JP4559989B2 - エコー抑圧方法、エコー抑圧プログラム、記録媒体 - Google Patents
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Description
・スピーカへの出力口である放射端からマイクロホンからの入力である送入端に至るエコー伝達経路をディジタルフィルタで模擬したフィルタ係数hで参照信号xをフィルタリングすることでエコー成分を模擬するエコー推定信号yを生成し、送入端から入力する所望信号dからエコー推定信号yを差し引くことでエコー成分を消去する。
・送入端から入力する所望信号dからエコー推定信号yを差し引いた結果である誤差信号eに抑圧係数決定手段で決定した抑圧係数c(0≦c≦1)を乗じることで誤差信号eの振幅を抑圧する。こうすることで、フィルタ係数hと実際のエコー経路に誤差があるために誤差信号eの振幅が十分小さくならない状況においても送出信号fを小さく保つことができる。
・受信端16から入力された参照信号xを放射端17に入力する。
・エコー推定信号生成部11において、参照信号xをフィルタ係数バッファ15内のフィルタ係数hによって設定されたフィルタ特性によりフィルタリングしエコー推定信号yを生成する。
・抑圧係数決定部14において、エコー推定信号y、所望信号dと誤差信号eから抑圧係数cを求める。
・乗算器13において、誤差信号eに抑圧係数cを乗じることで送出信号fを生成する。
・送出信号fを送出端19より出力する。
ステップ(S1)参照信号xを放射出力とする。
ステップ(S2)参照信号xをフィルタリングしエコー推定信号yを生成する。
ステップ(S3)所望信号dからエコー推定信号yを引き誤差信号eを生成する。
ステップ(S4)エコー推定信号y、所望信号dと誤差信号eから抑圧係数cを求める。
ステップ(S5)誤差信号eに抑圧係数cを乗じることで送出信号fを生成する。
ステップ(S6)送出信号fを送出出力信号とし、ステップS1にもどる。
・参照信号x、エコー推定信号y、所望信号dと誤差信号eのレベルをそれぞれ参照信号xのレベルPx、エコー推定信号yのレベルPy、所望信号dのレベルPd、誤差信号eのレベルPeとして求める。ある信号zのレベルPzを求める手順は、関数f(z)を|z|や|z|の対数やべき乗など|z|と正の相関がある関数として、f(z)の時間に関する積分と正の相関があるように定める。例えば、w0、w1、…を重み係数として、
Pz(k)=w0f(z(k))+w1f(z(k-1))+… (P-upd1)
によるf(z)の重み付け平均、あるいは、max{}を{}内の値の最大値を取る関数として、
Pz(k)=max{w0f(z(k)),w1f(z(k−1))、…} (P-upd2)
による最大値、あるいは、
Pz(k)=λPz(k−1)+(1−λ)max{Pz(k−1)、f(z(k))} (P-upd3)
による指数重み付け最大値とする。ただし、λは忘却係数で0以上1以下である。
・所望信号dのノイズのレベルPnを所望信号レベルPyあるいは誤差信号レベルPeから求める。簡単なノイズレベル測定手段として所望信号レベルPdあるいは誤差信号レベルPeの時間的あるいは周波数的な最小値を選択することが知られている。なお、ここでノイズとは空調音や電気回路における熱雑音のような定常的に所望信号dに混入する信号である。
・参照信号xがどの程度誤差信号eにエコーとして戻るかを示す結合量Aを、誤差信号レベルPeからノイズレベルPnを差し引いた量を参照信号レベルPxで除した、
A=(Pe−αn・Pn)/Px (COUPLING)
により求める。ただし、αnは結合量ノイズ重み係数である。
・所望信号dからエコー推定信号yを差し引いたことによりどの程度エコーが消去できたかを示す消去量rを、誤差信号レベルPeからノイズレベルPnを差し引いた量を推定信号レベルPyあるいは所望信号レベルで除した、
r=(Pe−αr・Pn)/Py または (Pe−αr・Pn)/Pd (Reduction)
により求める。ただし、αrは消去量ノイズ重み係数である。
・誤差信号に含まれるエコー以外の成分の推定値である目標送出信号レベルPsを、結合量Aに参照信号レベルPxを乗じたものにノイズレベルPnを加えたものか(特許文献1、特許文献2)、誤差レベルから消去量rに推定信号レベルPyあるいは所望信号レベルPdを乗じたものを差し引いて
Ps=A・Px+Pn または Pe−r・Py または Pe−r・Pd (SndLvl)
により求める(非特許文献1)。
・誤差信号レベルPeを目標送出信号レベルPsに変換する係数である抑圧係数cを、目標送出信号レベルPsを誤差信号レベルPeで除した、
cTmp=Fc(Ps/Pe) (Cmprs-1)
c=αc・c+(1−αc)cTmp (Cmprs-2)
により求める。ここで式中Fc()は線形関数やステップ関数などの単調増加関数、αcは抑圧係数平滑化係数である。
上記従来の手順に基づくエコー抑圧装置1中の抑圧係数決定部14の内部構成を図6に示す。この抑圧係数決定部14では、各処理部において以下の処理を行う。すなわち、
・レベル計算部141において、参照信号x、エコー推定信号y、所望信号dと誤差信号eのレベルを式(P-upd1)、(P-upd2)、(P-upd3)によりそれぞれ参照信号レベルPx、エコー推定信号レベルPy、所望信号レベルPdと誤差信号レベルPeとして求める。
・ノイズレベル推定部142において所望信号dのノイズのレベルPnを所望信号レベルPyあるいは誤差信号レベルPeから求める。
・結合量推定部143において、結合量Aを式(COUPLING)により求める。
・消去量計算部144において、消去量rを式(Reduction)により求める。
・送話レベル推定部145において目標送出信号レベルPsを(SndLvl)により求める。
・抑圧係数算出部146において抑圧係数cを式(Cmprs-1)と(Cmprs-2)により求める。
ステップ(S141)参照信号x、エコー推定信号y、所望信号dと誤差信号eのレベルを式(P-upd1)、(P-upd2)、(P-upd3)によりそれぞれ参照信号レベルPx、エコー推定信号レベルPy、所望信号レベルPdと誤差信号レベルPeとして求める。
ステップ(S142)所望信号dのノイズのレベルPnを所望信号レベルPyあるいは誤差信号レベルPeから求める。
ステップ(S143)結合量Aを式(COUPLING)により求める。
ステップ(S144)消去量rを式(Reduction)により求める。
ステップ(S145)目標送出信号レベルPsを式(SndLvl)により求める。
ステップ(S146)抑圧係数cを式(Cmprs-1)と(Cmprs-2)により求める。
Ps=wpn・Pn+wpe・Pcnst (Sw-1)
によりノイズレベルPnあるいは小さな値の定数に比例させることにより抑圧係数cを小さな値にする。ただし、wpnは目標レベルノイズ重み係数、wpeは目標レベル誤差重み係数、Pcnstは目標定数レベルであり、0≦wpn≦2、0≦wpe≦1、また、Pcnstはエコーとして十分に小さいレベルである。Pcnstは図2に示す定数発生部151に設定される。
r≦rth (SE-cond1)
が成立するか、結合量と参照信号レベルから予期されるより大きな誤差信号レベルがないことを示す、
mgn(A・Px+Pn)>Pe (SE-cond2)
が成立するかにより行う。ただし、rthは消去量閾値で0.5から0.8程度の値であり
、mgnはエコー検出マージンで0から20程度の値である。
Ps=Pe (Sw-2)
により誤差レベルPeにすることにより抑圧係数cを1あるいは1に近い値にする。
・受信端16から入力された参照信号xを放射端17に出力する。
・エコー推定信号生成部11において、エコー伝達経路を模擬するフィルタ係数hを算出し、このフィルタ係数hに従って参照信号xをフィルタリングしエコー推定信号yを生成する。
・差分器12において送入端18から入力された所望信号dからエコー推定信号yを差し引き誤差信号eを生成する。
・抑圧係数決定部14において、参照信号x、エコー推定信号y、所望信号dと誤差信号eから抑圧係数cを求める。
・乗算器13において、誤差信号eに抑圧係数cを乗じることで送出信号fを生成する。
・送出信号fを送出端19より出力する。
本発明の特徴は図2及び図3に示す処理を行う点にある。
・図2に示すレベル計算部141において、参照信号x、エコー推定信号y、所望信号d、誤差信号eのレベルを式(P-upd1)、(P-upd2)、(P-upd3)によりそれぞれ参照信号レベルPx、エコー推定信号レベルPy、所望信号レベルPdと誤差信号レベルPeとして求める。
・ノイズレベル推定部142において所望信号dのノイズのレベルPnを所望信号レベルPyあるいは誤差信号レベルPeから求める。
・結合量推定部143において、結合量Aを式(COUPLING)により求める。
・消去量計算部144において、消去量rを式(Reduction)により求める。
・減衰部149において式(Sw-2)によりスイッチ148の片方の入力を生成する。
・加算器150において式(Sw-1)によりスイッチ148のもう片方の入力を生成する。
・送話・エコー判定部147において式(SE-cond1)と(SE-cond2)により誤差信号eにおいてエコーと送話音声のどちらが優勢かを判定し、送話が優勢な場合は減衰部149の出力を、またエコーが優勢な場合には加算器150の出力をスイッチ148が選択し抑圧係数算出部146に入力する。
・抑圧係数算出部146において、式(cmpr-1)と(cmpr-2)により抑圧係数cを求める。
ステップ(S1)参照信号xを放射出力とする。
ステップ(S2)参照信号xをフィルタリングしエコー推定信号yを生成する。
ステップ(S3)所望信号dからエコー推定信号yを引き誤差信号eを生成する。
ステップ(S4)参照信号x、エコー推定信号y、所望信号dと誤差信号eから抑圧係数cを求める。
ステップ(S5)誤差信号eに抑圧係数cを乗じることで送出信号fを生成する。
ステップ(S6)送出信号fを送出出力信号とし、ステップS1にもどる。
なるステップを有し、図7に示したステップS4において図3に示す処理を行うことを特徴とする。すなわち、
ステップ(S141)参照信号x、エコー推定信号y、所望信号dと誤差信号eのレベルを式(P-upd1)、(P-upd2)、(P-upd3)によりそれぞれ参照信号レベルPx、エコー推定信号レベルPy、所望信号レベルPdと誤差信号レベルPeとして求める。
ステップ(S142)所望信号dのノイズレベルPnを所望信号レベルPyあるいは誤差信号レベルPeから求める。
ステップ(S143)結合量Aを式(COUPLING)により求める。
ステップ(S144)消去量rを式(Reduction)により求める。
ステップ(S149)式(SE-cond1)あるいは式(SE-cond2)が成立するときには、式(Sw-1)により、それ以外の場合は式(Sw-2)により目標送出信号レベルPsを求める。
ステップ(S146)抑圧係数cを式(Cmprs-1)と(Cmprs-2)により求める。
・ステップ(S31)を第一周波数領域変換部31で実行することにより周波数領域参照信号Fxを得る。
・ステップ(S32)を第二周波数領域変換部32で実行することにより周波数領域エコー推定信号Fyを得る。
・ステップ(S33)を第三周波数領域変換部33で実行することにより周波数領域所望信号Fdを得る。
・ステップ(S34)を第四周波数領域変換部34で実行することにより周波数領域誤差信号Feを得る。
・抑圧係数決定部14の入力信号を参照信号xに替え周波数領域参照信号Fx、所望信号dに替え周波数領域所望信号Fd、エコー推定信号yに替え周波数領域エコー推定信号Fy、また、誤差信号eに替え周波数領域誤差信号FeとしてステップS4と同一の処理を行うステップS4F(図5)を抑圧係数決定部14で実行することで抑圧係数cを各周波数領域毎に得る。
・上記抑圧係数cを上記周波数領域誤差Feの各周波数領域に適用するステップS5F(図5)を乗算器13で実行することにより周波数領域送出信号Ffを生成する。
・乗算器13の乗算結果は必要に応じて逆周波数領域変換部35(図4)で時間領域信号に変換し、送出信号とする。
3 マイクロホン 11 エコー推定信号生成部
12 差分器 13 乗算器
14 抑圧係数決定部 15 フィルタ係数バッファ
16 受信端 17 放射端
18 送入端 19 送出端
31 第一周波数領域変換部 32 第二周波数領域変換部
33 第三周波数領域変換部 34 第四周波数領域変換部 35 逆周波数領域変換部 141 レベル計算部
142 ノイズレベル推定部 143 結合量推定部 144 消去量計算部 145 送話レベル推定部
146 抑圧係数算出部 147 送話・エコー判定部
148 スイッチ 149 減衰部
150 加算器 151 定数発生部
Claims (4)
- 参照信号を放射出力する放射出力処理と、
所望信号を取り込む送入処理と、
上記参照信号をフィルタリングしエコー推定信号を生成するエコー推定信号生成処理と、
所望信号から上記エコー推定信号を差し引き誤差信号を生成する差分処理と、
上記エコー推定信号と、上記所望信号と、上記誤差信号とから抑圧係数を求める抑圧係数算出処理と、
上記誤差信号に上記抑圧係数を乗じることで送出信号を生成する乗算処理と、
上記送出信号を送出出力信号として出力する送出出力処理とを実行し、上記放射出力処理にもどるエコー抑圧方法において、
上記抑圧係数算出処理は、
上記参照信号と上記エコー推定信号と上記所望信号と上記誤差信号の各レベルを求めるレベル計算処理と、
上記所望信号のノイズのレベルを上記所望信号レベルあるいは上記誤差信号レベルから求めるノイズレベル推定処理と、
上記参照信号レベルに対する平均的な上記誤差レベルである結合量を求める結合量推定処理と、
上記誤差信号レベルから上記ノイズレベルに重み付けした値を減算した値を上記エコー推定信号レベル又は上記所望信号レベルで除した結果をエコーの消去量とする消去量計算処理と、
上記エコーの消去量が所定の閾値以下であるという条件を第一条件とし、上記結合量と上記参照信号レベルとの積に上記ノイズレベルを加算した値に所定の定数をかけた値が上記誤差信号レベルより大であるという条件を第二条件とし、上記第一条件及び上記第二条件が成立するか判定する送話・エコー判定処理と、
上記第一条件と上記第二条件との少なくとも一方が成立する場合には目標送出信号レベルを上記ノイズレベルと定数の加重和に、上記第一条件と上記第二条件との両方が成立しない場合には目標送出信号レベルを上記誤差信号レベルにする減衰処理と、
上記目標送出信号レベルに比べて上記誤差信号レベルが大きいほど小さな抑圧係数を求める抑圧係数算出処理と、
を含むことを特徴とするエコー抑圧方法。 - 請求項1記載のエコー抑圧方法において、上記参照信号と、上記所望信号と、上記エコー推定信号と、上記誤差信号のそれぞれは周波数領域変換処理によって周波数領域参照信号、周波数領域所望信号、周波数領域推定信号、周波数領域誤差信号とされ、これら周波数領域信号が上記レベル計算処理と、ノイズレベル推定処理と、結合量推定処理と、消去量計算処理と、送話・エコー判定処理と、減衰処理と、抑圧係数算出処理されて各周波数領域毎に抑圧係数を算出し、各周波数領域毎に求めた抑圧係数を上記誤差信号の各周波数領域毎に乗算処理し、送出信号とすることを特徴とするエコー抑圧方法。
- コンピュータが解読可能なプログラム言語によって記述され、コンピュータに請求項1又は2の何れかに記載のエコー抑圧方法を実行させるエコー抑圧プログラム。
- コンピュータが読み取り可能な記録媒体によって構成され、この記録媒体に請求項3記載のエコー抑圧プログラムを記録した記録媒体。
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