JPH09326243A - Maldi−tof質量分析装置 - Google Patents
Maldi−tof質量分析装置Info
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- JPH09326243A JPH09326243A JP8166825A JP16682596A JPH09326243A JP H09326243 A JPH09326243 A JP H09326243A JP 8166825 A JP8166825 A JP 8166825A JP 16682596 A JP16682596 A JP 16682596A JP H09326243 A JPH09326243 A JP H09326243A
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- H01J49/16—Ion sources; Ion guns using surface ionisation, e.g. field-, thermionic- or photo-emission
- H01J49/161—Ion sources; Ion guns using surface ionisation, e.g. field-, thermionic- or photo-emission using photoionisation, e.g. by laser
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- H01J49/26—Mass spectrometers or separator tubes
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- H01J49/40—Time-of-flight spectrometers
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 生成するイオンの空間的ばらつきを減少さ
せ、高い分解能で分析を行なうことができるようにす
る。 【解決手段】 パルス状のレーザ光LL照射後、サンプ
ルスライドSS表面で比較的長い時間に亙って生成する
イオンをx方向に引き出してイオン方向変換器CD内に
入れ、その後、イオンをそれに直交するy方向に引き出
して質量分析部TOF−MSに送り込む。イオンはx方
向におけるばらつきは大きいが、y方向におけるばらつ
きは小さいため、質量分析部TOF−MSでは高解像度
の質量分析が行なえる。
せ、高い分解能で分析を行なうことができるようにす
る。 【解決手段】 パルス状のレーザ光LL照射後、サンプ
ルスライドSS表面で比較的長い時間に亙って生成する
イオンをx方向に引き出してイオン方向変換器CD内に
入れ、その後、イオンをそれに直交するy方向に引き出
して質量分析部TOF−MSに送り込む。イオンはx方
向におけるばらつきは大きいが、y方向におけるばらつ
きは小さいため、質量分析部TOF−MSでは高解像度
の質量分析が行なえる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マトリクス支援レ
ーザ脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF=Ma
trix Assisted Laser Desorption/Ionization Time Of
Flight)質量分析装置に関する。
ーザ脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF=Ma
trix Assisted Laser Desorption/Ionization Time Of
Flight)質量分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】MALDI−TOF質量分析装置では、
固体又は液体試料をマトリクスと呼ばれるシナピン酸、
グリセリン等の物質に混入し(通常、その混入率はモル
比で試料:マトリクス=1:100〜1:10000程
度である)、サンプルスライドと呼ばれる金属板の上に
塗布する。これを真空室の中に挿入し、サンプルスライ
ドとその前方に設けたグリッド電極との間に高電圧を印
加しつつ、マトリクスにレーザを照射する。すると、試
料がマトリクスとともに加熱、イオン化され、マトリク
スから放出されてグリッド電極により加速される。こう
して加速されたイオンの飛行時間を測定することによ
り、イオンの質量/電荷比を算出することができる。
固体又は液体試料をマトリクスと呼ばれるシナピン酸、
グリセリン等の物質に混入し(通常、その混入率はモル
比で試料:マトリクス=1:100〜1:10000程
度である)、サンプルスライドと呼ばれる金属板の上に
塗布する。これを真空室の中に挿入し、サンプルスライ
ドとその前方に設けたグリッド電極との間に高電圧を印
加しつつ、マトリクスにレーザを照射する。すると、試
料がマトリクスとともに加熱、イオン化され、マトリク
スから放出されてグリッド電極により加速される。こう
して加速されたイオンの飛行時間を測定することによ
り、イオンの質量/電荷比を算出することができる。
【0003】MALDI−TOF質量分析装置における
試料のイオン化の過程は未だ十分解明されているとは言
えないが、おおよそ次のようなプロセスであろうと考え
られている。マトリクスがレーザ光を吸収し、それを熱
エネルギ(ミクロ的にみれば振動エネルギ)に変換し
て、マトリクス中の試料もろとも気化する。「急速加熱
条件の下では有機化合物は分解反応よりも気化反応が促
進される」という現象があるため、レーザ照射を高エネ
ルギ・短時間とすることにより、有機化合物試料は分解
せず、中性のまま気化させることができる。一方、マト
リクス及び不純物からはレーザ照射により陽イオンや陽
子が生成し、これらが有機化合物の中性分子に付加して
これをイオン化させる。このため、分子量が100kD
a(ドルトン)を超えるタンパク質のような熱的に不安
定な分子でも分解させることなくイオン化が可能である
という特長を有し(田中耕一「マトリックス支援レーザ
ー脱離イオン化質量分析法」、「ぶんせき」誌1996年4
月p.253)、これによりMALDI−TOF質量分析装
置はタンパク質、ペプチド等の生体関連物質や合成ポリ
マ、オリゴマの分析に多く用いられる。
試料のイオン化の過程は未だ十分解明されているとは言
えないが、おおよそ次のようなプロセスであろうと考え
られている。マトリクスがレーザ光を吸収し、それを熱
エネルギ(ミクロ的にみれば振動エネルギ)に変換し
て、マトリクス中の試料もろとも気化する。「急速加熱
条件の下では有機化合物は分解反応よりも気化反応が促
進される」という現象があるため、レーザ照射を高エネ
ルギ・短時間とすることにより、有機化合物試料は分解
せず、中性のまま気化させることができる。一方、マト
リクス及び不純物からはレーザ照射により陽イオンや陽
子が生成し、これらが有機化合物の中性分子に付加して
これをイオン化させる。このため、分子量が100kD
a(ドルトン)を超えるタンパク質のような熱的に不安
定な分子でも分解させることなくイオン化が可能である
という特長を有し(田中耕一「マトリックス支援レーザ
ー脱離イオン化質量分析法」、「ぶんせき」誌1996年4
月p.253)、これによりMALDI−TOF質量分析装
置はタンパク質、ペプチド等の生体関連物質や合成ポリ
マ、オリゴマの分析に多く用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】MALDI−TOF質
量分析装置が試料をイオン化させる過程は上記の通り、
レーザパルスの照射によりまずマトリクスが加熱されて
気化し、その中で試料も気化するというものであるた
め、図4に示すように、レーザ照射時間は極めて短い
(500ps〜50ns)にもかかわらず、試料イオン
は長い時間(数ms)に亙って放出され続ける。TOF
質量分析装置は飛行時間により質量分析を行なうもので
あるため、このように源となる部分でイオン生成時間の
ばらつき(これはすなわちイオン進行方向の空間的ばら
つきとなる)があると、分解能が低下し、精度の高い分
析を行なうことができない。
量分析装置が試料をイオン化させる過程は上記の通り、
レーザパルスの照射によりまずマトリクスが加熱されて
気化し、その中で試料も気化するというものであるた
め、図4に示すように、レーザ照射時間は極めて短い
(500ps〜50ns)にもかかわらず、試料イオン
は長い時間(数ms)に亙って放出され続ける。TOF
質量分析装置は飛行時間により質量分析を行なうもので
あるため、このように源となる部分でイオン生成時間の
ばらつき(これはすなわちイオン進行方向の空間的ばら
つきとなる)があると、分解能が低下し、精度の高い分
析を行なうことができない。
【0005】本発明はこのような課題を解決するために
成されたものであり、その目的とするところは、生成す
るイオンの空間的ばらつきを減少させ、高い分解能で分
析を行なうことができるMALDI−TOF質量分析装
置を提供することにある。
成されたものであり、その目的とするところは、生成す
るイオンの空間的ばらつきを減少させ、高い分解能で分
析を行なうことができるMALDI−TOF質量分析装
置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明は、サンプルスライド上に付着させた
マトリクスにパルス状のレーザ光を照射することにより
マトリクス中に混入された試料をイオン化し、該イオン
を所定電圧で加速した後、質量分析部において所定距離
を飛行するに要する時間により該イオンの質量分析を行
なうマトリクス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型(M
ALDI−TOF)質量分析装置において、 a)サンプルスライド表面で生成したイオンを第1の方向
に引き出す第1イオンレンズと、 b)上記第1の方向に運動するイオンをそれに直交する第
2の方向に引き出すための第2イオンレンズと、 c)レーザ光の照射タイミング並びに第1及び第2イオン
レンズに印加する電圧の大きさ及びタイミングを制御す
ることにより、第1段階において、レーザ光照射により
生成したイオンを第1イオンレンズにより第1の方向に
引き出し、第2段階において、それらイオンを第2イオ
ンレンズにより第2の方向に引き出して質量分析部に送
り込む制御部と、 を備えることを特徴とするものである。
に成された本発明は、サンプルスライド上に付着させた
マトリクスにパルス状のレーザ光を照射することにより
マトリクス中に混入された試料をイオン化し、該イオン
を所定電圧で加速した後、質量分析部において所定距離
を飛行するに要する時間により該イオンの質量分析を行
なうマトリクス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型(M
ALDI−TOF)質量分析装置において、 a)サンプルスライド表面で生成したイオンを第1の方向
に引き出す第1イオンレンズと、 b)上記第1の方向に運動するイオンをそれに直交する第
2の方向に引き出すための第2イオンレンズと、 c)レーザ光の照射タイミング並びに第1及び第2イオン
レンズに印加する電圧の大きさ及びタイミングを制御す
ることにより、第1段階において、レーザ光照射により
生成したイオンを第1イオンレンズにより第1の方向に
引き出し、第2段階において、それらイオンを第2イオ
ンレンズにより第2の方向に引き出して質量分析部に送
り込む制御部と、 を備えることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】制御部は、まずサンプルスライド
上のマトリクスにパルス状のレーザ光を短時間だけ照射
する。これによりマトリクスに含まれる試料が気化し、
イオン化するが、試料が十分にイオン化するにはレーザ
光照射終了後の長時間を要する。このように長い時間に
亙って生成するイオンをそのまま質量分析部に送り出す
ことは、大きな空間的広がりを持ったイオンをそのまま
質量分析部に送り込むことになり、分解能を低下させ
る。そこで本発明に係るMALDI−TOF質量分析装
置では、制御部がまずサンプルスライド上で順次生成さ
れるイオンを第1イオンレンズにより第1の方向(これ
をx方向とする)に引き出す。上記の通り、イオンは長
い時間に亙って生成されるため、順次引き出されるイオ
ンは空間的にx方向に大きくばらつく。しかし、x方向
に直交する方向(これをy方向とする)には大きなばら
つきはない。従って、こうしてサンプルスライドの表面
から引き出されるイオンを適宜のタイミングでそれとは
直角の方向(y方向)に引き出すことにより、イオンの
運動方向における空間的ばらつきを小さくすることがで
きる。制御部は第2イオンレンズをこのように制御す
る。
上のマトリクスにパルス状のレーザ光を短時間だけ照射
する。これによりマトリクスに含まれる試料が気化し、
イオン化するが、試料が十分にイオン化するにはレーザ
光照射終了後の長時間を要する。このように長い時間に
亙って生成するイオンをそのまま質量分析部に送り出す
ことは、大きな空間的広がりを持ったイオンをそのまま
質量分析部に送り込むことになり、分解能を低下させ
る。そこで本発明に係るMALDI−TOF質量分析装
置では、制御部がまずサンプルスライド上で順次生成さ
れるイオンを第1イオンレンズにより第1の方向(これ
をx方向とする)に引き出す。上記の通り、イオンは長
い時間に亙って生成されるため、順次引き出されるイオ
ンは空間的にx方向に大きくばらつく。しかし、x方向
に直交する方向(これをy方向とする)には大きなばら
つきはない。従って、こうしてサンプルスライドの表面
から引き出されるイオンを適宜のタイミングでそれとは
直角の方向(y方向)に引き出すことにより、イオンの
運動方向における空間的ばらつきを小さくすることがで
きる。制御部は第2イオンレンズをこのように制御す
る。
【0008】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係るMAL
DI−TOF質量分析装置ではイオンの生成時間のばら
つきによる空間的ばらつきが、その運動方向の変換によ
り解消され、試料のイオンはまとまった形で質量分析部
に入って質量分析が行なわれる。このため、高分解能の
質量分析を行なうことができるようになる。
DI−TOF質量分析装置ではイオンの生成時間のばら
つきによる空間的ばらつきが、その運動方向の変換によ
り解消され、試料のイオンはまとまった形で質量分析部
に入って質量分析が行なわれる。このため、高分解能の
質量分析を行なうことができるようになる。
【0009】
【実施例】本発明の一実施例であるMALDI−TOF
質量分析装置の構成及び動作を図1〜図3により説明す
る。図1は実施例のMALDI−TOF質量分析装置1
0の全体的構成を示す概略構成図であり、左下にサンプ
ルスライドSSが、右上に質量分析部TOF−MS及び
第1検出器13が配置されている。本実施例のMALD
I−TOF質量分析装置10は、それらの間に配置され
ているイオンレンズ部14とそれを制御する方法に特徴
を有するため、その部分を図2に詳しく記載した。これ
については後に詳しく述べる。サンプルスライドSSと
質量分析部TOF−MSはイオンレンズ部14を要とし
て直交するように配置されている。サンプルスライドS
Sの斜め前方には、サンプルスライドSS上の所定位置
を照射するためのレーザ光学系15が設けられている。
質量分析装置の構成及び動作を図1〜図3により説明す
る。図1は実施例のMALDI−TOF質量分析装置1
0の全体的構成を示す概略構成図であり、左下にサンプ
ルスライドSSが、右上に質量分析部TOF−MS及び
第1検出器13が配置されている。本実施例のMALD
I−TOF質量分析装置10は、それらの間に配置され
ているイオンレンズ部14とそれを制御する方法に特徴
を有するため、その部分を図2に詳しく記載した。これ
については後に詳しく述べる。サンプルスライドSSと
質量分析部TOF−MSはイオンレンズ部14を要とし
て直交するように配置されている。サンプルスライドS
Sの斜め前方には、サンプルスライドSS上の所定位置
を照射するためのレーザ光学系15が設けられている。
【0010】本実施例のMALDI−TOF質量分析装
置10の動作の概略は次の通りである。制御部16から
のスタート信号により、レーザ発生器20が所定の短い
時間(数ns程度)だけパルス状のレーザ光LLを発生
する。レーザ光LLは反射鏡21、フィルタ22及び光
学レンズ23を介して、所定位置に挿入されたサンプル
スライドSS上の試料11に照射される。これにより、
試料11中のマトリクスが気化され、それに伴ってマト
リクス中の目的試料がイオン化される。イオン化された
試料は、イオンレンズ部14によりまずx方向(図1で
は右方向)に引き出され、次いでその運動の方向がy方
向(図1では上方向)へと直角に変更され、質量分析部
TOF−MSに送り込まれる。イオンレンズ部14の作
用については、後に詳しく述べる。
置10の動作の概略は次の通りである。制御部16から
のスタート信号により、レーザ発生器20が所定の短い
時間(数ns程度)だけパルス状のレーザ光LLを発生
する。レーザ光LLは反射鏡21、フィルタ22及び光
学レンズ23を介して、所定位置に挿入されたサンプル
スライドSS上の試料11に照射される。これにより、
試料11中のマトリクスが気化され、それに伴ってマト
リクス中の目的試料がイオン化される。イオン化された
試料は、イオンレンズ部14によりまずx方向(図1で
は右方向)に引き出され、次いでその運動の方向がy方
向(図1では上方向)へと直角に変更され、質量分析部
TOF−MSに送り込まれる。イオンレンズ部14の作
用については、後に詳しく述べる。
【0011】質量分析部TOF−MSでは、2つのモー
ドでイオンの質量を検出することができる。一つは、リ
フレクタ電極RFの電圧を0にした場合で、入口から入
ったイオンは、光軸をそのまま飛行して第1検出器13
に入る。一方、リフレクタ電極RFに高電圧VRFを印加
した場合は、イオンはリフレクタ電極RFにより折り返
され、第2検出器17に到達する。いずれのモードにお
いても、イオンの加速開始時点からイオンの検出時点ま
での時間を測定することにより、イオンの質量/電荷比
を求めることができる。
ドでイオンの質量を検出することができる。一つは、リ
フレクタ電極RFの電圧を0にした場合で、入口から入
ったイオンは、光軸をそのまま飛行して第1検出器13
に入る。一方、リフレクタ電極RFに高電圧VRFを印加
した場合は、イオンはリフレクタ電極RFにより折り返
され、第2検出器17に到達する。いずれのモードにお
いても、イオンの加速開始時点からイオンの検出時点ま
での時間を測定することにより、イオンの質量/電荷比
を求めることができる。
【0012】次に、本実施例のMALDI−TOF質量
分析装置10のイオンレンズ部14の作用を図2及び図
3により詳しく説明する。先に述べた通り、MALDI
−TOF質量分析装置ではレーザ光LLの照射時間は極
めて短いにも拘らず、目的試料のイオンは遙かに長い時
間に亙って生成され続ける(図4)。また、試料がイオ
ン化される空間領域が或る程度の広がりを有するため、
加速用の第1グリッド電極GRとの距離が一定ではな
く、イオンのエネルギにはばらつきがある。
分析装置10のイオンレンズ部14の作用を図2及び図
3により詳しく説明する。先に述べた通り、MALDI
−TOF質量分析装置ではレーザ光LLの照射時間は極
めて短いにも拘らず、目的試料のイオンは遙かに長い時
間に亙って生成され続ける(図4)。また、試料がイオ
ン化される空間領域が或る程度の広がりを有するため、
加速用の第1グリッド電極GRとの距離が一定ではな
く、イオンのエネルギにはばらつきがある。
【0013】そこで、本実施例のMALDI−TOF質
量分析装置10では、イオンレンズ部14内にイオン方
向変換器CDを設け、そこでイオンの運動の方向を直角
に変化させるようにしている。イオン方向変換器CDの
前方(サンプルスライドSS側)には第1グリッド電極
GR、第1レンズ電極L1、第1アパーチャAp1が配置
されている。イオン方向変換器CDの内部には第2レン
ズ電極L2及び第3レンズ電極L3が設けられている。そ
してイオン方向変換器CDの出口側(質量分析部TOF
−MS側)には引き出し電極Ex、第4レンズ電極L4、
アースグリッド電極E、第2アパーチャAp2、水平デフ
レクタDh、垂直デフレクタDvが配置されている。各グ
リッド電極及び各レンズ電極には制御部16より制御電
圧が印加され、その電圧の印加のタイミング及び大きさ
は図3のグラフに示すように制御される。なお、本実施
例のMALDI−TOF質量分析装置10では、主に第
1グリッド電極GRが上記第1イオンレンズに相当し、
主に引き出し電極Exが上記第2イオンレンズに相当す
るが、その他のグリッド電極及びレンズ電極も各段階に
おいて第1イオンレンズ又は第2イオンレンズに相当す
る作用の一部を担う。
量分析装置10では、イオンレンズ部14内にイオン方
向変換器CDを設け、そこでイオンの運動の方向を直角
に変化させるようにしている。イオン方向変換器CDの
前方(サンプルスライドSS側)には第1グリッド電極
GR、第1レンズ電極L1、第1アパーチャAp1が配置
されている。イオン方向変換器CDの内部には第2レン
ズ電極L2及び第3レンズ電極L3が設けられている。そ
してイオン方向変換器CDの出口側(質量分析部TOF
−MS側)には引き出し電極Ex、第4レンズ電極L4、
アースグリッド電極E、第2アパーチャAp2、水平デフ
レクタDh、垂直デフレクタDvが配置されている。各グ
リッド電極及び各レンズ電極には制御部16より制御電
圧が印加され、その電圧の印加のタイミング及び大きさ
は図3のグラフに示すように制御される。なお、本実施
例のMALDI−TOF質量分析装置10では、主に第
1グリッド電極GRが上記第1イオンレンズに相当し、
主に引き出し電極Exが上記第2イオンレンズに相当す
るが、その他のグリッド電極及びレンズ電極も各段階に
おいて第1イオンレンズ又は第2イオンレンズに相当す
る作用の一部を担う。
【0014】図3の電圧制御図に従い、本実施例のMA
LDI−TOF質量分析装置10におけるイオンの動き
を説明する。なお、ここではプラスイオンが生成される
ものとする。制御部16は、時点t1から所定の短い時
間δt(例えば数ns)の間だけ、レーザ光LLをサン
プルスライドSS上の試料11に照射する。図4に示す
ように、レーザ光LLの照射が終了した後もマトリクス
中の試料のイオンは比較的長い時間生成され続ける。そ
のようなイオン生成に相当する時間t1〜t1+tpの
間、制御部16は、第1グリッド電極GRの電圧VGRを
サンプルスライドSSの電圧VSSよりも低くし、生成す
るイオンをイオン方向変換器CDの方に引き出す。引き
出されたイオンはイオン方向変換器CD及びその内部の
第2レンズ電極L2の電圧VCD、VL2によりx方向に運
動し、イオン方向変換器CD内に入る。
LDI−TOF質量分析装置10におけるイオンの動き
を説明する。なお、ここではプラスイオンが生成される
ものとする。制御部16は、時点t1から所定の短い時
間δt(例えば数ns)の間だけ、レーザ光LLをサン
プルスライドSS上の試料11に照射する。図4に示す
ように、レーザ光LLの照射が終了した後もマトリクス
中の試料のイオンは比較的長い時間生成され続ける。そ
のようなイオン生成に相当する時間t1〜t1+tpの
間、制御部16は、第1グリッド電極GRの電圧VGRを
サンプルスライドSSの電圧VSSよりも低くし、生成す
るイオンをイオン方向変換器CDの方に引き出す。引き
出されたイオンはイオン方向変換器CD及びその内部の
第2レンズ電極L2の電圧VCD、VL2によりx方向に運
動し、イオン方向変換器CD内に入る。
【0015】時間tpが経過し、生成されたイオンがほ
ぼイオン方向変換器CD内に入った時点t1+tpで、制
御部16は第2レンズ電極L2の電圧VL2の電圧を引き
上げるとともに、第3レンズ電極L3及び引き出し電極
Exの電圧VL3、VExを下げて、イオン方向変換器CD
内のイオンをそれに垂直なy方向(図1、図2では上
方)に引き出す。イオンはイオン方向変換器CD内にお
いて、x方向には空間的な広がりを有するが、y方向に
は広がっていない。従って、こうして引き出されたイオ
ンはその進行方向には比較的狭い範囲に収まっており、
質量分析部TOF−MSにおいて高分解能の質量分析を
行なうことができる。
ぼイオン方向変換器CD内に入った時点t1+tpで、制
御部16は第2レンズ電極L2の電圧VL2の電圧を引き
上げるとともに、第3レンズ電極L3及び引き出し電極
Exの電圧VL3、VExを下げて、イオン方向変換器CD
内のイオンをそれに垂直なy方向(図1、図2では上
方)に引き出す。イオンはイオン方向変換器CD内にお
いて、x方向には空間的な広がりを有するが、y方向に
は広がっていない。従って、こうして引き出されたイオ
ンはその進行方向には比較的狭い範囲に収まっており、
質量分析部TOF−MSにおいて高分解能の質量分析を
行なうことができる。
【0016】なお、第1、第2アパーチャAp1、Ap2は
イオン方向変換器CDの前後でイオンの空間的広がりを
機械的に制限する働きをし、第1及び第4レンズ電極L
1、L4はイオン方向変換器CDの前後でイオンの運動方
向を調節してイオンを効率よくイオン方向変換器CDや
質量分析部TOF−MSに導く作用を行なう。これらは
感度や分解能の調整に用いることができる。質量分析部
TOF−MSの入口に設けられた水平及び垂直デフレク
タDh、Dvは、一つには、通過するイオンを偏向させる
ことにより質量分析部TOF−MSに入射するイオンを
時間的に制限し、分解能を向上させる作用を行なう。ま
た、イオンを収束するためにも用いることができる。
イオン方向変換器CDの前後でイオンの空間的広がりを
機械的に制限する働きをし、第1及び第4レンズ電極L
1、L4はイオン方向変換器CDの前後でイオンの運動方
向を調節してイオンを効率よくイオン方向変換器CDや
質量分析部TOF−MSに導く作用を行なう。これらは
感度や分解能の調整に用いることができる。質量分析部
TOF−MSの入口に設けられた水平及び垂直デフレク
タDh、Dvは、一つには、通過するイオンを偏向させる
ことにより質量分析部TOF−MSに入射するイオンを
時間的に制限し、分解能を向上させる作用を行なう。ま
た、イオンを収束するためにも用いることができる。
【0017】イオン方向変換器CDのイオンを質量分析
部TOF−MSに送出し、先のレーザ光照射時点t1か
ら所定時間が経過した後、制御部16は第1グリッド電
極GR等の電圧を元に戻し、時点t2において再びレー
ザ光LLを発射する。こうして、上記処理を所定時間毎
に複数回繰り返し、データ数を増加することにより、分
析の感度を向上させる。
部TOF−MSに送出し、先のレーザ光照射時点t1か
ら所定時間が経過した後、制御部16は第1グリッド電
極GR等の電圧を元に戻し、時点t2において再びレー
ザ光LLを発射する。こうして、上記処理を所定時間毎
に複数回繰り返し、データ数を増加することにより、分
析の感度を向上させる。
【図1】 本発明の一実施例であるMALDI−TOF
質量分析装置の概略構成図。
質量分析装置の概略構成図。
【図2】 上記MALDI−TOF質量分析装置のイオ
ンレンズ部の拡大断面図。
ンレンズ部の拡大断面図。
【図3】 サンプルスライド、イオンレンズ、デフレク
タの電圧制御の様子を示すグラフ。
タの電圧制御の様子を示すグラフ。
【図4】 MALDI−TOF質量分析装置における試
料のイオン化の様子を示す説明図。
料のイオン化の様子を示す説明図。
10…MALDI−TOF質量分析装置 11…試料 TOF−MS…質量分析部 13…第1検出器 14…イオンレンズ部 15…レーザ光学系 16…制御部 17…第2検出器 20…レーザ発生器 21…反射鏡 22…フィルタ 23…光学レンズ RF…リフレクタ電極 SS…サンプルスライド GR…第1グリッド電極 CD…イオン方向変換器 L1、L2、L3、L4…レンズ電極 Ex…引き出し電極 Dh、Dv…水平、垂直デフレクタ
Claims (1)
- 【請求項1】 サンプルスライド上に付着させたマトリ
クスにパルス状のレーザ光を照射することによりマトリ
クス中に混入された試料をイオン化し、該イオンを所定
電圧で加速した後、質量分析部において所定距離を飛行
するに要する時間により該イオンの質量分析を行なうマ
トリクス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型(MALD
I−TOF)質量分析装置において、 a)サンプルスライド表面で生成したイオンを第1の方向
に引き出す第1イオンレンズと、 b)上記第1の方向に運動するイオンをそれに直交する第
2の方向に引き出すための第2イオンレンズと、 c)レーザ光の照射タイミング並びに第1及び第2イオン
レンズに印加する電圧の大きさ及びタイミングを制御す
ることにより、第1段階において、レーザ光照射により
生成したイオンを第1イオンレンズにより第1の方向に
引き出し、第2段階において、それらイオンを第2イオ
ンレンズにより第2の方向に引き出して質量分析部に送
り込む制御部と、 を備えることを特徴とするMALDI−TOF質量分析
装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8166825A JPH09326243A (ja) | 1996-06-05 | 1996-06-05 | Maldi−tof質量分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8166825A JPH09326243A (ja) | 1996-06-05 | 1996-06-05 | Maldi−tof質量分析装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09326243A true JPH09326243A (ja) | 1997-12-16 |
Family
ID=15838370
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8166825A Pending JPH09326243A (ja) | 1996-06-05 | 1996-06-05 | Maldi−tof質量分析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09326243A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002141016A (ja) * | 2000-09-06 | 2002-05-17 | Kratos Analytical Ltd | Tof質量分析計用のイオン光学システム |
EP1221713A2 (en) * | 2000-08-10 | 2002-07-10 | Okazaki National Research Institutes | Mass spectrometry |
JP2003501790A (ja) * | 1999-05-27 | 2003-01-14 | エムディーエス インコーポレーテッド | 感度を向上するためのイオントラップを有する四重極質量分析計 |
JP2004500683A (ja) * | 1999-06-11 | 2004-01-08 | ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ | 飛行時間型質量分析計の質量相関パルス引出しを行なう方法及び装置 |
JP2006511912A (ja) * | 2002-12-20 | 2006-04-06 | パーセプティブ バイオシステムズ,インコーポレイテッド | 複数の飛行経路を有する飛行時間型質量分析器 |
-
1996
- 1996-06-05 JP JP8166825A patent/JPH09326243A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US6620624B1 (en) | 2000-08-10 | 2003-09-16 | Okazaki National Research Institutes | Mass spectrometry interface, a mass spectrometer and a mass spectrometry |
EP1221713A3 (en) * | 2000-08-10 | 2005-12-07 | Okazaki National Research Institutes | Mass spectrometry |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040706 |