JP4559530B1 - 鯨肉ハムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鯨の白身肉を用い、白身肉に含有されるコラーゲンを利用して白身肉と赤身肉とを強固に結着させた白身肉と赤身肉が混在する鯨肉ハムの製造方法を提供することである。
【解決手段】鯨の白身肉と鯨の赤身肉を同一ケーシング内に注入して,前記白身肉と前記赤身肉を接触させて層状に充填する工程と、前記白身肉と前記赤身肉が充填されたケーシングを封止して加圧する工程S8と、前記白身肉と前記赤身肉が充填されたケーシングを蒸煮する工程S11と、蒸煮した前記白身肉と前記赤身肉が充填されたケーシングを冷却する工程S12とを有するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、鯨肉を用いたハムの製造方法に関し、特に、鯨の赤身肉に加えて白身肉を使用した鯨肉ハムの製造方法に関する。
一般に、調査捕鯨などで捕獲された鯨の肉は、市場で販売されて食用に供されており、刺身や竜田揚げなどに調理されたり、鯨肉ハムや鯨ベーコンなどの食品に加工されたりしている。特に、鯨肉ハムにおいては、鯨の赤身肉を単独で使用したり、他の魚肉のスリミを混合した練り肉を用いたりするものが主流であり、これまでに鯨の皮払い肉などの白身肉と赤身肉を合わせたような形態のものはなく、白身肉は利用価値が低いものとして扱われてきた。また、肉片の結着や接着に関する技術は、豚肉や魚肉などを用いたハムなどの加工品において多くなされており、焼成カルシウムや蛋白分解酵素を含む接着材料やコラーゲンを用いて接着したり、加圧による結着が行われたりしている。
例えば、特許文献1には、「鳥肉を主原料とするプレスハムの製造方法」という名称で、結着が困難な鳥肉を主原料に用いたプレスハムを製造可能な鳥肉を主原料とするプレスハムの製造方法に関する発明が開示されている。
この特許文献1に開示された発明は、鳥肉の皮を剥ぎ脂分を除去して所定の大きさに切断する前処理工程と、前処理した鳥肉に調味料を添加、混合して6〜7日間熟成させる塩漬工程と、塩漬した鳥肉の一部に調味料とコラーゲンおよび澱粉を加えてミンチとして混練してペースト状のツナギ材とするツナギ材加工工程と、塩漬工程で熟成した鳥肉にツナギ材加工工程で得たペースト状のツナギ材を加えて練り合わせ、ハム原料とするハム原料加工工程と、このハム原料をケーシングに詰める充填工程と、ケーシングに充填したハム原料を乾燥・くん煙する乾燥・くん煙工程と、乾燥・くん煙した後、蒸煮または湯煮する蒸煮・湯煮工程と、蒸煮または湯煮した後、冷却し包装する冷却・包装工程とを有するものである。
特に、塩漬した鳥肉の一部に調味料とコラーゲンおよび澱粉を加えてミンチとして混練してペースト状のツナギ材とするツナギ材加工工程において、添加するコラーゲン及び澱粉は鳥肉を結着させる作用があり、コラーゲンの配合量が、使用する鳥肉の重量に対し、0.2〜1.5重量%、好ましくは0.4〜0.7重量%がよく、また、澱粉の配合量が、使用する鳥肉の重量に対し、1.00〜3.00重量%、好ましくは1.8重量%〜2.2重量%であると、鳥肉が良好に結着し、好ましい品質のプレスハムを製造することができる。なお、このツナギ材加工工程では、コラーゲンの結着作用を加熱による早期発現を抑止するために鳥肉の温度を−1℃〜5℃、好ましくは1℃〜3℃の温度に保持し、また、ミンチマシンなどの機器も冷却して加工するのがよいとされている。
また、特許文献2には、「合成肉製品及びその製造方法」という名称で、天然のステーキ肉と同等の外観を有して安価に提供できる合成肉製品及びその製造方法に関する発明が開示されている。
この特許文献2に開示された発明は、赤身の原料肉を塩漬けにして、続いてミンチ又は細切りにして、食塩やリン酸塩などを添加混合して得られる赤身肉と、脂身の原料肉に食塩を添加してミンチに加工した脂身肉、又は、脂身の原料肉に植物性蛋白、水及び食塩を添加してエマルジョンに加工した脂身肉とを、圧縮成型機で一体に圧縮成形させるものである。
赤身の原料肉には、牛、豚、鳥、羊、馬などの種々の肉を用いることができ、これらの赤身の原料肉を塩漬け後、ミンチや細切りにして、食塩やリン酸塩などを添加混合して赤身肉を加工する。一方、脂身の原料肉にも、牛、豚、鳥、羊、馬などの種々の肉を用いることができ、脂身の原料肉は細かく刻んでから食塩を添加してミンチに加工するか、又は、高速カッターなどで細切りしてから植物性蛋白、水及び食塩を添加してエマルジョンに加工して脂身肉とする。そして、それぞれ加工された赤身肉と脂身肉とを、圧縮成型機の2本の送肉管から、断面が任意形状で棒状体となるモールド型に別々に送って、上下方向から加圧して一体に圧縮する。この圧縮成形によって赤身肉と脂身肉は混合することなく、一体となって結着され、成形物を輪切りにしたり調理したりする際にも赤身肉と脂身肉が剥離することなく、天然のステーキ肉のような外観を保持することができる。
そして、特許文献3には、「ステーキ肉の製造方法及びステーキ肉」という名称で、安価で美味のステーキ肉を提供可能なステーキ肉の製造方法及びステーキ肉に関する発明が開示されている。
この特許文献3に開示された発明において、ステーキ肉の製造方法は、1種又は2種以上の肉塊をスライスして複数枚の薄いスライス片を得る工程と、これらの複数枚のスライス片を積層して加圧する工程とを有するものである。
使用する肉塊には、例えば、スジや筋肉質が多い硬い肉や、柔らかく食感のあるサーロイン、ヒレ、ロースなどの柔らかい肉や、脂質の多い肉や、脂質の少ない肉などがあり、これらの肉塊を厚さが0.3mm程度になるようにスライスする。そして、スライスした複数枚のスライス片を重ねて積層体とし、厚さ方向に加圧して個々のスライス片を圧着して結合させ一体化させると、肉厚のステーキ肉となる。硬い肉と柔らかい肉を用いると低コストで食感の良好なステーキ肉を得ることができ、また、硬い肉を単独で用いれば、スライスによってスジや筋肉質などの硬い部分が切断されてより柔らかな食感を有しながらもより安価なステーキ肉が得られ、さらに、脂質の異なる肉を組み合わせると脂質の量を調整したステーキ肉を得ることができる。
特開2008−289441号公報 特開昭57−166967号公報 特開2001−54368号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術では、鳥肉を結着させるためにコラーゲン及び澱粉を別途外部から追加する必要があるのでコストアップとなり、しかも、加工工程においてはコラーゲン及び澱粉の結着作用の発現を抑止するために低温で管理しなければならないので煩雑な作業になるという課題があった。
また、特許文献2及び特許文献3に記載された従来の技術では、いずれも加圧することによって結着するという思想が開示されているが、加圧による結着ではその力が弱く、食する際に脂身の部分は赤身の部分とは別の原材料として結着されていることが消費者に食感として理解されてしまい、不都合であるという課題があった。また、いずれも陸上に生息する動物の肉を用いてステーキ肉に供するものであり、海洋に生息する鯨の肉を用いてハムに加工した鯨肉ハムには適していないという課題があった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、鯨の白身肉を用い、白身肉に含有されるコラーゲンを利用して白身肉と赤身肉とを強固に結着させた白身肉と赤身肉がそれぞれ厚みを備えた層状に混在する鯨肉ハムの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である鯨肉ハムの製造方法は、鯨の白身肉と鯨の赤身肉を同一ケーシング内に注入して,前記白身肉と前記赤身肉を接触させて層状に充填する工程と、前記白身肉と前記赤身肉が充填されたケーシングを封止して加圧する工程と、前記白身肉と前記赤身肉が充填されたケーシングを蒸煮する工程と、蒸煮した前記白身肉と前記赤身肉が充填されたケーシングを冷却する工程とを有するものである。
上記構成の鯨肉ハムの製造方法では、鯨の白身肉を所定のケーシングに挿入し、鯨の白身肉と赤身肉を同一ケーシングに注入して白身肉と赤身肉が結着するように接触させて層状に充填する。そして、白身肉と赤身肉を充填したケーシングの封止は内容物の漏出を防止するように作用し、また、加圧を容易にするように作用する。蒸煮は、ケーシングに充填された白身肉と赤身肉を水分の存在下で加熱して食用に適するように調理し、また、白身肉中のコラーゲンを溶解させるように作用する。そして、冷却は、加熱工程において溶解したコラーゲンを凝固させるように作用する。
また、請求項2に記載の発明である鯨肉ハムの製造方法は、請求項1記載の鯨肉ハムの製造方法において、前記白身肉と前記赤身肉を同一ケーシング内に注入して,前記白身肉と前記赤身肉を接触させて層状に充填する工程は、前記白身肉をケーシングに挿入する第1工程と、前記赤身肉を前記白身肉が挿入されたケーシングに注入して,前記白身肉と前記赤身肉を接触させて層状に充填する第2工程に分割されるものである。
上記構成の鯨肉ハムの製造方法では、請求項1記載の発明の作用に加えて、鯨の白身肉をケーシングに挿入した後に、鯨の赤身肉をケーシングに注入して、白身肉と赤身肉を密に接触させて層状に充填するように作用する。また、白身肉と赤身肉のバランスを容易に維持しながら充填できるように作用する。
そして、請求項3に記載の発明である鯨肉ハムの製造方法は、白身肉は、ケーシングに注入される赤身肉よりも長寸及び幅広に形成されるものである。
上記構成の鯨肉ハムの製造方法では、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、白身肉は、ケーシングに注入される赤身肉よりも長手方向で長寸かつ短手方向に幅広に形成され、次工程の加熱工程において白身肉が収縮しても赤身肉と同等の長さと幅に成形されるように作用する。白身肉は赤身肉よりも収縮率が高いことから、加熱工程後に同等の長さと幅となるように予め白身肉を赤身肉よりも長め及び広めに形成されて充填されるものである。
本発明の請求項1記載の鯨肉ハムの製造方法では、従来利用価値が低く、特定の用途を除いてほとんど食用とされることがなかった白身肉を使用して、白身肉と赤身肉を用いた鯨肉ハムとし、白身肉が持つ淡白な味覚を付加するとともに、白身肉と赤身肉の色調のコントラストを備える鯨肉ハムの製造を可能とした。また、白身肉と赤身肉との結着は、白身肉に含有されるコラーゲンと、加圧及び蒸煮を利用して行っており、白身肉と赤身肉を接触させ加圧した状態で、白身肉中のコラーゲンを加熱工程で蒸煮して溶解させ、冷却工程で冷却して凝固させて、赤身肉と白身肉の良好な結着を実現している。
また、本発明の請求項2に記載の鯨肉ハムの製造方法では、白身肉を挿入した後で、赤身肉を注入するので、それぞれの肉の量をケーシング内で配分調整し易く、さらには白身肉と赤身肉との接触を密にすることが可能で、これらの結着をより良好にさせることが可能である。
そして、本発明の請求項3に記載の鯨肉ハムの製造方法では、赤身肉よりも長寸及び幅広に白身肉を形成することによって、加熱工程において白身肉が収縮しても、長手方向及び短手方向のいずれも最終的に赤身肉と同等の長さと幅に成形でき、食感のバランスや外観が良好な鯨肉ハムを製造することができる。
本発明の本実施の形態に係る鯨肉ハムの製造方法の工程を示す概念図である。 本発明の本実施の形態に係る鯨肉ハムの製造方法の工程の中で使用されるレテーナーの外形を示す写真である。 本発明の本実施の形態に係る鯨肉ハムの製造方法の工程の中で使用されるレテーナーの内部を示す写真である。 (a)は本実施の形態に係る鯨肉ハムの製造方法によって製造された鯨肉ハムの外形図であり、(b)は同じく鯨肉ハムの製造方法によって製造された鯨肉ハムをスライスしたものである。 本発明の本実施の形態に係る鯨肉ハムの製造方法によって製造された鯨肉ハムの試作品を示す写真である。
以下に、本発明の実施の形態に係る鯨肉ハムの製造方法を図1乃至図3に基づき説明する。(請求項1乃至請求項3に対応)
図1は、本発明の本実施の形態に係る鯨肉ハムの製造方法の工程を示す概念図である。
図1において、本実施の形態に係る鯨肉ハムの製造方法は、鯨の白身肉と赤身肉をそれぞれ調理加工し、その後、白身肉と赤身肉をケーシングに注入して加圧、加熱などの各作業を行うものである。
まず、ステップS1では、白身肉を解凍する。白身肉とは鯨の皮払い肉と呼ばれる部位のものであり、脂肪と組織を形成する筋であるコラーゲンから構成されている。解凍方法には、自然解凍、水解凍及び高周波解凍があり、いずれの方法で行ってもよいが、水解凍を採用すると、設備コストを抑えることが可能である。なお、衛生面から肉の温度は10℃以下に保持する必要がある。また、本実施の形態では、ミンク鯨の鯨肉を用いているが、鯨の種類は特に限定されるものではない。
次に、ステップS2では、白身肉を裁断する。このステップS2では、ステップS1で解凍した白身肉の筋、骨及び変色肉などの不可食部分を除去し、充填するケーシングの大きさに合わせて白身肉を裁断する。
続いて、ステップS3では、白身肉を洗浄する。白身肉は、鯨の解体時に血液等によって変色しており、このステップS3では、ステップS2で裁断した白身肉を脱色して洗浄する。
そして、ステップS4では、白身肉を調味する。このステップS4では、ステップS3において洗浄した白身肉を食塩を主体とした調味料で調味する。
一方、ステップS5では、赤身肉の解凍を行う。このステップS5の赤身肉の解凍は、ステップS1の白身肉の解凍方法と同様であり、肉温度を10℃以下に保持して水解凍を行う。もちろん、ステップS1で説明した他の解凍方法を用いてもよい。
次に、ステップS6では、赤身肉を裁断する。このステップS6では、ステップS2の白身肉の裁断と同様に赤身肉の筋、骨及び変色肉などの不可食部分を除去し、そして、充填工程における充填機のノズルを通る大きさになるように細切りにする。この充填工程はステップS8のところで詳細に説明するが、所定のケーシングに充填機械のノズルを挿入して赤身肉を充填するためである。
続いて、ステップS7では、赤身肉の漬込みを行う。このステップS7は、鯨肉ハムの味、香り、色、食感などの品質を決定する重要な工程であり、赤身肉に調味料、香辛料、発色剤料及び肉蛋白質の保水力を引き出す食塩及びリン酸塩等を使用して、ミキサーで十分に混合及び攪拌を行い、さらに1日以上冷蔵庫内で保持する。赤身肉中に含まれる蛋白質の中で塩に溶解するミオシン及びアクチン等は、漬込みで添加される食塩やリン酸塩と反応して溶解してアクトミオシンの形で糸状の構造となる。
そして、このアクトミオシンの糸状構造は、肉中の水分を包み込んで網状構造を形成する。水分を包み込んだ網状構造のアクトミオシンは、製造工程中の加熱によって凝固するが、包み込んだ水分は網目構造中に留まり放出されない。一般に、肉類は加熱によって肉中に含まれる水分を肉外に放出し、収縮して変形する。肉中の水分を放出しない力を肉の保水力と言い、すなわち、網状構造のアクトミオシンは保水力が高く、加熱による肉外への水分の放出及び肉の変形を防止することができる。
また、肉片同士は、肉の保水力によって接着しており、塩に溶解するミオシンやアクチン等の塩溶解蛋白質は、塩で溶解して、肉片の表面に溶出する。複数の肉片から所望の大きさの肉片を形成する際には、それぞれの肉片の表面に溶出した塩溶解蛋白質が結合して加熱後の凝固によって接着する。なお、肉中には血液のような水に溶解する蛋白質や、筋や皮等に含まれるゼラチン質の熱溶解蛋白質があるが、これらの蛋白質は保水力に関与しない。
また、蛋白質の食塩による溶解に必要な塩濃度は5%が最適であると言われているが、この濃度での加工品では塩味が強く食用には不適であり、その代替としてリン酸塩が使用されている。食塩もリン酸塩も蛋白質の溶解には、塩基が作用するので、リン酸塩も低濃度でも効果があり、一般的に、食塩2%、リン酸塩0.4%程度が好ましく用いられている。
なお、ステップS1乃至ステップS4と、ステップS5乃至ステップS7は、順不同であり、いずれを先に行ってもよい。
次に、ステップS8では、白身肉と赤身肉を所定のケーシングに充填する。このステップS8では、まず、定寸に裁断した白身肉をケーシングに挿入する。ここで、白身肉は注入される赤身肉よりも長寸及び幅広に形成することを考慮しておく。続いて、ステップS6で細切りに裁断し、漬け込んだ赤身肉が充填された油圧式スタッファーの充填機のノズルを、白身肉が挿入されたケーシングに差し込み、白身肉に接して層状になるように赤身肉を注入していく。このとき、白身肉の位置がずれないように注意する。また、赤身肉が充填された後にはケーシングから漏れないように封止する。
なお、赤身肉を充填機のノズルを用いて充填せずに、白身肉と赤身肉をケーシングに同時に充填してもよい。
そして、ステップS9では、充填された白身肉と赤身肉を計量する。このステップS9では、定寸に裁断された白身肉において厚みが異なることから生じる重量の相違を赤身肉の注入量で調整する。ここで、注入される赤身肉が白身肉よりも短寸及び幅狭となることも考慮しながら調整する。なお、次工程において、定寸のレテーナーに白身肉と赤身肉が充填されたケーシングを複数本充填するので、同重量に調整することによって、レテーナーの締結による加圧を各ケーシングに均等に加えることができる。
また、ステップS10では、レテーナー詰めを行う。このステップS10では、図2及び図3に示すような直方体の金網箱のレテーナーに白身肉と赤身肉が充填された複数のケーシングを詰める。レテーナーに詰めることによって次工程の蒸煮工程における白身肉の加熱変形を防止して、製品の形状を一定に形成し、また、レテーナーの側面に設けられる締結具を用いて固く締結することで、レテーナーの枠体内面との接触による加圧によって、白身肉と赤身肉の結着及び細切りにした赤身肉の結着を強固にすることができる。
次に、ステップS11では、蒸煮を行う。このステップS11では、レテーナーに詰めた白身肉と赤身肉が充填されたケーシングを85℃の温度で40分以上の時間をかけて蒸煮する。この蒸煮によって、白身肉と赤身肉の結着に関与する白身肉に含まれるコラーゲンが溶解する。白身肉中のコラーゲンは、蒸煮時の加熱によって一部の筋の部分は収縮を起こし変形するが、大半は溶融して粘性のある柔らかな状態となる。この粘性のコラーゲンはケーシングの外部に漏出することなく、ケーシング内や赤身肉との接着面に留まる。なお、加熱によって白身肉中の脂肪分は溶解してケーシングの外部にも溶出する。すなわち、ケーシングの材料は脂肪分を溶出させるもののコラーゲンを溶出させないようなものであることが望ましい。たとえば、ファイバラスケーシングのように繊維で補強したグリセリン含浸のセルロース製のものを用いるとよい。
また、赤身肉においても、細切りされた各肉片同士の結着に作用する塩溶解蛋白質が、蒸煮の加熱によって各肉片の表面に溶出する。
また、蒸煮工程では、原料肉及び製造工程で付着した細菌が殺菌され、食用に適するように調理され、そして、肉中の蛋白質を熱変性させて製品に弾力を与え食感を良好にすることもできる。
なお、原料肉に添加された塩分や調味料や肉の旨味の流出につながる加熱時の水分の蒸発を防止するために、水存在下の加熱である蒸煮による加熱方法を採用している。
続いて、ステップS12では冷却を行う。このステップS12では、ステップS11で蒸煮した白身肉と赤身肉を充填したケーシングを氷水中に1時間浸漬して急冷し、その後、10℃以下の冷蔵庫で一晩保持する。ステップS11において溶融したコラーゲンは、冷却によって凝固し、白身肉と赤身肉とを結着させる。また、赤身肉の各肉片においても表面に溶出した塩溶解蛋白質が凝固して赤身肉の各肉片が結着する。さらに、冷却することによって、加熱後に肉表面の水分が発散し形状が変形したり、重量が減量したり、生き残った細菌が増殖したりするのを防止することができる。
次に、ステップS13では、ケーシングを外す。ステップS11の蒸煮及びステップS12の冷却によって鯨肉ハムに成形されているので、不要となるケーシングを外し、そして、加熱時に溶出してハム表面に付着した脂肪分を洗浄して除去する。
そして、ステップS14では、真空包装を行う。このステップS14では、鯨肉ハムを新たに無通気性のケーシングに挿入して真空包装する。真空包装によって細菌の混入が防止できる。
ステップS15では、加熱を行う。このステップS15では、90℃の熱湯で3分間の加熱を行い、ステップS13のケーシング外しやステップS14の真空包装の各工程において汚染された菌の殺菌を行う。
最後に、ステップS16では、冷却を行う。このステップS16では、ステップS15で加熱された鯨肉ハムを中心部まで十分に冷ますために、10℃以下で冷却し、その後、冷凍庫で保管する。最終の製品は凍結品となる。なお、鯨肉ハムは薄くスライスした形状で製品化することも可能である。
次に、本実施の形態に係る鯨肉ハムの製造方法によって製造した鯨肉ハムについて図4及び図5を参照しながら説明する。
図4(a)は、本実施の形態に係る鯨肉ハムの製造方法によって製造された鯨肉ハムの外形図であり、(b)は、同じく鯨肉ハムの製造方法によって製造された鯨肉ハムをスライスしたものである。また、図5は本発明の本実施の形態に係る鯨肉ハムの製造方法によって製造された鯨肉ハムの試作品を示す写真である。
図4(a)において、鯨肉ハム1は、上方に白身肉2が配置され、この白身肉2に接した下方に赤身肉3が配置され、白身肉2と赤身肉3が層状に配された棒状の鯨肉ハムになっている。
なお、本願発明及びその実施の形態においては、図4(a)に示すように、鯨肉ハムの長手方向を長さ方向として、その長い・短いを長寸・短寸と表現し、短手方向を幅方向として、その広い・狭いを幅広・幅狭と表現し、さらに、層方向を厚み方向として、その厚い・薄いを厚肉・薄肉と表現する。
また、図4(b)において、スライス片4においても、白身肉2と赤身肉3が層状に形成されており、また、スライスによっても白身肉2と赤身肉3の結着が剥離することなく、白身肉2と赤身肉3の厚肉のコントラストが映える鯨肉ハムになっている。
なお、図5は、ブロック状の4つのスライス片4に見えるが、4つのそれぞれは、スライス片4を薄いフィルムと交互に重ねて一枚ずつ消費者が賞味できるように包装したものであって、それぞれ5枚ずつで4つのブロック状に包装された状態となっている。また、白身肉2と赤身肉3の位置関係が図2(a),(b)と上下が逆となっている。
このように構成された本実施の形態では、従来利用されなかった鯨の白身肉を用いて、この白身肉と赤身肉が厚肉の層状に結着した鯨肉ハムを製造することができ、白身肉と赤身肉が簡単に分離しないので、製造される鯨肉ハムは、通常の鯨肉ハムにはない白身肉由来の淡白な風味や食感及び色調を同時に備えるものとなった。
また、白身肉と赤身肉の結着には、食用の接着剤を用いることなく、白身肉に含有されるコラーゲンの加熱時の溶解と冷却時の凝固を利用して行っており、特別な製造工程を付加することなく、コストを抑えて製造することを可能とした。
以上説明したように、本発明の請求項1乃至請求項3に記載された発明は、白身肉と赤身肉を結着した層構造を有し、味覚や視覚において新規の鯨肉ハムの製造方法を提供可能であり、鯨肉の加工品製造などに利用可能である。
1…鯨肉ハム 2…白身肉 3…赤身肉 4…スライス片

Claims (3)

  1. 鯨の白身肉と鯨の赤身肉を同一ケーシング内に注入して,前記白身肉と前記赤身肉を接触させて層状に充填する工程と、前記白身肉と前記赤身肉が充填されたケーシングを封止して加圧する工程と、前記白身肉と前記赤身肉が充填されたケーシングを蒸煮する工程と、蒸煮した前記白身肉と前記赤身肉が充填されたケーシングを冷却する工程とを有することを特徴とする鯨肉ハムの製造方法。
  2. 前記白身肉と前記赤身肉を同一ケーシング内に注入して,前記白身肉と前記赤身肉を接触させて層状に充填する工程は、前記白身肉をケーシングに挿入する第1工程と、前記赤身肉を前記白身肉が挿入されたケーシングに注入して,前記白身肉と前記赤身肉を接触させて層状に充填する第2工程に分割されることを特徴とする請求項1記載の鯨肉ハムの製造方法。
  3. 前記白身肉は、前記ケーシングに注入される前記赤身肉よりも長寸及び幅広に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鯨肉ハムの製造方法。
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