JP4540230B2 - タンデム飛行時間質量分析計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、質量分析計、およびより詳細には、タンデム飛行時間質量分析計に関する。
【0002】
【従来の技術】
質量分析計は、分子の構造および化学的性質を明らかにするため、物理学的および生物学的物質の中に存在する化合物を同定するため、およびこのような問題のあるサンプルに発見された化学物質を定量するために用いられる広範な機器および手法を含む。質量分析計は、微量の純粋物質を(通常、10−12gもの少なさで)検出することが可能であり、ゆえに、化学的に複雑な混合物中の化合物を極めて低濃度(1012分の1g)で同定することが出来る。質量分析計は、自然科学および生物科学の全ての部門においても研究に必要な付属機器であり、かつ医学、法律の執行、プロセス制御工学、化学品の製造業、薬学、バイオテクノロジー、食品加工もしくは食品テスト、および環境工学等の科学技術を基礎とする広範な専門的職業域において価値ある情報を提供する強力な分析科学である。これらの用途において、質量分析計を用いて、炭水化物、核酸およびステロイド等の生体分子の構造の同定、タンパク質およびオリゴ糖等の生体高分子の配列決定、薬が体でどのように使われるかの決定、乱用した薬の確認および定量、環境汚染の分析、地球化学的および考古学的検体の年代および期限の測定、複雑な有機混合物の成分の同定および定量、および合金および半導体等の無機材料の超高感度多元要素分析を行う。
【0003】
質量分析計は、気相イオン、すなわちガス状態で電荷した分子に変換された個々の分子の質量を測定する。典型的質量分析計の主要部には、イオン源、質量分析器、検出器およびデータ処理システムがある。固体、液体、または蒸気状のサンプルをイオン源に導入し、そこでイオン化および気化を行う。サンプルの形状および分子の大きさと構造により、サンプルを気相イオンに変換するために、どのような物理的方法および化学的方法をイオン源において用いなければならないかが決まる。イオン化を起こすためには、ある状態のエネルギーをサンプル分子に変換する必要がある。ほとんどの場合、これにより初期の新生分子イオンの幾つかの、様々なフラグメントイオンへの(イオン源の中のどこか、またはイオン源を出た直後の何れかで)崩壊を招く。イオン源内に形成された残存分子イオンおよびフラグメントイオンの両者を質量分析器に送り、電磁気力を用いて電荷に対する質量の比(m/z)、または速度、モーメント、もしくはエネルギー等の関連した機械的性質に従って分類する。分析器により分離された後、イオンは次に検出器に導かれる。検出器は電気信号を発生し、その信号の大きさは単位時間に検出器に衝突したイオンの数に比例する。データシステムは、これらの電気信号を記録し、信号をモニターに表示するか、または質量スペクトルすなわち信号強度対m/zのグラフの形で印刷する。原則的には、純粋化合物の質量スペクトルに現れる分子イオンおよびフラグメントイオンは、固有の化学的指紋を構成し、それにより化合物の分子量および、時には、構造を推論することが出来る。
【0004】
タンデム質量分析計
質量分析を2(またはそれ以上)の段階で前後に行うことにより、質量分析法の有用性を顕著に高めることが出来る。二段式機器をここではMS/MS機器と呼ぶ。MS/MS機器は2つ(またはそれ以上)の独立した質量分析を順に実行する。MS/MSの最も頻繁に使われる形式において、イオン源内に形成された様々な質量のイオンの全ての中から質量分析の第一段階(MS)で特定のm/z値のイオンを選択する。選択されたイオン(前駆イオンと呼ぶ)を、通常中性気体分子との衝突により活性化して、解離を誘起する。これらの解離により生成したイオンを、質量分析の第二段階(MS)で生成イオン質量スペクトルに分類する。サンプルが純粋化合物であり、かつフラグメント形成イオン化法を用いた場合は、イオン源を起源とする個別のフラグメントイオンを前駆イオンとして選択することが出来、それらの生成イオンスペクトル(一つの質量スペクトル中の複数の質量スペクトルとして考えることができる)により、化合物に関する多くのさらに新たな構造情報が得られる。サンプルが混合物であり、かつ非フラグメント形成イオン化法を用いて支配的分子イオンを作った場合には、質量分析の第二段階により、混合物中の各成分に対する同定用質量スペクトルを得ることが出来る。
【0005】
質量分析の各段階を独立して操作することにより、質量、電荷、または反応性の変化を基にして、およびこれらの変化を明確にする質量分析計の能力を基にして他のMS/MS操作を可能にする。関心のあるm/zにおけるイオン信号が2つ以上の化合物により作られる場合、MS/MSを用いて、ある種の操作における干渉を排除することにより信号対背景比を実質的に向上し、よって感度を向上させることが出来る。イオン構造の問題を正確に探るため、および複合混合物の分析の分解能を増すために、ますますMS/MSが用いられている。
【0006】
飛行時間質量分析計
現在、最も広く用いられている質量分析計は、扇形磁場、四重極質量フィルター、四重極イオントラップ、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴セル、および飛行時間(TOF)チューブである。TOF質量分析計は、基本的には製造が最も単純かつ最も安価である。TOF質量分析計は、イオンを既知の距離に対する飛行時間の違いにより選別する。こうした時間の違いを生むために、電荷が類似したイオンの集合をほぼ同じ運動エネルギーまで加速し、短時間で、イオン源から飛行チューブ内に放出する。イオンの運動エネルギーは、1/2mv(mはイオンの質量、vはイオンの速度)に等しく、かつ電荷が類似の全てのイオンは実質的に同じエネルギーを有しているので、重いイオンよりも軽いイオンは速度が大きく、従って検出器まで飛行する時間が短い。イオン源から飛行チューブを通り検出器までの連続した移動時間(典型的には数十マイクロ秒)を計測することにより、イオン源を出た所定の時間内に含まれる各組のイオンのm/z値を測定することが出来る。
【0007】
TOF質量分析計は、m/z範囲が理論的には制限が無く、かつ質量スペクトルが走査により作られないという点で他に類を見ない。また、TOF質量分析計は、製造および操作が比較的単純で安価な機器である。これら3つの特徴が、TOF機器が分子生物学的研究およびバイオテクノロジーにおいて急速に使用の拡大している質量分析計において果たしてきた主要な役割をおおむね説明するものである。
【0008】
他の4つの一般に使われている質量分析計では、1つまたはそれ以上のパラメーターの設定により、検出器まで通ることの出来るイオンのm/zが決まる。m/zの異なるイオンを検出するために、これらの設定を増やすか、または減らさなければならない。最終的には、質量分析計の幾つかの基本的または実際の特性が、より大きなイオンの分析に適応させるためにm/zを決定するパラメーターを変更することの出来る範囲を制限する。TOF質量分析計において、より大きなイオンは、単純に検出器に到達する時間がより長くなる。そして、計測できる時間の長さに制限は無い。従って、TOF質量分析計は、特に巨大生物学的分子の分析に有用である。
【0009】
走査とは、m/z値の対応する範囲内のイオンを連続して検出できるように、質量分析計のm/zを決定するパラメーターを所定の範囲にわたり連続的に増加または減少することを示す。質量分析法の分析効率は、走査する場合には大幅に減少する。なぜならば、特定のm/zのイオンが検出されている間、イオン源から放出された他のm/z値の全てのイオンは、機器の中で失われ回収はできないからである。一方、TOF質量分析計では、イオンが飛散してイオン源から放出されたイオンの全ては、機器のパラメーターを変えることなく、検出および記録される。従って、TOF質量分析計は、特に感度の良い機器である。
【0010】
TOF質量分析計は、加速器、イオン反射器、およびイオン検出器等の、比較的単純な部品を用いて構成される。また、TOF質量分析計は、操作が比較的単純である。なぜならば、TOF質量分析計は動作が安定しており、かつ部品が最小限の同調のみを必要とするからである。TOF質量分析計は、製造および操作が比較的安価である。
【0011】
図1を参照する。典型的な飛行時間質量分析計には、イオン源、ドリフト領域、および検出器を含む。イオン源は2つの構成要素を有する。すなわち、イオン化チャンバーおよびイオン取出器/加速器である。サンプルをイオン化チャンバーに収容し、必要に応じて気化し、かつ(通常、所定のエネルギー的方法により)イオン化する。巨大生物学的分子に特に好適なイオン化方法は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)である。MALDIは、サンプルが固体結晶物質のマトリックス内に分散されている必要がある。レーザーを気化するサンプルに集束し、サンプルをイオン化する。この方法により、生じたイオンの一部をより小さなフラグメントイオンに解離することもできる。当業者は、MALDI源の構成および操作に精通している。
【0012】
イオンの集束
一般に、TOFイオン源内で作られたイオンは、異なる形成時間、初期位置および速度を有する。ある種の修正を行わなければ、イオンの初期機械特性のこれらの変動により、後に検出される質量依存帯の分解能が減少する。これらの変動に関連した不確定性を一つずつ修正することができるが、単一装置において2つまたはそれ以上の変動を同時に修正することは非常に難しい。WileyとMclarenは、ある程度制限はあるが、同じ質量対電荷を有するが、初期位置または速度の異なるイオンを、イオン源の一定距離下流の特定平面にほとんど同時に到達させることのできる二段階イオン源を開発した[Wiley, W.C.; McLaren, I.H.; 科学機器総説(Review of Scientific Instrument), Vol. 26, pp. 1150-1157(1955)、これを参照してここに取り込む]。この平面の位置は、空間焦点面と呼ばれ、イオン源のジオメトリーおよびイオン源電極に印加された電圧により固有に画定される[Potter, R. J.; 飛行時間質量分析計(Time-of-Flight Mass Spectrometry)、アメリカ化学協会(American Chemical Society)、ワシントンD.C.、 (1997)、これを参照してここに取り込む]。Wiley/McLarenの二段階源において、イオン化チャンバー(またはイオン化領域)を、平面グリッドにより加速領域から分離する。イオン源支持プレートおよび2つの領域を分離するグリッドに印加する電圧を調節することにより、イオン化領域(または第一段階)の電場を加速領域電場より小さくする。イオンは、これらの電場の影響下で、イオン化領域から、加速領域に入り、イオン源を出る。イオンをイオン化チャンバー内で発生させるか、またはイオン化チャンバーに注入することができる。短時間の遅れの後、イオン化領域の電場をオンにする。この電場により、イオンを第一段階から出して第二段階へと移動し、そこでより大きな速度に加速する。
【0013】
イオンが支持プレートおよび分離グリッドと平行な面状またはほぼ面状に形成される場合、タイムラグ集束により、二段式イオン源はイオンの初期速度の偏差を修正することが出来る。ラグ時間τの間、イオンの形成時の速度に従ってイオンがイオン化チャンバー内に拡がる。電場がオンの場合に支持プレートにより近いイオン(遅行イオン)は、第二段階に入る前に、支持プレートからより遠いイオン(先行イオン)よりも長い距離に渡り加速される。従って、遅行イオンは、先行イオンよりも大きな運動エネルギーを第一電場から受ける。故に、遅行イオンは最終的には同じm/zの先行イオンに追いつく。同じm/zの先行イオンに遅行イオンが追いつく面において、イオンはエネルギー集束されたと言われる。
【0014】
イオン源のタイムラグエネルギー焦点面は、イオン源の空間焦点面と一致する。加速領域の出口から空間集束が起きる面までの距離は、空間焦点長fとして表される。条件を固定した場合、fは質量に依存し、従って質量の異なるイオンは異なる焦点長を有することになる。所定の質量分析計において、加速領域の出口からイオン源の下流の任意のイオン光学部、例えば速度選択器、ポスト速度選択加速器、イオン偏向器またはイオン検出器までの距離は機器のジオメトリーにより決定される。加速領域の電場(E)と取出し領域の電場(E)の比E/Eを、およびタイムラグ集束の場合には遅れまたはラグ時間τを調節することにより、特定の質量のイオンの焦点長をこれらの固定長のいずれとも等しくすることができる。これらの領域の大きさは、所定のイオン源に対して固定されているので、リペラ板および2つの領域を分離する取出し器/加速器グリッドに印加した電圧を変えることにより、E/Eが変わる。
【0015】
タンデム飛行時間質量分析計
TOF質量分析計の生体分子分析における適用領域が着実に拡大していることにより、タンデムTOF機器を開発する幾つかの試みに拍車がかけられている。1)2つの独立使用可能な質量分析計を一緒に連結する方法、および2)タンデム操作順序において質量分析の第一段階の基礎として速度選択を用いる方法、の2つの方法が取られている。第一の方法は、古典的かつ全ての形式の質量分析計に対して一般的である。第二の方法は、近代的かつ飛行時間質量分析計に固有である。タンデムTOF質量分析計を作る古典的方法は、これまで3つの機器編成を生み出している。すなわち、1)高分解能TOF質量分析計に結合された高分解能TOF質量分析計(TOF/TOF)、2)高分解能TOF質量分析計に結合された二重集束セクター質量分析計(セクター/TOF)、および3)高分解能TOF質量分析計に結合された四重極質量フィルター(Q/TOF)である。これらの機器は、質量分析の第一段階(MS)において、単位質量分解能(Q/TOF)またはそれより良好な分解能(TOF/TOFおよびセクター/TOF)を示す質量スペクトルを発生する。TOF/TOFおよびセクター/TOFの場合、MS分解能のゲインは、低感度により相殺されている。なぜならば、PSDが支配的なフラグメンテーション方法である場合、ごくわずかの前駆イオンしか衝突セルおよび質量分析計の第二段階(MS)に到達せず、また衝突セルを使ってフラグメンテーションを誘起しなければならない場合、衝突解離工程はMS−TOFのタイミングおよび伝達を妨害するからである。どちらにしても、これらのタンデム機器の性能および有用性が低下する。
【0016】
Q/TOF機器は2社により製造されている。英国マンチェスター州ウィゼンショー、フロートロードM23 9LZのマイクロマス社(Micromass Ltd.)およびカナダ国オンタリオ州コンコードL4K 4V8のPE SEIEXである。残念ながら、低エネルギーイオン(10〜40eV)だけがMSにより分析することが出来るという事実により、Q/TOFのMS性能の上昇も相殺されている。この制限には、最も多用途でかつ広く使われているイオン化方法の一つであるMALDIにより作られたイオンは含まない。
【0017】
タンデムTOF質量分析計を構成する速度選択方法は、飛行時間チューブ内の準安定または誘起分解により生じた生成イオンが、前駆イオン(親イオン)の初期速度を保っているという事実を利用している。単一TOF質量分析計の感度および簡易性を多く残す手段を提供するので、この方法は魅力的である。しかし、実際には現在まで、MSの速度選択に厳密に基づいたタンデムTOF構成では、MS、MS、または両方が分析的に有用な感度に到達しない。成功する程度まで、こうした機器は、理論的に無限の質量範囲、走査によらない記録、および単純かつ安価な構成および操作という、TOF質量分析計の3つの有利な特徴の1つまたはそれ以上を犠牲にしている。
【0018】
ポストソース分解(PSD)法は、Kaufmannらにより導入され[Kaufmann, R.; Spengler,B.;Lutzenkirchen, F. Rapid Communications in Mass Specrtometry, 7: 902-10 (1993); Kaufmann, R., Kirsch, D., Spengler, B., International Journal of Mass, Spectrometry and Ion Processes, Vol. 131: 355-85 (1994)]、速度選択に基づいたタンデムTOF質量分析計の現在最も広範に使用される形態である。現行の速度選択構造の一般的な技術上の欠点により妨げられているのに加えて、PSDは、MALDIイオン化法に切り離せないほど結合されているという更なる欠点に苦しむ。より一般的には、MSでの分析用フラグメントイオンの発生のための飛行中に準安定分解および無作為気相衝突の統計的に支配された方法にPSDは専ら頼る。これらの現象のそれぞれが、MALDI条件下で、幾つかの化合物中で促進される傾向がある。故に、PSDとMALDIの間の関係は、ほとんど不可分である。準安定および気相分解がMALDIにより促進されない場合(重要な化合物によくあるが)、PSDはフラグメントイオンを発生する他の方法に償還(recourse)をしない。
【0019】
MSの基礎として速度選択を用いるタンデム飛行時間質量分析計は、所望のm/zを有するイオンの帯を選択するためのゲートとしてイオン偏向器を用いる。このようなゲートの古典的ジオメトリーは、一組の平行板を用いて、イオンの飛行路に直交する均一な電場を画定する。電場をオンにした場合、電場によりゲートに入ったイオンが偏向し、これらのイオンは検出器に到達しない。選択するイオンがゲートに到達した場合、電場をオフにしてこれらのイオンが通過できるようにする。所望のイオンがゲートを通過し次第、電場をオンに戻して、続いてゲートに入ってくるイオンも偏向させる。平行板速度選択器は、静電容量が比較的大きい(5〜10pf)。従って、平行板速度選択器を30〜50ms未満でオンオフすることは難しい。より短い切換え時間が、十分高い分解能(m/Δm、ここでmは選択イオンの質量で、Δmは選択した質量範囲)を発生して、タンデムTOF質量分析計に有効にするために必要である。
【0020】
平行板よりも効果的なゲートジオメトリーは、平行ワイヤー配置である。ワイヤーは板よりも静電容量が小さく(pf以下)、かつ5〜10ナノ秒で切り換えることが出来る。しかし、ワイヤーは、通過するイオンにより小さな偏向推進力しか与えない。
【0021】
二重偏向器速度選択器を用いて、若干良い分解能を得た者がいる。このような速度選択器では、第一偏向器は、通過するイオンを偏向するために初期にはオンであり、および第一偏向器の下流の第二偏向器は、初期にはオフである。所望のイオンが近づいた場合、第一偏向器をオフにして、これらのイオンが偏向されずに通過できるようにする。選択したイオンが第二偏向器をやはり偏向されずに通過し次第、第二偏向板をオンにする。第一偏向器をオフにする時と第二偏向器をオンにする時との間の時間を、信号偏向板をオフにし、次いで再びオンにするまでに掛かる時間よりも短くすることもできるが、この方法で操作される二重偏向器は、十分に高い分解能を得られず、タンデムTOF質量分析計の速度選択器としてあまり効率的に作動することができなかった。
【0022】
分子イオンが飛行チューブ内で分解する際に放出される微量のエネルギーを無視すれば、エネルギーおよびモーメントの保存には、分解のフラグメント(荷電および中性の両方)が親イオンの持っていた速度と全く同じ速度で飛行を続けることが必要である。従って、速度を基に飛行チューブ内で粒子を選択した場合、選択された群は、解離していない前駆イオン、解離した前駆イオンのフラグメント、または両方を含むことができる。この群が解離していない前駆イオンを含み、かつこれらの前駆イオンの一部または全部がMSとMSとの間に残る飛行チューブの長さの中で解離する場合、これらの分解のフラグメントは、選択された群と共に単純に飛行を続ける。従って、速度により選択された粒子の群が、タンデムTOF機器のMSに、空間的および時間的に制限された帯として入る。この段階で、フラグメントの運動エネルギーは質量に比例し、何れのフラグメントの最大運動エネルギーも、分解していない前駆イオンの運動エネルギーqVion source(ここでqは前駆イオンにより運ばれる電荷)に等しい。例えば、20keV、3000Daの前駆イオンのフラグメントの運動エネルギーは、本質的に0〜20keVの範囲にわたる(1Daは1個の12C原子の質量の12分の1)。
【0023】
速度は同一であるが、エネルギーの異なる粒子を分離するために、粒子を加速しなければならない。現行のタンデムTOF機器においては、イオン反射を用いてこれを達成している。選択された群(フラグメントおよびフラグメントしていないイオン)を、MSの主要部であるイオン反射器(イオンミラーまたはリフレクトロン)に導く。典型的な線形場リフレクトロンは、高度に均一な軸の電場を作り、この電場はイオンが入ってきたのと正反対の方向にイオンを加速する。よって、特定の入射角φでリフレクトロンに入ったイオンは、次第に減速されて停止し、次いでイオンが来た方向に次第に加速して、φと正確に等しい反射角でミラーを出る。φが大きすぎない(<2または3°)場合、典型的な線形場リフレクトロンは、イオンを空間焦点面に集束することができ、該焦点面はリフレクトロンの出口から一定の距離に配置され、そこに通常検出器が取り付けられている。リフレクトロンに入る前に、イオンが対象面に離間して集束した場合、リフレクトロンは同じ質量のイオンを空間焦点面に集束するだけであろう。選択した群の中性フラグメントは電場により影響されず、したがってリフレクトロンを真っ直ぐに通過する。中性フラグメントをリフレクトロンの後方に配置した検出器により記録することが出来る。
【0024】
より大きな運動エネルギーでリフレクトロンに入ったイオンは、より小さな運動エネルギーでリフレクトロンに入ったイオンよりもリフレクトロンに深く進入するであろう。フラグメントイオンは常に親イオンよりもエネルギーが小さいので、フラグメントイオンは、前駆イオンよりもより早くリフレクトロンを出て、より早く検出器に到達する。これらのフラグメントイオンの全てが、検出器面に空間集束されるわけではない。反射するミラーの長さの85〜95%を必要とするイオンだけが、検出器に到達した際に、空間集束されるであろう。エネルギーのより小さいイオン(軽いイオン)は、リフレクトロンにより浅くしか進入せず、かつ検出器に空間集束しないであろう。従って、リフレクトロンの電圧がステップ状である場合、イオン反射による分散は、タンデム質量分析計で作られるのと同様の、フラグメントイオンの完全な質量スペクトルを作ることだけができる。各ステップで部分スペクトルが作られ、部分スペクトルを集めて完全なスペクトルを作る。例えば、リフレクトロンの電圧設定を7〜10段階(二段式イオンリフレクトロンでは10〜14段階)とし、各設定でのスペクトルの断片を記録することにより、一段式線形場リフレクトロンを装備した既存の機器で、前記の20keV、3000Da前駆イオンからなる生成イオンの質量範囲にわたるスペクトルを得ることが出来る。この時間がかかり、サンプルを消耗し、手動でステッピングする手順に頼ることが必要となった場合には、TOF質量分析計の高く評価された非走査の特徴は犠牲にされる。
【0025】
Cotterの米国特許第5,464,985号は、タンデムTOF質量分析計を開示している。Cotterの質量分析計は、質量に従って前駆イオンをMSで選択し、リフレクトロンによりフラグメントイオンおよび非分解前駆イオンを分散する。Cotterは、曲線場リフレクトロンを用いて単一の電圧設定でスペクトル全体を記録することにより、線形リフレクトロンに限定された質量範囲の問題を回避している。曲線場リフレクトロンは、非線形軸電場を用いて、リフレクトロンの電圧設定をステップ状にせず、または変更せず、生成イオンの広範な質量範囲にわたり集束を実現する。その洗練された着想にもかかわらず、曲線場リフレクトロンは実用的ではない。曲線場リフレクトロンは、85個の20巻2MΩポテンシオメーター(均一固定レジスターでは29程度であるのに)に接続された86個のリング素子(単純な線形場リフレクトロンでは30程度であるのに)からなり、作成が難しく、同調が難しく(各ポテンシオメーターをきめ細かく調整して電場の軸成分において必要な曲率を正確に複写しなければならない)、ポテンシオメーターの設定においてドリフトが均一でないので同調を維持することが難しく、かつ電場の不可避な半径成分の焦点ずれ作用のためにイオン移送が低い。従って、TOF質量分析計の安定な動作および単純で低コストな構成は、Cotterの質量分析計では犠牲にされている。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の問題を克服するものである。本発明は、イオン源、イオン源の下流のイオン選択器、イオン選択器の下流の解離セル、解離セルの下流のイオン加速器、加速器の下流のイオン反射器(イオンミラーまたはリフレクトロン)、リフレクトロンを透過した中性分子およびイオンを記録する検出器、およびリフレクトロンにより反射されたイオンを記録する検出器を含む、タンデム飛行時間質量分析計を提供する。本発明の質量分析計は、動作が安定しており、作成が簡単で、分解能が高く、かつ検出器に配置された空間焦点面に生成イオンを集束することができる。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の実施態様のひとつにおいて、質量分析計は、イオン源、イオン源の下流の速度選択器、速度選択器の下流の解離セル、解離セルの下流のイオン加速器であって、第一空間焦点面にイオンを集束することの出来る加速器、加速器の下流のリフレクトロンであって、第一空間焦点面に位置する対象面を画定し、かつ第二空間焦点面にイオンを集束することの出来るリフレクトロン、および第二空間焦点面に配置されたイオン検出器、を含む。解離セルを離れたイオンの不確実性による影響を最小限とし、続いてイオンのm/z比に従ってイオンを分離できるようにし、かつイオンを検出器に容易に集束できるようにする方法で、生成イオンを加速するので、本実施態様における加速器の位置は特に有利である。
【0028】
本発明はまた、イオンの組を加速して該イオンの組に質量に対応した速度を与え、速度に基づいてイオンの組の一部を選択し、必要に応じて選択したイオン部分の一部の解離を誘起し、かつイオン部分を検出することを含む、質量スペクトルを生成する方法を提供する。実施態様の一つにおいて、質量スペクトルを生成する方法は、物質をイオン化してイオンの組を発生することを含む。イオンの組は、次いで等エネルギーに加速され、各イオンが質量に対応した速度を有するようにする。加速されたイオンの組は、飛行路に沿って移動し、異なる速度を有するイオンの組のイオン部分が飛行路に沿って空間的に分離されるようにする。選択された狭い速度範囲内にある選択されたイオン部分を除いたイオンの組は、続いて飛行路から偏向される。実施態様の一つにおいて、次いで選択したイオン部分の一部の解離を誘起し、元のイオン部分の非解離イオンの残部と共に、得られたフラグメントイオンを飛行路に沿って質量に対応した速度まで加速し、飛行路に沿って移動して速度の異なるイオンが空間的に分離され、かつ飛行路に沿った位置で検出されるようにする。イオン分離の後に飛行路に沿ってイオン部分を加速することにより、続いてイオンのm/z比に従ってイオンを分離させ、かつ検出器上に容易に集束できるようになる。実施態様の一つにおいて、イオン部分は、電場を形成する複数の電極の間の空間にイオンの全部が入るとオンにされる電場により加速され、故にイオン部分は空間焦点面に集束するであろう。
【0029】
本発明はまた、高い分解能を得ることの出来る新規な速度選択器を提供する。高い分解能は、非常に範囲の狭い速度を選択するということに対応し、従って非常に範囲の狭い質量を選択するということに対応する。速度選択器の実施態様の一つは、複数のチャネルを画定する複数の導電性ストリップを有する第一イオン偏向器を含む。ストリップは、第一正電圧源に接続された交番正電圧ストリップ、および第一負電圧源に接続された交番負電圧ストリップを含む。第二イオン偏向器は第一イオン偏向器に直列である。第二イオン偏向器は、複数のチャネルを画定する複数の導電性ストリップを含む。ストリップは、第二正電圧源に接続された交番正電圧ストリップ、および第二負電圧源に接続された交番負電圧ストリップを含む。ストリップは、十分な偏向推進力を通過するイオンに与えることができ、更に静電容量が低いことにより切り換え時間を短くすることが出来る。
【0030】
本発明はまた、イオンの組からイオンの一部を選択する方法を提供する。実施態様の一つにおいて、この方法は、イオン源のイオンの組を加速してイオンが異なる速度を有するようにし、かつイオンの組が飛行路に沿って移動して速度の異なるイオンが飛行路に沿って空間的に分離することを含む。飛行路に沿って配置された第一イオン偏向器に電圧を印加して、第一偏向器を通過するイオンを第一方向に偏向させて飛行路から外す。第一偏向器の電圧をオフとし、選択した範囲の速度を有するイオン部分が先行するイオンよりも第一方向により少なく偏向されるようにし、かつ第一偏向器の下流に配置された第二イオン偏向器の電圧をオンにして、第二偏向器を通過するイオンが、第一方向と正反対の第二方向に偏向されるようにする。第二偏向器が選択した速度のイオン部分を飛行路に沿って偏向して戻すが、選択した速度のイオン部分に続くイオンを第二方向に偏向して飛行路から外すような、電圧および切り換え時間にする。イオン選択方法は、特に高い分解能を生む。何故ならば、偏向器により発生する電場が、選択した速度のイオン部分が偏向器を通過する間、イオン部分と動的に相互作用するからである。
【0031】
詳細な説明
最初に図1について述べると、従来の単独TOF質量分析計では、イオン源10はサンプルをイオン化し、生成したイオンの組を短時間の爆発で加速する。そのイオン化過程は、少量の運動エネルギーを新たに生成したイオンに与え、この初期運動エネルギーの大きさはイオンからイオンで変動し、そのために、加速された後のイオンの全運動エネルギーが不確定になっている。イオン源10中の典型的な加速器は、加速器から出るイオンの運動エネルギーが、主としてイオンの電荷(z)の関数であるような、電場を作る。そこで、同一の電荷を有する全てのイオンは、イオン源10を出る時に、実質的に同じ動的エネルギーを有する運動エネルギーは1/2mv2で、ここでmは質量、vは速度であるため、イオン源10から出るイオンの速度は質量の平方根に反比例する。
【0032】
イオン源10を出た後、イオンの組はドリフト領域12を通過する。イオンがドリフト領域12を通過すると、速度が大きいイオンが速度が小さいイオンを追い越す。速度はイオンの質量と電荷に基づいているので、イオンの組は空間的に分離されて複数のバンドとなり、個々のバンドは特定のm/z 値を有するイオンを含む。次いでイオンは、そこでイオンの存在を検出する、検出器14に達する。質量スペクトルは、検出器14にぶつかるイオンの数を、時間に対してプロットする形で作られる。
【0033】
図2は、本発明に係るタンデムTOF質量分析計をブロック図として示す。イオンの組が、ほぼ上述したしたようにイオン源110により作成され、第一のドリフト領域114の方に加速される。しかし、ドリフト領域114の末端において、該イオンの組は速度選択器116に入り、選択した速度範囲、従って選択したm/z 範囲を有するイオン(前駆イオンと呼ぶ)の選択したイオン部分又はバンドを除き、全てのイオンを偏向させる。前駆イオンは、その後に解離セル118に通し、ここで必要に応じて、少なくとも前駆イオンの一部を小さい生成イオンに解離又は断片化することができる。得られた生成イオンはその後、第二加速器120により初期速度と同じ方向に更に加速される。生成イオンは、その後第二ドリフト領域122を介してリフレクトロン124の方に向かう。リフレクトロン124は生成イオンを反射し、それらを検出器126上に集束する。次いで、前駆イオン及び生成イオンからなるイオン部分の質量スペクルは、検出器126にぶつかる生成イオンの数を時間に対してプロットした形で作製される。
【0034】
装置
図3について述べると、本発明のタンデムTOFアパラタス210はイオン源212を含む。好ましい態様において、イオン源212はレペラープレート214(一定のイオン化プロセスのサンプルプローブとしても作動することができる)イオン取出し/加速器グリッド216、及び接地された出口グリッド218を含む。加速されたイオンを選択プレーンで、イオン源により集束する必要がある。好ましい態様においては、イオン源212はWileyとMcLarenにより開示されたような二段式イオン源であり、空間焦点化又は時間差焦点化モードにより作動させることができる。イオン取出し/加速器216はイオン源212を、取出し領域215と加速領域217に分ける。イオンを取出し領域215において直接生成し、続いて飛行軸211はイオン源212の背後のリペラープレート214の中心からリフレクション500の背後に位置したイオン検出器520の中心に向かう、飛行軸211(図示せず)に沿ってイオン源212の外に加速することができる(軸線取出し)。或いはまた、イオンをイオン源212の外側で生成し、飛行軸211に直交しているイオン源212中に注入し、続いてイオン源212の外に飛行軸211に沿って加速することができる(直交取出し)。レペラープレート214および取出し/加速器グリッド216の電位(電圧)は、取出し領域215の第一電場Eeが、該第一電場Eeのすぐ下流に位置する加速領域217の第二電場Eaより低くなるようなレベルに設定する。元々のWileyとMcLarenのイオン源では、これら電場をEe/Ea=4の比に調整しているが、本発明のいずれのイオン源に用いた比はWileyとMcLarenの値から、解析されるイオンの質量範囲、イオン源の大きさ、およびイオン源の空間焦点面への距離に応じていくらか変動する。かかる加速器の構成と操作は、当業者にはよく知られている。
【0035】
二段式イオン源は、必要に応じて軸方向取出し又は直交取出しのいずれで操作するにせよ、種々のイオン化プロセスを有する有利な結果を生ずる。適切なイオン化プロセスには、限定するものではないが、電子インパクト、化学イオン化、光イオン化、電場イオン化、誘導結合プラズマ、スパークソース、熱表面脱離、電場脱離、高速イオン又は原子衝撃、高速重イオン脱離、マトリックス援助レーザー脱離イオン化(MALDI)、熱スプレイ、大気圧イオン化及び電子スプレイイオン化(ESI)が含まれる。MALDI(軸方向又は直交取出し)及びESI(直交取出し)が、蛋白質、オリゴヌクレオチド及び合成ポリマーの様な約1000u以上の大きい分子をイオン化する好適なプロセスである。
【0036】
好ましい態様においては、長さが短い飛行チューブ(図示せず)が、イオン源212を2セットの偏向プレート219と連結する。この2セットの偏向プレート219を飛行軸211に沿って連続して位置させ、これらを飛行軸211に対し且つこれと直交するように配向させて、飛行軸211から離れるイオンを、互いに直交する方向に偏向させる。プレート219はイオン源212の下流に位置し、それによりイオン源212を出たときに、イオンの飛行路に対するすべての必要な校正を行うのに用いて、イオンを飛行軸211に実質的に平行と成るようにすることができる。
【0037】
ドリフト領域220は、偏向プレート219の下流に位置する。好ましい態様において、ドリフト領域はイオンが通過するフィールドフリー(即ち、電磁場を有さない)の飛行チューブである。
【0038】
速度選択器230は、ドリフト領域220の下流に位置する。イオン源212の出口グリッド218から速度選択器の入り口プレーンまでの距離を、D1とする。通常D1は200mm以上であるが、1000mm以下である。
【0039】
図4−6は、速度選択器230の作動態様を示す。速度選択器230は、第一のイオン偏向器232及び第二のイオン偏向器234を含む。両偏向器232、234は、速度選択器が二重偏向モードで操作する場合に必要とされるが、速度選択器が単一偏向モードで操作する場合には、一つの偏向器しか必要としない。図4について述べると、偏向器232、234はそれぞれ、多数の導電性ストリップ又は電極236を含む。これらストリップ236は同一の形状と寸法を有し、互いに平行である。各イオン偏向器232、234中のストリップ236は、該ストリップ間にチャネル237を画定する。各細長いストリップ236は、一対のスペーサー250、252の間に配置された第一末端238と、他の一対のスペーサー250、252の間に配置された第二の末端240を有しており、それによって交互の一連のスペーサー250、252とストリップ236を形成している。
【0040】
ストリップ236は、金属や合金のような導電性材料からなる。ストリップ236を形成するのに適している材料のリストの一部には、ニッケル−クロム合金、ステンレス鋼及び銅−ベリリウム合金がある。ストリップ236の寸法は、スペクトロメーターの性能のような因子および装置の大きさの様な構成の事情により変えることができる。ストリップ236の厚さは、通常約0.05mmから約0.10mmである。厚さが減ると、伝導性が改善される。好ましい厚さは、所望の機械的な安定性を与えるための、最小の厚さを選択することにより達成される。
【0041】
ストリップ236の幅は、通常約1mmから約1.5mmである。しかし、偏向器の強度は、ストリップ幅/ストリップ間隙の比に直接的に比例し、比の値が1以上である場合には、イオンは強い偏向パルスを受けることを保証する。金属線の偏向器は、1よりもずっと小さいストリップ幅/ストリップ間隙の比を有する。
【0042】
ストリップ236の長さもまた変えることができ、特定の装置のための好適な長さは、a)装置の大きさ、及びb)イオンビームの幅より広い面積にわたって、均一な電場を維持することを考えて決定される。作動態様において、各ストリップ236は、0.09mmの厚さ、1.27mmの幅、そして15mm長さを有するニッケルークロムのリボンワイアーとした。
【0043】
末端スペーサー252は、スペーサー250の各々のシリーズの末端に位置させるので、4つの末端のスペーサー252のそれぞれは、一組の共平面ストリップ236のみと隣接しており、一方各内部スペーサー250を、2組の共平面ストリップの間に配列する。スペーサー250、252の各々は、第一偏向器232と第二偏向器234の間に延在し、少なくとも、第一偏向器232の一つのストリップ236と第一の末端254で、また第二偏向器234の一つのストリップ236と第二の末端256で、隣接している。
【0044】
各スペーサー250、252は、透明孔258を画定する。該孔258は、第一末端254と第二末端256との中間でストリップ236と直交して延在する。
スペーサー250は、名前が示す様に、ストリップ236を離してチャネル237を形成する。作動態様における内部スペーサー250は、ストリップ236を中心から中心へ1mmの間隔で仕切っている(図6において、距離”x”で示す)。隣接ストリップ236間の距離は、十分大きな電場がチャネル237内に形成するのに十分に小さく、しかしストリップ236がイオンの経路に重大な支障とならないのに十分に大きいことが好ましい。離間隔は、イオンの伝達と電場の均一性を考えて決定される。離間隔を減少すると、伝達を減少させて、均一性を増加させる。スペーサー250、252は、Delrin又はVESPELの様な絶縁材料から機械加工により得られる。
【0045】
各々の一連のスペーサー250、252を、末端スペーサー252に隣接した一対のクランプブロック270、271の間に位置する。各々のクランプブロック270、271は、一連のスペーサー250、252の中の開口部258と整列する、開口部272を画定する。クランプボルト274は、クランプブロック270、271内の開口部272、そしてスペーサー250、252内の開口部258を通じて延在する。クランプボルト274は、クランプブロック270間で、スペーサー250、252とストリップ236を緊縛する。
【0046】
各々の上部クランプブロック270は、更にクランプブロック270の主要な平面表面と垂直な、一対のねじ山付き開口部(図示せず)を画定する。各々の下部クランプブロック271は、更にクランプブロック271の主要な平面表面と垂直な、一対のねじ山の開口部(図示せず)を画定する。4つの機械ネジ276は、機械分離の様な手段により、末端にねじ山をつけることにより作製される。該ネジ276は、上部クランプブロック270内の開口部にほぼ完全にねじこみ、ねじ276のねじ山のない末端は上部クランプブロック270と下部クランプ271の間に延在し、下部クランプブロック271内のねじ山のない開口部の中に着座する。上部クランプブロック270内のねじ山付き開口部中にネジ276を進ませることにより、上部クランプブロック270は、下部クランプブロック271から離れて広がる。上部クランプブロック270が、下部クランプブロックから離れて広がるので、ストリップ236は整然と、互いに平行に並んでいる。
【0047】
プレート290は、ブロック270、271の間で、各々の一連のスペーサー250、252に沿って延在する。プレート290は、ストリップ236の末端を受ける様な大きさと形状に形成された溝292を含む。該プレート290は、また各末端でボルト276の末端の中間でクランプブロック270に沿って延在する突起294を有する。これらプレート290は、全速度選択器290用の取り付け部品となり、それらは速度選択器290をいずれかの所定の飛行間に取り付けるため必要な物として注文することができる。クランプブロック270、271とプレート290は、スペーサー250、252を作製するのに用いられたの同じような、絶縁材料から機械加工により得られる。
【0048】
交番ストリップ236を、正電圧源及び負電圧源に、それぞれ連結する。これにより、隣接するストリップ236により画定された各チャネル237内に電場を形成することができる。電子スイッチにより、電圧を切り換えることができ、思った様に電場をオンオフしたり、又電場を逆転させたりすることができる。図7は、入口偏向器232とも言われている、第一イオン偏向器232内で電圧をオンオフするための回路310を示す。図8は、第二イオン偏向器234又は出口偏向器234内で電圧をオンオフするための回路312を示す。図9は、第一イオン検出器232又は第二イオン検出器234の交互ストリップ236に印加する電圧を逆転させるための回路386を示す。ストリップ236は、大きなキャパシタンスを有さないために、切り換え時間を減少させる。
【0049】
図7−9について述べると、二重偏向モードのイオン偏向器232、234の各々の回路310、312と、単一偏向モードの第一イオン偏向器の回路386は、トランジスタートランジスターロジックパルス(TTL)を運ぶためのエントリーライン314を含む。該エントリーライン314は、一対の平行ライン316、318に分離している。各平行ライン316、318は、第一NANDゲート(IC1)320、322に入り、可変抵抗器(RI)324、326を通過し、次いで第二NANDゲート(IC2)328、330へと向かう。各平行ラインは、その後第一サイド336と第二サイド338を含む、高電圧スイッチ(HVS)332、334へと進む。これらHVSは、500V又はそれ以上の電圧を数ナノ秒で切り換えることが可能なMOSFETである。作動態様において、HVS332、334として、2つのBehlkeHTS30スイッチを使用した。IC2は、HVS332、334の入力に加えた運ばれるTTLパルス内で歪みを最小にする、Schmitt−triggeredゲートである。
【0050】
図7と、二重偏向モードで操作する時の速度選択器230用の、第一偏向器回路310について述べると、HVS332とHVS334はそれぞれ、装置210の接地につながるライン350に第一サイド336で、また第二サイド338でライン352、354と接続されている。ライン354は、HVS334から負電圧ライン356との結合部へ延在する。負電圧ライン356は、負電圧源(−V)358を交番負電圧偏向器ストリップ236と結合する。負電圧ライン356にはライン354の結合部と負電圧源358との中間に抵抗器(R2)360を含む。ライン352は、正電圧ライン362との接合部へ通じる。正電圧ライン362は、正電圧源(+V)364を、交番正電圧偏向器ストリップ236と結合する。正電圧ライン362には、ライン352の結合部と正電圧源364との中間に、抵抗器(R2)366を含む。そこでストリップ236を、HVS332、334が開いている時には、正電圧源364及び負電圧源358に接続する(即ち、第一偏向器232が”オン”である)。ストリップ236を、HVS232、234が閉じている時には、装置210の接地に接続する(即ち、第一偏向器が”オフ”である)。HVS332、334のそれぞれと第一偏向器232の間の接続を、システムのキャパシタンスを最小にするために、できるだけ短く保つことが好ましい。第一偏向器回路310により、第一偏向器232を、約19ナノ秒という短い時間でオンオフすることができる(図13参照)。
【0051】
図8と、二重偏向モードで操作するときの速度選択器230用第二偏向器回路312について述べると、HVS332の第一サイド336を、負電圧源(−V)370に接続する。HVS332の第二サイド338を、装置210の接地と負電圧ストリップ236との間に延在する接地線372との接合部に通じるライン372に接続する。この接地線374は約200オームから約500オームの抵抗を有する抵抗器(R2)376を接地とライン372の接合部との中間に含む。HVS334を、第一サイド336で正電圧源(+V)378に接続し、第二サイド338で、接地線382に通じるライン380に接続する。接地線382は、抵抗器(R2)384をシステム接地とライン380との結合部との中間に含む。第二偏向器234のストリップ236は、HVS332、334が閉じている時には、正電圧源364と負電圧源358に接続されている(即ち、第二偏向器234が”オン”である)。HVS332、334が開いているとき、ストリップ236は装置210用接地に接続されている(即ち、第二偏向器234が”オフ”である)。HVS332、334のそれぞれと第二偏向器234の間の接続は、システムのキャパシタンスを最小にするために、できるだけ短く保つことが好ましい。第二偏向器回路312により、第二偏向器234を、約19ナノ秒という短い時間でオンオフすることができる。速度選択器230を単一偏向モードで操作するとき、図9に示す回路386を、第一偏向器232又は第二偏向器234のいずれかに接続することができる。HVS332の第一サイド336を、負電圧源(−V)388に接続する。HVS332の第二サイド338を、正電圧ライン392との結合部に通じる正電圧源(+V)394と高電圧ストリップ236の間に伸長している、ライン390に延在する、ライン390に接続する。正電圧ライン392は、約200オームから約500オームの抵抗を有する抵抗器(R2)396を、正電圧源394とライン390の結合部の中間に含む。HVS334を、第一サイド336で正電圧源(+V)394に接続し、第二サイド338で負電圧ライン400に通じるライン398に接続する。負電圧ライン400には、抵抗器(R2)402を、負電圧源388とライン398の結合部との中間に含む。ゲート232、234の交番ストリップ236は、HVS332、334が閉じている時には、それぞれ正電圧源394と負電圧源388とに接続されている。HVS332、334が開いている時には、各ストリップ236の電圧を逆転する(即ち、HVS332、334が開いている時に正電圧源394に接続するストリップを、HVSが閉じている時には負電圧源388に接続する)。HVS332、334のそれぞれと、イオン偏向器232又は234の間の接続を、システムのキャパシタンスを最小にするために、できるだけ短く保つことが好ましい。単一偏向器回路386により、イオン偏向器232又は234を、約19ナノ秒という短い時間で切り換えることができる。
【0052】
本発明の前に知られていた、速度選択器の最高の分解能は、約1:200であった。本発明の飛行時間速度選択器の分解能は、操作者により変更することができる。図4−6に示すような、一段式速度選択器230を有する装置は、5000uの質量において、少なくとも1:5000の質量分解能を達成することができる。例えば、興味の対象である化合物が5000uの分子量(原子質量単位)を有しているならば、1:5000の分解とは、その装置が5000と5000±1uの質量を有するイオンにつき(即ち、1/5000は0.0002。0.0002×5000uは1u)、はっきりと異なった信号を生成することを意味する。本発明の前に知られている従来の装置は、その様な測定を行う事はできなかった。現在入手できる装置の典型的な分解能は、約5000uの範囲内の質量において100以下であり、従来は5000uの質量において、100以上の分解能を達成することができる装置はなかった。約5000uの分子量を有するサンプルにおいて、従来の装置は、最高でも、5000と5000±50uの質量を有するイオン(1/100は0.01。0.01×5000uは50u)の間で質量の差を検出するだけである。約200の質量においては、従来の装置で約200の分解能が達成されていた。
【0053】
図3に戻って述べると、装置210は好ましくは、速度選択器230の下流に、分離セル410を含む。速度選択器230と解離セル410を分離している距離は、速度選択器230と解離セル410のすぐ下流に位置するイオン加速器420を分離している距離の、約1.5倍が好ましい。解離セル410(又は衝突セル)は、好ましくは市販されているセル、又は標準セルを模倣した注文作製のセルである。衝突セルは、質量分析計のイオン通路に取り付けられた小さな室である。衝突セルは、2つの小さな開口を有しており、一つは前駆イオンを入れる為、第二は生成イオンを入れ、前駆イオンを出す為のものである。該室はガスにより、通常は10-4−10-3torrまで加圧することができる。セルを通過すると、前駆イオンはガスと衝突し、それにより生成イオンへの分解又は断片化を活性化したり、又は誘起する。該衝突セルは、衝突ガスが質量分析計の他の部品の適切な操作を妨害しないように区別して圧送される。この衝突セルを、適切な電場フリーの領域、すなわち質量選択装置の間、に取り付けられる。
【0054】
後速度選択イオン加速器420は、解離セル410の下流に位置している。今図10と11、及び図示の一段式加速器について述べると、加速器420は、好ましくは、円形の底面組立てプレート422、円形の上面組立てプレート424、これら底面と上面の組立てプレートの中間に円形の加速器プレート426を含む。上面組立てプレート424、底面組立てプレート422、そして加速器プレート426は、同軸である。速度選択器230のエントリー面から加速器420の加速器プレート426までの距離はD2で示される。加速プレート426から、上面組立てプレートまでの距離はdで示される。D2は解離セル410と加速器420を収容するに充分とするべきで、即ち、約2−3d、そしてより典型的には約10d以上である。加速器420の作動態様は、D2=15dとする。D2が増加するにつれて、分解能が増加することを理解あるべきである。
【0055】
加速器プレート426を、高電圧切り換え回路に接続し(図16参照)、それによりオフオンの切り換えを行うことができる。上面組立てプレート424を、装置210の接地に接続する。図16は、加速器420用回路を示す。加速器420の回路800は、TTLトリガーリングパルスを第一サイド814と第二サイド816を含む高電圧スイッチ(HVS)810に運搬するためのエントリーライン804を含む。HVSは+15kv又はそれ以上の電圧を20ナノ秒又はそれ以下で切り換えることが可能であり、この目的に適しているのは、例えばBehlke HTS 151A、151B又は301高速高電圧トランジスタースイッチである。HVS810の第一サイド814を、正又は負高圧電源(±HV)830に接続する。正高圧電源を使用する時には、加速器420は正イオンを加速し、負高圧電源を使用する時には、加速器420は負イオンを加速する。HVS810の第二サイド816を、装置210の接地と加速器プレート426の間に延在する接地線822との接合部に通じるライン820に接続する。接地線822は抵抗器(RI)824を、システム接地とライン820との結合部との間に含む。加速器プレート426を、HVS810が開いている時には、装置210の接地と接続する(即ち、加速器420が”オフ”である)。加速器プレート426を、HVS810が閉じている時には、高電圧源830に接続する(即ち、加速器420が”オフ”である)。HVS810と加速器プレート426との間の接続は、システムのキャパシタンスを最小にするために、できるだけ短く保つことが好ましい。加速器回路800により、加速器420を、約20ナノ秒という短い時間で、オフオンすることができる。
【0056】
図10について述べると、底面組立てプレート422は、中心に位置した開孔430を有する。開孔430は、解離セル410より伸び、加速器420の入り口を提供する飛行管432を受けるように適用している。底面組立てプレート422の作動態様は、該底面組立てプレート422の表面で、その円周方向に120°の間隔で形成された、3つのボルト開孔434を有する。
【0057】
上面組立てプレート424は、加速器420の出口から延在する飛行管(図示せず)を受けるのに適した、中心に位置する開孔436を有する。孔436は、プレート424の加速器プレート426に面する側で、高伝導の導電性グリッド437で覆われている。加速器420の作動態様において、該グリッド437用に937伝導性ニッケルメッシュを使用した。加速器420の作動態様において、上面組立てプレートの表面でその円周方向に120°の間隔で形成されたボルト開孔438と、該ボルト開孔の中間で周方向に離間した受容開孔440を有する上面組み立てプレート424を用いた。上面組立てプレート424は、各受容開孔440の周りで円周方向に間隔をあけて形成したねじ山付きの、ボルト開孔442もまた有する。
【0058】
上面組立てプレート424により画定されたボルト開孔438は、底面組立てプレート422により画定されたボルト開孔434と並んでいる。ボルト450は、上面組立てプレート424により画定された開孔434と、底面組立てプレート422により画定された開孔434の間に延在する。絶縁材料よりなる管状スペーサー452を、ボルト450の周りに装着し、上面組立てプレート424及び底面組立てプレート422を該管状スペーサーの対面の端に隣接させてる。ボルト450を所定の位置に固定し、上面組立てプレート424を底面組立てプレート422と接続する。
【0059】
底面組立てプレート422と上面組立てプレート424の中間にある加速器プレート426は、中心に位置した開孔460を有し、該開孔460は、底面組立てプレート上の中心に位置した開孔430及び、上面組立てプレート上の中心に位置した開孔436と同軸である。開孔460は、上面組立てプレート424に面する加速器プレート426側で高伝導性の導電グリッド461で覆われている。加速器420の作動態様は、グリッド461に、93%導電度のニッケルメッシュを使用している。また、加速器プレート426は、上面組立てプレート424中の、受容孔440と整列した周方向に間隔をあけて形成したボルト開孔462もまた有する。
【0060】
高電圧絶縁マウント464は、加速器プレート426を、上面組立てプレート424に接続する。各々のマウント464は、内部管状部分466、内部管状部分の末端から外方に延在するラジアル壁468、該ラジアル壁の周辺から軸方向に延在して内部管状部分466の長さで設けられた周辺壁470、およびラジアル壁468の末端で周辺壁470の末端から外方に延在するフランジ472を含む。該フランジ472は、円周方向に離間して形成したボルト開孔474を有する。ラジアル壁468の末端の内部管状部分466にねじ山を付けてねじ山付きファスナーを受容するようにする。
【0061】
各マウント464のフランジ472は、上面組立てプレート424に、加速器プレート426と離れて向かい合う側で隣接する。周辺壁470は、上面組立てプレート424から離れるとように延在する。内部管状部分466は、受容開孔440中を通過し、加速器プレート426に隣接する。各フランジ472中のボルト開孔474は、上面組立てプレート424中の受容開孔440の周りで周方向に離間して形成したねじ山付きボルト開孔442と整列する。ボルト480は、ボルト開孔474を通過し、ねじ山付きボルト開孔442中に延在して、マウント464を上面組立てプレート424に固定する。各マウント464の内部管状部分466は、加速器プレート426中のボルト開孔462の一つと整列している。ボルト482は、ボルト開孔462を通過し、内部管状部分466の中の内部ねじ山と係合して、加速器プレート426をマウント464に固定し、その結果加速器プレート426を上面組立てプレート424に固定し、その際に加速器プレートを上面組立てプレートに電気的に接続することはない。上面組立てプレート424の様な組立てプレートと、加速器プレート426はステンレス鋼、真鍮又はモリブデンの様な材料からなり、ステンレス鋼が機械加工性、強度、真空適応性、そして洗浄が可能であるため、一般的に好ましい。加速器420は、飛行路を画定し、該飛行路に沿って軸電場を作るような、任意の方法により構築することが可能である。加速器420は、飛行軸211の方向に実質的な初速を有するイオンを受容し、これらイオンを飛行軸211の方向に加速することが可能である。
【0062】
図12は、多段式加速器420’の一つの態様を示す(三段加速式を、図12に示す)。加速器420’は、一対の加速器プレート424と426により作製された、第一加速段を含む。追加の二つの加速段階は、一対の加速器プレート426A、426Bと426C、426Dにより作製されるものとして、図12に示されている。加速器プレート426は、図11に示した態様を参照として上記で述べられた材料より作製され、取り付けられている。
【0063】
加速器プレート424と426は、中心に設置された開孔460を含む。該開孔460は、底面組立てプレート422の中心に位置する開孔430、及び上面組立てプレート424の中心に位置する開孔436と同軸である。
加速器420又は420’に入るイオンは、まず加速器内で離間し、空間焦点化していい(”空間焦点化”とは、実質的に等質量イオンが、所定の時間で空間中の同一面に達することを意味する)。加速器420と420’は、イオンを空間焦点化する。加速器420と420’は、イオンの断片も含めて、速度選択器230により単離された全ての選択イオンが加速器内に存在するまでは、電圧をゼロに保つ。一段式態様においては、その後電圧を加速器プレート426に印加する。所定質量を有し、最初は加速器420の背後にいたイオンは、加速器の電場の内でより長く留まり、最初に前方にいた同一質量のイオンのものよりも、より運動エネルギーを得る。結局、一段式イオン源から発せられたイオンと同様に、空間焦点面においてイオンのエネルギーは焦点化する。多段式の態様においては、一式段の態様を参照として上記で述べた様に、イオンは各連続的な段階において加速される。
【0064】
一段式の態様において、加速器420の空間焦点長さf4は、出口グリッド437から面540までの距離である(図3参照)。エネルギー焦点化は、2dよりわずかに大きいf4の距離で起こり、ここでdはVaccelが10Vsourceより大きい時の加速器プレート426が上面組立てプレート424から離れている距離であり、Vaccelは加速器プレート426に印加した電圧であり、Vsourceはイオン源212を加速するのに使用された正味の電圧である。f4は内在的に質量依存量である。しかし、規定された電圧条件下では、1uからmの範囲内のイオン質量において、f4の変動は0.2f4以下であり、このときmは選択する前駆イオンの質量である。Vaccelと比較して、Vsourceが問題とならないという限られたケースにおいては(実際Vaccelが20Vsourceより大きい時に生じる)、加速器420に対するエネルギー焦点化条件は、WileyとMcLarenにより予測された、純粋に幾何学的な空間焦点化条件まで減少する、即ち質量に関係なく、f4は2dとなる。
【0065】
多段式態様においては、各加速段階の空間焦点長さは、一段式の態様を参照にして上記で述べた方法により決定される。任意の特定の段階における加速電圧とプレート間隙は、連続した加速段階における位置、加速電圧及びプレート間隙を、一段式の態様を参考にして上述したのと同様の方法により決定する。
図11に示す態様は、比較的大きな電圧、例えば約15000エレクトロンボルトを一度に切り換えて加速を誘起する2つのプレート電極424、426を含む。図11に示す2電極構造は、ほぼ一定の運動エネルギーと可変速度を有するイオンを産出する。
【0066】
加速器420によりイオン内に誘起した運動エネルギーの大きさは、装置の分解能(即ち、m/△m;△m/mで示される分解も同様である)と相関する。加速器420によりイオンに与えられた運動エネルギーが増加すると、装置の分解/分解能が増加する。これは、多段式加速器420’を用いて、達成することができる。加速段階の相対位置とプレート間隙に依存して、多段式加速器420’の各段階において、一段式加速器420により達成されるのと同じ加速を与えることができ、そのとき加速プレート426に印加された電圧は約15000ボルトである。この例で、加速器420の’の各段階は、プレート電極424と426に実質的に同等の電圧を印加する。或いはまた、加速段階の相対位置とプレート間隙を、プレート電極424と426に異なった電圧を印加することにより、図示の加速器420’の各段階を操作することができる。基本的には、各加速段階の幾何学的配列を、加速器420’の幾つかの段階が、プレート電極424、426に印加された同等の電圧を受けることができ、残りのものが異なった電圧を受けるようにアレンジすることができる。
【0067】
図3に戻って述べると、ドリフト領域490は加速器420の下流に位置している。リフレクトロン500はドリフト領域490の下流に位置している。リフレクトロン500は、一段式又は二段式の線型電場リフレクトロンとすることができる。当業者は、線型電場リフレクトロンの構造と操作を熟知している。リフレクトロン500は加速器420の空間焦点面540と一致する対象面を有する。
【0068】
生成イオン検出器510は、リフレクトロン500の上流に空間的に位置している。検出器510は、イオンがリフレクトロン500中を通過しても検出されないが、リフレクトロンを出た後で検出されるように配置される。検出器510は、リフレクトロン500に入るイオンと同軸とすることができ、この場合にはイオンがリフレクトロン500に導入することができる開孔を有し、リフレクトロンが出てくるイオンの方向を検出器の方に向ける。もう一つの方法として、検出器510を、リフレクトロン500に入るイオンの軸から離れて位置させて、イオンがリフレクトロンに入るにあたり検出器の側を通過し、リフレクトロンにより検出器の方に向けるようにすることができる。生成イオン検出器510は、TOF用に特に設計された、任意の検出器である。
【0069】
イオン検出器520を、リフレクトロン500の背後に位置させて、リフレクトロンにより反射されたイオンが、検出器520へ到達しないようにする;しかしながら、リフレクトロン500の上流の空間のどこかで準安定又は誘起された分解により生成した中性生成物は、検出器520により記録する。もしリフレクトロン500が作動していない場合は、検出器520は、中性子のみならず、イオン源212により検出器の方向に向けられたイオンを検出する。イオン検出器520は、TOF用に特に設計された、任意の検出器である。
装置の操作
【0070】
図3になお言及して、上述した装置210は、タンデムに設置したMS質量分析計及びMS質量分析計を含む。MS及びMSは、単独で操作して質量スペクトルを産出することができるか、或いは、それらをタンデムに操作して前駆イオンを選択し、その後、その前駆物質の生成イオンの質量スペクトルを産出することができる。最初の質量スペクトルは、通常、MS又はMSを用いて産出される。そのスペクトル内で特有のm/zで現れるいくつかの前駆イオンが、更なる調査のために選択される。即ち、その後、MS及びびMSをタンデムに使用してその調査を行う。
【0071】
MSを単独で質量分析計として操作するとき、空間焦点に対する焦点距離fが、イオン源212の出口格子218からイオン検出器520に位置する平面530までの距離に等しくなるように、E及びEを調節する。速度選択器230、解離セル410、加速器420、及びリフレクトロン500は、すべて電源を切る。どのような方法により生成されたイオンでも、イオン源212における第一の電場Eeによって、最初に取り出され、その後、第二の電場Eaによって加速される。複数のイオンは、それらが検出器520に向かって移動するとき、それらのm/zに依存して、複数のバンドに分かれる。これらのバンドを、平面530で集束し、検出器520によって検出して、質量スペクトルを産出する。
【0072】
MSを単独で操作するとき、空間焦点に対する焦点距離fが、イオン源212の出口格子218から加速器420及びリフレクトロン500の中間に位置する平面540までの距離に等しくなるように、E及びEを調節する。平面540もリフレクトロン500の対象面である。速度選択器230、解離セル410、及び加速器420は、電源を切る。どのような方法により生成されたイオンでも、イオン源212における第一の電場Eeによって最初に取り出され、その後、第二の電場Eaによって加速される。複数のイオンは、それらが平面540に向かって移動するとき、それらのm/zに依存して、複数のバンドに分かれる。これらバンドは、平面540で集束するが、該平面で検出されるというより、それらはリフレクトロン500へ進行する。これらイオンは、それらがリフレクトロン500に入ったとき、再度集束からはずれるが、リフレクトロンが検出器510上にイオンを再度集束し、ここで検出し質量スペクトルを産出する。
【0073】
MS単独又はMS単独での操作は、初期サンプルの質量スペクトルを産出する。その後、MS及びMSをタンデムに操作し、初期サンプルのイオンから選択された特有のm/zを持つ前駆イオンの質量スペクトルを産出する。空間焦点に対する焦点距離fが、イオン源212の出口格子218から速度選択器230の入口に位置する平面550までの距離に等しくなるように、E及びEを調節する。どのような方法により生成されたイオンでも、イオン源212における第一の電場Eeによって最初に取り出され、その後、第二の電場Eaによって加速される。これらイオンは、それらのm/zに依存して、それらが速度選択器230に向かって移動するとき、複数のバンドに分かれる。
【0074】
平面550で該イオンのバンドは、それらの間で大きく解離しない。しかしながら、速度選択器230は、たとえm/zバンド間の離間隔が小さくても、その迅速なスイッチング能力とその操作モードのために、特有のm/zを有する前駆イオンを選択できる。これは、操作の二重偏向モードか、単一偏向モードのいずれかの場合である。二重偏向モードの操作を初めに述べる。
【0075】
さて、図7及び8に言及すると、オンからオフへの第一のイオン偏向器の切り換え、又はオフからオンへの第二のイオン偏向器の切り換える際に、TTLトリガーパルスが、まずエントリーライン314を通じて回路に入る。IC1320、322は、TTLトリガーパルスを反転し、IC2328、330は、反転したIC1sの出力をもとの正のTTLパルスに切り替える。TTLパルスは、HVS332,334に達し、これらを閉じる。R1324、326は、IC1s及びIC2sとの間のTTLパルスの伝搬遅延に渡って細かい制御を行う。これは、偏向器ストリップ236の2つの交互配置した組に印加される別の電圧パルスの正確な同期化を可能とする。
【0076】
まず、第一偏向器232はオンであり、第二偏向器234はオフである。それゆえ、まず第一偏向器232が、イオンを飛行路から偏向する。さて、図13に言及すると、選択したイオンが近づくとき、第一偏向器232(図3参照)は、スイッチオフされて、第一偏向器電圧610は、隣接したストリップ236で+V及び−Vから0へ落ちる。時間Δt後、第二偏向器234(図3参照)を、スイッチオンして、第二偏向器電圧612は、隣接したストリップ236で0から+V及び−Vまで上昇する。
【0077】
単一偏向器又は二重偏向器ゲートの分解能は、次式に示すように、Vgateの大きさに直接比例する。
【数1】
Figure 0004540230
理論的に、Vgateは、できる限り大きくあるべきであるが、この理論考察に限度を超えない実用的な考察があるということになる。もしVgateが高すぎるなら、偏向器の入口及び出口側から広がる周辺領域は、偏向器の伝送及び分解能を減少させ始め、したがって、上式によって予想されるゲインを有効に打ち消す。より高い電圧は、それらを切り換えるのにより複雑で、高コストの回路を要求する。
【0078】
図14A〜14Cは、選択したイオン(m)620、mより小さいm/zを有するイオン(m-Δm)622、及びmより大きいm/zを有するイオン(m+Δm)への影響を図示する。第一偏向器電圧610を、0まで落す(図13参照) 間にm620は、第一偏向器232に到着し、計画路630(図14B)上に偏向され、該計画路は、第二偏向器234に向かい、その最初の飛行路から僅かに離れる。第二偏向器電圧612が+V及び−Vへ上昇したとき、m620は、第二偏向器234に達し、その以前の行路630(図14B)から離れて計画路632(図14C)上に偏向され、飛行軸211と平行ではあるが位置がずれて検出器510に向かう(図3参照)。
【0079】
第一偏向器電圧610が著しく落ちる(図13参照)前に、m-Δm622は、第一偏向器232に達し、計画路634上に偏向される(図14A参照)。第二偏向器電圧612が上昇する(図13参照)前に、m-Δm622は、第二偏向器234に達し、そして、実質的に行路634に沿って進行し、検出器510に到達しない(図3参照)。代わりに、選択m/zより小さいm/zを有するイオンは第一偏向器232によって偏向されるので、それは第二偏向器234でさえ通過しないか、第二偏向器電圧612が上昇し始めた(図13参照)後第二偏向器234に到達し、飛行軸211に向かって戻って偏向されるが、検出器510に達する程十分ではない。したがって、m-Δm622は、速度選択器230を超えて飛行軸211に沿って進行しない。
【0080】
m+Δm624は、電圧が落ちた後第一偏向器232に達し、第一偏向器によって、あったとしても少し偏向される。それゆえ、m+Δm624は、第二偏向器234に達するまで、行路636に沿って進行する(図14B)。m+Δm624は、第二偏向器電圧612が上昇した後(図13参照)、第二偏向器234に達し、第二偏向器234によって行路638(図14C)に沿って飛行軸211から離れて偏向される。
【0081】
イオンm620のイオン部分を各ゲートによってわずかに偏向するように、第一偏向器232と第二偏向器234の電圧を切り換えることにより、非常に小さい空間的範囲のイオンを、速度選択器230に向かって飛行する最初のイオンの組から選択することができる。小さい空間的範囲のイオンの選択は、より大きい空間的範囲のイオンを、第一偏向器232又は第二偏向器234によって偏向することなく速度選択器230を通じて進行可能とする場合より高い分解能(分解能は、m/Δmで定義される。但し、mは、選択イオンの質量であり、Δmは、速度選択器によって選択した質量、即ち検出器に到達した質量の範囲である。)に相当する。質量m620の第一偏向器232及び第二偏向器234からのネットインパルスは、もし、第一偏向器電圧610及び第二偏向器電圧612を、次式にしたがって切り換わるように時間を取れば、0となる。
【数2】
Figure 0004540230
式中、t1 st deflector(m)は、第一偏向器電圧610がスイッチオフするのに作動する時間であり、t(m)は、第一偏向器232への入口面と第二偏向器234の出口面との中間の正確な位置へのm620の飛行時間であり、Δtは、第一偏向器232をスイッチオフした時間と第二偏向器234をスイッチオンした時間との間の差であり(図13参照)、Δtは、各偏向器の切り換え時間である(図13参照)。t0(m)は、次式から近似的に見積もることができる。
【数3】
Figure 0004540230
式中、V(m) =(2qVsource/m) / は、速度選択器230によるイオンの速度であり(qはイオンの電荷であり、Vsourceは、イオン源212から出たイオンを加速するのに使用する全電圧である。)、Dは、イオン源212の出口格子218から第一偏向器232の入口面までの距離であり、lselector=lphysical +l fringeは、速度選択器230の有効的な長さであり、lphysicalは、速度選択器の物理的な長さであり、l fringeは、周辺電場により速度選択器に加えた長さであり、隣接するストリップ236間の距離xにおよそ等しい(図6参照)。イオンは、それらが検出器510に達する前にそれらが飛行路から完全にずれるほど大きいネットインパルスを受けない限り、あるネットインパルスを有し、かつ、なお検出することができる。
【0082】
同様の結果は、単一偏向モードで速度選択器230を操作することによって得ることができる。さて、図15に言及すると、偏向器232,234を切り換えたとき、最初の正の電圧ストリップ236の電圧710が反転し、同時に、最初の負の電圧ストリップ236の電圧712が反転する結果、最初に負の電圧ストリップだったストリップはその後正の電圧ストリップとなる。電圧710,712を、反転すると、各チャネル237内の電場の方向も反転する。切り換え時間を通して半分の時間714の点で、両方の電圧710、712は、0である。この時、各チャネル237内の電場は0である。イオンの組がゲートを通過したとき、質量mの選択イオンを導くイオンは、最初の電場によって偏向される。選択イオンが偏向器の入口面に達したとき、偏向器内の電場は、0よりわずかに大きくなり、選択イオンを僅かに偏向する。選択イオンが偏向器の末端の間の中間位置に達したとき、電場は0である(図15の714)。選択イオンが偏向器の出口面に達した時間によって、電場の方向が反転し、その大きさは0より再び大きくなるので、選択イオンが偏向器に入ったとき、それらの方向と反対の方向に僅かに偏向し、その最終的な行路は、それらの最初の行路から平行であるが、検出器510に向かって置き換わる(図3参照)。選択イオンに続いて複数のイオンが、反転した電場によって偏向される。偏向器から質量mの選択に対するネットインパルスは、もし偏向器が次式にしたがって切り換わるように時間を取れば0になる。
【数4】
Figure 0004540230
式中、tdeflector(m)は、偏向器電圧が反転するように作動する時間であり、t(m)は、前述した式で与えられ、Δtは、偏向器の切り換え時間である(図15参照)。
【0083】
単一偏向モードで操作されるイオン選択器は、二重偏向モードと同様の分解能を得ることができるが、時間窓は、それが二重偏向モードにおけるように、都合よく拡大したり縮小したりしない。しかしながら、単一偏向器選択器の構造は、第二偏向器を省略することができるので、二重偏向器選択器の構造と比較して簡素化することができる。
【0084】
速度選択器230は、イオン源212からの取り出し物を作動するパルスと切り換えを作動するTTLパルス間、即ち、二重偏向モードにおけるt st deflector(m)と単一偏向モードにおけるt deflector(m)との間の時間間隔を変えることにより調整し、それによって、選択したm/zを変える。速度選択器を単一偏向モードで操作するとき、偏向器の電圧の大きさを変えることによって、限られた質量範囲Δmに渡って選択窓を変えることができる。二重偏向モードにおいて、与えられたいかなるt st deflector(m)値に対して上式によって特定された値からの増加ΔtはΔmを増加し、それゆえ、その幾何学によって許容される最大値からこれまでの減少値へ分解能を拡大する。トリガー時間と選択窓Δmの大きさは、オシロスコープ スクリーン又はコンピューター モニター上のリアルタイムのスペクトルを見ながら調整するのが好ましい。
【0085】
図3に戻って言及すると、イオン(前駆イオン)の選択したイオン部分は、飛行路に沿って解離セル410に進み、ここで、必要により、それらの分画を誘起してより小さい断片イオンに解離することができる。その後、イオンは、非解離前駆イオン及び生成イオンの混合物として解離セルを離れ、加速器420に進行する。
【0086】
まず、加速器420において加速器プレート426に印加される電圧は、0である。一度全ての生成イオンがまさに加速器420内にくると、高い電圧(加速器電圧)が加速器プレート426に印加され、正のイオンに対してじゃ正の電圧を、また負のイオンに対して負の電圧を使用する。加速器プレート426と上部組立プレート424との間で生じた電場によって、イオンが加速される。加速器電圧は、イオン源212内の電圧より少なくとも10倍大きいので、加速器420を抜け出るいずれのイオンの90%以上の運動エネルギーは、質量に関係なく、イオン源よりむしろ加速器によるものである。
【0087】
加速器電圧はできる限り高いのが好ましく、イオン源電圧はできる限り低いのが好ましい。加速器電圧の現実的な上限は、約30kVである。なぜなら、一部は、この電圧で電圧破壊が広がり始め、また、一部は、30kV以上の電圧を処理し得るHVSが入手し得ないという理由からである。20nsで30kVを切り換えできる現在既知の入手可能な唯一のHVSは、Behlke HTS 301である。単に現行の部品の入手可能性のために、現行の作動する実施態様において、加速器電圧は15kV以下である。イオン源電圧は、良好な遅延した取り出し集束を得るのに十分に高くなければならない。MALDI源については、少なくとも1kVの電圧が要求される。それゆえ、現行の作動する実施態様において、約1kV〜約1.5kVまでのイオン源電圧、及び約10kV〜約15kVの加速器電圧を使用する。
【0088】
加速器420は、質量に依存した速度を有する選択集団のイオンを付与するので、これらは、加速器を出た後移動するときm/zバンドに空間的に解離する。さらに、選択集団のイオンは、加速器に進入したとき空間的に分離され、全てのイオンが加速器420内にあるまで加速器電圧を印加しないので、加速器は、イオンを空間焦点面540で集束する。空間焦点面540を、加速器の出口から2dより僅かに長い距離に設定する。平面540で検出されるよりむしろ、あたかも平面540で生じたように、イオンはリフレクトロン500に進行する。即ち、平面540は、リフレクトロン500の対象面となる。イオンは、リフレクトロン500を入ったとき再び集束から外れるが、リフレクトロンは、イオンを検出器510上に再度集束し、ここで、イオンを検出して、リフレクトロンの電圧を設定することなく、選択前駆イオン及び全ての生成イオンの完全な質量スペクトルを産出する。このタンデム操作によってトリプシンのペプチドの混合物から生じたMALDI質量スペクトルは、タンパク質をタンパク質かタンパク質内の修飾部位かを同定する目的のためにシークエンスすることを可能とする。
【0089】
本装置の使用方法
装置201を使用して質量スペクトルを産出する方法は、まずサンプルを調製することを含む。サンプルを調製する方法は、当業者にとって周知である。このような方法は、用いるイオン化法の特定のタイプ、分析すべきサンプルのタイプに依存して変更する。
種々のタイプのいかなるイオン化法を本発明に使用することができるが、調整とタイミングは、二段式MALDI源を有する上述の装置を参照して、ここで述べる。まず、イオン源212を設定し、速度選択器230の入口に位置する空間焦点面550で集束されるイオンを検出できるようにする。これは、検出器(図示せず)を速度選択器230の入口に一時的に設置するか、或いは、リフレクトロン500を、速度選択器の入口での対象面、及び検出器510の空間焦点面を有するように調節することのいずれかによって行うことができる。リフレクトロン500は、検出する前にイオンが質量依存バンドに解離するためにより長い飛行距離とエネルギー集束の利益を有するように使用することが好ましい。
【0090】
二段階イオン源212の空間焦点長は、第一(Ee)及び第二(Ea)電場の電圧、及びサンプルをイオン化するためのレーザー照射とEeの切り換えとの間の遅延時間τを調節することによって決定する。特有の質量mのイオンに対する電圧及びタイミングは、まず計算器やコンピュータを用いた数値解析を行い、以下のようなEa/Ee及びτの値を見出すことによって選択することができる。
【数5】
Figure 0004540230
式中、t(m+Δv, Ea/Ee, τ)は、Wiley and Mclarenによって与えられたように、イオン源から空間焦点面への距離fのイオンの全飛行時間であり、vは、イオンの平均初速度であり、Δvは、約半分の最大分配高さでの初速度の完全な分配幅である。MALDIについて、vは、典型的に約500m/sであり、Δvは、典型的に約400m/sである。遅延時間は、デジタル遅延発生器を用いて調節し、デジタル遅延発生器のクロックを、イオン化が始まることを示す信号(MALDIの場合、レーザビームの存在を示す信号)によってスタートする。限定されないが、本発明に使用するのに適当なデジタル遅延発生器の例は、Stanford Research Institute Model 535遅延発生器及びEG&G Instruments/PAR Model 9650デジタル遅延発生器を含む。その後、質量スペクトルを、検出器により産出し、コンピューター画面又はオシロスコープに表示する。このスペクトルを検討する間、電圧及び/又は遅延時間の割合を調節し、別のスペクトルを産出する。イオン源212に対する空間焦点面が速度選択器230の入口に位置することを示して、所定のイオン化条件下で可能な、最も高い分解能の質量スペクトルがディスプレイ上に現れるまで、この繰り返しの経験的手順を続ける。
【0091】
この最初の手順によって産出された質量スペクトルに基づき、又は以前に産出された質量スペクトルの分析に基づき、選択m/z比を有するイオンのイオン部分をタンデム分析のために選択する。速度選択器230を調節して、これらの選択イオンが下流に位置する検出器を通過可能とする。そうする際に、リフレクトロン500が速度選択器230の入口と一致する対象面及び検出器510の空間焦点面を有するように装置を設定すべきである。これは、自動的には、もしリフレクトロンを前述した2段落で述べたように最初の調整工程において使用する場合である。
【0092】
単一偏向モード又は二重偏向 モードのどちらかで操作する速度選択器230に対して可能な最大分解能(m/Δm)は、およそ次式によって与えられる。
【数6】
Figure 0004540230
式中、mは、選択すべき質量であり、Δmは、選択すべき最も大きい質量と最も小さい質量との差であり、Dは、イオン源212の出口と速度選択器230の入口との間の距離であり、Dは、速度選択器230の中心と検出器510との間の有効な飛行距離であり、xは、速度選択器における隣接ストリップ間の距離であり、Reffは、検出器510の有効な半径で、検出器の活性領域及び検出器表面のイオンビームの予測領域の半径の合計におよそ等しく、Vgateは、速度選択器230のストリップ236に印加した電圧の大きさであり、Vsourceは、イオン源212において使用した全電圧である。したがって、Vgateが増加するにつれて、可能な分解能も増加する。他の要因が伴わないなら、できる限り大きくVgataを作るためにこれをグランドとする。しかしながら、Vgataは一般的に度を越えない値に保持しなければならないことを意味することを考慮すると、実用的な考察がある。もしVgataが高すぎるなら、偏向器の入口及び出口側から広がる周辺電場が、偏向器の伝送及び分解能を低下させ始め、それゆえ、上式で予想されるゲインは効果的に打ち消す。より高い電圧は、それらを切り換えるのにより複雑でより高コストの回路を要求する。実施態様において、m = 6,000Da及び Vsource=10kVに対して約5,200の分解能を達成するのに450Vに等しいVgataを設定する必要が唯一あった。Vsourceに対してより低い値を使用することは、同じ性能を達成するために相対してより低いVgata値を必要とする(上式参照)。
【0093】
単一の偏向モードにおいて速度選択器230に対する時間を設定するとき、イオン源212の取り出し電場Eをスイッチオンするためのトリガーと、速度選択器230における電場をそれ自体反転するためのトリガーと間の時間tdeflectorは、選択すべき質量を決定する。tdeflectorの初期値を設定する際に、上式を使用することができる。初期値を設定して質量スペクトルを産出した後、tdeflectorを調節して別の質量スペクトルを産出する。この繰り返しの経験的手順を所望のイオンが選択されるまで続ける。単一の偏向器操作に対する質量窓Δmを、限られた範囲に渡って上式に従いVgataを調節することによって変えることができることは注目すべきである。それゆえ、使用者は、Vgataをまず低くして、より大きい範囲の質量を検出するようにする。このようにして、使用者は、どのくらいtdeflectorを増加させ又は減少させるかをより容易に決定することができる。一度tdeflectorが所望の値(使用者は、所望のm/zをゲートを通過可能な質量の中心で読むことによりこれを理解できるであろう。)に非常に近づくと、Vgataを増加してより大きい分解能を産出することができる。
【0094】
もし速度選択器を二重偏向モードで操作するなら、イオン源212の取出電場Eをスイッチオンするためのトリガーと、第一イオン偏向器における電場をスイッチオフするためのトリガーとの間の時間t st deflectorは、選択するべき質量mを決定する。上式を使用して、t st deflectorの初期値を選ぶことができる。しかしながら、このモードにおいて、Δtを、変えて分解能を許容される最大値(上式参照)からこれまでの減少値まで変化させることができ、Δtが増加すると、Δmが増える。したがって、二重偏向モードで操作するとき、速度選択器のタイミングを調節する際に、まず、t st deflectorは、高い値に設定されたΔtで上式を用いて設定し、これにより質量スペクトルを産出する。その後、所望のm/zイオンが速度選択器230を通過して許容される質量範囲の中心に向かうようにt st deflectorを調節し、かつΔtを減少させて速度選択器を通過できるイオンのm/z範囲を減少する。その後、別の質量スペクトルを産出する。t st deflectorの調節とΔtの減少というこの経験的な手順を、所望のm/zを有するイオンのみが速度選択器230を通過可能となるまで続ける。
【0095】
次に、加速器420を使用する際の準備において、リフレクトロン500の電圧を増加させて、リフレクトロンの対象面を平面540での加速器の空間焦点面と一致させて、リフレクトロンの空間焦点面を検出器510と一致させるようにする。加速器420の電圧Vaccelを、イオン源212の全電圧Vsourceの少なくとも10倍となるように設定する。VaccelがVsourceより少なくとも10倍以上のとき、加速器の焦点長fは2dより僅かに大きくなり、dは加速器の電場を横切る距離 (即ち、加速器プレート426と上部組立プレート424との間の距離。図11参照。) である。イオン源212における取出し電場の電源の入力と加速器420の電場の電源の入力との間の遅延時間tacceleratorの初期値は、次式から計算することができる。
【数7】
Figure 0004540230
式中、D1は、イオン源212の出口格子218から速度選択器230の入口面まで距離であり、Dは、速度選択器230の全平面から加速器420の加速器プレート426までの距離であり、v(m)=(2qVsource/m)1/2は、イオンが加速器420に入るときの速度である(qは、イオンによって運ばれる電荷であり、Vsourceは、イオン源212を離れたイオンを加速するのに必要な全電圧である)。tacceleratorを設定すると、質量スペクトルを検出器510で産出する。遅延時間を調節して質量スペクトルを産出するという繰り返しを、tacceleratorのための設定が、すべての選択イオンが加速器420の電場内にあり、選択イオン集団の完全な集束質量スペクトルを産出するまで、行う。この反復手順中に、リフレクトロン500における電圧も調節してリフレクトロン500の対象面を、加速器420の空間焦点面とをより正確に一致するように、移動させることができる。
【0096】
その後、所要に応じて、衝突セル410の電源を入れ、増加した生成イオン信号強度を有する質量スペクトルか、前駆物質からの大量のプロダクトピークを含む質量スペクトルを産出する。
【0097】
ここで述べる全遅延時間は、デジタル遅延発生器によって設定される。限定されないが、適当なデジタル遅延発生器の例は、Stanford Research Institute Model 535遅延発生器及びEG&G Instruments/PAR Model 9650デジタル遅延発生器である。
【0098】
実施例1:プロトン化した物質P
イオン源、イオン源の下流の速度選択器、速度選択器の下流のリフレクトロン、及びリフレクトロンの下流の検出器を含む装置を使用して分析を行った。
【0099】
二段式、遅延取出MALDI源を、イオンの産出に使用した。取出領域(第一段階)を横切る飛行距離は、11.5mmであり、加速領域(第二段階)を横切る飛行距離は、9.5mmであった。
【0100】
速度選択器は、第一偏向器及び第一偏向器の下流の第二の偏向器を含み、各偏向器は電極として20個の平行なストリップを含んでいた。第一偏向器の全平面を、イオン源の第二段階の出口平面の下流で200mmとした。隣接するストリップの中心間の距離を1.0mmとし、各ストリップの幅(飛行方向に対して平行)を1.27mmとし、各ストリップの長さ(飛行方向に対して垂直)を15mmとし、各ストリップの厚さ(飛行方向に対して垂直)を0.09mmとした。第一偏向器におけるストリップの中心と第二偏向器におけるストリップの中心との間の距離を10.0mmとした。
【0101】
リフレクトロンの入口は、速度選択器における第一偏向器の入口の下流で739mmとして、リフレクトロンの対象面を速度選択器の入口平面と一致するようにし、検出器はリフレクトロンの空間焦点面でリフレクトロン出口下流の440mmにある。リフレクトロンは、長さ300mmであり、12.77kVの電圧を有する一段式線形電場リフレクトロンである。この電圧、及び実施例2で述べる電圧を単独で使用してイオン検出を可能とする。1〜1.5kVでの操作は、この実施態様でなされるような次の加速なしに検出することは不可能である。
【0102】
プロトン化した物質P(m/z1,348.6)に対して装置を使用する際には、速度選択器の各ゲートに対する切り換え時間を19nsであり、約710の分解能(〜3.7nsの時間窓に相当する)を単一の偏向モード(Vsource=10.073kV、Vgata=250V)で達成し、約1,100の分解能(〜2.3nsの時間窓に相当する)を二重偏向モード(Vsource=10.8kV、Vgata=425V)で達成する。
【0103】
実施例2 PEG6000
【0104】
上述したように装置を使用して、PEG6000のオリゴマーを約6000のm/zで分析した。イオン源の第二段階の出口と速度選択器の入口との距離を、200mmではなく900mmに設定し上式にしたがって分解能を上げて、かつ、リフレクトロン電圧を12.77kVではなく10.678kVに設定して偏向した質量スペクトルの分解能を改善した。約5,200の分解能(〜4.8nsの時間窓に相当する)を、二重偏向モード(Vsource=10.04kV、Vgata=450V)で達成した。
【0105】
上述した好ましい実施例の構造及び操作の種々の特徴は有利である。具体的に、速度選択器230におけるストリップ236の幅は、それらが飛行路に沿ったかなりの距離を伸ばす電場を作ることを可能にしてその結果、通過するイオンに印加するインパルスがそれらを検出器から偏向するのに十分なものとなる。しかしながら、ストリップ236は、それらがかなりの障害物を作ることなく飛行路を横切って離間するほど十分に薄いものである。さらに、ストリップは小さいキャパシタンスを有する小さい領域を持つので、短い切り換え時間を可能とする。さらに、衝突セル410後の加速器420の配置は、加速器が生成イオンに質量依存速度を与え、同時にイオンを共通の空間焦点面に集束することを可能とするので、それらを、イオン偏向電圧の設定を経ることなく単一の質量スペクトルで記録することができる。
【0106】
本発明を具体的な実施例を参照して記載したが、ここで述べた取り決め及び詳細を本発明の要旨及び範囲を逸脱することなく変更することが可能であることは、当業者にとって明白である。したがって、前述の特許請求の範囲の要旨及び範囲内にある当該全ての変更は、それにすべて同意義であることを要求する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の飛行時間質量分析計を示す、ブロック図である。
【図2】 本発明に係るタンデム飛行時間質量分析計を示す、ブロック図である。
【図3】 本発明のタンデム飛行時間質量分析計の模式図である。
【図4】 本発明の速度選択器の分解斜視図である。
【図5】 図4の速度選択器の側面図である。
【図6】 図4の速度選択器の正面図である。
【図7】 速度選択器を二重偏向モードで操作した場合の、本発明の速度選択器の第一イオン偏向器用回路の模式図である。
【図8】 速度選択器を二重偏向モードで操作した場合の、本発明の速度選択器の第二イオン偏向器用回路の模式図である。
【図9】 速度選択器を単一偏向モードで操作した場合の、本発明の速度選択器の単一イオン偏向器用回路用模式図である。
【図10】 本発明の後速度選択イオン加速器の斜視図である。
【図11】 図10の線11−11に沿った断面図である。
【図12】 複数のイオン加速段階を有するイオン加速器の一例の断面図である。
【図13】 本発明の二重偏向モードにより速度選択器を操作している間の、第一イオン偏向電圧と第二イオン偏向電圧を時間の関数としてプロットしたものである。
【図14A】 本発明の速度選択器の第一イオン偏向器に近づく異なった質量の3つのイオンを示す模式図である。
【図14B】 遅延イオンが第一偏向器を通過する際の3つのイオンを示す、図14Aと類似した模式図である。
【図14C】 遅延イオンが第二偏向器を通過する際の3つのイオンを示す、図14Bと類似した模式図である。
【図15】 本発明の単一偏向モードで速度選択器を操作している間の、イオン偏向電圧を時間の関数としてのプロットしたものである。
【図16】 本発明の作用態様による、加速器の回路の模式図である。

Claims (70)

  1. 速度選択器を含み、選択されるイオンが選択器を通って進む間に、該速度選択器は印加した電場の方向を実質的に完全に反転させることにより作動する飛行時間質量分析計であって、
    前記速度選択器は第一イオン偏向器と直列に第二イオン偏向器を含み、
    各イオン偏向器は複数の導電性ストリップを含み、
    複数のストリップは、正電圧源と負電圧源とに交互に接続し、且つ、複数のチャネルを画定し、
    チャネルは、それぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにする、飛行時間質量分析計。
  2. 前記速度選択器が飛行路を画定し、かつ前記ストリップが互いに平行であり、かつ該飛行路に平行であり、該ストリップが第一イオン偏向器および第二イオン偏向器において飛行路を複数のチャネルに分離する、請求項1に記載の質量分析計。
  3. パルス化線形加速器を更に含む、請求項1に記載の質量分析計。
  4. 前記パルス化線形加速器が複数の加速段階を有する、請求項3に記載の質量分析計。
  5. 飛行時間質量分析計であって、該分析計が、
    イオン源、
    該イオン源の下流の速度選択器であって、該速度選択器は選択されるイオンが選択器を通って進む間に印加した電場の方向を実質的に完全に反転させることにより作動し、第一イオン偏向器と直列に第二イオン偏向器を含み、各イオン偏向器は複数の導電性ストリップを含み、複数のストリップは、正電圧源と負電圧源とに交互に接続し且つ複数のチャネルを画定し、チャネルは、それぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにする、速度選択器、
    該速度選択器の下流の解離セル、
    該解離セルの下流のパルス化線形イオン加速器であって、初期速度方向に移動するイオンを受け、かつ該イオンを初期速度方向に加速することの出来る加速器、
    該パルス化線形イオン加速器の下流のリフレクトロン、および
    該リフレクトロンにより反射されたイオンを検出する検出器、を含む飛行時間質量分析計。
  6. 前記速度選択器が飛行路を画定し、かつ前記ストリップが互いに平行でありかつ該飛行路に平行であり、該ストリップが第一イオン偏向器および第二イオン偏向器において飛行路を複数のチャネルに分離する、請求項5に記載の質量分析計。
  7. 前記加速器が、第一電極および該第一電極の下流の第二電極を含む、請求項5に記載の質量分析計。
  8. 前記加速器が、第一電極および該第一電極の下流の複数の電極を含む、請求項5に記載の質量分析計。
  9. 前記第一電極が質量分析計の光軸と同軸の第一開口を画定する第一プレートを含み、かつ第二電極が該第一開口と同軸の開口を画定する第二プレートを含む、請求項7に記載の質量分析計。
  10. 前記第一電極が質量分析計の光軸と同軸の開口を画定する第一プレートを含み、かつ連続した電極の各々が第一プレートの開口と同軸の開口を画定するプレートを含む、請求項8に記載の質量分析計。
  11. 前記リフレクトロンが、複数の一段式線形電場リフレクトロン、複数の一段式非線形電場リフレクトロン、複数の二段式線形電場リフレクトロンおよび複数の二段式非線形電場リフレクトロンからなるリフレクトロンの群より選択された、請求項5に記載の質量分析計。
  12. 前記イオン源が、イオンを空間焦点面に集束させることの出来る、請求項5に記載の質量分析計。
  13. 前記イオン源を調節して前記空間焦点面の位置を動かすことの出来る、請求項12に記載の質量分析計。
  14. 前記イオン源が二段式イオン源を含む、請求項13に記載の質量分析計。
  15. 飛行時間質量分析計であって、該分析計が、
    イオンを第一空間焦点面に集束することの出来るイオン源、
    該イオン源の下流の速度選択器であって、第一空間焦点面に入口を有し、選択されるイオンが選択器を通って進む間に印加した電場の方向を実質的に完全に反転させることにより作動し、第一イオン偏向器と直列に第二イオン偏向器を含み、各イオン偏向器は複数の導電性ストリップを含み、複数のストリップは、正電圧源と負電圧源とに交互に接続し且つ複数のチャネルを画定し、チャネルは、それぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにする、速度選択器、
    該速度選択器の下流の解離セル、
    該解離セルの下流のイオン加速器であって、該加速器が複数の電極を含み、各電極が初期には機器接地電位にあり、電極の各々が開口を画定し、かつ該開口群が加速器を通過する線形飛行路を画定し、該加速器によりイオンを第二空間焦点面に集束することのできる、イオン加速器、
    該イオン加速器の下流のリフレクトロンであって、第二空間焦点面に位置する対象面を画定し、イオンを第三空間焦点面に集めることの出来るリフレクトロン、および、
    第三空間焦点面に位置するイオン検出器、を含む飛行時間質量分析計。
  16. 前記イオン源が二段式イオン源である、請求項15に記載の質量分析計。
  17. 前記リフレクトロンが、一段式線形電場リフレクトロン、一段式非線形電場リフレクトロン、二段式線形電場リフレクトロンおよび二段式非線形電場リフレクトロンからなるリフレクトロンの群より選択された、請求項15に記載の質量分析計。
  18. 前記検出器が、イオンがリフレクトロンに入る際にイオンが通過する開口を画定し、かつ該リフレクトロンがイオンを反射して開口方向へ戻す、請求項15に記載の質量分析計。
  19. 質量分析計であって、該分析計が、
    イオン源、
    該イオン源の下流の速度選択器であって、選択されるイオンが選択器を通って進む間に印加した電場の方向を実質的に完全に反転させることにより作動し、第一イオン偏向器および第二イオン偏向器を含み、該第一イオン偏向器が複数のチャネルを画定する複数の導電性ストリップを含み、該ストリップが第一正電圧源に接続された交番正電圧ストリップおよび第一負電圧源に接続された交番負電圧ストリップを含み、ここでチャネルはそれぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにし、該第一イオン偏向器と直列の該第二イオン偏向器が、複数のチャネルを画定する複数の導電性ストリップを含み、該ストリップが第二正電圧源に接続された交番正電圧ストリップおよび第二負電圧源に接続された交番負電圧ストリップを含み、ここでチャネルはそれぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにする、速度選択器、
    該速度選択器の下流の解離セル、
    該解離セルの下流のリフレクトロン、および
    該リフレクトロンにより反射されたイオンを検出するように配置された第一イオン検出器、を含む質量分析計。
  20. 前記イオン源が、イオンを第一空間焦点面に集束することが出来る、請求項19に記載の質量分析計。
  21. 前記第一空間焦点面が、速度選択器の第一イオン偏向器に配置されている、請求項20に記載の質量分析計。
  22. リフレクトロンで反射されないイオンおよび中性分子を検出するために配置された第二検出器を含み、前記第一空間焦点面を第二検出器に配置した、請求項20に記載の質量分析計。
  23. 前記リフレクトロンが対象面を画定し、かつ前記第一空間焦点面を該対象面に配置した、請求項20に記載の質量分析計。
  24. 前記解離セルの下流で、かつ前記リフレクトロンの上流にあるイオン加速器を含み、該加速器が複数の電極を含み、各電極が開口を画定する、請求項19に記載の質量分析計。
  25. 前記加速器が、イオンを第二空間焦点面に集束することが出来る、請求項24に記載の質量分析計。
  26. 前記リフレクトロンが対象面を画定し、かつ第二空間焦点面を対象面に配置した、請求項25に記載の質量分析計。
  27. 質量分析計であって、該分析計が、
    イオンを第一空間焦点面に集束することが出来るイオン源、
    該イオン源の下流の速度選択器であって、選択されるイオンが選択器を通って進む間に印加した電場の方向を実質的に完全に反転させることにより作動し、第一空間焦点面に位置した入口を有し、かつ第一イオン偏向器および第二イオン偏向器を含み、該第一イオン偏向器が複数のチャネルを画定する複数の導電性ストリップを含み、該ストリップが第一正電圧源に接続された交番正電圧ストリップおよび第一負電圧源に接続された交番負電圧ストリップを含み、ここでチャネルはそれぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにし、該第一イオン偏向器と直列な該第二イオン偏向器が複数のチャネルを画定する複数の導電性ストリップを含み、該ストリップが第二正電圧源に接続された交番正電圧ストリップおよび第二負電圧源に接続された交番負電圧ストリップを含み、ここでチャネルはそれぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにする、速度選択器、
    該速度選択器の下流の解離セル、
    該解離セルの下流のイオン加速器で、該加速器が複数の電極を含み、各電極が初期には機器接地電位にあり、電極の各々が開口を画定し、かつ該開口群が加速器を通過する飛行路を画定し、該加速器がイオンを第二空間焦点面に集束することが出来る、イオン加速器、
    該イオン加速器の下流のリフレクトロンであって、該リフレクトロンが第二空間焦点面に配置された対象面を画定し、かつイオンを第三空間焦点面に集束することも出来る、リフレクトロン、および
    第三空間焦点面に配置されたイオン検出器、を含む質量分析計。
  28. 速度選択器であって、該速度選択器は、選択されるイオンが選択器を通って進む間に印加した電場の方向を実質的に完全に反転させることにより作動し、
    複数の第一チャネルを画定する複数の導電性第一ストリップを含む第一イオン偏向器であって、該第一ストリップが第一正電圧源に接続された交番正電圧第一ストリップおよび第一負電圧源に接続された交番負電圧第一ストリップを含み、ここでチャネルはそれぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにする、第一イオン偏向器、ならびに
    第一イオン偏向器と直列の第二イオン偏向器であって、該第二イオン偏向器が複数の第二チャネルを画定する複数の導電性第二ストリップを含み、該第二ストリップが第二正電圧源に接続された交番正電圧第二ストリップおよび第二負電圧源に接続された交番負電圧第二ストリップを含み、ここでチャネルはそれぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにする、第二イオン偏向器、を含む速度選択器。
  29. 選択されるイオンが選択器を通って進む間に、印加した電場の方向を実質的に完全に反転させることにより作動し、第一イオン偏向器と直列に第二イオン偏向器を含み、各イオン偏向器は複数の導電性ストリップを含み、複数のストリップは、正電圧源と負電圧源とに交互に接続し、且つ、複数のチャネルを画定し、チャネルは、それぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにした速度選択器を組み込んだ飛行時間質量分析計の使用方法であって、該方法が、
    物質をイオン化して、十分小さな空間の体積に制限され、かつ十分短い時間間隔に制限された一組のイオンを発生させ、後に続く空間でイオンの組を集束できるようにし、
    該イオンの組を加速して、イオンの組中の各イオンの速度がイオンの質量に対応するようにし、
    該イオンの組を飛行路に沿って移動させ、イオンの組中の異なる速度を持ったイオンを飛行路に沿って空間的に分離させ、
    選択したイオン部分を除いた全ての該イオンを飛行路から偏向させ、該イオン部分が選択した速度範囲にあり、ここで、偏向させることが、前記イオン部分が第一イオン偏向器に近づくまで第一イオン偏向器に電圧を印加して、イオンの組からイオン部分の前にいるイオンを偏向して飛行路から外し、第一イオン偏向器の電圧を減少して、イオン部分を第一イオン偏向器に通過させるようにし、および第一イオン偏向器の下流に配置された第二イオン偏向器の電圧を増加して、イオン部分が該第二イオン偏向器を通過している間にイオン部分を飛行路に沿って偏向して戻し、一方イオン部分の後にいるイオンを偏向して飛行路から外すことを含み、
    該イオン部分の一部の解離を誘起し、
    該イオン部分を飛行路に沿って直線的に加速して、イオン部分の各イオンの速度がイオンの質量に対応するようにし、
    該イオン部分を飛行路に沿って移動させ、異なる速度を持ったイオンを飛行路に沿って空間的に分離させ、および
    飛行路に沿った位置で該イオン部分を検出すること、を含む方法。
  30. 時間間隔が10ナノ秒よりも小さい、請求項29に記載の方法。
  31. 時間間隔が1ナノ秒乃至10ナノ秒である、請求項29に記載の方法。
  32. 空間の体積が、直径10μm乃至200μm、長さ1nm乃至10nmである、請求項29に記載の方法。
  33. 一組のイオンの加速が、物質からイオンの組を発生および取出し、該イオンの組を第一電場に通過させ、かつイオンの組を第二電場に通過させることを含む、請求項29に記載の方法。
  34. 第二電場が第一電場より小さい、等しい、またはより大きい、請求項33に記載の方法。
  35. 前記イオンの組の実質的に全部が第一電場領域に存在する間は第一電場をオフに維持しておき、次いで第一電場の電源をオンとする、請求項34に記載の方法。
  36. 前記イオン部分の加速がイオン部分を電場に通過させることを含む、請求項29に記載の方法。
  37. 前記イオン部分の実質的に全部が電場領域にある間は電場をオフに維持しておき、次いで電場の電源をオンとする、請求項36に記載の方法。
  38. 前記イオン部分が加速の前に初期速度方向を有しており、イオン部分の加速が、該初期速度方向と実質的に同じ方向にイオン部分を加速することを含む、請求項29に記載の方法。
  39. 選択したイオン部分を偏向させる前にイオンの組を第一空間焦点面に集束させることを更に含む、請求項29に記載の方法。
  40. 偏向がイオンを第一空間焦点面で偏向させることを含む、請求項39に記載の方法。
  41. 前記イオン部分を検出する前にイオンの組を第二空間焦点面に集束させることを更に含む、請求項29に記載の方法。
  42. 検出が第二空間焦点面でイオン部分を検出することを含む、請求項41に記載の方法。
  43. 選択されるイオンが選択器を通って進む間に、印加した電場の方向を実質的に完全に反転させることにより作動し、第一イオン偏向器と直列に第二イオン偏向器を含み、各イオン偏向器は複数の導電性ストリップを含み、複数のストリップは、正電圧源と負電圧源とに交互に接続し、且つ、複数のチャネルを画定し、チャネルは、それぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにした速度選択器を組み込んだ飛行時間質量分析計の使用方法であって、該方法が、
    物質をイオン化して、第一方向に速度を有し、かつ第一方向に直交する第二方向に幅を有する、パルス化した、または連続したイオンのビームを発生させ、
    第一方向のイオンのビームを二段式イオン取出し源の取出し領域に注入し、
    該ビームのうち、短い時間間隔に制限されたイオンの組を第一方向と直交する第二方向に加速して、イオンの組の各イオンの速度がイオンの質量に対応するようにし、
    該イオンの組を飛行路に沿って移動させ、イオンの組の異なる速度を持ったイオンを飛行路に沿って空間的に分離させ、
    選択した速度の範囲を有するイオン部分を除いたイオンの組の全てを前記第二方向から偏向させ、ここで、偏向させることが、飛行路に沿って配置された第一イオン偏向器に電圧を印加して、第一イオン偏向器を通過するイオンを飛行路を外れた第三方向に偏向させ、前記イオン部分が通過するのに同期して第一イオン偏向器に印加した電圧の電源をオフにし、イオン部分が先行したイオンよりも第三方向により少なく偏向するようにし、該イオン部分の通過に同期して、第一イオン偏向器の下流に配置された第二イオン偏向器に電圧を印加し、第二イオン偏向器を通過するイオンを第二方向へ偏向させ、イオン部分を偏向して飛行路に沿って戻し、かつイオン部分に続くイオンが偏向して飛行路から外れるようにし、そして、第二イオン偏向器に印加した電圧を維持して、イオン部分に続くイオンが偏向して飛行路を外れるようにすることを含み、
    該イオン部分の一部の解離を誘起し、
    該イオン部分を加速し、イオン部分の各イオンの速度がイオンの質量に対応するようにし、
    該イオン部分を空間焦点面に集束させ、および
    イオンを空間焦点面で検出することを含む、方法。
  44. 前記イオンの組の加速が、イオンの組を前記第二方向で第一電場に通過させ、かつイオンの組を前記第二方向で第二電場に通過させることを含む、請求項43に記載の方法。
  45. 第二電場が第一電場より小さい、等しい、またはより大きい、請求項44に記載の方法。
  46. 前記イオンの組の実質的に全部が第一電場領域にある間は第一電場をオフにし、次いで第一電場の電源をオンとする、請求項44に記載の方法。
  47. 前記イオン部分の加速が、イオン部分を電場に通過させ、イオン部分の実質的に全部が電場領域にある間は電場をオフに維持しておき、次いで電場の電源をオンとすることを含む、請求項43に記載の方法。
  48. 前記イオン部分が加速の前に初期速度方向を有しており、イオン部分の加速が、該初期速度方向と実質的に同じ方向にイオン部分を加速することを含む、請求項47に記載の方法。
  49. イオンを偏向させる前にイオンの組を第一空間焦点面に集束させることを更に含む、請求項43に記載の方法。
  50. 偏向がイオンを第一空間焦点面で偏向することを含む、請求項49に記載の方法。
  51. イオンを検出する前に第二空間焦点面にイオンの組を集束することを更に含む、請求項43に記載の方法。
  52. イオンの検出がイオン部分を第二空間焦点面で検出することを含む、請求項51に記載の方法。
  53. 第一空間焦点面が第一イオン偏向器にある、請求項49に記載の方法。
  54. 選択されるイオンが選択器を通って進む間に、印加した電場の方向を実質的に完全に反転させることにより作動し、第一イオン偏向器と直列に第二イオン偏向器を含み、各イオン偏向器は複数の導電性ストリップを含み、複数のストリップは、正電圧源と負電圧源とに交互に接続し、且つ、複数のチャネルを画定し、チャネルは、それぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにした速度選択器を組み込んだ飛行時間質量分析計の使用方法であって、該方法が、
    物質をイオン化して、第一方向に速度を有し、かつ第一方向に直交する第二方向に幅を有する、パルス化した、または連続したイオンのビームを発生させ、
    第一方向のイオンのビームを二段式イオン取出し源の取出し領域に注入し、
    該ビームのうち、短い時間間隔に制限されたイオンの組を第一方向と直交する第二方向に加速して、イオンの組の各イオンの速度がイオンの質量に対応するようにし、
    イオンの組を飛行路に沿って移動させ、異なる速度を持ったイオンの組のイオンを飛行路に沿って空間的に分離させ、
    選択した速度の範囲を有するイオン部分を除いたイオンの組の全てを飛行路から偏向させ、ここで、偏向させることが、前記イオン部分が第一イオン偏向器に近づくまで飛行路に沿って配置された第一イオン偏向器に電圧を印加して、イオンの組からイオン部分の前にいるイオンを偏向して飛行路から外し、第一イオン偏向器の電圧を減少して、イオン部分を第一イオン偏向器に通過させるようにし、および第一イオン偏向器の下流に配置された第二イオン偏向器の電圧を増加して、イオン部分が飛行路に沿って進むようにするが、イオン部分の後にいるイオンの組のイオンを偏向させることを含み、
    イオン部分の一部の解離を誘起し、
    イオン部分を飛行路に沿って直線的に加速し、イオン部分の各イオンの速度がイオンの質量に対応するようにし、
    イオン部分を飛行路に沿って移動させ、異なる速度を持ったイオンを飛行路に沿って分離させ、および、
    飛行路に沿った位置でイオン部分を検出することを含む、方法。
  55. イオンの組の加速が、イオンの組を第一電場を第二方向に通過させ、かつイオンの組を第二電場を第二方向に通過させることを含む、請求項54に記載の方法。
  56. 第二電場が第一電場より小さい、等しい、またはより大きい、請求項55に記載の方法。
  57. 前記イオンのビームが第一電場領域に入る間は第一電場をオフに維持しておき、次いで第一電場の電源をオンとする、請求項55に記載の方法。
  58. 前記イオン部分の加速が、イオン部分を電場を通過させ、イオン部分の実質的に全部が電場領域にある間は電場をオフに維持しておき、次いで電場の電源をオンとすることを含む、請求項54に記載の方法。
  59. 前記イオン部分の加速が、連続する複数の電場にイオン部分を通して加速し、前の電場領域から出てきた実質的に全てのイオン部分が次の電場領域にある間は連続した電場の各々をオフに維持しておき、その後に次の電場の電源をオンとすることを含む、請求項58に記載の方法。
  60. 前記イオン部分の加速工程の前に、イオン部分が初期速度方向を有しており、イオン部分の加速が実質的に該初期速度方向にイオン部分を加速することを含む、請求項54に記載の方法。
  61. イオンを第一空間焦点面で偏向する前に前記イオンの組を第一空間焦点面に集束することを更に含む、請求項55に記載の方法。
  62. イオンを検出する前に、前記イオンの組を第二空間焦点面に集束することを更に含む、請求項55に記載の方法。
  63. 前記イオン部分の加速が、連続する複数の電場にイオン部分を通して加速し、前の電場領域から出てきた実質的に全てのイオン部分が次の電場領域にある間は連続した電場の各々をオフに維持しておき、その後に次の電場の電源をオンとすることを含む、請求項54に記載の方法。
  64. 第一イオン源を更に含む、請求項1に記載の質量分析計。
  65. 前記第一イオン源が二段式イオン源を含む請求項64に記載の質量分析計。
  66. 前記加速器が、第三電極および該第三電極の下流の少なくとも一つの追加の電極を含む請求項7に記載の質量分析計。
  67. 前記第三電極が、質量分析計の光軸と同軸の開口を画定する第一プレートを含み、かつ連続した電極の各々が該第一プレートの開口と同軸の開口を画定するプレートを含む、請求項66に記載の質量分析計。
  68. 前記第三および追加の電極の各々が初期には機器接地電位にあり、かつ各同軸開口が加速器を通過する線形飛行路を画定する請求項67に記載の質量分析計。
  69. 前記速度選択器の下流の第二飛行時間質量分析計を更に含む請求項1に記載の質量分析計。
  70. 選択されるイオンが選択器を通って進む間に印加した電場の方向を実質的に完全に反転させることにより作動する速度選択器を含む飛行時間質量分析計であって、
    前記速度選択器は複数の導電性ストリップを含むイオン偏向器を含み、
    前記複数のストリップは、正電圧源と負電圧源とに交互に接続し、且つ、複数のチャネルを画定し、
    チャネルは、それぞれ隣接したストリップの中間に画定されて当該チャネル中に電場を形成し得るようにする、飛行時間質量分析計。
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