAMP反応液の測定結果(白抜きはFTIC条件、黒はRox条件)を示す。 図3は、硫酸プロタミン及びポリ-L-リジン沈澱後の相対蛍光強度を示すグラフである。グラフ中、1,4はPSAのLAMP反応液、2,5はPSAとλ-DNA増幅液の混合液(1:1)、3,6はλ-DNAのLAMP反応液の測定結果(白抜きは硫酸プロタミン添加、黒はポリ-L-リジン添加を表す。Rox条件で測定。)を示す。 図4は、PEI沈澱法に及ぼすPEI添加時の温度の影響を示すグラフである。 図5は、LAMP産物を含まないPSA検出用プローブ溶液における、PEI沈澱法に及ぼすPEI添加時の温度の影響を示すグラフである。 図6は、重合度14のPEIを用いたPSA-LAMP産物のPSA検出用プローブによる識別結果を示すグラフである。 図7は、重合度42のPEIを用いたPSA-LAMP産物のPSA検出用プローブによる識別結果を示すグラフである。 図8は、PEI沈澱法に及ぼすPEI添加量の影響を示すグラフである。 図9は、M13増幅系におけるLAMP産物とプライマー伸張物のPEI沈澱法による識別結果を示すグラフである。 図10は、1塩基のみ異なるプローブのPEI沈澱法による識別結果を示すグラフである。グラフ中、FL10はマッチプローブ、FL10_a、FL10_t、FL10_gは1塩基ミスマッチプローブを示す。 図11は、PEI沈澱法に及ぼすイオン強度(KCl濃度)の影響を示すグラフである。 図12は、PEI沈澱法に及ぼすpHの影響を示すグラフである。 図13は、k-ras及びPSAのLAMP産物のペプチド核酸プローブ(k-ras検出用)を用いたPEI沈澱法の結果を示すグラフである。 図14は、プローブ-LAMP産物-PEI混合液を濾紙上で展開した結果を示す写真である。14上図は蛍光プローブを用いた結果であり、14下図は呈色プローブを用いた結果である。 図15は、プローブ-LAMP産物混合液を、PEIをスポットした濾紙上で展開した結果を示す画像である。 図16は、LAMP反応液を、プローブ及びPEIをスポットした濾紙上で展開した結果を示す画像である。
配列番号5−人工配列の説明:プライマー
配列番号6−人工配列の説明:プライマー
配列番号7−人工配列の説明:プライマー
配列番号8−人工配列の説明:プライマー
配列番号9−人工配列の説明:プローブ
配列番号10−人工配列の説明:プライマー
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配列番号34−人工配列の説明:プローブ
配列番号35−人工配列の説明:プローブ

Claims (19)

  1. LAMP法により提供される増幅産物に、該増幅産物中の標的配列に特異的な核酸プローブをハイブリダイズさせ、生成したハイブリッドに塩基性ポリマー及び/又はハイドロキシアパタイトを吸着させて凝集塊を形成させることにより、前記増幅産物と遊離の核酸プローブを分離することを特徴とする、ハイブリダイゼーションアッセイ。
  2. 凝集塊又は上清より前記増幅産物又は該増幅産物中の標的配列の検出を行うことを特徴とする、請求項1記載のハイブリダイゼーションアッセイ。
  3. 前記増幅産物が、以下のプライマー(a)及び(b)を用いたLAMP法によって提供される、請求項1又は2記載のアッセイ。
    (a) 鋳型核酸上の標的配列の3'側から該鋳型核酸上の3'末端方向に向かって、順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cを選択したとき、該F1cと同一の配列及び該F2cに相補的な配列F2を5'側から3'側にこの順で含むプライマー
    (b) 鋳型核酸上の標的配列の5'側から該鋳型核酸上の5'末端方向に向かって、順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2を選択したとき、該R1に相補的配列R1c及び該R2と同一の配列R2を5'側から3'側にこの順で含むプライマー
  4. 前記増幅産物と遊離の核酸プローブを親水性基材上で分離することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のアッセイ。
  5. 親水性基材上にあらかじめ塩基性ポリマー及び/又はハイドロキシアパタイトがスポットされていることを特徴とする、請求項記載のアッセイ。
  6. 親水性基材上にあらかじめ核酸プローブと塩基性ポリマー及び/又はハイドロキシアパタイトがスポットされていることを特徴とする、請求項記載のアッセイ。
  7. 親水性基材が濾紙、ナイロンメンブレン、又はセルロースエステルである、請求項4〜6のいずれか1項に記載のアッセイ。
  8. 以下の工程を含む、ハイブリダイゼーションアッセイ:
    1)鋳型核酸上の標的配列をLAMP増幅し、増幅産物を得る工程;
    2)前記増幅産物に、該増幅産物中の標的配列に特異的な核酸プローブをハイブリダイズさせる工程;
    3)生成したハイブリッドに塩基性ポリマー及び/又はハイドロキシアパタイトを吸着させて凝集塊を形成させ、遊離の核酸プローブと分離する工程;及び
    4)得られた凝集塊又は上清中の標識のシグナル強度に基づいて、前記増幅産物の有無を検出する工程。
  9. 前記増幅産物中の標的配列又は核酸プローブが標識されており、該標識に基づいて前記増幅産物又は該増幅産物中の標的配列の検出を行う、請求項1〜のいずれか1項に記載のアッセイ。
  10. 核酸プローブが標識されており、該プローブの標識に基づいて前記増幅産物又は該増幅産物中の標的配列の検出を行う、請求項1〜のいずれか1項に記載のアッセイ。
  11. 鋳型核酸上の標的配列を、標識プライマー又は標識核酸基質を用いて増幅することにより、前記増幅産物中の標的配列を標識し、該標識に基づいて前記増幅産物又は該増幅産物中の標的配列の検出を行う、請求項3〜のいずれか1項に記載のアッセイ。
  12. 塩基性ポリマーが、ポリエチレンイミン、硫酸プロタミン、ポリ-L-リジン、及びジエチルアミノエチルデキストランからなる群より選ばれるいずれか一つ又は二つ以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のアッセイ。
  13. 核酸プローブがペプチド核酸、又はロックド核酸である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のアッセイ。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のアッセイを利用することにより、標的配列の増幅産物と、該標的核酸を増幅するための未反応プライマーとを区別する方法。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のアッセイを利用することにより、標的配列中の一塩基多型を検出する方法。
  16. 以下のi)〜vi)を含む、ハイブリダイゼーションアッセイ用キット。
    i)以下の(a)及び(b)のインナープライマー、若しくはそれらの標識物
    (a) 鋳型核酸上の標的配列の3'側から該鋳型核酸上の3'末端方向に向かって、順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cを選択したとき、該F1cと同一の配列及び該F2cに相補的な配列F2を5'側から3'側にこの順で含むプライマー
    (b) 鋳型核酸上の標的配列の5'側から該鋳型核酸上の5'末端方向に向かって、順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2を選択したとき、該R1に相補的配列R1c及び該R2と同一の配列R2を5'側から3'側にこの順で含むプライマー
    ii)以下の(c)及び/又は(d)のアウタープライマー
    (c) 鋳型核酸鎖上の任意配列F2cよりも3'末端方向に任意配列F3cを選択したとき、該F3cに相補的な配列F3を含むプライマー
    (d) 鋳型核酸鎖上の任意配列R2よりも5'末端方向に任意配列R3を選択したとき、該R3と同一の配列を含むプライマー
    iii)標的配列の少なくとも一部に相補的な配列、又は標的配列の少なくとも一部に相同な配列を含み、該配列又はその相補鎖に特異的にハイブリダイズしうる核酸プローブ、あるいはその標識物
    iv)塩基性ポリマー及び/又はハイドロキシアパタイト
    v)鎖置換型の相補鎖合成反応を触媒するDNAポリメラーゼ
    vi)要素v)の基質となるヌクレオチド、又はその標識物
  17. さらに、以下の(e)及び/又は(f)のループプライマー、あるいはその標識物を含む、請求項16記載のキット。
    (e) インナープライマー上のF1c及びF2の間の任意配列に相補的な配列を含むプライマー
    (f) インナープライマー上のR1c及びR2の間の任意配列に相補的な配列を含むプライマー
  18. 塩基性ポリマーが、ポリエチレンイミン、硫酸プロタミン、ポリ-L-リジン、及びジエチルアミノエチル デキストランからなる群より選ばれるいずれか一つ又は二つ以上である、請求項16又は17記載のキット。
  19. 請求項1に記載のハイブリダイゼーションアッセイに使用するための、請求項16〜18のいずれか1項記載のキット。
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