JP4558250B2 - 飛行時間型質量分析計の質量相関パルス引出しを行なう方法及び装置 - Google Patents

飛行時間型質量分析計の質量相関パルス引出しを行なう方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
この出願は、1999年6月11日に出願された米国仮特許出願第60/138711号の利益を享受するものである。
【発明の背景】
発明の分野
この発明は飛行時間型(time-of flight; TOF)の質量分析計に関し、特に、TOF質量分析計で得られる質量スペクトルの質を向上させる機構に関する。本発明はまた、イオンの初期速度分布が、質量分解能を低下させる時空間分布などの他のメカニズムを支配するようなTOF装置の質量分解能を向上させる方法に関する。
【0002】
背景情報
気体、液体又は固体の試料中の構成物質を同定及び定量するのに、質量分析計が古くから使用されている。質量分析計又は質量フィルターは、一般的には、イオンの分析及び分離を行なうのに、電荷に対するイオンの質量の比m/zを使用する。イオン質量mは一般的には原子質量単位つまりダルトン(Da)で表され、イオン電荷zは、電荷eの数に対するイオンの電荷である。
【0003】
近年、TOF質量分析計を使用する上で、またその性能を向上させる上で、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(Matrix-Assisted Laser Desorption Ionization; MALDI)として知られる質量分析計に対するイオン化技術の開発に大きな関心が寄せられている。MALDIは、大きな生物学的分子(例えば、ペプチド、タンパク質、炭水化物及びオリゴヌクレオチド)やその他種類のポリマーをイオン化するのに特に効果的である。
【0004】
TOF質量分析計は、MALDI分析に対して、広い質量範囲に亘ってイオンを同時に記録することにより、いわゆる多チャンネルと呼ばれる利点をもたらす。同時に、TOF質量分析計において質量分解能を向上させる方法(時間差収束)を利用することが一般的になってきているが、質量依存性であるため、多チャンネルの利点が損なわれる。すなわち、一次オーダ(first-order)の速度で収束(focusing)させるのに、イオン化とイオン引出しとの間の時間遅れの大きさを利用しており、これは質量に依存するため、一次オーダの収束ができるのは、質量スペクトルのうち一部分だけにすぎない。
【0005】
質量分析計は、完全分子(intact molecules)及び構造特異的フラグメントの質量を測定することにより化学構造を決定する分析器具である。質量分析計は分子をイオン化する機構(イオン源)から構成され、分子の分析は、検出器に達する前に、静的又は動的電場及び磁界の組合せ(質量分析計)を移動、操作又は選択することにより行われる。一般的に知られたイオン源として、電子イオン化(EI)、化学イオン化(CI)、高速原子衝撃(FAB)、エレクトロスプレイイオン化(ESI)及びマトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)を挙げることができる。質量分析計として、磁気セクタ(B)、四重極(Q)、四重極イオントラップ(QIT)、フーリエ変換質量分析計(FTMS)及び飛行時間(TOF)のような型式のものを挙げることができる。
【0006】
最も簡単な飛行時間型質量分析計は、長さs(図1参照)の短イオン源領域と、これより長いドリフト領域Dとから構成される。イオン源で生成されたイオンは、イオン源の前部(グリッド)と後部(バックプレート)の電位差Vによって規定される高電場Eによって加速される。次に、イオンは長いドリフト領域D(又は飛行管)へ進入する。このときの運動エネルギーeVは1/2mV2であり、速度vは(2eV/m)1/2であり、これらは質量mによって異なる。得られた質量スペクトル(図2参照)は、検出器に達するイオンの飛行時間を記録することによって得られ、時間tは、数1によって近似される。
【数1】
Figure 0004558250
【0007】
最も古くから知られている飛行時間型質量分析計[例えば、Stephens, W.E., Phys. Rev., vol. 69, p.691, 1946; U.S. Patent No.2,612,607; Keller, R., Helv. Phys. Acta., vol.22, p.386, 1949を参照]は、質量分解能(略同じ質量を有するイオンを異なる飛行時間で識別する能力)が不十分であった。この理由は、イオンの実際の飛行時間tは数2で示されるように、イオン生成時間t0、加速前のイオンの初期位置s及び運動エネルギーU0の不確かさを反映しているからである。
【数2】
Figure 0004558250
【0008】
その後、時空間及び運動エネルギー(又は速度)の初期分布の影響を取り扱った装置が現れ、これにより質量分解能はかなり向上した[Wiley, W.C., et al., Rev. Sci. Instrumen., vol. 26, pp. 1150-57, 1955を参照]。この装置では、イオン引出しパルスの立上り時間の高速化により、時間分布が最小にされ、また、検出器が距離d離れた位置にあるとき、2段階イオン源により一次オーダの空間収束が行われた。dは数3で表され、数3中、σ=s0+(E1/E0)s1、E0及びE1は、夫々、2段階イオン源の2つの領域s0及びs1における電場である。
【数3】
Figure 0004558250
【0009】
いわゆる空間収束平面(d)は質量から独立している。すなわち、全質量のイオンは、E0、E1、s0及びs1の値で定まる位置にて第1オーダの収束を達成することができる。また、E0、E1、s0及びs1の具体的値を利用して、二次オーダの質量独立性収束を達成することもできる。一次オーダの運動エネルギー(速度)の収束は、イオン化パルスと引出しパルスとの間での時間遅れ、つまり時間差収束(time-lag focusing)として知られるスキームを用いて達成される。これについては、米国特許第2685035号を参照することができる。
【0010】
時間差収束は質量依存性であり、速度収束のための最適時間遅れは質量によって異なる。それゆえ、質量スペクトルを得るのに用いられる方法では、連続的な飛行時間記録サイクルにおいて時間的ずれがスキャンされるボックスカー法を利用する。この装置の構造に基づく飛行時間型(TOF)装置は文献[Wiley, W.C., et al., Science, vol. 124, pp. 817-20, 1956]に開示されている。
【0011】
より最近では、高速パルスレーザ及びイオンビームを用いて表面から直接イオンを生成する方法が開発され、この方法により、イオン生成に伴う時間分布及び空間分布は両方とも小さくなり、パルスイオンを引き出す必要がなくなった。これらの静的TOF装置では、簡単で質量から独立したエネルギー収束方法として、イオンリフレクトロン[Mamyrin, B.A., et al., Sov. Phys JETP, vol. 37, p.45, 1973を参照]が用いられる。
【0012】
しかしながら、パルスイオン引出しは、イオン化の方法として、赤外線レーザ脱離[Van Breeman, R.B., et al., Int. J. Mass Spectrom. Ion Phys., vol. 49, pp. 35-50, 1983, and Cotter, R.J., Biomed. Environ. Mass Spectrom., vol. 18, pp. 513 -32, 1989を参照]、パルスイオンビーム[Olthoff, J.K., et al., Anal. Chem., vol. 59, pp. 999-1002, 1987を参照]、及びマトリックス支援レーザ脱離[Spengler, B., Anal. Chem., vol. 67 pp. 793-96, 1990を参照]を用いた装置において用いられてきた。
【0013】
米国特許第2685035号の装置と同様な操作が可能な時間遅れ収束スキームを用いて、比較的広いイオン化パルスの補正を行なうこと、及び/又は長い期間に亘って断片化(fragmenting)するイオンを観察できるようにすることは知られている[Cotter, R.J., Biomed. Environ. Mass Spectromを参照]。
【0014】
その後にも、パルスイオン引出しを用いて、MALDI質量スペクトルが著しく向上することが報告されている[Whittal, R.M., et al, Anal. Chem., vol. 67, pp. 1950-54, 1995; Brown, R.S., et al., Anal Chem., vol. 67, pp. 1998-2003, 1995; and Vestal , M.L., et al., Rapid Commun. Mass Spectrom., vol. 9, pp. 1022-50, 1995を参照]。この方法では、時間差収束、時間遅れ引出し及び遅れ引出しが用いられている。これらは、近年のMALDI飛行時間型質量分析計にて用いられている。米国特許第2685035号の装置と同様、新しい装置でも、2段階引出し源が用いられている。この源では、源要素がパルス化される点で違いはあるが、第1引出し電場がパルス化される
【0015】
図4に示されるように、米国特許第2685035号の装置は、中間グリッドで、接地されたイオン源プレート(Ue=0V)と、負方向に進む(negative-pulse)電圧パルスを使用している。
【0016】
図5を参照すると、米国特許第5625184号及び第5627369号並びに文献[Edmondson, R.D., et al., J. Am. Soc. Mass Spectrom.,vol. 7, pp. 995-1001, 1996を参照]に開示された装置が示されており、該装置は、高電圧源を用いており、適当な遅れ後におけるイオン源プレート(Ue=18kV乃至20kV)ではパルスが正方向に進み(positive-going)、中間グリッドでの電圧は一定(Ua=18kV)である。
【0017】
図6を参照すると、米国特許第5739529号に開示された他の装置が示されており、この装置は、高電圧源(Ue=20kV)を用いており、適当な遅れ後における中間グリッド(Ueは20kV以下)ではパルスが負方向にむ。
【0018】
MALDI装置における質量分解能の向上の大部分は、空間分布が存在しないためであるが[Colby, S.M., et al., Rapid Commun. Mass Spectrom., vl. 8, p. 865, 1994を参照]、時間遅れ引出しを用いたエネルギー(速度)収束は、質量依存性のままであり、それゆえさらなる改善の余地がある。
【0019】
単一イオン引出し段階を用いた質量相関法は文献[Kovtoun, S.V., Rapid Commun. Mass Spectrom., vol. 11, pp. 433-36, 1997]に開示されている。
【0020】
その他にも、速度(エネルギー)収束の動的方法があり、これは、矩形波パルス(電場が2つの別個の値の間に挟まれている)を用いる技術と、各々の等質量イオンパケットが電場を通過するときに電荷を連続的に変化させる方法に分けることができる。矩形波のパルスを用いる方法として、(1)前述した従来の時間差又は時間遅れ引出し法、(2)インパルス−電場の収束[Marable, N.L., et al., Int. J. Mass Spectrom. Ion Phys., vol. 13, pp. 185-94, 1974を参照]、及び(3)ポストソース(post-source)の加速[Kinsel, G.R., et al., Int. J. Mass Spectrom. Ion Phys., vol. 91, pp. 157-76, 1989; Kinsel, G.R., et al., Int. J. Mass Spectrom. Ion Phys., vol. 104, pp. 35-44,1991; Kinsel, G.R., et al., j. Am. Soc. Mass Spectrom. Ion Phys., vol. 4, pp. 2-10, 1993; Grundwuermer, J.M., et al., Int. J. Mass Spectrom. Ion Phys., vol. 131, pp. 139-48, 1994; 及び Amft, M., et al., Rapid Commun. Mass Spectrom., vol. 12, pp. 1879-88, 1998を参照]を挙げることができる。
【0021】
時間差収束において、イオン源の引出し領域の電場は最初はゼロであるが、イオン化に続く所定の遅れの後、ターンオンされる。この補正機構の原理は、引出しパルスが印加されるとき、リーディングイオン(leading ions)の初期速度が大きく、遅い等質量イオンよりも深く引出し領域に進入し、得られる電位エネルギー少ないという仮定に基づいている。時間遅れにより、初期速度の小さいイオンは、検出器面に達するときにリーディングイオンに追いつくことができるが、質量依存性である。この方法は、質量スペクトルの狭い部分以外は全て、質量分解能が損なわれるため、大きな欠点がある。
【0022】
インパルス電場(impulse-field)の収束は、技術的には、従来の時間差収束と同様であり、2つの電場イオン源を用いている。しかしながら、電場はターンオンしてゼロから最終値となるのではなく、初期(高)値Eτから最終(低)値Esとなる。第1段階は、ドローアウト電場(draw-out field)で増加するという考え方であり、イオンのターンアラウンド時間を短縮させる。次に、遅れτの後、電場Esは、米国特許第2685035号に開示された収束の代表的な値をとる。分解される質量範囲が著しく拡大し、例えば、98cmドリフト領域に対して、最大収束質量m/zの計算値は220Daから2250Daに増加する。同じように、167cmドリフト領域の場合、質量m/zは360Daから4300Daに増加する。τと共に増加は大きくなる。しかしながら、この方法も、質量がEsに依存するため、質量依存性である。
【0023】
ポストソースパルス収束(post-source pulse focusing:PSPF)又はポストソース加速もまた、等質量パケットにおける初期速度及び時間分布を部分的に補正することができる。補正の原理は、次のモデルに基づいている。初期速度の大きさは等しいが方向が反対(+v及び−v)のイオンは、同じ速度+vでドリフト管に進入し、空間内で、ターンアラウンド時間に関係する距離だけ分離される。同じ空間分離は、異なる時間にイオン源で形成されたイオンに対しても起こる。静的電場のTOF質量分析計とは異なり、イオンは、ドリフト領域の前に、初期電場フリーの短いパルス収束領域に入る。関連する全ての等イオンパケットがこの領域に達した後、電圧パルスが印加される。その後、米国特許第2685035号と同様な機構を用いて実行され、パルス電圧電場がオンのとき、トレーリングイオン(trailing ions)が獲得するエネルギーは、リーディングイオンよりも大きい。
【0024】
文献[Kinsel, G.R., et al., J. Am. Soc. Mass Spectrom.]に記載されているように、この方法は、質量スペクトルの全部ではないが、大部分に対して収束を行なうものである。この部分は、約80%以上であるかもしれない。この質量範囲を増加するには、パルス電圧領域と収束パルス電圧領域を長くする必要がある。例えば、アンジオテンシンII(MW1046Da)のMALDIスペクトルの質量分解能は、PSPF技術を用いることにより、50から2750へ向上したことが観察されている。このPSPF技術は、2m線形TOF質量分析計を用いており、イオン源に隣接して10cmPSPF領域を内蔵しており[Amft, M., et al., Rapid Commun. Mass Spectrom.を参照]、MALDIで生成されたイオンの質量分解能の結果は約7000である。PSPFパラメータの個々の設定により、質量範囲約2000Daの高分解能での記録が可能である。
【0025】
単調に時間変動する電場を用いる方法は、時間差を用いない方法と、時間差を用いる方法の2つに分けられる。米国特許第4458149号に開示された速度圧縮(velocity compaction)や文献[Yefchak, G.E., et al., Int J. Mass Spectrom. Ion Phys., vol. 87, pp. 313-30, 1989]における動的な電場収束の方法は、第1のカテゴリーに当てはまる。
【0026】
速度圧縮法は、低速で移動するイオンの加速が、高速で移動するイオンの加速よりも大きくなるように調節された補正電場(correction field)を単調に変化させることを用いる。このため、等質量イオンは速度方向に圧縮される。また、初期速度分布が他の分布を支配するとき、一般的には、イオンパケットのトレーリングエッジが低速の初期速度に対応するので、その場合には、空間方向の圧縮も同時に行われる。このモデルは、変動する加速領域へ、速度は異なるが同時に入るイオンを取り扱っている。変動する加速領域へ進入すると、それらのイオンは時間の変動と共に増加する電場に曝されるため、その領域に同時に進入する所定質量の全てのイオンは、この領域を出ていくときに、同じ速度に達する。
【0027】
速度圧縮は速度収束と同じではない。これは、速度収束では速度が同じでなくてもよく、むしろ、等質量パケットの高速イオンの方が、正確に検出器面の位置で低速イオンに追いつくことができるからである。速度圧縮は、変動する加速領域へ進入する前に、イオンパケットの時間的広がりの原因ではない。また、イオンが速度圧縮されるとき、イオンパケットの空間的広がりが起こるので、速度と空間の圧縮は同時に行なう必要がある。両方とも圧縮が行われるので、焦点位置については、僅かに質量依存性がある。
【0028】
動的電場収束(dynamic-field focusing:DFF)を特徴づける速度調節収束理論はまた、各質量のイオンを個々に収束させる加速機能の設計に依存している。この目的のため、従来のドリフト領域は、DFF領域が位置する2つの領域に分離されている。従来のものは、後で到着するイオンの方が、リーディングイオンよりも加速が大きい。加速の印加は、トレーリングイオンが検出器面でリーディングイオンに追いつくことができるように行われる。この方法では、ドリフト領域の中にセクションを追加挿入する必要性がある。それは、第1ドリフト領域がそれらの速度に関する等質量イオンを初期分離するのに供されるためである。
【0029】
時間差収束に関して時間遅れ領域を利用する方法の中で、MALDI条件に最も適しているのは、関数波(functional wave)の時間差収束方法[Whittal, R.M., et al, Anal. Chem., vol. 69, pp. 2147-53, 1997、及び、U.S.Patent No.5,777,325]と、スポット収束又は広範囲収束方法[Franzen, J., Int. J. Mass Spectrom. Ion Phys., vol. 164, pp. 19-34, 1997、及び、U.S.Patent No.5,969,348]である。これらの方法は、両方とも、時間変動するインソース電場を用いている。
【0030】
関数波時間差収束方法は、質量精度を向上させる問題を取り扱っており、電圧パルス形状は、イオン源を出ていく全てのイオンについて、全体運動エネルギーが一定に維持できるように導かれる。実験では、質量精度だけでなく、質量分解能についても改善されることが示されている。前述したように、等イオン速度又は(等価的に)等運動エネルギーを達成するには、速度(エネルギー)収束と相関関係を有するが、必ずしも必須条件ではない。
【0031】
【発明の要旨】
特定の引出しパルスの振幅及び/又は遅れ時間では、狭い範囲の質量だけが収束される結果となる。それゆえ、TOF質量分析計の多チャンネル記録の利点を完全に実現するために、イオンの全てについて同時に収束させる必要がある。広範囲に亘る収束方法をこの明細書の中で開示するが、これは質量分解能の向上を企図するものである。インソース(in-source)の時間変動引出しパルスは適当に整形され、該パルスによる広範囲収束は、MALDIイオンに対する適当な空間速度相関を考慮する必要がある。本発明は、質量に依存することなく質量分解能を向上させることができ、記録された質量範囲全体に亘って、同じ一次オーダの収束条件でのパルス引出し方法を提供するものである。TOF質量分析計の多チャンネル記録の利点を完全に適用するために、質量と相関関係を有する時間依存関数を用いることにより、イオンの全てに対して同時に収束が行われる。
【0032】
本発明に係る飛行時間型質量分析計は、試料を収容する試料ホルダーと、試料をイオン化してイオンを生成するイオナイザーと、試料ホルダーの下流に該ホルダーと間隔をあけて配備された第1要素と、第1要素の下流に該要素と間隔をあけて配備された第2要素と、試料をイオン化した後、イオンを引き出すために引き続いて、試料ホルダーと第1要素との間に電場を生成する手段と、(a)第1要素と第2要素の間、及び/又は、(b)試料ホルダーと第1要素の間に、時間依存性及び質量相関を有する電場を生成する手段と、イオンを検出する手段とを具えている。
【0033】
本発明に係る他の飛行時間型質量分析計は、試料を収容する試料ホルダーと、試料をイオン化してイオンを生成するイオナイザーと、試料ホルダーの下流に該ホルダーと間隔をあけて配備された第1要素と、第1要素の下流に第要素と間隔をあけて配備された第2要素と、第2要素の下流にあるドリフト領域と、第1要素に電気的に接続され、第1要素に一定の第1電圧を印加する電源と、試料ホルダーに電気的に接続され、試料をイオン化した後、続いて試料ホルダーに第1電圧を印加すると共に、第1電圧を印加した後イオンを引き出すために、第1電圧と異なる第2電圧を印加する手段と、第2要素に電気的に接続され、時間依存性及び質量相関を有する電圧を印加する手段と、イオンを検出する手段とを具えている。
【0034】
本発明に係る更に他の飛行時間型質量分析計は、試料を収容する試料ホルダーと、試料をイオン化してイオンを生成するイオナイザーと、試料ホルダーに電気的に接続された引出しプレートと、引出しプレートの下流に該プレートと間隔をあけて配備され、引出しプレートとの間で引出しセクションを構成する第1要素と、第1要素の下流に該要素と間隔をあけて配備され、第1要素との間で加速セクションを構成する第2要素と、第2要素の下流にあるドリフト領域と、第1要素に電気的に接続され、第1要素に一定の第1電圧を印加する電源と、引出しプレートに電気的に接続され、試料をイオン化した後、続いて試料ホルダーに第1電圧を印加すると共に、第1電圧を印加した後イオンを引き出すために、第1電圧と異なる第2電圧を印加する手段と、第2要素に電気的に接続され、時間依存性及び質量相関を有する電圧を印加する手段と、イオンを検出する手段とを具えている。
【0035】
また、飛行時間型質量分析計におけるイオンの引出しを質量相関させる本発明の方法は、試料をイオン化してイオンを生成し、試料に隣接する引出しプレートを使用し、引出しプレートの下流に該プレートと間隔をあけて配備された第1要素を使用し、第1要素の下流に該要素と間隔をあけて配備された第2要素を使用し、第2要素の下流に存在するドリフト領域を使用し、試料をイオン化した後、続いて、引出しプレートと第1要素の間に電場を生成し、イオンを引き出し、(a)第1要素と第2要素の間、及び/又は、(b)引出しホルダーと第1要素の間に、時間依存性及び質量相関を有する電場を生成し、イオンを検出すること、を含んでいる。
【0036】
【好ましい実施例の説明】
本明細書で使用される際、「イオン」なる用語は、帯電した粒子を含むが、これらに限定されない。 該粒子は、電子、陽子又は他の荷電粒子の抜取り又は付着によって、原子又は分子から構成される。
幾つかの種類の電圧波形(例えば、線形、放物線状、指数関数状)は、ワイドレンジ収束の数学的解析でシミュレーションされる。加速場の波形の好ましい関数形(すなわち、正方向に進行するパルスに限定されない)により、本明細書で開示される、ワイドレンジ速度収束方法を与える収束特性を得ることができる。
【0037】
図7を参照すると、本発明は、時間に依存する(及び質量相関関係のある)関数を、第1引出し領域がパルス化される2段階イオン引出し源の第2引出し領域に適用する。この方法は、TOF質量分析計に広く使用でき、イオンの初速度(エネルギー)分布と比較して無視できる、時間的及び空間的初期イオン分布を有するイオン源を含む。これは、試料の表面でイオンを生成するパルス化方法の多くを含む(例えば、生体分子の解析に特に用いられる、イオン照射、レーザーデポジッション、MALDI)。
図7に示すように、イオンを引出すために、試料をイオン化した後の適当な遅れの後に、イオン源に例えば正方向に進行するパルスが印される(Ue=18.7kVから20.0kV)。定電圧(Ua=18.7kV)が中間のグリッドに印される。時間に依存する(及び質量相関関係のある)関数が、第2引出し領域に適用される(Uf=−3.2kVから約0V)。
【0038】
再び図3を参照すると、TOF質量分析計に用いられる、通常の線形の2段階イオン源が示されている。与えられた質量Mについて、最適な遅れTは、未知の(代理の)パラメータxについて、非線形方程式である方程式1を解くことによって得られる。
【数4】
Figure 0004558250
ここで、
【数5】
Figure 0004558250
eは、引出し領域の幾何学的長さである。
aは、加速領域の幾何学的長さである。
Lは、ドリフトチューブの幾何学的長さである。
Tは、イオン生成と引出しの間の一時的遅れ時間である
eは、引出し電圧である。
aは、加速電圧である。
【0039】
上述のパラメータは、数百ダルトン(Da)から数MDaまで質量が変化するイオンに適している。
考えている実施例では約2%にも達しない、僅かな精度の損失のみで、方程式1の時間遅れTは、以下の方程式2から得られる。
【数6】
Figure 0004558250
【0040】
方程式2の時間遅れTは、最終速度項VM0と、VM0で割られた速度パラメータβから生じる質量依存性がある(すなわち、取扱うイオンの集まりを別なものにスイッチする間に、遅れを調節する必要がある)。また、MALDIでは、より大きいイオンの質量ほど、脱離するイオン(パラメータβ)のゼロでない平均速度によってもたらされる遅れ時間への寄与は、さらに大きくなる。平均初速度V0の値は、最終側VM0が質量の平方に反比例する間は、近似的に質量に依存しない。小さい質量のイオンは、より短い遅れ時間しか要さない。その一方、大きい質量のイオンはより長い遅れ時間を要する。また、与えられた質量M0と最適な遅れ時間TM0(方程式2の結果)について、相対的に小さい質量(m<M0)のイオンが、検出器平面の前で収束されるならば、基準の質量M0よりも大きい質量Mのイオンは、検出器平面の後ろで収束される。このことは、検出器平面を横切って、収束点の質量に依存する広がりがあり、一方で、検出器位置への正確な収束は、基準質量M0のイオンのみについて行われることを意味する。
【0041】
それゆえ、MALDIに適用される一般的な時間差収束技術は、初速度V0の実際の値が分からないと仮定して、遅れ時間は、V0のラフな見積りに基いて計算され、最終的な遅れ時間(又は引出し電圧)の調整は、得られた最も良い質量分解能に基いて実験的になされる。
【0042】
本明細書で開示されたような全体の質量範囲に亘って速度収束する方法の考えは、最適化されていない遅れ時間を有する記録された質量範囲に、それらのイオンについて速度分布を補正する機構を与える。この補正は、存在する静的な場に時間変化する付加的なポテンシャルを導入することによって、対象であるスペクトル内の全てのイオンについて、連続したステップで行われる。これは、同じ空間位置(すなわち検出器平面)で最初のより速いイオンに追いつくために最初のより遅いイオンに十分な付加エネルギーを供給することによって、個々の質量パケットのそれぞれについて及びパケット間で、細かなエネルギ調節を与える。これは、対象である質量範囲全体に沿った1次の速度収束条件を満足するように対応している。
【0043】
記録されるべき質量範囲が、小さい値m0から大きい値M0まで及ぶ場合は、補正の手段は、2つの基本的なカテゴリにさらに分類される数々の方法で実施される。最初に、イオンの速度(又は運動エネルギー)の補正が、イオンが補正ポテンシャルの領域を離れた際に同じ質量のパケットのそれぞれをトレースしつつ、小さい質量のイオンパケットから大きい質量のイオンパケットへ連続的に行われる。ここで、静的な場における形状と静的電圧の最適化によって、基準質量として示される最も小さい質量m0のイオンについてのみ、検出器平面における1次の収束が与えられる。このイオンとこれより小さい質量のイオンは、補正を受けない。観測される形状において、これは、スペクトル内の最も小さい質量m0のイオンが引出し領域に留まる瞬間から、補正ポテンシャルを引出し電極に直接適用することによって達成される。
【0044】
または、異なる質量のイオンが補正ポテンシャルの領域に入っている間に(小質量のイオンが最初に入る)、補正が適用される。この領域は、静的及び時間変化する電場を有してよい。この場合、第1の選択とは反対に、静的な場の配置は、大きい質量限界M0(この場合は基準質量)のイオンについてのみ、1次の収束を与える。一方で、他のイオンは、補正ポテンシャルの影響を受ける。イオンの質量が基準質量から外れるほど、より大きな補正が要求される。補正ポテンシャルは質量M0(又はこれより大きい質量)のイオンが補正領域に入った瞬間に消滅する。この選択は、より柔軟性があり、様々な方法で実施できる。例えば、補正領域は、イオン源の第2ステージにあってもよい。又、付加的なセクションがイオン源の後ろに直接導入されてもよく、可変ポテンシャルが、ドリフトチューブに適用されてもよい。それゆえ、質量M0の又はこれより大きい質量のイオンについてのみ、この領域を実際に「場から自由」にする。
【0045】
より大きい柔軟性があるだけでなく、初速度に対するイオンの飛行時間の2階微分の質量依存項において、質量の影響が顕著ではないから、第2の選択が望まれる。
全飛行時間についての2次の補正項、Δt2の主成分における質量依存性の見積りは、方程式3として示す形で換算される。
【数7】
Figure 0004558250
ここで、Γ(z,de,da,L0)は、形状とzの双方に依存する関数である。そして、VMは質量Mのイオンの速度である。
ゆえに、この項Δt2の効果は、対象となる質量範囲のイオンが基準質量よりも小さいM<M0の場合(第2グループ)では、M>m0である反対の場合(第1グループ)と比較して、顕著に減少する。
【0046】
次に、補正されるポテンシャル場を導くのに適したアルゴリズムを開示する。該ポテンシャル場は、一般的な2段階イオン源TOF質量分析器に適用される。線形TOF質量分析計の構成は、2段階イオン源を含み、deは引出し領域の長さであり、daは加速領域の長さであり、Lはイオン検出器につながれたドリフトチューブ領域の長さである。時間変化する電場は、静的な場に加えて、イオン源の第2領域に適用され、それゆえ、小さい質量m0から大きい質量M0まで及ぶイオンの質量の範囲における1次の収束条件を与える。第1(引出し)領域において、レ−ザーショットの後の遅れ時間Tの間、電場は、最初はゼロに等しい。時間Tでは、引出し電極の電圧は初期値Uaからイオン源の全電圧U0まで急激にスイッチする。
まとめると、
ΔU=U0−Ua=zU0は、遅れTの後に引出し領域に渡って与えられる電圧であり、Ua=U0(1−z)である。zは、イオンが引出し領域で取得するエネルギーの全エネルギーに対する比である。
【0047】
全てのイオンの飛行時間の開始時間は、レーザーショットの後の間隔Tに続いて引出しパルスが印可される瞬間として定義される。(時間軸上の如何なる点Aにおいても)引出し領域を出る質量mのイオンの速度は、方程式4から導かれる方程式5で示される。
【数8】
Figure 0004558250
この領域を通過する移動時間tAは、
【数9】
Figure 0004558250
【0048】
方程式4−6では、スペクトル内で最も大きい質量M0のイオンが基準とされる。静的及び変化する場が与えられた加速領域では、イオンの動きは、方程式7で記述される。
【数10】
Figure 0004558250
ここで、U(t)=U0・u(t)は、静的な一方の電圧、U0(1−z)に亘って、加速領域に与えられる変化する補正電圧である。最後の方程式(7)の積分は、ある加速領域内を移動する間、ある瞬間ξにおいて質量mのイオンが有する速度を与える。
【0049】
静的及び変化する電場が与えられるこの領域では、如何なる瞬間ξにおける速度は、方程式8で与えられる。
【数11】
Figure 0004558250
方程式9は、方程式8を積分して得られる。
【数12】
Figure 0004558250
方程式9の積分結果は、方程式10の形式に変形される。
【数13】
Figure 0004558250
ここで、
【数14】
Figure 0004558250
【0050】
イオン源を離れる状態の質量mのイオンの速度は(如何なる点Bにおいても)方程式11で示される。
【数15】
Figure 0004558250
長さLの場のない領域を通るドリフト時間を含む、全飛行時間Ttof及びその比率で示された値
【数16】
Figure 0004558250
は、それぞれ方程式12と方程式13で定義される。
【数17】
Figure 0004558250
【0051】
1次の速度収束条件は。初速度(又は速度パラメータβ)についての全Ttofの1階微分し、これをゼロとして与えられる。質量範囲に速度収束を与えるために、その結果は、対象の質量範囲において小さい質量m0から大きい質量M0までに及ぶ全ての質量のイオンに対して正しい必要がある。速度パラメータβについて方程式10及び13を微分した場合(双方とも左辺はゼロに等しい)、及びこれらの方程式において未定の微分dtB/dβが等しい場合、各質量のイオン(質量はパラメータXに隠れている)が加速領域に入る(時間軸の時間A)又は加速領域を離れる(時間軸の時間B)時間に関係する方程式が得られる。これらの時間の間の補正波形の対応部分は、方程式14で示される。
【数18】
Figure 0004558250
ここで
【数19】
Figure 0004558250
【0052】
補正波形の計算は、基準質量M0とその質量M0に対応する値XM0(方程式6の変形された質量パラメータを参照)から始まる。定義によれば、時間遅れは、このイオンのグループに対して正しい1次の収束条件を正確に与えるように選ばれる。これは、補正電圧は、質量M0のイオンが加速領域に入る瞬間に消えることを意味する(すなわち、t≧tA(M0))。目的は、過去の期間における補正ポテンシャルの固有の時間依存性を導出することである。
【0053】
t=tA(M0)において
【数20】
Figure 0004558250
であること、及び引き続く全ての瞬間(すなわち、tA(M0)の後に補正はない)から、以下の式が導かれる。
【数21】
Figure 0004558250
小さい質量m=M0−δMのイオンについて、イオンが加速領域に入る時間は、質量M0のイオンの時間よりも先である。すなわち、
【数22】
Figure 0004558250
【0054】
付近の質量がm=M0−δMであるこれらのイオンについて、方程式15と10の積分は、それぞれ方程式17と18で置き換えられる。
【数23】
Figure 0004558250
方程式17及び18に右辺を、それぞれ方程式10及び14に代入すると、2つの非線形代数方程式からなる系が得られ、好ましくは、質量の各増分において10-6の精度が達成されるまで、これらの方程式は数値的に解かれる。質量m0からM0までの全質量領域が覆われるように、増加される質量のそれぞれが考慮される。
【0055】
リフレクトロンタイプのTOF分析計(図15を参照)の場合、解析手法の僅かな変更のみがなされる。その分析計では、分析計のリフレクター部にイオンが広がる時間を説明する以下の項が、
【数24】
Figure 0004558250
方程式12の右辺の和に加えられる。ここで、URは、長さdRのリフレクターに亘って与えられた電圧であり、zは、URの全電圧U0に対する比である。そして、
【数25】
Figure 0004558250
である。形式的に、
【外1】
Figure 0004558250
は、方程式14において、
【数26】
Figure 0004558250
で置き換えされる。他の点では前述の解析がなされる。典型的なリフレクトロンが開示されているが、適切な如何なるタイプ(シングル、2段階、グリッドレス、同軸、非線形)のものを用いてもよい。
【0056】
図8−10は、種々の実験条件下について計算された、時間に対する補正電圧の依存関係u(t)=U(t)/U0を示す。図8では、他の典型的なパラメータが固定され、引出し領域の長さdが変化する。図9では、加速領域の長さdaが変化する。図10では、唯一変化するパラメータは、近似的に知られた、照射後にイオンが脱離する初速度V0である。m0に対するM0の比は、約10とされている(すなわち、450Daから4551Daまでの質量範囲)。
【0057】
形状因子の選択は、それぞれ利益と不利益を併せ持つ。短い引出し領域を選択するほど(図8を参照)より線形な、しかしより急な補正電圧のロールオフ(roll-off)を与える。最大値は、deの値が小さくなると増加する。より短い引出し領域の長さdeを用いると、空間収束の条件がより厳しくなる。空間の不規則性からのエネルギーの広がりへの影響は、大まかに、δU=ΔU*Δx/deとして見積もられるからである。なお、ここでΔxは、不規則性の形状因子である。
eの典型的な長さは、3.6mmに等しく、他の適切な選択があっても、特に限定されない妥協的値として用いられてよい。
【0058】
パラメータda(図9を参照)については、最大パルス振幅と所望のパルス形状を実施する実現可能性との間で選択される。質量範囲に速度収束を与えるため、m0からM0までの(450から4541Da)全ての質量範囲を覆うように、好ましい選択は、da=4.5cmに対応する上方の(実線の)曲線である。daが小さくなると、電圧は低くなる。しかし、より狭い質量範囲でしか収束を与えない(例えば、da=1.5cmの場合、これは、大体1400から4541Daに及ぶ。da=3.0cmの場合、これは、600から4541Daに及ぶ)。広い質量範囲が望まれる場合は、da=4.5cmが用いられる。
【0059】
図10は、最も重要な源のあいまいさを表している。これは、与えられたマトリックスのイオンが脱離する、不完全に知られたイオンの平均速度V0に関係している。V0の値が変化すると、補正場のターンオフ(turn-off)の時間とu(t)ロールオフの率が変化する。これは、一般的に、通常の時間差収束方法における最適な時間遅れの検討と同じ問題である。V0の未知の値は、計算された遅れ時間に影響する。この手法を実行するため、V0の役に立つ値が用いられるか、質量M0のイオンが加速領域に入る時間が定められる。後の方の選択は、質量の分解能が悪化し始めるまで、小さい遅れ時間から大きい遅れ時間まで、引出しパルスと補正パルスの間の遅れを細かくチューニングすることによって達成される。例えば、V0=450m/sの値が用いられる。
【0060】
図11を参照すると、例えば、TOF質量分析計(100)は、2段階イオン源(102)、場のないドリフト領域(104)、及び後加速(post-acceleration)領域(106)を含んでいる。イオン源(102)は、引出しセクション(108)及び加速セクション(110)を含んでいる。引出しセクション(108)及び加速セクション(110)の長さは、例えばそれぞれ0.364cm及び4.46cmである。比較的長い加速領域を通じて一様な場の分布を生じさせるために、加速セクション(110)は、3つの同一のサブセクション(110A,110B,110C)に分割される。セクション(108,110)は、引出しプレート(121)、グリッド(122)、分離しているプレート(123,124)、及びグリッド(125)で構成される。加速セクション(110)は、それぞれのサブセクション(110A,110B,110C)について、3連でつながった低インダクタンス抵抗器(R3,R4,R5)の電圧分配器を用いている。引出しプレート(121)、グリッド(122,125)、及び分離プレート(123,124)の大きさは、例えば5.80cm×5.80cmである。
【0061】
グリッド(122,125)及びプレート(123,124)のメッシュホルダ(図示せず)の厚さは、例えば0.60mmである。第1グリッド(122)は、インチ当たり117本のワイヤーを有する電気メッキされたNiメッシュであり、加速領域(110)から引出し領域(108)を分離する。そのメッシュは、グリッド(122)の加速領域側に装着される。このグリッド(122)は、例えば16.5mm×4.0mmのスロット孔(122)を有するので、メッシュを張り伸ばしつつプローブチップ(118)に配置される試料にレーザーを照射することができる。(グリッド(125)について)同じタイプのメッシュが用いられ、ドリフトチューブ空間(104)から加速領域(110)を空間的に分離できる。中心の孔(114)により、サブセクション電極(123,124)、及びイオン源(102)のメッシュが張り付けられた(mesh-affixed)最終電極(125)にイオンを送ることができ、その直径は、例えば12.7mmである。
【0062】
試料ホルダ又はプローブは、分離しているPEEK(ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketon))アイソレータ(117)と、試料(図示せず)が装填されるステンレススチールチップ(118)とを有するステンレススチールロッド(116)である。チップ(118)の位置は、引出しプレート(121)の表面に平行な平らな表面にそろえられ、引出し領域(108)の一様な電場を生成できるのが好ましい。
【0063】
ドリフトチューブ領域(104)の長さは、例えば102.05cmである。孔が空けられたチューブ(119)(例えば、直径38.6mm)を接地させる又は電気的に浮かせることができ、該チューブ(119)は、EMI/RF及び静電場の侵入から内側のドリフトチューブ空間を保護する。孔孔が空けられたチューブの外側のセクションは、グリッド(125)が取り付けられる支持プレートの狭いスリットに入れられても、又は該スリットから出されてもよい。ドリフトチューブの両端の支持プレートに厳密な平行性を与えるために、頑丈なフレームが使用され、該フレームは、例えば10.2mmの厚さの2つの支持プレート(120,126)を含む。これらプレート(120,126)は、正確に長さが合わされた、直径9.54mmの4本のステンレススチールロッド(128)によって共に保持されている。ドリフトチューブ(119)の検出器側に(下流側に)突き通されたチューブセクション(129)は、常時、プレート(126)に保持される。ドリフトチューブ(119)の反対側(上流のイオン源側)の支持プレート(120)は、ドリフトチューブ空間から絶縁される。これは、フレームロッド(128)と支持プレート(120)の間にセラミックスペーサ(130)を挿入することによって、及び、突き通されたチューブ(119)のスライディングセグメントとこのプレート(120)の間に狭い隙間(例えば、約1mm又はこれより小さい)を設けることによってなされる。
【0064】
イオンの後加速をするために、グリッド(131)が加えられる。検出器(132)の前プレートのポテンシャルが一定に維持される間、ドリフトチューブ(119)は電気的に浮いている。このグリッド(131)は、1インチ当たり117本のワイヤーのあるメッシュを有しており、例えば25.44mmの開口(133)を有している。検出器(132)は、グリッド(131)の後ろに配置され、セラミックスペーサ(134)によって電気的に絶縁される。後加速領域(106)を構成するグリッド(131)と検出器平面の間の距離は、例えば2.0mmの長さである。真空チャンバー(図示せず)は、適当なターボポンプ(図示せず)によって排気され、TOF質量分析計(100)の圧力は、5×10-7Torr以下であるのが好ましい。
【0065】
適当なパルス式窒素レーザ(135)(例えば、試料に対し、75kWのピークパワーにおいて、300μjのエネルギーで4nsより小さい幅のパルスを供給する能力を有する)がイオナイザーとして用いられる。レーザー(135)は、エネルギーのパルスを生成し、パルスの継続時間は、要求される質量分解能に対応する時間よりも充分に長い。ビームは、平面鏡(136)、可変光学密度フィルタ(137)、及びアイリス絞り(138)を通過して、試料に送られる。ビームは、真空チャンバー(図示せず)内に配置された、適当なUVレンズ(139)(例えば、75mmの焦点距離を有する)によってターゲット上で収束される。照射において、イオン検出のしきい値、又はこれより10−15%程度のみ大きい値の近くでスペクトルが記録される。 入射角は、試料表面の法線方向に対して約60度である。照射領域は、約0.06mm2であり、熱感紙に描かれている。
【0066】
適当なパルス生成器(140)が、レーザー(135)を外部からトリガーする。レーザー(135)が光ると、適当な短いジッタ(例えば、<1ns、1σ、一般的には<500ps)の出力からのトリガー信号(141)が、他の適当なパルス生成器(142)に供給される。この4チャンネル生成器(142)は、質量スペクトル測定のタイミング制御をする。ジッタが短く維持されている間は、レーサー出力と出力信号(141)の間の遅れは、例えば<50nsである。生成器(142)(出力への外部トリガー)の伝達遅れは、例えば85nsであり、ジッタは、<60nsである。短いジッタは、MALDI TOF質量分析計で有益に用いられるまた、パルス生成器(142)は、同期パルス(143)(例えば、3nsの立上がり時間)を供給し、オシロスコープ(144)、高速高電圧(HV)スイッチ(145)、補正パルス生成器(146)をトリガーする。
【0067】
開示を明確にするために、本明細書において、質量スペクトル情報を表示する典型的なオシロスコープ(144)について言及された一方で、このような情報は、記録され、ハードコピーに印刷され、コンピュータで修正され、又は他のデータと結合されてよいことは理解されるであろう。全てのこのような処理は、本明細書で用いられる「表示」又は「表示する」なる用語の範囲に入ると考えられる。
【0068】
グリッド(122)は、最初、HV電源(147)によって18.70kVでバイアスされており、抵抗(R2)を通じて引出しプレート(121)に同じ電圧が印可されている。典型的に、引出しプレート(121)は、選択された基準質量M0(質量範囲の大きい方の端)について最適な計算された時間遅れの後に、高速HVスイッチ(パルス増幅器)(145)(例えば、20nsより短い立ち上がり時間)によって、18.70kVから20kVまでパルス化される。HVスイッチ(145)の出力は、低インダクタンス結合キャパシタ(C1)と抵抗器(R1)の直列結合を通って、真空フィードスルーを通じて引出しプレート(電極)(121)に繋がっている。典型的なプレート(121)へ印されたパルス電圧の補正は、約3%の大きさであり、結合キャパシタ(C1)に渡る電圧損失を考慮して行われる。引出し電極(121)に印されるパルス電圧と、後には補正電圧パルスとに起因する、グリッド(122)のフライバック電圧スパイクを防止するために、低インダクタンスセラミックキャパシタ(C2)が、このグリッド(122)を分流させるために用いられる。
【0069】
補正パルス生成器(146)の電気回路が図12に示されている。擬似ランプ波形の補正パルスを与えるために、高速HVスイッチ(151)はバイポーラモードで動作し、2つの典型的な電圧レベルの間で切り替わる。これらの電圧レベルは、(1)HV電圧(148)によって、最初に約−3350Vにバイアスされる低いレベル(開始)、及び(2)HV電圧(149)によって供給される、約+8000Vに等しい高いレベル(最終)である。
【0070】
カットオフのため、正極性のウェーブをクランプする6つの高速回復ダイオード(D1-D6)は、それぞれ対応する抵抗器(R7-R12)によって分流され、(図11においてグリッド(125)と地面の間にある)負荷に対して並列につながれている。キャパシタ(C6)、(大まかな調整のための)可変キャパシタ(C7)、(正確な調整のための)可変キャパシタ(C8)、グリッドの内部容量(C(int))、及び図11のキャパシタ(C3-C5)の等価容量は、2つの重要な因子を決定する。つまり、(1)負荷の全容量と、(2)図11に示された加速領域(110)の隣合うサブセクション(110A,110B,110C)の間の電圧配分である。最初の因子は、正しいパルス波形を実行するために重要であり、その一方で2番目の因子は、補正場の一様な空間分布を与えることに寄与する。補正パルス生成器(146)のHVスイッチの制御信号(150)は、図11のパルス生成器(142)による出力である。
【0071】
図12の直列共振回路の補正パルス形状は、全容量、高周波高電流インダクタのインダクタンス、及び可変抵抗器(R13)の値で決定される。パルス形状の正確な調整は、可変HVキャパシタ(C7,C8)の容量、及び抵抗器(R13)の抵抗を調整して行われる。また、選択的に、HV電源(149)によってHVスイッチ(151)に供給される第2正レベルの値が調整される。
【0072】
図11を再度参照すると、適当な2重マイクロチャンネルプレート検出器(132)が用いられている。該検出器(132)は、円錐形のアノード(152)と外側のRF/EMIスクリーン(図示せず)とを有する。デジタルオシロスコープ(144)は、検出器(132)からのイオン信号を記録する。スペクトルの再現性を良くするために、特定の上限値以上の入力はカットオフすることによって、振幅感度限界(discrimination)モードが使用されるのが好ましい。下限は、例えば約10−40mVに設定され、ノイズレベルに依存する。その一方で、典型的な高い方の感度限界レベルは、約100−200mVであり、イオン信号のサチュレーション(saturation)の短いものに合わせて設定される。パーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)への伝送は、適当な市販のソフトウェアパッケージ(例えば、IIys Softwareによって販売されているTOFWARE)によって行われる。例えば、単一のスポットに送られた、30から120の個別のレーザーショットからのイオン信号が平均化される。PCについて言及されているが、他のプロセッサ、例えば、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、ワークステーション、ミニコンピュータ、又はメインフレームコンピュータが使用されてよいことは理解されるであろう。
【0073】
時間依存性(及び質量相関)関数が、図7の第2引出し領域(Uf=−32kVから約0V)に適用されるが、グリッド(125)(Uf=0V)を接地し、イオン源或いは引出しプレート(121)(例えば、Ue=21.9kV乃至23.2kVから20kV)、及び中間のグリッド或いはグリッド(122)(例えば、Ua=21.9kVから約18.7kV)の双方に、時間依存性(及び質量相関)関数を適用することによって、図11の引出し領域(108)及び加速領域(110)に等価な電場が与えられてもよいことは理解されるであろう。
【0074】
TOF分析計が図15に示されている。線形デザインと比較して、相対的に短いイオン源の第2領域が用いられている(例えば、4.46cmの代わりに3.10cm)。アインツウェルレンズアセンブリが加えられ、イオン源の出口に配置される。典型的なリフレクトロンセクションは、29.1cmであって、短くされたドリフトチューブの端部に装着される。典型的な構成における全イオンドリフトパスは、120.2cmである。6mmの中心孔を有する典型的な同軸型のハママツ(Hamamatsu)MCP検出器(モデルF4294−09)がイオン検出器として用いられる。リフレクトロンアセンブリは、例えば7.0×7.0cmの長方形のプレートの束を含む。該プレートは、40mmの中心孔を有し、それぞれ6.43mmの長さのセラミックスペーサで隔てられている。リフレクターの全長さは、例えば29.1cmである。
【0075】
図13を参照すると、V0=450m/sが脱離するイオンの平均速度と仮定した線形装置について、理論的な波形(破線)が示されている。レーザーパルスと引出パルスとの間の時間遅れは550nsに設定され、先に開示された実験パラメータについて、大きい質量端で、MH+=4542Daのイオンの収束に対応している。時間t=0に、加速が開始する。補正電圧が切られた以降の、約470から880nsの時間フレーム内の電圧関数の重要部分は、減少する線形関数に良く当てはまる。補正電圧の線形部分は、1200から4542Daまでの質量の帯内のイオンが加速領域に入る期間に対応する。そして、一定及び時間依存する電場の重ね合わせの効果を受ける。軽いイオンMH+<1200Daの補正の部分である、電圧関数の最初の部分は、さらに複雑な形をしている。
【0076】
図13は、典型的な補正パルス生成器によって生成された実験波形(実線)を示している。パルス極性は、第2加速グリッドに適用される場合には負となる。計算された電圧と実験電圧は、良く合っており、これらの電圧の差は波形の真ん中部分で3%に達せず、これらの曲線は、最初の部分t<360ns、及び後ろの部分880ns>t>760nsにおいて非常に接近している。それにも関わらず、補正電圧がゼロに落ちた後に、注目すべき揺れ(ringing)が存在する。これは、特に、大きい質量端に近い重いイオンについて、もしかすると質量分解能に影響を与えるかも知れない。
【0077】
実験によるテストの前に、方法における選択の確定を得ることが、また、簡単に行える異なるタイプの波形の妥当性を検討することが強く望まれる。時間依存する補正電圧関数が含まれる実験機構のシミュレーションモデルは、SIMON 3D v.6ソフトウェア(Princeton Electronic System,Inc.,Princeton,NJ 08543)を使用してテストされる。静的及び時間変化する場の両方の条件をモデル化するために、アルゴリズムが作られた。例えば、あるケースは、線形電圧関数を含み、該電圧関数は、加速領域の第2グリッドに印され、―5.28kV/μsの時間レートを有し、t=880nsで終わる。レーザーパルスとイオン引出しの間の時間遅れは、555nsに設定される。シミュレーションで用いる静電圧と形状因子は、実験機構のものと同じである。脱離するイオンの初速度分布はかなり不明であるため、各同一質量パケットについて150乃至750m/sの範囲とする。シミュレーションでは、574乃至4542Daの広い質量範囲が含められる。
【0078】
表1は、異なる質量のイオンについて、通常のパルス引出しを用いる線形TOF質量分析計の計算された飛行時間と、補正される場合の飛行時間との比較である。表1では、計算された飛行時間の値が示されており、また、到着時間の分散は時間広がりとして示されている。両方のデータセットは、補正電圧が印されるモード、及び通常のパルス引出しモード(補正なし)を伴い、モデル化される。質量分解能への補正の効果は、同一質量パケット内のイオンの時間広がりを比較することによって明らかに見られる。質量が4542と4183Daのイオンパケットについては、モード間の違いは全く小さい。しかし、質量分解能は確かに特定される。パルス引出し方法自体が、狭いエネルギー範囲で良好なエネルギー収束を与えるからである。
【0079】
MH+=3820Daから小さい質量では、補正の効果が非常に明らかである。574Da(小さい質量端)に向かっていくと、同一質量パケット内の時間広がりは、補正モードにおいて3nsを越えない。一方、通常モードでは、質量が変化すると、ほとんど単調に8から21nsまで増加する。最小の質量MH+=574Daのイオンの収束は、単純な線形U(t)依存性から具体的に導かれる補正パルス波形を用いる。それにも関わらず、簡単な線形波形を用いる補正は、まだかなり適切である。
【0080】
線形TOF分析計における本方法の実験による検証結果は、図14A−図14Rに示されている。SIMONによるシミュレーションと良く合っており、大きい質量端の4542Daから4183Daの質量範囲のイオンについて、補正及び通常モードの両方とも、ほぼ一致するピーク形状を与える。補正電圧が印加されると、より小さいイオンMH+≦3820Daの質量分解能にかなりの改善が見られ、同じ質量スペクトルが得られる。
【0081】
表3は、2つの動作モード、すなわちパルス補正モードと一般的なパルス引出しモードとにおいて、個々のペプチドについて質量分解能の実験値の比較を示している。表3では、「−」は、特有の同位体パターンのないスペクトルを指している。小さい質量のイオンについて、同位体パターンは、通常の引出しモードではほとんど見られない。一方、補正があると、表3にまとめたように、全てのピークは高質量分解能で同位的に決定される。901から4542Daのイオン質量の全範囲を通じて、FWHM基準(最大値の半分で全幅)で決定された質量分解能は、4500から4183Daの範囲の値である。通常モードでは、特有の同位パターンは、2つの大きいイオン質量、4542と4183Daについてのみ観測され、パルス引出し理論と完全に一致する。その後は、小さい質量のイオンの未定ピークが続く。
【0082】
特有の同位パターンは、補正パルスが生成されたならば小さい質量限界(約450Da)を越えても測定される。これは、質量[2M+H]+=379Daと[2M+H−44]+マトリックス二量体 (dimer)イオンのピーク近くの質量範囲による。最後のピークの同位体パターンに加えて、局所的なスペクトルについて幾つかの寄与が生じる。一方、通常モードでは、この情報は隠されてしまう。これは、線形TOF装置に適用される質量相関パルス引出しモードで、ユニット質量分解能よりも良好な分解能が、335から4542Daの全質量範囲に効果的に及ぶことを証明している。
【0083】
また、補正オプションを含んだTOF装置のリフレクトロンモードが、実験でテストされる。リフレクトロン分析計の計算された電圧関数は、線形波形と大きく異なっている。その形状は、非対称なベルの形をしている。
実験による質量スペクトル(リフレクトロンモード)又は表2の9つのペプチドの混合物(補正なし及び補正あり)が図16A−16Rに示されている。質量相関パルス引出し方法は、大きい質量端からわずか20%の低下した、MH+=4542Daにおいて、すでに通常モードよりも優れている。小さいイオン質量では、効果はさらに明確になる。
【0084】
質量相関パルス引出しの利点は、広い質量範囲に渡って、質量分解能の非常に均一な分布を示すことである。その方法のパフォーマンスの更なる改善には、異なる質量のイオンの初速度の分布についてのより詳細な情報が用いられる。、振動を排除し、理論的な波形により近づく回路設計は、より高い質量分解能の達成を促進する。
例えば図11の(122,125)のようなグリッドが本明細書に開示されたが、本発明は、例えば電気レンズのような等価な構造に適用できる。
【0085】
【表1】
Figure 0004558250
【表2】
Figure 0004558250
【表3】
Figure 0004558250
【0086】
現在において好ましい実施例についてのみに関して本発明を詳細に説明したが、当該分野の専門家であれば、請求項に記載された本発明から逸脱することなく種々の変形を成し得ることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
添付されている以下の図面に関連づけて読むと、発明の完全な理解がなされる。
【図1】 図1は、短いイオン源領域と長いドリフト領域とを有する飛行時間型質量分析計の簡単化されたブロック図である。
【図2】 図2は、飛行時間型質量分析計の質量スペクトルのプロットである。
【図3】 図3は、飛行時間型質量分析計の、線形2段階イオン源のブロック図である。
【図4】 図4は、飛行時間型質量分析計に用いられる電圧のプロットである。
【図5】 図5は、飛行時間型質量分析計に用いられる電圧のプロットである。
【図6】 図6は、飛行時間型質量分析計に用いられる電圧のプロットである。
【図7】 図7は、本発明に係る飛行時間型質量分析計に用いられる電圧のプロットである。
【図8】 図8は、引出し領域の長さが変化する場合の、時間に対する本発明に係る補正電圧のプロットである。
【図9】 図9は、加速領域の長さが変化する場合の、時間に対する本発明に係る補正電圧をプロットしたものである。
【図10】 図10は、近似的に求めた照射後の脱離イオンの初速度が変化する場合の、時間に対する本発明の補正電圧のプロットである。
【図11】 図11は、本発明に係る質量分析計のブロック図である。
【図12】 図12は、図11の質量分析計の補正パルス生成器の概略ブロック図である。
【図13】 図13、本発明に係る理論及び実験のパルス波形のプロットである。
【図14】 図14A−14Lは、質量相関引出しがされる場合及びされない場合の、種々のペチドに関する質量スペクトルである。
【図15】 図15は、リフレクトロンTOF分析部の概略のブロック図である。
【図16】 図16A−16Rは、図15のリフレクトロンTOF分析部を用いた質量相関引出しにより得られる、種々のペプチドの混合物についての質量スペクトルを示すプロットである。

Claims (32)

  1. 試料を収容する試料ホルダーと、
    試料をイオン化してイオンを生成するイオナイザーと、
    試料ホルダーの下流に該ホルダーと間隔をあけて存在する第1要素と、
    第1要素の下流に該要素と間隔をあけて存在する第2要素と、
    第2要素の下流にあるドリフト領域と、
    試料をイオン化した後イオンを引き出すために試料ホルダーと第1要素の間に第1電場を生成する手段と、
    第1要素と第2要素の間に、時間依存性を有する第2電場を生成する手段と、
    イオンを検出する手段と、を具えており、
    イオンは、質量順に第1要素と第2要素の間にある領域に入り、相対的に大きな質量のイオンに影響を与える第2電場の大きさは、相対的に小さな質量のイオンに影響を与える第2電場の大きさよりも小さい飛行時間型質量分析計。
  2. イオンは、第1質量及び第1速度を有する第1イオンと、第1質量及び第2速度を有する第2イオンとを含み、第1速度は第2速度とは異なっており、第2電場を生成する手段は、第1速度と第2速度の差を補正する請求項1に記載の質量分析計。
  3. イオンは、第1質量よりも大きい第2質量を有する第3イオンをさらに含んでおり、第2電場を生成する手段は、第2質量が所定の質量以上であるとき、第3イオンに対する補正を行わない請求項2に記載の質量分析計。
  4. イオナイザーは、持続時間が所定の質量分解能に対応する時間よりも実質的に長いパルスのエネルギーを生成するレーザである請求項1乃至3の何れかに記載の質量分析計。
  5. 第1要素はグリッドを具えている請求項1乃至4の何れかに記載の質量分析計。
  6. 第2要素はグリッドを具えている請求項1乃至5の何れかに記載の質量分析計。
  7. 第1要素は静電レンズを具えている請求項1乃至6の何れかに記載の質量分析計。
  8. 第2要素は静電レンズを具えている請求項1乃至7の何れかに記載の質量分析計。
  9. イオンは、第1質量及び第1速度を有する第1イオンと、第1質量及び第2速度を有する第2イオンと、第2質量及び第3速度を有する第3イオンと、第2質量及び第4速度を有する第4イオンとを含んでおり、第1速度と第2速度は異なり、第3速度と第4速度は異なり、第1質量は第2質量よりも小さく、第1速度及び第2速度は、第3速度及び第4速度よりも大きくなっており、第2電場を生成する手段は、第1速度と第2速度の差、及び第3速度と第4速度の差を補正する請求項1に記載の質量分析計。
  10. 試料を収容する試料ホルダーと、
    試料をイオン化してイオンを生成するイオナイザーと、
    試料ホルダーの下流に該ホルダーと間隔をあけて存在する第1要素と、
    第1要素の下流に該要素と間隔をあけて存在する第2要素と、
    第2要素の下流にあるドリフト領域と、
    第1要素に電気的に接続され、第1要素に一定の第1電圧を印加する電源と、
    試料ホルダーに電気的に接続され、試料ホルダーに第電圧を印加すると共に、試料をイオン化した後、イオンを引き出すために、第2電圧を変化させる第1電圧印加手段と、
    第2要素に電気的に接続され、時間依存性を有する第3電圧を印加する第2電圧印加手段と、
    イオンを検出する手段と、を具えており、
    イオンは、質量順に第1要素と第2要素の間にある補正領域に入り、相対的に大きな質量のイオンに影響を与える第3電圧の大きさは、相対的に小さな質量のイオンに影響を与える第3電圧の大きさよりも小さい飛行時間型質量分析計。
  11. 第1電圧印加手段は、正方向に立ち上がるパルスを試料ホルダーに印加する請求項10に記載の質量分析計。
  12. 第1電圧印加手段は、試料をイオン化した後の第1の時間にて、第2電圧を初期値からステップ状に変化させる請求項10又は11に記載の質量分析計。
  13. 第2電圧印加手段は、第1の時間後の第2の時間にて、第3電圧を初期値から時間的に変化させることを開始する請求項12に記載の質量分析計。
  14. 第2電圧印加手段は、第2の時間にて、第3電圧をランプ状に変化させることを開始する請求項13に記載の質量分析計。
  15. 第3電圧の初期値は、約−3.2kVである請求項13又は14に記載の質量分析計。
  16. 第3電圧は初期値から約0Vまで変化する請求項13乃至15の何れかに記載の質量分析計。
  17. 第1電圧印加手段は、約18.7kVから約20.0kVに第2電圧を変化させる請求項10乃至16の何れかに記載の質量分析計
  18. 第1要素に電気的に接続された電源は、約18.7kVの第1電圧を印加する請求項17に記載の質量分析計。
  19. イオナイザーは、持続時間が所定の質量分解能に対応する時間よりも実質的に長いパルスのエネルギーを生成するレーザである請求項10乃至18の何れかに記載の質量分析計。
  20. 第1要素はグリッドを具えている請求項10乃至19の何れかに記載の質量分析計。
  21. 第2要素はグリッドを具えている請求項10乃至20の何れかに記載の質量分析計。
  22. 第1要素は静電レンズを具えている請求項10乃至21の何れかに記載の質量分析計。
  23. 第2要素は静電レンズを具えている請求項10乃至22の何れかに記載の質量分析計。
  24. 試料を収容する試料ホルダーと、
    試料をイオン化してイオンを生成するイオナイザーと、
    試料ホルダーに電気的に接続された引出しプレートと、
    引出しプレートの下流に該プレートと間隔をあけて存在し、引出しプレートとの間で引出しセクションを構成する第1要素と、
    第1要素の下流に該要素と間隔をあけて存在し、第1要素との間で加速セクションを構成する第2要素と、
    第2要素の下流にあるドリフト領域と、
    第1要素に電気的に接続され、第1要素に一定の第1電圧を印加する電源と、
    引出しプレートに電気的に接続され、試料をイオン化した後に引出しプレートに第1電圧を印加すると共に、第1電圧を印加した後イオンを引き出すために、第1電圧と異なる第2電圧を印加する手段と、
    第2要素に電気的に接続され、時間依存性を有する第3電圧を印加する手段と、
    イオンを検出する手段と、を具えており、
    イオンは、質量順に第1要素と第2要素の間にある領域に入り、相対的に大きな質量のイオンに影響を与える第3電圧の大きさは、相対的に小さな質量のイオンに影響を与える第3電圧の大きさよりも小さい飛行時間型質量分析計。
  25. 加速セクションは、複数のサブセクションに分割する分離プレートを少なくとも1つ含むと共に、直列接続された抵抗器をさらに含んでおり、サブセクション間で第3電圧を分割するために、抵抗器のうち最初の抵抗器は第1要素と少なくとも1つの分離プレートとの間で電気的に接続されており、抵抗器のうち最後の抵抗器は第2要素と少なくとも1つの分離プレートとの間で電気的に接続されている請求項24に記載の質量分析計。
  26. 質量分析計はリフレクトロンである請求項24又は25に記載の質量分析計。
  27. 飛行時間型質量分析計におけるイオンの引出しを質量相関する方法であって、
    試料をイオン化してイオンを生成し、
    試料に隣接する引出しプレートを使用し、
    引出しプレートの下流に該プレートと間隔をあけて存在する第1要素を使用し、
    第1要素の下流に該第1要素と間隔をあけて存在する第2要素を使用し、
    第2要素の下流に存在するドリフト領域を使用し、
    試料をイオン化した後引出しプレートと第1要素の間に第1電場を生成し、
    イオンを引出しし、
    第1要素と第2要素の間に、時間依存性を有しており、質量と相関する第2電場を生成し、
    イオンを検出し
    イオンは、質量順に第1要素と第2要素の間にある領域に入り、相対的に大きな質量のイオンに影響を与える第2電場の大きさは、相対的に小さな質量のイオンに影響を与える第2電場の大きさよりも小さい方法。
  28. イオンとして、第1質量及び第1速度を有する第1イオンと、第1質量及び第1速度とは異なる第2速度を有する第2イオンを使用し、
    第2電場を使用して、第1速度と第2速度の差を補正す請求項27に記載の方法。
  29. イオンとして、第1質量よりも大きい第2質量を有する第3イオンを使用し、
    第2質量が所定の質量以上であるとき、第3イオンに対する補正を行わな請求項28に記載の方法。
  30. イオンとして、第1質量及び第1速度を有する第1イオンと、第1質量及び第2速度を有する第2イオンと、第2質量及び第3速度を有する第3イオンと、第2質量及び第4速度を有する第4イオンを使用し、ここで、第1速度と第2速度は異なり、第3速度と第4速度は異なり、第1質量は第2質量よりも小さく、第1速度及び第2速度は、第3速度及び第4速度よりも大きく、
    第2電場を使用し、第1速度と第2速度の差、及び第3速度と第4速度の差を補正する請求項27に記載の方法。
  31. 試料を収容する試料ホルダーと、試料をイオン化してイオンを生成するイオナイザーと、試料ホルダーの下流に設けられた第1グリッドと、第1グリッドの下流に設けられた第2グリッドと、第2グリッドの下流にあるドリフト領域と、イオンを引き出す第1電場を生成する第1手段と、イオンを加速する第2電場を生成する第2手段と、加速されたイオンを検出する検出手段とを具えた飛行時間型質量分析計において、
    第1グリッドの電位は一定であり、
    試料をイオン化した後に、所定の第1遅延時間が経過すると、第1手段は、試料ホルダーの電位を、第1グリッドの電位の値からステップ状に変化させ、
    試料をイオン化した後に、第1遅延時間よりも長い所定の第2遅延時間が経過すると、第2手段は、第1グリッドと第2グリッドの電位差が小さくなるように第2グリッドの電位をランプ状に変化させることを開始し、
    試料をイオン化した後に、第2遅延時間よりも長い所定の第3遅延時間が経過すると、第2手段は、第2グリッドの電位を一定に維持することを特徴とする飛行時間型質量分析計。
  32. イオンは、質量順に第1グリッドと第2グリッドの間にある領域に入り、相対的に大きな質量のイオンに影響を与える第2電場の大きさは、相対的に小さな質量のイオンに影響を与える第2電場の大きさよりも小さい、請求項31に記載の質量分析計。
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