JP6527170B2 - 軸方向パルス変換器を備えた多重反射飛行時間質量分析計 - Google Patents

軸方向パルス変換器を備えた多重反射飛行時間質量分析計 Download PDF

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Description

[0001]本開示は、飛行時間質量分光分析に関し、単反射飛行時間質量分析計および多重反射飛行時間質量分析計のためのパルス式イオン変換の改善された方法に関する。
[0002]飛行時間質量分析計(TOF MS)は、イオンをTOF MSを介して検出器に向けて加速させ、検出器までのTOF MS内のイオン移動時間の測定値を記憶することによってイオンの質量対電荷比(m/z)を決定する。いくつかの実施は、2つのTOF MSを連続的に利用していた(TOF/TOF)。TOF MSの他の実施は、TOF MSが分析を実行する前に試料を取り扱うために、ガスクロマトグラフィ(GC−TOF MS)または液体クロマトグラフィ(LC−TOF MS)を含むことができる。さらに、GC−TOF MSおよびLC−TOF MSのそのような実施は、参照により本明細書に組み込まれる米国出願第2013/0068942号のように、四重極イオントラップ(LC−Q−TOFおよびGC−Q−TOF)を利用することができる。
[0003]TOF MSのパラメータは、パルス式連続イオン源への効率的な結合に依存する。イオンパケットを形成するために、TOF MSは、一般的に、停滞したイオン雲のパルス式加速を用いる。初期の実施では、イオンは、電子衝撃(EI)イオン源に蓄積され、TOF MSの中にパルス加速された。リニアTOF MSの分解能を改善するために、EI源から遅延イオンを取り出す方法が、[W.C.Willey,I.H.McLaren,Rev.Sci.Instr.26,1150(1955)]に提案された。SU1681340において、Dodonovらは、直交加速部(OA)を用いて連続イオンビームをパルス状イオンパケットに変換する有効な解決策を説明している。ある意味では、イオンビームは、TOF分離の方向に停滞している。従来のパルス偏向法と比較して、OA法は、パルス変換のデューティサイクルを強力に改善する。OAパルス変換法は、一般的と思われ、(すなわち、任意のタイプのイオン源に適用可能であり)、LC−TOF装置、LC−Q−TOF装置、およびGC−Q−TOF装置のための市販の計装に幅広く採用されてきた。
[0004]時間−エネルギー空間内のイオンパケットの変形のために、短いイオンパケット(移動する当初広いイオンパケットのパルス集群)を用意する別の方法は、核物理学において長く知られている。そのようなイオンパケットの変形は、時間圧縮、エネルギー広がりの減少、または時間焦点面調整を含む。(バンチングのステップ前に)初期のイオンパケットを形成するために、核物理学は、一般的に、連続イオンビームのチョッピング、例えば、スリットを備えた回転ディスクのような機械式チョッパを用いる。したがって、パルス式加速が停滞したイオン雲に加えられている間、バンチングがすでに移動しているイオンパケットに適用される。
[0005]イオンパケットの軸方向パルス集群は、質量分析法の分野に採用されており、マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)計装において探求されてきた。MALDI TOFにおける遅延取り出し(DE)は、パルスレーザショットにより形成された短いイオンパケットの集群を用いる。米国特許第5760393号、米国特許第5625184号、および米国特許第6541765号(これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、このDE法は、取り出されたイオンとMALDIプルームとして知られている放出された物質との間のエネルギー衝突を避けるために、時間集束および源の頑強性を改善したものである。TOF−TOFタンデムにおけるイオンパケットの軸方向バンチングの適用は、米国特許第5739529号、米国特許第6703608号、米国特許第6717131号、米国特許第6300627号、米国特許第6512225号、米国特許第6621074号、米国特許第6348688号、米国特許第6770870号、米国特許第7667195号、米国特許第8461521号、国際公開第2011028435号、米国特許第2012168618号、および国際公開第2013134165号に記載されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第5689111号(図8)(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、移動しているイオンパケットのバンチングは、パルス放出用多重極の後にまた提案される。
[0006]パルス変換の知られている方法は、最近出現した多重反射飛行時間型質量分析法(MR−TOF MS)に当初採用された。GB2403063Aおよび国際公開第2005001878号(これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)に記載された周期的レンズによって実現されるイオン空間閉じ込めを伴うMR−TOF MSは、質量分解能力とデータ取得速度の例外的な組合せを提供する。分解能は、強力に高められ、飛行経路の延長にほぼ比例して上昇する。単反射TOF MSにおける飛行経路は装置サイズの約3倍であるが、LECO Corpによる市販のMR−TOF MS Citius HRTは、0.6mの長さの分析器において16mの飛行経路を与える(すなわち、軌道の折り畳みを25倍より多く可能にする)。場合によっては、GB2478300および国際公開第2011107836号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように円筒形の分析器の幾何学的形状を用いる場合、飛行経路は、1mの長さの装置において数百メートルまで増大することができる。
[0007]しかしながら、MR−TOF MSの感度は、パルス変換器のデューティサイクル制限によって制限されてきた。直交加速部(OA)を用いる場合、国際公開第2007044696号に記載されるように、デューティサイクルは、分析器の受容性限界により、パルス周期1msおよびOA長さ6〜8mmにおいて、0.3〜0.5%未満まで減少する。代替の軸方向トラップ変換器を用いる場合、B.Kozlovら、ASMS 2005による「Linear Ion Trap with Axial Ejection as a Source for a TOF MS」に記載されるように、チャージのスループットは、1E+7〜1E+8個のイオン/秒に制限されることになる。1E+9個のイオン/秒を供給するESI源または1E+11個のイオン/秒まで供給するEI源のようなイオン源の最近の改善に関しては、トラップ変換器の有効なデューティサイクルは、OAのデューティサイクルよりもさらに低くなる。
[0008]課題は、国際公開第2011135477号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、符号化された間隔の短いパルス生成(EFP(登録商標))に基づく多重化方法を導入することによって著しく和らげられた。平均パルス周波数は、1kHzから100kHzへ増加し、これによって約30%までOAのデューティサイクルを改善するとともに、(空間電荷効果により1質量の約1000個のイオン/パケットに制限された)分析器のダイナミックレンジと、検出器およびデータシステムのダイナミックレンジとの両方も改善する。この方法は、国際公開第2013067366号、国際公開第2013192161号、および国際公開第2014176316号(各々は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように様々なタンデムへ拡張されている。
[0009]直交加速(OA)のスキームは、欠点を有する。第一に、OAスキームは、遅い連続イオンビームがOAギャップを満たすときに、フィールドフリー状態の小さな歪みにとても敏感である。表面およびメッシュの汚染は、理想的なOA動作に影響を及ぼす。第二に、鋭いイオンパケットを形成するために、ビーム空間角度発散度は、(30〜50eVのエネルギーにおいて1〜2mmおよびl〜2degだけ実現され得る)通常100eV*mm*deg未満まで低くしなければならず、これはOA前に連続イオンビームのトリミングを必要とし、したがってイオン損失を持ち込む。ガス充填式RFオンリ四重極のような衝突無線周波数(RF)イオンガイドは、イオンビーム発散度をかなり減少させてこれらの損失をまあまあに維持するのに役立つ。しかしながら、RFイオンガイドは、制限されたチャージのスループットを有し、EIまたはICPなどの強力な源を用いるとき、OAエントランスにおける空間的損失は、10nAを上回るイオン電流に依存するように思われる。第三に、より高い分解能力のために小さいターンアラウンドタイムに到達することは、OAに大きい場の強さを必要とするとともに、パルス発生器の(2kVを上回る)大きい振幅を必要とする。これは少なくとも2つのパルス発生器の使用を必要する可能性があるものであり、それによってコストを増加させ、符号化された間隔の短いパルス生成を用いるときに100kHzのパルスレートと組み合わせることが困難になる。第四に、高い加速度場をOAに用いることによる(より高い分解能のために望まれる)ターンアラウンドタイムのさらなる減少は、MR−TOFのエネルギー受容性を超えるイオンパケットのエネルギーの広がりの関連した上昇によって制限される。
[0010]したがって、MR−TOF MSのための直交加速に関するいくつかの実際の問題は未だにそのままである。そして、連続または準連続イオン源をMR−TOF分析器に結合するためのより低コストでより有効な解決策が依然として必要とされている。
[0011]連続イオンビームをパルス状パケットにパルス変換することは、連続イオンビームに軸方向バンチングを適用し、その後にイオンパケットのエネルギーをフィルタリングして飛行時間質量分析計のエネルギー受容性に合わない過度のエネルギーの広がりを有するイオンを除去するときに有効になる。好ましくは、連続イオンビームは、中エネルギー(数百eVから数keV)まで加速され、バンチングのステップの前により小さい角度広がりに整形される。好ましくは、エネルギーフィルタリングは、曲がった静電セクタまたは角度付きグリッドレスイオンミラーのいずれかを用いて行われる。
[0012]複数の実際の場合において、軸方向バンチングの新規な方法は、幅広く使用される直交加速法よりも有効である。わずかにより少ない時間のデューティサイクルにかかわらず、軸方向バンチング方法は、それが連続イオンビームの(2桁だけ)ずっと広い発散度を受け入れるとともに、OAの正面における空間的損失をなくすので、より高い効率になり得る。この方法はデューティサイクルを減少させることもできるが、軸方向バンチングはさらにより短いイオンパケットを形成することができる。軸方向バンチングは、パルス発生器のずっとより小さい振幅を使用し、高周波数パルス生成を利用するときに符号化された間隔の短いパルス生成の利便を向上させることができる。
[0013]新規な方法のさらなる分析は、軸方向バンチングスキームのいくつかの優れた利点を明らかにする。この方法は、TOF MSにおいて高い分解能、優れたピーク形状、および高いアイソバリック存在度(isobaric abundance)を実現するために、イオンパケットの空間発散、時間、およびエネルギーの広がりについての微調整を可能にする。ほとんどの実際のイオン源については、イオンビーム発散度は、空間的広がりの収差によって時間を増すことなくMR−TOF分析器の空間受容性に合わせるのに十分なだけ小さいように思われる。イオンビームの連続加速は、絶対速度の広がりを低下させ、したがってターンアラウンドタイムは、1nsの範囲まで著しく減少させることができる。エネルギーフィルタリングステップは、分析器における過度のイオンエネルギーの広がりによってピーク幅に影響を及ぼすことなく、より高いパルス振幅の使用を可能にすることでも寄与する。これらの手段の両方は、時間デューティサイクルを犠牲にするが、TOF MSにおける分解能およびピーク形状を改善する。しかし、国際公開第2013063587号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、デューティサイクルは、符号化された間隔の短いパルス生成のこの方法によって、およびさらに広いエネルギー受容性(10〜14%)を有するMR−TOF分析器の使用によって改善することができる。
[0014]本発明者らは、(a)軸方向バンチングは、パルス振幅が限定される単一のパルス発生器を用いて達成することができること、(b)軸方向バンチングは、国際公開第2013192161号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような非冗長性サンプリングの方法を適用するときに、SIMSまたはMALD法における表面イメージングにより適合すること、(c)新規な方法は、様々なフラグメンテーションセル、低いガス圧におけるどれかの短いCID、ガス充填式RFイオンガイド、滑空衝突を伴う短いSIDセル、またはイオンビームを横断して向けられた平面SIDを用いる間に、タンデム質量分析計の両ステージ(すなわち、TOF1における親イオン選択、およびTOF2におけるフラグメントイオン分析)で用いることができること、(d)より高いデューティサイクルは、ターゲットGC−MS分析に適用される(分析される質量範囲を犠牲にするが)パルス式または準連続イオン源を用いるときに、または親イオンを選択するときに得ることができること、(e)デューティサイクルは、広い内腔、および高い多重極RFオンリイオンガイドを用いて好ましくはより小さいエネルギーおよび角度広がりを含む広い連続イオンビームを形成するときに増加することにさらに気付いた。
[0015]本開示の第1の態様によれば、飛行時間質量分析計は、イオン源と、加速ステージと、パルスバンチャと、等時性エネルギーフィルタと、飛行時間質量分析計とを順に備える。イオン源は、イオンビームを発生させる連続または準連続イオン源とすることができる。加速ステージは、イオンビームの初期のエネルギーの広がりよりも少なくとも10倍大きいエネルギーレベルまでイオンビームを連続的に加速する。パルスバンチャは、ビーム方向にほぼ沿ったイオンの加速または減速のためにパルス電圧供給部に接続された少なくとも1つの電極を有する。等時性エネルギーフィルタは、飛行時間分析器のエネルギー受容性の範囲内でイオンを伝達する。飛行時間質量分析計は、単反射TOF MSまたはMR−TOF MSとして具体化することができる。さらに、飛行時間質量分析計は、飛行時間検出器を有する。
[0016]適宜、本開示のこの態様の実施は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を備える。いくつかの実施では、機器は、集群パルスによって影響を受けたエネルギーレベルを有するバンチャに接近するイオンを拒絶する抑制器をさらに備える。抑制器は、パルス発生器に接続された少なくとも1つの電極を備える。他の実施では、抑制器は含まれないが、エネルギーフィルタが、加速器境界に形成された減速されたイオンをなくすために不要な「境界」エネルギーのイオンを除去するように配置されている。適宜、連続または準連続イオン源は、10ev未満のエネルギーの広がりを有するイオンビームを生成する。そして、適宜、機器は、(i)イオンビームの角度広がりを減少させ、それによってパルスバンチャ内の軸方向のエネルギーの広がりはイオン源の後の初期のエネルギーの広がりに相当したままであるようにする、および/または(ii)エネルギーフィルタのスリットまたは穴の上へイオンパケットを空間的に集束するために、パルスバンチャの前に空間集束レンズをさらに備える。さらに、適宜、機器は、パルスバンチャをトリガし検出器からの波形信号を記録するデータ取得システムを備えてもよい。いくつかの実施では、エネルギーフィルタは、中心イオンエネルギーのためのイオンパケットの空間/角度集束の平面における穴またはスリットと、(i)等時性静電セクタ、(ii)空間集束/等時性グリッドレスイオンミラー、(iii)一対のデフレクタ、(v)1セットの周期的レンズ、(vi)クロマティックレンズ、(vii)上記要素の組合せからなる群のうちの少なくとも1つのクロマティックイオン光学要素とを有する。適宜、パルスバンチャは、平均周波数が少なくとも50KHzであるパルス発生器を備え、適宜、データ取得システムは、パルス間にほとんど固有の時間間隔を有する予め設定された一連のパルスを形成する能力を有するトリガ用クロックを備え、適宜、データ取得システムは、ほとんど固有のパルス間隔に基づいて部分的に重なり合ったスペクトルを復号する。
[0017]他の実施形態では、機器は、イオン源の前の2段または1段クロマトグラフィを備え、このイオン源は、(i)クローズド電子衝撃イオン源、(ii)0.1から1cmの間の大きさに作製された総開口を有するセミオープン電子衝撃イオン源、および正にバイアスされた電子スリット、(iii)化学イオン化源、(iv)電子衝撃イオン源の上流の化学イオン化源、(v)光化学イオン化源、(iv)調整されたグロー放電イオン源、(vi)超音速ガスジェット中で冷えている検査対象内部エネルギーを有するコールド電子衝撃イオン源、ならびに(vii)場イオン化源を備えてもよい。他の実施形態では、機器は、イオン源と連続加速器との間にガス充填式RFオンリイオンガイドを備え、適宜、イオン源は、(i)ESIイオン源、(ii)APCIイオン源、(iii)APPIイオン源、(iv)ガス充填式MALDIイオン源、(v)EIイオン源、(vi)CIイオン源、(vii)コールドEIイオン源、(viii)光化学イオン化イオン源、および(ix)調整されたグロー放電イオン源のうちの1つとして具体化される。適宜、機器は、イオン源とRFイオンガイドとの間に1つのイオン操作デバイスをさらに備えてもよく、イオン操作デバイスは、(i)四重極質量分析器、(ii)飛行時間質量分析計、(iii)トラップアレイ質量分析器、(iv)イオン移動度分離器、および(v)フラグメンテーションセルのうちの1つとして具体化することができる。他の実施では、イオン源またはRFイオンガイドは、イオンを蓄積し10eV未満のエネルギーの広がりでイオンパケットをパルス状放出する手段を有してもよい。
[0018]検出器は、衝突イオンパケットを二次電子に変換するための伝導性プレートを備えてもよい。この場合には、変換器プレートは、分析計のドリフト領域に対して負に浮いており、検出されたイオンパケットのタイムフロントに平行に揃えられる。さらに、この場合には、検出器は、30度から180度の間の角度で電子を舵取りするための少なくとも1つの磁石と、伝導性メッシュによってコーティングされたまたは覆われたシンチレータ(メッシュの電位は変換器プレートよりも正に少なくとも1kV調整される)と、シンチレータの後に配置された密封型光電子増倍管とを備える。
[0019]本開示の第2の態様によれば、飛行時間質量分光分析の方法は、(a)イオン源内でイオンをイオン化し、初期のエネルギーの広がりが10eV未満である連続または準連続イオンビームを生成するステップと、(b)初期のエネルギーの広がりよりも少なくとも10倍大きい平均エネルギーまでイオンビームを連続的に加速するステップと、(c)軸方向のイオンのエネルギーの広がりが初期のエネルギーの広がりに相当したままであるように、制限内でイオンの角度広がりを維持しつつ空間的集束平面にイオンビームを空間的に集束するステップと、(d)一方の境界が時間にあり別の境界が集群領域の空間にあるパルス状加速または減速電場を用いてイオンビームをバンチングし、それによってイオンパケットを形成するステップと、(e)イオンパケットの色偏向または色集束にてイオンパケットのエネルギーを等時性的にフィルタリングし、続く飛行時間質量分析ステップのエネルギー受容性に合うイオンを通過させる間に空間/角度集束平面内に位置する少なくとも1つの穴で不要なエネルギーを有するイオンを除去するステップと、(f)少なくとも1つのイオンミラーの静電場内の等時性の単一または多重反射にてイオンパケットを時間で分離するステップと、(g)飛行時間検出器を用いてイオンパケットを検出して波形信号を形成するステップと(h)波形信号を分析して質量スペクトル情報を取り出すステップとを順次含む。
[0020]本開示のこの態様の実施は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。好ましくは、この方法は、バンチングのステップによって影響を受けてバンチング境界の外側にあるエネルギーを有するイオンを拒絶するステップをさらに含む。代替として、エネルギーフィルタリングのステップは、加速器境界で形成する減速されたイオンをなくすために、不要な「境界」エネルギーにあるイオンを除去するように配置されてもよい。好ましくは、等時性エネルギーフィルタリングのステップは、穴またはスリットによるイオンパケット取り除きステップと、(i)静電セクタの偏向場、(ii)グリッドレスイオンミラーの角度付き反射場、(iii)少なくとも一対のデフレクタの偏向場、(v)周期的レンズの周期的空間集束場、(vi)少なくとも1つのクロマティックレンズの集束ファイルド、および(vii)上記場の組合せからなる群のうちの1つの静電場により等時性クロマティックイオンビームを集束または偏向させるステップとを含んでもよい。好ましくは、この方法のダイナミックレンジを増大させる目的のために、パルス集群のステップは、時間分離ステップにおけるイオン飛行時間と比較して少なくとも10倍短い期間でなされてもよく、この方法は、隣接したパルス間のほとんど固有の時間間隔が検出ステップにおけるイオンパケット時間幅以上の時間増分である集群パルスを符号化するステップをさらに含んでもよく、スペクトル分析ステップにおける複数の集群パルスに対応する部分的に重なった信号を復号するステップもさらに含んでもよい。
[0021]好ましくは、この方法は、イオン化ステップ前の2段または1段クロマトグラフィ分離のステップをさらに含んでもよく、イオン化ステップは、(i)0.1cm未満の開口を有する体積内で電子ビームによってイオン化すること、(ii)0.1〜1.0cmの範囲内の総開口を有する体積内の電子ビームによりイオン化し、イオン化電子ビームの近くで電極を正にバイアスすることによって二次電子を除去すること、(iii)化学イオン化、(iv)交流イオン化法のための電子衝撃イオン化の上流の化学イオン化、(v)光化学イオン化、(iv)調整されたグロー放電イオン化、(vi)コールドEIイオン化(すなわち、超音速ガスジェット中で冷えている検査対象内部分子によって達成される電子衝撃イオン化)、および(vii)場イオン化のうちの1つを含んでもよい。好ましくは、この方法は、イオン化ステップと連続加速ステップとの間に、RFイオンガイドの半径方向の不均一なRF場内にガス衝突におけるイオンビームを閉じ込めるステップをさらに含んでもよく、イオン化ステップは、(i)ESIイオン化、(ii)APCIイオン化、(iii)APPIイオン化、(iv)前段真空ガス圧でのMALDIイオン化、(v)EIイオン化、(vi)CIイオン化、(vii)コールドEIイオン化、(viii)光化学イオン化、および(ix)調整されたグロー放電イオン化のうちの1つを含んでもよい。好ましくは、この方法は、イオン化ステップとガス状イオン閉じ込めステップとの間に1つのイオン操作ステップをさらに含んでもよく、イオン操作は、(i)四重極のRF場および直流場における質量分離、(ii)飛行時間質量分離、(iii)RF場トラップおよび直流場トラップのアレイ内のイオンのトラップ、その後に続くトラップ場のアレイから外への順次的な質量依存性のイオン放出、(iv)イオン移動度分離、(v)フラグメントイオンのうちの1つまたはそれらの組合せを含んでもよい。好ましくは、この方法は、ガスRFイオンガイドにおけるイオン化ステップまたはイオン閉じ込めステップでイオンを蓄積しイオンパケットをパルス状放出するステップをさらに含んでもよい。
[0022]好ましくは、分析のダイナミックレンジを改善する目的で、イオンパケット検出ステップは、(i)検出されたイオンパケットのタイムフロントと平行に伝導性プレートを揃えるステップ、(ii)伝導性プレートの表面の近くに加速場を配置するステップ、(iii)衝突イオンパケットを二次電子に変換するステップ、(iv)上記電子を磁場3mTから30mTまで(30ガウスから300ガウスまで)の範囲内で30度から180度の間の角度で舵取りするステップ、(iv)少なくとも1kVだけ二次電子を加速するステップ、(v)シンチレータ上へ二次電子を向けてそれによって光子を発生させるステップ、(v)シンチレータの表面から表面漏電または放電によってシンチレータの表面を覆っているまたはコーティングしている伝導性メッシュに向けて静電荷を引き寄せるステップ、および(vi)シンチレータの後に配置された密封型光電子増倍管によって光子を検出するステップからなる順次ステップを含んでもよい。
[0023]好ましくは、飛行時間分析器の静電場内で時間分離ステップの後にMS−MS機能を追加する目的ために、この方法は、(i)タイムフロントと平行に配置され一次イオンパケットに向いている表面上の表面誘起解離SID、(ii)親イオンパケットの軌道に対して滑空角で配置された表面誘起解離SID、(iii)親イオンの単一の平均衝突に対応する1から5cm*mTorの間で積P*Lを維持するように調整されたガス圧Pにおける長さLが1cm未満である短いCIDセル内の衝突誘起解離CTD、(iv)源の開口を0.1から0.3cmの間で選ぶことによって源内に配置された衝突誘起解離CID、(v)フラグメンテーションステップの後のパルス式加速、(vi)フラグメンテーションステップの後のレンズによる空間集束、(vii)フラグメンテーションステップの後のフラグメントイオンパケットの後段加速、(viii)フラグメンテーションステップの後の舵取りからなる群の定期的イオン選択ステップおよびイオンフラグメンテーションステップをさらに含んでもよい。好ましくは、スペクトル復号ステップは、イオン信号の時間変化をクロマトグラフィ分離、イオン移動度分離、または質量分離と相関させるステップを含む。
[0024]好ましくは、イオンパケットのデューティサイクルおよび時間幅を調整する目的で、この方法は、(i)連続加速ステップにおける連続イオンビームの平均エネルギーを調整するステップ、(ii)バンチングのステップにおける場の強さを調整するステップ、および(iii)エネルギーフィルタリングのステップにおける伝達されたエネルギーの広がりを調整するステップからなるステップのうちの1つをさらに含んでもよい。
[0025]本開示の第3の態様によれば、連続または準連続イオンビームをイオンパケットにパルス変換する方法は、(a)イオン源内でイオンをイオン化し、初期のエネルギーの広がりが10eV未満である連続または準連続イオンビームを生成するステップ、(b)
初期のエネルギーの広がりと比較して少なくとも10倍大きい平均エネルギーまでイオンビームを連続的に加速するステップ、(c)軸方向のイオンのエネルギーの広がりが10eV未満の初期のエネルギーの広がりに相当したままであるように、制限内でイオンの角度広がりを維持しつつ空間的集束平面にイオンビームを空間的に集束するステップ、(d)一方の境界が時間にあり別の境界が集群領域の空間にあるパルス状加速または減速電場を用いてイオンビームをバンチングし、それによってイオンパケットを形成するステップ、(e)バンチング境界の外側のバンチングによって影響を受けるエネルギーを有するイオンを拒絶するステップ、(f)イオンパケットの色偏向または色集束にてイオンパケットのエネルギーの広がりを等時性的にフィルタリングし、イオンを通過させる間に空間/角度集束平面内に位置する少なくとも1つの穴で不要なエネルギーを有するイオンを除去し、所望のエネルギー受容性に合わせるステップからなる順次ステップを含む。
[0026]好ましくは、等時性エネルギーフィルタリングのステップは、穴またはスリットによるイオンパケット取り除きステップと、(i)静電セクタの偏向場、(ii)グリッドレスイオンミラーの角度付き反射場、(iii)少なくとも一対のデフレクタの偏向場、(v)周期的レンズの周期的空間集束場、(vi)少なくとも1つのクロマティックレンズの集束場、および(vii)上記場の組合せからなるもののうちの1つの静電場により等時性クロマティックイオンビームを集束または偏向させるステップとを含んでもよい。好ましくは、変換効率を増大させる目的で、イオンパルスバンチングのステップは、10μsと100μsとの間のパルス周期で配置されてもよく、異なるm/zを有する部分的に重なったイオンのパケットの続く復号のためにほとんど固有の時間間隔で集群パルスを符号化するステップをさらに含んでもよい。
[0027]いくつかの実施では、バンチングのステップは、グリッドのない電極によって遂行される。適宜、グリッドのない電極は、パルス状加速場の均一な分布を伴う1セットの環状電極または一対の大径電極として具体化される。
[0028]本開示の第4の態様によれば、飛行時間質量分析計は、イオン源と、加速ステージと、バンチャと、エネルギーフィルタと、飛行時間質量分離器と、飛行時間検出器とを備えることができる。イオン源は、連続または準連続とすることができる。加速ステージは、イオン源によって放出されたイオンビームを受け入れるように配置される。バンチャは、加速ステージから加速されたイオンビームを受け入れるように配置される。バンチャは、イオンビームからイオンパケットをやはり形成する。エネルギーフィルタは、バンチャからイオンを受け入れ、イオンの一部を等時性的に除去する。飛行時間質量分離器は、エネルギーフィルタを通過するイオンを受け入れ、受け入れたイオンを時間分離するように配置される。飛行時間検出器は、飛行時間質量分離器内またはその端にある。飛行時間質量分離器は、関連したエネルギー受容性レベルを有し、エネルギーフィルタは、質量分離器のエネルギー受容性レベルの外側のイオンを除去する。
[0029]本開示のこの態様の実施は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施では、バンチャは、第1の電極と平行な第2の電極との間に形成され、バンチャは、2つの平行電極間にほぼ均一なパルス状電場を発生させるための容量性および抵抗性の分割器を有する。適宜、分析計は、空間集束レンズをさらに備え、空間集束レンズは、イオンビーム内のイオンの幅および発散を集束するように構成され、加速ステージの後にイオンビームを受け入れるように配置される。適宜、空間集束レンズは、イオン源および加速ステージのうちの少なくとも1つと電極を共有する、またはイオン源および加速ステージのうちの少なくとも1つに組み込まれる。
[0030]いくつかの例では、分析計は、バンチャの上流にフィールドフィー領域として配置された抑制器をさらに備え、パルス発生器は、パルス電圧を抑制器に印加する。適宜、抑制器は、接近イオンを舵取りするように配置された電極を備え、単一のパルス発生器は、パルス電圧を抑制器とバンチャを形成する2つの平行電極の一方とへ印加する。さらに、適宜、抑制器は、イオンを押したり偏向させたりするための双極メッシュを備える。
[0031]いくつかの実施では、飛行時間質量分離器は、単反射飛行時間質量分析計または多重反射飛行時間質量分析計のいずれかとして具体化される。そして、いくつかの実施では、適宜、バンチャは2つの平行電極を備え、パルス式発生器は、パルス電圧を2つの平行電極の一方へ印加する。または、適宜、バンチャは、静電場を形成するグリッドのない電極を備える。
[0032]適宜、エネルギーフィルタは、飛行時間質量分離器への等時性の曲がった入口を形成する。適宜、エネルギーフィルタは、平面レンズと、第1の静電セクタと、第2の静電セクタと、第3の静電セクタと、取り囲むスリットのセットと、エネルギーフィルタ用スリットとを備える。平面レンズは、水平方向にイオンパケットを空間的に集束するように配置される。取り囲むスリットのセットのスリットの1つは、各静電セクタのエントランスおよび各静電セクタの出口に位置する。エネルギーフィルタ用スリットは、離れたところのイオンをエネルギーレベルに基づいて除去する。さらに、適宜、エネルギーフィルタは、分離用スリットと、角度付きイオンミラー、静電セクタ、デフレクタ、および1つまたは複数のレンズからなる少なくとも1つとを備える。
[0033]適宜、分析計は、ガス無線周波数イオンガイドと、軸方向直流場と、シールド電極と、取り出し電極とを備える。ガス無線周波数イオンガイドは、入射イオンビームの衝突減衰をもたらすように配置される。シールド電極および取り出し電極の組合せは、空間イオン集束場を実現する。
[0034]いくつかの実施では、イオン源は、ガスクロマトグラフィから試料を受け入れるとともにイオンチャンバを有するクローズドEIイオン源と、パルス発生器に接続された反射電極と、パルス発生器(114e)に接続された取り出し器として具体化される。いくつかの例では、イオン源は、多重極ロッドによって形成された蓄積イオンガイドと、周期的ソフト取り出しパルスを受け取る補助プッシュ電極と、補助直流トラップ電極と、周期的ソフト取り出しパルスを受け取る出口スキマーとを備える。適宜、分析計は、差動ポンプチューブと、エネルギーフィルタによって形成された飛行時間質量分離器への等時性の曲がった入口とを備える。差動ポンプチューブは、バンチャからイオンパケットを受け取り、イオンパケットを等時性の曲がった入口の中に送る。
[0035]適宜、飛行時間検出器は、伝導性変換器と、少なくとも1つの磁石と、正にバイアスされたシンチレータと、密封型光電子増倍管とを備える。伝導性変換器は、飛行時間質量分離器のドリフト空間からイオンパケットを受け取る。伝導性変換器は、ドリフト空間の電位の負電荷とは異なる負電荷を有する電位を有する。少なくとも1つの磁石は、伝導性変換器によって反射された電子を偏向する磁場を発生させる。正にバイアスされたシンチレータは、伝導性メッシュのコーティングまたは覆いを有するとともに、磁場によって偏向された電子を受け入れる。密封型光電子増倍管は、正にバイアスされたシンチレータの下流にある。
[0036]適宜、分析計は、時間イオン選択器と、フラグメンテーションセルと、フラグメント化イオン質量分析器と、パルス発生器とを備える。時間イオン選択器は、飛行時間分離器内で分離された親イオンにアクセスする。フラグメンテーションセルは、時間イオン選択器から親イオンを受け入れる。フラグメント化イオン質量分析器は、フラグメンテーションセルからフラグメント化イオンを受け入れる。パルス発生器は、時間イオン選択器に接続する。飛行時間分離器とフラグメント化イオン質量分析器の両方は、単反射飛行時間質量分析計または多重反射飛行時間質量分析計のいずれかとして具体化される。
[0037]全体的に、連続イオンビームをパルス状イオンパケットに有効にパルス変換することを可能にする飛行時間型質量分析法のための機器および方法が提案される。エネルギー連続イオンビームのバンチングは、イオンパケットを形成し、続く等時性エネルギーフィルタによってフィルタリングされる。バンチング方法は、直交加速部の受容性に合わない比較的大きい空間発散度を有するイオン源に特に適している。この方法は、小サイズのイオンパケットに対応し直交加速部のデューティサイクルの利点が小さいMR−TOF MSに特に適している。
[0038]本開示の1つまたは複数の実施の詳細は、添付図面および以下の説明に記載される。他の態様、特徴、および利点は、明細書および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになろう。
[0039]次に、本発明の様々な実施形態は、例示の目的にだけ示される構成とともに、例のみによって以下の添付図面を参照して説明される。
[0040]国際公開第2007044696号と同様の直交加速部を備えた多重反射飛行時間質量分析計の上面概略図および側面概略図である。 [0041]知られているバンチングおよびパルス式加速法の時間−空間図である。 [0042]バンチング方法のブロック図および時間−空間図である。 [0043]関連したアイコンがいくつかの抑制器の実施形態を示す、バンチング変換器を備えた飛行時間質量分析計の実施形態を示す図である。 [0044]時間−エネルギー図に示された理想的な「グリッドにカバーされた」軸方向バンチャについてのイオン光学シミュレーションの結果、およびイオンパケット時間拡散対イオンビーム角度についてのグラフを示す図である。 [0045]シミュレートされた「長い」および「短い」理想的なバンチャにおける電極およびイオン軌道の図である。 [0046]電極図と一実施形態による曲がったエネルギーフィルタを用いてシミュレートされたイオン軌道とを示すとともに、曲がったエネルギーフィルタの後のエネルギーおよび時間の分布についてのシミュレートされたヒストグラムを示す図である。 [0047]代替のエネルギーフィルタの概略図である。 [0048]連続イオンビームの角度付き入射で動作する、本発明の軸方向バンチャを装備した単反射TOF MSの概略図である。 [0049]無線周波数イオンガイドと軸方向バンチャの結合についての概略図である。 [0050]ソフトなパルスを生成するイオン源の後のバンチャの実施形態についての概略図である。 [0051]軸方向バンチャおよびエネルギーフィルタに結合された多重反射TOF MSについての概略図である。 [0052]本発明のバンチング方法に適用される従来技術の符号化された間隔の短いパルス生成の方法についての時間図である。 [0053]長寿命の検出器の概略図である。 [0054]本発明の軸方向バンチングを用いたTOF−TOFの概略図である。
[0055]MR−TOF MSにおける直交加速
[0056]図1を参照すると、国際公開第2007044696号(これは参照により本明細書に組み込まれる)の直交加速部(OA)13を利用するMR−TOF MSの実施形態10は、連続イオン源11と、舵取りレンズ14を備えたOA13と、負に浮かされたドリフト空間16によって分離された一対の平行な一対のグリッドレスイオンミラー15と、舵取りデフレクタ18を備えた周期的レンズ17と、検出器19とを備える。動作時、よく方向付けられた連続イオンビーム12が、Y軸にほぼ沿ってOAの中に導入される。OA13のプレートに適用される周期的パルス(図示せず)は、MR−TOF MSのドリフト空間の中にかつジグソー軌道20に沿ってイオンリボンパケットを加速する。OA13において、イオンビームの軌道は、小さい角度αでY軸からずれており、これによって20eVから100eVの間のイオンビーム12について有限のエネルギーレベルを用いつつイオンビームの舵取りにおける飛行時間収差を補償することができる。
[0057]図1に示されたスキームの実際の実施は、垂直サイズとエネルギーの広がりとの両方に関連する低い横断飛行時間絶対収差T|YYKを維持するために、イオンパケットのY長さを(600mmのキャップ間の距離に対応する)約5〜6mmに制限する。別の困難は、連続イオンビーム12を(1〜1.5mmの狭さの)X方向と(2〜3mmの狭さの)Z方向との両方に狭いビームとして維持することにあり、これは、連続イオンビーム12の一部をトリムするために2つのスリットを有する加熱式コリメータ(図示せず)を用いることを必要とし得る。次いで、200V/mmの強力な加速場は、MR−TOF分析器のエネルギー受容性(4kVの加速で300eV)をまだ超えないとともに、いわゆるターンアラウンドタイムを3〜4nsまで低下させることを可能にする。イオンビーム12の幅を減少させる任意の試みは、信号強度のとても急速な損失を引き起こす。一例として、(2倍短いターンアラウンドタイムおよび2倍高い分解能力のために)イオンビーム12の幅を2倍減少させると、加熱式コリメータの両穴が2倍減少させられなければならず、コリメータの位相受容性は穴のサイズの4乗として低下するので、16倍の強度損失を引き起こす。したがって、図1のスキームは、分解能力の調整に対して柔軟性がなく抵抗性があり、感度と分解能の間の妥協が好ましくない。
[0058]図1のスキームは、RFオンリ四重極において衝突減衰を伴って連続イオンビーム12を閉じ込めるときよく機能する。しかしながら、このスキームに対するときに10nAを上回る大きいイオン電流を用いるイオン源を利用しようと試みる場合、ビーム発散度は、RFオンリ四重極における空間電荷効果により拡大し、伝達は急速に低下する。
[0059]イオンパケットのバンチングおよびパルス式加速
[0060]イオンパケットのバンチングは、核物理学において、通常は等質量連続イオンビームのチョッピングの後に、よく説明されている。バンチング(すなわち、一方の境界(開始または終了)は時間にあり、別のものは一定の距離(メッシュまたはアニュアル電極)であるパルス式加速または減速)は、時間的発散度(すなわち、時間拡散ΔTとエネルギーの広がりΔKの積ΔT*ΔK)を保存しつつ、イオンパケットの時間再集束を与える。基本的なイオンの光学特性は、リウヴィユの定理として知られている。バンチングの集束/集束ずれの特性は、距離−時間グラフにおいて観察することができる。
[0061]時間的発散度保存の同じ基本法則は、初期に停滞したイオン雲に適用されるパルス式加速スキームにも当てはまる。図2を参照すると、いくつかのバンチングおよびパルス式加速スキームが示されており、距離はX軸に沿って描かれ、時間はT軸に沿って描かれている。スキーム21は、(例えば、直交加速部における)ゼロの平均速度でのイオンのパルス式加速に対応する。加速はT=0で開始し、イオンが加速領域を出るときに終了する。初期の空間的広がりΔXは、速度広がりΔVに変換されることになる。時間的集束T|X=0は2倍長い距離の後に実現されるが、それでもなお、初期の速度広がりΔVは必然的にいくらかの有限のパケット幅ΔXを引き起こす。空間的広がりと速度広がりの積は保存される(すなわち、ΔV*ΔX=ΔV*ΔX)。同じ積は、より便利な形態(すなわち、ΔT*ΔK)でも保存され、ターンアラウンドタイムΔT=ΔX/Vは、エネルギーの広がりの増加を犠牲にする限り(より高い加速度A=qE/mで)より高い強度の加速度場E、ΔT=ΔV/A=ΔV1*m/qE、およびΔK=ΔX*Eを用いることによって減少させることができる。さらに、保存された積の2つの形態の間の変換効率は、
ΔT*ΔK=ΔT*ΔK=ΔV*ΔX*m/q=ΔV*ΔX*m/q
(式1)
である。
[0062]スキーム22は、いわゆる遅延取り出しに対応するものであり(Willey McLaren’ 1953)、初期に停滞したイオン雲は拡大することが許容され、加速パルスは遅延を伴って適用される。このスキームは、時間的集束T|V=Oへの接近と、ターンアラウンドタイムの減少または時間焦点面の移動とを可能にする。しかしながら、同様の集束を初期の広がりに到達させるのは、ΔT*ΔK=一定とする同じ理由から、基本的に不可能である。
[0063]スキーム23は、MALDI源における遅延取り出しに対応し、ゼロでない平均速度を有するイオンパケットのバンチングを実現する。スキーム24は、減速領域での対応する集束を実現する。加速バンチングまたは減速バンチングを伴う複数の他のスキームは、加速時または加速が一方が一定時間にあり他方が一定位置にある異なる境界を有するときに、時間的集束、焦点面調整、エネルギーの広がりが減少させられたパケットを有するパケットの取得(核物理学において離群として知られる)を実現するために存在する。
[0064]時間的発散度を保存するという表現は、米国特許第8461521号の最近提案された同時空間および速度集束と矛盾しているように思われる。しかしながら、特許請求された同時集束は、エネルギー収差T|KKあたり二次の時間にわたって実現され(2段イオンミラーにも利用可能な)、一次収差T|Kについてではない。
[0065]以下、イオンパケットバンチングのいくつかの重要な特徴を強調させていただく。
− 積ΔT*ΔKは保存され、積ΔX*ΔVに関連している。
− バンチングは、加速または減速のいずれかとともに動作することができる。
− バンチングは、時間集束のため、時間集束調整のため、またはエネルギーの広がりを減少させるために使用することができる。
− ある意味では、バンチングは、空間レンズの集束と同様にX−T空間内でイオンパケットを集束させるが、バンチングは、レンズが集束に制限される間に集束ずれに使用することもできるという1つの違いがある。
− 時間拡散ΔTの減少が可能とされるが、エネルギーの広がりΔKの増加が犠牲になり、これはTOF分析器のエネルギー受容性(TOFにおける15〜20%、およびMR−TOFについて7〜10%)に達するまでは妥当である。
− イオンパケットが(スキーム21および22に示された)ゼロの平均速度を有する場合に限り、全質量範囲は保存され、さもなければ、バンチングは質量範囲の減少を引き起こす(場合によっては望ましい)。
[0066]連続イオンビームの軸方向バンチング
[0067]また、限られたデューティサイクルでパルスへ連続イオンビームを変換することについてのバンチングの説明は、(例えば、米国特許第5614711号(Heftje)および米国特許第7045792号(SAI)に(これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる))示されているが、提案した方法は、質量範囲を制限し、過度のエネルギーの広がりをもたらし、寄生するTOFピークを形成する。本開示は、軸方向バンチングの手法の示された説明に存在するこれらの問題の一部を緩和する。
[0068]図3を参照すると、ブロック概略のレベルで、本発明の方法31は、連続または準連続イオンビームをイオンパケットにパルス変換することについて開示される。例示の方法31は、以下の順次的なステップを含むものであり、すなわち、(a)イオン源内でイオンをイオン化し、初期のエネルギーの広がりが10eV未満である連続または準連続イオンビームを生成し、(b)初期のエネルギーの広がりよりも少なくとも10倍大きい平均エネルギーまでイオンビームを連続的に加速し、(c)適宜、軸方向のイオンのエネルギーの広がりが初期のエネルギーの広がりに相当したままであるように、制限内でイオンの角度広がりを維持しつつ空間的集束平面にイオンビームを空間的に集束し、(d)一方の境界が時間にあり別の境界が空間にあるパルス状加速または減速電場を用いて連続または準連続イオンビームをバンチングし、それによってイオンパケットを形成し、(e)バンチング境界の外側のバンチングによって影響を受けるエネルギーを有するイオンを拒絶し、(f)イオンパケットの色偏向または色集束にてイオンパケットのエネルギーを等時性的にフィルタリングし、イオンを通過させる間に空間/角度集束平面内に位置する少なくとも1つの穴で不要なエネルギーを有するイオンを除去し、続く飛行時間質量分析ステップのエネルギー受容性に合わせるステップを含む。さらに、例示の方法31は、(連続または準連続イオンビームをイオンパケットにパルス変換するプロセスを具体的に言及するのではなく)TOF MS分析をより一般的に言及する下記順次ステップを含むものであり、すなわち、(g)少なくとも1つのイオンミラーの静電場内の(複数のうちのただ1つであり得る)等時性反射に沿ってイオンパケットを時間で分離し、(h)飛行時間検出器を用いてイオンパケットを検出して波形信号を形成し、(i)検出した波形信号を分析して質量スペクトル情報を取り出すステップを含む。上に挙げたステップのうち、(c)、(g)、(h)、および(i)は、これらが、方法全体の一部として生じ得るがパルス変換に直接関連していない適宜または追加のステップであることを強調するためにブラケット内に示されている。
[0069]再び図3を参照すると、パルス変換の方法31は、単一質量のイオンについての距離−時間グラフ32を用いて示される。X軸およびT軸に沿って描かれたイオン軌道は、X−T平面内の小さい傾斜角に対応する比較的小さい速度でT=0から始まる。この図は、T≧0で生じるステップに焦点を当てるために負のX値を有する軌道を切り捨てる。
[0070]連続加速ステップは、一定のX領域で行われ、イオン速度が増加することになり、これはグラフ32におけるより大きい傾斜角に対応する。イオンは、エネルギーの広がりΔKよりも少なくとも10倍大きい平均エネルギーKまで加速され、このことは、続くステップが上手くいくために重要になる。複数の質量分析用連続イオン源は、数電子ボルトのエネルギーの広がりを有するイオンビームを生成し、または特別な注意が払われる場合、1eV以下のエネルギーの広がりを有するイオンビームを生成することが知られている。例えば、軸方向のエネルギーの広がりは、ガス充填式RFオンリイオンガイドを用いて1eV未満に減衰させられることが知られている。そのようなエネルギーの広がりは、TOF MSにとってなおとても大きく、1000amuについては5ns未満までターンアラウンドタイムを減少させるために、1kV/mmよりも大きい場の強さを必要とする。連続加速は、絶対速度の広がりを減少させる。例えば、平均速度をVからVまで加速すると、
ΔV=ΔV*V/V
(式2)
に従って速度広がりが低下する。式2は、連続加速平面Xの後の傾斜角の広がりの減少によってグラフ32に示されている。V=(2Kq/m)0.5としたときに、2ΔVの速度広がりに対応するゼロの平均速度(すなわち、V=0)および熱エネルギーKを有するイオン雲の場合、エネルギーKまでの連続加速は、速度広がりを2ΔV=(2q/m)0.5*[(K+K0.5−(K−K0.5]として減少させ、したがって、連続加速後の全速度広がり2ΔVは、
2ΔV=ΔV*(K/K0.5
(式3)
になる。
[0071]0.5eVの熱エネルギー(1eVの全エネルギーの広がり)から1000eVのエネルギーを有するイオン雲の加速は、かなりの速度広がりの減少(すなわち、60倍の速度広がりの減少)を可能にする。連続加速は(表1において以下で示されるように)変換器のデューティサイクルを改善しないが、連続加速はバンチ変換器の実際に便利なサイズのパルス振幅の使用を可能にし、それは次のステップで空間集束レンズによって色収差を減少させる。したがって、典型的なΔK(すなわち、約1eV)の場合、この方法は、K>10eV、好ましくは、数百電子ボルトから数千電子ボルトの間のKに適している。
[0072]絶対速度の広がりのこの減少は、本開示の利点である。この減少は、本明細書に示された新規な機器および方法に関する結果である。
[0073]空間集束ステップ:適宜、グラフ32に示されるように、方法31は、空間集束のステップを含む。適宜の空間集束ステップは、バンチングのステップの前のイオンビームの幅および発散、時間イオン選択、エネルギーフィルタリング、およびTOF MSまたはMR−TOF MSにおける質量分析に適合させる。空間集束ステップは、レンズフォーカス時の色収差を最小にするために連続加速ステップの後に行われるが、空間集束ステップは、軸方向の速度広がりおよびターンアラウンドタイムを最小にするためにバンチングのステップ前に行われる。空間集束は、ビームをエネルギー選択穴の中に集束させ、その結果としてエネルギーフィルタリングステップの強化になる。
[0074]空間集束ステップにおいて、イオンビームパラメータは、イオンパケットとエネルギーフィルタおよびTOF分析器の受容性の最適な結合を達成するように調整される。例えば、初期のエネルギーの広がりΔKに対して(例えば、ΔK’=K*αに従ってエネルギーの広がりを増加させることになる大きな角度αのために)連続イオンビームの軸方向のエネルギーの広がりをさもなければ生じさせ得る何らかのかなり大きな衝撃を避けるために、空間集束は、長い焦点距離および小さい偏向角度αを達成することができる。アイコン32は、連続イオンビームにおける速度広がりΔVよりも小さい軸方向速度のさらなる広がりΔVを示す。等エネルギービームの空間集束は、本開示の新規な方法および機器のさらなる利点である。
[0075]バンチングのステップ:空間集束ステップ後に、バンチング電気パルスは、加速用パルスとしてグラフ32に例示されている集群領域として知られる空間−時間領域内で印加される。集群領域内のイオンは、加速経路に比例したイオンエネルギーを得て、直交加速部のスキーム21に説明および例示されるように時間集束される。
[0076]エネルギーフィルタリングステップ:集群化されたイオンパケットは、さらなるエネルギーフィルタ(グラフ32には図示せず)を用いて連続イオンビームから後で分離される。グラフ32では、フィルタリングを受けたイオンパケットは、あまりに大きすぎるまたはあまりに小さすぎる傾斜角の軌道に対して「拒絶K」が示されている。この同じエネルギーフィルタは、過度のエネルギーの広がりとなっているイオンを除去することも可能である。それらの除去されたイオンは(グラフ32にやはり図示されていない)続くTOF分析器のエネルギー受容性の範囲(通常、単反射グリッド付きTOFでは15〜20%、およびグリッドレスMR−TOFでは7〜10%である)に適合できないので、過度のエネルギーの広がりのイオンの除去は重要である。これは、場の強さの加速に関して独立した制御を可能にする。例えば、強力に印加されたパルス式加速は、パケットのターンアラウンドタイムを減少させることができる。
[0077]このエネルギーフィルタリングステップは、本開示の新規な方法および機器の核心的特徴を示す。米国特許第5614711号(Heftje)および米国特許第7045792号(SAI)とは対照的に、本発明のエネルギーフィルタリングステップは、不要なイオンをなくし、制御されたエネルギーおよび時間拡散を有する加速されたパルス状パケットの理想的な部分を維持することを可能にする。時間拡散は、(a)エネルギーフィルタリングステップに関連した収差(これはビームサイズに依存する)、および(b)妥協したデューティサイクルによって制限され、1ns未満でよくもたらされ得る。不適切なエネルギーを有するまたはバンチャ境界から生じる「劣った」イオンを除去することで、制御された上質なイオンパケットの形成を可能にする。
[0078]減速されたイオンをなくすステップ:そのようなステップは、核物理学の実験にあるように単一質量のイオンビームを切断するだけであるならば必ずしも必要ではない。このステップは、減速イオンを本質的に除くより狭いエネルギー範囲が選択される場合にも不要である。しかしながら、TOF MS分析は、少なくとも10:1の広い質量範囲を取り扱う。TOF MS分析に起こり得る異なる質量の範囲内で、傾斜角は、少なくとも3倍異なる可能性がある。したがって、TOF MS分析範囲内のより軽いわずかなイオンについて「ゴーストピーク」を防ぐために、パルス持続期間を配置することが実用的でなくなる。
[0079]これらの「ゴーストピーク」の性質を理解するためには、加速用パルスがエントランス電極に印加されるグラフ32に示された特定のバンチングのケースを分析することが有利である。このバンチングケースでは、パルス状減速場は、エントランス電極の前で、イオンがエントランス電極に接近するときにイオンの減速を引き起こすように出現する。グラフ32は、「パルス状離群」のハッシュ領域を示す。この領域内のイオンの大部分は、エネルギーフィルタによってフィルタリングを受ける。しかしながら、イオンの一部は、減速およびその後の加速を受け、これはイオンがエネルギーフィルタによりフィルタリングを受け得るシナリオをもたらす。これらの減速されたがフィルタリングを受けていないイオンは、TOF MS分析中の「ゴーストピーク」を後で形成する。
[0080]適宜、それらの「ゴーストピーク」の除去は、別個の時限イオン選択器の使用、またはそのような時間選択のパルス電極自体の偏向特性または減速特性への組み込みを含むいくつかのやり方で達成される。例えば、イオンは、電極穴を通る間に集束ずれを受け得る、またはそれらはパルス電極に組み込まれたさらなるデフレクタによって空間的に偏向され得る。特定の一実施形態では、双極メッシュは、非対称のパルスを印加する場合(例えば、パルスが一様なワイヤだけに印加される場合)、バンチングの目的と偏向の目的の両方に使用することができる。代替として、(グラフ32中のハッシュ領域として示された)減速場は、同じパルス電圧をパルス電極の前の電極に印加することによって除去することができる。複数の適宜の方法はゴーストピーク除去のために存在するので、時間的に減速されたイオンを除去するより一般的なステップは、単に「偏向」、「時間選択」とは呼ばれず、または「減速された場を避けること」とさえも呼ばれない。代替として、ゴーストイオンは、比較的狭いエネルギー範囲がイオンパケットのために選択される場合に除去することができる。しかし、これは、集群のデューティサイクルの妥協となる。
[0081]以下に説明されるように、単反射TOFに適用されるとき、方法31は、(例えば、SU1681340の)直交加速法よりも低いデューティサイクルを有する。しかしながら、方法31は、MR−TOFの場合に同等のデューティサイクルをもたらし、方法31は、TOF MSとMR−TOF MSの両方においてずっと大きい空間受容性をもたらす。したがって、方法31は、パルス変換の効率全体を改善することができる。
[0082]軸方向バンチングにおけるデューティサイクル
[0083]式4は、TOF MSエネルギー受容性に合っている(イオンパケットに変換される)連続イオンビームに有効に使用される時間間隔を示す。式4で、連続イオンビームのエネルギーの広がりを2ΔK=1eVと仮定すると、TOFエネルギー受容性はΔK=350eV(ΔK/K=7%およびK=5kV)、目標ピーク幅は1000amuでΔT=3nsである。時間的発散度を保存する法則に基づいて、軸方向バンチングの有効に使用される時間は、
EFF=ΔT*ΔK/2ΔK≒1μs
(式4)
である。
[0084]より大きいピーク幅ΔTを許容するために、より大きいTOFエネルギー受容性を用いることによって、またはガス充填式イオンガイド内のイオンエネルギーの広がりを減少させることによって、有効に使用される時間TEFFを増大させる。この有効に使用される時間TEFFは、連続イオンビームKのイオンエネルギーから独立していることに留意されたい。この独立性は、パルス式加速バンチャでの場の強さEの適切な調整を前提とする。表1は、以下の基本的な条件、1000amuのイオンに対して2ΔK=1eV、ΔK=350eV、およびΔT=3nsにおいて、有効に使用される時間TEFFについて連続ビームのイオンエネルギーレベルKからの独立性を示す。表1の数字は概数であることに留意されたい。
Figure 0006527170
[0085]表1の計算:連続イオンビームの平均速度は、V=(2U*q/M)0.5のように計算される。速度広がりΔVは、(式3)に与えられた公式を用いて計算される。集群場Eの必要な強さは、ターンアラウンドタイム定数をΔT=ΔV*M/qE=3nsに維持するように計算される。エネルギー受容性は、定数(ΔK=350eV)として得られる。集群イオンパケットの有効長さはXEFF=ΔK/qEとして計算され、有効に使用される時間はTEFF=XEFF/Vとして計算される。すべての場合において、加速された場の強さは、一定のエネルギーの広がりを350eVに、一定のターンアラウンドタイムを3nsに維持するようになされる。したがって、有効に使用される時間は、連続イオンビームの平均イオンエネルギーの変動から独立して、(表1に約1μsとして示された)1.06μsとして計算される。後述の複数の理由のため、最適なエネルギーは、1keVくらいになり、これは有効加速長さ15mmに相当し、これは実際に都合がよい。
[0086]軸方向バンチングのデューティサイクルは、バンチングが標準的な単反射Re−TOF MSに利用されるとき有効でないと思われる。10,000を超える分解能を得るために、Re−TOF MSは、1000amuのイオンについて典型的な飛行時間T=100μsを用いる。そして、軸方向バンチングはDC=TEFF/T=1%のデューティサイクルを与え、一方、直交加速法(例えば、SU1681340)は、長さ25〜40mmの直交加速部(OA)を許可するRe−TOFの広い空間受容性により、10〜15%のデューティサイクルを与えることが知られている。連続イオンビームの軸方向エネルギーは、OAの中への有効なイオン移動の場合、通常約50eVで選ばれる。したがって、1000amuのイオンの軸方向速度は4.5mm/μsであり、OAの有効時間はTEFF=5〜10μsであり、これはRe−TOF MSのための軸方向バンチング方法31に関連したTEFF=1μsよりも顕著に大きい。
[0087]しかしながら、軸方向バンチング方法31がMR−TOF分析器に利用され、5〜6mm未満の短いイオンパケットに対応するとき、(分解能に関する)結論はまったく異なる。そのような場合には、OAの有効時間は(1000amuのイオンの場合)1〜1.2μsまで低下し、OA軸方向バンチングに関連したゲインは消える。実際には、OA法は、EI源またはグロー放電源などの大きい空間発散度を有するイオンビームを用いるとき、特に不利になる。そのような場合には、OAの利用は、大きい空間的損失および大きく減少する総変換器効率を伴うイオンビームのコリメーションを必要とする。以下に示されるように、軸方向バンチングの方法は、OA法にあまり適合しない例外的に広い発散度およびエネルギーの広がりを有するイオン源を採用することを可能にする。
[0088]本明細書に示された実現は顕著である。軸方向バンチングは、直交加速のデューティサイクルと比較してはるかに劣ったデューティサイクルを有するように考えられている。本開示は、反対のものに関する証拠を示す。
[0089]軸方向バンチングの空間受容性および利点
[0090]OAスキームについての軸方向バンチング方法31によるゲインは、式5に示される全空間受容性(A)とパルス変換器の効率全体を特徴付ける空間受容性および有効に使用される時間の積(A*TEFF)との両方を改善することによってさらに示され、ここで、
A=(ΔX*ΔV)=(ΔX*Δa)*K
(式5)
である。
[0091]一次元のOA受容性(a)は、50eVエネルギーで約a=2mm*degであり、したがって全受容性は、A=200mm*deg*eV=0.05mmradeVである。
[0092]MR−TOFの受容性についての評価は、
− 5keVでa=2.5mm*deg(より正確には垂直Y次元に5mm*1deg、Z方向に3mm*0.4degである)
− A=30,000mm*deg*eV≒10mmradeV
である。
[0093]Re−TOF MSについての評価は、
− 10keVでa=10mm*deg(すなわち、A=1E+6mm*deg2*eV≒300mm2rad2eVである)
である。
[0094]以前より、OAの有効時間は、TOF MSにおいてTEFF=10μs、MR−TOF MSにおいてTEFF=1〜1.5μsとして評価された。軸方向バンチング方法31を利用すると、TEFF=1μsである。この結果は、OAの空間受容性がTOF分析器およびMRTOF分析器の空間受容性よりも大幅に小さいことを示す表2に示されている。
Figure 0006527170
[0095]共通認識とは対照的に、積A*TEFFによって特徴付けられた効率全体は、軸方向バンチングV OAにおいて顕著により高い。MR−TOF MSについては、軸方向バンチングに関してA*TEFF=10mmradeV*μsであり、一方、OAに関してA*TEFF=0.08mmradeV*μsである。Re−TOF MSについては、軸方向バンチングに関してA*TEFF=300mmradeV*μsであり、一方、OAに関してA*TEFF=0.5mmradeV*μsである。この結果は、表3に示されており、表3は、EI、SIMS、およびグロー放電などの広い発散度を有するイオン源を用いるときにOAスキームと比較して軸方向バンチング方法31の効率ゲインも示す。軸方向バンチングは、より広いダイナミックレンジのために容易に制御される信号ゲイン、狭い質量範囲の選択、および内蔵MS−MSの特徴などの複数の他の技術的利点および(OAスキームに利用できない)便利なスキームをもたらし、それらのすべては以下に説明される。
Figure 0006527170
[0096]表2および表3のデータは、軸方向バンチングの新規な方法31と直交加速の従来の方法との差を強調する。直交加速部において、連続イオンビームの空間発散度は、ターンアラウンドタイムに影響を及ぼす。特別の努力が行われなければならず、イオン損失は、OAエントランスで狭いイオンビームを受けるために受け入れなければならない。OAとは対照的に、軸方向バンチング方法31は、ずっと広いイオンビームを許容し、一般的なイオン源の大部分の場合、連続イオンビームのトリミングを何ら必要としない。さらに、軸方向バンチングは、超短イオンパケット(例えば、1ナノ秒未満)を取得することを可能にし、これは従来のイオン源の大部分に関してイオンビーム発散度から実際には独立である。そのようなものは、本開示の方法および機器の主要な進歩性である。
[0097]TOF MSについての軸方向バンチング
[0098]図4を参照すると、本開示の軸方向バンチング方法31を実行する飛行時間質量分析計の好ましい実施形態41は、以下の順次かつ軸方向に揃えられた構成要素、すなわち、連続源42と、連続加速ステージ43(すなわち、加速器)と、空間集束レンズ44と、抑制器45と、平行電極46および48が形成されたバンチャと、エネルギーフィルタ49と、TOF分析器50とを含み、TOF分析器50はRe−TOFまたはMR−TOFのいずれかとすることができる。ゲートアイコンによって示されたパルス発生器は、電極45および46に接続される。
[0099]動作時、適切な連続イオン源42は、10eV未満のエネルギーの広がりΔK、より好ましくはΔK<1eVを有する(白い矢印によって図4に示された)連続イオンビームを生成する。連続源42は、異なるサイズの黒い丸によって示されるように広い質量範囲内のイオンを生成する。加速器43は、イオンビームを平均エネルギーKまで連続的に加速し、これは少なくともエネルギーの広がりΔKよりも10倍大きい。連続イオンビームの絶対速度の広がりは、(式3)によって説明されるように低下する。空間集束レンズ44は、連続イオンビームをエネルギーフィルタ49上へ空間的に集束させる。低い相対レベルのエネルギーの広がりは、クロマティックレンズ収差を防ぐのに役立つ。空間集束レンズ44は、電極に組み込まれてもよく、または連続源42、加速器43、および抑制器45とともに電極のいくつかを共有してもよい。連続イオンビームは、電極46と48との間の集群領域47までずっと送られる。
[00100]バンチングのステップにおいて、電極46上の電圧パルスは、電極46と48との間にパルス状加速場を発生させる。適宜、1セットの電極は、ほぼ均一なパルス状電場を発生させるための容量性および抵抗性の分割器とともに使用することができる。集群領域47内の(黒い丸によって示された)連続ビームの一部は、十分な量のエネルギーを得て続くエネルギーフィルタ49を通る。パルス持続期間は、連続ビーム中の関心のある最も重いイオンによって電極46と48との間の加速ギャップの隙間を完全にするために十分長い期間として選ばれる。白い丸として示されるイオンビームの一部を囲むと、誤ったエネルギーで集群領域47を残すことになり、したがってエネルギーフィルタ49を通らない。形成されたイオンパケットは、質量分析のためにTOF分析器50に入る。
[00101]別の電圧パルスは、時間的に減速されたイオンを避けるために抑制器45に印加される。抑制器45は、新たに入るイオンを遅らせるもしくは偏向させることができ、または抑制器45は、電極46の前にフィールドフリー領域を単に形成することができる。一実施形態45aでは、抑制器45は、双極メッシュを用いたパルス電極46と組み合わされ、これは遠い距離でイオンを押し、接近イオンを偏向させる。別の実施形態45bでは、集群パルスは、接近イオンの舵取りをするために偏向電極に印加される。さらに別の実施形態45cでは、集群パルスは、1セットの前述の電極に印加されて電極46のメッシュの前の減速場を避ける。さらに別の実施形態45dでは、抑制器45が、上流イオンとバンチング電極46のすぐ近くのイオンとを両方偏向する双極メッシュとして作製される。
[00102]パルス放出スキーム41のデューティサイクルを増大させるために、好ましくは、集群パルス46は、国際公開第2011135477号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような符号化されたパルスの間隔(EFP)を用いて、(最も重いイオンがMR−TOF分析器を通過するのに必要とされるものよりもずっと速く)しばしば印加される。数値例として、集群パルスの平均周期は10μsとすることができ、バンチャの有効時間は1μsとすることができ、これはパルス変換の10%の時間デューティサイクルに対応する。
[00103]理想的なバンチャにおける時間集束
[00104]図5を参照すると、細かいメッシュを有する一次元バンチャを用いて理想的な集群領域47をシミュレートした結果が示されている。図5の結果は、3000eVのイオンエネルギーを有する500amuのイオンビームの範囲内で1eVの等方性のエネルギーの広がりの仮定を利用して求められた。1500Vのパルスが、15V/mmの場の強さで100mmのバンチャにわたって印加された。時間−エネルギー図は、バンチャ出口(グラフ51)について示されるとともに、バンチャの背後約500mmに位置する中間時間集束(グラフ52)において示される。グラフ51、52については、平均イオンエネルギーは3750eVであり、平均速度は40mm/μsである。注目すべきは、単一のステージバンチャは、グラフ52の二次曲線によって見られるようなT|KK収差を導入することである。連続加速ステージ43とともにデュアルステージバンチャを用いて、またはデュアルステージイオンミラーを用いて、グラフ52に示された収差を除去することが可能である。ビームは、3750eVの平均エネルギーで1500eVのエネルギーの広がりを有する(すなわち、それはより小さい相対的エネルギー受容性を有するTOF MSに十分には適合しない)。理想的なエネルギーフィルタによって300eVのエネルギーウィンドウをフィルタリングした後(エネルギーフィルタの例は、以下に説明される)、エネルギーフィルタ49を通り越して続くイオンパケットは、(グラフ53に示されるような)バンチャのT|KK収差によって主に規定される約10nsの時間拡散を有する。(グラフ54に示されるような)2つのステージのイオンミラーを用いた後、T|K収差は除去され、ピークベースのイオンパケット時間幅は、バンチャに形成されたターンアラウンドタイムによって主に規定されるFWHM=2nsで4ns未満に留まる。エネルギーの広がりが1eVである3750eVのイオンビームへのフラットな加速は、24mrad(1.5度)だけの全ビーム発散を引き起こすことに留意されたい。ビームを形成する中間レンズ系によって引き起こされ得るさらなる角度広がりを導入するとき、さらなる速度広がりが、連続イオンビームに導入される。この導入された速度広がりは、(グラフ55に示されるような)さらなる時間拡散を引き起こすことができる。(MR−TOF MSの空間受容性をすでに越えている)2度未満の角度広がりについては、バンチャは、40mm/μsの速度で(すなわち、0.5μsの有効時間で)、20mmのイオンビームを用いつつ、3ns未満のFWHMパルスパケットを形成することができる。
[00105]図6を参照すると、シミュレーションにおいて、理想的なグリッド付きバンチャ41は、グリッドのない電極に置き換えられている。図6Aにおいて、グリッドのない電極は、パルス状加速場の均一な分布を伴う1セットの環状電極として具体化される。図6Bにおいて、グリッドのない電極は、一対の大径電極として具体化される。図6Aのバンチャでは、狭い集群状のイオンパケット(≒2ns)が、エネルギー値の高い(3000eV)連続イオンビームから弱いバンチング静電場強さ(15V/mm)を用いて生成される。図6Bのバンチャでは、同様の狭いイオンパケットは、低いエネルギー(100eV)の連続イオンビームから強力な場(100V/mm)を用いて生成される。グリッドのないシステムは、あらゆる顕著な空間集束ずれなく図5の理想的なメッシュで覆われたバンチャと同じ時間集束を正確に実現する。
[00106]エネルギーフィルタリングを説明するために、本開示の軸方向バンチャおよび軸方向バンチングの方法は、(1mm〜3mmの広いイオンビームの場合は0.1ns、および3mm〜10mmのイオンビームの場合は1〜3nsの短さで評価された)極めて短いイオンパケットを得る。限度は、エネルギーフィルタリングステップにおいて飛行時間収差によって現在設定されている。狭いビームの場合の超短パケットに到達することができる、または妥協したイオンパケット時間幅でとても広いビームをバンチすることができる。
[00107]例示的なエネルギーフィルタ
[00108]図7Aを参照すると、適宜、パルス変換器の実施形態71は、クローズド電子衝撃(EI)イオン源42と、静電加速ステージ43と、軸対称レンズ44と、エントランスセクション46と出口セクション48との間に示されたグリッドレスバンチャ47と、エネルギーフィルタ79とを備える。適宜、グリッドレスバンチャ47は、図6Aに示されたバンチャとして具体化することができる。エネルギーフィルタ79は、平面レンズ72と、第1の静電セクタ73と、第2の静電セクタ74と、第3の静電セクタ75と、1セットの取り囲むスリット76と、エネルギーフィルタ用スリット77とを備える。
[00109]接地されているクローズドEIイオン源42は、約1eVのエネルギーの広がりを有するイオンビームを生成する。(−1500Vに浮かされた)静電加速ステージ43においてイオンビームを1500eVまで加速した後、イオンビーム発散度は、実験データに基づいて2mm*degと評価される。軸対称レンズ44は、バンチャ47の中央部に空間集束を与える。エントランスプレート46はパルスを生成し(すなわち、−1500Vから0Vまでで交替させ、)、パルスは、容量性−抵抗性の分割器(図7には図示せず)を用いてバンチャ電極間に線形に分布される。100mmの長さのバンチャ47は、15V/mmの加速場を発生させ、これは図5に示された従前の「理想的なバンチャ」のシミュレーションと同様である。平面レンズ72は、水平方向にイオンパケットを空間的に集束させて、エネルギーフィルタ用スリット77で空間集束を実現する。この集束の後、イオンは第1の静電セクタ73に入る。次いで、2250eV(+/−150eV)の中エネルギーを有するイオンは、エネルギーフィルタ用スリット77を通過することができ、エネルギーフィルタ用スリット77は、幅2.5mmで具体化することができる。エネルギーフィルタ用スリット77は、図7の左下のグラフによって示されるような残りのイオンをカットオフする。これは、バンチャ47の20mmの長さの中央部で起こるイオンの通過に対応し、500amuのイオンの場合に0.85μsの有効時間(速度24mm/μs)に対応する。
[00110]3つの静電セクタ73、74、75は、X|X=1およびa|a=1の変形でイオンを通しつつ、時間歪みを最小にするように設計されている。図7の右下のグラフによって示されるように、(初期のエネルギーおよび角度広がりを構成する)FWHMピーク全体は4ns未満である。図7に示された本開示の実施形態71の曲がったエネルギーフィルタ79は、広いイオンビームを受け入れるとともに受け入れ可能な時間歪みだけを導入しつつ、軸方向にバンチされたイオンビームのエネルギーフィルタリングという目的を果たす。
[00111]代替のエネルギーフィルタリングスキーム
[00112]図8を参照すると、例示的なシステム81〜84によって示される代替のエネルギーフィルタは、好ましくはグリッドレスである角度付きイオンミラー86、静電セクタ87、デフレクタ88、レンズ89、またはそれらの要素の組合せとして具体化することができる。システム81〜84はそれぞれ、分離用スリット90での空間イオン集束と、分離用スリット90の中央から不要な軌道のイオンを変位させるいくつかのクロマティック(すなわち、エネルギー依存性の)イオン光学要素とを用いる。図8では、不要な軌道のイオンは、破線によって示される。続くTOF分析器が7〜10%の相対的エネルギー受容性を有するので、エネルギーフィルタシステム81〜84は、分散を制限することができ、発生するのは最小時間歪みのみにすることができ、不要なエネルギーのイオンによる汚染を防ぐことができる。例えば、イオンミラーベースのシステム(例えば、システム81)は、これらの基準に対して特に期待が持てる。
[00113]軸方向バンチング変換器を有する単反射TOF MS91として示された本開示の別の実施形態は、図9に示される。図9を参照すると、軸方向バンチングを組み込むために、単反射TOF MS91は、連続イオン源92と、空間レンズ系94と、平坦バンチャ95と、イオンミラー98と、スリット99と、TOF検出器100とを備える。さらに、適宜、単反射TOF MS91は、舵取り手段93を備える。舵取り手段93はイオンビームデフレクタとして具体化することができる。代替として、単反射TOF MS91は、舵取り手段93を備えることを必要とせず、この場合には、連続イオン源92は、傾斜できるに過ぎない。
[00114]連続イオン源92は、設定されたkVのエネルギー範囲で連続イオンビーム96を生成する。平坦バンチャ95は、イオンミラー98と検出器100との両方とほぼ平行に向けられる。図9に示された単反射TOF MS91の連続イオンビーム96は、(連続イオンビーム96の鎖線部分によって示される)傾斜した軌道を有する。連続イオンビーム96の傾斜した軌道は、TOF MS91のX軸に対して小さい角度α(例えば、αは5〜10度の間)だけビーム軌道をずらすことによるものである。平坦バンチャ95に印加される電気パルスは、イオンエネルギーだけを(X軸に沿った)X方向に増加させ、したがってイオン軌道角度αの変化は、得たエネルギーに量的に応じて起こる。例えば、イオン軌道は、平坦バンチャ95で得たさらなるエネルギーに従って集群軌道97になり得る。空間レンズ94は、所望のエネルギーのイオンをスリット99へ集束するように調整される。空間レンズ94の集束は、平坦バンチャ95の後で比較的低い分解能エネルギーの選択を与え、約15〜20%の相対的なエネルギーの広がりの範囲内でイオンを認める。
[00115]単反射TOF MS91のイオン光学シミュレーションは、システムが連続イオンビーム96における角度広がりについて少ない許容範囲を有することを示す。それにもかかわらず、しかし、(サイズが約数ミリメートル、角度発散が1度、エネルギーの広がりが1eVである)典型的なイオンビームについては、イオンパケットの約5〜10ns幅を、1000amuのイオンについて得ることができる。
[00116]広い空間発散度を有するイオン源
[00117]表2に戻って参照すると、軸方向バンチングの方法31は、直交加速部(OA)の受容性と比較して比較的大きい発散度を本質的に有するイオン源に特に役立つように適用することができ、これは以下のように評価される。
− k=50eVでa=2mm*deg、または
− A=0.05mmradeV
[00118]複数の源では、発散度マッチングの問題は、熱エネルギー0.026eVで0.3〜1mmの間にイオンビームのサイズを制限するように減衰するRFオンリイオンガイド(RFG)を用いることによって解決された。すなわち、全発散度を計算するために、
RFG 発散度E=0.003〜0.03mm*eV
(式6)
である。
[00119]そのような場合には、OA受容性はもはや制限ではなく、OAスキームは、それが(前述したように)より良いデューティサイクルを与えるので(少なくとも単反射TOFにとっては)好ましい。しかしながら、RFGの使用は、いくつかの実際的な考慮事項により望ましくないと分かり得る。そのような考慮事項の例は、(a)急速なプロファイリングまたは分離でイオン移動を減速させること、(b)RFQ内のさらなるイオン分子の反応、(c)RFQとOAとの間のさらなる損失を引き起こす1〜10nAを上回るイオン電流に依存する発散度、(d)囲む分析器またはイオン源へのさらなるガス負荷、(e)源の発散度を超え得るRFQの限られた受容性、(f)RFQの限られた質量範囲(すなわち、軽いイオンを移動できないこと)、および重イオンの乏しい閉じ込め、ならびに(g)RFGのさらなるコストを含み得る。これらの考慮事項が重く重視される状況では、本開示の軸方向バンチング方法31は、好ましいものであり得る。
[00120]図4に戻って参照するとともに、図l2へも飛び越すと、国際公開第2013163530号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたように、イオン源42(または122)は、CI、クローズドEI、またはセミオープンEI源を備えることができる。それらの源の発散度レベルは、約10mmradeVであり、これはMR−TOF分析器の受容性に近いが、OAの受容性をかなり超える。そのような場合には、軸方向バンチングは、パルス変換効率に実質的なゲインもたらす。
[00121]イオン源42は、より大きい関連した発散度およびより大きい関連したエネルギーの広がりを有する源として具体化することができる。例えば、13.3〜133.3Pa(0.1〜1Tor)のガス圧でのグロー放電イオン源、またはICP源を利用することができる。さらに別のイオン源42の実施形態は、SIMSまたはMALDI源であり、一次ビームラスタは表面を横切り、エネルギーフィルタおよび質量分析器は飛行時間集束に加えて空間イメージングを行う。
[00122]軸方向バンチングの開示した方法は、とても広いイオンビーム(例えば、時間収差のエネルギーフィルタリングによってパルス幅に影響を与えない3mm〜10mmの範囲まで、およびいくつかの備えられたエネルギーフィルタリングまたは時間拡散で100mm以上まで)に適切である
[00123]ガス状イオンガイドの後のバンチング
[00124]図10を参照すると、パルス変換器101の実施は、ガス無線周波数(RF)イオンガイド102と、軸方向直流場103と、シールド電極104sと、取り出し電極104eと、直流加速ステージ105と、空間集束レンズ系106と、パルスバンチャ108と、エネルギーフィルタ110とを備える。ガスRFイオンガイド102は、図10のアイコンで示されるように、浅い動的井戸の半径分布D(r)を有する(すなわち、少なくとも6mm、より好ましくは10mmから15mmの間の内腔幅を有する)広い内腔のイオンガイドである。浅いD(r)井戸は、高次多重極(すなわち、8極、10極、または12極)内、または交互のRF位相を有するリングによって形成されるイオントンネル内に形成される。イオンガイド102は、衝突イオン減衰のために0.133〜13.3Pa(1〜100mTor)の圧力範囲を有するガスで満たされる。好ましくは、ガスRFイオンガイド102は、軸方向直流場103を備え、この軸方向直流場103は、ウェッジ補助電極、傾斜したRFロッド、直流場の可変侵入を伴う傾斜したRFロッド、抵抗性RFロッド、抵抗性補助電極、セグメント化ロッド、補助電極などとして具体化することができる。
[00125]動作時、高い多重極イオンガイド102は、入射イオンビームの衝突減衰をもたらし、浅いポテンシャル井戸D(r)を形成するものであり、これは多重極の中央部でイオンを高いエネルギーへ励起させることなく大きいイオン電流を採用することができる。多重極イオンガイド102を通じてのイオン運動は、イオンエネルギー分布上の空間電荷効果を減少させるために、数ボルトのソフト軸方向直流勾配によって助けられるのが好ましい。シールド電極104sと取り出し電極104eの組合せは、イオン軌道の多重極を越して中程度の空間イオン集束を可能にする。この中程度の空間イオン集束は、イオン軌道を示す破線によって図10に示される。
[00126]取り出しは、イオンエネルギーの歪みを最小にするようになされる。(すなわち、数ボルトの)小さい取り出し直流勾配は、断熱的なイオン運動を可能にする。注目すべきは、イオンが、周辺RF場においてさらなるエネルギーを得ないことである。(イオン取り出しにおけるイオン喪失を受け入れもする)コア領域のイオンのサンプリングだけが、イオンエネルギーへのRF場の影響をやはり減少させる。そのようなシステムは、従来のRFオンリ四重極と比較して低い空間閉じ込めをもたらしつつ、1eV未満でイオンエネルギーの広がりを良く有する連続イオンビームを形成することができる。
[00127]ガス衝突の領域を越したパルス変換器101の直流加速ステージ105では、連続的かつソフトに取り出されたイオンビームは、keVのエネルギー範囲へ直流加速される。空間集束レンズ系106は、適宜望遠レンズ系として具体化されてもよく、ほぼ平行なイオンビーム107を形成する。この集束は、低い角度発散のためにビームが空間的に拡大することを可能にする。パルスバンチャ108は、エネルギーフィルタ110が過度のエネルギーの広がりを有するイオンパケット109の一部をカットオフしつつ、ビームをパルス加速しイオンパケット109を形成する。システム101は、イオンパケット109を用意し、次いで、好ましくは、イオンパケット109は直流加速され、(図10に図示されていない)広いエネルギー受容性を有するTOF MSにおいて分析される。そのようなシステム101は、サブナノ秒のイオンパケットを形成し、20〜30%の間の範囲のデューティサイクルを与えることができる。したがって、パルス状イオンパケットのバンチングは、変換器のデューティサイクルのさらなる強化を与える。
[00128]ソフトパルス状パケットのバンチング
[00129]図11を参照すると、本開示の軸方向バンチング機器の別の実施形態111は、以下の順次かつ軸方向に揃えられた構成要素、すなわち、(イオンチャンバ112、反射電極113、および取り出し器114として示された)蓄積イオン源、連続加速ステージ43、空間集束レンズ44、時間選択器45、平行電極46、48が形成されたバンチャ47、エネルギーフィルタ49、およびRe−TOF MSまたはMR−TOF MSであり得るTOF分析器50を備える。パルス発生器45pおよび46pは、時間選択器45および電極46にそれぞれ接続される。したがって、適宜、時間選択器45は、さらなる電極として具体化される。
[00130]図11の実施形態111の蓄積イオン源チャンバ112は、ΔT≒1μs、およびほぼΔK≒1eVの小さいエネルギーの広がりを有するイオンパケットのソフトパルス取り出しのために、少なくとも1つの電極113を備える。したがって、積ΔK*ΔTは、1eV*μsに近づく。実施形態111は、例示的なクローズド電子衝撃(EI)イオン源を備え、クローズド電子衝撃(EI)イオン源は、イオンチャンバ112と、パルス発生器113pに接続される反射電極113と、パルス発生器114eに接続される取り出し器114とを有する。分析された試料は、例えば、ガスクロマトグラフィを介して、典型的には1mL/分のキャリアガス(典型的にはヘリウムまたは水素)の流れで供給される。イオン源内のガス圧は、源開口に応じて0.067〜1.33Pa(0.5から10mTor)の間で維持することができ、源開口は、1mmから4mmの間で変わり得る直径を有する。70eVで0.03〜3mAの電流の電子ビームは、試料をイオン化する。定期的に、小さい振幅パルス(すなわち、数ボルトの振幅を有するパルス)は、反射電極113へ供給される。国際公開第2012024468号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、パルス発生器114eは、ソフト取り出しのために数十ボルトを取り出し器114へ印加し、取り出し器114は、1〜2μsの間の持続期間と1〜2eVの間のエネルギーの広がりとを有するイオンパケットを形成する。
[00131]動作時、イオン源は、イオンチャンバ112内の異なるサイズの黒い丸によって示されるように、広い質量範囲のイオンからイオンビームを生成する。連続加速ステージ43は、イオンビームを平均エネルギーKまで連続的に加速させ。これはエネルギー範囲ΔK(100〜3000eV)の少なくとも10倍大きいように選択される。イオンビームの絶対速度の広がりは、(式3)によって説明されるように低下する。空間集束レンズ44は、イオンビームをエネルギーフィルタ49上へ空間的に集束させる。低い相対的なエネルギーの広がりは、クロマティックレンズ収差を防ぐのに役立つ。空間集束レンズ44は、イオン源、加速器43、または時間選択器45に組み込まれてもよい(またはそれらと電極の一部を共有する)。
[00132]各パルス状パケットは、パケットのイオン質量に応じて異なる時間で(電極46および48によって形成された)バンチャ47に入ることができる。集群パルスは、比較的狭い質量範囲のバンチングのために予め選択された時間に、少なくとも1つの電極に印加される(実施形態111では、集群パルスは、パルス式発生器46pを介して電極46へ印加される)。他の質量のイオンは、比較的狭い質量範囲のイオンよりも比較的狭い質量範囲のイオンとは異なる量のエネルギーを得て、エネルギーフィルタ49によってフィルタリングされる。したがって、このスキームは、限られた質量範囲内でイオンパケットを生成するが、図4に示された実施形態における連続イオンビームのバンチングと比較してかなりより大きいデューティサイクルを伴う。実施形態111に関連したこれらの特性は、親質量選択またはターゲット分析中に役立ち得、ここで、(クロマトグラフィ時間に関連してGC−MSにおいて)分析された化合物の質量は、分析前に知られている。
[00133]実施形態111のパルス放出スキームのダイナミックレンジを増加させるために、好ましくは、集群パルスは、(最も重いイオンがMR−TOF分析器を通るのに必要な期間よりもずっと速く)しばしば供給され、符号化されたパルスの間隔(EFP)は、国際公開第2011135477号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。そのような高速パルス生成は、イオン源チャンバ112内の空間電荷飽和を減少させる可能性があり、TOF分析器50における検出器およびデータシステムのダイナミックレンジにより要求されるように、減少をもたらす可能性もある。
[00134](0.1cm未満の開口を有する)クローズドEI源を利用する実施形態111の「二重」パルススキームの効率に特に関しては、蓄えたイオン雲のサイズは、電子ビームの幅(すなわち、厚さ約1mm)に適合するように想定される。そして、イオン蓄積ステージにおけるクローズドEI源内のイオン熱エネルギーは、0.5eVであると想定される。ソフトな放出のために、(電子ビーム領域内の)取り出し場の強度は、1V/mmに設定される。取り出されたパケットは、(1000amuのイオンについて)エネルギーの広がり1eVおよびターンアラウンドタイム3μsを有することが期待されている。次いで、ソフトイオンパケット内の時間拡散とエネルギーの広がりの積は、ΔT*ΔK=3μs*eVとして評価することができる。適切に配置されたバンチング(パルス式加速)は、この積を保存するべきであり、これは、TOF集束平面内において、1つのデューティサイクルにほぼ近づくために時間拡散がバンチングのステップにおいて増加したエネルギーの広がり500eVに対応する5nsまで減少することができることを意味する。
[00135]再び図11を参照すると、本開示の軸方向バンチング機器の別の実施形態115は、以下の順次かつ軸方向に揃えられた構成要素、すなわち、RF供給多重極ロッド116によって形成された蓄積イオンガイドと、補助プッシュ電極117と、補助直流トラップ電極118と、出口スキマー119と、連続加速ステージ43と、空間集束レンズ44と、時間選択器45と、平行電極46、48が形成されたバンチャ47と、エネルギーフィルタ49と、Re−TOF MSまたはMR−TOF MSのいずれかとして具体化することができるTOF分析器50とを備える。パルス発生器45pおよび46pは、時間選択器45および46へそれぞれ接続される。したがって、適宜、時間選択器45は、さらなる電極として具体化される。パルス発生器の別のセットは、補助プッシュ電極117および出口スキマー119に接続される。
[00136]動作時、好ましくは多重極ガイド内の直流軸方向場によって促進される入射イオンビームは、補助プッシュ電極117、補助直流トラップ電極118、および出口スキマー119からの直流電位によって形成された軸方向直流井戸を用いて蓄えられる。このイオンビームの蓄え中に、イオンビームは、多重極ロッド116のRF場によって軸方向に閉じ込められたままである。定期的に、ソフト取り出しパルス(例えば、補助場の貫通の効率に応じて数ボルトから数十ボルトの振幅でのパルス)が、補助プッシュ電極117および出口スキマー119に印加される。適宜、ロッド116のRF場は、取り出しパルスの前に数マイクロ秒オフにすることができる。ソフト取り出し場は、ほぼ0.3から1.0V/mmの間へ調整される。ソフト取り出しは、サブミクロンのイオンパケットを形成しつつ、とても小さなエネルギーの広がり(すなわち、1eV未満)を導入することができる。スキーム115は、TOF MS分析のためにサブナノ秒のイオンパケットを生成しつつ、限られた質量範囲についてバンチングステージで1つのデューティサイクルを与えることが予期される。
[00137]軸方向バンチングを有するMR−TOF MSの例
[00138]図l2を参照すると、本開示の軸方向バンチングを伴う多重反射飛行時間質量分析計(MR−TOF MS)の実施形態121は、連続イオン源122と、その後の等時性の曲がった入口(C入口)125を介してMR−TOF分析器123に結合された軸方向バンチャ124とを備える。C入口125は、180−βとして定められた角度でイオン軌道の舵取りをするように設計されており、ここで、βはMR−TOF分析器123におけるイオン軌道129の傾斜角である。イオン源122および軸方向バンチャ124は、図1のものと同様であるMR−TOF分析器123に対して図4のものと同様である。C入口125の特に示される変形例は、穴128によって分離された静電セクタ127の3つのセットを備えており、穴128のどちらかが、エネルギーフィルタとして働くように空間的および角度的な集束平面に配置される。
[00139]MR−TOF分析器123は、ドリフト空間16によって分離された一対の平行なグリッドレスイオンミラー15と、適宜舵取りプレート18a、18bを備えた周期的レンズ17と、検出器19とを備える。
[00140]好ましくは、ドリフト空間16は、源122を接地で維持するために加速度ポテンシャルで浮かべられている。分析器123は、ジグソーイオン軌道129を配置するように設計されており、したがって中サイズの分析器内で延ばされた飛行経路を折り畳む。MR−TOF分析器123は、小型分析器内の反射の回数を増加させるために、図12に示されるように平坦とするか、または国際公開第2011107836号に記載される(これは参照により本明細書に組み込まれる)ような円筒形とすることができる。分析器は、国際公開第2005001878号に記載されているような三次のエネルギー集束を有するイオンミラー15、または国際公開第2013063587号にやはり記載されているような(両者は参照により本明細書に組み込まれる)より高次の集束のイオンミラー15を備えることができる。
[00141]動作時、イオンエネルギーの広がりを最小にするためにソフト取り出しが源122に形成された連続イオンビームは、直流加速ステージ43の中でkeVのエネルギー範囲まで加速され、エネルギーフィルタ用スリット128における最小の角度発散および空間集束のために空間集束レンズ44によって整形される。エントランスセクション46および出口セクション48が形成された軸方向バンチャは、過度のエネルギーの広がりを有するイオンパケットを形成するようにビームを変調する。イオンパケットは、(分析器123内の高真空を維持するために使用される)差動ポンプチューブ130を通り、図7に示されているとともに上述されたC入口125に入る。3つの静電セクタ127はスリット128で終わり、スリット128の1つは、エネルギーの広がりに対して5〜7%を有するイオンビームだけを通すことによって粗いエネルギーフィルタとして働く。C入口125は、イオンミラー15と平行なイオンパケットタイムフロントを形成しつつ180°−βとして定義される角度でイオンパケットを放出するように設計されている。C入口125は、いわゆるMatsudaプレート(図示せず)上の電圧調整によってMR−TOFエントランスにおけるイオンパケットの位置および角度の微調整に使用することができ、これはキャップ電極として円い静電セクタを働かせる。そのような調整は、国際公開第2006102430号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、タイムフロントの傾斜の独立した調整を可能にする。イオンパケットは、検出器19に向かってジグソーイオン軌道129に従い、一方、Z軸に沿って配置されたZ方向に周期的レンズ17によっておよびZ軸に沿ってX方向にグリッドレスイオンミラー15によって空間的に閉じ込められる。
[00142]パルス変換のデューティサイクルを増大させるために、バンチャ47の集群パルスは、国際公開第2011135477号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、頻繁に(最も重いイオンがMR−TOF分析器を通るのに要求されるものよりもずっと速い)かつ符号化されたパルスの間隔(EFP)を用いて印加される。数値例として、集群パルスの平均周期は10μsとすることができ、バンチャの有効時間は1〜2nsのパケットFWHMで1μsとすることができ、これはパルス変換の10%の時間デューティサイクルに対応する。
[00143]空間電荷制限およびパルス生成スキーム
[00144]クローズドEI源、グロー放電、またはICP源などの高く集中したイオン源は、10nA(1E+11個のイオン/秒)の範囲を超えるイオン電流を生成し、分析器内に空間電荷制限を引き起こす可能性が高い。TEFF=1μsで、パケット当たりのイオンの個数は、広いrm/z範囲のイオンの場合、1E+5個のイオン/ショットに到達し得る。MR−TOF分析器は、300〜1000個のイオンまでイオンパケットに対する分解能を保持し、あるm/zのパケットあたり2〜3E+4個のイオンまで質量精度が影響を受けずに維持することが知られている。
[00145]図4に戻って参照すると、軸方向バンチングスキームは、パケットあたりのイオンの個数への調整を可能にする。イオンビームは、少なくとも以下の方法によって実現することができると思われ、すなわち、(a)同じバンチング振幅でより高いエネルギーへ連続イオンビームを加速する、(b)バンチングのステップでより高いパルス振幅を印加し、これは、平均エネルギーの歪みを避けるために電極46および48へ対称的なプッシュパルスおよびプルパルスを用いることが構成されてもよい、(c)イオン源42の後のレンズ44におけるイオンパケットの空間集束ずれ、(c)エネルギーフィルタ49の受容性に合うように取り出されたイオンパケットを部分的に切断するために時間選択器45を使用する。強力なイオン源を取り扱うとき、このスキームは、低いデューティサイクルに最初調整され(有効時間TEFFを0.1μs未満に減少させるために、高エネルギーの連続イオンビーム、および高パルス振幅)、一方、ダイナミックレンジおよび感度は符号化された間隔の短いパルス生成の方法によって100kHzまでの平均パルス周波数で回復させる。この方法は、1ns未満までターンアラウンドタイムの減少を可能にするとともに、MR−TOF分解能の改善を可能にする。源の後の1E+11個のイオン/秒の束では、TEFF=0.1μsにおいて、ショットあたりのイオンの個数は、1E+4個へ低下し(したがって、MR−TOFにおいて空間電荷効果を防ぐ)、一方、TOF検出器19への束全体は、1E+9個のイオン/秒になる。
[00146]図13を参照すると、時間グラフ131は、間隔の短い符号化されたパルス生成方法の詳細を説明するために描かれている。時間グラフ131のDAS開始グラフ132は、周期的パルス、データ取得システム(DAS)のトリガを示す。描いた期間は、500μsの例示的な期間として示され、これは例示的なMR−TOF分析器における最も長いイオン飛行時間に対応する。時間グラフ131のプッシュパルスのグラフ133は、500μsの持続期間にわたる列に供給される集群パルスを示す。単一の500μsのパルス列の詳細は、時間グラフ131の拡大図134によりはっきり見られる。固有の時間間隔を有する例示的な列は、公式135、すなわち、T=T*j+T*j*(j−1)によって説明され、ここで、jは特定の列におけるパルス番号であり、Tはパルス間の平均期間(典型的には10μs)であり、Tは、ピーク幅よりも広い選ばれた時間増分(例えば、T=20ns)を表す。スペクトルの符号化および復号に関するさらなる詳細は、国際公開第2011135477号に与えられ、これは参照により本明細書に組み込まれる。高分解能MR−TOFにおいて、質量スペクトルは、スペクトル群を30〜50倍に増加させるのに十分なだけまばらであり得る。必要があれば、スペクトル群は、部分質量フィルタリングによって(例えば、図4に示されおよび前述された抑制器/時間選択ゲート45によって、あるいは図11に示されるようなおよび前述したような源から外へパルス状の取り出しによって)減少させることができ、それによってターゲット分析についてある中程度の質量範囲でデューティサイクルを最大化する。連続イオン源については、電流は10nAほどであり、軸方向バンチ変換器の全体のデューティサイクルは10%ほどであり、TOF検出器へのイオン束は、1E+10個のイオン/秒に到達することができる。この束のレベルは、拡張された寿命および拡張されたダイナミックレンジを有する特別なTOF検出器を必要とし、これは以下でさらに説明される。
[00147]長寿命の検出器
[00148]1E+10個のイオン/秒までのイオン束に対応するために、本開示は、検出器のダイナミックレンジおよび寿命を強力に強化することになる以下の新規な組合せを開示する。
[00149]図14を参照すると、改良型飛行時間検出器の実施形態141は、伝導性変換器142と、磁石143と、伝導性メッシュ144によってコーティングされたまたは覆われたシンチレータ145と、密封型光電子増倍管146とを備える。ある意味では、検出器141は広く普及したDaly検出器に類似するが、この検出器141は飛行時間性能の新規な改善をもたらす。図14は、MR−TOF分析器10内の(改良型飛行時間検出器141として具体化することができる)検出器19の位置を示すMR−TOF分析器10の一部も示す。
[00150]改良型飛行時間検出器141を参照すると、動作時、伝導性変換器142は、改良型飛行時間検出器141のX軸に垂直なY−Z平面内の衝突イオンパケットのタイムフロント150(タイムフロント150は軌道149で示される)に平行に取り付けられる。伝導性変換器142は、分析器のドリフト空間16の帯電に対して数百ボルトだけ負に浮いている。例えば、図14において、電位差は300Vである(分析器のドリフト空間16のために示された−5kVの帯電を参照)。イオンは、(パルス源における加速を考えると)5〜6keVのエネルギーで変換器にぶつかり、GC−MSで分析された小さい分子(典型的には500amu未満)の1つに接近するイオン対電子の効率を有する二次電子を放出する。放出された電子は、磁石143によってもたらされた磁場によって舵取りした軌道147へ舵取りされつつ、分析器のドリフト空間16の場と伝導性変換器142の場との間の差の300Vで加速される。磁石143は、Y軸に沿った磁力線を形成するように取り付けられ、磁力線は、放出された電子をZ方向に舵取りする。伝導性変換器142と分析器ドリフト空間16との間の電圧バイアスは、(0.003〜0.03T(30から300ガウスの間で適宜選ばれる)所与の磁場の強さに対して調整され、シンチレータ145への電子の集束を実現する。適宜、磁石143の軸は、イオンビームの方向からずらされる。このずれは、Y方向にさらなる電子の閉じ込めを与え(磁力線の曲がりの説明)、一方、90度の磁石の舵取りはX方向に自然の電子閉じ込めを行う。舵取りした軌道147に沿った電子は、メッシュで覆ったウィンドウ148を通じてサンプリングされ、正にバイアスされたシンチレータ145へ加速される。より高いシンチレータ145のバイアス(例えば、+10kVまで)は、より大きい信号ゲインをもたらすが、実際的な理由に制限され得る。適宜、シンチレータ145は、高速有機シンチレータ(St. Gobain Ltd.によるBC418またはBC422Q)として具体化され、これは高い電子対光子効率を支える(例えば、すべての60〜100eVの電子エネルギーごとに少なくとも1光子)。したがって、10〜15kVのエネルギーを有する単一の二次電子は、少なくとも15個の光子を発生させる。これは、(我々の実験において−20%と評価された)光子収集の効率の制限にもかかわらず、およびPMT146における光エミッタの光子効率の制限(25〜30%)にもかかわらず、ほとんどすべての一次イオンの信頼できる検出を可能にする。
[00151]従来のハイブリッドTOF検出器は、信号ゲイン全体を強化するために、シンチレータ145の前にさらなるマイクロチャンネル(MCP)ステージ用いる。また、従来のハイブリッドTOF検出器は、薄い(約1μm)アルミニウムコーティングをシンチレータ145の上部に用いて、シンチレータの帯電を防ぐとともに光子収集を強化する。それらの2つの特徴は、検出器の寿命とダイナミックレンジの両方を強力に制限する。図7に示されたパルス変換器の実施形態71は、それらの制限に対処する。(1E+7個のイオン/秒/cmの束密度で生じることが知られている)MCPの飽和はなく、シンチレータ145への電子の注入は、(MCP増幅がないため)100〜1000倍減少する。さらに、高速電子を再現性が低い方法で抑圧するように思われる薄いアルミニウムコーティングは利用されない。したがって、図7のパルス変換器の実施形態71は、大きいイオン線量によるアルミニウムコーティングなどの損傷を防ぎもする。実際、堆積させたまたは覆っている厚い金属の伝導性メッシュ144は、伝導性メッシュ144の適宜の例示的な0.3〜1mmのセルサイズで1kV/mmの表面放電および漏洩によって電荷の静電除去を行う。他のセルサイズが利用されてもよい。
[00152]Hamamatsu(R9880U、これは参照により本明細書に組み込まれる)は、市販のPMT増幅器146に関するさらなる詳細を提供する。そのような密封型光電子増倍管(PMT)146は、比較的短い立ち上がり時間(例えば、1.5ns)を与えつつ、(出力電荷によって測定される)延長された寿命300クーロンを有することができる。1E+6の全体ゲイン、1E+9個のイオン/秒の平均イオン束で、出力電流は160μAである。この目的のために、検出器141は、2E+6秒の間(すなわち、最大負荷でほとんど500時間および標準的な負荷で少なくとも1年間)動作することが期待される。(例えば、光子を通すガラス管を介しての)外部PMTの結合については、PMTモジュール146は、装置をベントすることなく交換することができる。外部PMTの結合は、図6に示され上述された間隔の短いパルス生成などの間隔の短いパルス生成モードにおいてパルス発生器からのピックアップを抑圧もする。
[00153](標準的な抵抗分割器によって100μAに対する出力電流によって通常制限される)検出器141の線形範囲は、改善することができる。例えば、(すなわち、少なくとも数mAの電流制限を有する)最後の数ステージは、より強力な供給によって給電され、能動回路によって制御される。検出器141のダイナミックレンジを強化するために、最後のPMT146のステージは、バッファキャパシタに接続される。しかしながら、そのような解決策は、時間ピーク信号には不十分であり得る。ダイナミックレンジのさらなる強化は、(a)検出器141の最大信号を2桁下げる源における間隔の短い符号化されたパルス、または(b)交替ゲインパルス、その後の高速カットオフおよび急速回復を有する増幅器を用いて実現することができる。これらの改善の両方は、上述されており、図6に示される。ダイナミックレンジは、(a)各々が異なる集光効率を有するデュアルPMT146の使用、(b)異なるPMTステージ146からの信号の取得、(c)デュアル(トリプル)ゲイン出力を有する前置増幅器の使用、および/または(d)ショット間の電子回収効率またはPMTゲインの交替によってさらに改善することができる。
[00154]非常に効率的な軸方向バンチングを有する開示したso−EI−MR−TOF装置は、(a)従来の(稀なパルス)動作体制、および(b)短い寿命を有する従来のTOF検出器(標準的なMCPおよび非密封型SEMの場合は、典型的には1クーロン)を用いた場合にまさに特に制限される。提案した符号化された間隔の短いパルス生成方法および提案した長寿命の検出器は、これらの問題を解決して高分解能MR−TOF MS用の軸方向バンチング方法31を実際に可能にする。
[00155]タンデム飛行時間質量分析計
[00156]開示した軸方向バンチング方法31は、飛行時間質量分析計(TOF MS)において親イオンを選択する目的でイオンパケットの生成によく適している。
[00157]図15を参照すると、以下の順次的な構成要素を備えるタンデムTOF MS151(TOF−TOF MS)、すなわち連続源42と、連続加速ステージ43と、空間集束レンズ44と、電極であり得る抑制器45と、平行電極46と48の間の集群領域47内に形成されたバンチャ47と、エネルギーフィルタ49と、時間でイオンを分離するためのRe−TOFまたはMRTOFのいずれかとして具体化することができる第1のTOF分析器50(TOF1)と、対象となっている特定のm/z比の親イオンを選択する電極として具体化することができる時間イオン選択器152と、電極として具体化することができるフラグメンテーションセル153と、フラグメントイオンを分析するための第2のTOF分析器154(TOF2)とを備えるタンデムTOF MS151(TOF−TOF MS)が開示されている。ゲートアイコンとして図15に示されたパルス発生器は、抑制器45、第1の平行電極46、および時間イオン選択器152に接続されている。さらに、フラグメンテーションセル153に接続されたパルス式発生器が示されている。フラグメンテーションセル153に接続されたこのパルス式発生器は、TOF−TOF MS151の任意の特徴である。
[00158]図15のTOF−TOF MS151を参照すると、動作時、親イオンのパルス状イオンパケットは、前述され図4に示されるように、軸方向バンチング、その後のエネルギーフィルタリングの方法31によって連続イオンビームから形成される。第1のTOF分析器50は時間で親イオンを分離し、(例えば、その機能を実行するために双極メッシュを備えることができる)時間イオン選択器152は関心のある親イオンを選択し、それらがフラグメンテーションセル153に入ることを許可する。フラグメンテーション後、適宜、イオンパケットは、パルスにされ、直流加速される。次いで、フラグメント化イオンは、第2のTOF分析器154において質量分析される。フラグメンテーションセル153は、(i)イオンパケットのタイムフロント150に平行に配置されるとともに一次イオンパケットに面する表面上の表面誘起解離SID、(ii)親イオンパケットの軌道149に対してある滑空角で配置された表面誘起解離SID、(iii)親イオンの単一の平均衝突に対応する1〜5cm*mTorの範囲内にある積P*Lに調整されたガス圧Pで長さLが1cm未満である短いCIDセル内の衝突誘起解離CID、(iv)0.1〜0.3cmの範囲内にある源の開口面積を有する源内に配置された衝突誘起解離CID、(v)フラグメンテーションステップ後に行われるパルス式加速ステップ、(vi)フラグメンテーションステップ後の空間集束を行う空間集束レンズ、(vii)フラグメンテーションステップ後に行われるフラグメントイオンパケットの後段加速ステップ、または(viii)フラグメンテーションステップ後に行われる舵取りステップのうちの1つを含むことができる。すべてTOF−TOF MS151に適切であるこれらのフラグメンテ−ション方法に関連したさらなる詳細は、米国特許第2007029473号、国際公開第2013192161号、およびMR−TOF MS用のセミオープン源に関する同時係属出願に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
[00159]本発明は前述した好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、形態および詳細の様々な変更が添付の特許請求の範囲に記載されたような本発明の範囲から逸脱することなくなされてもよいことが当業者には明らかであろう。
[00160]いくつかの実施が説明された。それにもかかわらず、本開示の要旨および範囲から逸脱することなく様々な変更がなされてもよいことが理解されよう。したがって、他の実施は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。

Claims (53)

  1. イオンビームを生成する連続または準連続イオン源(42、92、112、122)と、
    前記イオンビームの初期のエネルギーの広がりよりも少なくとも10倍大きいエネルギーレベルまで前記イオンビームを加速する連続加速ステージ(43、105)と、
    集群パルスを供給するパルスバンチャ(47、95、108、124)であって、前記イオンビームの方向にほぼ沿ったイオンの加速または減速のためにパルス電圧供給部に接続された少なくとも1つの電極を備えたパルスバンチャ(47、95、108、124)と、
    エネルギー受容性の範囲内でイオンを伝達する等時性エネルギーフィルタ(49、79、81〜84、110)と、
    飛行時間検出器(100、141)を備えた単反射または多重反射飛行時間質量分析計(50、121)と
    を備える飛行時間質量分析計(41、91、111、115、121、151)。
  2. 前記集群パルスによって影響を受けたエネルギーを有して前記パルスバンチャ(47、95、108、124)に接近するイオンを拒絶する抑制器(45)をさらに備え、前記抑制器(45)は、パルス発生器に接続された少なくとも1つの電極を備える、請求項1に記載の機器。
  3. (i)前記イオンビームの角度広がりを減少させ、それによって前記パルスバンチャ(47、95、108、124)内の軸方向のエネルギーの広がりは前記イオン源の後の初期のエネルギーの広がりに相当したままであるようにすること、(ii)前記等時性エネルギーフィルタ(49、79、81〜84、110)のスリットまたは穴(76、77、90、99)の上へイオンパケットを空間集束すること、および(iii)それらの組合せからなる群から選択される目的のために前記パルスバンチャ(47、95、108、124)の前に空間集束レンズ(44、94、106)
    をさらに備える、請求項1または2に記載の機器。
  4. 前記パルスバンチャ(47、95、108、124)をトリガし、前記飛行時間検出器(100、141)からの波形信号を記録するデータ取得システムであって、スペクトル分析システムを備えるデータ取得システム
    をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の機器。
  5. 前記エネルギーフィルタ(49、79、81〜84、110)は、中心イオンエネルギーのためのイオンパケットの空間/角度集束の平面における穴またはスリット(76、77、90、99)と、(i)少なくとも1つの等時性静電セクタ(73、74、75)、(ii)少なくとも1つの空間集束用で等時性のグリッドレスイオンミラー(86)、(iii)少なくとも一対のデフレクタ(88)、(v)1セットの周期的レンズ(89)、(vi)少なくとも1つのクロマティックレンズ、および(vii)上記要素の組合せからなる群から選択される1つのクロマティックイオン光学要素とを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の機器。
  6. 前記パルスバンチャは、平均周波数が少なくとも50KHzであるパルス発生器をさらに備え、前記データ取得システムは、パルス間にほとんど固有の時間間隔を有する予め設定された一連のパルスを形成することができるトリガ用クロックを備え、前記データ取得システムは、前記ほとんど固有のパルス間隔に基づいて部分的に重なり合ったスペクトルを復号する手段を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の機器。
  7. 前記イオン源(42、92、112、122)の前に順に2段または1段クロマトグラフィをさらに備え、前記イオン源(42、92、112、122)は、(i)クローズド電子衝撃イオン源、(ii)0.1〜1cm2の範囲内の総開口領域および正にバイアスされた電子スリットを有するセミオープン電子衝撃イオン源、(iii)化学イオン化源、(iv)電子衝撃イオン源の上流の化学イオン化源、(v)光化学イオン化源、(iv)調整されたグロー放電イオン源、(vi)超音速ガスジェット中で冷えている検査対象内部エネルギーを有するコールド電子衝撃イオン源、ならびに(vii)場イオン化源からなる群から選択される
    請求項1から6のいずれか一項に記載の機器。
  8. 前記イオン源(42、92、112、122)と前記連続加速器(43、105)との間のガス充填式RFオンリイオンガイド(102)をさらに備え、前記イオン源(42、92、112、122)は、(i)ESIイオン源、(ii)APCIイオン源、(iii)APPIイオン源、(iv)ガス充填式MALDIイオン源、(v)EIイオン源、(vi)CIイオン源、(vii)コールドEIイオン源、(viii)光化学イオン化イオン源、および(ix)調整されたグロー放電イオン源からなる群から選択される
    請求項1から6のいずれか一項に記載の機器。
  9. 前記イオン源(42、92、112、122)と前記ガス充填式RFオンリイオンガイド(102)との間にイオン操作デバイスをさらに備え、前記イオン操作デバイスは、(i)四重極質量分析器、(ii)飛行時間質量分析計、(iii)トラップアレイ質量分析器、(iv)イオン移動度分離器、および(v)フラグメンテーションセルからなる群から選択される
    請求項8に記載の機器。
  10. 前記イオン源(42、92、112、122)または前記ガス充填式RFオンリイオンガイド(102)は、イオンを蓄積し10eV未満のエネルギーの広がりのイオンパケットをパルス放出する手段を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の機器。
  11. 前記飛行時間検出器(100、141)は、
    衝突イオンパケットを二次電子に変換するための伝導性プレート(142)と、
    前記二次電子の軌道(147)を30度から180度の間の角度だけそらすための少なくとも1つの磁石(143)と、
    伝導性メッシュ144によってコーティングされたまたは覆われたシンチレータ(145)と、
    前記シンチレータ(145)に連続して続く密封型光電子増倍管(146)と
    を備え、
    前記変換器プレート(142)は前記分析計のドリフト領域(16)の電位に対して負に浮いている電位を有し、前記変換器プレート(142)は検出されたイオンパケットのタイムフロント(150)に平行に揃えられ、前記伝導性メッシュの電位は前記変換器プレート(142)の前記電位よりも少なくとも+1kV大きい値に調整される、請求項1から10のいずれか一項に記載の機器。
  12. イオン源内でイオンをイオン化し、初期のエネルギーの広がりが10eV未満である連続または準連続イオンビームを生成するステップと、
    前記初期のエネルギーの広がりよりも少なくとも10倍大きい平均値を有するエネルギーレベルまで前記イオンビームを連続的に加速するステップと、
    軸方向のイオンのエネルギーの広がりが前記初期のエネルギーの広がりに相当したままであるように、制限内でイオンの角度広がりを維持しつつ空間的集束平面に前記イオンビームを空間的に集束するステップと、
    一方の境界が時間にあり別の境界が集群領域(47)の空間にあるパルス状加速または減速電場を用いて前記イオンビームをバンチングし、それによってイオンパケットを形成するステップと、
    前記イオンパケットの色偏向または色集束によって前記イオンパケットのエネルギーを等時性的にフィルタリングし、イオンを通過させる間に前記空間/角度集束平面内に位置する少なくとも1つの穴で不要なエネルギーを有するイオンを除去し、続く飛行時間質量分析ステップのエネルギー受容性の範囲内に合わせるステップと、
    少なくとも1つのイオンミラーの静電場内の等時性の単一または多重反射にてイオンパケットを時間で分離するステップと、
    飛行時間検出器を用いて前記イオンパケットを検出して波形信号を形成するステップと、
    前記波形信号を分析して質量スペクトル情報を取り出すステップと
    を順次含む、飛行時間質量分光分析方法(31)。
  13. 前記バンチングのステップの影響により前記バンチング境界の外側に含まれるエネルギーレベルを有するイオンを拒絶するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  14. 等時性エネルギーフィルタリングの前記ステップは、
    穴またはスリットによるイオンパケット取り除きステップと、
    (i)静電セクタの偏向場、(ii)グリッドレスイオンミラーの角度付き反射場、(iii)少なくとも一対のデフレクタの偏向場、(v)周期的レンズの周期的空間集束場、(vi)少なくとも1つのクロマティックレンズの集束場、および(vii)前記場の組合せからなる群から選択される1つの静電場により等時性クロマティックイオンビームを集束または偏向させるステップと
    を含む、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記方法のダイナミックレンジを増大させるために、パルスバンチングの前記ステップは、前記時間分離ステップにおけるイオン飛行時間よりも少なくとも10倍短い期間を有し、前記方法は、
    ほとんど隣接したパルス間の固有の時間間隔が前記検出ステップにおけるイオンパケット時間幅以上の時間増分である前記集群パルスを符号化するステップと、
    前記スペクトル分析ステップにおける複数の集群パルスに対応する部分的に重なった信号を復号するステップと
    をさらに含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記イオン化ステップ前の2段または1段クロマトグラフィ分離のステップをさらに含み、
    前記イオン化ステップは、
    (i)0.1cm2未満の開口面積を有する体積内で電子ビームによってイオン化すること、
    (ii)0.1〜1cm2の範囲内の開口面積を有する体積内の電子ビームによりイオン化し、前記イオン化電子ビームの近くで電極を正にバイアスすることによって二次電子を除去すること、
    (iii)化学イオン化、
    (iv)電子衝撃イオン化と前記電子衝撃イオン化の上流における化学イオン化との間の交代、
    (v)光化学イオン化、
    (vi)調整されたグロー放電イオン化、
    (vii)超音速ガスジェット中で冷えている検査対象内部分子によって達成される電子衝撃イオン化(コールドEIイオン化)、および
    (viii)場イオン化
    からなる群から選択される方法を含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記イオン化ステップと前記連続加速ステップとの間に、RFイオンガイドの半径方向の不均一なRF場内にガス衝突における前記イオンビームを閉じ込めるステップをさらに含み、
    前記イオン化ステップは、(i)ESIイオン化、(ii)APCIイオン化、(iii)APPIイオン化、(iv)前段真空ガス圧でのMALDIイオン化、(v)EIイオン化、(vi)CIイオン化、(vii)コールドEIイオン化、(viii)光化学イオン化、および(ix)調整されたグロー放電イオン化からなる群から選択される方法を含む
    請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記イオン化ステップと前記ガス状イオン閉じ込めステップとの間にイオン操作ステップをさらに含み、
    前記イオン操作は、(i)四重極のRF場および直流場における質量分離、(ii)飛行時間質量分離、(iii)RF場トラップおよび直流場トラップのアレイ内のイオンのトラップ、その後に続くトラップ場の前記アレイから外への順次的な質量依存性のイオン放出、(iv)イオン移動度分離、(v)フラグメントイオン、および(vi)それらの組合せからなる群から選択される
    請求項17に記載の方法。
  19. ガスRFイオンガイドにおける前記イオン化ステップまたは前記イオン閉じ込めステップでイオンを蓄積しイオンパケットをパルス状放出するステップをさらに含む、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記方法のダイナミックレンジを改善するために、前記イオンパケット検出ステップは、
    前記検出されたイオンパケットのタイムフロント(150)と平行に伝導性プレート(142)を揃えるステップと、
    前記伝導性プレートの表面の近くに加速場を配置するステップと、
    衝突イオンパケットを二次電子に変換するステップと、
    前記二次電子を磁場3mTから30mTまで(30ガウスから300ガウスまで)の範囲内で30度から180度の間の角度で舵取りするステップと、
    舵取りした軌道(147)に沿って少なくとも1kVだけ前記二次電子を加速するステップと、
    シンチレータ(145)上へ前記二次電子を向けてそれによって光子を発生させるステップと、
    前記シンチレータ(145)の表面から表面漏電または放電によって前記シンチレータ(145)の表面を覆っているまたはコーティングしている伝導性メッシュ(144)に向けて静電荷を引き寄せるステップと、
    前記シンチレータ(145)の後に配置された密封型光電子増倍管(146)によって前記光子を検出するステップと
    を順に含む、請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 飛行時間分析器の静電場内で前記時間分離ステップの後にMS−MS機能を追加するために、
    (i)タイムフロントと平行に配置され一次イオンパケットに向いている表面上の表面誘起解離SID、
    (ii)親イオンパケットの軌道に対して滑空角で配置された表面誘起解離SID、
    (iii)1から5cm*mTorの間で積P*Lを維持するように調整されたガス圧Pにおける長さLが1cm未満である短いCIDセル内の衝突誘起解離CID、
    (iv)前記源の開口面積を0.1から0.3cm2の間で選ぶことによって前記イオン源内に配置された衝突誘起解離CID、
    (v)フラグメンテーションステップの後のパルス式加速、
    (vi)フラグメンテーションステップの後のレンズによる空間集束、
    (vii)フラグメンテーションステップの後のフラグメントイオンパケットの後段加速、および
    (viii)フラグメンテーションステップの後の舵取り
    からなる群から選択される定期的イオン選択ステップおよびイオンフラグメンテーションステップをさらに含む、請求項12から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記スペクトル復号ステップは、イオン信号の時間変化を前記クロマトグラフィ分離、前記イオン移動度分離、または前記質量分離と相関させるステップを含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記イオンパケットのデューティサイクルおよび時間幅を調整するために、
    (i)前記連続加速ステップにおける前記連続イオンビームの平均エネルギーレベルを調整するステップ、(ii)前記バンチングのステップにおける場の強さを調整するステップ、および(iii)エネルギーフィルタリングのステップにおける伝達されたエネルギーの広がりを調整するステップからなる群から選択されるステップ
    をさらに含む、請求項12から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記連続イオンビームは、集群領域(47、95、108、124)のパルス状加速場の方向に対して5度から20度の間の小さい角度で入り、エネルギーフィルタリングの前記ステップおよび飛行時間分離の前記ステップはともに、単反射イオンミラー内で行われる、請求項12から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 連続または準連続イオンビームをイオンパケットにパルス変換する方法であって、
    イオン源(42、92、112、122)内でイオンをイオン化し、初期のエネルギーの広がりが10eV未満である連続または準連続イオンビームを生成するステップと、
    前記初期のエネルギーの広がりよりも少なくとも10倍大きい平均エネルギーまで前記イオンビームを連続的に加速するステップと、
    軸方向のイオンのエネルギーの広がりが前記初期のエネルギーの広がりに相当したままであるように、制限内でイオンの角度広がりを維持しつつ空間的集束平面に前記イオンビームを空間的に集束するステップと、
    一方の境界が時間にあり別の境界が集群領域の空間にあるパルス状加速または減速電場を用いて前記イオンビームをバンチングし、それによってイオンパケットを形成するステップと、
    前記イオンパケットの色偏向または色集束によって前記イオンパケットのエネルギーを等時性的にフィルタリングし、イオンを通過させる間に前記空間/角度集束平面内に位置する少なくとも1つの穴で不要なエネルギーを有するイオンを除去し、所望のエネルギー受容性に合わせるステップと
    を順に含む方法。
  26. 前記バンチング境界の外側の前記バンチングによって影響を受けるエネルギーを有するイオンを拒絶するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
  27. 等時性エネルギーフィルタリングの前記ステップは、
    穴またはスリットによるイオンパケット取り除きステップと、
    (i)静電セクタの偏向場、(ii)グリッドレスイオンミラーの角度付き反射場、(iii)少なくとも一対のデフレクタの偏向場、(v)周期的レンズの周期的空間集束場、(vi)少なくとも1つのクロマティックレンズの集束ファイルド、および(vii)前記場の組合せからなる群から選択される1つの静電場により等時性クロマティックイオンビームを集束または偏向させるステップと
    を含む、請求項25または26に記載の方法。
  28. 変換効率を増大させるために、イオンパルスバンチングの前記ステップは、10μsと100μsとの間のパルス周期で配置され、異なるm/zを有する部分的に重なったイオンのパケットの続く復号のためにほとんど固有の時間間隔で前記集群パルスを符号化するステップをさらに含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記連続または準連続イオンビームの直径は、(i)1mm未満、(ii)1から3mmの間、(iii)3から10mmの間、(iv)10から30mmの間、(v)30から100mmの間、(vi)100mm超からなる群のうちの1つである、請求項12から28のいずれか一項に記載の方法。
  30. エネルギーフィルタリングの前記ステップの後の前記イオンパケットの時間幅は、(i)0.1ns未満、(ii)0.1から0.3ns、(iii)0.3から1ns、(iv)1から3ns、および(v)3から10nsからなる群の1つである、請求項12から29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記バンチングのステップは、グリッドのない電極によって遂行される、請求項25に記載の方法。
  32. 前記グリッドのない電極は、パルス状加速場の均一な分布を伴う1セットの環状電極として具体化される、請求項31に記載の方法。
  33. 前記グリッドのない電極は、一対の大径電極として具体化される、請求項31に記載の方法。
  34. 連続または準連続イオン源(42、92、112、122)と、
    前記イオン源によって放出されたイオンビームを受け入れるように配置された加速ステージ(43、105)と、
    前記加速ステージ(43、105)から加速されたイオンビームを受け入れるように配置されたバンチャ(47、95、108、124)と、
    前記バンチャ(47、95、108、124)からイオンを受け入れ、前記イオンの一部を等時性的に除去するエネルギーフィルタ(49、79、81〜84、110)と、
    前記エネルギーフィルタ(49、79、81〜84、110)を通過するイオンを受け入れ、受け入れた前記イオンを時間分離するように配置された飛行時間質量分離器(50、121)と、
    前記飛行時間質量分離器(50、121)内またはその一端にある飛行時間検出器(100、141)と
    を備える飛行時間質量分析計(41、91、111、115、121、151)であって、
    前記バンチャ(47、95、108、124)はイオンパケットを形成し、前記飛行時間質量分離器(50、121)は関連したエネルギー受容性レベルを有しており、前記エネルギーフィルタ(49、79、81〜84)は前記質量分離器(50、121)の前記エネルギー受容性レベルの外側のイオンを除去する、飛行時間質量分析計(41、91、111、115、121、151)。
  35. 前記バンチャ(47、95、108、124)は、第1の電極(46)と第2の電極(48)との間に形成され、2つの平行電極(46、48)間にほぼ均一なパルス状電場を発生させるための容量性および抵抗性の分割器を有する、請求項34に記載の分析計。
  36. 前記加速ステージの後に前記イオンビームを受け入れるように配置された空間集束レンズ(44、94、106)をさらに備え、前記空間集束レンズ(44、94、106)は、前記イオンビーム内のイオンの幅および発散を集束するように構成される、請求項34に記載の分析計。
  37. 前記空間集束レンズ(44、94、106)は、前記イオン源(42、92、112、122)および前記加速ステージ(43、105)のうちの少なくとも1つと電極を共有する、または前記イオン源(42、92、112、122)および前記加速ステージ(43、105)のうちの少なくとも1つに組み込まれる、請求項36に記載の分析計。
  38. 前記バンチャ(47、95、108、124)の上流にフィールドフィー領域として配置された抑制器(45)をさらに備え、パルス発生器は、パルス電圧を前記抑制器(45)に印加する、請求項34に記載の分析計。
  39. 前記抑制器(45)は、接近イオンを舵取りするように配置された電極を備えており、単一のパルス発生器は、前記パルス電圧を前記抑制器(45)へ印加するとともに、前記パルス電圧を前記バンチャ(47、95、108、124)を形成する一対の平行電極(46、48)の一方へ印加する、請求項38に記載の分析計。
  40. 前記抑制器(45)は、イオンを押したり偏向させたりするための双極メッシュを備える、請求項38に記載の分析計。
  41. 前記飛行時間質量分離器(50、121)は、単反射飛行時間質量分析計または多重反射飛行時間質量分析計を備える、請求項34に記載の分析計。
  42. 前記バンチャ(47、95、108、124)は、
    2つの平行電極(46、48)と、
    パルス電圧を前記2つの平行電極の一方(46)へ印加するパルス式発生器と
    を備える、請求項34に記載の分析計。
  43. 前記バンチャ(47、95、108、124)は、静電場を形成するグリッドのない電極を備える、請求項34に記載の分析計。
  44. 前記エネルギーフィルタ(49、79、110)は、前記飛行時間質量分離器(50、121)への等時性の曲がった入口(125)を形成する、請求項34に記載の分析計。
  45. 前記エネルギーフィルタ(49、79、110)は、
    水平方向にイオンパケットを空間的に集束するように配置された平面レンズ(72)と、
    第1の静電セクタ(73)と、
    第2の静電セクタ(74)と、
    第3の静電セクタ(75)と、
    取り囲むスリットのセット(76)であって、前記セット(76)のスリットの1つが各静電セクタ(73、74、75)のエントランスおよび各静電セクタ(73、74、75)の出口に位置する取り囲むスリットのセット(76)と、
    離れたところのイオンをエネルギーレベルに基づいて除去するエネルギーフィルタ用スリット(77)と
    を備える、請求項34に記載の分析計。
  46. 前記エネルギーフィルタ(49、81〜84、110)は、
    分離用スリット(90)と、
    角度付きイオンミラー(86)、静電セクタ(87)、デフレクタ(88)、および1つまたは複数のレンズ(89)のうちの少なくとも1つと
    を備える、請求項34に記載の分析計。
  47. 入射イオンビームの衝突減衰をもたらすように配置されたガス無線周波数イオンガイド(102)と、
    軸方向直流場(103)と、
    シールド電極(104s)と、
    取り出し電極(104e)と
    をさらに備え、
    前記シールド電極(104s)と前記取り出し電極(104e)の組合せは、空間イオン集束場を実現する、請求項34に記載の分析計。
  48. 前記イオン源(42、92、112、122)は、イオンチャンバ(112)を有するクローズドEIイオン源と、パルス発生器(113p)に接続された反射電極(113)と、パルス発生器(114e)に接続された取り出し器(114)とを備え、ガスクロマトグラフィは、前記分析計によって分析される試料を与える、請求項34に記載の分析計。
  49. 前記イオン源(42、92、112、122)は、
    多重極ロッド(116)によって形成された蓄積イオンガイドと、
    周期的ソフト取り出しパルスを受け取る補助プッシュ電極(117)と、
    補助直流トラップ電極(118)と、
    周期的ソフト取り出しパルスを受け取る出口スキマー(119)と
    を備える、請求項34に記載の分析計。
  50. 差動ポンプチューブ(130)をさらに備え、前記エネルギーフィルタ(49、79、110)は、前記飛行時間質量分離器(50、121)への等時性の曲がった入口(125)を形成し、前記差動ポンプチューブ(130)は前記バンチャ(47、95、108、124)からイオンパケットを受け取り、前記イオンパケットを前記等時性の曲がった入口(125)の中に送る、請求項48または49に記載の分析計。
  51. 前記飛行時間検出器(100、141)は、
    前記飛行時間質量分離器(50、121)のドリフト空間(16)からイオンパケットを受け取る伝導性変換器(142)と、
    前記伝導性変換器(142)によって反射された電子を偏向する磁場を発生させる少なくとも1つの磁石(143)と、
    伝導性メッシュのコーティングまたは覆い(144)を有するとともに前記磁場によって偏向された電子を受け入れる正にバイアスされたシンチレータ(145)と、
    前記正にバイアスされたシンチレータ(145)の下流の密封型光電子増倍管(146)とを備え、
    前記伝導性変換器(142)は、前記ドリフト空間(16)の電位の負電荷とは異なる負電荷を有する電位を有する、請求項34に記載の分析計。
  52. 前記飛行時間分離器(50、121)内で分離された親イオンにアクセスする時間イオン選択器(152)と、
    前記時間イオン選択器(152)から前記親イオンを受け入れるフラグメンテーションセル(153)と、
    前記フラグメンテーションセル(153)からフラグメント化イオンを受け入れるフラグメント化イオン質量分析器(154)と、
    前記時間イオン選択器(152)に接続されたパルス発生器と、
    をさらに備え、
    前記飛行時間分離器(50、121)と前記フラグメント化イオン質量分析器(154)の両方は、単反射飛行時間質量分析計または多重反射飛行時間質量分析計のいずれかを備える、
    請求項34に記載の分析計。
  53. 前記加速ステージは前記イオンビームの絶対速度の広がりを低下させるよう配置されている、請求項34に記載の分析計。
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